JP2008007806A - スパッタリング成膜装置、封止膜の製造方法及び有機el素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】スパッタリングにより成膜される無機質膜の緻密性を向上させることができるスパッタリング成膜装置を提供する。
【解決手段】軸心方向2aに回転する筒状をなし外面に複数の基板4を周方向に離間して保持する基板ホルダー2と、基板に対向して配置されるターゲット材6を保持するターゲットホルダー8と、基板表面に対するターゲット材表面の角度を変化させるためにターゲットホルダーの取付角度を変えるターゲットホルダー取付角度可変機構12とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】軸心方向2aに回転する筒状をなし外面に複数の基板4を周方向に離間して保持する基板ホルダー2と、基板に対向して配置されるターゲット材6を保持するターゲットホルダー8と、基板表面に対するターゲット材表面の角度を変化させるためにターゲットホルダーの取付角度を変えるターゲットホルダー取付角度可変機構12とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、スパッタリング成膜装置、封止膜の製造方法及び有機EL素子に関する。
有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子は、基板上に電極膜やRGBの有機発光層を形成して製造されるが、大気中の湿分(水分)及び酸素によって劣化して素子の寿命を損ない易いことから、封止性能が極めて重要である。有機EL素子の封止技術としては、缶封止や膜封止があるが、近年、素子の軽薄化やフレキシビリティー(可撓性)が要求されていることから、膜封止が主流になっている。そこで、例えば、二層の無機ガスバリア層を擁し、その二層間に吸湿層を有する封止層(特許文献1参照)や、高純度SiCターゲットを用いたPVD法による封止膜(特許文献2参照)が開発されている。
封止膜としては無機質膜を用いるのが主流であるが、成膜速度や付着力の点から無機質膜の成膜法としてPVD法であるスパッタリング法が採用される場合が多い。又、スパッタリング法としては、一回の成膜で製造可能な基板の数を増やして生産効率を向上させるため、いわゆるカルーセル方式が良く知られている。カルーセル方式は、回転ドラムの外面に多数の基板を保持し、ドラムを回転させながらドラム外側のターゲットからスパッタリングを行う方式である(特許文献3〜5参照)。
ところで、通常のスパッタリング装置の場合、基板表面に対するターゲット材表面の角度は常に一定(通常は表面同士が平行になるように対向する)であり、スパッタリング粒子がターゲット材から一定の方向に飛び出す。このため、高いエネルギーを有するスパッタリング粒子はまず基板表面に島状に付着し、この付着面を起点として次の粒子が成膜方向に沿って瞬時に重なってゆく。そのため、皮膜は粒(グレイン)成長を伴って柱状に成長し、図7に示す柱状物51、52、53・・・の周密体が基板40上に成長するミクロな構造を有することが知られている。
無機質膜がこのように柱状成長すると柱状物51、52の間に空隙が生じ、湿分及び酸素が透過するために封止性(バリア性)が不充分となる。
無機質膜がこのように柱状成長すると柱状物51、52の間に空隙が生じ、湿分及び酸素が透過するために封止性(バリア性)が不充分となる。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、スパッタリングにより成膜される無機質膜の緻密性を向上させることができるスパッタリング成膜装置、封止膜の製造方法及び有機EL素子の提供を目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明のスパッタリング成膜装置は、軸心方向に回転する筒状をなし外面に複数の基板を周方向に離間して保持するか、又は中心軸を中心に回転する板状をなしその一方の面に複数の基板を周方向に離間して保持する基板ホルダーと、前記基板に対向して配置されるターゲット材を保持するターゲットホルダーと、前記基板表面に対する前記ターゲット材表面の角度を変化させるために前記ターゲットホルダーの取付角度を変えるターゲットホルダー取付角度可変機構とを有する。
