JP2015034137A - 2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法および2−メチレングルタル酸ジエステル組成物 - Google Patents

2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法および2−メチレングルタル酸ジエステル組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】2−メチレングルタル酸ジエステルを高い収率で製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
アクリル酸エステルをホスフィン系触媒の存在下で二量化する工程を含み、該ホスフィン系触媒の使用量は、アクリル酸エステルの使用量100モル%に対して0.001〜0.2モル%であり、該二量化する工程における、反応液の水分量が、ホスフィン系触媒の使用量1モルに対して0〜20モルである、2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法および2−メチレングルタル酸ジエステル組成物に関する。より詳しくは、医薬、農薬を初めとする各種有機化合物、塗料用ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂製造用の原料やその他重合体の原料として用いることができる2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法および該2−メチレングルタル酸ジエステルを含む組成物に関する。
カルボン酸エステルの二量体(ダイマー)の1種である2−メチレングルタル酸ジエステルは、医薬、農薬を初めとする各種有機化合物、塗料用ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂製造用の原料やその他重合体の原料として用いられており、非常に有用である。また、2−メチレングルタル酸ジエステルは、カルボキシル基を2つ有することに起因して、通常のカルボン酸モノエステルとは異なる特性を発揮することが期待される。例えば、2−メチレングルタル酸ジエステルから得られるジカルボン酸を原料としてポリカルボン酸系重合体を製造した場合、側鎖にカルボキシル基を2つ有する重合体となり、これを洗剤ビルダーとして用いると、カルシウム等のキレート能に優れた重合体となると考えられる。2−メチレングルタル酸ジエステルは、このような分散剤、水処理剤、洗剤用のビルダーの原料としてだけでなく、様々な分野への利用が期待されている。
このような2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法としては、アクリル酸モノエステルを原料とし、アミノホスフィン系触媒を用いる点では共通し、触媒の使用量、溶媒使用の有無、反応温度及び時間、反応雰囲気、重合禁止剤の使用等についてそれぞれ相違がある種々の方法が開示されている(特許文献1〜6参照。)。
特公昭41−19331号公報 米国特許第3342854号 特公昭45−29646号公報 特公昭46−13369号公報 特開昭48−86816号公報 特公昭48−11087号公報
上記のとおり、2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法として、種々の方法が開示されているが、これらの方法はいずれも2−メチレングルタル酸ジエステルの収率の点で充分とはいえないものであることから、2−メチレングルタル酸ジエステルを更に高い収率で製造することができる製造方法を開発する余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、2−メチレングルタル酸ジエステルを更に高い収率で製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、着色の少ない2−メチレングルタル酸ジエステル組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、下記の構成により、上記課題が解決されることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明にかかる製造方法は、2−メチレングルタル酸ジエステルを製造する方法であって、該製造方法は、アクリル酸エステルをホスフィン系触媒の存在下で二量化する工程を含み、該ホスフィン系触媒の使用量は、アクリル酸エステルの使用量100モル%に対して0.001〜0.2モル%であり、該二量化する工程における、反応液の水分量が、ホスフィン系触媒の使用量1モルに対して0〜20モルである、2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法である。
