JP2015032392A - 荷電粒子線装置及びその応用装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置のスループットを落とさずに、試料からの二次粒子の検出信号成分とフォトマルの暗電流ノイズ成分とを弁別する最適しきい値を検出し、高S/N状態を維持する荷電粒子線装置及びその応用装置を提供する。【解決手段】ラスタースキャン方式により試料面上を一次電子ビーム16で走査して観察画像を取得する際における、ライン走査と次のライン走査の間の、ブランキング電極17によって試料面上への一次電子ビーム16の照射がカットされるブランキング時間を利用して、検出器22のフォトマル出力における暗電流ノイズの波高値データを収集し、暗電流ノイズの波高値に対する発生頻度分布を表すヒストグラムの導出を行う。この結果より、最適なしきい値Hを導出し、最適なしきい値Hを更新し続けることで、常に高S/Nで信号を検出し、高S/Nな画像表示を行う。【選択図】図2
Description
本発明は、S/N(信号対雑音比)の向上及びスループットの安定化をはかった荷電粒子線装置及びその応用装置に関する。
荷電粒子線装置及びその応用装置の例として、走査型電子顕微鏡、走査型イオン顕微鏡、集束イオンビーム加工観察装置、等が挙げられる。
例えば、走査型電子顕微鏡では、電子銃で発生させた電子線(電子ビーム)を、電磁レンズ等でステージ上に配置された試料の試料面上の一点に絞って照射し、その照射点(電子線の照射位置)を偏向器により試料面上で二次元走査することで、試料表面及び試料内部の情報を持った二次電子或いは反射電子といった放出電子を照射点毎に発生させる。そして、この照射点毎に発生する放出電子を検出器で検出し、A/D変換した後に画像化することにより、試料の表面形状等を二次元観察できるようになっている。また、走査型イオン顕微鏡では、イオン銃部で発生させたイオン線(イオンビーム)を、静電レンズ等でステージ上に配置された試料面上の一点に絞って照射し、その照射点を偏向器により試料面上で二次元走査することで、試料表面及び試料内部の情報を持った放出電子又は放出イオンを照射点毎に発生させる。そして、この照射点毎に発生する放出電子又は放出イオンを検出器で検出することにより、走査型電子顕微鏡の場合と同様にして、試料の表面形状等を二次元観察できるようになっている。
このような荷電粒子線装置では、放出電子又は放出イオンといった二次粒子の高速かつ高感度な検出を目的として、検出器には、シンチレータと光電子増倍管とを組み合わせた構成が採用されている(以下では、光電子増倍管のことをフォトマル(フォトマルチプライヤー: PMT,Photomultiplier Tube)とも称する)。検出器は、二次粒子の衝突によりシンチレータが発する非常に微弱な光を、検出可能な電気信号としてフォトマルが取り出せる構成になっている。また、このような荷電粒子線装置では、この検出器の出力信号をA/D変換したデータに対して、信号処理として、適切なオフセット加算演算、ゲイン乗算演算を行うことによって、明瞭な観察画像を生成することができるようになっている。
ところで、このような荷電粒子線装置では、試料観察時における電子線又はイオン線といった荷電粒子線の試料面上での二次元走査に、通常、ラスタースキャン方式が採用されている。
図12は、ラスタースキャン方式による試料面上での荷電粒子線の二次元走査を模式的に示した図である。
ラスタースキャン方式では、図示のように、荷電粒子線の照射点を試料面上における観察範囲のx軸方向の開始点から終了点まで移動させるように、荷電粒子線をx軸方向に一次元走査する。そして、この荷電粒子線による1ライン分の走査を終えたならば、不要な荷電粒子線が試料に照射されるのを防ぐ目的で、例えばブランキング偏向器等によって試料面上への荷電粒子線の照射を一時的にカットした上で、x軸方向は開始点のまま、y軸方向は前回走査したy軸方向の開始点から1ライン分ずらした点に照射点に移し、再び、x軸方向の開始点から終了点までの荷電粒子線による1ライン分の走査を開始する。その後、試料面上のy軸方向に沿って観察範囲に対応するライン数分だけ、同様な荷電粒子線の1ライン分走査を繰り返して行い、二次元のスキャン画像からなる観察画像を作り出している。
ところで、このような荷電粒子線装置又はその応用装置では、検出器の検出信号にノイズが重畳されていると、試料の微細な形状や欠陥を観察するために生成した観察画像が劣化する。そして、この検出器の検出信号に重畳するノイズの原因の一つとして、シンチレータからの非常に微弱な光を検出可能な電気信号に変換して取り出すため、検出器に用いられているフォトマルの暗電流ノイズが挙げられる。この場合、検出器の検出信号は、フォトマルの出力電流を電流若しくは電圧信号で取り出して、二次粒子の検出が出力パルスとして現れるフォトマル出力であり、フォトマルの暗電流ノイズは、シンチレータから光が入射していない状態でもこのフォトマル出力に現れる暗電流パルスノイズのことを指す。
そこで、従来は、特許文献1に記載されているように、シンチレータに放出電子が衝突していない、すなわちフォトマルにシンチレータから光が入射していない無光時のフォトマル出力に現れる暗電流パルスノイズの波高値をしきい値として、試料からの放出電子の検出信号の取り出し時には、このしきい値以上の波高値をもつフォトマル出力の出力パルスのみを検出信号として取り出し、検出器の検出信号において放出電子の検出信号分とフォトマルの暗電流ノイズ分の弁別を行うことが有効であると考えられていた。
すなわち、試料画像として取得した観察画像からフォトマルの暗電流ノイズを除去するためには、検出器の検出信号であるフォトマル出力から試料からの二次粒子の検出信号を取り出す際に、フォトマルの暗電流ノイズ分と、シンチレータからの光の入射に基づいた試料からの二次粒子の検出信号分とを分離するための適切なしきい値を導出しておき、フォトマル出力においてはそのしきい値よりも小さい波高値の出力パルスをカットし、しきい値以上の波高値の出力パルスからなるフォトマル出力を、荷電粒子線の照射によって試料から放出された二次粒子の検出信号として取り出し、この取り出した検出信号を基に観察画像を画像化していた。
しかしながら、フォトマルの暗電流ノイズの特徴として、発生頻度は非常に少ないものの、その暗電流パルスノイズの波高値は、シンチレータに僅かな数の二次粒子しか衝突しない微弱光検出状態のフォトマル出力における出力パルスの波高値と比較してみても、比較的大きいということがある。
このように、フォトマルの暗電流ノイズは、発生頻度こそ少ないが、比較的、高波高値の暗電流パルスノイズとして出力されることもある。そのため、荷電粒子線の照射により試料から放出される二次粒子の検出信号を検出器のフォトマル出力で取り出す際に、試料からの二次粒子の検出信号分とフォトマルの暗電流ノイズ分とを分離するためのしきい値を、フォトマルの暗電流パルスノイズの波高値のみを観測して安易に設定してしまうと、検出器の検出信号であるフォトマル出力から、試料からの二次粒子の検出信号分に該当するフォトマル出力まで大幅にカットすることにもなりかねず、荷電粒子線の照射によって試料から放出された二次粒子の検出信号を過剰に除去してしまう可能性があった。
そのため、試料からの二次粒子の検出信号を最適なS/N状態で提供し得るためのしきい値は、より数多くのフォトマルの暗電流ノイズの波高値を測定し、それらの発生頻度から統計的に割り出す必要があった。
また、フォトマルの暗電流ノイズは、周辺温度の変化等によって刻々と変化するため、最適しきい値を、フォトマルの暗電流ノイズの変化に伴い頻繁に導出する必要がある。そのため、荷電粒子線装置やその応用装置のスループットを落とさずに、フォトマル出力に暗電流ノイズとして現れる、より数多くの暗電流パルスノイズの波高値を測定し、最適しきい値を導出するタイミングを提供することも望まれていた。
そこで、本発明は、装置のスループットを落とさずに、試料からの二次粒子の検出信号分とフォトマルの暗電流ノイズ分とを弁別する最適しきい値を検出し、試料からの二次粒子の検出信号を高S/Nな検出状態に維持することができる荷電粒子線装置及びその応用装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明に係る荷電粒子線装置又はその応用装置では、まず、
1) 荷電粒子線をラスタースキャン方式により試料上で走査して観察画像を画像表示する際、例えばライン走査と次のライン走査との間等に、ブランキング偏向器によって試料上への荷電粒子線の照射がカットされる時間(これを、ブランキング時間と称する)がある、
2) このブランキング時間の間は、検出器では、シンチレータに試料からの二次粒子が衝突することが無く、シンチレータからの光がフォトマルに入射されないことから、検出器からは検出信号として暗電流ノイズ分のフォトマル出力(暗電流パルスノイズ)しか出力されない、
ことに着目した。
1) 荷電粒子線をラスタースキャン方式により試料上で走査して観察画像を画像表示する際、例えばライン走査と次のライン走査との間等に、ブランキング偏向器によって試料上への荷電粒子線の照射がカットされる時間(これを、ブランキング時間と称する)がある、
2) このブランキング時間の間は、検出器では、シンチレータに試料からの二次粒子が衝突することが無く、シンチレータからの光がフォトマルに入射されないことから、検出器からは検出信号として暗電流ノイズ分のフォトマル出力(暗電流パルスノイズ)しか出力されない、
ことに着目した。
そこで、本発明に係る荷電粒子線装置又はその応用装置では、このブランキング時間を利用して、フォトマル出力に暗電流ノイズとして現れる、より数多くの暗電流パルスノイズの波高値を数多く収集し、これら収集した暗電流ノイズ分のフォトマル出力に係る波高値毎の暗電流パルスノイズの発生頻度分布を表すパルス波高分布のヒストグラムの導出を行う構成とした。