このような構成とすると、基板表面に対するターゲット材表面の角度を変化させてスパッタリングの成膜方向を変えることができるため、従来のような単一方向の結晶成長に比べて空隙の少ない緻密な皮膜を得ることができる。
このような構成とすると、基板表面に対するターゲット材表面の角度を変化させてスパッタリングの成膜方向を変えることができるため、従来のような単一方向の結晶成長に比べて空隙の少ない緻密な皮膜を得ることができる。
同一の前記基板にスパッタリング成膜が行われる間、前記ターゲットホルダー取付角度可変機構は、前記ターゲットホルダーの取付角度を少なくとも1回変えることが好ましい。
このような構成とすると、同一の基板に対して少なくとも2つの異なるスパッタリング方向から成膜がなされるので、従来のような単一方向の結晶成長に比べて空隙の少ない緻密な皮膜を得ることができる。
このような構成とすると、同一の基板に対して少なくとも2つの異なるスパッタリング方向から成膜がなされるので、従来のような単一方向の結晶成長に比べて空隙の少ない緻密な皮膜を得ることができる。
前記基板ホルダーの周方向に前記基板が保持されていない不感帯が形成され、前記ターゲットホルダー取付角度可変機構は、前記ターゲット材が前記不感帯に対向した時に前記ターゲットホルダーの取付角度を変えることが好ましい。
このような構成とすると、成膜領域に不感帯が到達するタイミングでターゲットホルダーの取付角度を変えることができるので、角度調整の制御や基板ホルダーの回転との同期が容易となる。
このような構成とすると、成膜領域に不感帯が到達するタイミングでターゲットホルダーの取付角度を変えることができるので、角度調整の制御や基板ホルダーの回転との同期が容易となる。
本発明の封止膜の製造方法は、ターゲット材を用いて基板上に無機膜をスパッタリング成膜する封止膜の製造方法であって、スパッタリングの間に前記ターゲット材の表面と前記基板の蒸着面とのなす角を少なくとも1回変化させ、成膜方向が異なる皮膜を少なくとも2層積層させる。
本発明の有機EL素子は、前記封止膜の製造方法によって製造された封止膜を有する。
本発明によれば、スパッタリングにより成膜される無機質膜の緻密性を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るスパッタリング成膜装置の構成図である。この図において、スパッタ成膜装置は図示しない真空チャンバー内に配置され、外面2bに複数の基板4を周方向に離間して保持する円筒状の基板ホルダー2、基板ホルダーの外側に配置されて基板に対向するようにターゲット材6を保持するターゲットホルダー8、基板ホルダー2の軸心2aに接続されて基板ホルダーを軸心方向に回転させる回転機構(モーター)10、ターゲットホルダー8の軸8aに接続されて軸8aを中心にターゲットホルダーを揺動させるターゲットホルダー取付角度可変機構(モーター)12とを有する。基板ホルダーは円筒形に限られず、多角柱形であってもよい。なお、回転機構10及びターゲットホルダー取付角度可変機構12の回転数や同期タイミング(回転機構10の回転位置とターゲットホルダー取付角度可変機構12による角度調整とのタイミング)は、これらに接続された図示しないコンピュータ装置によって制御されている。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るスパッタリング成膜装置の構成図である。この図において、スパッタ成膜装置は図示しない真空チャンバー内に配置され、外面2bに複数の基板4を周方向に離間して保持する円筒状の基板ホルダー2、基板ホルダーの外側に配置されて基板に対向するようにターゲット材6を保持するターゲットホルダー8、基板ホルダー2の軸心2aに接続されて基板ホルダーを軸心方向に回転させる回転機構(モーター)10、ターゲットホルダー8の軸8aに接続されて軸8aを中心にターゲットホルダーを揺動させるターゲットホルダー取付角度可変機構(モーター)12とを有する。基板ホルダーは円筒形に限られず、多角柱形であってもよい。なお、回転機構10及びターゲットホルダー取付角度可変機構12の回転数や同期タイミング(回転機構10の回転位置とターゲットホルダー取付角度可変機構12による角度調整とのタイミング)は、これらに接続された図示しないコンピュータ装置によって制御されている。