さらに、本発明の別の局面からは、2−メチレングルタル酸ジエステル組成物が提供される。すなわち、本発明にかかる2−メチレングルタル酸ジエステル組成物は、2−メチレングルタル酸ジエステルを60〜100質量%含む組成物であって、ハーゼン色数が30以下の2−メチレングルタル酸ジエステル組成物である。
本発明の製造方法によれば、2−メチレングルタル酸ジエステルを良好な収率で製造することができる。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう)は、アクリル酸エステルをホスフィン系触媒の存在下で二量化する工程を含んでいる。
上記ホスフィン系触媒は、トリアルキルアミノホスフィン系触媒、アルキルジアルキルアミノホスフィン系触媒及びアリールジアルキルアミノホスフィン系触媒からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。ホスフィン系触媒としてこれらのいずれかのものを用いることで、2−メチレングルタル酸ジエステルの収率をより高いものとすることができる。
上記トリアルキルアミノホスフィン系触媒は、下記式(1);
(RN)P (1)
(式中、R、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表される構造を有するものである。
上記R、Rは、直鎖状アルキル基であっても分岐鎖状アルキル基であってもよく、また、環状アルキル基であってもよい。好ましい炭素数としては、1〜10であり、より好ましくは、1〜5であり、更に好ましくは、1〜3である。
上記アルキルジアルキルアミノホスフィン系触媒、又は、アリールジアルキルアミノホスフィン系触媒は、下記式(2);
P(RN) (2)
(式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、又は、アリール基を表す。R、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表される構造を有するものである。
上記Rがアルキル基の場合、直鎖状アルキル基であっても分岐鎖状アルキル基であってもよく、また、環状アルキル基であってもよい。好ましい炭素数としては、1〜10であり、より好ましくは、1〜5であり、更に好ましくは、1〜3である。
上記R、Rの好ましい構造は、上記式(1)におけるR、Rと同様である。
上記ホスフィン系触媒としては、上記のものの中でもトリアルキルアミノホスフィン系触媒、アリールジアルキルアミノホスフィン系触媒がより好ましく、最も好ましくは、トリアルキルアミノホスフィン系触媒である。
上記ホスフィン系触媒の使用量、すなわち、上記アクリル酸エステルをホスフィン系触媒の存在下で二量化する工程におけるホスフィン系触媒の使用量は、二量化反応の原料として使用するアクリル酸エステル100モル%に対して、0.001〜0.2モル%であることが好ましい。このような範囲でホスフィン系触媒を用いることで、二量化反応を充分に進行させ、高い収率で2−メチレングルタル酸ジエステルを得ることが可能となる。触媒使用量が多くなると、反応が速くなる反面、三量化反応等も進行しやすくなる傾向にある。また、触媒量が多いと、得られる2−メチレングルタル酸ジエステル組成物の着色が大きくなる(色相が悪くなる)傾向になる。そのため、ホスフィン系触媒の使用量は上記範囲内に設定することが重要である。
ホスフィン系触媒の使用量は、アクリル酸エステルの使用量100モル%に対して、0.005〜0.15モル%であることが好ましく、0.01〜0.1モル%であることがさらに好ましい。
上記アクリル酸エステルをホスフィン系触媒の存在下で二量化する工程における、反応液の水分量は、ホスフィン系触媒の使用量1モルに対して0〜20モルであることが重要である。
反応液の水分量が、上記範囲内であることにより、2−メチレングルタル酸ジエステルの収率が顕著に向上する傾向にある。また、ホスフィン系触媒の使用量を低減することが可能となり、得られる2−メチレングルタル酸ジエステル組成物の着色が抑制される傾向にある。
ここで、本発明の製造方法に用いるホスフィン系触媒は高価であるため、触媒の使用量を少なくしても高収率でジエステルを製造できることの意義は大きく、経済性に優れた製造方法である。
なお、上記「反応液の水分量」とは、全ての成分(原料、溶媒、触媒等)が、反応器に添加された時点での水分量である。具体的には、それぞれの成分が、反応器に添加される時点で有する水分や、予め反応器内に存在していた水分等の合計である。
また、ホスフィン系触媒の使用量1モルに対して0〜20モルとは、反応液に含まれる水のモル数/使用するホスフィン系触媒のモル数が、0〜20ということを意味する。
上記反応液の水分量は、ホスフィン系触媒の使用量1モルに対して0〜17.5モルであることが好ましく、ホスフィン系触媒の使用量1モルに対して0〜15モルであることがより好ましい。
なお、上記「反応液の水分量」は、全ての成分が反応器に添加された時点以後の反応液の水分濃度をカールフィッシャー水分計等で測定した測定値から算出することが好ましい。