そして、このパルス波高分布のヒストグラムに表れた、フォトマル出力にフォトマルの暗電流ノイズとして現れた暗電流パルスノイズの波高値毎の発生頻度を基に、試料からの二次粒子がシンチレータに衝突する試料観察時のフォトマル出力に係り、試料からの二次粒子の検出信号分とフォトマルの暗電流ノイズ分とを弁別する最適しきい値を導出し、常時、最適なしきい値を更新し続ける構成とした。
これにより、試料からの二次粒子の検出信号を常に高S/Nな信号状態で検出し、高S/Nな試料画像の取得を可能にした。
本発明によれば、装置のスループットを落とさずに、フォトマルが出力する検出信号分とノイズ分とを弁別する最適しきい値を検出し、試料からの二次粒子の検出信号を高S/Nな検出状態に維持する荷電粒子線装置とその応用装置を提供することができる。
上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
上記した以外の、課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
本発明に係る荷電粒子線装置又はその応用装置について、本発明を走査型電子顕微鏡に適用した場合の実施の形態を例に、以下、図面に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る走査型電子顕微鏡の構成図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る走査型電子顕微鏡1は、電子光学鏡筒2と、試料室3とを備えた顕微鏡本体1aを有する。
図1に示すように、本実施の形態に係る走査型電子顕微鏡1は、電子光学鏡筒2と、試料室3とを備えた顕微鏡本体1aを有する。
電子光学鏡筒2は、その内部が真空に保たれ、電子銃14、引出し電極15、ブランキング電極(ブランキング偏向器)17、絞り18、偏向電極(走査偏向器)19、焦点コイル20、動焦点コイル21、検出器22、E×B偏向器23等が備えられている。
電子銃14は、一次電子ビーム(一次電子線)16を生成する。引出し電極15は、電子銃14で生成された一次電子ビーム16を引出す。偏向電極19は、一次電子ビーム16の照射位置を試料面上で走査するため、絞り18を通過してくる一次電子ビーム16の進行方向をその光軸方向に対して偏向する。焦点コイル20及び動焦点コイル21は、絞り18を通過してくる一次電子ビーム16を細く絞り、偏向電極19による偏向に応じて、試料室内に配置された試料面上の観察範囲(走査範囲)内の一点に絞って一次電子ビーム16が照射されるように、一次電子ビーム16を収束する。ブランキング電極17は、例えば偏向電極19によって観察範囲を一次電子ビーム16で二次元走査する際の帰線期間等、一次電子ビーム16が試料面上に不要に照射されないように、一次電子ビーム16を大きく偏向させて絞り18を通過できなくし、試料面上への一次電子ビーム16の照射を遮断する。
E×B偏向器23は、一次電子ビーム16の照射によって試料24から発生する二次電子又は反射電子等の放出電子を加速及び偏向して、二次粒子ビームとして検出器22に導く。検出器22は、E×B偏向器23を介して二次粒子ビームとして導かれた放出電子を検出して検出信号を出力する。検出器22は、検出信号に一次電子ビーム16の照射に基づく試料24からの放出電子の発生状況を反映させるため、シンチレータと光電子増倍管(フォトマル)とを有した構成となっている。検出器22は、衝突した放出電子に応じてシンチレータで光子を生じさせ、シンチレータで生じた光子を光電子増倍管で電子に変換して増倍(増幅)し、検出可能な電気信号として取り出す構成になっている。
一方、試料室3は、その内部は真空に保たれ、試料24の搬入及び搬出が可能な構成になっている。試料室3は、試料ステージ25、試料台35等を有する。
試料ステージ25は、観察対象の試料24が載置される載置面を備える。試料台35には、試料ステージ25を試料台35に対して移動自在に支持するステージ移動機構が備えれている。ステージ移動機構は、例えば、一次電子ビーム16の光軸方向に対する垂直面(水平面)内の二次元方向に沿って、試料ステージ25を移動自在に支持する。ステージ移動機構により、試料ステージ25は、試料室3内で、その載置面を水平に保ちながら、二次元方向(x軸方向,y軸方向)に移動可能になっている。
そして、電子光学鏡筒2及び試料室3の各部は、顕微鏡本体1aの制御系を形成する各部によって次のように作動制御される。
電子光学制御部8は、一次電子ビーム16として電子銃14から放出される電子のエネルギーや、焦点コイル20のレンズ強度並びに絞り18の絞り量を、これら各部にそれぞれ制御信号を供給して制御する。
試料ステージ制御部12は、試料ステージ25をその載置面を水平に保ちながら試料室3内で所定位置に位置させるため、ステージ移動機構にx軸方向,y軸方向それぞれの移動方向及び移動量に対応した制御信号を供給して、ステージ移動機構に備えられた移動アクチュエータの駆動を制御する。また、試料ステージ制御部12は、試料ステージ25の移動に伴う、x軸方向,y軸方向それぞれの試料ステージ25の移動位置の計測を行って、ステージ座標系上における試料ステージ25の位置を計測する。
偏向制御部10は、偏向電極19による一次電子ビーム16の走査偏向、ブランキング電極(ブランキング偏向器)17によるブランキング偏向、動焦点コイル21による一次電子ビーム16の焦点補正を、これら各部にそれぞれ制御信号を供給して制御する。
画像処理部9は、検出器22のフォトマルにフォトマル電源電圧を供給するフォトマル電源11に制御信号を供給して、フォトマルゲインを制御する。また、画像処理部9は、試料ステージ制御部12による試料ステージ25の移動に基づく一次電子ビーム16の試料上での照射点の相対移動によって試料面上における一次電子ビーム16の走査範囲の画像を得るステージシフトによる観察時、又は偏向制御部10による一次電子ビーム16の偏向に基づく一次電子ビーム16の試料上での照射点の直接移動によって試料面上における一次電子ビーム16の走査範囲の画像を得るビームシフトによる観察時に、一次電子ビーム16の走査範囲内での照射点の移動に同期して検出器22から検出信号を取り込んで、走査範囲に対応した試料面上の観察画像を生成する。
そして、これら各制御部8,9,10,12は、例えばバス7を介して相互に、並びに上位制御CPU5と接続されている。これにより、各制御部は、他の制御部間及び上位制御CPU5との間でデータや制御指示の授受を行い得るようになっている。
また、これらの中、画像処理部9及び試料ステージ制御部12、並びに上位制御CPU5は、さらにLAN(Local Area Network)6を介してシステム制御CPU4A,画像表示部4Bとも接続され、これらの相互間で、優先的な制御のためのデータや制御指示の授受を行い得るようになっている。
走査型電子顕微鏡1では、例えば、一次電子ビーム16で試料面上を二次元走査している場合における帰線時や、試料の搬入若しくは観察箇所の変更等のための試料室3内における試料24のローディング時は、試料面上に不要な一次電子ビーム16が照射されないように、一次電子ビーム16はブランキング電極17を用いてブランキング偏光されるようになっている。そして、このような一次電子ビーム16が試料24に照射されていない期間は、検出器22のシンチレータに試料24からの放出電子が衝突しない、すなわち検出器22においてはシンチレータからの光子がフォトマルに入射していない無光状態と等価と見なせるため、フォトマルの暗電流ノイズを測定するには最適である。
そこで、走査型電子顕微鏡1では、このような一次電子ビーム16が試料24に照射されていない期間を使用して、検出器22の検出信号としてのフォトマル出力に係り、フォトマルの暗電流ノイズ分のパルス波高分布のヒストグラムデータを測定することにより、試料観察時において高S/Nな試料画像の取得を実現し得る最適しきい値Hhを導出し、試料観察時には、その最適しきい値以上の波高値を有する検出信号(フォトマル出力のパルス出力)のみを用いて観察画像を画像化することで、高S/Nな試料画像(観察画像)を取得、表示できるようになっている。
そのため、本実施の形態に係る走査型電子顕微鏡1では、画像処理部9は、図2に示すようなデジタル信号処理部13を有する構成になっている。なお、図2中では、既に図1で説明した構成部については、同一符号を付し、その説明は省略する。
図2は、図1に示した画像処理部の機能構成図である。
画像処理部9は、可変増幅アンプ26、A/D変換部27、デジタル信号処理部13を有する構成になっている。さらに、デジタル信号処理部13は、信号処理部31、画像生成部32、セレクタ28、頻度計測メモリ30、しきい値メモリ33、制御部29を含む構成になっている。
画像処理部9は、可変増幅アンプ26、A/D変換部27、デジタル信号処理部13を有する構成になっている。さらに、デジタル信号処理部13は、信号処理部31、画像生成部32、セレクタ28、頻度計測メモリ30、しきい値メモリ33、制御部29を含む構成になっている。
検出器22のフォトマルには、フォトマル電源11からフォトマル電源電圧が供給される。フォトマル電源11には、画像処理部9からフォトマルゲイン調整電圧信号が供給される。フォトマルゲイン調整電圧信号は、例えば電圧信号からなるアナログ制御信号である。フォトマル電源11は、画像処理部9からのフォトマルゲイン調整電圧信号に応じて、検出器22のフォトマルに供給するフォトマル電源電圧を調整し、検出器22の検出信号出力であるフォトマル出力のゲインを調整する。
可変増幅アンプ26には、検出器22から検出信号としてのフォトマル出力が供給され、デジタル信号処理部13の制御部29からはアンプゲイン調整電圧信号が供給される。アンプゲイン調整電圧信号は、例えば電圧信号からなるアナログ制御信号である。可変増幅アンプ26は、デジタル信号処理部13から供給されるアンプゲイン調整電圧信号に応じて、検出器22からの検出信号としてのフォトマル出力を増幅する。
