JP2015030309A - 車両用駆動装置の制御装置 - Google Patents

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藍子 渡邉
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明宏 吉川
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Noriyoshi Kurita
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Abstract

【課題】前進走行レンジと後進走行レンジとの間で切り替えが行われ、車両の進行方向と切り替え後の走行レンジとが異なるガレージシフト(特定切替)が生じた場合に、車輪側に大きなトルクが伝達されることを抑制できる制御装置が求められる。
【解決手段】特定切替があった場合に、回転切替装置を非伝達状態に移行させると共に回転電機に切り替わり後の要求進行方向のトルクを出力させ、少なくとも車輪の回転速度がゼロになった後に、回転切替装置を切り替わり後の伝達状態に移行させる特定切替制御を実行する車両駆動装置の制御装置。
【選択図】図10

Description

本発明は、内燃機関に駆動連結される入力部材と車輪とを結ぶ動力伝達経路に、前記入力部材の側から順に、流体継手、回転切替装置、及び無段変速装置を備えると共に、前記回転切替装置を介さずに車輪に駆動連結される回転電機を備えた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置に関する。
上記のような制御装置として、例えば、下記の特許文献1に記載された装置が既に知られている。特許文献1の技術では、車両の車庫入れ時などにおいて、前進走行レンジと後進走行レンジとの間で切り替えが行われ、車両の進行方向と切り替え後の走行レンジとが異なるいわゆるガレージシフトが生じた場合に、無段変速装置に大きなトルクが伝達されても、無段変速装置におけるプーリと伝動ベルトとの間の滑りが生じないように、各プーリにおける伝動ベルトの挟持圧を高めるように構成されている。
特開2008−39154号公報
しかしながら、引用文献1の技術では、ガレージシフトが生じた場合に、伝動ベルトの挟持圧を高めることにより、伝動ベルトの滑りを抑制できるが、無段変速装置を大きなトルクが伝達するため、車輪にトルク変動が伝達され、運転者に違和感を与えるおそれがあった。
また、引用文献1の技術では、伝動ベルトの挟持圧を高めることにより、挟持圧を生じさせるオイルポンプなどの駆動損失が大きくなり、燃費の悪化を招来する。
そこで、前進走行レンジと後進走行レンジとの間で切り替えが行われ、車両の進行方向と切り替え後の走行レンジとが異なるガレージシフト(特定切替)が生じた場合に、車輪側に大きなトルクが伝達されることを抑制できる車両用駆動装置の制御装置の実現が望まれる。
本発明に係る、内燃機関に駆動連結される入力部材と車輪とを結ぶ動力伝達経路に、前記入力部材の側から順に、流体継手、回転切替装置、及び無段変速装置を備えると共に、前記回転切替装置を介さずに車輪に駆動連結される回転電機を備えた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置の特徴構成は、
前記回転切替装置は、係合装置が係合又は解放されることにより、前記内燃機関の回転を車両が前進する回転方向で前記車輪側に伝達する前進伝達状態と、前記内燃機関の回転を車両が後進する回転方向で前記車輪側に伝達する後進伝達状態と、前記内燃機関の回転を前記車輪側に伝達しない非伝達状態と、の間で伝達状態が切り替わる構成であり、
車両の進行方向を前進方向又は後進方向にする要求である要求進行方向を受け付ける進行方向受付部と、
前記要求進行方向が前記前進方向である場合は、前記回転切替装置を前記前進伝達状態に制御し、前記要求進行方向が前記後進方向である場合は、前記回転切替装置を前記後進伝達状態に制御する切替制御部と、を備え、
前記切替制御部は、前記回転切替装置を前記要求進行方向に対応する前記前進伝達状態又は前記後進伝達状態に制御しており、前記内燃機関が回転し、前記車輪が前記要求進行方向に回転している状態で、前記要求進行方向が前記前進方向と前記後進方向との間で切り替わる特定切替があった場合に、前記回転切替装置を前記非伝達状態に移行させると共に前記回転電機に切り替わり後の前記要求進行方向のトルクを出力させ、少なくとも前記車輪の回転速度がゼロになった後に、前記回転切替装置を切り替わり後の前記要求進行方向に対応する前記伝達状態に移行させる特定切替制御を実行する点にある。
なお、本願において「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
また、本願において、「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が一又は二以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む概念として用いている。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材が含まれ、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。また、このような伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば摩擦係合装置や噛み合い式係合装置等が含まれていてもよい。
