JP2015035933A - 編成車両ブレーキ制御装置及び編成車両システム - Google Patents
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Abstract
【課題】ブレーキ力が不安定にならない編成車両ブレーキ制御装置を提供する。【解決手段】編成車両ブレーキ制御装置の必要ブレーキ取得部は、編成車両で要求される総ブレーキ力を取得する。第2のブレーキ力取得部は、総ブレーキ力と電動機で発生可能な回生ブレーキ力とに基づき、総ブレーキ力を満たすために流体圧ブレーキ装置で発生させる摩擦ブレーキ力を取得する。稼動決定部は、摩擦ブレーキ力を複数の流体圧ブレーキ装置で発生させる場合に各流体圧ブレーキ装置で発生させる摩擦ブレーキ力が流体圧ブレーキ装置で許容されるブレーキ力下限値以上になるように、稼動させる流体圧ブレーキ装置の台数を決定する。制御指令部は、決定された稼動台数に応じて稼動させる流体圧ブレーキ装置を決定し、この決定した流体圧ブレーキ装置と電動機とに制御指令を供給する。【選択図】図2
Description
本発明の実施形態は、編成車両ブレーキ制御装置及び編成車両システムに関する。
電動車と付随車で構成される電気鉄道車両(以下、編成車両という)においてブレーキ力を発生させる場合、電動車の電動機で発生可能な回生ブレーキ力と、主に付随車に備えられる流体圧ブレーキ装置(例えば、空気ブレーキ装置)で発生可能な摩擦ブレーキ力を併用して制御する技術がある。
ところで、電動車で発生可能な回生ブレーキ力は、編成車両の速度帯や架線電圧の状況によって変化することが知られている。そのため、編成車両全体として必要な総ブレーキ力を回生ブレーキ力と摩擦ブレーキ力を併用して賄う場合、摩擦ブレーキ力を回生ブレーキ力の変動に対応させて変化させる必要がある。しかしながら、空気ブレーキ装置の場合、要求されるブレーキ力が小さいと、実際に発生するブレーキ力にばらつきが生じやすいことが知られている。したがって、回生ブレーキ力と摩擦ブレーキ力とを併用する場合でも編成車両全体としてブレーキ力が不安定にならないような制御を行うことが望まれている。
実施形態にかかる編成車両ブレーキ制御装置は、第1のブレーキ力取得部と、第2のブレーキ力取得部と、稼動決定部と、制御指令部とを備える。第1のブレーキ力取得部は、編成車両で要求される総ブレーキ力を取得する。第2のブレーキ力取得部は、総ブレーキ力と電動機で発生可能な回生ブレーキ力とに基づき、総ブレーキ力を満たすために流体圧ブレーキ装置で発生させる摩擦ブレーキ力を取得する。稼動決定部は、摩擦ブレーキ力を複数の流体圧ブレーキ装置で発生させる場合に各流体圧ブレーキ装置で発生させる摩擦ブレーキ力が流体圧ブレーキ装置で許容されるブレーキ力下限値以上になるように、稼動させる流体圧ブレーキ装置の台数を決定する。制御指令部は、決定された稼動台数に応じて稼動させる流体圧ブレーキ装置を決定し、この決定した流体圧ブレーキ装置と電動機とに制御指令を供給する。
以下の例示的な実施形態や変形例には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、同様の構成要素には共通の符号が付されるとともに、重複する説明が省略される。
図1に本実施形態に係る編成車両ブレーキ制御装置が適用される編成車両システムを構成する編成車両10の一例を示す。編成車両10は、電動車12と当該電動車12に付随する付随車14とが複数台連結されて構成されている。電動車12には、流体圧ブレーキ装置の一例として示される空気ブレーキ装置16と当該空気ブレーキ装置16を制御する空気ブレーキ制御装置(B)18、及び電動機20と当該電動機20を制御する電動機制御装置(IVN)22が搭載されている。一方、付随車14は、空気ブレーキ装置16と当該空気ブレーキ装置16を制御する空気ブレーキ制御装置18が搭載されている。
本実施形態では、先頭車両に編成車両10全体のブレーキ制御を実行する編成車両ブレーキ制御装置(CTL)24が搭載されている。この編成車両ブレーキ制御装置24は、ブレーキハンドル(BH)26の操作に応じて提供されるブレーキ指令等に基づいて、空気ブレーキ制御装置18および電動機制御装置22への個別の摩擦ブレーキ力指令および回生ブレーキ力指令を演算する。
空気ブレーキ制御装置18、電動機制御装置22、編成車両ブレーキ制御装置24、ブレーキハンドル26等は、車両情報ネットワーク28を介して接続されている。そして、空気ブレーキ制御装置18および電動機制御装置22は、編成車両ブレーキ制御装置24から個別の摩擦ブレーキ力指令と回生ブレーキ力指令を受信して、空気ブレーキ装置16および電動機20を制御する。また、電動機制御装置22は、電動車12が減速及び停止する際に電動機20が発電機として動作するときに発生する回生ブレーキ力(実回生ブレーキ力)のフィードバックを編成車両ブレーキ制御装置24に供給する。
なお、電動車12及び付随車14のそれぞれには荷重センサ(S)30が搭載され、各荷重センサ30が出力する応荷重信号が車両情報ネットワーク28を介して編成車両ブレーキ制御装置24に提供され、車両積載状況に応じたブレーキ力の算出等に利用される。