A/D変換部27は、可変増幅アンプ26を介して増幅された、検出器22からの検出信号としてのフォトマル出力をA/D変換する。A/D変換されたフォトマル出力は、検出器22からの検出信号として、デジタル信号処理部13のセレクタ28に供給される。
デジタル信号処理部13は、検出器22からの検出信号を基に、試料観察時における一次電子ビーム16の走査領域に対応した試料面上の箇所を画像化したり、試料観察時において高S/Nな試料画像を実現し得る最適しきい値Hhを導出したりする。
セレクタ28は、可変増幅アンプ26で増幅されてA/D変換部27でデジタル変換された、検出器22からの検出信号としてのフォトマル出力を、試料面上の観察範囲での一次電子ビーム16の照射点の走査と同期を取りながら逐次取り込み、画像化処理を行う場合又は最適しきい値導出処理を行う場合に応じて、その転送先を選択切り換えする。画像化処理を行う場合は、セレクタ28は、取り込んだ検出器22からの検出信号としてのフォトマル出力を、信号処理部31側に転送する。一方、最適しきい値導出処理を行う場合は、セレクタ28は、取り込んだ検出器22からの検出信号としてのフォトマル出力を、頻度計測メモリ30側に転送する。
信号処理部31は、画像化処理を行うため、セレクタ28から検出信号としてのフォトマル出力が転送される毎に、検出信号からノイズ分をカットするために、フォトマル出力において、しきい値メモリ33が保持するしきい値以下の出力パルスの波高値のみを“0”値化する。信号処理部31は、その後、しきい値以下のフォトマル出力の出力パルスが“0”値化され、ノイズ分がカットされた検出信号のフォトマル出力に、デジタルフィルタ等の従来通りの信号処理を施してから、画像生成部32に転送する。
画像生成部32は、画像化処理を行うため、信号処理部31から転送される、ノイズ分がカットされた検出信号のフォトマル出力に、従来通りの画像データ生成のためのデータ変換処理を施して画像データに変換し、バス7を介して上位制御CPU5や、LAN6を介してシステム制御CPU4A,画像表示部4Bに供給する。
頻度計測メモリ30では、最適しきい値導出処理を行うため、セレクタ28から検出信号としてのフォトマル出力が転送される毎に、転送された検出信号としてのフォトマル出力が蓄積記憶される。これにより、フォトマル出力の波高値毎の出力パルスが何回取得できたかを、ヒストグラムデータとして蓄積記憶されたフォトマル出力の出力パルスそれぞれの波高値を含むデータによって記録しておくことができる。したがって、頻度計測メモリ30とバス7を介して接続された上位制御CPU5は、この頻度計測メモリ30から蓄積記憶された検出信号としてのフォトマル出力を引き出すことによって、検出器22から検出信号として出力されたフォトマル出力における出力パルスのパルス波高分布のヒストグラムを容易に取得することができる。
制御部29は、バス7を介して上位制御CPU5や、LAN6を介してシステム制御CPU4Aと接続され、これら上位制御CPU5又はシステム制御CPU4Aによる制御下で、画像化処理及び最適しきい値導出処理を行うに当たり、フォトマル電源11、可変増幅アンプ26や、デジタル信号処理部13内の他の各部を制御する。
ここで、図3により、上記のように構成された検出器22の検出信号であるフォトマル出力について説明しておく。
図3は、検出器の検出信号波形、すなわち検出器のフォトマル出力の出力波形を示した図である。
図3(A)は、フォトマルに単位時間当たりに入射する光子が非常に少ない微光検出状態、すなわち検出器22のシンチレータに衝突する放出電子が非常に少ない状態のフォトマル出力を、図3(B)は、フォトマルに単位時間当たりに入射する光子が多い状態、すなわち検出器22のシンチレータに衝突する放出電子が多い状態のフォトマル出力を、それぞれ電圧(出力パルスの波高値の大きさ、すなわちエネルギー)と時間との特性から表したものである。
図3(A)は、フォトマルに単位時間当たりに入射する光子が非常に少ない微光検出状態、すなわち検出器22のシンチレータに衝突する放出電子が非常に少ない状態のフォトマル出力を、図3(B)は、フォトマルに単位時間当たりに入射する光子が多い状態、すなわち検出器22のシンチレータに衝突する放出電子が多い状態のフォトマル出力を、それぞれ電圧(出力パルスの波高値の大きさ、すなわちエネルギー)と時間との特性から表したものである。
図3(A)に示すように、フォトマルに入射する光子が非常に少ない微光検出状態では、図中、フォトマル出力におけるそれぞれ矢示した各出力パルスのピークは、時間的間隔が長く空き、検出器22からの検出信号は、離散的なパルス信号出力状態となる。
これに対し、図3(B)に示すように、フォトマルに入射する光子が多い状態では、各出力パルスのピーク同士の間隔が狭く、各出力パルスは互いに重なり合って、検出器22からの検出信号は、フォトマル出力の出力パルスが重畳してアナログ的な信号出力状態となる。
したがって、このような検出器22のフォトマル出力にあっては、試料観察で高S/Nな試料画像を取得するためには、検出器22からのフォトマル出力を用いた画像処理部9の画像化処理で、デジタル信号処理部13の信号処理部31によって検出器22の検出信号からフォトマルの暗電流ノイズ分をカットする際に用いられるしきい値Hの設定が、非常に重要になる。
図4は、検出器の検出信号であるフォトマル出力に係り、各出力パルスのパルス波高分布を示したヒストグラムである。
図4に示したヒストグラムは、試料面上における観察範囲のフレーム画像からなる試料画像を得るために、当該観察範囲を走査範囲として図12に示したラスタースキャン方式で一次電子ビーム16を走査した際の、検出器22から検出信号として出力されたフォトマル出力を基に作成されたものである。図示の例で、ヒストグラムは、グラフ横軸をフォトマル出力の出力パルスの波高値(図3に示した出力パルスのピーク)に、グラフ縦軸を出力パルスの頻度にして表されている。
図4において、曲線G1は、フォトマル出力から、一次電子ビーム16を照射した試料24からの放出電子に基づく検出信号分の出力パルスだけを取り出した場合の、パルス波高分布を示したヒストグラム曲線に該当する。ヒストグラム曲線G1は、試料からの放出電子に基づく検出信号分だけを測定した場合に該当し、一般的にはポアソン分布に近い形状になる。
また、曲線G2は、フォトマル出力から、フォトマルの暗電流ノイズ分だけの出力パルスを取り出した場合の、パルス波高分布を示したヒストグラム曲線に該当する。ヒストグラム曲線G2は、フォトマルの暗電流ノイズ分だけの出力パルスを測定した場合に該当し、波高値が低い領域において波高値が低くなるにつれて頻度が急激に増加する傾向を有する。
また、曲線G3は、フォトマル出力から、試料24からの放出電子に基づく検出信号分だけを取り出した場合のヒストグラム曲線G1と、フォトマルの暗電流ノイズ分だけを取り出した場合のヒストグラム曲線G2とを、波高値を対応させてそれぞれの頻度を加算した場合のヒストグラム曲線に該当する。ヒストグラム曲線G3は、観察範囲での一次電子ビーム16のライン走査時に、検出器22から検出信号として実際に出力されるフォトマル出力の出力パルスを測定した場合に該当し、極小値を有する形状になる。
ここで、しきい値Hとして、仮に、曲線G1,G2の頻度を加算した曲線G3が一旦極小となる波高値H1を設定してみる。
この場合、曲線G3の、波高値H1よりも小さい波高値Hで現れるフォトマル出力の出力パルスの大部分が、フォトマルの暗電流ノイズに起因した暗電流パルスノイズの頻度分布になる。反対に、曲線G3の、波高値H1以上の波高値Hで現れるフォトマル出力の出力パルスの大部分が、試料24からの放出電子の検出信号分だけに起因した出力パルスの頻度分布になる。
そこで、波高値H1を画像処理部9の信号処理部31で用いるしきい値Hに設定し、波高値がH1よりも小さいフォトマル出力の出力パルスをカットすることができれば、その残りの出力パルスは、ヒストグラム曲線G1で表される検出信号分だけを測定した場合のフォトマル出力に該当する。これにより、試料24からの放出電子の検出信号分の損失を最小にしながら、フォトマルの暗電流ノイズ分を大幅にカットした検出信号を信号処理部31で取得することができ、画像生成部32では高S/Nの画像信号を得ることができることになる。
そこで、画像処理部9のデジタル信号処理部13では、上位制御CPU5と協働して、次の実施例で述べるような最適しきい値導出処理を行って、その導出した最適しきい値Hhがしきい値メモリ33にしきい値Hとして記憶及び更新記憶されるようになっている。
<実施例1>
本実施例では、図5に示すように、暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2のヒストグラムデータと、曲線G3と同等の、一次電子ビーム16の試料面上での走査した場合の検出器22の検出信号である、フォトマルの暗電流ノイズ分及び試料24からの放出電子の検出信号分を含んだフォトマル出力のヒストグラム曲線G3'のヒストグラムデータとを測定しておき、この曲線G3'が極小となる波高値H1と暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2との交点で表れる、フォトマル出力の出力パルスの頻度V1を、暗電流ノイズの発生頻度しきい値Vvとして予め導出しておくようになっている。
本実施例では、図5に示すように、暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2のヒストグラムデータと、曲線G3と同等の、一次電子ビーム16の試料面上での走査した場合の検出器22の検出信号である、フォトマルの暗電流ノイズ分及び試料24からの放出電子の検出信号分を含んだフォトマル出力のヒストグラム曲線G3'のヒストグラムデータとを測定しておき、この曲線G3'が極小となる波高値H1と暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2との交点で表れる、フォトマル出力の出力パルスの頻度V1を、暗電流ノイズの発生頻度しきい値Vvとして予め導出しておくようになっている。