軸8aは軸心2aに平行であり、軸心2a、軸8aの他端はそれぞれ図示しない所定の軸受に支持されている。そして、ターゲットホルダー8が軸8aを中心に揺動すると、軸心2a方向から見たターゲットホルダーの取付角度が変化し、基板4に対するターゲット材6の角度(対向角度)が変化するようになっている。
ターゲットホルダー8はマグネトロンカソードを内蔵し、DC電源14に接続されている。又、真空チャンバーには図示しない真空ポンプ、スパッタリングガス(Arガス)の導入流路、反応性ガス(例えば、酸素ガスや窒素ガス)の導入流路が接続されている。
そして、DC電源14の直流電圧がターゲット材6に印加され、マグネトロンスパッタ放電によって生じたプラズマがターゲット材6をスパッタし、はじき出された蒸着物質Vが適宜反応性ガスと反応して基板4上に成膜するようになっている。
そして、DC電源14の直流電圧がターゲット材6に印加され、マグネトロンスパッタ放電によって生じたプラズマがターゲット材6をスパッタし、はじき出された蒸着物質Vが適宜反応性ガスと反応して基板4上に成膜するようになっている。
次に、ターゲットホルダー取付角度可変機構12による角度調整について説明する。図2は、スパッタ成膜装置を上面(軸心2a方向)から見たときの成膜工程を示す図である。この図において、基板ホルダー2が図2の右回りに回転するものとする。又、12個の基板4a〜4lが基板ホルダー2の周方向に左回りに順に離間して保持されているが、先頭の基板4aと末尾の基板4lとの間の周方向の間隔が広くなっていて(基板ホルダー2の円周の1/4程度)、この部分が不感帯Dを形成している。不感帯Dは基板ホルダー2のうち電極の機能を有しないか、又はダミー基板をこの領域に設置して形成することができる。なお、この不感帯Dは、特に基板ホルダーの回転速度が遅い場合や基板サイズによっては、任意の基板間(例えば、4aと4bの間、4aの4c間など)に設けても良い。
まず、図2(a)の上下方向(軸心2aに垂直な方向)に延びる基準線Lに対し、ターゲットホルダー8の取付角度が+θ(軸8aに対し、図2において右回り)となるように角度が調整される。ターゲットホルダー8上のターゲット材6の表面から引いた垂線Nは蒸着方向を示し、基板ホルダー2上の被蒸着領域が符号Fで示される。このとき、垂線Nは被蒸着領域Fに引いた接線Tと所定の角度を有するため、基板の蒸着面に対してスパッタリング物質が斜めに積層する。この状態で、先頭の基板4aが被蒸着領域Fに到達すると、基板4aに斜め方向からスパッタリング物質が蒸着され、引き続いて連続する基板4b〜4lに同様にスパッタリング物質が蒸着される。
次に、末尾の基板4lが蒸着され、さらに基板ホルダー2が回転すると不感帯Dが被蒸着領域Fに到達する(図2(b)。このとき、ターゲットホルダー取付角度可変機構12がターゲットホルダー8の取付角度をマイナス方向(軸8aに対し、図2において左回り)に変化させる。これにより図2(b)では取付角度が0度(すなわち、基板表面とターゲット材表面とが平行)になり、さらに取付角度がマイナス方向になると図2(c)に示すように取付角度−φに調整される。このとき、垂線Nは被蒸着領域Fに引いた接線Tと所定の角度(この角度は図2(a)の角度とは異なる)を有する。この状態で、先頭の基板4aが被蒸着領域Fに到達すると、基板4aに斜め方向からスパッタリング物質が蒸着され、引き続いて連続する基板4b〜4lに同様にスパッタリング物質が蒸着される。