上記の特徴構成とは異なり、特定切替があった場合に、特定切替制御を行わずに、直ちに、回転切替装置を切り替わり後の要求進行方向に対応する伝達状態に移行させると、回転切替装置の流体継手側の回転方向が反転するため、流体継手の出力側部材の回転速度が急速に減少する。これにより、流体継手の入出力部材間の回転速度差が増加するため、流体継手の入出力部材間を伝達するトルクが増大し、回転切替装置を介して無段変速装置に伝達されるトルクが増加する。また、流体継手の出力側部材の回転速度を急速に減少させるため、切り替え後の回転切替装置の伝達状態を実現する係合装置の係合圧が増大する。これにより、回転切替装置の係合装置を伝達するトルクが増大し、回転切替装置から車輪側に伝達されるトルクが増加する。このように、特定切替があった場合に、特定切替制御を行わずに、直ちに、回転切替装置を切り替わり後の伝達状態に移行させると、回転切替装置から車輪側に伝達されるトルクが一時的に急増し、無段変速装置におけるプーリと伝動ベルトとの滑りが生じたり、車輪にトルク変動が伝達されて運転者に違和感を与えたりするおそれがあった。
しかし、上記の特徴構成によれば、特定切替があった後、特定切替制御により、回転切替装置が非伝達状態に移行されるので、回転切替装置の流体継手側の回転方向が反転して、流体継手の入出力部材間を伝達するトルクが増大することを抑制できると共に、回転切替装置から車輪側に伝達されるトルクの増加を抑制することができる。また、回転切替装置が非伝達状態にされ、回転切替装置から車輪側にトルクが伝達されない間も、回転電機に切り替わり後の要求進行方向のトルクを出力させているので、回転電機により適切なトルクを車輪側に伝達させることができる。そして、少なくとも車輪の回転速度がゼロになり、回転切替装置の流体継手側の回転方向が反転するおそれがなくなった後に、回転切替装置を切り替わり後の伝達状態に移行させるので、回転切替装置を伝達状態に移行させても、回転切替装置から車輪側に伝達されるトルクの増加を抑制できる。よって、特定切替があった場合に、特定切替制御を実行することにより、回転切替装置から車輪側に伝達されるトルクが増加することを抑制できる。そのため、各プーリにおける伝動ベルトの挟持圧を高めなくとも、プーリと伝動ベルトとの滑りが生じることを抑制できると共に、運転者に違和感を与えることを抑制できる。
ここで、前記切替制御部は、前記特定切替があった場合に、前記回転切替装置を前記非伝達状態に移行させると共に前記回転電機に切り替わり後の前記要求進行方向のトルクを出力させ、前記車輪の回転速度がゼロになった後であって、切り替わり後の前記要求進行方向に対応する前記伝達状態を実現する前記係合装置の係合部材間の回転速度差が予め定めた範囲内となった後に、前記回転切替装置を切り替わり後の前記要求進行方向に対応する前記伝達状態に移行させると好適である。
この構成によれば、車輪の回転速度がゼロになった後であって、切り替わり後の伝達状態を実現する係合装置の係合部材間の回転速度差が予め定めた範囲内となった後に、回転切替装置を切り替わり後の伝達状態に移行させるので、回転切替装置を伝達状態に移行させても、流体継手の出力側部材の回転速度が減少することを効果的に抑制できる。よって、回転切替装置から車輪側に伝達されるトルクの変動を効果的に抑制できる。
本発明の実施形態に係る車両用駆動装置の概略構成を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る制御装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態に係る回転切替装置の伝達状態の切り替わり説明するための速度線図である。 本発明の比較例に係るタイムチャートである。 本発明の比較例に係る回転切替装置の状態を説明するための速度線図である。 本発明の第一の構成例に係るタイムチャートである。 本発明の第一の構成例に係る回転切替装置の状態を説明するための速度線図である。 本発明の第一の構成例に係るタイムチャートである。 本発明の第二の構成例に係るタイムチャートである。 本発明の実施形態に係る切替制御部の処理を説明するためのフローチャートである。
本発明に係る車両用駆動装置1の制御装置30(以下、単に制御装置30と称す)の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る車両用駆動装置1及び制御装置30の概略構成を示す模式図である。この図において、実線は駆動力の伝達経路を示し、破線は作動油の供給経路を示し、一点鎖線は信号の伝達経路を示している。車両用駆動装置1は、内燃機関ENGに駆動連結される動力入力軸Ipと車輪Wとを結ぶ動力伝達経路2に、動力入力軸Ipの側から順に、トルクコンバータTC、回転切替装置RV、及び無段変速装置CVTを備えている。また、車両用駆動装置1は、回転切替装置RVを介さずに車輪Wに駆動連結される回転電機MGを備えている。本実施形態では、回転電機MGは、無段変速装置CVTと車輪Wとを結ぶ動力伝達経路2に設けられている。
なお、動力入力軸Ipが本発明における「入力部材」に相当し、トルクコンバータTCが本発明における「流体継手」に相当する。
回転切替装置RVは、係合装置C1、B1が係合又は解放されることにより、内燃機関ENGの回転を車両が前進する回転方向で車輪W側に伝達する前進伝達状態と、内燃機関ENGの回転を車両が後進する回転方向で車輪W側に伝達する後進伝達状態と、内燃機関ENGの回転を車輪W側に伝達しない非伝達状態と、の間で伝達状態が切り替わる構成とされている。
ハイブリッド車両には、図2に示すように、車両用駆動装置1を制御対象とする制御装置30が備えられている。本実施形態に係わる制御装置30は、回転電機MGの制御を行う回転電機制御ユニット32と、無段変速装置CVT、回転切替装置RV、及びロックアップクラッチLCの制御を行う動力伝達制御ユニット33と、これらの制御装置を統合して車両用駆動装置1の制御を行う車両制御ユニット34と、を有している。また、ハイブリッド車両には、内燃機関ENGの制御を行う内燃機関制御装置31も備えられている。
制御装置30は、進行方向受付部44、及び切替制御部45を備えている。
進行方向受付部44は、車両の進行方向を前進方向又は後進方向にする要求である要求進行方向を受け付ける。
切替制御部45は、要求進行方向が前進方向である場合は、回転切替装置RVを前進伝達状態に制御し、要求進行方向が後進方向である場合は、回転切替装置RVを後進伝達状態に制御する通常切替制御を実行する。
切替制御部45は、特定切替があった場合に特定切替制御を実行する特定切替制御部46を備えている。
