JP2015030787A - 一液型水性シーラー用エマルション組成物および一液型水性シーラー用エマルション組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明のシーラー用エマルション組成物を構成する(a)成分としてのアミノ基非含有エチレン性不飽和単量体(以下、単量体(a)とも略記する)は、アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体およびビニル基含有単量体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。具体的には、以下のような化合物が挙げられる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体や、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、4−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル系単量体や、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられる。本発明のシーラー用エマルション組成物を構成する(a)成分としては、上記に挙げたような単量体から選ばれた1種又は2種以上を適宜に使用できる。
本発明のシーラー用エマルション組成物を構成する(b)成分(以下、単量体(b)とも略記)は、アミノ基含有エチレン性不飽和単量体およびその4級アンモニウム塩からなる群から選ばれるが、(b)成分の配合量は、上記した単量体(a)100質量部に対して、0.1〜40質量部の範囲である。(b)成分としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートメチルクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド等が挙げられる。本発明のシーラー用エマルション組成物を構成する(b)成分としては、上記に挙げたような単量体から選ばれた1種又は2種以上を適宜に使用できる。特には、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレートが好ましい。
本発明のシーラー用エマルション組成物を構成する(c)成分(以下、化合物(c)とも略記)は、エポキシ基含有アルコキシシラン化合物およびその部分加水分解縮合物からなる群から選ばれるが、その配合量は、先に説明した(a)成分のアミノ基非含有エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、0.1〜30質量部の範囲である。より好ましい範囲は、1.0〜20質量部である。(c)成分の使用量が、0.1質量部未満であると、アミノ基含有エチレン性不飽和単量体およびその4級アンモニウム塩との架橋反応が乏しく、ゲル分率が上がらないために皮膜強度が不足し、基材への付着性が不十分となり、また架橋密度が低いために形成した皮膜の耐水性が著しく低下する。一方、30質量部を超えると、過度な架橋構造となるため、エマルションの製造安定性が低下しゲル化を起こし易くなる。
本発明のシーラー用エマルション組成物を構成する上記した単量体(b)と化合物(c)の使用割合は、0.5〜5.0であることを要する。(b)成分/(c)成分の比のより好ましい範囲は、1.5〜4.5である。使用割合が0.5未満であると、エマルションを構成する架橋性樹脂成分中のアミノ基の割合が減少するためエマルションの不安定要素が増し、乳化重合する際にゲル化を起こし易い。一方、アミノ基(アミン量)が少ない場合には、エマルションを用いて形成した皮膜の下地基材への付着性が不十分となる。一方、使用割合が5.0を超えると、モルタル・コンクリート面や窯業系サイディングボードなどの下地基材への付着性は良好であるが、アミノ基が過多となるおそれがあり、その場合には、形成した皮膜の耐水性が低下するといった問題が生じる。
本発明のシーラー用エマルション組成物は、上記以外の構成成分として、必要に応じて成膜助剤を、上記(a)成分100質量部に対して50質量部以下の範囲、より好ましくは40質量部以下で用いることができる。必要に応じて成膜助剤を用いることで、成膜性アップ、密着性アップ、塗料性質の改良などを図ることができる。本発明で使用することができる成膜助剤は、従来より水系塗材に用いられている、例えば、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート、グリコールエーテル系溶剤、ミネラルスピリット(石油系溶剤)、アルコール系溶剤などをいずれも使用することができる。