図2のようにして基板4に斜め方向からスパッタリング物質が蒸着される態様を図3に示す。図3(a)は図2(a)の取付角度θでスパッタリング物質が蒸着される場合を示す。スパッタリング物質V1は基板4aの表面に対し所定の角度を持って成長する。図3(b)は図2(c)の取付角度-φでスパッタリング物質が蒸着される場合を示す。スパッタリング物質V3は基板4aの表面に対し所定の角度(図3(a)とは異なる角度)を持って成長する。
図3(c)は、仮に図2(b)の取付角度(0度)でスパッタリング物質が蒸着された場合を示す。スパッタリング物質V2は基板4aの表面に直角に成長する。この状態は、通常のスパッタリング成膜と同様である。
図3(c)は、仮に図2(b)の取付角度(0度)でスパッタリング物質が蒸着された場合を示す。スパッタリング物質V2は基板4aの表面に直角に成長する。この状態は、通常のスパッタリング成膜と同様である。
図4は、図3のようにして同一の基板4aにスパッタリング成膜が行われる間、ターゲットホルダー8の取付角度が2回変えられた場合(図2(a)の角度θから図2(b)の角度0へ変えられ、さらに図2(c)の角度-φへ変えられた場合)のスパッタリング物質の皮膜構造を示す。この図において、基板4aの表面にスパッタリング物質がV1のように成長し、その上にスパッタリング物質がV2のように成長し、その上にスパッタリング物質がV3のように成長し、以下このサイクルでスパッタリング物質が順次積層してゆく。このようにすると、少なくとも2つの異なる角度(図4では3つの異なる角度θ、0度、-φ)でスパッタリング物質が成長するため、スパッタリング物質の結晶方向がランダムになり、前記図7のような単一方向の結晶成長に比べて空隙の少ない緻密な皮膜を得ることができる。
好ましくは、ターゲットホルダー8の1つの取付角度での平均成膜厚み(上記V1、V2、V3の各成膜厚みに相当)をスパッタリング物質の1原子層程度にするとよい。本発明のスパッタリング成膜装置に用いるターゲット材料としては、遷移金属、4B及び5B族元素のうちいずれかの元素、又はこれらの酸化物、窒化物及び炭化物のうち1以上のものからなるものを用いることができる。ターゲット材料として具体的には、Al、Cr、In、Si、Sn、Ta、Ti、V、W、Zn、Zr、B、Hf、Mo、Nb、Fe、Cd、Cu、Pb、Ga、Sb、As、Se、Ag、Au、Pt、Pd及びリアクティブスパッタで使用可能なSiC、TiO2ターゲットが挙げられ、特にAl、Si、Ti及びそれらの酸化物が挙げられる。
これらのいずれのターゲット材料を用いた場合でも、スパッタリング物質の1原子層の膜の厚みは5×10-10 m以下である。従って、ターゲットホルダー8の1つの取付角度での成膜厚みを5×10-10 m以下程度にすることが好ましい。
これらのいずれのターゲット材料を用いた場合でも、スパッタリング物質の1原子層の膜の厚みは5×10-10 m以下である。従って、ターゲットホルダー8の1つの取付角度での成膜厚みを5×10-10 m以下程度にすることが好ましい。
次に、本発明の装置がカルーセル型スパッタリング装置の場合の操作について例示する。まず、所定の圧力になるまで真空チャンバー内を真空引きする。次に、真空チャンバー内に所定流量でガス(Arガス、反応ガス)を流す。基板とターゲット間のシャッターを閉じておく。
次いで、基板ホルダーを所定回転数で回転し、ターゲットホルダーを所定の周波数(例えば図2で角度+θと−φの間を揺動振幅させるときの周波数)で取付角度を変化させる。基板ホルダーの回転数と、ターゲットホルダーの周波数とは、一回のスパッタリング(例えば図2の基板4a〜4lが一周する間のスパッタリング)で成膜厚みが5×10-10 m以下となるように設定する。
具体的には、例えば基板ホルダーが回転しない静止状態での成膜レートが1.5×10-7m/分であり、基板数が16枚とすると、回転数は20rpm(回転/分)以上であれば成膜厚みが5×10-10 m以下となる。ここで、基板ホルダーの半径を210mmとすると、回転数20rpmでの基板表面の周速は0.22m/secとなるので、図2の不感帯の周長さに応じて、ターゲットホルダーの周波数を決定することができる。