特定切替制御部46は、回転切替装置RVを要求進行方向に対応する前進伝達状態又は後進伝達状態に制御しており、内燃機関ENGが回転し、車輪Wが要求進行方向に回転している状態で、要求進行方向が前進方向と後進方向との間で切り替わる特定切替があった場合に、回転切替装置RVを非伝達状態に移行させると共に回転電機MGに切り替わり後の要求進行方向のトルクを出力させる。そして、特定切替制御部46は、少なくとも車輪Wの回転速度がゼロになった後に、回転切替装置RVを切り替わり後の要求進行方向に対応する伝達状態に移行させる。
以下、本実施形態に係る車両用駆動装置1及び制御装置30について、詳細に説明する。
1.車両用駆動装置1の構成
まず、本実施形態に係るハイブリッド車両の車両用駆動装置1の構成について説明する。図1に示すように、ハイブリッド車両は、車両の駆動力源として内燃機関ENG及び回転電機MGを備えている。ハイブリッド車両は、無段変速装置CVTを備えており、当該無段変速装置CVTにより、変速入力軸Iに伝達された内燃機関ENGの回転速度を変速すると共にトルクを変換して変速出力軸Oに伝達する。
<内燃機関ENG>
内燃機関ENGは、燃料の燃焼により駆動される熱機関であり、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの公知の各種内燃機関を用いることができる。本例では、内燃機関ENGのクランクシャフト等の内燃機関出力軸Eoが、トルクコンバータTCに駆動連結された動力入力軸Ipに駆動連結されている。
<トルクコンバータTC>
トルクコンバータTCは、動力入力軸Ipに伝達された駆動力源の回転駆動力を、内部に充填された作動油を介して、回転切替装置RVに駆動連結される中間軸Mに伝達する装置である。このトルクコンバータTCは、動力入力軸Ipに駆動連結された入力側回転部材としてのポンプインペラTCaと、中間軸Mに駆動連結された出力側回転部材としてのタービンランナTCbと、これらの間に設けられ、ワンウェイクラッチを備えたステータTCcと、を備えている。そして、トルクコンバータTCは、内部に充填された作動油を介して、駆動側のポンプインペラTCaと従動側のタービンランナTCbとの間で駆動力の伝達を行う。オイルポンプOPは、ポンプインペラTCaと一体回転するように駆動連結されており、動力入力軸Ipと一体回転する構成となっている。
トルクコンバータTCは、ロックアップ用の係合装置として、ロックアップクラッチLCを備えている。このロックアップクラッチLCは、ポンプインペラTCaとタービンランナTCbとの間の回転差(滑り)をなくして伝達効率を高めるために、ポンプインペラTCaとタービンランナTCbとを一体回転させるように連結するクラッチである。したがって、トルクコンバータTCは、ロックアップクラッチLCが係合した状態では、作動油を介さずに、駆動力源の駆動力を直接中間軸Mに伝達する。
<回転切替装置RV>
回転切替装置RVは、係合装置C1、B1が係合又は解放されることにより、内燃機関ENGの回転を車両が前進する回転方向で車輪W側に伝達する前進伝達状態と、内燃機関ENGの回転を車両が後進する回転方向で車輪W側に伝達する後進伝達状態と、内燃機関ENGの回転を車輪W側に伝達しない非伝達状態と、の間で伝達状態が切り替わる構成とされている。
本実施形態では、回転切替装置RVは、前進クラッチC1と、後進ブレーキB1と、遊星歯車機構PGとを備えている。遊星歯車機構PGは、中間軸Mと同軸に配置されたダブルピニオン型の遊星歯車機構とされている。すなわち、この遊星歯車機構PGは、複数対のピニオンギヤを支持するキャリアCAと、前記ピニオンギヤにそれぞれ噛み合うサンギヤSGと、リングギヤRGとの3つの回転要素として有している。そして、サンギヤSGは、中間軸Mと一体回転するように連結されている。リングギヤRGは、後述する後進ブレーキB1を介してケースCsに選択的に固定される。キャリアCAは、無段変速装置CVTの変速入力軸Iと一体回転するように連結されている。
図3は、回転切替装置RVの速度線図である。この速度線図において、縦軸は、各回転要素の回転速度に対応している。すなわち、縦軸に対応して記載している「0」は回転速度がゼロであることを示しており、上側が車両の前進方向の回転(回転速度が正)、下側が車両の後進方向の回転(回転速度が負)である。そして、並列配置された複数本の縦線のそれぞれが、遊星歯車機構PGの各回転要素に対応している。すなわち、各縦線の上側に記載されている「SG」、「RG」、「CA」はそれぞれ遊星歯車機構PGのサンギヤSG、リングギヤRG、キャリアCAに対応している。また、並列配置された複数本の縦線間の間隔は、遊星歯車機構PGのギヤ比λ(サンギヤとリングギヤとの歯数比=〔サンギヤの歯数〕/〔リングギヤの歯数〕)に基づいて定まっている。
また、「●」は、各回転要素に連結された係合装置C1、B1が、直結係合状態にあることを示している。
前進クラッチC1は、サンギヤSGとキャリアCAとを選択的に連結するクラッチとされている。後進ブレーキB1は、リングギヤRGをケースCsに選択的に固定するブレーキとされている。
前進クラッチC1を直結係合状態とし、後進ブレーキB1を解放状態とすると、図3の実線で示すように、遊星歯車機構PGの全体が一体回転する直結状態となり、中間軸Mに伝達された駆動力源の回転はそのまま変速入力軸Iに伝達される。よって、この状態では、回転切替装置RVは、内燃機関ENGの回転を車両が前進する回転方向で車輪W側に伝達する前進伝達状態となる。本実施形態では、前進伝達状態における回転切替装置RVの変速比は1.0である。
ここで、回転切替装置RVの変速比は、変速入力軸Iの回転速度に対する中間軸Mの回転速度の比であり、本願では中間軸Mの回転速度を変速入力軸Iの回転速度で除算した値である。すなわち、中間軸Mの回転速度を変速比で除算した回転速度が、変速入力軸Iの回転速度になる。また、中間軸Mから回転切替装置RVに伝達されるトルクに、変速比を乗算したトルクが、回転切替装置RVから変速入力軸Iに伝達されるトルクになる。