図5は、暗電流ノイズの発生頻度しきい値の導出方法の説明図である。
例えば、発生頻度しきい値Vvを導出するための、暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2、及びフォトマルの暗電流ノイズ分及び試料24からの放出電子の検出信号分を含んだフォトマル出力のヒストグラム曲線G3'のそれぞれ測定は、発生頻度しきい値導出処理の開始指示によって行われる。例えば、発生頻度しきい値導出処理では、ステージシフト又はビームシフトによって発生頻度しきい値導出用の試料観察処理が実行される。この発生頻度しきい値導出用の試料観察処理では、通常の試料観察時とは異なり、一次電子ビーム16が試料面上に照射されている間も、検出器22の検出信号としてのフォトマル出力は、セレクタ28を介して、頻度計測メモリ30にヒストグラム曲線G3'の出力パルスの測定データ(ヒストグラムデータ)として蓄積記憶される。また、暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2の測定は、その際における帰線時や試料24のローディング時等、一次電子ビーム16がブランキング電極17によって試料24に照射されていない期間を利用して行われる。その際のフォトマル出力は、セレクタ28を介して、頻度計測メモリ30に、ヒストグラム曲線G3'の出力パルスの測定データと区別して、暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2の出力パルス(暗電流パルスノイズ)の測定データとして蓄積記憶されるようになっている。発生頻度しきい値Vvは、この頻度計測メモリ30にそれぞれ蓄積記憶されている、暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2の暗電流パルスノイズの測定データ、及び一次電子ビーム16の試料面上での走査時における検出器22の検出信号としてのフォトマル出力のヒストグラム曲線G3'の測定データを基にして、ヒストグラム曲線G3'が極小となる波高値H1と暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2との交点が表す、フォトマル出力の出力パルスの頻度V1として導出される。
例えば、発生頻度しきい値Vvを導出するための、暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2、及びフォトマルの暗電流ノイズ分及び試料24からの放出電子の検出信号分を含んだフォトマル出力のヒストグラム曲線G3'のそれぞれ測定は、発生頻度しきい値導出処理の開始指示によって行われる。例えば、発生頻度しきい値導出処理では、ステージシフト又はビームシフトによって発生頻度しきい値導出用の試料観察処理が実行される。この発生頻度しきい値導出用の試料観察処理では、通常の試料観察時とは異なり、一次電子ビーム16が試料面上に照射されている間も、検出器22の検出信号としてのフォトマル出力は、セレクタ28を介して、頻度計測メモリ30にヒストグラム曲線G3'の出力パルスの測定データ(ヒストグラムデータ)として蓄積記憶される。また、暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2の測定は、その際における帰線時や試料24のローディング時等、一次電子ビーム16がブランキング電極17によって試料24に照射されていない期間を利用して行われる。その際のフォトマル出力は、セレクタ28を介して、頻度計測メモリ30に、ヒストグラム曲線G3'の出力パルスの測定データと区別して、暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2の出力パルス(暗電流パルスノイズ)の測定データとして蓄積記憶されるようになっている。発生頻度しきい値Vvは、この頻度計測メモリ30にそれぞれ蓄積記憶されている、暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2の暗電流パルスノイズの測定データ、及び一次電子ビーム16の試料面上での走査時における検出器22の検出信号としてのフォトマル出力のヒストグラム曲線G3'の測定データを基にして、ヒストグラム曲線G3'が極小となる波高値H1と暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2との交点が表す、フォトマル出力の出力パルスの頻度V1として導出される。
なお、この発生頻度しきい値Vv(=V1)の導出については、例えば、同じフォトマルを有する検出器22を備えた装置によって導出された発生頻度しきい値V1をデフォルトとして記憶しておくことにより、装置個別に上述したような発生頻度しきい値導出処理を行わなくても、発生頻度しきい値Vvを設定することもできる。
その上で、本実施例では、発生頻度しきい値Vv(=V1)を予め導出しておくことにより、通常の試料観察時における帰線時や試料24のローディング時等、一次電子ビーム16が試料24に照射されていない期間を利用して暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2のヒストグラムデータを測定するだけで、最適しきい値Hhを導出する最適しきい値導出処理を繰り返し行えるようになっている。この場合、最適しきい値Hhとして、暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2と発生頻度しきい値Vvの頻度V1との交点に対応する、暗電流パルスノイズの波高しきい値H1が導出される。
そして、このように最適しきい値導出処理が行えると、環境温度等が少々変化し、検出器22に備えられたフォトマルの暗電流ノイズのヒストグラムG2が図4に示す頻度の増減方向に沿って全般的に少々シフトしても、発生頻度しきい値V1がほぼ一定であることを踏まえると、しきい値H1も波高値の増減方向に沿って低/高いずれかの波高値の側に左/右シフトするため、G3曲線の極小値の移動に対してもある程度は追従することができる。
図6は、走査型電子顕微鏡において試料観察時に実行される最適しきい値導出処理の第1の実施例のフローチャートである。
走査型電子顕微鏡1は、試料観察時に、最適しきい値Hhの導出、及びこの導出した最適しきい値Hhを用いての試料観察を、例えば、図6のフローチャートに示す手順で行う。
まず、走査型電子顕微鏡1では、装置の試料室3内で試料24をローディングしている最中は、試料面上に不要な一次電子ビーム16が試料に照射されないように、一次電子ビーム16がブランキング電極17を用いてブランキングされているのを利用して、試料の搬入若しくは観察箇所の変更等のために試料室3内で試料24がローディングされているときには、セレクタ28の転送先を頻度計測メモリ30側に切り換えて、検出器22のフォトマル出力を頻度計測メモリ30に記憶蓄積することによりフォトマルの暗電流ノイズを測定し、暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2の測定データとして記憶する。
走査型電子顕微鏡1は、試料24が予めレシピ等で設定された観察位置に到達したならば、この頻度計測メモリ30の暗電流ノイズの測定データを基にした暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2、及び発生頻度しきい値V1に基づいて、暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2と発生頻度しきい値V1との交点に対応する波高しきい値H1を算出する(ステップS110)。
そして、走査型電子顕微鏡1は、予めレシピ等で設定された観察範囲を走査範囲として、図12に示したラスタースキャン方式で一次電子ビーム16の走査を開始するに当たって、上記算出した波高しきい値H1を最適しきい値Hhとし、しきい値メモリ33にしきい値Hとして格納しておく(ステップS120)。
そして、走査型電子顕微鏡1は、図12に示したラスタースキャン方式で一次電子ビーム16を走査する際の1ライン走査の開始されると、セレクタ28の転送先を信号処理部31側に切り換えて、走査範囲の1ライン分のスキャン画像処理を行う(S130)。これにより、画像生成部32では、しきい値メモリ33にしきい値Hとして設定された最適しきい値Hhを用いて信号処理部31で信号処理された、検出器22のフォトマルの暗電流分がカットされた検出信号に基づいて、画像データ生成のためのデータ変換処理が行われる。
走査型電子顕微鏡1は、このようにして1ライン走査分のスキャン画像処理を行うとともに、次の1ライン走査のための一次電子ビーム16の帰線が開始されると、セレクタ28の転送先を頻度計測メモリ30側に切り換えて、この帰線の際のブランキング処理期間の間、検出器22のフォトマルの暗電流ノイズを測定して頻度計測メモリ30に蓄積記憶する(S140)。これにより、頻度計測メモリ30では、検出器22のフォトマルの暗電流分のフォトマル出力の蓄積が増加することになり、図4及び図5に示した暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2の頻度がその蓄積増加分だけ加算されることになる。
そして、走査型電子顕微鏡1は、一次電子ビーム16の照射位置がライン走査方向に沿った開始点に戻ると、観察範囲としての走査範囲において次の1ライン走査があるか否か、すなわち観察範囲のフレーム測定が終了したか否かを判定する(S150)。そして、観察範囲のフレーム測定が終了しておらず、走査範囲における次の1ライン走査がある場合は、次の1ライン走査に係り、ステップS130,S140で示した1スキャン処理を繰り返して行う。