図2は、本実施形態の編成車両ブレーキ制御装置24の機能ブロック図の一例である。編成車両ブレーキ制御装置24は、必要ブレーキ力演算部(第1のブレーキ力演算部、)32、回生ブレーキ力指令演算部34、摩擦ブレーキ力補足量演算部(第2のブレーキ力演算部)36、稼動ブレーキ装置決定部38、ブレーキ稼動履歴記録部40、ブレーキ制御パラメータ記録部42、摩擦ブレーキ力指令演算部44等を備えている。なお、本実施形態では、必要ブレーキ力を必要ブレーキ力演算部32で演算して取得する例を示すが、他のシステムや構成から必要ブレーキ力またはそれに相当する情報を取得するようにし、必要ブレーキ力取得部(第1のブレーキ力取得部)と称してもよい。同様に、補足ブレーキ力を摩擦ブレーキ力補足量演算部36で演算して取得する例を示すが、他のシステムや構成から補足ブレーキ力またはそれに相当する情報を取得するようにし、補足ブレーキ力取得部(第2のブレーキ力取得部)と称してもよい。稼動ブレーキ装置決定部38は稼動決定部と称してもよい。また、回生ブレーキ力指令演算部34、摩擦ブレーキ力指令演算部44、稼動ブレーキ装置決定部38を統合して制御指令部としてもよい。つまり、図2に示す機能ブロック図は、機能ごとに便宜上分類した一例であり、他の例では、複数の機能を統合してもよいし、さらに詳細な機能分けを行ってもよい。例えば、ブレーキ稼動履歴記録部40とブレーキ制御パラメータ記録部42を1つの記録部としてもよい。
以下、図2の機能ブロック図を詳細に説明する。
必要ブレーキ力演算部32は、ブレーキハンドル26の操作に応じたブレーキ指令と、編成内の各車両から提供される応荷重信号に基づき、編成全体で必要な総ブレーキ力および各車両で必要なブレーキ力を演算する。
必要ブレーキ力演算部32は、ブレーキハンドル26の操作に応じたブレーキ指令と、編成内の各車両から提供される応荷重信号に基づき、編成全体で必要な総ブレーキ力および各車両で必要なブレーキ力を演算する。
回生ブレーキ力指令演算部34は、編成全体で必要な総ブレーキ力を各電動車12の応荷重信号に基づいて、各電動車12の回生ブレーキ力指令として分配する。各電動車12の回生ブレーキ力指令が、各電動車12の応荷重信号と期待粘着係数から求められる許容最大ブレーキ力を超えている場合は、回生ブレーキ力指令を許容最大ブレーキ力とする。なお、電動機制御装置22から提供される実回生ブレーキ力がゼロ、すなわち回生失効が発生している電動車12がある場合、編成全体で必要なブレーキ力を、回生失効していない電動車12で分配する。
摩擦ブレーキ力補足量演算部36は、各電動機制御装置22から提供される実回生ブレーキ力に基づく編成全体における回生ブレーキ力の和と編成全体で必要な総ブレーキ力の比較から、総ブレーキ力を満たすために空気ブレーキ装置16で補足発生させる摩擦ブレーキ力(摩擦ブレーキ力補足量)を演算して取得する。摩擦ブレーキ力補足量が、付随車14の空気ブレーキ装置16のみで負担できる場合は電動車12の摩擦ブレーキ力指令はゼロとなる。なお、実回生ブレーキ力の和が編成全体で必要な総ブレーキ力以上の場合、摩擦ブレーキ力補足量はゼロとなる。
稼動ブレーキ装置決定部38は、摩擦ブレーキ力補足量を空気ブレーキ装置16の台数または付随車14の台数で割ることによって、空気ブレーキ装置16一台あたりで必要となる摩擦ブレーキ力または付随車14一台あたりで必要となる摩擦ブレーキ力を求める。
ブレーキ稼動履歴記録部40には、各空気ブレーキ装置16の稼動状態が記録されている。つまり、各空気ブレーキ装置16が過去にどれだけ稼動したかが記録されている。この場合、例えば、稼動時間を記録してもよいし、どのような大きさの摩擦ブレーキ力をどのくらいの期間発生させたか、またその発生が継続したか等を記録してもよい。また、摩擦ブレーキ力と車両速度の積を累積記録してもよい。稼動履歴は、次の制御タイミングでどの空気ブレーキ装置16を優先的に稼動させるかを決定する場合に参照することができる。なお、ブレーキ稼動履歴記録部40は、ブレーキ吸収エネルギの値を記録してもよい。
ブレーキ制御パラメータ記録部42は、空気ブレーキ装置16が安定した摩擦ブレーキ力を発生できる下限値等を記録している。また、一台の空気ブレーキ装置16が連続稼動可能な期間の上限値等を記録することもできる。これらの下限値や上限値は、空気ブレーキ装置16の設計段階で決定してもよい。また、ブレーキ制御パラメータ記録部42は、下限値や上限値を適宜調整または変更可能できるように変更用パラメータを記録してもよい。
ところで、編成全体で必要な総ブレーキ力は、ブレーキハンドル26の操作に基づき提供されるブレーキ力指令によって異なる。また、電動車12で負担できる回生ブレーキ力は、速度帯や架線電圧の状況によって変化する。ブレーキ力指令が弱ければ、編成全体で必要な総ブレーキ力が小さい。このとき、速度が回生ブレーキ力一定の速度域内であり、架線電圧が車両側の回生絞込み電圧よりも低ければ、電動車12で負担できるブレーキ力は大きい。このような場合、編成全体で必要な総ブレーキ力に対し、電動車12で負担できる回生ブレーキ力の比率が大きいので、付随車14の空気ブレーキ装置16で負担すべき摩擦ブレーキ力は小さいかゼロとなる。一方、ブレーキ力指令が強ければ、編成全体で必要な総ブレーキ力が大きい。このとき、速度が回生ブレーキ力一定の速度域を超過しており、架線電圧が車両側の回生絞込み電圧よりも高ければ、電動車12で負担できる回生ブレーキ力は小さい。このような場合、編成全体で必要な総ブレーキ力に対し、電動車12で負担できる回生ブレーキ力の比率が小さいので、付随車14の空気ブレーキ装置16で負担すべき摩擦ブレーキ力は大きくなる傾向がある。