また、前進クラッチC1を解放状態とし、後進ブレーキB1を直結係合状態とすると、図3の破線で示すように、中間軸Mに伝達された駆動力源の回転は遊星歯車機構PGにより反転されて変速入力軸Iに伝達される。よって、この状態では、回転切替装置RVは、内燃機関ENGの回転を車両が後進する回転方向で車輪W側に伝達する後進伝達状態となる。本実施形態では、後進伝達状態における、回転切替装置RVの変速比は−1.5とされている。
また、前進クラッチC1及び後進ブレーキB1の双方を解放状態とすると、サンギヤSGとキャリアCAとが互いに自由に回転可能な状態となり、中間軸Mと変速入力軸Iとの間での回転の伝達が行われない状態となる。よって、この状態では、回転切替装置RVは、内燃機関ENGの回転を車輪W側に伝達しない非伝達状態となる。
よって、回転切替装置RVは、前進クラッチC1及び後進ブレーキB1の係合状態を切り替えることにより、内燃機関ENGの回転をそのまま伝達する前進伝達状態と、回転方向を反転して伝達する後進伝達状態と、伝達しない非伝達状態と、を切り替え可能な構成となっている。
本実施形態では、回転切替装置RVが有する複数の係合装置C1、B1は、いずれも摩擦係合装置とされている。具体的には、これらは油圧により動作する多板式クラッチや多板式ブレーキにより構成されている。これらの係合装置C1、B1は、油圧制御装置PCから供給される油圧により、係合の状態が制御される。
摩擦係合装置は、その係合部材間の摩擦により、係合部材間でトルクを伝達する。摩擦係合装置の係合部材間に回転速度差(滑り)がある場合は、動摩擦により回転速度の大きい方の部材から小さい方の部材に伝達トルク容量の大きさのトルク(スリップトルク)が伝達される。摩擦係合装置の係合部材間に回転速度差(滑り)がない場合は、摩擦係合装置は、伝達トルク容量の大きさを上限として、静摩擦により摩擦係合装置の係合部材間に作用するトルクを伝達する。ここで、伝達トルク容量とは、摩擦係合装置が摩擦により伝達することができる最大のトルクの大きさである。伝達トルク容量の大きさは、摩擦係合装置の係合圧に比例して変化する。係合圧とは、入力側係合部材(摩擦板)と出力側係合部材(摩擦板)とを相互に押し付け合う圧力である。本実施形態では、係合圧は、供給されている油圧の大きさに比例して変化する。すなわち、本実施形態では、伝達トルク容量の大きさは、摩擦係合装置に供給されている油圧の大きさに比例して変化する。
各摩擦係合装置は、リターンばねを備えており、ばねの反力により解放側に付勢されている。そして、各摩擦係合装置の油圧シリンダに供給される油圧により生じる力がばねの反力を上回ると、各摩擦係合装置に伝達トルク容量が生じ始め、各摩擦係合装置は、解放状態から係合状態に変化する。この伝達トルク容量が生じ始めるときの油圧を、ストロークエンド圧と称す。各摩擦係合装置は、供給される油圧がストロークエンド圧を上回った後、油圧の増加に比例して、その伝達トルク容量が増加するように構成されている。なお、摩擦係合装置は、リターンばねを備えておらず、油圧シリンダのピストンの両側にかかる油圧の差圧によって制御させる構造でもよい。
本実施形態において、係合状態とは、係合装置に伝達トルク容量が生じている状態であり滑り係合状態と直結係合状態とが含まれる。解放状態とは、係合装置に伝達トルク容量が生じていない状態である。また、滑り係合状態とは、係合装置の係合部材間に回転速度差(滑り)がある係合状態であり、直結係合状態とは、係合装置の係合部材間に回転速度差(滑り)がない係合状態である。また、非直結係合状態とは、直結係合状態以外の係合状態であり、解放状態と滑り係合状態とが含まれる。
なお、摩擦係合装置には、制御装置30により伝達トルク容量を生じさせる指令が出されていない場合でも、係合部材(摩擦部材)同士の引き摺りによって伝達トルク容量が生じる場合がある。例えば、ピストンにより摩擦部材同士が押圧されていない場合でも、摩擦部材同士が接触し、摩擦部材同士の引き摺りによって伝達トルク容量が生じる場合がある。そこで、「解放状態」には、制御装置30が摩擦係合装置に伝達トルク容量を生じさせる指令を出していない場合に、摩擦部材同士の引き摺りにより、伝達トルク容量が生じている状態も含まれるものとする。
<無段変速装置CVT>
無段変速装置CVTは、変速入力軸Iと変速出力軸Oとの間の変速比を無段階に変化させることができる変速装置である。
図1に示すように、変速入力軸Iは、第1プーリP1と一体回転するように連結され、変速出力軸Oは、第2プーリP2と一体回転するように連結されている。伝動ベルトBLは、第1プーリP1と第2プーリとの間に掛け渡されている。第1プーリP1及び第2プーリP2は、それぞれ伝動ベルトBLの巻掛け部分を挟持する。第1プーリP1及び第2プーリP2は、それぞれ伝動ベルトBLの巻掛け径を変化させることができ、巻掛け径の変化に応じて第1プーリP1の回転速度と第2プーリP2の回転速度との間の変速比を無段階に変化させる。
第1プーリP1及び第2プーリP2は、V字状溝を備えており、V字状溝の溝幅W1、W2を変化させることにより、伝動ベルトBLを挟持することができると共に、伝動ベルトBLの巻掛け径を変化させることができる。
第1プーリP1は、変速入力軸Iと一体的に回転する第1可動シーブ11及び第1固定シーブ12を有して構成されている。第1可動シーブ11及び第1固定シーブ12は、変速入力軸I上に互いに対向するように配置され、それぞれの対向面に、径方向外側へ向かって対向間隔が広がるように傾斜した円錐面が形成された円錐板状部材とされている。第1可動シーブ11と第1固定シーブ12との間の対向する円錐面間に第1プーリP1のV字状溝が形成される。ここで、第1固定シーブ12は、変速入力軸Iに一体的に固定されている。一方、第1可動シーブ11は、その回転軸である変速入力軸Iの軸方向に移動可能に構成されている。第1プーリP1は、第1可動シーブ11を軸方向に移動させるための駆動機構として、第1可動シーブ11の背面に、油圧が供給される第1油圧室R1を備えている。そして、第1可動シーブ11を油圧により軸方向に移動させることにより、V字状溝の溝幅である第1プーリ幅W1を変化させる。第1可動シーブ11を作動させるための油圧は、油圧制御装置PCから供給される。