本発明のシーラー用エマルション組成物は、後述する本発明の製造方法で上記した(a)成分と(b)成分と(c)成分とを少なくとも用いて乳化重合して得られるが、その際に、(b)成分として、アミノ基含有エチレン性不飽和単量体の4級アンモニウム塩以外の化合物を用いる場合には、アミノ基含有エチレン性不飽和単量体を中和して反応系を酸性サイドにするとよい。このようにすれば、重合反応を良好な状態で円滑に行うことができる。
本発明のシーラー用エマルション組成物の製造方法は、特に限定されず、従来の乳化重合方法を利用することで合成できる。ただし、本発明では、本発明のシーラー用エマルション組成物で形成した架橋性樹脂皮膜のゲル分率(架橋度)が80〜100%となるように構成する必要があるため、その合成温度や、反応に要する時間や、重合開始剤の添加方法などの条件を工夫して、安定して所望するゲル分率の皮膜を形成できる形態のエマルション組成物を合成することが好ましい。
イオン交換水65.2部に、カチオン性界面活性剤であるセチルトリメチルアンモニウムクロライド(商品名:コータミン60W、花王社製)を10.0部と、ノニオン性界面活性剤であるポリオキシエチレン多環フェニルエーテル(商品名:ニューコール723、日本乳化剤社製)を1.0部加え、これに、架橋性樹脂成分のうちの(a)成分として、n−ブチルアクリレート34.0部と、メチルメタクリレート10.0部と、スチレン56.0部とを加え、さらに、(b)成分として、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(商品名:同名、興人社製)20.0部、(c)成分として、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(商品名:信越シリコーンKBE−403、信越化学工業(株)製)10.0部を秤量して撹拌し、乳化混合液を調製した。
上記で得たエマルション組成物を、130℃で30分間乾燥させ、樹脂皮膜を形成させた後、該樹脂皮膜を剥がし、これを測定試料とした。そして、この試料を0.5g秤量し、23℃のテトラヒドロフラン100ml中に浸漬し、23℃に3日間放置した。その後、上記のテトラヒドロフラン溶液をろ紙にて濾過し、ろ紙上に残った不溶解分を130℃で1時間乾燥させ、23℃に戻してからその重量を測定した。そして、下記の式にてゲル分率(%)を求めた。なお、他の実施例および比較例のエマルション組成物についても、同様の方法でゲル分率を求めた。
ゲル分率(%)=不溶解分/浸漬前の重量×100
実施例1における構成成分および配合量を、表1−1、1−2に記載のものに変える以外は、実施例1と全く同様の重合条件により、実施例2〜6のエマルション組成物を作製した。但し、多層重合の場合は、単量体比率に応じて、実施例1で使用した界面活性剤量および重合開始剤量を各々の段階に分割して用いた。
実施例1における構成成分および配合量を、表2に記載のものに変えた以外は、実施例1と同様の重合条件により、比較例1〜4の一液型水性シーラー用エマルションを得た。なお、多層重合の場合は、実施例の場合と同様、界面活性剤量および重合開始剤量を各々分割して用いた。
実施例および比較例の各エマルション組成物について、付着性試験、耐温水付着性試験およびゲル分率試験を、下記の試験方法で行った。そして、下記の評価基準で評価を行い、結果を表3にまとめて示した。なお、比較例4は、エマルション重合中にゲル化を起こしたため、ゲル分率および以降の試験を行うことができなかった。
〔試験板の作製〕
実施例および比較例の各エマルション組成物を、固形分濃度が11%になるように調整して塗工液を作製した。そして、得られた各塗工液を用い、以下のようにして、各種の無機基材または各種の塗膜にそれぞれに塗装して試験試料をそれぞれ作製した。作製した試験試料を用い、クロスカット法により、各種の無機基材または各種の塗膜に形成された塗膜の付着性を評価した。
下記のようにして、各種無機基材に対するシーラー塗膜の付着性を評価するための試験試料を作製した。上記で調製した実施例および比較例のシーラー組成物を含んでなる各塗工液を用い、押出成形セメント板(ECP)、スレート板および珪酸カルシウム板のそれぞれの表面に、0.12kg/m2となるように塗装した後、23℃×50%の雰囲気下で2時間乾燥してシーラー塗膜を形成し、これを試験試料とした。
下記のようにして、旧塗膜に対する本発明の実施例及び比較例のシーラー組成物からなる塗膜の付着性を評価するための試験試料を作製した。まず、スレート板に二液溶剤型シーラー(商品名:浸透性シーラー、日本ペイント社製)を0.12kg/m2となるように塗装し、23℃×50%の雰囲気下で2時間乾燥を行って下地処理した。次に、以下の(1)〜(3)の各塗料を、以下の各塗工量でそれぞれに塗工し、23℃×50%の雰囲気下で7日間乾燥を行うことで、スレート板上に旧塗膜をそれぞれ形成した。