通常のブレーキノッチ指令に応じた空気ブレーキ制御では、摩擦ブレーキ力は段階的にしか変化しない。一方、回生ブレーキ力と摩擦ブレーキ力を併用する電空ブレーキ協調制御の場合は、回生ブレーキ力の大きさが無段階に変動し得る。そのため、ブレーキ力指令に対応するブレーキ力を電空ブレーキ協調制御で発生させようとする場合、摩擦ブレーキ力も無段階で変動させる必要が生じる。つまり、期待粘着係数で決まる許容最大ブレーキ力からゼロまであらゆる値をとり得る。さらに、編成全体での必要な摩擦ブレーキ力が小さいときに、当該摩擦ブレーキ力を全付随車14に分配すると、空気ブレーキ装置16一台あたりの摩擦ブレーキ力はより小さくなってしまう。
一般的に、空気ブレーキ装置16は、発生させようとする摩擦ブレーキ力が小さい場合、すなわちブレーキシリンダ圧力(BC圧)が小さい場合、摩擦ブレーキ力のばらつきが発生しやすいという特性がある。これは、空気ブレーキ装置16の機構がバネ等を含み、空気圧力と、摩擦ブレーキ接触面の押し付け力の関係が、低圧力域で非線形となることが一因である。すなわち、発生させようとするブレーキ力が小さいと、非線形性に起因する誤差の割合が相対的に大きくなるためである。従って、電空ブレーキ協調制御時に制御対象となる摩擦ブレーキ力が小さい場合、摩擦ブレーキ力の制御が正確にできず、結果的に編成全体で発生するブレーキ力が不安定になることがある。
また、通常のブレーキノッチ指令に応じた空気ブレーキ制御では、ブレーキ力指令の変化は段階的に生じるのに対し、電空ブレーキ協調制御時は、微小なブレーキ力指令の変化が発生する場合がある。そして、空気ブレーキ装置16では、微小なブレーキ力指令の変化への応答性がよくない場合がある。従って、電空ブレーキ協調制御時に、編成全体で必要な摩擦ブレーキ力の変化が小さい場合、当該摩擦ブレーキ力の変化を全付随車14に分配した場合、空気ブレーキ装置16一台あたりのブレーキ力指令の変化も小さくなり、編成全体で発生するブレーキ力が不安定になることがある。
そこで、本実施形態の編成車両ブレーキ制御装置は、編成全体としての電空ブレーキ協調制御により回生ブレーキ力を十分に利用することで消費エネルギーの低減を図りつつ、発生するブレーキ力の不安定化が抑制できるように構成している。また、空気ブレーキ装置の制輪子の摩耗軽減や偏摩耗防止等もできるように構成している。
図2に戻り、稼動ブレーキ装置決定部38は、前述したように摩擦ブレーキ力補足量を
空気ブレーキ装置16の台数または付随車14の台数で割ることによって、空気ブレーキ
装置16一台あたりで必要となる摩擦ブレーキ力または付随車14一台あたりで必要となる摩擦ブレーキ力を求める。次に、稼動ブレーキ装置決定部38は、ブレーキ制御パラメータ記録部42に記録された空気ブレーキ装置16のブレーキ力下限値と先に算出した空気ブレーキ装置16一台あたりで必要となる摩擦ブレーキ力を比較する。なお、付随車14一台あたりで必要となる摩擦ブレーキ力を用いる場合は、ブレーキ力下限値は、車両に搭載された空気ブレーキ装置16の台数倍した値となり、これとの比較になる。なお、ブレーキ力下限値は、空気ブレーキ装置16の非線形性に起因する誤差の割合が、制御上で許容される範囲内となるように、予めブレーキ試験等を行って決定しておくか、または、最も弱いブレーキノッチに対するブレーキ力を基準として決定してもよい。
空気ブレーキ装置16の台数または付随車14の台数で割ることによって、空気ブレーキ
装置16一台あたりで必要となる摩擦ブレーキ力または付随車14一台あたりで必要となる摩擦ブレーキ力を求める。次に、稼動ブレーキ装置決定部38は、ブレーキ制御パラメータ記録部42に記録された空気ブレーキ装置16のブレーキ力下限値と先に算出した空気ブレーキ装置16一台あたりで必要となる摩擦ブレーキ力を比較する。なお、付随車14一台あたりで必要となる摩擦ブレーキ力を用いる場合は、ブレーキ力下限値は、車両に搭載された空気ブレーキ装置16の台数倍した値となり、これとの比較になる。なお、ブレーキ力下限値は、空気ブレーキ装置16の非線形性に起因する誤差の割合が、制御上で許容される範囲内となるように、予めブレーキ試験等を行って決定しておくか、または、最も弱いブレーキノッチに対するブレーキ力を基準として決定してもよい。
そして、空気ブレーキ装置16一台あたりの摩擦ブレーキ力または付随車14一台あたりの摩擦ブレーキ力が、ブレーキ力下限値を下回っている場合、稼動ブレーキ装置決定部38は、空気ブレーキ装置16の稼動台数または空気ブレーキ装置16を動作させる付随車14の台数を低減する。つまり、摩擦ブレーキ力補足量を各空気ブレーキ装置16または各付随車14で分担する場合に、空気ブレーキ装置16一台あたりの摩擦ブレーキ力または付随車14一台あたりの摩擦ブレーキ力がブレーキ力下限値以上となるようにする。ブレーキ力下限値は、例えば、最小のブレーキノッチ指令に対するブレーキシリンダ圧力に応じた摩擦ブレーキ力と同等またはそれよりも大きい値とする。なお、稼動させる空気ブレーキ装置16または車両の台数を1台とした場合で、ブレーキ力下限値を下回る場合は、それ以上の台数低減はせず、1台のままとする。