第2プーリP2は、変速出力軸Oと一体的に回転する第2可動シーブ21及び第2固定シーブ22を有して構成されている。第2可動シーブ21及び第2固定シーブ22は、変速出力軸O上に互いに対向するように配置され、それぞれの対向面に、径方向外側へ向かって対向間隔が広がるように傾斜した円錐面が形成された円錐板状部材とされている。第2可動シーブ21と第2固定シーブ22との間の対向する円錐面間に第2プーリP2のV字状溝が形成される。ここで、第2固定シーブ22は、変速出力軸Oに一体的に固定されている。一方、第2可動シーブ21は、その回転軸である変速出力軸Oの軸方向に移動可能に構成されている。第2プーリP2は、第2可動シーブ21を軸方向に移動させるための駆動機構として、第2可動シーブ21の背面に、油圧が供給される第2油圧室R2を備えている。そして、第2可動シーブ21を油圧により軸方向に移動させることにより、V字状溝の溝幅である第2プーリ幅W2を変化させる。第2可動シーブ21を作動させるための油圧は、油圧制御装置PCから供給される。
無段変速装置CVTは、第1プーリP1の第1可動シーブ11を軸方向に移動させて第1プーリ幅W1を変化させるとともに、第2プーリP2の第2可動シーブ21を軸方向に移動させて第2プーリ幅W2を変化させることにより、変速比を変化させる。ここで、第1プーリP1及び第2プーリP2のそれぞれについて、可動シーブ11、21を固定シーブ12、22から離れる側へ移動させればプーリ幅W1、W2は広くなり、当該プーリ幅W1、W2が広くなれば伝動ベルトBLが巻回される有効径は小さくなる。逆に、可動シーブ11、21を固定シーブ12、22に近づく側へ移動させればプーリ幅W1、W2は狭くなり、当該プーリ幅W1、W2が狭くなれば有効径は大きくなる。なお、各プーリP1、P2の有効径は、伝動ベルトBLが各プーリP1、P2のV字状溝に接触する位置の径である。そして、第1プーリP1の有効径を小さくして第2プーリP2の有効径を大きくすれば、変速比が大きくなる。逆に、第1プーリP1の有効径を大きくして第2プーリP2の有効径を小さくすれば、変速比が小さくなる。
ここで、無段変速装置CVTの変速比は、変速出力軸O(第2プーリP2)の回転速度に対する変速入力軸I(第1プーリP1)の回転速度の比であり、本願では変速入力軸Iの回転速度を変速出力軸Oの回転速度で除算した値である。すなわち、変速入力軸Iの回転速度を変速比で除算した回転速度が、変速出力軸Oの回転速度になる。また、変速入力軸Iから無段変速装置CVTに伝達されるトルクに、変速比を乗算したトルクが、無段変速装置CVTから変速出力軸Oに伝達されるトルクになる。
<回転電機MG>
回転電機MGは、車両用駆動装置1を収容するケースCsに固定されたステータStと、このステータStと対応する位置で径方向内側に回転自在に支持されたロータRoと、を有している。本実施形態では、回転電機MGのロータRoは、変速出力軸Oと一体回転するように駆動連結されている。
回転電機MGは、直流交流変換を行うインバータを介して蓄電装置としてのバッテリに電気的に接続されている。そして、回転電機MGは、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能と、を果たすことが可能とされている。すなわち、回転電機MGは、インバータを介してバッテリからの電力供給を受けて力行し、或いは内燃機関ENGや車輪Wから伝達される回転駆動力により発電し、発電された電力は、インバータを介してバッテリに蓄電される。
<車輪Wとの連結>
そして、変速出力軸Oの回転は、カウンタ減速機構Ct及び出力用差動歯車装置DFを介して左右二つの車軸AXに分配されて伝達され、各車軸AXに駆動連結された車輪Wに伝達される。
カウンタ減速機構Ctは、第一カウンタギヤ61、第二カウンタギヤ62、及び第一カウンタギヤ61と第二カウンタギヤ62とを一体回転するように連結するカウンタ軸63を備えている。第一カウンタギヤ61は、変速出力ギヤ60に噛み合っている。第二カウンタギヤ62は、出力用差動歯車装置DFの差動入力リングギヤ71に噛み合っている。出力用差動歯車装置DFは、差動入力リングギヤ71の回転及び駆動力を左右両側の車軸AXに分配する。左右の車軸AXにはそれぞれ車輪Wが連結されている。
2.油圧制御系の構成
車両用駆動装置1の油圧制御系は、オイルポンプOPから供給される作動油の油圧を所定圧に調整するための油圧制御装置PCを備えている。油圧制御装置PCは、第1油圧室R1、第2油圧室R2、及び各係合装置C1、B1、LCなどに対して供給される油圧を調整するための複数のリニアソレノイド弁などの油圧制御弁を備えている。油圧制御弁は、制御装置30から供給される油圧指令の信号値に応じて弁の開度を調整することにより、当該信号値に応じた油圧の作動油を第1油圧室R1、第2油圧室R2、及び各係合装置C1、B1、LCなどに供給する。制御装置30から各リニアソレノイド弁に供給される信号値は電流値とされている。そして、各リニアソレノイド弁から出力される油圧は、基本的に制御装置30から供給される電流値に比例する。
油圧制御装置PCは、油圧調整用のリニアソレノイド弁などから出力される油圧(信号圧)に基づき一又は二以上の調整弁の開度を調整することにより、当該調整弁からドレインする作動油の量を調整して作動油の油圧を一又は二以上の所定圧に調整する。所定圧に調整された作動油は、それぞれ必要とされるレベルの油圧で、第1油圧室R1、第2油圧室R2、及び各係合装置C1、B1、LCに供給される。
3.制御装置の構成
次に、車両用駆動装置1の制御を行う制御装置30及び内燃機関制御装置31の構成について、図2を参照して説明する。