これに対し、観察範囲のフレーム測定が終了し、走査範囲における次の1ライン走査がない場合は、試料面上の全ての観察範囲について試料観察が終わったか否か、すなわち測定対象フレーム全ての画像取得処理が完了したか否かを判定する(S160)。なお、ここでは、観察範囲を変えずに同じ観察範囲を複数回観察する場合は、その複数回それぞれの試料観察は、別々の観察範囲のフレーム測定として取り扱われる。
そして、走査型電子顕微鏡1は、測定対象フレーム全ての画像取得処理が完了した場合は、当該試料24についての測定を終了する。
これに対し、測定対象フレーム全ての画像取得処理が完了しておらず、未だ画像取得処理が完了していない次の測定対象フレームが残っている場合は、走査型電子顕微鏡1は、現在の測定対象フレームの画像取得処理が完了した時点で頻度計測メモリ30に蓄積記憶されている検出器22のフォトマルの暗電流分のフォトマル出力を基にした暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2、及び発生頻度しきい値Vv(=V1)に基づいて、暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2と発生頻度しきい値Vvとの交点に対応する波高しきい値H1を算出する(S170)。
そして、走査型電子顕微鏡1は、次の測定対象フレームに該当する走査範囲を図12に示したラスタースキャン方式で一次電子ビーム16の走査を開始するに当たって、上記算出した波高しきい値H1を最適しきい値Hhとして設定し直し、しきい値メモリ33に更新格納しておく(S120)。
これにより、同一の試料24において複数の測定対象フレームの画像情報を取得するときには、最新の最適しきい値Hhをしきい値メモリ33にしきい値Hとしてセットして、一次電子ビーム16の走査を開始する、ということを繰り返すので、その間に環境温度等が少々変化しても、常に最新の最適しきい値Hhでもって画像取得することが可能となる。
なお、図示の例では、ステップS160で測定対象フレーム全ての画像取得処理が完了しておらず、未だ画像取得処理が完了していない次の測定対象フレームが残っている場合は、ステップS170で波高しきい値H1を算出した後、ステップS120で最適しきい値Hhの設定処理を行う構成としたが、次の測定対象フレームの観察範囲への試料24の移動を伴う場合は、ステップS160からステップS110に移行し、この試料24の移動中のブランキング期間も利用するようにしてもよい。
また、本実施例では、発生頻度しきい値Vvを予め導出しておくことにより、図4及び図5に示した暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2から最適しきい値Hhを導出する構成を説明したが、これに限らず、測定した検出器22のフォトマルの暗電流ノイズの係り、図5における波高値H1以上のパルス数(フォトマル出力のピーク数)を計数した結果に基づいて最適しきい値Hhを導出する処理を行ってもよい。同様に、測定した検出器22のフォトマルの暗電流ノイズの係り、波高値H1以上のパルス面積値を合計した結果(ヒストグラム曲線G2の波高値H1以上の部分の面積値)に基づいて最適しきい値Hhを導出する処理を行ってもよい。
本実施例によれば、装置のスループットを落とさずに、検出器22のフォトマルが出力する検出信号分とノイズ分とを弁別する最適しきい値Hhを逐次導出できるので、試料24からの放出電子の検出信号を高S/Nな検出状態に維持することができる。
さらに、暗電流ノイズの測定は、試料24のローディング時やライン走査の帰線時等のように、試料観察中において試料24に一次電子ビーム16を照射させないブランキング時を利用して、暗電流ノイズの測定データの蓄積を増やすことができるので、スループットを損なうことなく、高品質な最適しきい値Hhの導出が行える。
<実施例2>
本実施例では、装置の長時間使用又は周囲環境の変化等によりフォトマル温度が上昇し、検出器22のフォトマル出力における暗電流ノイズが増加して、検出器22からの検出信号であるフォトマル出力のS/Nが大きく劣化するような場合でも、高S/Nな試料画像を取得、表示できる状態を維持できるようになっている。
本実施例では、装置の長時間使用又は周囲環境の変化等によりフォトマル温度が上昇し、検出器22のフォトマル出力における暗電流ノイズが増加して、検出器22からの検出信号であるフォトマル出力のS/Nが大きく劣化するような場合でも、高S/Nな試料画像を取得、表示できる状態を維持できるようになっている。
図7は、検出器の検出信号であるフォトマル出力に係り、暗電流ノイズのヒストグラムの変化についての説明図である。
検出器22のフォトマルの温度が上昇すると、フォトマルの暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2は、例えば、曲線G2aから曲線G2bへといったように、各波高値に対応した暗電流パルスノイズの発生頻度が増加する。特に、波高値の低い領域側部分において、暗電流パルスノイズの発生頻度の増加が顕著となる。
ここで、実施例1と同様に、検出器22のフォトマル出力に係り、フォトマルの暗電流ノイズ分と試料からの放出電子の検出信号分とを弁別する最適しきい値Hhを、暗電流ノイズの発生頻度しきい値Vv(=V1)をもって決定する場合、検出器22の温度上昇前の暗電流ノイズのフォトマル出力のヒストグラム曲線G2aでは、波高しきい値Hは、暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2aと発生頻度しきい値V1との交点に対応する波高しきい値H1aとなる。これに対し、温度上昇後の暗電流ノイズのフォトマル出力のヒストグラム曲線G2bでは、低波高値側にある暗電流ノイズパルスの頻度が増加するため、波高しきい値Hは、暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2bと発生頻度しきい値V1との交点に対応する波高しきい値H1bとなる。すなわち、波高しきい値Hは、波高しきい値H1aからH1bに高波高値側へ大幅にシフトする。
一方、ヒストグラム曲線G3bは、同じく検出器22のフォトマルの温度が上昇した場合の、検出器22の検出信号としての、フォトマルの暗電流ノイズ分と試料24からの放出電子の検出信号分との両方を含んだフォトマル出力のヒストグラム曲線を示している。このヒストグラム曲線G3bでは、波高値H2bが、試料24からの放出電子の検出信号分のフォトマル出力において、パルス発生頻度が最も高い出力パルスの波高値になっている。
したがって、図7に示すたように、温度変動後の波高しきい値Hを、温度上昇変化後のフォトマルの暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2bと暗電流ノイズの発生頻度しきい値V1との交点に対応する波高しきい値H1bに設定した場合には、試料24からの放出電子の検出信号分のフォトマル出力の比較的多くのパルス出力が、信号処理部31によって除去されてしまうことになってしまうことになる。この結果、検出器22の検出信号として信号処理部31から画像生成部32に転送される、フォトマルの暗電流ノイズ分がカットされた、試料24からの放出電子の検出信号分のフォトマル出力は、S/Nが大きく劣化したものになってしまう。
そこで、本実施例では、この課題を解決するために、フォトマル電源11が検出器22のフォトマルに供給するフォトマル電源電圧に着目した。
一般的に、入射する光を電気信号に変換して取り出すフォトマルでは、そのフォトマル電源電圧が上昇すると、シンチレータから入射する光は同じであっても、その変換して取り出される電気信号の大きさは、フォトマル電源電圧を上昇する前に対して増倍される。これに対し、フォトマルの暗電流ノイズは、このようなフォトマルの正規の増倍過程を経ないので、フォトマル電源電圧が上昇しても、その増倍率は、電気信号の増倍率よりも小さい増倍率になる。
図8は、図2に示した画像処理部において、フォトマル電源電圧の上昇前・後のそれぞれフォトマル出力における、各出力パルスのパルス波高分布を示したヒストグラムの変化を示した図である。
図8において、曲線G2bは、フォトマル電源電圧を上昇させる前の状態の、フォトマルの暗電流ノイズのヒストグラム曲線であり、曲線G3bは、同じくフォトマル電源電圧を上昇させる前の状態の、検出器22の検出信号としての、フォトマルの暗電流ノイズ分と試料24からの放出電子の検出信号分との両方を含んだフォトマル出力のヒストグラム曲線である。
その上で、曲線G2bは、図7に示した、温度上昇後の暗電流ノイズのフォトマル出力のヒストグラム曲線G2bであり、曲線G3bは、図7に示した温度上昇後のフォトマル電源電圧を上昇させる前の状態のフォトマルの暗電流ノイズ分と試料24からの放出電子の検出信号分との両方を含んだフォトマル出力のヒストグラム曲線G3bである。
これに対し、曲線G2cは、フォトマル電源電圧を上昇させた後の状態の、フォトマルの暗電流ノイズのヒストグラム曲線であり、曲線G3cは、同じくフォトマル電源電圧を上昇させた後の状態の、検出器22の検出信号としての、フォトマルの暗電流ノイズ分と試料24からの放出電子の検出信号分との両方を含んだフォトマル出力のヒストグラム曲線である。
なお、図8は、フォトマル出力のパルス出力について、フォトマル電源電圧の上昇させた後の状態のヒストグラム曲線G3cは、フォトマル電源電圧を上昇させる前の状態のヒストグラム曲線G3bを構成する総パルス数とほぼ同数のパルスから構成されていることから、その波高値毎の分布を滑らかな曲線でつないだものである。そのため、図8では、便宜上、ヒストグラム曲線G3cの波高値H2cにおけるピーク頻度と、ヒストグラム曲線G3bの波高値H1cにおけるピーク頻度とは、等しくなるように図示したが、本来は、ヒストグラム曲線G3cのピーク頻度は、波高値範囲が波高値H1Fullから波高値H2Fullに拡大されるため、ヒストグラム曲線G3bのピーク頻度よりも小さくなる。また、ヒストグラム曲線G3c、G3bそれぞれの波高値に関する積分値(ヒストグラム曲線G3cG3bそれぞれと波高値座標軸と頻度座標軸とで囲まれた面積)は等しくなる。