上記反応液の水分濃度は、例えば、0〜600ppmが好ましく、0〜500ppmがより好ましく、0〜400ppmであることがさらに好ましい。
使用するそれぞれの成分は、予め蒸留や液液分離、吸着等の操作を行い、水分量を調整することが可能である。また、それぞれの成分(例えば溶媒)において水分量の異なる2以上(例えば高水分量の溶媒と低水分量の溶媒)を混合することにより、水分量を調整することも可能である。
本発明の製造方法に用いられるアクリル酸エステルは、下記式(3);
CH=CH−COOR (3)
(式中、Rは、炭素数1〜30の有機基を表す。)で表される構造を有する化合物である。
上記式(3)におけるRの有機基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、また、環状であってもよい。好ましい炭素数としては、1〜18であり、より好ましくは、1〜12であり、更に好ましくは、1〜8である。最も好ましくは、1〜4である。
上記式(3)におけるRの有機基としては、例えば、鎖状飽和炭化水素基、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基であることが好ましい。これらの基は、置換基を有していてもよく、すなわち、これらの基を構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部を置換基で置き換えた置換鎖状飽和炭化水素基、置換脂環式炭化水素基又は置換芳香族炭化水素基であってもよい。中でも、置換基を有していてもよい鎖状飽和炭化水素基が好ましい。
上記鎖状飽和炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−アミル、s−アミル、t−アミル、n−ヘキシル、s−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、s−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、カプリル、ノニル、デシル、ウンデシル、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、ペンタデシル、セチル、ヘプタデシル、ステアリル、ノナデシル、エイコシル、セリル、メリシル等の基が好適である。
また鎖状飽和炭化水素基を構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部をアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子等で置換したものであってもよく、例えば、アルコキシ基置換鎖状飽和炭化水素基、ヒドロキシ置換鎖状飽和炭化水素基、ハロゲン置換鎖状飽和炭化水素基等が好適なものとして挙げられる。
上記アルコキシ基置換鎖状飽和炭化水素基としては、例えばメトキシエチル、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、3−メトキシブチル、エトキシエチル、エトキシエトキシエチル、フェノキシエチル、フェノキシエトキシエチル等の基が好適なものとして挙げられる。上記ヒドロキシ置換鎖状飽和炭化水素基としては、例えばヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル等の基が好適なものとして挙げられる。上記ハロゲン置換鎖状飽和炭化水素基としては、ハロゲン原子がフッ素原子又は塩素原子であることが好ましく、例えばフルオロエチル、ジフルオロエチル、クロロエチル
、ジクロロエチル、ブロモエチル、ジブロモエチル等の基が好適なものとして挙げられる。
上記脂環式炭化水素基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、ジシクロペンタジエニル等の基が好適なものとして挙げられる。これについても、構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部をアルコキシ基、ヒドロキシ基やハロゲン原子等で置き換えた置換脂環式炭化水素基であってもよい。
上記芳香族炭化水素基としては、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、ベンジル、ジフェニルメチル、ジフェニルエチル、トリフェニルメチル、シンナミル、ナフチル、アントラニル等の基が好適なものとして挙げられる。これについても、構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部をアルコキシ基、ヒドロキシ基やハロゲン原子等で置き換えた置換芳香族炭化水素基であってもよい。
上述した置換基としては、他にも、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、アセトキシ基、アミノ基、ジアルキル基、ニトロ基、メルカプト基、スルホン基等が挙げられる。