制御装置30の制御ユニット32〜34及び内燃機関制御装置31は、CPU等の演算処理装置を中核部材として備えるとともに、当該演算処理装置からデータを読み出し及び書き込みが可能に構成されたRAM(ランダム・アクセス・メモリ)や、演算処理装置からデータを読み出し可能に構成されたROM(リード・オンリ・メモリ)等の記憶装置等を有して構成されている。そして、制御装置のROM等に記憶されたソフトウェア(プログラム)又は別途設けられた演算回路等のハードウェア、或いはそれらの両方により、制御装置30の各機能部42〜47などが構成されている。また、制御装置30の制御ユニット32〜34及び内燃機関制御装置31は、互いに通信を行うように構成されており、センサの検出情報及び制御パラメータ等の各種情報を共有するとともに協調制御を行い、各機能部41〜47の機能が実現される。
また、車両用駆動装置1は、センサSe1〜Se6を備えており(図1、図2参照)、各センサから出力される電気信号は制御装置30及び内燃機関制御装置31に入力される。制御装置30及び内燃機関制御装置31は、入力された電気信号に基づき各センサの検出情報を算出する。
機関回転速度センサSe1は、内燃機関出力軸Eo(動力入力軸Ip)の回転速度を検出するためのセンサである。内燃機関制御装置31は、機関回転速度センサSe1の入力信号に基づいて内燃機関ENGの回転速度(角速度)を検出する。また、制御装置30は、機関回転速度センサSe1の入力信号に基づいて動力入力軸Ipの回転速度(角速度)を検出する。
中間回転速度センサSe2は、中間軸Mの回転速度を検出するためのセンサである。制御装置30は、中間回転速度センサSe2の入力信号に基づいて中間軸Mの回転速度(角速度)を検出する。変速入力回転速度センサSe3は、変速入力軸Iの回転速度を検出するためのセンサである。制御装置30は、変速入力回転速度センサSe3の入力信号に基づいて変速入力軸Iの回転速度(角速度)を検出する。
変速出力回転速度センサSe4は、変速出力軸Oの回転速度を検出するためのセンサである。制御装置30は、変速出力回転速度センサSe4の入力信号に基づいて変速出力軸Oの回転速度(角速度)を検出する。また、変速出力軸Oの回転速度は車速に比例するため、制御装置30は、変速出力回転速度センサSe4の入力信号に基づいて車速を算出する。変速出力軸Oには回転電機MGのロータRoが一体的に駆動連結されているので、制御装置30は、変速出力回転速度センサSe4の入力信号に基づいて回転電機MGの回転速度(角速度)を検出する。
シフト位置センサSe5は、運転者により操作されるシフトレバーの選択位置(シフト位置)を検出するためのセンサである。制御装置30は、シフト位置センサSe5からの入力情報に基づいて、「前進走行レンジ(Dレンジ)」、「後進走行レンジ(Rレンジ)」、「ニュートラルレンジ(Nレンジ)」、「パーキングレンジ(Pレンジ)」等のいずれの走行レンジが運転者により要求されたかを検出する。
制御装置30は、アクセル開度センサSe6の入力信号に基づいてアクセル開度を検出する。
3−1.内燃機関制御装置31
内燃機関制御装置31は、内燃機関ENGの動作制御を行う内燃機関制御部41を備えている。本実施形態では、内燃機関制御部41は、車両制御ユニット34又は動力伝達制御ユニット33から内燃機関要求トルクが指令されている場合は、指令された内燃機関要求トルクを出力トルク指令値に設定し、内燃機関ENGが出力トルク指令値のトルクを出力するように制御するトルク制御を行う。内燃機関制御部41は、アイドル回転速度制御の実行条件が成立している場合は、内燃機関ENGの回転速度が目標回転速度に近づくように、内燃機関ENGの出力トルクを制御するアイドル回転速度制御を行う。
3−2.回転電機制御ユニット32
回転電機制御ユニット32は、回転電機MGの動作制御を行う回転電機制御部42を備えている。本実施形態では、回転電機制御部42は、車両制御ユニット34又は動力伝達制御ユニット33から回転電機要求トルクが指令されている場合は、指令された回転電機要求トルクを出力トルク指令値に設定し、回転電機MGが出力トルク指令値のトルクを出力するように制御する。具体的には、回転電機制御部42は、インバータが備える複数のスイッチング素子をオンオフ制御することにより、回転電機MGの出力トルクを制御する。
3−3.車両制御ユニット34
車両制御ユニット34は、内燃機関ENG、回転電機MG、及び無段変速装置CVT等に対して行われる各種トルク制御、及び各係合装置の係合制御等を車両全体として統合する制御を行う機能部を備えている。
車両制御ユニット34は、内燃機関ENGに対して要求する出力トルクである内燃機関要求トルク、回転電機MGに対して要求する出力トルクである回転電機要求トルクなどを算出し、それらを他の制御ユニット32、33及び内燃機関制御装置31に指令して統合制御を行う。なお、特定切替制御中は、特定切替制御部46が、回転電機要求トルクを算出して指令するように構成されている。
車両制御ユニット34は、車輪Wの駆動又は制動のために要求されているトルクであって、駆動力源から車輪W側に伝達させるトルクである車両要求トルクを算出する。車両制御ユニット34は、アクセル開度、車速、及びバッテリの充電量等に応じて、車両要求トルクを算出するとともに、内燃機関ENG及び回転電機MGの運転モードを決定する。運転モードとして、回転電機MGのみを駆動力源として走行する電動モードと、少なくとも内燃機関ENGを駆動力源として走行するパラレルモードと、を有する。例えば、アクセル開度が小さく、バッテリの充電量が大きい場合に、運転モードとして電動モードが決定され、それ以外の場合、すなわちアクセル開度が大きい、もしくはバッテリの充電量が小さい場合に、運転モードとしてパラレルモードが決定される。また、車両制御ユニット34は、車両要求トルク、運転モード、及びバッテリの充電量等に基づいて、内燃機関要求トルク及び回転電機要求トルクを算出する。
3−4.動力伝達制御ユニット33
動力伝達制御ユニット33は、無段変速装置CVTの制御を行う変速制御部43と、車両の進行方向の要求を受け付ける進行方向受付部44と、回転切替装置RVの制御を行う切替制御部45と、ロックアップクラッチLCの制御を行うロックアップ制御部47と、を備えている。
3−4−1.変速制御部43