その上で、図8において、まず、フォトマルの暗電流ノイズのヒストグラム曲線について、フォトマル電源電圧を上昇させる前の状態のヒストグラム曲線G2bと、フォトマル電源電圧を上昇させた後の状態のヒストグラム曲線G2cとを対比すれば明らかなように、フォトマル電源電圧の上昇後のヒストグラム曲線G2cは、上昇前のヒストグラム曲線G2bに対して、図8中で、高波高値側へシフトしていることは、フォトマル電源電圧の上昇させた場合の動作原理となり得る。
また、検出器22の検出信号としての、フォトマルの暗電流ノイズ分と試料24からの放出電子の検出信号分との両方を含んだフォトマル出力のヒストグラム曲線については、フォトマル電源電圧を上昇させる前の状態のヒストグラム曲線G3bと、フォトマル電源電圧を上昇させた後のヒストグラム曲線G3cとを対比すれば明らかなように、フォトマル電源電圧の上昇後のヒストグラム曲線G3cは、上昇前のヒストグラム曲線G3bに対して、図8中で、高波高値側へ大きくシフトしていることも、フォトマル電源電圧の上昇させた場合の動作原理となり得る。
このヒストグラム曲線G2c,G3c間での高波高値側へのシフト量の違いは、前述したように、フォトマル電源電圧を上昇させた場合は、フォトマル電源電圧の上昇後の、試料24からの放出電子の検出信号分を含むヒストグラム曲線G3cは、試料24からの放出電子の検出信号分のフォトマル出力が、フォトマルの正規の増倍過程を経て、その波高値が例えばA倍に増倍されるのに対し、フォトマルの暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2cは、フォトマルの正規の増倍過程を経ないので、その波高値がA倍よりも小さな増倍率でしか増倍されないことによるためである。
本実施例は、装置の長時間使用又は周囲環境の変化等によりフォトマル温度が上昇して検出器22のフォトマル出力における暗電流ノイズが増加する場合であっても、このようなフォトマル電源電圧の上昇させた場合の動作原理に基づいた、ヒストグラム曲線G2c,G3c間での高波高値側へのシフト量の違い、すなわち、フォトマルの暗電流ノイズと試料24からの放出電子の検出信号との間での増倍率Aの相違を利用して、検出器22の検出信号として信号処理部31から画像生成部32に転送される、試料24からの放出電子の検出信号分のフォトマル出力のS/Nを改善するようにしたものである。
本実施例では、ヒストグラム曲線G3bで表されるような、フォトマルの暗電流ノイズ分と試料24からの放出電子の検出信号分との両方を含んだ現時点のフォトマル出力から、所定の発生頻度しきい値V1と、現時点におけるフォトマルの暗電流ノイズ分のヒストグラム曲線G2cとを用いるだけで、しきい値Hとしてそのヒストグラム曲線G3bが一旦極小となる波高値H1tを設定した場合と同様な、高S/Nな検出状態を維持できるようにしたものである。
そのため、本実施例では、図2に示した画像処理部9において、フォトマル電源11から検出器22のフォトマルに供給されるフォトマル電源電圧の制御、及び可変増幅アンプ26のゲイン制御が、フォトマル電源11から供給するフォトマル電源電圧、及び可変増幅アンプ26のゲインを一定に保った実施例1の場合とは、異なっている。
本実施例では、画像処理部9の制御部29が、上位制御CPU5と協働して、フォトマル電源11のフォトマル電源電圧の制御、及び可変増幅アンプ26のゲイン制御を、次のように行う構成になっている。
図9は、走査型電子顕微鏡において試料観察時に実行される最適しきい値導出処理の第2の実施例のフローチャートである。
走査型電子顕微鏡1は、試料観察時に、最適しきい値Hhの導出、及びこの導出した最適しきい値Hhを用いての試料観察を、例えば、図9のフローチャートに示す手順で行う。各手順の説明に当たっては、図7、図8にそれぞれ示したヒストグラム曲線それぞれとの関連を示して説明する。
なお、図9において、ステップS130〜S170に示した1スキャン処理以降の処理については、図6に示した第1の実施例のフローチャートにおいて、ステップS130〜S170に示した1スキャン処理以降の処理と同一若しくは同様なので、同一ステップ番号を付し、その説明は省略する。
まず、走査型電子顕微鏡1では、試料の搬入若しくは観察箇所の変更等のために試料室3内で試料24がローディングされているとき、試料面上に不要な一次電子ビーム16が試料に照射されないように、一次電子ビーム16がブランキング電極17を用いてブランキングされている。走査型電子顕微鏡1は、このブランキング期間を利用して、セレクタ28の転送先を頻度計測メモリ30側に切り換えて、検出器22のフォトマル出力を頻度計測メモリ30に記憶蓄積することによりフォトマルの暗電流ノイズを測定し、暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2b(図7及び図8に示されたヒストグラム曲線G2bが該当)の測定データとして記憶する。なお、この暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2bの測定データの記憶は、前回の最適しきい値導出処理の実行で試料観察された、当該試料24とは別の観察試料に係る暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2a(図7に示されたヒストグラム曲線G2aが該当)の測定データとは、区別可能に記憶される。
走査型電子顕微鏡1は、例えば、試料24が予めレシピ等で設定された観察位置に到達したならば、若しくはローディング中であってもフォトマル出力から所定数の暗電流パルスノイズの波高値を得たならば、この頻度計測メモリ30の暗電流ノイズの測定データを基にした暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2b、及び発生頻度しきい値V1に基づいて、両者の交点に対応する波高しきい値H1b(図7及び図8に示された波高しきい値H1bが該当)を算出する(ステップS010)。
そして、走査型電子顕微鏡1は、しきい値メモリ33にしきい値Hとして記憶されている最適しきい値Hh(図7に示された、Hh=H1aが該当)を読み出し、この読みだした最適しきい値Hh(=H1a)から、現在の状態に対して、フォトマル電源11のフォトマル電源電圧の制御処理や可変増幅アンプ26のゲイン制御処理を行う必要があるか否かを判定するための判定値JL,JHを算出する。
ここでは、この判定値JL,JHの算出は、走査型電子顕微鏡1は、例えば、しきい値メモリ33から読み出した最適しきい値Hh(=H1a)に対して、予め判断基準として定められている判断基準波高値ΔHを加算及び減算して、判定値JL(JL=H1a−ΔH),JH(JL=H1a+ΔH)を算出する。ここで、判断基準波高値ΔHは、先にしきい値メモリ33に今回読み出した最適しきい値Hh(=H1a)を算出するために用いた、当該試料24とは別の観察試料に係る暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2aに対して、図7で説明したように、フォトマル温度の変化に起因してフォトマル電源11のフォトマル電源電圧の制御処理や可変増幅アンプ26のゲイン制御処理が必要な程、ステップS010で測定した暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2bが各波高値における暗電流パルスノイズの発生頻度が増加してしまっているか否かを判断するための波高値である。したがって、例えば、ステップS010で算出した波高しきい値H1bが判定値JH(JL=H1a+ΔH)を超えている場合は、現在のフォトマル電源電圧及びアンプゲインのまま、検出器22の検出信号としてフォトマルと取り出してしまうと、図7で説明したように、検出器22の検出信号として信号処理部31から画像生成部32に転送される、フォトマルの暗電流ノイズ分がカットされた、試料24からの放出電子の検出信号分のフォトマル出力は、S/Nが大きく劣化したものになってしまう。
そこで、走査型電子顕微鏡1は、ステップS010で算出した波高しきい値H1bが判定値JLを下回っていないか、又は判定値JHを超えていないかを判定することにより、現在の状態に対して、フォトマル電源11のフォトマル電源電圧の制御処理や可変増幅アンプ26のゲイン制御処理を行う必要があるか否かを判定する(ステップS020)。
その結果、走査型電子顕微鏡1は、ステップS010で算出した波高しきい値H1bが判定値JLを下回っておらず、かつ判定値JHを超えていない場合は、現在の状態に対して、フォトマル電源11のフォトマル電源電圧の制御処理や可変増幅アンプ26のゲイン制御処理を行う必要がないと判定する(ステップS020のYes)。
この場合は、走査型電子顕微鏡1は、予めレシピ等で設定された観察範囲を走査範囲として、当該試料24に対し、図12に示したラスタースキャン方式で一次電子ビーム16の走査を開始するに当たって、上記ステップS010で算出した波高しきい値H1bを最適しきい値Hhとし、しきい値メモリ33にしきい値Hとして格納しておく(ステップS030)。
そして、走査型電子顕微鏡1は、当該試料24に対し、図6に示した第1の実施例のフローチャートにおいて説明したのと同様な、ステップS130〜S170に示した1スキャン処理以降の処理を実行する。
したがって、この場合において、特に、現在の状態に対して、フォトマル電源11のフォトマル電源電圧の制御処理や可変増幅アンプ26のゲイン制御処理を全く行わなかった場合の上記ステップS010〜S030の一連の処理結果は、図6に示した実施例1の最適しきい値導出処理における、ステップS110,S120で示した試料ローディング処理の処理結果と、実質的に変わらない。
これに対し、走査型電子顕微鏡1は、ステップS010で算出した波高しきい値H1bが判定値JLを下回っているか、又は判定値JHを超えている場合は、現在の状態に対して、フォトマル電源11のフォトマル電源電圧の制御処理や可変増幅アンプ26のゲイン制御処理を行う必要があると判定する(ステップS020のNo)。
