JP2015033149A - 半導体素子の駆動装置及びそれを用いた電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
半導体スイッチング素子の温度が変化しても、サージ電圧を確実に半導体スイッチング素子の耐圧以下に抑制する。
【解決手段】
IGBT10のオン・オフを制御する駆動装置が、IGBT10に印加される電圧を抑制する保護回路を備え、この保護回路は、IGBT10の温度を検出する温度検出手段12と、IGBT10の電圧が、直流電源の電圧とIGBT10の耐圧との間の所定の電圧以上に上昇したことを、ツェナーダイオード16を含む回路によって検知したら、温度検出手段12によって検出される温度に応じてその大きさが制御される電流をゲートに与える。
【選択図】図1
半導体スイッチング素子の温度が変化しても、サージ電圧を確実に半導体スイッチング素子の耐圧以下に抑制する。
【解決手段】
IGBT10のオン・オフを制御する駆動装置が、IGBT10に印加される電圧を抑制する保護回路を備え、この保護回路は、IGBT10の温度を検出する温度検出手段12と、IGBT10の電圧が、直流電源の電圧とIGBT10の耐圧との間の所定の電圧以上に上昇したことを、ツェナーダイオード16を含む回路によって検知したら、温度検出手段12によって検出される温度に応じてその大きさが制御される電流をゲートに与える。
【選択図】図1
Description
本発明は、半導体素子の駆動装置及びそれを用いた電力変換装置に関する。
電力変換装置は、直流電源から供給される直流電力を回転電機などの交流電気負荷に供給するための交流電力に変換する機能、あるいは回転電機により発電された交流電力を直流電源に供給するための直流電力に変換する機能を備えている。前記変換機能を果すため、電力変換装置は複数の半導体スイッチング素子を有するインバータ回路を有しており、半導体スイッチング素子が導通動作や遮断動作を繰り返すことにより直流電力から交流電力へあるいは交流電力から直流電力への電力変換を行う。
電力変換装置においては、半導体スイッチング素子の電流のdi/dtとインバータ回路の主回路インダクタンスにより電源電圧以上のサージ電圧が発生し、サージ電圧が過大になると半導体スイッチング素子が破壊してしまう。
このようなサージ電圧を抑える従来技術として、例えば、特許文献1に記載されている技術が知られている。本技術においては、MOSFETがターンオフするとき、MOSFETの駆動装置が、所定値以上のサージ電圧を検出したら、ゲート電圧を上昇させる。これにより、MOSFETの抵抗が下がり主電流が流れ、サージ電圧が所定値以下の電圧にクランプされる。
インバータ回路の使用環境により半導体スイッチング素子の温度が変化すると、発生するサージ電圧や素子耐圧の大きさが変化するため、上記従来技術のようにクランプ電圧が一定であると、サージ電圧が耐圧を超えてしまい、半導体スイッチング素子が破壊するおそれがある。
そこで、本発明は、半導体スイッチング素子の温度が変化しても、サージ電圧を確実に半導体スイッチング素子の耐圧以下に抑制できる半導体素子の駆動装置およびそれを用いた電力変換装置を提供する。
上記課題を解決するために、本発明による半導体素子の駆動装置は、半導体スイッチング素子のオン・オフを制御するための駆動信号を作成し、前記駆動信号を前記半導体スイッチング素子の制御端子に与える駆動回路と、前記半導体スイッチング素子に印加される電圧を抑制する保護回路と、を備えるものであって、前記保護回路は、前記半導体スイッチング素子の温度を検出する温度検出手段と、直流電源に接続され前記主電流が入力する前記半導体スイッチング素子の主端子の電圧が、前記直流電源の電圧と前記半導体スイッチング素子の耐圧との間の所定の電圧以上に上昇したことを検知したら、前記半導体スイッチング素子をオン状態にする信号であって、前記温度検出手段によって検出される前記半導体スイッチング素子の温度に応じてその大きさが制御される信号を作成して、前記制御端子に与える信号作成回路と、を備える。