変速制御部43は、無段変速装置CVTを制御する機能部である。変速制御部43は、車速、アクセル開度、及びシフト位置などのセンサ検出情報に基づいて無段変速装置CVTに形成させる目標変速比を決定する。そして、変速制御部43は、油圧制御装置PCを介して無段変速装置CVTに備えられた第1油圧室R1、第2油圧室R2に供給される油圧を制御することにより、目標とされた変速比を無段変速装置CVTに実現させる。具体的には、変速制御部43は、油圧制御装置PCに各油圧室R1、R2に供給する目標油圧(油圧指令)を指令し、油圧制御装置PCは、指令された目標油圧(油圧指令)の油圧を各油圧室R1、R2に供給する。本実施形態では、変速制御部43は、油圧制御装置PCが備えた各リニアソレノイド弁に供給される信号値を制御することにより、各油圧室R1、R2に供給される油圧を制御するように構成されている。
3−4−2.ロックアップ制御部47
ロックアップ制御部47は、ロックアップクラッチLCの係合状態を制御する。ロックアップ制御部47は、車速、アクセル開度、及びシフト位置などのセンサ検出情報に基づいてロックアップクラッチLCを係合させるか解放させるかを決定する。そして、ロックアップ制御部47は、ロックアップクラッチLCが係合又は解放するように、油圧制御装置PCにロックアップクラッチLCの目標油圧(油圧指令)を指令する。特定切替制御中は、ロックアップクラッチLCは解放されている。
3−4−3.進行方向受付部44
進行方向受付部44は、車両の進行方向を前進方向又は後進方向にする要求(ここでは車両の運転者からの要求)である要求進行方向を受け付ける。
本実施形態では、進行方向受付部44は、シフト位置が「前進走行レンジ(Dレンジ)」に指定されていると検出した場合は、要求進行方向を前進方向であると判定し、シフト位置が「後進走行レンジ(Rレンジ)」に指定されていると検出した場合は、要求進行方向を後進方向であると判定するように構成されている。また、進行方向受付部44は、シフト位置が「ニュートラルレンジ(Nレンジ)」又は「パーキングレンジ(Pレンジ)」に指定されていると検出した場合は、要求進行方向を進行方向が指定されていない中立方向であると判定するように構成されている。
3−4−4.切替制御部45
切替制御部45は、要求進行方向が前進方向である場合は、回転切替装置RVを前進伝達状態に制御し、要求進行方向が後進方向である場合は、回転切替装置RVを後進伝達状態に制御する通常切替制御を実行する。また、切替制御部45は、要求進行方向が中立方向である場合は、回転切替装置RVを非伝達状態に制御するように構成されている。
本実施形態では、切替制御部45は、要求進行方向が前進方向である場合は、前進クラッチC1を係合させ、後進ブレーキB1を解放させて、回転切替装置RVが前進伝達状態になるように、油圧制御装置PCに各係合装置C1、B1の目標油圧(油圧指令)を指令する。切替制御部45は、要求進行方向が後進方向である場合は、前進クラッチC1を解放させ、後進ブレーキB1を係合させて、回転切替装置RVが後進伝達状態になるように、油圧制御装置PCに各係合装置C1、B1の目標油圧(油圧指令)を指令する。
切替制御部45は、要求進行方向が中立方向である場合は、前進クラッチC1及び後進ブレーキB1を解放させて、回転切替装置RVが非伝達状態になるように、油圧制御装置PCに各係合装置C1、B1の目標油圧(油圧指令)を指令する。
3−4−4−1.特定切替制御部46
切替制御部45は、特定切替があった場合に特定切替制御を実行する特定切替制御部46を備えている。特定切替制御部46は、回転切替装置RVを要求進行方向に対応する前進伝達状態又は後進伝達状態に制御しており、内燃機関ENGが回転し、車輪Wが要求進行方向に回転している状態で、要求進行方向が前進方向と後進方向との間で切り替わる特定切替があった場合に、回転切替装置RVを非伝達状態に移行させると共に回転電機MGに切り替わり後の要求進行方向のトルクを出力させる。そして、特定切替制御部46は、少なくとも車輪Wの回転速度がゼロになった後に、回転切替装置RVを切り替わり後の要求進行方向に対応する伝達状態に移行させる。
ここで、要求進行方向が前進方向から後進方向に切り替わった場合は、次のようになる。
特定切替制御部46は、回転切替装置RVを要求進行方向である前進方向に対応する前進伝達状態に制御しており、内燃機関ENGが回転し、車輪Wが要求進行方向である前進方向に回転している状態で、要求進行方向が前進方向から後進方向に切り替わる特定切替があった場合に、回転切替装置RVを非伝達状態に移行させると共に回転電機MGに切り替わり後の要求進行方向である後進方向のトルクを出力させる。そして、特定切替制御部46は、少なくとも車輪Wの回転速度がゼロになった後に、回転切替装置RVを切り替わり後の要求進行方向である後進方向に対応する後進伝達状態に移行させる。
一方、要求進行方向が後進方向から前進方向に切り替わった場合は、次のようになる。
特定切替制御部46は、回転切替装置RVを要求進行方向である後進方向に対応する後進伝達状態に制御しており、内燃機関ENGが回転し、車輪Wが要求進行方向である後進方向に回転している状態で、要求進行方向が後進方向から前進方向に切り替わる特定切替があった場合に、回転切替装置RVを非伝達状態に移行させると共に回転電機MGに切り替わり後の要求進行方向である前進方向のトルクを出力させる。そして、特定切替制御部46は、少なくとも車輪Wの回転速度がゼロになった後に、回転切替装置RVを切り替わり後の要求進行方向である前進方向に対応する前進伝達状態に移行させる。
3−4−4−1−1.特定切替があった場合の課題
次に、図4に示す比較例のタイムチャートを参照して、特定切替があった場合の課題を説明する。図4に示す比較例では、特定切替があった場合に、本実施形態とは異なり特定切替制御が実行されず、通常切替制御が実行される。すなわち、図4に示す比較例では、要求進行方向が前進方向と後進方向との間で切り替わった後、単に回転切替装置RVを切り替わり後の要求進行方向に対応する伝達状態に移行させるように構成されている。
