JP2015036147A - バーリング加工用パンチおよびバーリング加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動車用等のプレス部品をバーリング加工する際に、大幅なコストアップを招くこと無く、割れの発生を抑止して加工範囲を拡大させることができるバーリング加工用パンチおよびバーリング加工方法を提供する。【解決手段】バーリング加工に用いるパンチであって、予め形成されている下穴を最終穴径より小さい径の穴に広げる先端部と、該先端部で広げた穴を最終穴径に広げる後端部と、前記先端部と前記後端部の境目に設けられた、前記先端部より径の小さい凹部とを有していることを特徴とするバーリング加工用パンチ。【選択図】図3
Description
自動車用等のプレス部品をバーリング加工する際に用いるバーリング加工用パンチおよびバーリング加工方法に関するものである。
自動車用のプレス部品(特に、アーム部品)では、ゴムのブッシュをはめ込むために、バーリング加工を行うことが多い。また、一般の骨格部位やパネル部位においても、配線穴形成の目的や軽量化と部品の強度アップの目的で、バーリング加工を行うことも多い。
ちなみに、バーリング加工は、穴の縁にフランジを形成する加工であり、穴フランジ加工と呼ばれることもある。
通常、金型で押さえた金属板(鋼板等)をパンチで打ち抜いて下穴を形成する下穴形成加工(事前加工)を行った後、下穴形成加工で下穴が形成された金属板の周囲を拘束して、下穴をパンチで広げながら穴の縁にフランジを形成するフランジ形成加工(バーリング加工)を行う。
図1(a)〜(c)は、一般的なバーリング加工を示すものであり、金属板(ブランク)1の周囲をダイ12とダイクッション13で拘束して、下穴2をパンチ11で広げながら穴の縁3にフランジ4を形成して、製品5を得ている。
その際、バーリング加工で用いられるパンチ11としては、図2(a)に示すような円筒パンチ81や、図2(b)に示すような円錐パンチ91が用いられることが多い。なお、このような円筒パンチ81と円錐パンチ91は、材料の穴広げ特性を評価する日本鉄鋼連盟規格(穴広げ試験JFST1001−1996)に記載されている。
このバーリング加工における製品欠陥としては、フランジ4の先端部4aに発生する割れがある。
バーリング加工における割れ発生度合いは、下穴形成加工で形成した下穴2の直径(初期穴径)D1とバーリング加工で形成するフランジ4の内径(最終穴径)D2の比(穴広げ比:D2/D1)に大きく依存する。一般に、穴広げ比D2/D1が大きいバーリング加工では割れが発生し易く、穴広げ比D2/D1が小さいバーリング加工では割れが発生し難い。
また、同じ強度の金属材(例えば、鋼材)においても、バーリング加工で割れが発生し易い材料と、割れが発生し難い材料が存在し、その評価は前記日本鉄鋼連盟規格(穴広げ試験JFST1001−1996)の穴広げ率λで整理される。
バーリング加工は、穴縁2aが単軸引張変形となる伸びフランジ成形様式であり、通常の成形限界線(FLD)による割れ評価では正確に評価することが難しい。その理由のひとつとしては、下穴形成加工において打ち抜き(せん断)した穴縁2aの状態(ダメージ)が割れ発生限界に大きく影響するためである。
なお、上述したように、バーリング加工などの伸びフランジ成形においては、割れ発生
予測がFLDを用いた方法では困難であるが、特許文献1には、穴縁の穴広げ率とひずみ勾配を用いた割れ発生予測方法(成形可否判定方法)が提案されている。
予測がFLDを用いた方法では困難であるが、特許文献1には、穴縁の穴広げ率とひずみ勾配を用いた割れ発生予測方法(成形可否判定方法)が提案されている。
このようなバーリング加工においては、割れの発生を抑止して加工範囲を拡大させる方法として、下記のような方法が知られている。
例えば、下穴形成加工において打ち抜いて形成した下穴2の穴縁2aのダメージ状態を改善するために、下穴2の穴縁2aを機械加工やレーザ加工で仕上げる方法がある。これによって、バーリング加工時の割れの発生を大幅に軽減することができる。
また、下穴をあけずに、張出成形を行った後に穴をあけ、その後バーリング加工を行うことで、穴広げ比を小さくし、割れ発生を軽減する方法がある。
また、バーリング加工で割れが発生し難い材料(穴広げ率λの高い材料)を用いる方法もある。
しかしながら、上述したような、下穴2の穴縁2aを機械加工やレーザ加工で仕上げる方法や、バーリング加工を2工程(2ストローク)に分けて行う方法は、加工工程が増えるため、大幅なコストアップにつながる。