本発明によれば、半導体スイッチング素子の温度に応じてその大きさが制御される信号によって、クランプ電圧の大きさを半導体スイッチング素子の温度に応じて変えることができる。これにより、半導体スイッチング素子の温度が変化しても、サージ電圧を確実に半導体スイッチング素子の耐圧以下に抑制できる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。
なお、以下に説明する構成は、DC/DCコンバータや直流チョッパなどの直流−直流電力変換装置にも適用可能である。また、以下に説明する構成は、車載用、産業用や家庭用などの電力変換装置にも適用可能である。
本発明の実施例を図1乃至図8に基づいて説明する。
まず、図8を用いて、本発明の一実施例であるインバータ装置の電気的な回路構成について説明する。
本実施例のインバータ装置INVは、パワーモジュールPMU,駆動回路装置DCU及び電動機制御装置MCUから構成されている。パワーモジュールPMUは電力変換用の主回路を構成しており、駆動回路装置DCUから出力される駆動信号を受けて動作し、直流電源である高圧バッテリBATから供給される直流電力を三相交流電力に変換し、モータMの固定子巻線に供給する。主回路は3相ブリッジ回路であり、3相分の直列回路(Au,Av,Aw)が高圧バッテリBATの正極側と負極側との間に電気的に並列に接続されて構成されている。直列回路はアームとも呼ばれ、2つのパワー半導体スイッチング素子によって構成されている。
アームは、上アーム側のパワー半導体スイッチング素子と下アーム側のパワー半導体スイッチング素子とが電気的に直列に接続されて構成されている。本実施例では、パワー半導体スイッチング素子として、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)を用いている。IGBTには、コレクタ電極とエミッタ電極との間にダイオード素子を電気的に逆並列に接続する。また、IGBTはコレクタ電極とエミッタ電極の他にゲート電極を備えている。
パワー半導体スイッチング素子としては、nチャネルのMOSFET(金属・酸化物・半導体電界効果トランジスタ)を用いてもよい。MOSFETを構成する半導体チップは、ドレイン電極,ソース電極及びゲート電極の3つの電極を備えている。また、ドレイン電極とソース電極との間には、ソース電極からドレイン電極に向かう方向が順方向である寄生の内蔵ダイオードが電気的に逆並列に接続される。
U相アームAuは、上アーム側のパワー半導体スイッチング素子Mpuのエミッタ電極と下アーム側のパワー半導体スイッチング素子Mnuのコレクタ電極が電気的に直列に接続されて構成されている。図8においては、U相アームAuを示すブロック内のみに具体的な回路構成を示しているが、V相アームAvおよびW相アームAwもU相アームAuと同様であり、パワー半導体スイッチング素子Mpv,Mpwのエミッタ電極にそれぞれパワー半導体スイッチング素子Mnv,Mnwのコレクタ電極が電気的に直列に接続されて構成されている。なお、本文中、下付き文字p,nはそれぞれ上アーム,下アームを示し、下付き文字u,v,wはそれぞれ三相交流のU相,V相,W相を示す。
パワー半導体スイッチング素子Mpu,Mpv,Mpwのコレクタ電極は高圧バッテリBATの高電位側(正極側)に電気的に接続されている。パワー半導体スイッチング素子Mnu,Mnv,Mnwのエミッタ電極は高圧バッテリBATの低電位側(負極側)に電気的に接続されている。また、パワー半導体スイッチング素子(Mpu,Mpv,Mpw,Mnu,Mnv,Mnw)のコレクタ(ドレイン)とダイオード素子(Dpu,Dpv,Dpw,Dnu,Dnv,Dnw)のカソードが電気的に接続され、パワー半導体素子(Mpu,Mpv,Mpw,Mnu,Mnv,Mnw)のエミッタ(ソース)とダイオード素子(Dpu,Dpv,Dpw,Dnu,Dnv,Dnw)のアノードが電気的に接続されている。