本実施形態の場合、発生させる摩擦ブレーキ力を安定させるために、上述したように空気ブレーキ装置単位で摩擦ブレーキ力を発生させるか否かを調整することができる。同様に、車両単位で摩擦ブレーキ力を発生させるか否かを調整することもできる。以下の説明では、一例として車両単位で摩擦ブレーキ力を発生させるか否かを調整する例を説明する。したがって、1台の車両に対するブレーキ力下限値は、1台の空気ブレーキ装置16のブレーキ力下限値×空気ブレーキ装置16の搭載台数となる。
図3は、本実施形態に係る編成車両ブレーキ制御装置24の全体動作を説明するフローチャートである。なお、図3のフローは、ブレーキハンドル26の操作に基づいてブレーキ指令が供給される場合、所定制御周期で繰り返し実行されるものとする。
まず、必要ブレーキ力演算部32は、ブレーキハンドル26からのブレーキ指令と、編成内の各車両からの応荷重信号に基づき、編成全体で必要な総ブレーキ力を演算する(S100)。続いて、回生ブレーキ力指令演算部34は、編成全体で必要な総ブレーキ力を各電動車12の応荷重信号に基づいて、各電動車12の回生ブレーキ力指令として分配するように各電動車12の回生ブレーキ力を演算する(S102)。そして、回生ブレーキ力指令を各電動機制御装置22を介して各電動車12の電動機20に出力する(S104)。そして、必要ブレーキ力演算部32は、各電動機20側から出力される実回生ブレーキ力を示す信号のフィードバックを受け(S106)、実際に発生している回生ブレーキ力と総ブレーキ力との差分から総ブレーキ力を満たすために空気ブレーキ装置16で補足発生させる必要がある摩擦ブレーキ力(摩擦ブレーキ力補足量)を演算する(S108)。電動機20で発生する回生ブレーキ力の総量が総ブレーキ力より多い場合、つまり空気ブレーキ装置16の稼動が必要ない場合(S110のN)、要求された総ブレーキ力は、電動機20で発生する回生ブレーキ力のみで賄うことができると判定し、今回の制御タイミングにおけるこのフローの処理を一旦終了する。一方、電動機20で発生する回生ブレーキ力の総量が総ブレーキ力未満の場合、つまり空気ブレーキ装置16の稼動が必要な場合(S110のY)、稼動ブレーキ装置決定部38は、空気ブレーキ装置16を稼動させる車両数の決定を行い、必要に応じてブレーキ指令を変化させる車両数を決定する。そして摩擦ブレーキ力指令演算部44は各車両の空気ブレーキ装置16に対する摩擦ブレーキ力指令の値を演算する(S112)。なお、本実施形態の編成車両ブレーキ制御装置24では、図4に(1)で示すように、まず、総ブレーキ力に対して、電動車12に搭載された電動機20を用いた回生ブレーキ力を発生させる。総ブレーキ力に対するブレーキ力が不足する場合は、次に(2)で示すように付随車14に搭載された空気ブレーキ装置16を用いた摩擦ブレーキ力を追加発生させる。それでも総ブレーキ力に対するブレーキ力が不足する場合は、(3)で示すように電動車12に搭載された空気ブレーキ装置16を用いた摩擦ブレーキ力をさらに追加発生させる。このような優先順を設けることで、電空ブレーキ協調制御を実施する場合に、回生ブレーキ力を最大限有効に利用し、かつ編成車両を構成する電動車12と付随車14との間でブレーキ力の格差が極端に大きくならないようにして、制動バランスを向上させている。
図3に戻り、S112で空気ブレーキ装置16を稼動させる付随車14及び稼動対象となる空気ブレーキ装置16に対するブレーキ指令が決定されたら、付随車14で発生させる総ブレーキ力の演算を行う(S114)。そして、要求されている総ブレーキ力が電動車12の回生ブレーキ力及び付随車14の摩擦ブレーキ力でも賄えない場合、つまり電動車12の空気ブレーキ装置16も稼動させる必要がある場合(S116のY)、稼動ブレーキ装置決定部38は、S112で付随車14に対して行った処理と同様の処理を電動車12に対して行うと共に、摩擦ブレーキ力指令演算部44は、摩擦ブレーキ力のブレーキ力指令の演算を行う(S118)。つまり、摩擦ブレーキ力を発生させるために空気ブレーキ装置16を稼動させる電動車12を決定する。そして、摩擦ブレーキ力指令演算部44は、付随車14、電動車12に対して摩擦ブレーキ力指令を出力し(S120)、このフローを一旦終了する。
S116において、電動車12の空気ブレーキ装置16の稼動が必要ない場合(S116のN)、摩擦ブレーキ力指令演算部44は、付随車14に対して摩擦ブレーキ力指令を出力する(S122)。