また、穴広げ率λの高い材料を用いる方法も、通常、穴広げ率λの高い材料ほど高価であるので、やはり大幅なコストアップにつながる。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、自動車用等のプレス部品をバーリング加工する際に、大幅なコストアップを招くこと無く、割れの発生を抑止して加工範囲を拡大させることができるバーリング加工用パンチおよびバーリング加工方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有している。
[1]バーリング加工に用いるパンチであって、予め形成されている下穴を最終穴径より小さい径の穴に広げる先端部と、該先端部で広げた穴を最終穴径に広げる後端部と、前記先端部と前記後端部の境目に設けられた、前記先端部より径の小さい凹部とを有していることを特徴とするバーリング加工用パンチ。
[2]前記[1]に記載のバーリング加工用パンチを用いて、1ストロークでバーリング加工を行うことを特徴とするバーリング加工方法。
本発明においては、自動車用等のプレス部品をバーリング加工する際に、大幅なコストアップを招くこと無く、割れの発生を抑止して加工範囲を拡大させることができる。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図3は、本発明の一実施形態におけるバーリング加工用パンチを示しており、図3(a)は円筒型パンチ21、図3(b)は円錐型パンチ31である。
図3(a)に示すように、この実施形態における円筒型パンチ21は、前述した下穴形成加工(事前加工)によって予め形成されている下穴を、最終穴径φCより小さい径φAの穴に広げる先端部21aと、その先端部21aで広げた穴を、最終穴径φCに広げる後端部21cと、先端部21aと後端部21cの境目に設けられた、先端部21aより小さい径φBの凹部21bとを有している。
同じく、図3(b)に示すように、この実施形態における円錐型パンチ31は、前述した下穴形成加工(事前加工)によって予め形成されている下穴を最終穴径φCより小さい径φAの穴に広げる先端部31aと、その先端部31aで広げた穴を最終穴径φCに広げる後端部31cと、先端部31aと後端部31cの境目に設けられた、先端部31aより小さい径φBの凹部31bとを有している。
そして、上記のような円筒型パンチ21あるいは円錐型パンチ31を用いて、1ストロークのバーリング加工を行うと、フランジ4の先端部4a(下穴2の穴縁2a)における割れ発生を的確に抑止することができる。そのメカニズムを以下に述べる。
図4は、バーリング加工中の穴縁2aにおける応力−ひずみ曲線を示しており、図4(a)は、図2に示した従来のバーリング加工用パンチ(円筒パンチ81、円錐パンチ91)を用いた場合、図4(b)は、図3に示したこの実施形態のバーリング加工用パンチ(円筒型パンチ21、円錐型パンチ31)を用いた場合である。
図4(a)と図4(b)を比較すると、この実施形態のバーリング加工用パンチ21、31を用いた図4(b)の場合には、先端部21a、31aによる加工で一旦降伏し応力が上昇した後、穴縁2aが凹部21b、31bの位置でスプリングバックし、穴縁2aの応力が緩和される。このため、穴縁2a付近は一度除荷され、その後、後端部21c、31cによる加工で再降伏する。この再降伏時に応力(変形抵抗)が低下するために、割れ発生が抑止される。
ここで、この実施形態のバーリング加工用パンチ21、31において、先端部21a、31aの直径φA、凹部21b、31bの直径φB、後端部21c、31cの直径φCは、下記(1)、(2)式の関係があることが好ましい。また、直径φBの凹部21b、31bから直径φCの後端部21c、31cまでの距離Lは下記(3)の範囲であることが好ましい。
φC/φA<1.08 ・・・(1)
φA/φB>1.01 ・・・(2)
1mm≦L≦10mm ・・・(3)
φA/φB>1.01 ・・・(2)
1mm≦L≦10mm ・・・(3)
上記(1)式については、φCとφAの差が大きくなり過ぎない方が、穴縁2aの応力緩和による効果が得られやすいからである。
また、(2)式については、φAとφBの差がある程度大きい方が、穴縁2aが十分にスプリングバックしやすいからである。
そして、(3)式については、Lが1mm以上であれば、パンチ21、31で加工しやすいからであり、Lが10mm以下であれば、パンチ21、31のストロークが操作性のよい長さになるからである。
このようにして、この実施形態においては、自動車用等のプレス部品をバーリング加工する際に、下穴2の穴縁2aを機械加工やレーザ加工で仕上げたり、バーリング加工を2工程(2ストローク)に分けて行ったりする必要が無いし、穴広げ率λの高い材料を用いる必要も無いので、大幅なコストアップを招くことが無い。