上記式(3)で表されるアクリル酸エステルの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル酸、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
本発明の製造方法において、アクリル酸エステルは、1種を用いても良いし、2種以上を用いても良い。
本発明の製造方法(特に、アクリル酸エステルをホスフィン系触媒の存在下で二量化する工程)は、溶媒を用いて行われることが好ましい。溶媒を用いることなく反応を行うと、反応が活発に起こるようになるまでの時間は短くなるものの、反応の失活も早くなる。溶媒を用いて行うことで失活までの時間を長くすることができ、結果として2−メチレングルタル酸ジエステルの収率をより高いものとすることができる。
溶媒としては、アクリル酸エステルや2−メチレングルタル酸ジエステルを溶解することができるものである限り特に制限されず、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、アセトン、アセトニトリル等の非プロトン性の溶媒の1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、2−メチレングルタル酸ジエステルと沸点差のある、1気圧での沸点が80℃以上、150℃以下の溶媒が好ましい。そのような溶媒としては、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンが挙げられる。
なお、本発明の製造方法による製造を複数回行なう場合には、前に使用した溶媒を、精製し、若しくは精製せずに、本発明の製造方法で使用する溶媒の一部または全部として使用しても良い。プロセスの簡略化や省エネの観点からは、前の製造で使用した溶媒を、2−メチレングルタル酸ジエステルと分離後、精製せずに、溶媒の一部として使用することが好ましい。
上記溶媒の使用量としては、アクリル酸エステル100質量%に対して10〜400質量%であることが好ましい。二量化反応は、アクリル酸エステル同士の衝突によりおこるため、アクリル酸エステルに対する溶媒の割合が多すぎると、アクリル酸エステル同士の衝突頻度が低下して反応時間が長くなりすぎ、また溶媒が少ないと反応の失活までの時間を長くすることができなくなる。アクリル酸エステルに対して、このような割合で溶媒を用いることで、早期に反応が失活することを抑制しつつ、反応時間が長くなりすぎないように反応をすすめることができる。溶媒の使用量は、より好ましくは、アクリル酸エステル
100質量%に対して30〜300質量%であり、更に好ましくは、40〜200質量%であり、特に好ましくは、45〜200質量%である。
なお、本発明の製造方法において溶媒を用いる場合、アクリル酸エステルとホスフィン系触媒とを混合した後に溶媒を添加してもよく、アクリル酸エステルとホスフィン系触媒とをそれぞれ予め溶媒に溶解した後に混合してもよい。アクリル酸エステルとホスフィン系触媒とをそれぞれ予め溶媒に溶解した後に混合する場合、アクリル酸エステルを溶解するために使用された溶媒と、ホスフィン系触媒を溶解するために使用された溶媒との合計量が、上記範囲にあることが好ましい。
本発明の製造方法(特に、アクリル酸エステルをホスフィン系触媒の存在下で二量化する工程)は、アクリル酸エステルや2−メチレングルタル酸ジエステルの重合を抑制して2−メチレングルタル酸ジエステルの収率を高くするために重合禁止剤を用いて行うことが好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール若しくはp−メトキシフェノール(メトキノン)等のメトキシフェノール、又は、該メトキシフェノールがメチル基、t−ブチル基若しくは水酸基等の1個若しくは2個以上の置換基を有するメトキシフェノール類;ヒドロキノン、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール等のキノン類;2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類;アルキル化ジフェニルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のアミン類;ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅等のジチオカルバミン酸銅類;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルのエステル等の1−オキシル類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記重合禁止剤の使用量としては、収率、重合抑制、経済性の観点から、原料として使用されるアクリル酸エステルの全量に対して、0.01ppm以上とすることが好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、1ppm以上が更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。また、5000ppm以下とすることが好ましく、3000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1500ppm以下が特に好ましい。