U相アームAuの中点、すなわち上アーム側のパワー半導体スイッチング素子のエミッタ電極と下アーム側のパワー半導体スイッチング素子のコレクタ電極との接続部分は、モータMのU相の固定子巻線に電気的に接続されている。V相アームAv,W相アームAwの中点もU相アームAuの中点と同様に、それぞれ、モータMのV相,W相の固定子巻線に電気的に接続されている。
直流電源である高圧バッテリBATの正極側と負極側との間には、パワー半導体素子の動作によって生じる直流電圧の変動を抑制するために、平滑用の電解コンデンサSECが電気的に接続されている。
パワーモジュールPMUは、ケースによって囲われたベース上に絶縁基板を介して半導体チップが実装され、三相ブリッジ回路が形成されるように、半導体チップ間、半導体チップと入力端子との間、半導体チップと出力端子との間がアルミワイヤや板状導体などの接続導体によって電気的に接続されて構成されている。ベースは、銅やアルミニウムなどの熱伝導性部材によって構成されている。ベースの下面は空気或いは冷却水などの冷却媒体によって冷却されるようになっている。ベースの下面には、冷却媒体による冷却効率を向上させるために、フィンなどが設けられている。絶縁基板は、窒化アルミニウムなどの絶縁部材からなるものであって、両面に配線パターンがメタライズされている。半導体チップは、前述したIGBTおよびダイオード素子を構成するものであり、両面に電極を有している。ベースと絶縁基板との間、絶縁基板と半導体チップとの間は、半田などの接合部材によって接合されている。
駆動回路装置DCUは、パワー半導体スイッチング素子(Mpu,Mpv,Mpw,Mnu,Mnv,Mnw)のゲート電極に電気的に接続されている。駆動回路装置DCUは、電動機制御装置MCUから出力された上アーム側のパワー半導体スイッチング素子(Mpu,Mpv,Mpw)の制御指令信号(Vpu*,Vpv*,Vpw*)を受けて、受けた制御指令信号(Vpu*,Vpv*,Vpw*)に応じて、上アーム側のパワー半導体スイッチング素子(Mpu,Mpv,Mpw)をオン・オフ駆動するための駆動信号(Vpu,Vpv,Vpw)を作成して、上アーム側のパワー半導体スイッチング素子(Mpu,Mpv,Mpw)のゲート電極に出力する。また、駆動回路装置DCUは、電動機制御装置MCUから出力された下アーム側のパワー半導体スイッチング素子(Mnu,Mnv,Mnw)の制御指令信号(Vnu*,Vnv*,Vnw*)を受けて、受けた制御指令信号(Vnu*,Vnv*,Vnw*)に応じて、下アーム側のパワー半導体スイッチング素子(Mnu,Mnv,Mnw)をオン・オフ駆動するための駆動信号(Vnu,Vnv,Vnw)を作成して、下アーム側のパワー半導体スイッチング素子(Mnu,Mnv,Mnw)のゲート電極に出力する。
なお、駆動回路装置DCUは、後述する本発明による実施例である半導体素子の駆動装置(図1〜3参照)を、パワー半導体スイッチング素子の個数分、図8においては6個、備えている。各駆動装置は、後述するように、サージ電圧をクランプして抑制する保護回路を備えている。
電動機制御装置MCUは、パワーモジュールPMUのパワー半導体スイッチング素子を動作させるための制御値を、入力された複数の入力信号に基づいて演算し、演算された制御値を制御指令信号(Vpu*〜Vnw*)として駆動回路装置DCUに出力するものであり、制御値を演算するマイクロコンピュータを備えている。マイクロコンピュータには、入力信号として、トルク指令信号(トルク指令値)τ*,回転数指令信号(回転数指令値)n*,検知信号(U相〜W相の電流値)iu〜iw及び検知信号(回転子の磁極位置)θが入力される。トルク指令信号(トルク指令値)τ*および回転数指令信号(回転数指令値)n*は、運転モードに応じて、図示されない総合制御装置GCUから出力される。検知信号(U相〜W相の電流値)iu〜iwは電流センサCu〜Cwから出力される。検知信号(回転子の磁極位置)θは、モータMに取り付けられる磁極位置センサから出力される。