図5は、図3のS112において、稼動させる車両数の決定処理の詳細を示すフローチャートである。まず、稼動ブレーキ装置決定部38は、空気ブレーキ装置16が稼動可能な車両数の初期設定を行う(S200)。この場合、全車両が稼動可能であるとして初期設定を行うことができるが、例えば、空気ブレーキ装置16の制輪子の摩耗状態等により安定した摩擦ブレーキ力の発生が困難な空気ブレーキ装置16がある場合には、その空気ブレーキ装置16を含む車両を初期設定の段階で制御対象から除外してもよい。続いて、初期設定した稼動車両数で摩擦ブレーキ力補足量を除して、稼動可能な車両ごとで必要な摩擦ブレーキ力を算出する(S202)。この場合、各車両が分担する摩擦ブレーキ力は、車両毎の応荷重に応じて仮決定される。次に、稼動ブレーキ装置決定部38は、仮決定された摩擦ブレーキ力のうち、空気ブレーキ装置16で許容されるブレーキ力下限値未満になる車両があれば(S204Y)、空気ブレーキ装置16を稼動する車両数を低減設定し、S202の処理へ戻る(S206)。例えば、制御対象となる付随車14の台数を1台減らす。なお、この処理で減らす車両数は適宜変更可能であり、1度に複数台を減らすようにしてもよい。一方、S204でブレーキ力下限値未満になる車両がない場合(S204のY)、設定されている台数(初期設定の台数または前回の処理で低減設定された台数)を空気ブレーキ装置16を稼動する車両数とする(S208)。
ところで、空気ブレーキ装置16を動作させる付随車14の台数を低減する場合(または空気ブレーキ装置16の稼動台数を低減する場合)、あるいは後述するがブレーキ力制御中に実回生ブレーキ力等の変動に対し、一部の空気ブレーキ装置16のみ摩擦ブレーキ力を変化させる場合、どの空気ブレーキ装置16を稼動させ(変化させ)、どの空気ブレーキ装置16を停止させるかが問題となる。空気ブレーキ装置16の制輪子の摩耗を均一化するためには、各空気ブレーキ装置16の稼動比率を同程度にすることが望ましい。従って、本実施形態では、各空気ブレーキ装置16の稼動回数、稼動時のブレーキ力変更回数、動作時間、摩擦ブレーキ力と車両速度の時間積分値(ブレーキ時の吸収エネルギーに相当)等の稼動履歴をブレーキ稼動履歴記録部40に記録して、稼動ブレーキ装置決定部38はブレーキ稼動履歴記録部40を参照することにより稼動実績の少ない空気ブレーキ装置16を優先して稼動させるように車両(号車)を決定する(S210)。その結果、編成車両の運行中に一部の空気ブレーキ装置16のみが集中的に稼動して、一部の制輪子のみが摩耗したり、一部の流体制御弁が摩耗したりすることが抑制可能となり、空気ブレーキ装置16自体の寿命や、その空気ブレーキ装置16を搭載する車両の寿命を延ばすことが可能になる。
また、稼動ブレーキ装置決定部38は、ブレーキ力の変化時の応答性を向上させるため、複数の空気ブレーキ装置16の動作時に必要となる摩擦ブレーキ力変化に対し、稼動中の空気ブレーキ装置16のうち一部の空気ブレーキ装置16の摩擦ブレーキ力のみを変化させる制御を行うことができる。例えば、実回生ブレーキ力の変動に対し、稼動中の全ての空気ブレーキ装置16の摩擦ブレーキ力を変化させて対応した場合に、1台あたりの摩擦ブレーキ力の変化量が、ブレーキ制御パラメータ記録部42に記録されたブレーキ力の変化下限値を下回る場合がある。前述したように、空気ブレーキ装置16の場合、構造上摩擦ブレーキ力の制御量が小さい場合は正確な制御が困難となる場合がある。同様に、前回の制御タイミングでの摩擦ブレーキ力を今回の制御タイミングで変更する場合、その変更量が構造上で決まる変更下限値より小さい場合は正確な制御が困難となる場合がある。したがって、ブレーキ制御中に摩擦ブレーキ力を変動させる場合も制御安定化を配慮した制御を行うことが望ましい。
そこで、本実施形態の稼動ブレーキ装置決定部38は、1台あたりの摩擦ブレーキ力の変化量が変化下限値以上となるように、摩擦ブレーキ力を変化させる空気ブレーキ装置16の台数(または車両数)を低減する。摩擦ブレーキ力の変化下限値は、例えば、ブレーキノッチ指令1段分の指令変化に対するブレーキシリンダ圧力変化に応じた摩擦ブレーキ力変化量か、それよりも大きい値とすることができる。
図6は、図3のS112において、ブレーキ力制御中に実回生ブレーキ力等の変動に対し、一部の空気ブレーキ装置16のみ摩擦ブレーキ力を変化させようとする場合に、変化対象の車両数の決定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、稼動ブレーキ装置決定部38は、摩擦ブレーキ力を変化させる車両数の初期設定を行う(S300)。この場合、前述したブレーキ力下限値未満にならないように稼動させる車両数を決定する処理で決定された車両数を今回の初期設定数とすることができる。続いて、各車両で発生させる摩擦ブレーキ力を仮算出する(S302)。この場合、初期設定した車両数に対応して決定した稼動車両(号車)の応荷重に応じて摩擦ブレーキ力を各車両に分配することにより算出する。そして、各車両について、前回制御時と今回制御時の摩擦ブレーキ力の差分に基づき、摩擦ブレーキ力の変化量を算出する(S304)。稼動ブレーキ装置決定部38は、ブレーキ稼動履歴記録部40を参照して摩擦ブレーキ力の変化量が空気ブレーキ装置16で許容される変化下限値未満となる空気ブレーキ装置16を含む車両が存在するか否か判定する(S306)。そして、変化下限値未満の空気ブレーキ装置16を含む車両が存在する場合(S306のY)、変化制御対象となっている車両のうち一部の車両のみを用いて摩擦ブレーキ力を変化させるように、変化制御対象の車両数を低減し、制御対象となる車両(号車)を決定する(S308)。一方、S306で変化下限値未満の空気ブレーキ装置16を含む車両が存在しない場合(S306のN)、変化制御対象の車両数は初期設定のままとし、このフローを終了する。