本発明の製造方法において、アクリル酸エステルおよびホスフィン系触媒の反応器への添加は、一括添加であっても、逐次添加であっても良いが、アクリル酸エステルは一括添加することが好ましい。
アクリル酸エステルおよびホスフィン系触媒を反応器に添加する際に、単独で添加しても良いが、上記のとおり溶剤等に溶解してから添加したり、アクリル酸エステルとホスフィン系触媒を混合してから添加しても良い。ホスフィン系触媒は、溶剤に溶解してから反応器に添加することが好ましい。
例えば、溶媒とアクリル酸エステルとを反応器に添加した後で、ホスフィン系触媒を反応器に添加して二量化反応を行うことが好ましい。
本発明の製造方法において、アクリル酸エステルおよびホスフィン系触媒を混合する際に、ホスフィン系触媒と加熱したアクリル酸エステルとを混合して反応を行なうようにすると、2−メチレングルタル酸ジエステルの収率が向上する傾向にあることから好ましい。このようにすることで、触媒の使用量をさらに低減できる傾向にある。
ホスフィン系触媒と加熱したアクリル酸エステルとを混合する場合には、加熱したアクリル酸エステルに対してホスフィン系触媒を添加して混合してもよく、ホスフィン系触媒に加熱したアクリル酸エステルを添加して混合してもよい。好ましくは、加熱したアクリル酸エステルに対してホスフィン系触媒を添加する方法である。上記加熱したアクリル酸エステルとは、50〜140℃に加熱されたアクリル酸エステルであることが好ましく、60〜120℃に加熱されたアクリル酸エステルであることがより好ましく、70〜100℃に加熱されたアクリル酸エステルであることがさらに好ましい。
本発明の製造方法(特に、アクリル酸エステルをホスフィン系触媒の存在下で二量化する工程)は、反応液を攪拌しながら行なうことが好ましい。攪拌は、例えば反応をバッチ式で行なう場合には、攪拌機を使用する機械的な攪拌や、反応液をポンプ等により循環させる攪拌が可能である。
上記アクリル酸エステルをホスフィン系触媒の存在下で二量化する工程における反応温度は、60〜140℃が好ましい。より好ましくは、60〜120℃であり、更に好ましくは80〜100℃である。ホスフィン系触媒とアクリル酸エステルとを混合した後に反応温度を変化させる場合には、温度の変化が上記好ましい反応温度の範囲内で行われることが好ましい。上記範囲で反応を行うことにより、2−メチレングルタル酸ジエステルの収率が向上する傾向にあり、得られる2−メチレングルタル酸ジエステル組成物の着色が抑制される傾向にある。
上記アクリル酸エステルをホスフィン系触媒の存在下で二量化する工程における反応時間は、使用されるホスフィン系触媒の量に応じて適宜設定されることになるが、0.1〜24時間が好ましい。より好ましくは0.5〜16時間であり、更に好ましくは1〜8時間である。
また、反応は、大気圧下で行われることが好ましいが、減圧下、加圧下、いずれの圧力下で行ってもよい。
本発明の製造方法は、アクリル酸エステルをホスフィン系触媒の存在下で二量化する工程を含む限り、その他の工程を含んでいても良い。その他の工程としては、2−メチレングルタル酸ジエステルの反応液を濃縮する工程や、2−メチレングルタル酸ジエステルを精製する工程などである。精製する工程としては、蒸留による精製を含むことが好ましい。蒸留は、減圧下で行うことが好ましい。
本発明の2−メチレングルタル酸ジエステル組成物は、2−メチレングルタル酸ジエステルを必須に含み、その他、溶媒、アクリル酸エステル、アクリル酸エステルの3量体、ホスフィン系触媒等を含んでいても良い。
本発明の2−メチレングルタル酸ジエステル組成物は、2−メチレングルタル酸ジエステルを60質量%以上、100質量%以下含むことが好ましく、80質量%以上、99.99質量%以下含むことがより好ましく、90質量%以上、99.99質量%以下含むことがさらに好ましい。
本発明の2−メチレングルタル酸ジエステル組成物は、着色が少ない(色相が良好)であることを特徴としており、ハーゼン色数が30以下、好ましくはハーゼン色数が20以下である。
本発明の2−メチレングルタル酸ジエステル組成物は、例えば上記本発明の2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法等により製造することが可能であり、具体的には、(i)アクリル酸エステルをホスフィン系触媒の存在下で二量化する工程を含み、該ホスフィン系触媒の使用量は、アクリル酸エステルの使用量100モル%に対して0.001〜0.2モル%であり、該二量化する工程における、反応液の水分量が、ホスフィン系触媒の使用量1モルに対して0〜20モルである方法や、(ii)アクリル酸エステルをホスフィン系触媒の存在下で二量化する工程を含み、該ホスフィン系触媒の使用量は、アクリル酸エステルの使用量100モル%に対して0.001〜1モル%であり、アクリル酸エステルおよびホスフィン系触媒を混合する際に、ホスフィン系触媒と加熱したアクリル酸エステルとを混合して反応を行なう方法等により、製造することが可能である。