(2)二液弱溶剤アクリルシリコン塗料(商品名:ファインシリコンフレッシュ、日本ペイント社製)を、塗工量が0.13kg/m2となるように塗装した。
(3)二液弱溶剤ウレタン塗料(商品名:ファインウレタンU100、日本ペイント社製)を、塗工量が0.13kg/m2となるように塗装した。
上記で作製した各試験試料を用い、基材或いは旧塗膜に対するシーラー塗膜の付着性の評価を、JIS K5600−5−6(クロスカット法)に準拠して行い、目視にて、下記の分類0〜5の6段階の基準を用いて評価した。結果を表3にまとめて示した。本発明では、分類0、1を合格として、分類2〜5を不合格とした。
分類0:どの格子の目にも剥れが無い
分類1:カットの交差点の塗膜の小さな剥れ、クロスカット部分の剥れは、5%以下
分類2:塗膜がカットの縁に沿って、および/又は交差点で剥れ、クロスカット部分の剥れは、5%超15%以下である
分類3:塗膜がカットの縁に沿って、全面的に大剥れを生じ、クロスカット部分の剥れは、15%超35%以下である
分類4:塗膜がカットの縁に沿って、全面的に大剥れを生じ、クロスカット部分の剥れは、35%を上回る
分類5:分類4以上の剥れの場合
前記した付着性試験で用いたのと同様にして作製した各試験試料を用いて、下記のようにして耐温水付着性の評価を行った。各試験試料を、40℃の温水に3日間浸漬し、取り出し後、さらに23℃×50%の雰囲気下で3日間乾燥したものを耐温水付着性試験用の各試験試料とした。そして、得られた耐温水付着性試験用の試料を用いた以外は、前記付着性試験と同様にして耐温水付着性の評価を行った。なお、本発明では、耐温水付着性も、分類0、分類1を合格として、分類2〜5を不合格とした。結果を表3にまとめて示した。
Claims (7)
- カチオン性水性シーラー用エマルションであって、
架橋性樹脂成分として、アミノ基非含有エチレン性不飽和単量体である(a)成分100質量部に対して、アミノ基含有エチレン性不飽和単量体およびその4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる(b)成分を0.1〜40質量部と、エポキシ基含有アルコキシシラン化合物およびその部分加水分解縮合物からなる群から選ばれる(c)成分を0.1〜30質量部とを含有し、且つ、
上記(b)成分と上記(c)成分との使用割合が(b)/(c)=0.5〜5.0であり、
さらに、形成した架橋性樹脂皮膜のゲル分率が80〜100%となることを特徴とする一液型水性シーラー用エマルション組成物。 - 前記(a)成分が、アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体およびビニル基含有単量体からなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載の一液型水性シーラー用エマルション組成物。
- 前記(c)成分が、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランおよびこれらの部分加水分解縮合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の一液型水性シーラー用エマルション組成物。
- さらに、成膜助剤が、上記(a)成分100質量部に対して50質量部以下の範囲で含有されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の一液型水性シーラー用エマルション組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の一液型水性シーラー用エマルション組成物の製造方法であって、
少なくとも、界面活性剤を含む水中に、アミノ基非含有エチレン性不飽和単量体である(a)成分100質量部に、アミノ基含有エチレン性不飽和単量体およびその4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる(b)成分0.1〜40質量部と、エポキシ基含有アルコキシシラン化合物およびその部分加水分解縮合物からなる群から選ばれる(c)成分0.1〜30質量部を加えて乳化混合液を調製し、
該乳化混合液を、水、界面活性剤および重合開始剤の存在下に滴下して乳化重合する工程と、必要に応じて成膜助剤を添加する工程を有することを特徴とする一液型水性シーラー用エマルション組成物の製造方法。 - 前記(b)成分を1.5〜30質量部、且つ、前記(c)成分を1.0〜20質量部で使用して乳化重合をする請求項5に記載の一液型水性シーラー用エマルション組成物の製造方法。
- 前記乳化重合する工程を、多層に分けて行う請求項5又は6に記載の一液型水性シーラー用エマルション組成物の製造方法。
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