図7は、図6のフローチャートで説明した摩擦ブレーキ力の変化量の調整を模式的に説明する説明図である。図7(a)は、前回の制御タイミングで、付随車14a〜14dで摩擦ブレーキ力a0,b0,c0,d0を発生させている例を示している。図7(b)は、今回の制御タイミングで、必要になる総ブレーキ力が減少し、空気ブレーキ装置16を稼動させる必要な車両が付随車14a、14bのみとなり、さらに、付随車14a、14bにおいても摩擦ブレーキ力を変更量Sだけ低減させることが必要になった場合を示している。なお、この場合の変更量Sは、変化下限値未満の値とする。図7(b)のように変化下限値未満の変更量Sだけ摩擦ブレーキ力を減少させようとすると、前述したように、摩擦ブレーキ力の制御量が安定せず、結果的に付随車14a、14bの摩擦ブレーキ力a1,b1も不安定になってしまう。そこで、図7(c)に示すように、付随車14bで減少させようとした変更量Sを付随車14aに移動させ、付随車14aで変更量L(L=2×S:Lは変化下限値以上の値とする)だけ摩擦ブレーキ力を調整するようにする。つまり、付随車14bは前回の制御タイミングの時に摩擦ブレーキ力b0を維持させ、付随車14aを変化下限値より大きい変更量Lだけ減調整した摩擦ブレーキ力a2とする。すなわち、一部の車両のみで摩擦ブレーキ力を変化させるようにして、摩擦ブレーキ力を安定的に減調整する。結果的に、付随車14a及び付随車14bのいずれも安定した摩擦ブレーキ力を発生可能になる。
ところで、ブレーキ力制御中に摩擦ブレーキ力を変化させた結果、発生する摩擦ブレーキ力が空気ブレーキ装置16のブレーキ力下限値未満になってしまう場合がある。図8は、このような場合の対応処理を説明するフローチャートである。なお、図8のフローチャートは、図6におけるS306で摩擦ブレーキ力の変化量が変化下限値未満でないと判定された場合に処理されるようにすることができる。
図6におけるS306で摩擦ブレーキ力の変化量が変化下限値未満でないと判定された場合(S306のN)、稼動ブレーキ装置決定部38は、空気ブレーキ装置16に要求される摩擦ブレーキ力がブレーキ力下限値以上である場合(S400のY)、変更対象の車両分の摩擦ブレーキ力を変更する(S402)。一方、図6のS308の処理により空気ブレーキ装置16に要求される摩擦ブレーキ力がブレーキ力下限値未満になった場合(S400のN)、変更対象の車両数を低減処理前の車両数に戻す(S404)。この処理により、ブレーキ力下限値以下で制御される空気ブレーキ装置16はなくなるが、変化下限値未満で制御される空気ブレーキ装置16が存在することになる。ただし、ブレーキ力下限値未満で摩擦ブレーキ力の制御が実行される場合に比べて、変化下限値未満で摩擦ブレーキ力の制御が実行される方が摩擦ブレーキ力の不安定さの振れ幅が小さいので、空気ブレーキ装置16としての摩擦ブレーキ力の不安定さは軽減される。
以上のように構成される編成車両ブレーキ制御装置24の制御により編成車両を構成する各車両にブレーキ力を分担させる具体的な例を図9(a)、(b)を用いて説明する。なお、図9(a)は本実施形態の編成車両ブレーキ制御装置24の制御を適用しない場合の比較例であり、図9(b)は本実施形態の編成車両ブレーキ制御装置24の制御を適用した場合を示している。図9(a)、(b)において、編成車両10の編成として、1,4,6,7,10号車が付随車14であり、2,3,5,8,9号車が電動車12である場合を例示している。また、各電動車12は応荷重にしたがって回生ブレーキ力が分配され、要求される総ブレーキ力から回生ブレーキ力を引いた補足ブレーキ力が、付随車14で賄われる例を示している。
図9(a)の比較例に示されるように、補足ブレーキ力を全付随車14で均等に分担すると、ブレーキ力下限値未満になってしまう場合がある。この場合、付随車14における空気ブレーキ装置16で発生する摩擦ブレーキ力は摩擦ブレーキ力指令で要求される摩擦ブレーキ力に対して精度が高くない。その結果、編成車両全体として発生するブレーキ力の精度も低下してしまう。
一方、本実施形態の編成車両ブレーキ制御装置24の制御を用いた場合、図9(b)に示すように、補足ブレーキ力を一部の付随車14である4、6号のみに分担させることにより、4、6号の空気ブレーキ装置16で発生する摩擦ブレーキ力はブレーキ力下限値以上とすることが可能になり、付随車14における空気ブレーキ装置16で発生する摩擦ブレーキ力を摩擦ブレーキ力指令で要求される摩擦ブレーキ力に対して精度よく制御できる。その結果、編成車両全体として発生するブレーキ力も高精度で制御可能となる。また、一部の付随車14の空気ブレーキ装置16の稼動を一時的に休止させることで、空気ブレーキ装置16を制御するために流体制御弁の動作回数を低減可能になり、流体制御弁やその配管系の寿命の延命に寄与できる。
図10は、本実施形態に係る編成車両ブレーキ制御装置24の摩擦ブレーキ力を発生させる車両を決定する他の処理を説明するフローチャートである。なお、このフローチャートは、図5のフローチャートに代えて、図3におけるS112及びS118の処理で実行可能することができる。