電流センサCu〜Cwは、インバータ装置INV(すなわちパワーモジュールPMU)からモータMの固定子の固定子巻線に供給されるU相〜W相電流iu〜iwを検知するためのものであり、シャント抵抗器,変流器(CT)などから構成される。磁極位置センサは、モータMの回転子の磁極位置θを検出するためのものであり、レゾルバ,エンコーダ,ホール素子,ホールICなどから構成される。
マイクロコンピュータは、d軸,q軸の電流指令値(Id*,Iq*)を入力信号に基づいて演算し、演算された電流指令値(Id*,Iq*)に基づいて電圧制御値(Vu〜Vw)を演算し、演算された電圧制御値(Vu〜Vw)を、パワーモジュールPMUのパワー半導体スイッチング素子を動作させるための制御指令信号(例えば、PWM信号(パルス幅変調信号))Vpu*〜Vnw*として駆動回路装置DCUに出力する。
次に、図1,2を用いて、本発明の一実施例である半導体スイッチング素子の駆動装置の構成について説明する。
図1は、本実施例の上記パワーモジュールPMUにおける一相分のアーム(例えば、U相分のアームAu)の下アーム側(負極側)の半導体素子の駆動装置の回路構成を示す。
半導体スイッチング素子であるIGBT10とダイオード11が電気的に逆並列に接続され、駆動回路18は、上位からのIGBT10に対する制御指令信号を入力して、IGBT10の駆動信号(例えばVnu)となるゲート電圧を出力すると共に、ゲート電流を入出力する。
以下、本実施例においてサージ電圧を抑制する保護回路について説明する。
IGBT10の温度を検知する温度検知手段12がIGBT10に隣接する領域に設けられる。温度検知手段12は、IGBT10の温度を電流又は電圧に変換して温度信号13として出力する。主電流が入力するIGBT10のコレクタ電極の電圧を検出するため、ツェナーダイオード16,次いでダイオード15,抵抗14が電気的に直列に接続され、本直列接続回路がIGBT10のコレクタとゲートの間に電気的に接続される。ツェナーダイオード16のツェナー電圧は、バッテリ電圧以上、かつIGBT10及びダイオード11の耐圧以下の電圧である。ダイオード15はIGBT10がターンオンするときにゲート電流がIGBT10のコレクタに流れないようにする。抵抗14はIGBT10のコレクタ電圧がバッテリ電圧を超えて、ツェナーダイオード16に電流が流れたときに、その電流値を制限する。
電流源17は抵抗14に発生する電圧とIGBT10の温度信号13を入力して、温度信号13に応じてその大きさが所定値に制御される電流をIGBT10のゲート電極に流し込むものであり、温度に応じて電流値は変わる。
IGBT10がターンオフするとき、IGBT10の電流のdi/dtとインバータの主回路インダクタンスによって、IGBT10のコレクタ電圧がバッテリ電圧以上に跳ね上がり、ターンオフサージ電圧が発生する。ターンオフサージ電圧がゲート電圧Vge、ダイオード15の順方向電圧Vdおよびツェナー電圧Vzの和を超えたときに、抵抗14の両端に生じる電圧が電流源17に入力されると、電流源17は温度信号13に応じた大きさの電流をIGBT10のゲート電極に注入する。このゲート電流の注入によりIGBT10が若干ターンオンし、IGBT10のインピーダンスが若干下がって、ターンオフサージ電圧が所定のクランプ電圧Vcにクランプされる。IGBT10の温度に応じて電流源17の電流値が変わるので、クランプ電圧Vcも温度に応じて変わる。これにより、温度に依存しやすいIGBT10の耐圧やターンオフサージ電圧によるIGBT10の破壊が防止できる。
また、上アーム側(正極側)のIGBTがターンオンしたときは、下アーム側(負極側)のダイオード11にリカバリ電流が流れ、リカバリ電流のdi/dtとインバータ装置の主回路インダクタンスによって、IGBT10のコレクタ電極の電圧がバッテリ電圧以上に跳ね上がり、リカバリサージ電圧が発生する。リカバリサージ電圧がゲート電圧Vge、ダイオード15の順方向電圧Vd及びツェナー電圧Vzの和を超えたときに、抵抗14の両端に生じる電圧が電流源17に入力されると、電流源17は温度信号13に応じた大きさの電流をIGBT10のゲート電極に注入する。このゲート電流の注入によりIGBT10が若干ターンオンし、IGBT10のインピーダンスが若干下がって、リカバリサージ電圧が所定のクランプ電圧Vcにクランプされる。IGBT10の温度に応じて電流源17の電流値が変わるので、クランプ電圧Vcも温度に応じて変わる。これにより、温度に依存しやすいIGBT10の耐圧やリカバリサージ電圧によるIGBT10の破壊を防止できる。
