JP7312676B2 - ブレーキ異常判定装置、ブレーキ状態記憶装置、異常判定方法、異常判定プログラム、及びブレーキ制御装置 - Google Patents

ブレーキ異常判定装置、ブレーキ状態記憶装置、異常判定方法、異常判定プログラム、及びブレーキ制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、ブレーキ異常判定装置、ブレーキ状態記憶装置、異常判定方法、異常判定プログラム、及びブレーキ制御装置に関する。
特許文献1には、鉄道車両に用いられる空気ブレーキ装置が記載されている。特許文献1の空気ブレーキ装置では、鉄道車両の運転者の操作に応じて、空気ブレーキ装置に供給される空気の目標空気圧が設定される。設定された目標空気圧の空気が空気ブレーキ装置に供給されることで、空気ブレーキ装置は、鉄道車両の運転者の操作に応じたブレーキ力を発揮する。また、特許文献1の空気ブレーキ装置では、鉄道車両の減速度に応じて、目標空気圧を補正する。
特開2016-147555号公報
特許文献1のような空気ブレーキ装置においては、空気ブレーキ装置そのものや空気ブレーキ装置に空気圧を供給する機構の劣化や故障により、運転者の操作に応じた空気圧が空気ブレーキ装置に供給されないことがある。しかしながら、特許文献1のような空気ブレーキ装置においては、目標空気圧が鉄道車両の走行状態に応じて補正される結果、運転者の操作と補正後の目標空気圧とが必ずしも正確に対応しない。そのため、特許文献1のような空気ブレーキ装置においては、補正後の目標空気圧が運転者の操作に応じた目標空気圧とずれていることが、補正による正常なものなのか、劣化や故障による異常なものなのかを判別しにくく、異常を見過ごしやすい。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、空気ブレーキ装置や空気ブレーキ装置に空気圧を供給する機構の異常を発見することにある。
上記課題を解決するためのブレーキ異常判定装置は、鉄道車両を制動するときに空気ブレーキ装置に供給する空気圧の指令値を取得する指令値取得部と、前記指令値から減速度フィードバック制御によって算出されたブレーキシリンダ圧力値を取得するシリンダ圧力値取得部と、前記指令値及び前記ブレーキシリンダ圧力値に基づいて前記空気ブレーキ装置の異常を判定する判定部とを備える。
上記課題を解決するための異常判定方法は、鉄道車両を制動するときに空気ブレーキ装置に供給する空気圧の指令値を取得する指令値取得工程と、前記指令値から減速度フィードバック制御によって算出されたブレーキシリンダ圧力値を取得するシリンダ圧力値取得工程と、前記指令値及び前記ブレーキシリンダ圧力値に基づいて前記空気ブレーキ装置の異常を判定する判定工程とを備える。
上記課題を解決するための異常判定プログラムは、コンピュータに、鉄道車両を制動するときに空気ブレーキ装置に供給する空気圧の指令値を取得する指令値取得処理と、前記指令値から減速度フィードバック制御によって算出されたブレーキシリンダ圧力値を取得するシリンダ圧力値取得処理と、前記指令値及び前記ブレーキシリンダ圧力値に基づいて前記空気ブレーキ装置の異常を判定する判定処理とを実行させる。
上記課題を解決するためのブレーキ制御装置は、鉄道車両を制動するときに空気ブレーキ装置に供給する空気圧の指令値を取得する指令値取得部と、前記指令値から減速度フィードバック制御によって算出されたブレーキシリンダ圧力値を取得するシリンダ圧力値取得部と、前記指令値及び前記ブレーキシリンダ圧力値に基づいて前記空気ブレーキ装置の異常を判定する判定部とを備える。
上記構成、方法、プログラムでは、空気ブレーキ装置に指令される空気圧であるブレーキシリンダ圧力値だけでなく、運転者の操作に応じた指令値の変化も、空気ブレーキ装置の異常判定に反映できる。したがって、空気ブレーキ装置に供給する空気圧を鉄道車両の走行状態に応じて制御する態様であっても、空気ブレーキ装置や空気ブレーキ装置に空気圧を供給する機構の異常を発見することができる。
上記のブレーキ異常判定装置において、前記判定部は、前記指令値及び前記ブレーキシリンダ圧力値の差又は比を算出し、前記差又は比の変化速度が予め定められた閾値以上であるときに前記空気ブレーキ装置に異常があると判定してもよい。
上記構成において空気ブレーキ装置に異常が発生したときには、空気ブレーキ装置のブレーキ力が急変することがある。この場合、急変したブレーキ力を補おうと制御量が大きくされるため、指令値及びブレーキシリンダ圧力値の差や比も急変する。上記構成によれば、このような空気ブレーキ装置の異常を発見することができる。
上記のブレーキ異常判定装置において、前記判定部は、前記鉄道車両の減速度が予め定められた基準範囲内であるときの前記指令値及び前記ブレーキシリンダ圧力値に基づいて前記空気ブレーキ装置の異常を判定してもよい。
上記構成において鉄道車両の減速度が基準範囲内であれば、そのときの指令値及びブレーキシリンダ圧力値の変化の仕方も穏やかであると考えられる。このように指令値及びブレーキシリンダ圧力値が変化しにくい状況下で、指令値及びブレーキシリンダ圧力値に基づいて異常を判定することで、異常の判定精度を向上できる。
上記のブレーキ異常判定装置において、前記指令値から減速度フィードバック制御によって前記ブレーキシリンダ圧力値を算出するシリンダ圧力値算出部を備え、前記シリンダ圧力値算出部は、予め定められた規定幅の範囲内で前記指令値を補正して前記ブレーキシリンダ圧力値を算出してもよい。
上記構成によれば、指令値に対する補正量が過度に大きくならないため、指令値とブレーキシリンダ圧力値との大小関係が極端に変化しにくい。このように、指令値とブレーキシリンダ圧力値との大小関係が極端に変化することを防ぐことで、これらに基づく異常の判定に悪影響を及ぼすことを防げる。
上記のブレーキ異常判定装置において、前記指令値取得部は、複数の前記空気ブレーキ装置のうちの1つである第1空気ブレーキ装置についての前記指令値を第1指令値として取得するとともに複数の前記空気ブレーキ装置のうちの前記第1空気ブレーキ装置とは別の第2空気ブレーキ装置についての前記指令値を第2指令値として取得し、前記シリンダ圧力値取得部は、前記第1空気ブレーキ装置についての前記ブレーキシリンダ圧力値を第1ブレーキシリンダ圧力値として取得するとともに前記第2空気ブレーキ装置についての前記ブレーキシリンダ圧力値を第2ブレーキシリンダ圧力値として取得し、前記判定部は、前記第1指令値及び前記第1ブレーキシリンダ圧力値と前記第2指令値及び前記第2ブレーキシリンダ圧力値とに基づいて前記第1空気ブレーキ装置の異常を判定してもよい。
上記構成によれば、異常の判定対象となっている第1空気ブレーキ装置だけでなく、それとは別の第2空気ブレーキ装置の状態も加味して、第1空気ブレーキ装置の異常を判定できる。したがって、第1空気ブレーキ装置について、より正確な異常の判定が可能となる。
上記のブレーキ異常判定装置において、前記指令値から減速度フィードバック制御によって前記ブレーキシリンダ圧力値を算出するシリンダ圧力値算出部を備え、前記シリンダ圧力値算出部は、前記第1ブレーキシリンダ圧力値及び前記第2ブレーキシリンダ圧力値の差が予め定められた規定値以下になるように前記第1指令値及び前記第2指令値の少なくとも一方を補正してもよい。
上記構成では、第1ブレーキシリンダ圧力値及び第2ブレーキシリンダ圧力値の差が規定値を越えて過度に大きくならないため、第1ブレーキシリンダ圧力値と第2ブレーキシリンダ圧力値とが極端に変化しにくい。そして、第1ブレーキシリンダ圧力値と第2ブレーキシリンダ圧力値とが極端に変化することを抑制することで、これらに基づく異常の判定に悪影響を及ぼすことを抑制できる。