次いで、基板ホルダーを所定回転数で回転し、ターゲットホルダーを所定の周波数(例えば図2で角度+θと−φの間を揺動振幅させるときの周波数)で取付角度を変化させる。基板ホルダーの回転数と、ターゲットホルダーの周波数とは、一回のスパッタリング(例えば図2の基板4a〜4lが一周する間のスパッタリング)で成膜厚みが5×10-10 m以下となるように設定する。
具体的には、例えば基板ホルダーが回転しない静止状態での成膜レートが1.5×10-7m/分であり、基板数が16枚とすると、回転数は20rpm(回転/分)以上であれば成膜厚みが5×10-10 m以下となる。ここで、基板ホルダーの半径を210mmとすると、回転数20rpmでの基板表面の周速は0.22m/secとなるので、図2の不感帯の周長さに応じて、ターゲットホルダーの周波数を決定することができる。
次に、ターゲットに電圧を印加し、上記回転数及び周波数で放電を行う。電圧印加条件は、上記した成膜レートに合うようにする。そして、基板シャッターを開けて所定膜厚まで成膜を行う。
なお、本発明の装置としては、例えばトッキ社製のSPS−402型カルーセル型スパッタリング装置(ターゲットの中心から基板中心までの最短距離60mm)をベースとし、これに本発明に特有の構成を付加することができる。
なお、本発明の装置としては、例えばトッキ社製のSPS−402型カルーセル型スパッタリング装置(ターゲットの中心から基板中心までの最短距離60mm)をベースとし、これに本発明に特有の構成を付加することができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係るスパッタリング成膜装置について、図5,6を参照して説明する。図5は第2の実施形態に係るスパッタリング成膜装置の構成を示す上面図である。この図において、スパッタ成膜装置は図示しない真空チャンバー内に配置され、中心軸20aを中心に回転する円盤状をなしその下面に5枚の基板4a〜4eを周方向に離間して保持する基板ホルダー20、基板ホルダー20の下側に配置されて基板に対向するようにターゲット材6を保持するターゲットホルダー80、基板ホルダー20の軸心20aに接続されて基板ホルダーを軸心方向に回転させる図示しない回転機構(モーター)、ターゲットホルダー80の軸80aに接続されて軸80aを中心にターゲットホルダーを揺動させる図示しないターゲットホルダー取付角度可変機構(モーター)とを有する。軸80aは基板ホルダー20の面に平行で中心軸20aを通る線上に位置する(図5の左右方向)。
又、先頭の基板4aと末尾の基板4eとの間の周方向の間隔が広くなっていて(基板ホルダー20の円周の1/4程度)、この部分が不感帯Dを形成している。不感帯Dには3枚のダミー基板が周方向に設置されている。基板ホルダー20は板状であれば円盤に限られない。
ターゲットホルダー80の構造や、スパッタリング成膜を行う方式(マグネトロンスパッタ)については第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。なお、この実施形態では、ターゲットホルダー80の上面に位置する基板を中心に前後1枚ずつの基板の外側領域における基板ホルダー20の下面に、中心軸20aから基板ホルダー20の外縁を越えて延びる遮蔽板S、Sがそれぞれ配置されている。この遮蔽板S、Sは、ターゲットホルダー80の取付角度が変化して蒸着方向が変わった場合に、余分な基板(ターゲットホルダー80の上面の基板から遠い基板4d、4e等)にスパッタリング物質が不必要に蒸着されるのを防止する。
ターゲットホルダー80の構造や、スパッタリング成膜を行う方式(マグネトロンスパッタ)については第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。なお、この実施形態では、ターゲットホルダー80の上面に位置する基板を中心に前後1枚ずつの基板の外側領域における基板ホルダー20の下面に、中心軸20aから基板ホルダー20の外縁を越えて延びる遮蔽板S、Sがそれぞれ配置されている。この遮蔽板S、Sは、ターゲットホルダー80の取付角度が変化して蒸着方向が変わった場合に、余分な基板(ターゲットホルダー80の上面の基板から遠い基板4d、4e等)にスパッタリング物質が不必要に蒸着されるのを防止する。