本発明の2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法で得られる2−メチレングルタル酸ジエステルは、更に加水分解することにより、2−メチレングルタル酸モノエステル、2−メチレングルタル酸や2−メチレングルタル酸塩等の2−メチレングルタル酸系化合物とすることができる。このような、アクリル酸エステルから上述の方法により製造された2−メチレングルタル酸ジエステルを加水分解してメチレングルタル酸系化合物を得るメチレングルタル酸系化合物の製造方法もまた本発明の1つである。そして更に、このようにして得られた2−メチレングルタル酸系化合物は、重合体の原料等として好適に用いることができるものであり、このような、本発明の2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法により製造された2−メチレングルタル酸ジエステルを加水分解して得られるメチレングルタル酸系化合物もまた、本発明の1つである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
[評価方法]
<反応収率等>
反応の収率、三量体収率及び基質転化率(アクリル酸メチルの転化率)は、ガスクロマトグラフ(GC−2014(商品名)、SHIMADZU社製、キャピラリーカラム InertCap Pure−Wax(商品名)長さ30m×内径0.25mm、膜厚0.25μm)を使用して測定し、事前に作成した検量線を使用して求めた。
<ハーゼン色数>
得られた2−メチレングルタル酸ジエステルを50℃で1ヶ月保管した後、2−メチレングルタル酸ジエステルのハーゼン色数を測定した。ハーゼン色数は、JIS K0071に準じて行った。
<実施例1>
温度計、滴下装置、冷却管、撹拌器を付けた四つ口フラスコにアクリル酸メチル(AM)1500g(メトキノン(MQ)を300ppm含む)、トルエン1480gを加え、撹拌しながらバス温100℃、内温が85℃になるまで加熱する。これにトルエン20gに溶解させたトリス(ジエチルアミノ)ホスフィン1500mgを滴下し、撹拌させ4時間反応させた。なお、反応液中の水分濃度は、350ppmであった(反応液中の水分量は、ホスフィン系触媒の使用量1モルに対して9.5モル)。反応終了後、ガスクロマトグラフィー分析により、反応率94%、2−メチレングルタル酸ジメチルの収率78%、3量体の収率11%であることを確認した。
反応液を200Torrで蒸留し、始めに未反応のアクリル酸メチルと溶媒のトルエンを回収し、その後、15Torrまで圧力を下げ、2−メチレングルタル酸ジメチル(本発明の組成物1)を1057g得た。
<実施例2〜3>
反応中の水分濃度をそれぞれ490ppm、600ppm(反応液中の水分量をそれぞれ、ホスフィン系触媒の使用量1モルに対して13.3モル、16.3モル)にする以外は、実施例1と同様にして、2−メチレングルタル酸ジメチルを得た(それぞれ、本発明の組成物2、3)。
<実施例4>
ホスフィン触媒量と反応中の水分量をそれぞれ表1記載の量にする以外は、実施例1と同様に反応を実施した。結果を表1に示した。
<比較例1〜3>
ホスフィン触媒量と反応中の水分量をそれぞれ表1記載の量にする以外は、実施例1と同様に反応を実施した。結果を表1に示した(比較組成物1〜3)。
<比較例4>
反応中の水分量を1400ppmにする以外は、実施例1と同様にして、2−メチレングルタル酸ジメチルを得た(比較組成物4)。
表1に2−メチレングルタル酸ジエステルの製造結果、表2に得られた2−メチレングルタル酸ジエステル組成物の物性を示す。
表1の結果から、本発明の構成により、2−メチレングルタル酸ジエステルが高収率で得られ、三量体等の副生成物の生成も比較的低く抑えられていることが明らかとなった。
表2の結果から、本発明の2−メチレングルタル酸ジエステル組成物は、着色が少なく、良好な色相を有することが明らかとなった。
Figure 2015034137
Figure 2015034137

Claims (2)

  1. 2−メチレングルタル酸ジエステルを製造する方法であって、
    該製造方法は、アクリル酸エステルをホスフィン系触媒の存在下で二量化する工程を含み、
    該ホスフィン系触媒の使用量は、アクリル酸エステルの使用量100モル%に対して0.001〜0.2モル%であり、
    該二量化する工程における、反応液の水分量が、ホスフィン系触媒の使用量1モルに対して0〜20モルである、
    2−メチレングルタル酸ジエステルの製造方法。
  2. 2−メチレングルタル酸ジエステルを60〜100質量%含む組成物であって、ハーゼン色数が30以下の2−メチレングルタル酸ジエステル組成物。
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