図2は、本実施例の回路構成の具体例を示す。特に、図1における温度検出手段12および電流源17の具体的回路構成を示す。
電圧反転器21は、抵抗14に電流が流れて、抵抗14の両端の電圧が所定の電圧以上(例えばVcc/2以上)になると、Lowレベル(例えばVcc/2以下)を出力し、次段のカレントミラー回路に入力される。カレントミラー回路は、例えば本図に示すような抵抗22、入力側バイポーラトランジスタ23、出力側バイポーラトランジスタ24、温度検出手段12(本図ではIGBT10に内蔵された温度検知ダイオード)、抵抗25で構成されている。
IGBT10がターンオフするときに発生するターンオフサージ電圧が、ゲート電圧Vge,ダイオード15の順方向電圧Vdおよびツェナー電圧Vzの和を超えたときに、抵抗14の両端に生じる電圧が電圧反転器21に入力されると、電圧反転器21はLowレベル(例えばVcc/2)以下を出力する。このため、抵抗22の一端がLowレベルとなり、入力側バイポーラトランジスタ23のベースに電流が流れ、入力側バイポーラトランジスタ23にエミッタ電流(I1)が流れる。同時に温度検知手段12であるダイオードにも電流(I1)が流れる。また、同時に出力側バイポーラトランジスタ24も動作し、入力側バイポーラトランジスタ23と出力側バイポーラトランジスタ24の電気的特性が同じであるとすると、温度検知ダイオード12の順方向電圧Vdと抵抗25の両端の電位差(Vr)は同じになる。従って、抵抗25の抵抗値をR、流れる電流をI2とすると、Vd=Vr=R・I2となるので、I2=Vd/Rとなる。
通常、ダイオードの順方向電圧Vdの温度係数は負であるので、IGBT10の温度が上がるとVdは小さくなり、温度が下がるとVdは大きくなる。従って、電流源17の出力電流であるI2は温度が上がると減少し、温度が下がるとI2は増加する傾向となる。つまり、IGBT10の温度に応じた電流I2がIGBT10のゲート電極に注入される。
このゲート電流の注入によりIGBT10が若干ターンオンし、IGBT10のインピーダンスが若干下がって、ターンオフサージ電圧が所定のクランプ電圧Vcにクランプされる。IGBT10の温度が高い場合にはI2は小さいので、クランプ電圧Vcは高くなり、温度が低い場合にはI2が大きいので、クランプ電圧は低くなる。この効果によりIGBT10の耐圧が低温で下がったり、ターンオフサージが低温で上がったりする場合に、クランプ電圧が下がるので、IGBT10の温度が変化しても、IGBT10のターンオフサージ電圧による破壊を確実に防止できる。
また、上アーム側(正極側)のIGBTがターンオンしたときに発生するリカバリサージ電圧が、ゲート電圧Vge,ダイオード15の順方向電圧Vdおよびツェナー電圧Vzの和を超えたときに、抵抗14の両端に生じる電圧が電圧反転器21に入力されると、電圧反転器21はLowレベル(例えばVcc/2)以下を出力する。さらに、上述したターンオフサージ電圧が発生する場合と同様に、カレントミラー回路が動作して、温度検出手段12であるダイオードの順電圧降下Vdの温度特性に応じて、抵抗17に電流I2=Vd/Rが流れる。この電流がIGBT10のゲート電極に注入され、IGBT10が若干ターンオンし、リカバリサージ電圧がIGBT10の温度に応じた大きさのクランプ電圧Vcにクランプされる。これにより、IGBT10の温度が変化しても、IGBT10のリカバリサージ電圧による破壊を確実に防止できる。