次に、ターゲットホルダー取付角度可変機構によるターゲットホルダー80の取付け角度調整について図6を参照して説明する。
図6において、基板ホルダー20の下面に平行な基準線L2(図6の左右方向)に対し、図示しないターゲットホルダー取付角度可変機構により、軸80aを中心としてターゲットホルダー80を角度+θ2だけ右上がりに傾ける。このとき、基板4aの表面に対してスパッタリング物質が斜めに積層する。以下、基板ホルダー20の回転に伴い、基板4aに続く基板4b〜4eに同様にして斜めに蒸着が行われる。
図6において、基板ホルダー20の下面に平行な基準線L2(図6の左右方向)に対し、図示しないターゲットホルダー取付角度可変機構により、軸80aを中心としてターゲットホルダー80を角度+θ2だけ右上がりに傾ける。このとき、基板4aの表面に対してスパッタリング物質が斜めに積層する。以下、基板ホルダー20の回転に伴い、基板4aに続く基板4b〜4eに同様にして斜めに蒸着が行われる。
そして、末尾の基板4eが蒸着されると、基板ホルダー20の回転に応じて不感帯Dがターゲットホルダー80の上面(被蒸着領域)に到達する。このとき、図示しないターゲットホルダー取付角度可変機構により、ターゲットホルダー80の取付角度をマイナス方向(軸80aに対し、図6において左上がり)に変化させ、角度−φ2に調整する。この状態で、先頭の基板4aが被蒸着領域に到達すると、基板4aに斜め方向(取付角度θ2の場合の蒸着方向は異なる方向)からスパッタリング物質が蒸着され、引き続いて連続する基板4b〜4eに同様にスパッタリング物質が蒸着される。
以上のようにして、それぞれ異なる2つの方向から基板にスパッタリング物質が順に蒸着され、スパッタリング物質の結晶方向がランダムになり、空隙の少ない緻密な皮膜を得ることができるのは第1の実施形態の場合と同様である。
以上のようにして、それぞれ異なる2つの方向から基板にスパッタリング物質が順に蒸着され、スパッタリング物質の結晶方向がランダムになり、空隙の少ない緻密な皮膜を得ることができるのは第1の実施形態の場合と同様である。
本発明は上記した実施形態に限定されない。ターゲットホルダーの取付角度の調整については、別個の2つの角度に調整できればよく、例えば、上記第1の実施形態において、基板ホルダーの軸心方向と垂直な軸を中心にしてターゲットホルダーを上下に回動してもよい。この場合、各基板は斜め下及び斜め上の2つの方向から蒸着される。
又、蒸着する際、ターゲットホルダーの取付角度を少なくとも1回変えることにより、ターゲットホルダーが少なくとも別個の2つの角度に調整された状態でそれぞれ蒸着が進行するが、3つ以上の別個の角度に調整してもよい。既に説明したように、少なくとも別個の2つの角度から蒸着を行うことにより、異なる方向からスパッタリング物質がそれぞれ成長し、スパッタリング物質の結晶方向がランダムになるので、従来のような単一方向の結晶成長に比べて空隙の少ない緻密な皮膜を得ることができる。
又、本発明によるスパッタリング成膜装置により、無機質膜を形成する前又はその後に所定の装置有機質膜を成膜し、無機質膜と有機質膜が交互に繰り返す多層構造を形成することもできる。
又、蒸着する際、ターゲットホルダーの取付角度を少なくとも1回変えることにより、ターゲットホルダーが少なくとも別個の2つの角度に調整された状態でそれぞれ蒸着が進行するが、3つ以上の別個の角度に調整してもよい。既に説明したように、少なくとも別個の2つの角度から蒸着を行うことにより、異なる方向からスパッタリング物質がそれぞれ成長し、スパッタリング物質の結晶方向がランダムになるので、従来のような単一方向の結晶成長に比べて空隙の少ない緻密な皮膜を得ることができる。
又、本発明によるスパッタリング成膜装置により、無機質膜を形成する前又はその後に所定の装置有機質膜を成膜し、無機質膜と有機質膜が交互に繰り返す多層構造を形成することもできる。
本発明の封止膜の製造方法は、ターゲット材を用いて基板上に無機膜をスパッタリング成膜する封止膜の製造方法であって、スパッタリングの間に前記ターゲット材の表面と前記基板の蒸着面とのなす角を少なくとも1回変化させ、成膜方向が異なる皮膜を少なくとも2層積層させる。