すなわち、この判定がなされた場合は、現在のフォトマル電源11のフォトマル電源電圧や可変増幅アンプ26のアンプゲインのままで、上記ステップS010で算出した波高しきい値H1bを最適しきい値Hhとし、しきい値メモリ33にしきい値Hとして格納してしまうと、図7で説明したように、検出器22の検出信号として信号処理部31から画像生成部32に転送される、フォトマルの暗電流ノイズ分がカットされた、試料24からの放出電子の検出信号分のフォトマル出力は、S/Nが大きく劣化したものになってしまうことになる。すなわち、装置の長時間使用又は周囲環境の変化等によりフォトマル温度が上昇したことに起因してフォトマル電源11のフォトマル電源電圧の制御処理や可変増幅アンプ26のゲイン制御処理が必要な程、ステップS010で測定した暗電流ノイズのヒストグラム曲線G2bが各波高値における暗電流パルスノイズの発生頻度が増加してしまっている場合に該当する。
そこで、この場合、走査型電子顕微鏡1は、現在のフォトマル電源11のフォトマル電源電圧や可変増幅アンプ26のアンプゲインを変更するゲイン制御処理を行う(ステップS040)。
このゲイン制御処理では、走査型電子顕微鏡1は、フォトマル電源11が検出器22のフォトマルに供給するフォトマル電源電圧を、例えば、次のようにして決定する。
走査型電子顕微鏡1は、しきい値メモリ33に最適しきい値Hhとして現在記憶されている波高しきい値H1aを読み出す。
ここで、この読み出した波高しきい値H1aは、図7においては、フォトマル温度が変化する前の波高値H1aに該当するものであり、図8においては、現在のフォトマル電源11のフォトマル電源電圧に対応した波高値H1bに該当するものである。
その上で、図7においては、波高しきい値H1aからH1bへのシフト量St(=H1b−H1a)はフォトマル温度の変化温度に対応するものであり、図8においては、図7に示した波高値H1aに該当する波高値H1bにこのシフト量St(=H1b−H1a)を加えた波高値H1c(=H1b+St)がこのフォトマル温度の変化温度に対応した、暗電流ノイズの増倍率Aの変化分△Aに対応したものとなる。
したがって、走査型電子顕微鏡1では、このフォトマル温度の変化温度に対応した暗電流ノイズの増倍率Aの変化分△Aに基づいて、現在、フォトマルへのフォトマル電源電圧の供給を増倍率Aで行っているフォトマル電源11に対して、この変化分△Aだけ増倍率Aを変化させ、フォトマルへ供給するフォトマル電源電圧を増倍率Aの変化分△Aに対応した電圧分だけシフトさせるようなフォトマルゲイン調整電圧信号が、画像処理部9からフォトマル電源11に供給される。
そして、フォトマル電源11は、この供給されたフォトマルゲイン調整電圧信号に対応してフォトマル電源11に供給するフォトマル電源電圧を変化させ、検出器22の試料観察時における検出信号としてのフォトマル出力が、フォトマルの暗電流ノイズ分と試料24からの放出電子の検出信号分との両方を含んだフォトマル出力のヒストグラム曲線Gについて図8における曲線G3bから曲線G3cにシフトさせるようにする。
また、このゲイン制御処理では、走査型電子顕微鏡1は、上述したフォトマル電源電圧の制御に合わせて、可変増幅アンプ26でのゲイン制御を行う。
これは、図8で説明したように、例えば、フォトマル電源電圧を上げ、フォトマルの暗電流ノイズ分と試料24からの放出電子の検出信号分との両方を含んだフォトマル出力のヒストグラム曲線Gを曲線G3bから曲線G3cにシフトさせると、検出器22のフォトマル出力のパルス波高分布の波高値範囲が波高値H1Fullから波高値H2Fullに高電圧側にシフトし、A/D変換部27に対する入力電圧範囲が変わることから、A/D変換部27に対して最適な入力電圧範囲のフォトマル出力になるように、可変増幅アンプ26の増幅ゲインを調整するものである。
具体的には、フォトマル電源電圧を変化させて得られたフォトマル電源電圧の増幅率分を可変増幅アンプ26の増幅ゲインを変化させて調整し、A/D変換部27の入力端において常に所定の波高値範囲内の波高値が得られるようにする。そして、調整した増幅ゲインに対応するアンプゲイン調整電圧信号が、画像処理部9から可変増幅アンプ26に供給される。
その後、走査型電子顕微鏡1は、上記ステップS040のゲイン制御処理により変化させたフォトマル電源11のフォトマル電源電圧及び可変増幅アンプ26のゲインに基づいて、再びステップS010以降の処理を行う。
なお、本実施例に係る上記説明では、検出器22のフォトマル温度が上昇した場合を例に説明したが、例えば、装置の前回使用時に対して今回使用時の周囲環境の変化等により、フォトマル温度が下降しているような場合にも対応できるものである。
本実施例によれば、検出信号を画像処理部9に供給する検出器22側で、検出器22から画像処理部9に供給される検出信号自体を、予め高S/N状態に維持しておくことが可能になる。この結果、装置の長時間使用又は周囲環境の変化等によりフォトマル温度が上昇し、検出器22のフォトマル出力における暗電流ノイズが増加した場合に、画像処理部側で、最適しきい値Hhを導出する処理を行う際、検出信号自体が高S/N状態に維持されているので、より有効に最適しきい値Hhを導出することができる。
<実施例3>
本実施例では、高S/Nな試料画像を取得、表示できる状態の維持を、装置内に設けられたキャリブレーション用の標準試料34を使用して、実施可能な構成になっている。
本実施例では、高S/Nな試料画像を取得、表示できる状態の維持を、装置内に設けられたキャリブレーション用の標準試料34を使用して、実施可能な構成になっている。
図10に、キャリブレーションにて使用する標準試料の概略図を示す。
本実施例では、図1に示した走査型電子顕微鏡1の構成において、その試料ステージ25上に、図10に示すような標準試料34が設置されている点が、他の実施例に対し、異なる。標準試料34は、一次電子ビーム16を照射したときに検出器22のフォトマルから得られるフォトマル出力が既知である所定の試料面を有して形成されている。標準試料34は、例えばウエハ交換時(試料24の交換時)といった空き時間等に実施するキャリブレーションに使用される。
本実施例では、図1に示した走査型電子顕微鏡1の構成において、その試料ステージ25上に、図10に示すような標準試料34が設置されている点が、他の実施例に対し、異なる。標準試料34は、一次電子ビーム16を照射したときに検出器22のフォトマルから得られるフォトマル出力が既知である所定の試料面を有して形成されている。標準試料34は、例えばウエハ交換時(試料24の交換時)といった空き時間等に実施するキャリブレーションに使用される。
走査型電子顕微鏡1は、例えば、キャリブレーションを次のようにして実施する。
走査型電子顕微鏡1は、まず、標準試料34に一次電子ビーム16を照射走査して、検出器22のフォトマルから検出信号として得られたフォトマル出力より、図4に示したヒストグラム曲線G3ような、フォトマルの暗電流ノイズ分及び標準試料34からの放出電子の検出信号分を含んだフォトマル出力の各出力パルスのパルス波高分布を生成する。その際、画像処理部9におけるデジタル信号処理部13のセレクタ28は、試料24の試料面に対する一次電子ビーム16のライン走査時とは異なり、検出器22からの検出信号としてのフォトマル出力を、頻度計測メモリ30側に転送するようになっている。頻度計測メモリ30には、セレクタ28から転送されてくるフォトマル出力の各出力パルスがキャリブレーション用の出力パルスの測定データとして蓄積記憶される。
走査型電子顕微鏡1は、まず、標準試料34に一次電子ビーム16を照射走査して、検出器22のフォトマルから検出信号として得られたフォトマル出力より、図4に示したヒストグラム曲線G3ような、フォトマルの暗電流ノイズ分及び標準試料34からの放出電子の検出信号分を含んだフォトマル出力の各出力パルスのパルス波高分布を生成する。その際、画像処理部9におけるデジタル信号処理部13のセレクタ28は、試料24の試料面に対する一次電子ビーム16のライン走査時とは異なり、検出器22からの検出信号としてのフォトマル出力を、頻度計測メモリ30側に転送するようになっている。頻度計測メモリ30には、セレクタ28から転送されてくるフォトマル出力の各出力パルスがキャリブレーション用の出力パルスの測定データとして蓄積記憶される。
したがって、走査型電子顕微鏡1では、ヒストグラム曲線G3で表されるフォトマル出力の各出力パルスのパルス波高分布において、パルス発生頻度が極小となるピーク頻度波高値H1と、ピーク頻度波高値H1以上でパルス発生頻度が最大となるピーク頻度波高値H2を取得することができる。
ここで、図4においては、パルス発生頻度が極小となる波高値H1は、ヒストグラム曲線G1で示された信号起因の頻度分布と曲線G2で示された暗電流ノイズ起因の頻度分布とを弁別するしきい値H1となるものであり、また、ピーク頻度波高値H2は、本来の検出対象信号波高値となるものである。
ピーク頻度波高値H1、H2の関係については、その波高値間隔が、検出器22の検出信号として信号処理部31から画像生成部32に転送される、観察画像の生成用の検出信号のS/Nを意味することとなり、高S/N状態とはこのピーク頻度波高値H1、H2間の波高値間隔が広い状態を指す。
これより、本実施例では、走査型電子顕微鏡1が、標準試料34に対する一次電子ビーム16の照射走査を行って、波高値H1,H2の波高値間隔を検出し、これを判定基準としてキャリブレーションを行う構成になっている。
図11は、走査型電子顕微鏡において実施されるキャリブレーションのフローチャートである。
走査型電子顕微鏡1は、例えば、ウエハ交換時等の空き時間、又は観察者による指示時等に、上述した標準試料34への一次電子ビームの照射走査と、キャリブレーション用のヒストグラム曲線G3を取得するためのフォトマル出力の出力パルスの測定データ取得処理を、予め設定された所望の測定時間の間だけ行う(S310)。