したがって、大幅なコストアップを招くこと無く、割れの発生を抑止して加工範囲を拡大させることができる。その結果、バーリング加工部品を設計・製造する際の寸法・形状の自由度を得ることができる。
本発明の実施例として、日本鉄鋼連盟規格JSC590R 板厚2.6mm 150mm角の鋼板サンプル(ブランク)1を用いて、バーリング内径(最終穴径)D2が40mmとなるバーリング加工を行った。
その際に、本発明例1として、本発明の実施形態に基づいて、図3(a)に示した円筒型パンチ21(φA:32.7mm、φB:30.7mm、φC:35mm、L:5mm)を用いてバーリング加工を行い、本発明例2として、本発明の実施形態に基づいて、図3(b)に示した円錐型パンチ31(φA:32.7mm、φB:30.7mm、φC:35mm、L:5mm)を用いてバーリング加工を行った。
また、比較例1として、図2(a)に示した従来の円筒パンチ81を用いてバーリング加工を行い、比較例2として、図2(b)に示した従来の円錐パンチ91を用いてバーリング加工を行った。
なお、ダイ12の肩Rは1mm、ホルダー力は25tonfとして、材料の流入が起こらない条件で行った。
そして、予備加工でブランク1に形成する下穴2の径D1を30mmから2mmピッチで24mmまで変更し、それぞれの条件において5回(サンプル枚数5枚を)加工した。
それぞれのバーリング加工において、割れが発生しなかった場合を○、割れが発生した場合を×として、その割れ発生状況を比較した。その比較結果を表1に示す。
表1の比較結果から分かるように、本発明例のパンチ(円筒型パンチ21、円錐型パンチ31)を用いることで、従来の比較例のパンチ(円筒パンチ81、円錐パンチ91)を用いるのに比べて、下穴径D1が小さく穴広げ比D2/D1が大きなバーリング加工が可能であることが言える。
1 金属板(ブランク)
2 下穴
2a 下穴の穴縁
3 穴縁
4 フランジ
4a フランジの先端部
5 製品
11 パンチ
12 ダイ
13 ダイクッション
21 円筒型パンチ
21a 先端部
21b 凹部
21c 後端部
31 円錐型パンチ
31a 先端部
31b 凹部
31c 後端部
81 円筒パンチ
91 円錐パンチ
2 下穴
2a 下穴の穴縁
3 穴縁
4 フランジ
4a フランジの先端部
5 製品
11 パンチ
12 ダイ
13 ダイクッション
21 円筒型パンチ
21a 先端部
21b 凹部
21c 後端部
31 円錐型パンチ
31a 先端部
31b 凹部
31c 後端部
81 円筒パンチ
91 円錐パンチ
Claims (2)
- バーリング加工に用いるパンチであって、予め形成されている下穴を最終穴径より小さい径の穴に広げる先端部と、該先端部で広げた穴を最終穴径に広げる後端部と、前記先端部と前記後端部の境目に設けられた、前記先端部より径の小さい凹部とを有していることを特徴とするバーリング加工用パンチ。
- 請求項1に記載のバーリング加工用パンチを用いて、1ストロークでバーリング加工を行うことを特徴とするバーリング加工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013167212A JP2015036147A (ja) | 2013-08-12 | 2013-08-12 | バーリング加工用パンチおよびバーリング加工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013167212A JP2015036147A (ja) | 2013-08-12 | 2013-08-12 | バーリング加工用パンチおよびバーリング加工方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Family
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2013167212A Pending JP2015036147A (ja) | 2013-08-12 | 2013-08-12 | バーリング加工用パンチおよびバーリング加工方法 |
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---|---|---|---|---|
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-
2013
- 2013-08-12 JP JP2013167212A patent/JP2015036147A/ja active Pending
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