上記課題を解決するためのブレーキ状態記憶装置は、鉄道車両を制動するときに空気ブレーキ装置に供給する空気圧の指令値を取得する指令値取得部と、前記指令値から減速度フィードバック制御によって算出されたブレーキシリンダ圧力値を取得するシリンダ圧力値取得部と、前記指令値及び前記ブレーキシリンダ圧力値を記憶する記憶部とを備える。
上記構成によれば、指令値及びブレーキシリンダ圧力値が記憶部に記憶されるので、その記憶されている情報を基に、例えば、空気ブレーキ装置に異常が発生する前兆を捉えて、メンテナンス等に活かすことができる。
上記のブレーキ制御装置において、前記指令値取得部は、複数の前記空気ブレーキ装置のうちの1つである第1空気ブレーキ装置についての前記指令値を第1指令値として取得するとともに複数の前記空気ブレーキ装置のうちの前記第1空気ブレーキ装置とは別の第2空気ブレーキ装置についての前記指令値を第2指令値として取得し、前記シリンダ圧力値取得部は、前記第1空気ブレーキ装置についての前記ブレーキシリンダ圧力値を第1ブレーキシリンダ圧力値として取得するとともに前記第2空気ブレーキ装置についての前記ブレーキシリンダ圧力値を第2ブレーキシリンダ圧力値として取得し、前記判定部は、前記第1指令値及び前記第1ブレーキシリンダ圧力値に基づいて前記第1空気ブレーキ装置の異常を判定するとともに前記第2指令値及び前記第2ブレーキシリンダ圧力値に基づいて前記第2空気ブレーキ装置の異常を判定し、前記判定部の判定結果に基づいて前記第1空気ブレーキ装置及び前記第2空気ブレーキ装置のブレーキタイミングを制御する制御部とを備えてもよい。
上記構成では、第1空気ブレーキ装置及び第2空気ブレーキ装置の異常に応じて、これら空気ブレーキ装置のブレーキタイミングが制御されるので、これらの空気ブレーキ装置全体として適切な制動力を得られる。
本件発明によれば、空気ブレーキ装置や空気ブレーキ装置に空気圧を供給する機構の異常を発見することができる。
編成車両の概略構成を示す概略図。 車両の概略構成を示す概略図。 制御装置が行う異常判定制御を示すフローチャート。 制御装置が行うブレーキ制御を示すフローチャート。 編成車両の異常判定制御を示す説明図。 編成車両の異常判定制御を示す説明図。
以下、図1~図6にしたがってブレーキ異常判定装置及びブレーキ制御装置の一実施形態について説明する。ブレーキ制御装置はブレーキ異常判定装置を備えている。先ず、鉄道車両としての編成車両100の概略構成について説明する。
図1に示すように、編成車両100は、当該編成車両100の前後方向(図1における左右方向)に4つの車両10が連結されて構成されている。車両10は、前後方向に隣り合う車両と互いに連結されており、前側から順に、車両10A、車両10B、車両10C、及び車両10Dが並んでいる。なお、各車両10は、同じ構成であるため、以下の説明では車両10Aについてのみ具体的に説明する。
図2に示すように、車両10Aは、前後方向(図2における左右方向)に離間して配置された2つの台車41を備えている。各台車41には、車幅方向(図2における紙面手前奥方向)に延びる車軸42が回転可能に取り付けられている。車軸42は、台車41毎に、前後方向に離間して2つ配置されている。車軸42の両端部には、略円板形状の車輪43が固定されている。したがって、1つの台車41につき、4つの車輪43が設けられている。なお、図1では、台車41、車軸42、及び車輪43の一部にのみ符号を付している。
図2に示すように、台車41の上側には、圧縮空気の弾性力によって振動を吸収する空気ばね30が取り付けられている。空気ばね30の上側には、車室空間を区画する車体20が取り付けられている。車体20は、全体として長方体箱形状であり、前後方向に長尺になっている。なお、図1では、空気ばね30及び車体20の一部に符号を付している。
図2に示すように、台車41には、車輪43の回転を制動するための空気ブレーキ装置50が取り付けられている。空気ブレーキ装置50は、摩擦材としての制輪子を車輪43の外周面である踏面に当接させて当該車輪43の回転を制動する、いわゆるトレッドブレーキ式のブレーキ装置である。したがって、この実施形態では、車輪43が、空気ブレーキ装置50の制動対象の回転体である。車両10Aには、合計8つの車輪43に対応して合計8つの空気ブレーキ装置50が取り付けられている。なお、図2では、車幅方向一方側に位置する4つの車輪43及び4つの空気ブレーキ装置50のみを図示している。
車両10Aには、空気を圧送する空気供給源61が搭載されている。空気供給源61からは、供給通路63が延びている。供給通路63は、途中で8つに分岐しており、分岐した各通路は、8つの空気ブレーキ装置50のそれぞれに接続されている。供給通路63には、当該供給通路63を流通する空気の量を制御する制御弁62が取り付けられている。制御弁62は、供給通路63における分岐部分よりも空気供給源61の近くに配置されている。したがって、制御弁62は、8つの空気ブレーキ装置50に対して1つ設けられている。また、空気供給源61には、図示しない通路を介して空気ばね30が接続されている。空気ばね30は、空気供給源61からの圧縮空気の供給を受ける。
上記の台車41には、車軸42の回転速度である軸回転速度を検出するための回転センサ72が取り付けられている。回転センサ72は、各車軸42の近傍に配置されており、車両10Aにおいて合計4つ設けられている。なお、図2では、代表して1つの回転センサ72のみを図示している。
上記のように構成された車両10Aにおいて、空気ブレーキ装置50は、制御装置80によって制御される。制御装置80には、回転センサ72が検出した車軸42の軸回転速度X2を示す信号が回転センサ72から入力される。また、制御装置80には、編成車両100の運転者が操作するブレーキ制御器76からブレーキ指令X6を示す信号が入力される。本実施形態において、ブレーキ制御器76は、運転者によって操作されるレバーを備えている。そして、ブレーキ制御器76のレバーの操作位置には複数段階のノッチが設定されており、ブレーキ制御器76は、運転者が操作したレバーの操作位置に応じて複数段階のブレーキ指令X6を示す信号を出力する。なお、制御装置80がブレーキ制御装置に相当する。
制御装置80は、車両10Aが制動するときに空気ブレーキ装置50に供給する空気圧の指令値Aを算出する指令値算出部81を備えている。指令値算出部81は、ブレーキ制御器76のレバーの操作位置にしたがって出力されるブレーキ指令X6に基づいて、段階的に大きくなる正の値として指令値Aを算出する。
制御装置80は、車両10Aの走行状態に応じて指令値Aを補正してブレーキシリンダ圧力値Bを算出するシリンダ圧力値算出部82を備えている。シリンダ圧力値算出部82は、ブレーキ指令X6及び軸回転速度X2に基づいて、指令値Aを補正してブレーキシリンダ圧力値Bを算出する。ここで、ブレーキシリンダ圧力値Bは、車両10Aの走行状態に応じて空気ブレーキ装置50を制御するために、空気ブレーキ装置50に対して実際に供給するべき空気圧を示す値である。
制御装置80は、車両10Aにおける空気ブレーキ装置50の異常を判定する判定部83を備えている。判定部83は、指令値A及びブレーキシリンダ圧力値Bに基づいて、車両10Aにおける空気ブレーキ装置50の異常の有無を判定する。ここで、車両10Aにおける空気ブレーキ装置50の異常には、空気ブレーキ装置50そのものの異常だけでなく、空気供給源61の異常、制御弁62の異常、及び供給通路63の異常等も含まれる。なお、ここでの判定部83による判定が判定工程及び判定処理に相当する。
制御装置80は、空気ブレーキ装置50を制御する制御部84を備えている。具体的には、制御部84は、制御弁62に対して制御信号を出力することで、制御弁62の開度を制御する。そして、制御弁62の開度調整によって供給通路63を流通する空気の量が調整されることで空気ブレーキ装置50が駆動する。したがって、本実施形態では、制御装置80は、車両10Aにおける1つの制御弁62を通じて8つの空気ブレーキ装置50の全てを一括して制御する。また、制御装置80は、指令値A及びブレーキシリンダ圧力値Bの比を示すブレーキ効率Cを記憶する記憶部85を備えている。記憶部85は、予め定められた一定期間分の指令値A及びブレーキシリンダ圧力値Bの比を示すブレーキ効率Cを記憶する。上記一定期間としては、例えば、数ヶ月である。
制御装置80は、空気圧の指令値Aを取得する指令値取得部86を備えている。また、制御装置80は、ブレーキシリンダ圧力値Bを取得するシリンダ圧力値取得部87を備えている。なお、ここでの指令値取得部86による取得が指令値取得工程及び指令値取得処理に相当する。また、ここでのシリンダ圧力値取得部87による取得がシリンダ圧力取得工程及びシリンダ圧力取得処理に相当する。
なお、制御装置80は、1)コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサ、2)各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、又は3)それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサは、CPU及び、RAM並びにROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。また、図1に示すように、制御装置80は、他の3つの車両10における制御装置80と互いに通信可能になっている。なお、制御装置80がブレーキ異常判定装置としても機能する。
次に、制御装置80が行う異常判定制御について説明する。制御装置80は、当該制御装置80が動作を開始したときから、動作を終了するときまで、所定周期毎に異常判定制御を実行する。なお、車両10Aにおける制御装置80が、車両10A~10Dにおける4つの制御装置80を代表して、各車両10A~10Dについて異常判定制御を行う。具体的には、車両10Aにおける制御装置80が各車両10A~10Dについての異常判定制御を行い、車両10B~10Dにおける制御装置80は異常判定制御を行わない。
図3に示すように、制御装置80は、異常判定制御を開始すると、ステップS11の処理を行う。ステップS11において、制御装置80における指令値取得部86は、指令値算出部81が算出した指令値Aを取得する。先ず、制御装置80における指令値算出部81は、ブレーキ制御器76のレバーの操作位置にしたがって出力されるブレーキ指令X6に基づいて、指令値Aを算出する。指令値Aは、車両10Aにおける8つの空気ブレーキ装置50についての共通の値として算出される。また、4つの車両10は、同一のブレーキ制御器76で制御されるので、車両10Aにおける制御装置80は、4つの車両10における指令値Aを同一の値として算出する。そして、制御装置80における指令値取得部86は、指令値算出部81が算出した指令値Aを取得する。その後、制御装置80は、処理をステップS12に進める。
ステップS12において、制御装置80は、空気圧の指令値Aが予め定められた規定圧よりも大きいか否かを判定する。ここで、規定圧は、空気ブレーキ装置50における制輪子と車輪43の外周面である踏面とが、最も離れるときに設定される指令値Aの値と同じ値が設定されている。すなわち、このステップS12では、車輪43を制動させるためにブレーキ制御器76のレバーが操作されているか否かを判定する。ステップS12において、制御装置80は、空気圧の指令値Aが予め定められた規定圧以下であると判定した場合(S12:NO)、今回の異常判定制御を終了する。なお、このように後述するステップS31及びステップS32の処理のいずれかを行わずに異常判定制御を終了した場合には、最後に異常の有無の判定がされたときの判定結果を踏襲する。また、制御装置80が製造された段階において、当該制御装置80には、空気ブレーキ装置50が正常であると記憶されている。一方、ステップS12において、制御装置80は、空気圧の指令値Aが予め定められた規定圧よりも大きいと判定した場合(S12:YES)、処理をステップS13に進める。
ステップS13において、制御装置80におけるシリンダ圧力値算出部82は、ブレーキ指令X6及び軸回転速度X2に基づいて、指令値Aを補正して仮ブレーキシリンダ圧力値を算出する。具体的には、シリンダ圧力値算出部82は、ブレーキ指令X6に基づいて、車両10Aの目標減速度を算出する。ここで、目標減速度とは、車両10Aが速度を落としていくときの負の加速度の目標値である。シリンダ圧力値算出部82は、ブレーキ指令X6が大きいほど、絶対値が大きい目標減速度を算出する。また、シリンダ圧力値算出部82は、軸回転速度X2に基づいて、車両10Aの実減速度を算出する。ここで、実減速度とは、車両10Aが速度を落としていくときの実際の負の加速度である。シリンダ圧力値算出部82は、軸回転速度X2の単位時間当たりの減少量が大きいほど、絶対値が大きい実減速度を算出する。そして、シリンダ圧力値算出部82は、目標減速度に実減速度が近づくように制御、いわゆる減速度フィードバック制御をするために、指令値Aから仮ブレーキシリンダ圧力値を算出する。例えば、シリンダ圧力値算出部82は、目標減速度よりも実減速度が小さい場合、指令値Aよりも仮ブレーキシリンダ圧力値が大きくなるように補正する。一方、例えば、シリンダ圧力値算出部82は、目標減速度よりも実減速度が大きい場合、指令値Aよりも仮ブレーキシリンダ圧力値が小さくなるように補正する。なお、シリンダ圧力値算出部82は、車両10A~10Dのそれぞれについて減速度フィードバック制御、いわゆる各車分散方式の減速度フィードバック制御をするために、車両10A~10Dのそれぞれについて仮ブレーキシリンダ圧力値を算出する。その後、制御装置80は、処理をステップS14に進める。
ステップS14において、制御装置80におけるシリンダ圧力値算出部82は、仮ブレーキシリンダ圧力値に基づいてブレーキシリンダ圧力値Bを算出する。シリンダ圧力値算出部82は、以下の2つの条件を満たすように仮ブレーキシリンダ圧力値を補正してブレーキシリンダ圧力値Bを算出する。
条件(1):指令値Aに対するブレーキシリンダ圧力値Bが、予め定められた規定幅の範囲内になるようにする。
条件(2):車両10A~車両10Dにおけるブレーキシリンダ圧力値Bの最大値と、車両10A~車両10Dにおけるブレーキシリンダ圧力値Bの最小値との差が、予め定められた規定値以下になるようにする。
ここで、条件(1)における規定幅は、指令値Aに対するブレーキシリンダ圧力値Bの値を一定範囲内にするために設定されるものであり、例えば指令値Aを中央値として、正負両側に指令値Aの数十%程度の範囲である。
条件(2)を実行するにあたっては、シリンダ圧力値算出部82は、車両10A~車両10Dにおける仮ブレーキシリンダ圧力値の最大値と車両10A~車両10Dにおける仮ブレーキシリンダ圧力値の最小値との差を算出する。そして、シリンダ圧力値算出部82は、上記の差が規定値よりも大きい場合、仮ブレーキシリンダ圧力値の最大値から予め定められた所定値分だけ減算しつつ仮ブレーキシリンダ圧力値の最小値に予め定められた所定値分だけ加算する。シリンダ圧力値算出部82は、条件(2)を満たすまで、上記の差を算出する処理と、加算及び減算の処理とを繰り返し実行する。なお、本実施形態では、規定値は、上記の規定幅における上限値及び下限値の差と同じ値が設定されている。そして、シリンダ圧力値算出部82は、条件(1)及び条件(2)を満たす仮ブレーキシリンダ圧力値を、今回のブレーキシリンダ圧力値Bとする。また、制御装置80におけるシリンダ圧力値取得部87は、シリンダ圧力値算出部82が算出したブレーキシリンダ圧力値Bを取得する。その後、制御装置80は、処理をステップS21に進める。