この製造方法は、前記図3で説明したような手順によって行うことができる。なお、一般のカルーセル型の成膜装置の場合も、基板ホルダーの回転によってターゲット材の表面と前記基板の蒸着面とのなす角が連続的に微小に変化しながら成膜領域に基板が相対するが、成膜領域では実質的に1つの角度(ターゲット材の表面と前記基板の蒸着面とのなす角が0度)で成膜がなされる。本発明にいう角度とは、実質的に成膜を行う成膜領域での角度をいう。この角度を少なくとも1回変化させることで、図4に示したように成膜方向が異なる皮膜が少なくとも2層積層し、緻密な膜となることは既に述べたとおりである。
この製造方法は、前記図3で説明したような手順によって行うことができる。なお、一般のカルーセル型の成膜装置の場合も、基板ホルダーの回転によってターゲット材の表面と前記基板の蒸着面とのなす角が連続的に微小に変化しながら成膜領域に基板が相対するが、成膜領域では実質的に1つの角度(ターゲット材の表面と前記基板の蒸着面とのなす角が0度)で成膜がなされる。本発明にいう角度とは、実質的に成膜を行う成膜領域での角度をいう。この角度を少なくとも1回変化させることで、図4に示したように成膜方向が異なる皮膜が少なくとも2層積層し、緻密な膜となることは既に述べたとおりである。
2、20 基板ホルダー
2a、20a 基板ホルダーの軸心(又は中心軸)
4、4a〜4l 基板
6 ターゲット材
8、80 ターゲットホルダー
12 ターゲットホルダー取付角度可変機構(モーター)
2a、20a 基板ホルダーの軸心(又は中心軸)
4、4a〜4l 基板
6 ターゲット材
8、80 ターゲットホルダー
12 ターゲットホルダー取付角度可変機構(モーター)
Claims (5)
- 軸心方向に回転する筒状をなし外面に複数の基板を周方向に離間して保持するか、又は中心軸を中心に回転する板状をなしその一方の面に複数の基板を周方向に離間して保持する基板ホルダーと、
前記基板に対向して配置されるターゲット材を保持するターゲットホルダーと、
前記基板表面に対する前記ターゲット材表面の角度を変化させるために前記ターゲットホルダーの取付角度を変えるターゲットホルダー取付角度可変機構と
を有するスパッタリング成膜装置。 - 同一の前記基板にスパッタリング成膜が行われる間、前記ターゲットホルダー取付角度可変機構は、前記ターゲットホルダーの取付角度を少なくとも1回変える請求項1記載のスパッタリング成膜装置。
- 前記基板ホルダーの周方向に前記基板が保持されていない不感帯が形成され、
前記ターゲットホルダー取付角度可変機構は、前記ターゲット材が前記不感帯に対向した時に前記ターゲットホルダーの取付角度を変える請求項1又は2記載のスパッタリング成膜装置。 - ターゲット材を用いて基板上に無機膜をスパッタリング成膜する封止膜の製造方法であって、スパッタリングの間に前記ターゲット材の表面と前記基板の蒸着面とのなす角を少なくとも1回変化させ、成膜方向が異なる皮膜を少なくとも2層積層させる封止膜の製造方法。
- 請求項4記載の封止膜の製造方法によって製造された封止膜を有する有機EL素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006177495A JP2008007806A (ja) | 2006-06-28 | 2006-06-28 | スパッタリング成膜装置、封止膜の製造方法及び有機el素子 |
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KR20200125220A (ko) * | 2019-04-26 | 2020-11-04 | 주식회사 테토스 | 자동화된 기판 측면부 증착 방법 |
-
2006
- 2006-06-28 JP JP2006177495A patent/JP2008007806A/ja not_active Withdrawn
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