時刻T01まで、シフト位置が前進走行レンジ(Dレンジ)に指定されており、要求進行方向は前進方向であると判定されている。そのため、前進クラッチC1が係合され、後進ブレーキB1が解放されており、回転切替装置RVが前進伝達状態に制御されている。また、内燃機関ENGがアイドル回転速度で回転しており、車輪Wが要求進行方向である前進方向に回転している。なお、無段変速装置CVTは、所定の変速比(例えば、最大の変速比(例えば、2.5))に制御されており、変速入力軸Iの回転速度は、変速出力軸O及び車輪Wの回転速度(車速)に比例して変化する。
すなわち、時刻T01まで、回転切替装置RVは、要求進行方向である前進方向に対応する前進伝達状態に制御されており、内燃機関ENGが回転し、車輪Wが前進方向に回転している。この状態で、時刻T01で、シフト位置が前進走行レンジ(Dレンジ)から後進走行レンジ(Rレンジ)に変更指定され、要求進行方向が前進方向から後進方向に切り替えられているため、特定切替が生じている。この特定切替は、いわゆるガレージシフトに対応する。
しかし、図4に示す比較例では、要求進行方向が後進方向に切り替えられた後(時刻T01後)、通常切替制御が実行されている。よって、後進方向への切り替え後、前進クラッチC1が解放されると共に、後進ブレーキB1が速やかに係合される。
後進方向に切り替えられたとき(時刻T01)、前進クラッチC1の油圧指令が、完全係合圧からゼロまでステップ的に減少されている。油圧指令の減少後、前進クラッチC1に供給される油圧は、応答遅れを有して減少する。時刻T02で、前進クラッチC1が解放状態になり、変速入力軸Iと中間軸Mとの間に回転速度差が生じ始めている。
一方、後進方向に切り替えられたとき(時刻T01)、後進ブレーキB1の油圧指令が、ゼロからストロークエンド圧付近に設定された予備充填圧まで増加され、予め定められた予備充填時間(時刻T01から時刻T03)が経過した後、後進ブレーキB1の油圧指令が、予備充填圧から完全係合圧まで次第に増加されている。後進ブレーキB1に伝達トルク容量が生じ始めると(時刻T04)、後進ブレーキB1の係合部材間の回転速度差が減少するように、中間軸Mの回転速度が減少し始める(時刻T04後)。図5の速度線図に点線で示すように、後進ブレーキB1の係合部材間の回転速度差がゼロまで減少し、後進ブレーキB1が直結係合状態になると、中間軸Mの回転速度の低下が終了する(時刻T05)。なお、後進ブレーキB1の油圧指令が次第に増加されるに従い、中間軸Mの回転速度の減少速度が次第に増加している。
後進ブレーキB1に伝達トルク容量が生じ始めると(時刻T04以降)、回転切替装置RVは、後進方向のトルクを車輪W側に伝達し始める。なお、図4では、後進方向のトルクは、負方向のトルクとなる。後進ブレーキB1が滑り係合状態である期間(時刻T04から時刻T05)は、回転切替装置RVは後進ブレーキB1の伝達トルク容量に応じた、後進方向のトルクを車輪W側に伝達する。後進ブレーキB1の伝達トルク容量は次第に増加しているので、車輪W側に伝達される後進方向のトルクの大きさは次第に増加している(時刻T04から時刻T05)。
後進ブレーキB1が直結係合状態になった後(時刻T05以降)、回転切替装置RVはトルクコンバータTCから中間軸Mに伝達されるトルクを、後進伝達状態における回転切替装置RVの変速比(本例では、−1.5)で変速入力軸Iに伝達する。具体的には、トルクコンバータTCから中間軸Mに伝達されるトルクに、後進伝達状態の変速比(本例では、−1.5)を乗算したトルクが変速入力軸Iに伝達される。
中間軸Mの回転速度が低下しているので、ポンプインペラTCa(内燃機関ENG)とタービンランナTCb(中間軸M)との回転速度差Wtcが増加している。ポンプインペラTCaとタービンランナTCbとの回転速度差Wtcが増加すると、ポンプインペラTCaから作動油を介してタービンランナTCbに伝達されるトルク比が増大する。そのため、ポンプインペラTCaとタービンランナTCbとの回転速度差Wtcの増加に比例して、タービンランナTCb(中間軸M)に伝達されるトルクが増加する。
よって、後進ブレーキB1が直結係合状態になった時点(時刻T05)では、トルクコンバータTCの回転速度差Wtc(内燃機関ENGと中間軸Mとの回転速度差)が増加しているので、トルクコンバータTCから回転切替装置RVに伝達されるトルクが増加しており、回転切替装置RVから車輪W側に伝達される後進方向のトルクが大きくなっている。
また、後進ブレーキB1が滑り係合状態から直結係合状態になるとき(時刻T05)に、回転切替装置RVから車輪W側に伝達されるトルクは、後進ブレーキB1の伝達トルク容量に応じたトルクから、トルクコンバータTCから回転切替装置RVに伝達されるトルクに応じたトルクに変化するので、トルクショックが生じている。
その後、変速入力軸Iの回転速度(車速)が減少していくに従い、中間軸Mの回転速度が増加していき、トルクコンバータTCの回転速度差Wtcが減少している(時刻T05から時刻T07)。回転速度差Wtcの減少に応じて、トルクコンバータTCから回転切替装置RVに伝達されるトルクが減少し、回転切替装置RVから車輪W側に伝達される後進方向のトルクの大きさが減少している。そして、車速(変速入力軸Iの回転速度)が後進方向の所定値で安定すると、トルクコンバータTCの回転速度差Wtcが所定値で安定し、回転切替装置RVから車輪W側に伝達される後進方向のトルクが所定値で安定している(時刻T07以降)。なお、図4では、後進方向の回転速度は、負方向の回転速度となる。
このように、特定切替があった場合に、本実施形態とは異なり通常切替制御が実行されると、回転切替装置RVから車輪W側に伝達される後進方向のトルクの大きさが一時的に急増し、プーリP1、P2と伝動ベルトBLとの滑りが生じたり、車輪Wにトルク変動が伝達されて運転者に違和感を与えたりするおそれがあった。
3−4−4−1−2.特定切替制御の第1の構成例
本実施形態では、特定切替制御を実行することにより、特定切替があった場合に、回転切替装置RVから車輪W側に伝達されるトルクの変動を抑制するように構成されている。
図6及び図8に示すタイムチャートを参照して、特定切替制御の第1の構成例を説明する。
第1の構成例では、特定切替制御部46は、車輪Wの回転速度がