JP2015034313A - 分割型複合スパッタリングターゲットおよびスパッタリング成膜方法 - Google Patents

分割型複合スパッタリングターゲットおよびスパッタリング成膜方法 Download PDF

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Abstract

【課題】成膜速度を向上させて金属酸化物薄膜を容易に成膜することができる分割型複合スパッタリングターゲットおよびそれを用いたスパッタリング成膜方法を提供する。
【解決手段】金属13と金属13の金属酸化物14を含有し、金属13からなる部分と金属13の金属酸化物14からなる部分が分割された形態で存在する分割型複合スパッタリングターゲット16を用い、真空室内に不活性ガスと酸素ガスを導入して、成膜中に分割型複合スパッタリングターゲット16の金属13からなる部分と金属酸化物14からなる部分の成膜速度比を段階的または連続的に変化させる。
【選択図】図3

Description

本発明は、分割型複合スパッタリングターゲットおよびスパッタリング成膜方法に関し、特にスパッタリング法を用いた真空成膜室内で行う金属酸化物薄膜の成膜方法およびその成膜方法において使用する分割型複合スパッタリングターゲットに関するものである。
カメラ用レンズやフラットパネルディスプレイなど光学素子、光学材料の表面反射を防ぐため、反射防止膜が広く使用されている。前記反射防止膜として、屈折率の異なる2種類の薄膜(高屈折率薄膜と低屈折率薄膜)が積層された多層型の反射防止膜が知られている。このうち前記高屈折率薄膜の形成材料としては、一般的に、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化チタンなどの金属酸化物の薄膜が使用されている。
前記高屈折率薄膜として使用されている金属酸化物の成膜方法としては、膜厚や屈折率の制御性の高さからスパッタリング法が普及している。金属酸化物薄膜のスパッタリング法は、真空排気された成膜室内に材料源となる金属ターゲットを用いて、スパッタリングのためのAr、Xeなどの不活性ガスと金属ターゲットから飛来する金属粒子と反応する酸素ガスを成膜室内に導入して、被成膜対象となる基板やフィルムなどに金属酸化物薄膜を形成する。
スパッタリングによる金属酸化物薄膜の成膜方法は、成膜室内に導入する酸素量を金属酸化物が形成できる十分な流量で供給さえすれば、安定した光学特性を持った金属酸化物薄膜を形成可能である。金属酸化物薄膜は、スパッタリング法で安定成膜が可能であり、広く普及しているが、コスト、生産性の面でさらなる成膜速度の高速化が求められている。
酸素ガスを導入するスパッタ法においては、ある酸素導入量で急激に成膜速度が変化することが知られている。図1は、金属酸化物の成膜の際に供給する酸素ガス量と成膜速度の関係を示す説明図である。例えば、図1のグラフに示すように、ある範囲の酸素導入量に対して成膜速度が急激に変化する遷移領域(同図においてB領域)、前記範囲を超える酸素導入量に対して成膜速度が、略一定(同図においてA領域)となる酸化物領域が存在する。このため、B領域の条件下で形成された薄膜は、例えば、膜厚や光学特性(可視光領域での吸収の有無など)にバラツキが生じるという問題がある。したがって、単に酸素導入量を調整するのみである従来法では、成膜速度は遅いが、酸素導入量の変動によって成膜速度や光学特性があまり変化しない酸化物領域であるA領域の条件下で、金属酸化物薄膜を形成する必要があった。
そこで金属酸化物薄膜の成膜高速化の方法として、プラズマエミッションモニタリング(PEM)法により酸素や窒素などの反応性ガスの導入量を調整し、前記ニオブ金属のプラズマ発光強度を制御する(例えば特許文献1)方法が開示されている。
特許第4488504号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているPEM法により、遷移領域を利用することができるため成膜速度を高速化できる。しかし、PEM法では成膜中のプラズマ発光をモニターするセンサーと分光器が必要であるため、成膜装置が複雑化、高価になってしまう点が課題である。
さらにPEM法はプラズマ発光の強度から酸素流量を調整するが、実際に成膜室でそのガス流量の調整時に必ず遅延があるため、成膜の開始時や短時間成膜の場合に成膜の安定性が確保できない点に課題がある。
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、成膜速度を向上させて金属酸化物薄膜を容易に成膜することができる分割型複合スパッタリングターゲットおよびそれを用いたスパッタリング成膜方法を提供するものである。
上記の課題を解決する分割型複合スパッタリングターゲットは、金属と前記金属の金属酸化物を含有し、前記金属からなる部分と前記金属の金属酸化物からなる部分が分割された形態で存在することを特徴とする。
上記の課題を解決するスパッタリング成膜方法は、上記の分割型複合スパッタリングターゲットを用いた成膜方法であって、真空室内に不活性ガスと酸素ガスを導入して、成膜中に前記分割型複合スパッタリングターゲットの金属からなる部分と金属酸化物からなる部分の成膜速度比を段階的または連続的に変化させることを特徴とする。
本発明によれば、成膜速度を向上させて金属酸化物薄膜を容易に成膜することができる分割型複合スパッタリングターゲットおよびそれを用いたスパッタリング成膜方法を提供することができる。
金属酸化物の成膜の際に供給する酸素ガス量と成膜速度の関係を示す説明図である。 本発明のスパッタリング成膜方法の一実施形態に使用する装置の説明図である。 本発明の分割型複合スパッタリングターゲットの一実施形態を示す説明図である。 本発明のスパッタリング成膜方法の成膜時間に対する電力変化の概略を示す説明図である。 本発明のスパッタリング成膜方法の他の実施形態に使用する装置の説明図である。 本発明の分割型複合スパッタリングターゲットの他の実施形態を示す説明図である。
本発明に係る分割型複合スパッタリングターゲットは、金属と前記金属の金属酸化物を含有し、前記金属からなる部分(以降、金属部分とも記す。)と前記金属の金属酸化物からなる部分(以降、金属酸化物部分とも記す。)が分割された形態で存在することを特徴とする。
また、本発明の分割型複合スパッタリングターゲット(以降、分割型複合ターゲットとも記す。)は、1枚のスパッタリングターゲット内に前記金属部分と前記金属酸化物部分が分割された形態で共存することを特徴とする。また、本発明の分割型複合スパッタリングターゲットにより、1枚のターゲット内に金属部分と金属酸化物部分を分離した状態を提供できるため金属部分と金属酸化物部分の成膜速度比の制御が容易になり、成膜速度を向上させることができる。
本発明に係るスパッタリング成膜方法は、1枚以上の上記の分割型複合スパッタリングターゲットを用いた成膜方法であって、真空室内に不活性ガスと酸素ガスを導入して、成膜中に前記分割型複合スパッタリングターゲットの金属からなる部分と金属酸化物からなる部分の成膜速度比を段階的または連続的に変化させることを特徴とする。
本発明の成膜方法によって、ターゲットの金属部分と金属酸化物部分の成膜速度比を段階的、または連続的に可変することで、成膜装置を複雑化せず成膜速度を向上させることができる。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図2および図5は、本発明の各実施形態に係るスパッタリング成膜方法に使用する概略装置構成を示す説明図である。図3は、図2に示した成膜装置で使用した分割型複合スパッタリングターゲットの概略図である。
本発明のスパッタリング成膜方法は金属と金属酸化物を同時にスパッタリングを行う。酸素ガスを導入するスパッタリングにおいて、金属ターゲットは図1に示したように酸素流量によって、酸素が十分量供給されるAの酸化物領域と、酸素が領域Aに比べて少ないBの遷移領域がある。
この2つの異なる状態が存在するのは、ターゲットの表面の金属が不活性ガスによるスパッタリングにより放出されて新たな金属面が表面に出てくる速度と、真空室内に導入された酸素ガスによるターゲット金属面の酸化の速度のバランスにより、十分酸素量が多いAの状態では酸素量が変動してもターゲット表面状態が酸化されやすい状態のままで成膜速度も安定している。一方、酸素量がやや少ないBの状態では、Bの状態の中で酸素が多くターゲット表面状態が酸化されやすい成膜速度が遅い状態と、Bの状態の中で酸素が少なくターゲット表面に金属面が出やすい成膜速度が速い状態が、酸素量の変動に対して敏感に変化するためAの状態よりBの状態はターゲット表面状態および成膜速度が不安定になる。そのため、金属ターゲットは酸素量によって、成膜速度が遅いが安定している酸化物領域Aと成膜速度が速いが不安定な遷移領域Bが存在する。
金属ターゲットに対して、金属酸化物ターゲットは既に金属酸化物によってターゲット材料が構成されているために金属ターゲットのようにターゲット表面に新たな金属面が出てこないため遷移領域は存在せず、酸化物領域のみが存在する。
本発明は、このように酸素流量によって成膜速度、安定性の状態が異なる金属ターゲットと、酸素流量によって成膜速度、安定性の状態が変わらない金属酸化物ターゲットを同時に使用して成膜を行う。さらに、ターゲットの金属部分と金属酸化物部分の成膜速度比を成膜中に変えることで、金属ターゲットの成膜速度が速い遷移領域を間欠的に安定化利用することが可能になるため、成膜中の成膜速度を向上させることができる。
また、本発明の実施形態では、1つのターゲットの中に金属と金属酸化物を共存させた分割型複合ターゲットを用いている。従来の他の型の複合ターゲットとして2成分またはそれ以上の成分を均一に分散させる分散型ターゲットが一般的には使われている。この金属と金属酸化物の分散型ターゲットでスパッタリングを行うと金属が優先的にスパッタされてしまい、本発明の目指す金属部分と金属酸化物部分の成膜レート比を制御することが困難ため、従来の分散型ターゲットは本発明とは相違する。
本発明における、金属と前記金属の金属酸化物を含有し、前記金属からなる部分と前記金属の金属酸化物からなる部分が分割された形態で存在する分割型複合スパッタリングターゲットの具体例としては、金属がNb−金属酸化物がNb酸化物、金属がTa−金属酸化物がTa酸化物、金属がTi−金属酸化物がTi酸化物、金属がZr−金属酸化物がZr酸化物、等が挙げられる。なお、金属と前記金属の金属酸化物における金属とは、上記のNb,Ta,Ti,Zrの他に、Hf、Al,Y,Si,Mg等が挙げられる。
前記金属からなる部分(A)と前記金属の金属酸化物からなる部分(B)の割合が、面積比率([B/(A+B)]×100)で8%以上50%以下、好ましくは8%以上25%以下であることが望ましい。
前記分割型複合スパッタリングターゲットが平板円形形状からなり、金属からなる部分(A)と前記金属の金属酸化物からなる部分(B)が円形平面内に扇形に分割された形態で存在することが好ましい。本発明では1つのターゲット内に金属部分、金属酸化物部分を扇形に領域を分割したターゲットを使用しているが、分割の形態は扇形に限ったものではなく、金属部分と金属酸化物部分の領域が分割がされた形態であればその形態を問わない。
本発明では1つのターゲット内に金属と、金属酸化物を分割したターゲットを使用しているが、複数ターゲットで、金属と金属酸化物の成膜レート比を成膜中に制御してもよい。
本発明のターゲット内に金属部分、金属酸化物部分を有する分割型複合スパッタリングターゲットの製造方法は、一般的なターゲット製造方法である焼結法や溶解法により、金属部分と金属酸化物部分をそれぞれ製造した後、所望の寸法に加工した後に接合することにより得ることができる。
以下、詳細な実施形態として2つの実施形態となる成膜方法を示す。
[第1実施形態]
図2は、本発明の各実施形態に係る成膜方法を実行した概略装置構成を示す説明図である。図2において、ポンプ10により真空排気された成膜を行う真空室5内に薄膜の材料源として、直流電源6に接続されたターゲット1およびターゲット背面に磁力を供給するマグネット12が配置されている。外部からはスパッタリングに必要な不活性ガスおよび反応性ガス等のガス7が真空室5内に開閉可能なバルブ9を経由して導入される。導入するガス9はマスフローコントローラ8により導入量を調整可能になっている。また、薄膜の被成膜対象物として、基板2および基板2を保持する基板ホルダー3および基板ホルダーを回転する基板回転軸4が真空室内に設置されている。
図3に成膜に使用したターゲット1を示す。ターゲットは金属部分13と同種の金属の金属酸化物14から構成されており、それぞれの部分が分離された形で構成された分割型複合ターゲット16である。分割型複合ターゲット16は平板円形形状からなり、金属部分と金属酸化物部分が円形平面内に扇形に分割された形態で存在する。本発明の実施例では、扇形のターゲットの金属としてNbを、金属酸化物としてNb4.83を使用した。15は金属酸化物(Nb4.83)部分の頂角である。
本発明のスパッタリング成膜方法は、図3に示した分割型複合ターゲットを、図2に示した成膜装置のターゲットとして設置し、外部から不活性ガス、反応性ガスとして酸素を導入し、ターゲットに直流電源により電力を印加してスパッタリングを行い成膜を行う。
不活性ガスとしては、Ar、Xe、Krなど一般的にスパッタリングで使われているガスを使用する。本発明の実施例では不活性ガスとしてはArを使用した。
本第1実施形態の成膜方法は、真空室内に導入する不活性ガスと酸素の流量は一定とする。成膜中に分割型複合ターゲットへ電力および磁力を供給する。成膜速度比を分割型複合ターゲットへ供給する印加電力を周期的に変化させて制御することを特徴とする。
ターゲットへの印加電力は、成膜時間中に強弱を繰り返し成膜する。例えば、1KWと2KWというように強弱の設定電力を繰り返し行うという方法である。電力の強弱の変化は段階的または連続的に行う。
本第1実施形態について実験結果を挙げて説明する。
(実施例1)
基板2として直径30mm厚さ2mmの合成石英のガラスを使用して、基板上にNbをスパッタリング法により成膜した。成膜は金属としてNbと金属酸化物としてNb4.83の分割型複合ターゲット16にDC電源を用いて1KWと2KWを段階的に印加した。ガス7はAr70sccm、O42sccmをマスフローコントローラーにより設定して流量が一定となるよう導入して行った。
基板2はターゲット中心からターゲット面の法線方向に70mm離れたところに配置、基板ホルダー3の回転数を30rpmとして基板回転を行いながら成膜を行った。
ターゲットは図3に示した平板円形形状で円形面内を扇形でNbとNb4.83が分割された形態とした。ターゲットの円形面内のうち、Nb4.83が占める扇形の面積比が8%とした。
図4は、本実施形態のスパッタリング成膜方法の成膜時間に対する電力変化の概略を示す説明図である。電力1KWと2KWが周期的に変化する方法とした。この時、1周期あたりの1KWの成膜時間をt1、1周期あたりの2KWの成膜時間をt2とした。以下の表1に示すような、t1とt2を変えた成膜条件(1−1から1−8)でNbを成膜した。各条件で成膜した薄膜の膜厚と成膜時間から成膜速度を求めた。また、ターゲットへ供給するマグネットの磁力の強さは、ターゲット表面直上で400ガウスである。
Figure 2015034313
(実施例2)
実施例1と同様の成膜装置を用いて、基板として直径30mm厚さ2mmの合成石英のガラスを使用して、基板上にNbをスパッタリング法により成膜した。成膜は金属としてNbと金属酸化物としてNb4.83の分割型複合ターゲットにDC電源を用いて1KWと2KWを段階的に印加し、ガスはAr70sccm、O42sccmをマスフローコントローラーにより設定して流量が一定となるよう導入して行った。
基板はターゲット中心からターゲット面の法線方向に70mm離れたところに配置、基板ホルダーの回転数を30rpmとして基板回転を行いながら成膜を行った。
ターゲットは図3に示した平板円形形状で円形面内を扇形でNbとNb4.83が分割された形態とした。ターゲットの円形面内のうち、Nb4.83が占める扇形の面積比が25%とした。
成膜中の電力変化の概略図を図4に示した。電力1KWと2KWが周期的に変化する方法とした。この時、1周期あたりの1KWの成膜時間をt1、2KWの成膜時間をt2とした。表2に示すような、t1とt2を変えた成膜条件(2−1から2−8)でNbを成膜した。各条件で成膜した薄膜の膜厚と成膜時間から成膜速度を求めた。
Figure 2015034313
(実施例3)
実施例1と同様の成膜装置を用いて、基板として直径30mm厚さ2mmの合成石英のガラスを使用して、基板上にNbをスパッタリング法により成膜した。成膜は金属としてNbと金属酸化物としてNb4.83の分割型複合ターゲットにDC電源を用いて1KWと2KWを段階的に印加し、ガスはAr70sccm、O42sccmをマスフローコントローラーにより設定して流量が一定となるよう導入して行った。
基板はターゲット中心からターゲット面の法線方向に70mm離れたところに配置、基板ホルダーの回転数を30rpmとして基板回転を行いながら成膜を行った。
ターゲットは図3に示した平板円形形状で円形面内を扇形でNbとNb4.83が分割された形態とした。ターゲットの円形面内のうち、Nb4.83が占める扇形の面積比が50%とした。
成膜中の電力変化の概略図を図4に示した。電力1KWと2KWが周期的に変化する方法とした。この時、1周期あたりの1KWの成膜時間をt1、2KWの成膜時間をt2とした。表3に示すような、t1とt2を変えた成膜条件(3−1から3−8)でNbを成膜した。各条件で成膜した薄膜の膜厚と成膜時間から成膜速度を求めた。
Figure 2015034313
(比較例1)
実施例1と同様の成膜装置で、一般的に使われる金属Nbターゲットを使用し、ターゲットにDC電源を用いて2KWを電力一定で印加し、ガスはAr70sccm、Oをマスフローコントローラーにより設定して流量が一定となるよう導入して行った。酸素流量は図1に示した酸素流量と成膜速度の関係から薄膜が十分酸化可能かつ安定成膜が可能な酸化物領域、図中のB領域でできるだけ酸素流量が少ない46sccmとした。基板は実施例1と同じ配置でターゲット中心からターゲット面の法線方向に70mm離れたところに配置、基板ホルダーの回転数を30rpmとして基板回転を行いながら成膜を行った。
成膜した膜厚と成膜速度から成膜速度を求めたところ、33.0nm/minであった。
実施例1から3と比較例1を比較すると、実施例1から3では、t1とt2の比率はt1/t2がおよそ1以下で、ターゲット内のNb4.83が占める扇形の面積比が8%から50%の範囲で従来方法の比較例1より成膜速度が向上していることが判明した。
本実施形態1の動作原理は、酸素流量一定の成膜工程でターゲットへの印加電力2KWの時に金属部分について酸素流量を遷移領域の酸素流量に設定しておく。実施例1では酸素流量42sccmを供給しているが、この流量は安定成膜できない遷移領域の酸素流量であるが、30秒程度の短時間の成膜は可能である。
実施例1の電力2KWの成膜のあと、電力1KWの成膜のときにはターゲットのNb部分から放出するNb金属粒子量が電力2KWの時に比べて、減少するためNb2O5膜を形成するのに必要な酸素消費量は減少するため電力2KWではターゲットのNb部分は遷移領域で成膜していたが電力1KWでは酸化物領域の成膜となる。また、ターゲットのNb部分に隣接するNb2O4.83部分のスパッタリングによりターゲットのNb部分のごく近傍へターゲットのNb2O4.83部分から酸素供給が行われるため、電力1KWの成膜の間にターゲットのNb部分の表面酸化が進行しやすくなる。そのため、再び電力2KWでの遷移領域成膜が可能である。
つまり、本実施形態1は金属と金属酸化物の成膜速度比を電力調整により成膜中に強弱変化させることにより、従来方法の電力一定の成膜方法に比べて成膜速度が向上する成膜方法である。
[第2実施形態]
図5は、本発明の各実施形態に係る成膜方法を実行した概略装置構成を示す説明図である。
図2とほぼ同様の成膜装置であるが、ターゲットに磁力を供給するマグネットを支持するマグネットプレートの回転軸を有する点のみが異なる。本各実施形態では、成膜中に分割型複合ターゲットへ電力および磁力を供給し、成膜速度比を、前記分割型複合ターゲットへ供給する磁力を磁石の駆動により変化させて制御することを特徴とする。また、分割型複合ターゲットに磁力を供給する磁石が回転駆動することを特徴とする。
図5において、ポンプ30により真空排気された成膜を行う真空室25内に薄膜の材料源として、直流電源26に接続されたターゲット21およびターゲット背面に磁力を供給するマグネット32が回転可能なマグネットプレート31上に配置されている。外部からはスパッタリングに必要な不活性ガスおよび反応性ガス等のガス27が真空室25内に開閉可能なバルブ29を経由して導入される。導入するガス27はマスフローコントローラ28により導入量を調整可能になっている。また、薄膜の被成膜対象物として、基板22および基板を保持する基板ホルダー23および基板ホルダーを回転する基板回転軸24が真空室内に設置されている。
図6に成膜に使用したターゲット21を示す。ターゲットは金属部分13と同種の金属の金属酸化物15から構成されており、それぞれの部分が分離された形で構成された分割型の複合ターゲットである。本発明の実施例では、扇形のターゲットの金属としてNbを、金属酸化物としてNb4.83を使用した。
本発明の成膜方法は、図3に示した分割型複合ターゲットを図5に示した成膜装置のターゲットとして設置し、外部から不活性ガスとしてAr、反応性ガスとして酸素を導入し、ターゲットに直流電源により電力を印加してスパッタリングを行い成膜を行った。
本第2実施形態の成膜方法は、真空室内に導入する不活性ガスと酸素の流量は一定とする。ターゲット21への印加電力は、成膜時間中、一定である。ターゲット直下に配置されたマグネット41はマグネットプレート40の回転軸により成膜中回転駆動する。
NbとNb4.83の分割型複合ターゲットの直下で、図6に示すようにマグネット41が回転している。マグネット回転式のスパッタリング用カソードはマグネット固定式に比べてターゲットの利用効率を向上させる目的で市販されているような一般的な技術である。本発明では、分割型複合ターゲットと回転式マグネットを新たに組み合わせることにより、図6に示すように、マグネット回転の位置により、NbとNb4.83の成膜速度比を変えるものである。
ターゲットはマグネットが直下にあり磁力が供給されている場所のみがスパッタリングされる。そのため、分割型複合ターゲットではNb4.83部分の直下をマグネットが通過するときにのみ間欠的にNb4.83がスパッタリングされる。そのため、成膜時間中にNbとNb4.83の成膜速度比が周期的に変化する。図6(a)は金属酸化物Nb4.83部分の直下にマグネット41が重なる場合、図6(b)は金属酸化物Nb4.83部分の直下にマグネット41が重ならない場合を示す。
ターゲット近傍には外部からの酸素ガス供給に加えて、ターゲットのNb4.83から酸素が間欠的に供給される。そのため、外部から供給する酸素供給量は金属Nbにとって、遷移領域のやや少ない酸素流量でも安定して成膜が可能となる。
本第2実施形態について実験結果を挙げて説明する。
(実施例4−1)
基板として直径30mm厚さ2mmの合成石英のガラスを使用して、基板上にNbをスパッタリング法により成膜した。成膜は金属としてNbと金属酸化物としてNb4.83の分割型複合ターゲットにDC電源を用いて1KWを一定印加し、ガスはAr70sccm、O20sccmをマスフローコントローラーにより設定して流量が一定となるよう導入して行った。
基板はターゲット中心からターゲット面の法線方向に70mm離れたところに配置、基板ホルダーの回転数を37rpmとして基板回転を行い、マグネットプレートは100rpmで回転させながら成膜を行った。ターゲットへ供給するマグネットの磁力の強さは、ターゲット表面直上で400ガウスである。
ターゲットは図3に示した平板円形形状で円形面内を扇形でNbとNb4.83が分割された形態とした。ターゲットの円形面内のうち、Nb4.83が占める扇形の頂角が30度、Nbは330度とした。
成膜した薄膜の膜厚と成膜時間から成膜速度を求めたところ、成膜速度は50.5nm/minであった。
(比較例2)
実施例4−1と同様の成膜装置で、一般的に使われる金属Nbターゲットを使用し、ターゲットにDC電源を用いて1KWを電力一定で印加し、ガスはAr70sccm、Oをマスフローコントローラーにより設定して流量が一定となるよう導入して行った。酸素流量は図1に示した酸素流量と成膜速度の関係から薄膜が十分酸化可能かつ安定成膜が可能な酸化物領域、図1中のA領域でできるだけ酸素流量が少ない24sccmとした。基板は実施例4−1と同じ配置でターゲット中心からターゲット面の法線方向に70mm離れたところに配置、基板ホルダーの回転数を37rpmとして基板回転を行い、マグネットプレートの回転を100rpmとして成膜を行った。
成膜した膜厚と成膜速度から成膜速度を求めたところ、17.5nm/minであった。
実施例4−1と比較例2を比較すると、ターゲットへの印加電力は同じ1KWであるが、成膜速度が向上していることが判明した。
(実施例4−2)
実施例4−1と同様の成膜装置を用いて、同様のターゲットは図3に示した平板円形形状で円形面内を扇形でNbとNb4.83が分割された形態でターゲットの円形面内のうち、Nb4.83が占める扇形の頂角が45度、Nbは315度とした。Nbをスパッタリング法により成膜して、成膜レートを求めたところ47.0nm/minであった。
(実施例4−3)
実施例4−1と同様の成膜装置を用いて、ターゲットは図3に示した平板円形形状で円形面内を扇形でNbとNb4.83が分割された形態でターゲットの円形面内のうち、Nb4.83が占める扇形の頂角が90度、Nbは270度とした。Nbをスパッタリング法により成膜して、成膜レートを求めたところ36.4nm/minであった。実施例4−1、4−2、4−3、比較例2の実験結果を表4に示した。
Figure 2015034313
表4に示すように本実施例4−1、4−2、4−3は全て比較例2に比べて、成膜レートが向上することが判明した。実施例の中でも実施例4−1はNb4.83の面積比が最も狭く、Nb成膜の割合が比較的多い場合に成膜レートが特に速かった。
つまり、本実施形態4−1、4−2、4−3は分割型複合ターゲットと回転駆動式のマグネットを組み合わせることでターゲット面内の金属と金属酸化物の成膜速度比を成膜中に周期的に変化させることにより、従来の成膜方法に比べて成膜速度が向上する成膜方法であることが認められる。
本発明のスパッタリング成膜方法は、成膜速度を向上させて金属酸化物薄膜を容易に成膜することができるので、カメラ用レンズやフラットパネルディスプレイなど光学素子、光学材料の反射防止膜形成のためのスパッタリング成膜装置、反射防止膜以外にもミラー、フィルターなどの光学薄膜や、機械強度や環境耐久向上のための保護膜などの用途で金属酸化物薄膜を形成するスパッタリング成膜装置全般に利用することができる。
1 ターゲット
2 基板
3 基板ホルダー
4 基板回転軸
5 真空室
6 直流電源
7 ガス
8 マスフローコントローラ
9 バルブ
10 ポンプ
11 マグネットプレート
12 マグネット
13 金属(Nb)
14 金属酸化物(Nb4.83
15 金属酸化物(Nb4.83)部分の頂角
16 分割型複合ターゲット
t1 1KW成膜の1周期の成膜時間
t2 2KW成膜の1周期の成膜時間
21 ターゲット
22 基板
23 基板ホルダー
24 基板回転軸
25 真空室
26 直流電源
27 ガス
28 マスフローコントローラ
29 バルブ
30 ポンプ
31 マグネットプレート
32 マグネット
33 マグネットプレート回転軸
40 マグネットプレート
41 マグネット

Claims (9)

  1. 金属と前記金属の金属酸化物を含有し、前記金属からなる部分と前記金属酸化物からなる部分が分割された形態で存在することを特徴とする分割型複合スパッタリングターゲット。
  2. 前記金属がNbであり、前記金属酸化物がNb酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の分割型複合スパッタリングターゲット。
  3. 前記金属からなる部分(A)と前記金属の金属酸化物からなる部分(B)の割合が面積比率([B/(A+B)]×100)で8%以上50%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の分割型複合スパッタリングターゲット。
  4. 前記分割型複合スパッタリングターゲットが平板円形形状からなり、金属からなる部分(A)と前記金属の金属酸化物からなる部分(B)が円形平面内に扇形に分割された形態で存在する請求項1乃至3のいずれかの項に記載の分割型複合スパッタリングターゲット。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の分割型複合スパッタリングターゲットを用いた成膜方法であって、真空室内に不活性ガスと酸素ガスを導入して、成膜中に前記分割型複合スパッタリングターゲットの金属からなる部分と金属酸化物からなる部分の成膜速度比を段階的または連続的に変化させることを特徴とするスパッタリング成膜方法。
  6. 前記成膜中に前記分割型複合スパッタリングターゲットへ電力および磁力を供給することを特徴とする請求項5に記載のスパッタリング成膜方法。
  7. 前記成膜速度比を、前記分割型複合スパッタリングターゲットへ供給する印加電力を周期的に変化させて制御することを特徴とする請求項5または6に記載のスパッタリング成膜方法。
  8. 前記成膜速度比を、前記分割型複合スパッタリングターゲットへ供給する磁力を磁石の駆動により変化させて制御することを特徴とする請求項5または6に記載のスパッタリング成膜方法。
  9. 前記分割型複合スパッタリングターゲットに磁力を供給する磁石が回転駆動することを特徴とする請求項8に記載のスパッタリング成膜方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105506737A (zh) * 2015-12-28 2016-04-20 常州瞻驰光电科技有限公司 一种非化学计量比氧化铌多晶镀膜材料及其生长技术

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