ステップS21において、制御装置80における判定部83は、実減速度が予め定められた基準範囲内であるか否かを判定する。ここで、基準範囲の設定にあたっては、実験等において、軌条の勾配が予め定められた所定未満の箇所を車両10が走行すると仮定したとき、最大の指令値Aでのブレーキ制御によって生じる車両10の減速度を、上限値として定める。また、上記の上限値に対して数十%程度小さい値を、下限値として定める。そして、基準範囲は、上記の上限値及び下限値の間の範囲として定められている。
ステップS21において、制御装置80は、実減速度が予め定められた基準範囲外であると判定した場合(S21:NO)、今回の異常判定制御を終了する。一方、ステップS21において、制御装置80は、実減速度が予め定められた基準範囲内であると判定した場合(S21:YES)、処理をステップS22に進める。
ステップS22において、制御装置80における判定部83は、指令値A及びブレーキシリンダ圧力値Bの比を示す値としてブレーキ効率Cを算出する。ブレーキ効率Cは、「ブレーキシリンダ圧力値B/指令値A」で算出される。また、制御装置80における記憶部85は、今回算出したブレーキ効率Cを記憶する。その後、制御装置80は、処理をステップS24に進める。
ステップS24において、制御装置80における判定部83は、前回の判定から30日経過したか否かを判定する。ここで、前回の判定とは、後述するステップS31及びステップS32のいずれかの判定のことである。ステップS24において、制御装置80は、前回の判定から30日経過していないと判定した場合(S24:NO)、今回の異常判定制御を終了する。一方、ステップS24において、制御装置80は、前回の判定から30日経過したと判定した場合(S24:YES)、処理をステップS25に進める。
ステップS25において、制御装置80における判定部83は、記憶部85に記憶されたブレーキ効率Cについて、予め定められた異常条件を満たすか否かを判定する。具体的には、以下の2つの条件が異常条件として定められている。
条件(3):ブレーキ効率Cの変化量の絶対値が予め定められた閾値以上である。
条件(4):車両10におけるブレーキ効率Cの変化量の正負が、他の3つの車両10におけるブレーキ効率Cの変化量の正負と異なる。
ここで、条件(3)における閾値は、次のようにして定められる。まず、空気ブレーキ装置50等が新品で異常が生じていない状態から、30日間に亘ってブレーキ効率Cを測定する。そして、30日間のブレーキ効率Cの平均値の一定割合、例えば10%を閾値とする。
この条件(3)の判定において、制御装置80における判定部83は、前回のステップS25の処理から今回のステップS25の処理までの期間、すなわち直近の30日間に、ステップS22の処理で記憶されたブレーキ効率Cについての平均値を、ブレーキ効率Cの今回平均値CA(n)として算出する。さらに、前々回のS25の処理から前回のステップS25の処理までの期間、すなわち60日前から30日前までの期間に、ステップS22の処理で記憶されたブレーキ効率Cについての平均値を、ブレーキ効率Cの前回平均値CA(n-1)として算出する。そして、判定部83は、ブレーキ効率Cの前回平均値CA(n-1)から今回平均値CA(n)を減算した値を、ブレーキ効率Cの変化量ΔCAとして算出する。なお、このステップS25の処理は30日経過毎に実行されるため、30日当たりのブレーキ効率Cの変化量ΔCAが、ブレーキ効率Cの変化速度である。
ステップS25において、制御装置80は、異常条件としての条件(3)及び条件(4)を共に満たすと判定した場合(S25:YES)、処理をステップS31に進める。ステップS31において、制御装置80における判定部83は、車両10における空気ブレーキ装置50が異常であると判定する。その後、制御装置80は、今回の異常判定制御を終了する。
一方、ステップS25において、制御装置80は、異常条件としての条件(3)及び条件(4)を共に満たすと判定しなかった場合(S25:NO)、処理をステップS32に進める。ステップS32において、制御装置80における判定部83は、車両10における空気ブレーキ装置50が正常であると判定する。その後、制御装置80は、今回の異常判定制御を終了する。
なお、車両10Aの制御装置80は、車両10Aの空気ブレーキ装置50の異常判定についてだけでなく、他の車両10B~10Dの空気ブレーキ装置50の異常判定についても、上述したステップS11~S32の処理を並行して実行する。
次に、制御装置80が行うブレーキ制御について説明する。制御装置80は、空気圧の指令値Aが規定圧よりも大きくなったと判定したときに、ブレーキ制御を実行する。なお、車両10Aにおける制御装置80が、車両10A~10Dにおける4つの制御装置80を代表してブレーキ制御を行う。具体的には、車両10Aにおける制御装置80は、車両10Aにおける制御弁62に制御信号を出力するだけでなく、車両10B~10Dにおける制御装置80に制御信号を出力する。そして、車両10B~10Dにおける制御装置80は、車両10Aにおける制御装置80からの制御信号に基づいて、車両10B~10Dにおける制御弁62に制御信号を出力する。
図4に示すように、制御装置80は、ブレーキ制御を開始すると、ステップS61の処理を行う。ステップS61において、制御装置80は、車両10A~10Dにおける空気ブレーキ装置50について異常が判定されているか否かを判定する。ステップS61において、車両10A~10Dのすべてについて空気ブレーキ装置50が正常であると判定した場合(S61:NO)、制御装置80は、処理をステップS66に進める。
ステップS66において、制御装置80は、4つの車両10の空気ブレーキ装置50を同一タイミングで制御する。具体的には、車両10Aにおける制御装置80の制御部84は、車両10Aにおける制御弁62に車両10Aのブレーキシリンダ圧力値Bに応じた制御信号を出力する。また、車両10Aにおける制御装置80は、車両10B~10Dの各制御装置80に各車両10のブレーキシリンダ圧力値Bに応じた制御信号を遅延させることなく出力する。そして、車両10B~10Dの各制御装置80の制御部84は、車両10B~10Dの各制御弁62に制御信号を出力する。したがって、各車両10A~10Dにおいて、制御弁62は、略同一のタイミングで制御される。
一方、ステップS61において、車両10A~10Dにおける空気ブレーキ装置50のいずれかに異常があると判定した場合(S61:YES)、制御装置80は、処理をステップS62に進める。
ステップS62において、制御装置80は、異常があると判定された車両10の空気ブレーキ装置50を制御する。具体例としては、異常があると判定された車両10が4つの制御装置80を代表する制御装置80が搭載された車両10Aである場合、車両10Aにおける制御装置80の制御部84は、車両10Aにおける制御弁62に車両10Aのブレーキシリンダ圧力値Bに応じた制御信号を出力する。また、異常があると判定された車両10が4つの制御装置80を代表する制御装置80が搭載されていない車両10B~10Dである場合、車両10Aにおける制御装置80は、車両10B~10Dのうちの異常があると判定された車両10の制御装置80にその車両10のブレーキシリンダ圧力値Bに応じた制御信号を出力する。そして、異常があると判定された車両10における制御装置80の制御部84は、異常があると判定された車両10における制御弁62に制御信号を出力する。このように、ステップS62の処理では、4つの車両10のうちの異常があると判定された車両10の空気ブレーキ装置50のみが制御される。その後、制御装置80は、処理をステップS63に進める。ステップS63において、制御装置80は、計時時間Tの計時を開始する。その後、制御装置80は、処理をステップS64に進める。