稼動ブレーキ装置決定部38は、総ブレーキ力から回生ブレーキ力を引いた補足ブレーキ力(必要な摩擦ブレーキ力)が車両のブレーキ力下限値(1台の空気ブレーキ装置16のブレーキ力下限値×空気ブレーキ装置16の搭載台数)より小さい場合(S500のN)、つまり、1台の車両で摩擦ブレーキ力を発生させるようにしてもブレーキ力下限値未満となる場合である。この場合、1台のみの付随車14を稼動することを決める(S502)。この場合、空気ブレーキ装置16はブレーキ力下限値未満の摩擦ブレーキ力が要求される制御となるが、不安定な制御を行う付随車14は1台であり、編成車両全体のうち占める割合は少ないので例外的に認めることとする。そして、稼動ブレーキ装置決定部38は、ブレーキ稼動履歴記録部40を参照して、稼動させる摩擦ブレーキ力を発生させる付随車14(号車)を決定する(S504)。なお、この場合、回生ブレーキ力は最大限利用可能となるので、回生エネルギの回収を優先させた省エネルギ用の制御となる。
一方、S500において、補足ブレーキ力(必要な摩擦ブレーキ力)がブレーキ力下限値以上の場合(S500のY)、稼動ブレーキ装置決定部38は、摩擦ブレーキ力がブレーキ力下限値となる車両数を算出する(S506)。例えば、編成車両の付随車14の台数が10台で、各付随車14のブレーキ力下限値例えば3(最大能力20)とした場合で、必要な補足ブレーキ力が28であったとする。この場合、摩擦ブレーキ力がブレーキ力下限値となる車両数は、(補足ブレーキ力)/(ブレーキ力下限値)、すなわち(28/3≒9.3台)になる。この場合、稼動ブレーキ装置決定部38は、図11に示すように、摩擦ブレーキ力がブレーキ力下限値となる車両数より少ない車両、例えば9台で空気ブレーキ装置16を稼動する(S508)。そして、稼動ブレーキ装置決定部38は、ブレーキ稼動履歴記録部40を参照して、稼動させる摩擦ブレーキ力を発生させる、例えば9台分の付随車14(号車)を決定する(S504)。稼動ブレーキ装置決定部38は、このように処理を行うことによっても図5のフローチャートで説明した例と同様にブレーキ力下限値で制御される空気ブレーキ装置16を生じさせことなく、総ブレーキ力を正確に発生するブレーキ力制御を行うことができる。
なお、上述した実施形態において、高速域から継続して摩擦ブレーキをかけ続けなければならないような状況もある。この場合、空気ブレーキ装置16の稼動台数を低減して一部の空気ブレーキ装置16のみ稼動あるいは摩擦ブレーキ力を変動させていると、ブレーキの過熱など引き起こす虞がある。このような場合、稼動ブレーキ装置決定部38は、ブレーキ稼動履歴記録部40を参照して、各空気ブレーキ装置16の連続稼動時間または連続稼動中のブレーキ吸収エネルギー等に基づく高負荷情報を参照して監視してもよい。そして、高負荷情報の値が所定値を超えた場合に、稼動ブレーキ装置決定部38は、補足ブレーキ力を得るための必要な稼動台数が同一であっても、所定値を超えた空気ブレーキ装置16の稼動を停止し、休止中の他の空気ブレーキ装置16を代わりに稼動させるようにしてもよい。このような制御を行うことで、空気ブレーキ装置16が必要以上に加熱されることが抑制可能となり、空気ブレーキ装置16の摩耗や不具合の発生が軽減できる。
また、上述した実施形態に適用可能な空気ブレーキ装置16の場合、ブレーキオフの状態からブレーキを動作させた場合の空気ブレーキ装置16の制御の応答時間は、ブレーキ動作中にブレーキ力指令を切り替えた場合に比べて長くなる傾向がある。つまり、本実施形態で説明したように、稼動させる空気ブレーキ装置16の台数を低減する場合に、稼動させない空気ブレーキ装置のブレーキシリンダ圧力をゼロとしてしまうと、後の制御周期で、その空気ブレーキ装置16を稼動させようとした場合、応答遅れが生じる虞がある。そこで、総ブレーキ力の補足のための摩擦ブレーキ力を分担させない空気ブレーキ装置16に対し、摩擦ブレーキ力指令演算部44は、摩擦ブレーキ力の発生準備のための予備指令値を供給するようにしてもよい。つまり、稼動を休止させる空気ブレーキ装置16に、ブレーキ力を生じない程度の微小なブレーキシリンダ圧力を加えておく。その結果、実際に摩擦ブレーキ力を発生させるタイミングになったときに迅速な摩擦ブレーキ力の発生が可能になり応答性の悪化を抑制することができる。
このように、本実施形態の編成車両ブレーキ制御装置24では、電空ブレーキ協調制御により編成車両全体として消費エネルギーの低減が可能になる共に、摩擦ブレーキ力の不安定な発生を抑制することができる。また、必要となる補足ブレーキ力の大きさに応じて選択的に空気ブレーキ装置16を稼動させることにより、空気ブレーキ装置16の制輪子の摩耗の軽減や流体制御弁の摩耗の軽減に寄与することができる。
なお、上述した実施形態において、流体圧ブレーキ装置の一例として空気ブレーキ装置を説明したが、例えば、油圧ブレーキ装置としてもよく、同様の効果を得ることができる。また、実施形態では、制御する摩擦ブレーキ力がブレーキ力下限値未満や変化下限値未満にならないように車両単位で空気ブレーキ装置の稼動調整を行う例を示したが、空気ブレーキ装置単位で稼動数の調整を行うことも可能で、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明の実施形態や変形例を例示したが、上記実施形態や変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、各実施形態や変形例の構成は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