そして、走査型電子顕微鏡1は、この間に頻度計測メモリ30に蓄積記憶されたキャリブレーション用の出力パルスの測定データを基にして、キャリブレーション用のヒストグラム曲線G3を生成し、ピーク頻度波高値H1、H2を取得するとともに、このピーク頻度波高値H1、H2間の波高値間隔を取得する(S320)。
その後、走査型電子顕微鏡1は、このピーク頻度波高値H1、H2間の波高値間隔を予め設定されている規定値と比較し、キャリブレーションの要否について判定する(S330)。
走査型電子顕微鏡1は、ピーク頻度波高値H1、H2間の波高値間隔が規定値よりも大きく、検出器22の検出信号として信号処理部31から画像生成部32に転送される、観察画像の生成用の検出信号が高S/Nな状態であるときには、今回のキャリブレーションを終了する。
一方、走査型電子顕微鏡1は、ピーク頻度波高値H1、H2間の波高値間隔が規定値よりも小さく、観察画像の生成用の検出信号が高S/Nな状態ではないときには、ゲイン制御処理を実行する。
ゲイン制御処理では、走査型電子顕微鏡1は、フォトマル電源11から供給させている現在のフォトマル電源電圧、及び現在のフォトマル電源電圧に合わせた可変増幅アンプ26の増幅ゲインを、予め定められている所定の手順にしたがって、次のフォトマル電源電圧、及び次のフォトマル電源電圧に合わせた可変増幅アンプ26の増幅ゲインを選定する。そして、これらそれぞれに合わせたフォトマルゲイン調整電圧信号及びアンプゲイン調整電圧信号を、フォトマル電源11及び可変増幅アンプ26に供給する(S340)。
その後、走査型電子顕微鏡1では、S340のゲイン制御処理で選定されたフォトマル電源11からのフォトマル電源電圧及び可変増幅アンプ26の増幅ゲインで、ステップS310以降の処理を行う。この結果、ステップS330の判定処理で、これ以上のキャリブレーションの繰り返しの必要がないと判定されるまで、走査型電子顕微鏡1では、S310〜S340に示したキャリブレーションが繰り返されることになる。
なお、S340で示したゲイン制御処理については、フォトマル電源電圧は予め定められている所定の手順にしたがって適宜変更されるものとして説明したが、フォトマル出力の波高値がA/D変換部27のフルスケールに相当するように始めにフォトマル電源電圧HFullを設定し、始めの選定でフォトマル電源電圧をフォトマル電源電圧HFullに設定し、その電圧で固定とし、キャリブレーションを繰り返さないようにすることも可能である。
本実施例によれば、検出信号を画像処理部9に供給する検出器22側で、検出器22から画像処理部9に供給される検出信号自体を、予め高S/N状態に維持しておくことが可能になる。この結果、装置の長時間使用又は周囲環境の変化等によりフォトマル温度が上昇し、検出器22のフォトマル出力における暗電流ノイズが増加する場合に、画像処理部側で、最適しきい値Hhを導出する処理を行う際、検出信号自体が高S/N状態に維持されているので、より有効に最適しきい値Hhを導出することができる。
さらに、検出器22から画像処理部9に供給される検出信号自体を、予め高S/N状態に維持する処理は、例えばウエハ交換時(試料24の交換時)といった空き時間等に行えるので、走査型電子顕微鏡1のスループットがより一層向上する。
以上、本発明に係る荷電粒子線装置として、走査型電子顕微鏡1を例に、装置のスループットを向上させて、高S/Nな試料画像を取得するための処理について実施例を挙げて説明したが、個別の具体的な処理については、上記説明した実施例の個別の具体的な処理に限定されない。例えば、実施例2のステップS040で説明したゲイン制御処理では、予め、現在のフォトマル電源11のフォトマル電源電圧に対応した波高値H1bそれぞれに対するフォトマルゲイン調整電圧信号及びアンプゲイン調整電圧信号の制御テーブルを準備しておき、この制御テーブルに基づき調整する等にしてもよい。
また、上記説明では、走査型電子顕微鏡1を例に説明したが、その実施例は、走査型イオン顕微鏡、集束イオンビーム加工観察装置、等の荷電粒子線装置及びその応用装置にも同様に適用可能であることは、明らかである。
1 走査型電子顕微鏡、 1a 顕微鏡本体、 2 電子光学鏡筒、
3 試料室、 4A システム制御CPU、 4B 画像表示部、
5 上位制御CPU、 6 LAN、 7 データバス、
8 電子光学制御部、 9 画像処理部、 10 偏向制御部、
11 フォトマル電源、 12 試料ステージ制御部、
13 デジタル信号処理部、 14 電子銃、 15 引出し電極、
16 一次電子線(一次電子ビーム)、
17 ブランキング電極(ブランキング偏向器)、
18 絞り、 19 偏向電極、 20 焦点コイル、 21 動焦点コイル、
22 検出器(フォトマル)、 23 E×B偏向器、
24 試料、 25 試料ステージ、 26 可変増幅アンプ、
27 A/D変換部、 28 セレクタ、 29 制御部、
30 頻度計測メモリ、 31 信号処理部、 32 画像生成部、
33 しきい値メモリ、 34 標準試料、 35 試料台
3 試料室、 4A システム制御CPU、 4B 画像表示部、
5 上位制御CPU、 6 LAN、 7 データバス、
8 電子光学制御部、 9 画像処理部、 10 偏向制御部、
11 フォトマル電源、 12 試料ステージ制御部、
13 デジタル信号処理部、 14 電子銃、 15 引出し電極、
16 一次電子線(一次電子ビーム)、
17 ブランキング電極(ブランキング偏向器)、
18 絞り、 19 偏向電極、 20 焦点コイル、 21 動焦点コイル、
22 検出器(フォトマル)、 23 E×B偏向器、
24 試料、 25 試料ステージ、 26 可変増幅アンプ、
27 A/D変換部、 28 セレクタ、 29 制御部、
30 頻度計測メモリ、 31 信号処理部、 32 画像生成部、
33 しきい値メモリ、 34 標準試料、 35 試料台
Claims (3)
- 荷電粒子発生源で発生させた荷電粒子ビームを試料室内の試料ステージに載置された試料に照射することによって当該試料から発生する二次粒子を検出する検出器と、
荷電粒子ビームを偏向して荷電粒子ビームの照射位置を移動させる偏向器と、
試料面上の予め設定した観察範囲で前記偏向器により荷電粒子ビームの照射位置を二次元走査した際に、前記検出器から出力される当該検出器の暗電流ノイズパルス及び二次粒子の検出信号分パルスを含む検出信号から、予め設定されている波高しきい値に基づいて、暗電流ノイズパルスを取り除いた二次粒子の検出信号分パルスからなる検出信号を取り出す信号処理部と、
該信号処理部によって取り出された二次粒子の検出信号分パルスからなる検出信号に基づいて観察範囲の観察画像を生成する画像生成部と、
前記試料室内での試料のローディング中、若しくは観察範囲の二次元走査のライン走査の帰線期間中を含む、荷電粒子ビームが前記偏向器によって試料に照射されていない期間に、前記検出器から出力される検出信号を暗電流ノイズパルスのパルス波高分布のヒストグラムデータとして取得して蓄積するヒストグラムデータ取得記憶部と、
該ヒストグラムデータ取得記憶部に蓄積された暗電流ノイズパルスのパルス波高分布のヒストグラムデータに基づいて、前記信号処理部で用いられる波高しきい値を決定し、更新設定する波高しきい値決定部と
を備え、
前記波高しきい値決定部は、一連の試料観察中に少なくとも複数以上発生する所定のタイミングで波高しきい値を決定する
ことを特徴とする荷電粒子線装置。 - 前記波高しきい値決定部による前記信号処理部で用いられる波高しきい値の更新設定に係り、当該決定した波高しきい値と、当該決定した波高しきい値で更新される波高しきい値とを比較し、所定値以上の差がある場合は、前記波高しきい値決定部による当該決定した波高しきい値の更新設定を中止させ、前記検出器の検出器駆動電圧を当該波高しきい値の差に基づいて調整する制御部
がさらに備えられていることを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子線装置。 - 荷電粒子発生源で発生させた荷電粒子ビームを試料室内の試料ステージに載置された試料に照射することによって当該試料から発生する二次粒子を検出する検出器と、
前記試料ステージに設けられ、荷電粒子ビームが照射されたときの前記検出器から出力される検出信号が既知の標準試料と、
荷電粒子ビームを偏向して荷電粒子ビームの照射位置を移動させる偏向器と、
試料面上の予め設定した観察範囲で前記偏向器により荷電粒子ビームの照射位置を二次元走査した際に、前記検出器から出力される当該検出器の暗電流ノイズパルス及び二次粒子の検出信号分パルスを含む検出信号から、予め設定されている波高しきい値に基づいて、暗電流ノイズパルスを取り除いた二次粒子の検出信号分パルスからなる検出信号を取り出す信号処理部と、
該信号処理部によって取り出された二次粒子の検出信号分パルスからなる検出信号に基づいて観察範囲の観察画像を生成する画像生成部と、
試料交換時を含む観察休止期間中に、前記標準試料の試料面上を前記偏向器によって荷電粒子ビームで二次元走査させ、前記検出器から出力される前記標準試料の検出信号を前記標準試料の測定パルス波高分布のヒストグラムデータとして取得して記憶するヒストグラムデータ取得記憶部と、
該ヒストグラムデータ取得記憶部に記憶された前記標準試料の測定パルス波高分布のヒストグラムデータと前記標準試料の既知の検出信号とに基づいて、前記信号処理部で用いられる波高しきい値を決定し、更新設定する波高しきい値決定部と
を備えていることを特徴とする荷電粒子線装置。
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2013
- 2013-07-31 JP JP2013159803A patent/JP2015032392A/ja active Pending
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