ステップS64において、制御装置80は、計時時間Tが予め定められた基準時間Z以上であるか否かを判定する。ここで、基準時間Zにあたっては、実験等において、製造された直後の新品の制御弁62について、当該制御弁62の開度調整がなされてから実際に空気ブレーキ装置50に供給される空気圧が調整されるまでの所要時間を求める。また、実験等において、経年劣化した制御弁62について、当該制御弁62の開度調整がなされてから実際に空気ブレーキ装置50に供給される空気圧が調整されるまでの所要時間を求める。そして、基準時間Zは、製造された直後の新品の制御弁62についての所要時間と、経年劣化した制御弁62についての所要時間との差と同じ値が設定されている。この基準時間Zとしては、例えば数十~数百ミリ秒程度である。
ステップS64において、制御装置80は、計時時間Tが予め定められた基準時間Z未満であると判定した場合(S64:NO)、ステップS64の処理を繰り返し実行する。すなわち、計時時間Tが基準時間Zに達するのを待つ。一方、ステップS64において、制御装置80は、計時時間Tが予め定められた基準時間Z以上であると判定した場合(S64:YES)、処理をステップS65に進める。
ステップS65において、制御装置80は、正常であると判定された車両10の空気ブレーキ装置50を制御する。具体例としては、上述の例のように正常であると判定された車両10が4つの制御装置80を代表する制御装置80が搭載された車両10Aである場合、車両10Aにおける制御装置80の制御部84は、車両10Aにおける制御弁62に車両10Aのブレーキシリンダ圧力値Bに応じた制御信号を出力する。また、上述した例のように正常であると判定された車両10が4つの制御装置80を代表する制御装置80が搭載された車両10Aでない場合、車両10Aにおける制御装置80の制御部84は、車両10B~10Dのうちの正常であると判定された車両10の制御装置80にその車両10のブレーキシリンダ圧力値Bに応じた制御信号を出力する。そして、正常であると判定された車両10における制御装置80の制御部84は、異常があると判定された車両10における制御弁62に制御信号を出力する。このように、ステップS65の処理では、4つの車両10のうちの正常であると判定された3つの車両10の空気ブレーキ装置50が制御される。また、上述したステップS62からステップS65までには、少なくとも基準時間Zが経過している。したがって、異常があると判定された車両10の空気ブレーキ装置50が制御されてから、基準時間Z遅延して、正常であると判定された車両10の空気ブレーキ装置50が制御される。その後、制御装置80は、今回のブレーキ制御を終了する。
本実施形態の作用について説明する。
先ず、図5及び図6を参照して、異常判定制御についての作用を説明する。図5に示す例では、今回の異常判定制御の直前に、車両10Cにおいて空気ブレーキ装置50の異常が発生しているものとする。そして、今回の異常判定制御において、車両10Aの制御装置80は、車両10A~10Dについて、ブレーキ効率Cの前回平均値CA(n-1)から今回平均値CA(n)を減算した値を、ブレーキ効率Cの変化量ΔCAとして算出する。
図5に示す例では、車両10Cのブレーキ効率Cの変化量ΔCAが「0.3」であり、車両10Cのブレーキ効率Cの変化量ΔCAの絶対値が予め定められた閾値以上になって、異常条件の条件(3)を満たしたとする。また、図5に示す例では、車両10A、車両10B、及び車両10Dのブレーキ効率Cの変化量ΔCAが「-0.1」である。この場合、車両10A、車両10B、及び車両10Dのブレーキ効率Cの変化量ΔCAが負の値であり、且つ、車両10Cのブレーキ効率Cの変化量ΔCAが正の値であるため、条件(4)を満たす。したがって、図5に示す例では、車両10Cの空気ブレーキ装置50が異常であると判定される。
一方、図6に示す例では、車両10A、車両10B、及び車両10Dのブレーキ効率Cの変化量ΔCAが「0.3」である。この場合、車両10A、車両10B、及び車両10Dのブレーキ効率Cの変化量ΔCAが正の値であり、且つ、車両10Cのブレーキ効率Cの変化量ΔCAが正の値であるため、条件(4)を満たさない。したがって、図6に示す例では、図5に示す例と同様に、車両10Cのブレーキ効率Cの変化量ΔCAの絶対値が予め定められた閾値以上になって、異常条件の条件(3)を満たしたとしても、車両10Cの空気ブレーキ装置50が正常であると判定される。
なお、上記の車両10Cの異常の判定に着目したとき、車両10Cにおける空気ブレーキ装置50が第1空気ブレーキ装置であり、他の3つの車両10における空気ブレーキ装置50が第2空気ブレーキ装置である。そして、車両10Cにおける空気ブレーキ装置50の指令値A及びブレーキシリンダ圧力値Bが第1指令値及び第1ブレーキシリンダ圧力値であり、他の3つの車両10における空気ブレーキ装置50の指令値A及びブレーキシリンダ圧力値Bが第2指令値及び第2ブレーキシリンダ圧力値である。
次に、ブレーキ制御についての作用を説明する。上述した異常判定制御において空気ブレーキ装置50に異常があると判定される場合の原因としては、異常があると判定された車両10の制御弁62の応答性が低下していたり、異常があると判定された車両10の供給通路63が詰まったりしていたりする可能性が高い。このように、制御弁62の応答性が低下していたり、供給通路63が詰まっていたりすると、制御弁62の開度調整がなされてから実際に空気ブレーキ装置50に供給される空気圧が調整されるまでの所要時間が長くなりやすい。そのため、仮に、4つの車両10の制御弁62が、同一のタイミングで制御されたとしても、異常があると判定された車両10では、正常であると判定された車両10に比べて、空気ブレーキ装置50が実際に駆動し始めるタイミングが遅くなる。このように車両10毎に空気ブレーキ装置50が実際に駆動し始めるタイミングに差があると、早く駆動する車両10の空気ブレーキ装置50の負荷が過度に大きくなることもある。
そこで、上記の図5に示す例のように、車両10Cの空気ブレーキ装置50が異常であると判定されると、ブレーキ制御においては、4つの車両10A~10Dのブレーキタイミングを制御する。具体的には、ブレーキ制御において、車両10Aの制御装置80は、先ず、異常があると判定された車両10Cのみの制御弁62に制御信号を出力する。そして、基準時間Zが経過した後、車両10Aの制御装置80は、正常があると判定された3つ車両10の制御弁62に制御信号を出力する。そのため、同一のタイミングで4つの車両10の制御弁62が制御される場合に比べて、正常であると判定された3つの車両10では、空気ブレーキ装置50に供給される空気圧が調整されるタイミングが遅くなる。これにより、異常があると判定された車両10Cにおける空気ブレーキ装置50に供給される空気圧が調整されるタイミングと、正常であると判定された3つの車両10における空気ブレーキ装置50に供給される空気圧が調整されるタイミングとの差が小さくなる。その結果、異常があると判定された車両10の制御弁62の応答性が低下していたり、異常があると判定された車両10の供給通路63が詰まったりしていたりしても、4つの車両10のうちの一部の空気ブレーキ装置50の負荷が過度に大きくならない。