なお、本実施例ではパワー半導体スイッチング素子としてIGBTを用いているが、MOSFETを用いても良い。MOSFETの場合、ダイオード11として内蔵ダイオードを用いることができるので、個別のダイオードを接続しなくても良い。また、本実施例では、IGBT及びダイオードを1個ずつ接続しているが、それらの個数は電力変換装置の電力容量に応じて、複数個ずつ並列に接続してもよい。
図3は、本実施例の回路構成の他の具体例を示す。図2と同様に、図1における温度検出手段12および電流源17の具体的回路構成を示す。
本実施例の基本的な回路構成、回路動作は図2の半導体駆動装置と同じであるが、違いは、温度検知手段12がサーミスタである点である。このサーミスタの温度係数は負とし、ある温度での抵抗値をRthとすると、電流源17の出力電流は、I2・R=I1・RthからI2=(Rth/R)・I1となる。温度が高いとRthは下がるのでI2も小さくなり、温度が低いとRthは上がるのでI2も大きくなる。なお、I1は抵抗R22の抵抗値をR1、電圧反転器21のLowレベルをViとすると、I1=(Vcc−Vbe−Vi)/(Rth+R1)と表される。ただし、Vbeは、入力側バイポーラトランジスタ23のオン時のエミッタ・ベース電圧であり、コレクタとベースがショートされているので、ほぼダイオード部の順方向電圧(Vd)に等しい。これ以外は、図2の実施例と、動作および効果は同様である。
図4は、温度に応じてクランプ電圧を制御しない従来のターンオフ波形例を示す。それぞれの波形は、ゲート電圧Vge40,ゲート電流Ig41,IGBT10のコレクタ・エミッタ間電圧Vce42,IGBT10のコレクタ電流Ic43である。温度が低い場合にはターンオフ時のクランプ電圧が高く、ターンオフサージ電圧が高くなる。
図5は本実施例のターンオフ波形例を示す。それぞれの波形はゲート電圧Vge50,ゲート電流Ig51,IGBT10のコレクタ・エミッタ間電圧Vce52,IGBT10のコレクタ電流Ic53である。温度が低い場合にはIGBT10のゲート電流が電流源17による電流注入により増加し、ターンオフ時のクランプ電圧が低くなり、ターンオフサージ電圧も低くなる。
図6は、温度に応じてクランプ電圧を制御しない従来のダイオードリカバリ波形例を示す。それぞれの波形はIGBT10のゲート電圧Vge60,IGBT10のゲート電流Ig61,ダイオード11のアノード・カソード間電圧VF62,ダイオード11の順方向電流IF43である。温度が低い場合にはリカバリ時のクランプ電圧が高く、リカバリサージ電圧が高くなる。
図7は本実施例のダイオードリカバリ波形例を示す。それぞれの波形はIGBT10のゲート電圧Vge70,IGBT10のゲート電流Ig71,ダイオード11のアノード・カソード間電圧VF72,ダイオード11の順方向電流IF73である。温度が低い場合にはIGBT10のゲート電流が電流源17による電流注入により増加し、リカバリ時のクランプ電圧が低くなり、リカバリサージ電圧が低くなる。
以上、本実施例によれば、半導体スイッチング素子の温度が変わってもスイッチング時に発生するサージ電圧をスイッチング素子の耐圧以下に確実に低減でき、高速スイッチング、低損失、高耐ノイズ、高信頼の駆動装置及びそれを用いた電力変換装置を提供できる。
なお、本発明は前述した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前述した各実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、さらに、ある実施例の構成に他の実形例の構成を加えることも可能である。さらにまた、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置き換えをすることが可能である。
たとえば、駆動装置によって制御されるパワー半導体スイッチング素子は、IGBTのほか、パワーMOSFETでも良い。また、保護回路の電流源となるカレントミラー回路の入出力側トランジスタとしてMOSFETを適用しても良い。
10…IGBT、11…ダイオード、12…温度検出手段、13…温度信号、
14…抵抗、15…ダイオード、16…ツェナーダイオード、17…電流源、