10…編成車両、12…電動車、14…付随車、16…空気ブレーキ装置、18…空気ブレーキ制御装置、20…電動機、22…電動機制御装置、24…編成車両ブレーキ制御装置、26…ブレーキハンドル、28…車両情報ネットワーク、30…荷重センサ、32…必要ブレーキ力演算部、34…回生ブレーキ力指令演算部、36…摩擦ブレーキ力補足量演算部、38…稼動ブレーキ装置決定部、40…ブレーキ稼動履歴記録部、42…ブレーキ制御パラメータ記録部、44…摩擦ブレーキ力指令演算部。
Claims (9)
- 編成車両で要求される総ブレーキ力を取得する第1のブレーキ力取得部と、
前記総ブレーキ力と電動機で発生可能な回生ブレーキ力とに基づき、前記総ブレーキ力を満たすために流体圧ブレーキ装置で発生させる摩擦ブレーキ力を取得する第2のブレーキ力取得部と、
前記摩擦ブレーキ力を複数の前記流体圧ブレーキ装置で発生させる場合に各流体圧ブレーキ装置で発生させる摩擦ブレーキ力が前記流体圧ブレーキ装置で許容されるブレーキ力下限値以上になるように、稼動させる前記流体圧ブレーキ装置の台数を決定する稼動決定部と、
決定された稼動台数に応じて稼動させる流体圧ブレーキ装置を決定し、この決定した流体圧ブレーキ装置と前記電動機とにブレーキ力を発生させる制御指令部と、
を備える編成車両ブレーキ制御装置。 - 前記稼動決定部は、前記第2のブレーキ力取得部が取得する摩擦ブレーキ力が変化すると、前記摩擦ブレーキ力の変化の前後で前記各流体圧ブレーキ装置における摩擦ブレーキ力の変化量が当該流体圧ブレーキ装置1台あたりの変化下限値以上となるように、稼動させる流体圧ブレーキ装置の台数を調整する請求項1に記載の編成車両ブレーキ制御装置。
- 前記制御指令部は、摩擦ブレーキ力を発生させない前記流体圧ブレーキ装置に対し摩擦ブレーキ力の発生準備のための予備指令値を供給する請求項1または請求項2に記載の編成車両ブレーキ制御装置。
- 前記制御指令部は、前記稼動決定部が決定した稼動台数に応じて稼動させる前記流体圧ブレーキ装置を決定する場合、前記各流体圧ブレーキ装置の稼動履歴に基づき稼動実績の少ない流体圧ブレーキ装置から優先して稼動させる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の編成車両ブレーキ制御装置。
- 前記制御指令部は、前記第2のブレーキ力取得部が取得する摩擦ブレーキ力の変化に伴い、稼動中の流体圧ブレーキ装置における摩擦ブレーキ力の変化量がその変化の前後で前記変化下限値以上となるように変化させる場合、前記各流体圧ブレーキ装置の稼動履歴に基づき稼動実績の少ない流体圧ブレーキ装置から優先して摩擦ブレーキ力を変化させる請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の編成車両ブレーキ制御装置。
- 前記稼動履歴は、前記流体圧ブレーキ装置ごとの摩擦ブレーキ力の変更回数と、作動時間と、摩擦ブレーキ力とそのときの車両速度の積の時間積分値との少なくともいずれか一つを含み、各流体圧ブレーキ装置の稼動実績とする請求項4または請求項5に記載の編成車両ブレーキ制御装置。
- 前記制御指令部は、前記稼動履歴に応じて、稼動中の前記流体圧ブレーキ装置に代えて非稼動中の前記流体圧ブレーキ装置を稼動させる請求項4に記載の編成車両ブレーキ制御装置。
- 前記制御指令部は、前記摩擦ブレーキ力を前記変化下限値以上で変化させる場合、前記稼動履歴に応じて、現在変化対象としている流体圧ブレーキ装置に代えて非変化対象の流体圧ブレーキ装置を摩擦ブレーキ力の変化対象とする請求項5に記載の編成車両ブレーキ制御装置。
- 駆動力および回生ブレーキ力を発生する電動機を備える電動車と、
前記電動車に付随する付随車と、
少なくとも前記付随車に備えられ、摩擦ブレーキ力を提供する流体圧ブレーキ装置と、
前記電動車と前記付随車との間で車両情報の伝達を行う車両情報ネットワークと、
前記車両情報ネットワークを介して、前記電動機で発生する回生ブレーキ力と前記流体圧ブレーキ装置で発生する摩擦ブレーキ力を制御して前記電動車と前記付随車で構成される編成車両の総ブレーキ力を協調制御するブレーキ制御装置と、
を備え、
前記ブレーキ制御装置は、
編成車両で要求される総ブレーキ力を取得する第1のブレーキ力取得部と、
前記総ブレーキ力と電動機で発生可能な回生ブレーキ力とに基づき、前記総ブレーキ力を満たすために流体圧ブレーキ装置で発生させる摩擦ブレーキ力を取得する第2のブレーキ力取得部と、
前記摩擦ブレーキ力を複数の前記流体圧ブレーキ装置で発生させる場合に各流体圧ブレ
ーキ装置で発生させる摩擦ブレーキ力が前記流体圧ブレーキ装置で許容されるブレーキ力
下限値以上になるように、稼動させる前記流体圧ブレーキ装置の台数を決定する稼動決定
部と、
決定された稼動台数に応じて稼動させる流体圧ブレーキ装置を決定し、この決定した流体圧ブレーキ装置と前記電動機とにブレーキ力を発生させる制御指令部と、
を備える編成車両システム。
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