本実施形態の効果について説明する。
(1)車両10では、制御弁62の応答性が低下していたり、供給通路63が詰まったりしていたりすると、運転者が操作するブレーキ制御器76のレバーの操作位置に応じて、空気ブレーキ装置50に空気が供給されにくくなる。ここで、上記のような空気ブレーキ装置の異常が生じると、当該空気ブレーキ装置50の駆動の変化によって車両10の実減速度が変化する。そのため、空気ブレーキ装置50の異常を判定する構成としては、車両10の実減速度によって変化するブレーキシリンダ圧力値Bに基づいて、空気ブレーキ装置50の異常を判定することも考えられる。しかし、ブレーキシリンダ圧力値Bは、車両10の実減速度によって変化するだけでなく、運転者が操作するブレーキ制御器76のレバーの操作位置に応じて変化する指令値Aによっても変化することもあるため、ブレーキシリンダ圧力値Bのみに着目しても、空気ブレーキ装置50の異常を必ずしも正確に判定できない。この点、車両10Aにおける制御装置80は、指令値A及びブレーキシリンダ圧力値Bの比を示す値としてブレーキ効率Cを算出する。ここで、ブレーキ効率Cは、指令値A及びブレーキシリンダ圧力値Bの比を示す値であるため、指令値Aの変化による影響が小さい。そのため、ブレーキ効率Cは、空気ブレーキ装置50の駆動によって変化する車両10の実減速度に着目した値といえる。これにより、制御装置80は、ブレーキ効率Cの変化量ΔCAに基づいて、空気ブレーキ装置50の異常を判定できる。
(2)図5に示す例のように、車両10Cにおける空気ブレーキ装置50の異常が発生したときには、車両10Cにおけるブレーキシリンダ圧力値Bが急変することに伴って、車両10Cにおけるブレーキ効率Cが急変する。そこで、車両10Aにおける制御装置80は、ブレーキ効率Cの変化量ΔCAの絶対値が予め定められた閾値以上であることを条件に、空気ブレーキ装置50が異常であると判定する。これにより、車両10Cにおけるブレーキ効率Cの急激な変化に基づいて、車両10Cにおける空気ブレーキ装置50が異常であると判定できる。
(3)車両10Aにおける制御装置80は、複数回算出されたブレーキ効率Cについての平均値を算出する。そして、制御装置80は、ブレーキ効率Cの前回平均値CA(n-1)から今回平均値CA(n)を減算した値を、ブレーキ効率Cの変化量ΔCAとして算出する。これにより、例えば、1回算出された前回のブレーキ効率C及び1回算出された今回のブレーキ効率Cに基づいてブレーキ効率Cの変化量を求める構成に比べて、算出されるブレーキ効率Cの変化量ΔCAのばらつきを小さくできる。
(4)図5に示す例のように、車両10Cにおける空気ブレーキ装置50に異常が発生したときには、例えば車両10Cの空気ブレーキ装置50に供給される空気量が小さくなって、車両10Cの空気ブレーキ装置50によるブレーキ力が小さくなる。すると、4つの車両10が連結された編成車両100では、編成車両100全体のブレーキ力を確保するため、車両10A、車両10B、及び車両10Dのブレーキシリンダ圧力値Bが大きく算出されて、ブレーキ効率Cの変化量ΔCAが大きくなる。そして、車両10A、車両10B、及び車両10Dのブレーキシリンダ圧力値Bが大きく算出されることに伴って、車両10Cのブレーキシリンダ圧力値Bが小さく算出されて、ブレーキ効率Cの変化量ΔCAが小さくなる。すると、図5に示す例のように、車両10におけるブレーキ効率Cの変化量ΔCAが正の値になり、他の3つの車両10におけるブレーキ効率Cの変化量ΔCAが負の値になる。一方、図6に示す例のように、4つの車両10における空気ブレーキ装置50に異常が発生していないときには、4つの車両10においてブレーキ効率Cの変化量ΔCAの正負が全て同じになる可能性が高い。そこで、車両10Aにおける制御装置80は、車両10におけるブレーキ効率Cの変化量の正負が、他の3つの車両10におけるブレーキ効率Cの変化量の正負と異なることを条件に、空気ブレーキ装置50が異常であると判定する。これにより、図6に示す例のように、4つの車両10においてブレーキ効率Cの変化量ΔCAの正負が全て同じである場合には、図5に示す例のように、車両10Cにおけるブレーキ効率Cの変化量ΔCAが閾値以上であったとしても、車両10Cにおける空気ブレーキ装置50が正常であると判定される。その結果、車両10Cにおける空気ブレーキ装置50が正常であるにも拘わらず、車両10Cにおける空気ブレーキ装置50が異常であると誤って判定されることを抑制できる。
(5)軌条の勾配が大きい、例えば急な下り坂を車両10が走行しているときには、軌条の勾配が所定未満の箇所を車両10が走行しているときと同じように空気ブレーキ装置50が駆動したとしても、重力によって車両10が加速しようとするため、車両10の実減速度が小さくなりやすい。そして、このように車両10の実減速度が小さくなるときには、ブレーキシリンダ圧力値Bが大きく算出される。すると、ブレーキシリンダ圧力値Bが大きく算出されることに伴って、ブレーキ効率Cが過度に大きくなることがある。また、軌条の勾配が大きい、例えば急な登り坂を車両10が走行しているときには、軌条の勾配が所定未満の箇所を車両10が走行しているときと同じように空気ブレーキ装置50が駆動したとしても、重力によって車両10が減速しようとするため、車両10の実減速度が大きくなりやすい。そして、このように車両10の実減速度が大きくなるときには、ブレーキシリンダ圧力値Bが小さく算出される。すると、ブレーキシリンダ圧力値Bが小さく算出されることに伴って、ブレーキ効率Cが過度に小さくなることがある。
したがって、軌条の勾配が大きい箇所を車両10が走行しているときには、ブレーキ効率Cが過度に大きくなったり、ブレーキ効率Cが過度に小さくなったりする。そのため、このようなブレーキ効率Cに基づいて、空気ブレーキ装置50の異常の有無を判定すると、空気ブレーキ装置50が正常であるのに異常であると判定されてしまったり、空気ブレーキ装置50が異常であるのに正常であると判定されてしまったりすることがある。
そこで、車両10Aにおける制御装置80は、実減速度が予め定められた基準範囲内であることを条件に、ブレーキ効率Cを算出する。上述したように、基準範囲の設定にあたっては、実験等において、軌条の勾配が予め定められた所定未満の箇所を車両10が走行するとき、最大の指令値Aでのブレーキ制御によって生じる車両10の減速度を、上限値として定める。また、上記の上限値に対して数十%程度小さい値を、下限値として定める。そして、基準範囲は、上記の上限値及び下限値の間の範囲として定められている。そのため、制御装置80は、実減速度が予め定められた基準範囲内であることに基づいて、軌条の勾配が予め定められた所定未満の箇所を車両10が走行していることを判定できる。そして、制御装置80は、軌条の勾配が予め定められた所定未満の箇所を車両10が走行していること条件に、ブレーキ効率Cを算出する。これにより、制御装置80は、軌条の勾配が大きい箇所を車両10が走行していることに起因して、過度に大きいブレーキ効率Cを算出したり、過度に小さいブレーキ効率Cを算出したりすることがない。その結果、ブレーキ効率Cの変化に基づいて判定する空気ブレーキ装置50の判定精度を向上できる。
(6)車両10Aにおける制御装置80は、指令値Aに対するブレーキシリンダ圧力値Bが、予め定められた規定幅の範囲内になるように、指令値Aを補正してブレーキシリンダ圧力値Bを算出する。そのため、指令値Aに対するブレーキシリンダ圧力値Bの補正量が、規定幅の範囲を越えて過度に大きくなったり、過度に小さくなったりしない。そのため、指令値A及びブレーキシリンダ圧力値Bに基づいて算出されるブレーキ効率Cが過度に大きくなったり、過度に小さくなったりすることもない。これにより、そのブレーキ効率Cに基づいて判定する空気ブレーキ装置50の異常の有無の判定について、悪影響が及ぶことを防げる。
(7)車両10Aにおける制御装置80は、車両10A~車両10Dにおけるブレーキシリンダ圧力値Bの最大値と、車両10A~車両10Dにおけるブレーキシリンダ圧力値Bの最小値との差が、予め定められた規定値以下になるように、ブレーキシリンダ圧力値Bを算出する。そのため、車両10A~車両10Dにおけるブレーキシリンダ圧力値Bの最大値と、車両10A~車両10Dにおけるブレーキシリンダ圧力値Bの最小値との差が、規定値を越えて過度に大きくなることがない。そのため、車両10A~車両10Dにおける一部の車両10のブレーキシリンダ圧力値Bが過度に大きくなったり、過度に小さくなったりすることによって、その車両10の空気ブレーキ装置50が正常であるにも拘わらず、異常であると判定されることを抑制できる。また、車両10A~車両10Dにおける一部の車両10のブレーキシリンダ圧力値Bが大きくなることに伴って、その車両10の空気ブレーキ装置50の負荷が過度に大きくならない。さらに、車両10A~車両10Dにおける一部の車両10のブレーキシリンダ圧力値Bが大きくなることに伴って、その車両10の空気ブレーキ装置50の制輪子が車輪43の踏面に対して過度に強く押さえつけられることがなく、その制輪子が過度に摩耗することもない。
(8)4つの車両10の制御弁62が、同一のタイミングで制御されたとしても、異常があると判定された車両10では、正常であると判定された車両10に比べて、空気ブレーキ装置50が実際に駆動し始めるタイミングが遅くなる。そして、このように車両10毎に空気ブレーキ装置50が実際に駆動し始めるタイミングに差があると、それを補おうと早く駆動する車両10の空気ブレーキ装置50の負荷が過度に大きくなることもある。この点、車両10Aにおける制御装置80は、先ず、異常があると判定された車両10Cのみの制御弁62に制御信号を出力する。そして、基準時間Zが経過した後、車両10Aの制御装置80は、正常があると判定された3つ車両10の制御弁62に制御信号を出力する。そのため、同一のタイミングで4つの車両10の制御弁62が制御される場合に比べて、正常であると判定された3つの車両10では、空気ブレーキ装置50に供給される空気圧が調整されるタイミングが遅くなる。これにより、異常があると判定された車両10Cにおける空気ブレーキ装置50に供給される空気圧が調整されるタイミングと、正常であると判定された3つの車両10における空気ブレーキ装置50に供給される空気圧が調整されるタイミングとの差が小さくなる。その結果、異常があると判定された車両10の制御弁62の応答性が低下していたり、異常があると判定された車両10の供給通路63が詰まったりしていたりしても、4つの車両10のうちの一部の空気ブレーキ装置50の負荷が過度に大きくならない。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態において、異常判定制御は変更できる。例えば、制御装置80は、実減速度が予め定められた基準範囲内であるか否かに拘わらず、ブレーキ効率Cの算出及びその後の処理を実行してもよい。
・また、例えば、制御装置80は、空気ブレーキ装置50の異常の有無を判定する周期は変更できる。具体例としては、ステップS24において、制御装置80は、前回の判定から1日経過したか否かを判定したり、前回の判定から100日経過したか否かを判定したりしてもよい。なお、この構成においては、ブレーキ効率Cの平均値を算出する期間を、ステップS24の期間に合わせて変更すればよい。
・さらに、例えば、制御装置80は、ブレーキ効率Cについての平均値を算出しなくてもよい。この構成においては、ブレーキ効率Cを算出する毎に、前回算出したブレーキ効率Cから今回算出したブレーキ効率Cを減算した値を、ブレーキ効率Cの変化量ΔCAとして算出すればよい。なお、この構成においては、同様の条件下、例えば特定の駅に停車するときのみのブレーキ効率Cを算出することで、空気ブレーキ装置50の異常に起因しないブレーキ効率Cのばらつきを抑制できる。
・また、例えば、制御装置80は、車両10におけるブレーキ効率Cの変化量の正負が、他の3つの車両10におけるブレーキ効率Cの変化量の正負と異なるか否かに拘わらず、空気ブレーキ装置50の異常の有無を判定してもよい。
・さらに、例えば、制御装置80は、指令値A及びブレーキシリンダ圧力値Bの大小関係を示す値として、指令値Aからブレーキシリンダ圧力値Bを減算した差を用いてもよい。
・また、例えば、制御装置80は、指令値A及びブレーキシリンダ圧力値Bの大小関係が逆転したことを条件に空気ブレーキ装置50の異常の有無を判定してもよい。具体例としては、制御装置80は、指令値Aがブレーキシリンダ圧力値Bよりも大きい状態から指令値Aがブレーキシリンダ圧力値B以下になったり、指令値Aがブレーキシリンダ圧力値Bよりも小さい状態から指令値Aがブレーキシリンダ圧力値B以上になったりしたことを条件に、空気ブレーキ装置50が異常であると判定してもよい。
・上記実施形態において、ブレーキシリンダ圧力値Bを算出する構成は変更できる。例えば、指令値Aに対するブレーキシリンダ圧力値Bが、予め定められた規定幅の範囲内になる必要はない。つまり、制御装置80は、指令値Aに対するブレーキシリンダ圧力値Bが、予め定められた規定幅の範囲内になるか否かに拘わらず、指令値Aを補正してブレーキシリンダ圧力値Bを算出してもよい。
・また、例えば、車両10A~車両10Dにおけるブレーキシリンダ圧力値Bの最大値と、車両10A~車両10Dにおけるブレーキシリンダ圧力値Bの最小値との差が、予め定められた規定値を超えてもよい。例えば車両10毎に空気ブレーキ装置50の性能が違う場合には、車両10A~車両10Dにおけるブレーキシリンダ圧力値Bの最大値と、車両10A~車両10Dにおけるブレーキシリンダ圧力値Bの最小値との差が規定値以下になる必要性は小さい。
・上記実施形態において、制御装置80におけるシリンダ圧力値取得部87は、シリンダ圧力値算出部82が算出したブレーキシリンダ圧力値Bを取得する必要はない。例えば、空気ブレーキ装置50に対して実際に供給される空気圧を検出する圧力センサを供給通路63に取り付け、シリンダ圧力値取得部87は、上記の圧力センサが検出する圧力値を、ブレーキシリンダ圧力値Bとして取得してもよい。
・上記実施形態において、車両10Aの制御装置80は、各車分散方式の減速度フィードバック制御を行っていたが、減速度フィードバック制御を車両10毎に行う必要はない。例えば、車両10Aの制御装置80は、編成車両100全体の実減速度の平均値を算出する。そして、制御装置80は、編成車両100全体の目標減速度に、編成車両100全体の実減速度の平均値が近づくように減速度フィードバック制御を行ってもよい。なお、この構成では、編成車両100全体で1つのブレーキシリンダ圧力値Bを算出でき、編成車両100全体で1つのブレーキ効率Cを算出できる。そして、制御装置80における判定部83は、そのブレーキ効率Cに基づいて、編成車両100全体の空気ブレーキ装置50の異常を判定できる。
・上記実施形態において、異常判定に伴うブレーキ制御は変更できる。例えば、基準時間Zは、適宜変更すればよい。
・また、例えば、異常判定に伴うブレーキ制御を省略してもよい。この構成においても、異常判定制御によって空気ブレーキ装置50の異常を判定できれば、その判定結果を空気ブレーキ装置50のメンテナンス等に利用できる。
・上記実施形態において、制御装置80の構成は変更できる。例えば、制御装置80は、2つ以上の車両10を統括して制御する制御装置として構成されたり、編成車両100全体を統括して制御する制御装置として構成されたりしてもよい。
・また、例えば、制御装置80における判定部83は、空気ブレーキ装置50の異常の有無の判定を行わなくてもよい。具体例として、制御装置80における記憶部85は、ブレーキ効率Cの変化を記憶すればよい。この構成においては、空気ブレーキ装置50のメンテナンス作業において、記憶部85に記憶されたブレーキ効率Cの変化に基づいて、メンテナンス作業の作業者や、制御装置80とは別の判定装置が、空気ブレーキ装置50の異常の有無を判定してもよい。これにより、空気ブレーキ装置50の異常の有無の判定結果を、空気ブレーキ装置50の交換や、制御弁62の交換といったメンテナンス作業に活かせる。また、具体例として、制御装置80における記憶部85は、指令値A及びブレーキシリンダ圧力値Bを記憶してもよい。この構成においては、記憶部85に記憶された指令値A及びブレーキシリンダ圧力値Bからブレーキ効率Cを算出し、そのブレーキ効率Cに基づけば、空気ブレーキ装置50の異常の有無を判定できる。
・上記実施形態において、空気ブレーキ装置の構成は変更できる。例えば、空気ブレーキ装置としては、車軸42と一体的に回転するディスクを一対のブレーキパッドで挟み込むことでディスクを制動する、いわゆるディスクブレーキ式の空気ブレーキ装置を採用してもよい。
A…指令値、B…ブレーキシリンダ圧力値、C…ブレーキ効率、CA…平均値、T…計時時間、Z…基準時間、ΔCA…変化量、X2…軸回転速度、X6…ブレーキ指令、10…車両、10A…車両、10B…車両、10C…車両、10D…車両、20…車体、30…空気ばね、41…台車、42…車軸、43…車輪、50…空気ブレーキ装置、61…空気供給源、62…制御弁、63…供給通路、72…回転センサ、76…ブレーキ制御器、80…制御装置、81…指令値算出部、82…シリンダ圧力値算出部、83…判定部、84…制御部、85…記憶部、86…指令値取得部、87…シリンダ圧力値取得部、100…編成車両。

Claims (11)

  1. 鉄道車両を制動するときに空気ブレーキ装置に供給する空気圧の指令値を取得する指令値取得部と、
    前記指令値から減速度フィードバック制御によって算出されたブレーキシリンダ圧力値を取得するシリンダ圧力値取得部と、
    前記指令値及び前記ブレーキシリンダ圧力値に基づいて前記空気ブレーキ装置の異常を判定する判定部とを備える
    ブレーキ異常判定装置。
  2. 前記判定部は、前記指令値及び前記ブレーキシリンダ圧力値の差又は比を算出し、前記差又は比の変化速度が予め定められた閾値以上であるときに前記空気ブレーキ装置に異常があると判定する
    請求項1に記載のブレーキ異常判定装置。
  3. 前記判定部は、前記鉄道車両の減速度が予め定められた基準範囲内であるときの前記指令値及び前記ブレーキシリンダ圧力値に基づいて前記空気ブレーキ装置の異常を判定する
    請求項1又は請求項2に記載のブレーキ異常判定装置。
  4. 前記指令値から減速度フィードバック制御によって前記ブレーキシリンダ圧力値を算出するシリンダ圧力値算出部を備え、
    前記シリンダ圧力値算出部は、予め定められた規定幅の範囲内で前記指令値を補正して前記ブレーキシリンダ圧力値を算出する
    請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のブレーキ異常判定装置。
  5. 前記指令値取得部は、複数の前記空気ブレーキ装置のうちの1つである第1空気ブレーキ装置についての前記指令値を第1指令値として取得するとともに複数の前記空気ブレーキ装置のうちの前記第1空気ブレーキ装置とは別の第2空気ブレーキ装置についての前記指令値を第2指令値として取得し、
    前記シリンダ圧力値取得部は、前記第1空気ブレーキ装置についての前記ブレーキシリンダ圧力値を第1ブレーキシリンダ圧力値として取得するとともに前記第2空気ブレーキ装置についての前記ブレーキシリンダ圧力値を第2ブレーキシリンダ圧力値として取得し、
    前記判定部は、前記第1指令値及び前記第1ブレーキシリンダ圧力値と前記第2指令値及び前記第2ブレーキシリンダ圧力値とに基づいて前記第1空気ブレーキ装置の異常を判定する
    請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のブレーキ異常判定装置。
  6. 前記指令値から減速度フィードバック制御によって前記ブレーキシリンダ圧力値を算出するシリンダ圧力値算出部を備え、
    前記シリンダ圧力値算出部は、前記第1ブレーキシリンダ圧力値及び前記第2ブレーキシリンダ圧力値の差が予め定められた規定値以下になるように前記第1指令値及び前記第2指令値の少なくとも一方を補正する
    請求項5に記載のブレーキ異常判定装置。
  7. 鉄道車両を制動するときに空気ブレーキ装置に供給する空気圧の指令値を取得する指令値取得部と、
    前記指令値から減速度フィードバック制御によって算出されたブレーキシリンダ圧力値を取得するシリンダ圧力値取得部と、
    前記指令値及び前記ブレーキシリンダ圧力値を記憶する記憶部とを備える
    ブレーキ状態記憶装置。
  8. 鉄道車両を制動するときに空気ブレーキ装置に供給する空気圧の指令値を取得する指令値取得工程と、
    前記指令値から減速度フィードバック制御によって算出されたブレーキシリンダ圧力値を取得するシリンダ圧力値取得工程と、
    前記指令値及び前記ブレーキシリンダ圧力値に基づいて前記空気ブレーキ装置の異常を判定する判定工程とを備える
    異常判定方法。
  9. コンピュータに、
    鉄道車両を制動するときに空気ブレーキ装置に供給する空気圧の指令値を取得する指令値取得処理と、
    前記指令値から減速度フィードバック制御によって算出されたブレーキシリンダ圧力値を取得するシリンダ圧力値取得処理と、
    前記指令値及び前記ブレーキシリンダ圧力値に基づいて前記空気ブレーキ装置の異常を判定する判定処理とを実行させる
    異常判定プログラム。
  10. 鉄道車両を制動するときに空気ブレーキ装置に供給する空気圧の指令値を取得する指令値取得部と、
    前記指令値から減速度フィードバック制御によって算出されたブレーキシリンダ圧力値を取得するシリンダ圧力値取得部と、
    前記指令値及び前記ブレーキシリンダ圧力値に基づいて前記空気ブレーキ装置の異常を判定する判定部とを備える
    ブレーキ制御装置。
  11. 前記指令値取得部は、複数の前記空気ブレーキ装置のうちの1つである第1空気ブレーキ装置についての前記指令値を第1指令値として取得するとともに複数の前記空気ブレーキ装置のうちの前記第1空気ブレーキ装置とは別の第2空気ブレーキ装置についての前記指令値を第2指令値として取得し、
    前記シリンダ圧力値取得部は、前記第1空気ブレーキ装置についての前記ブレーキシリンダ圧力値を第1ブレーキシリンダ圧力値として取得するとともに前記第2空気ブレーキ装置についての前記ブレーキシリンダ圧力値を第2ブレーキシリンダ圧力値として取得し、
    前記判定部は、前記第1指令値及び前記第1ブレーキシリンダ圧力値に基づいて前記第1空気ブレーキ装置の異常を判定するとともに前記第2指令値及び前記第2ブレーキシリンダ圧力値に基づいて前記第2空気ブレーキ装置の異常を判定し、
    前記判定部の判定結果に基づいて前記第1空気ブレーキ装置及び前記第2空気ブレーキ装置のブレーキタイミングを制御する制御部とを備える
    請求項10に記載のブレーキ制御装置。
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