18…駆動回路、21…電圧反転器、22…抵抗、
23…入力側バイポーラトランジスタ、24…出力側バイポーラトランジスタ、
25…抵抗、INV…インバータ装置、PMU…パワーモジュール、
DCU…駆動回路装置、MCU…電動機制御装置、M…モータ、
Cu,Cv,Cw…電流センサ、Au…U相アーム、Av…V相アーム、
Aw…W相アーム、SEC…電解コンデンサ、BAT…高圧バッテリ
14…抵抗、15…ダイオード、16…ツェナーダイオード、17…電流源、
18…駆動回路、21…電圧反転器、22…抵抗、
23…入力側バイポーラトランジスタ、24…出力側バイポーラトランジスタ、
25…抵抗、INV…インバータ装置、PMU…パワーモジュール、
DCU…駆動回路装置、MCU…電動機制御装置、M…モータ、
Cu,Cv,Cw…電流センサ、Au…U相アーム、Av…V相アーム、
Aw…W相アーム、SEC…電解コンデンサ、BAT…高圧バッテリ
Claims (6)
- 半導体スイッチング素子のオン・オフを制御するための駆動信号を作成し、前記駆動信号を前記半導体スイッチング素子の制御電極に与える駆動回路と、
前記半導体スイッチング素子に印加される電圧を抑制する保護回路と、
を備える半導体素子の駆動装置において、
前記保護回路は、
前記半導体スイッチング素子の温度を検出する温度検出手段と、
直流電源に接続され主電流が入力する前記半導体スイッチング素子の主電極の電圧が、前記直流電源の電圧と前記半導体スイッチング素子の耐圧との間の所定の電圧以上に上昇したことを検知したら、前記半導体スイッチング素子をオン状態にする信号であって、前記温度検出手段によって検出される前記半導体スイッチング素子の温度に応じてその大きさが制御される信号を作成して、前記制御端子に与える信号作成回路と、
を備えることを特徴とする半導体素子の駆動装置。 - 請求項1に記載の半導体素子の駆動装置において、
前記信号作成回路は前記信号として制御電流を出力する電流源を備えることを特徴とする半導体素子の駆動装置。 - 請求項2に記載の半導体素子の駆動装置において、
前記電流源は、入力電流を流す入力側トランジスタと、前記制御電流を流す出力側トランジスタとを有するカレントミラー回路を含み、前記入力側トランジスタには前記温度検出手段が接続されることを特徴とする半導体素子の駆動装置。 - 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の半導体素子の駆動装置において、
前記温度検出手段がダイオードであることを特徴とする半導体素子の駆動装置。 - 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の半導体素子の駆動装置において、
前記温度検出手段がサーミスタであることを特徴とする半導体素子の駆動装置。 - 上アーム側の半導体スイッチング素子と下アーム側の半導体スイッチング素子との直列回路の両端が直流電源に接続され、直列接続点が交流端子に接続されるアーム回路を複数個備え、かつ前記上アーム側の半導体スイッチング素子および前記下アーム側の半導体スイッチング素子のオン・オフを制御する複数の駆動回路装置を備える電力変換装置において、
前記駆動回路装置が請求項1ないし5のいずれか1項に記載の半導体素子の駆動装置であることを特徴とする電力変換装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013158588A JP2015033149A (ja) | 2013-07-31 | 2013-07-31 | 半導体素子の駆動装置及びそれを用いた電力変換装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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2013
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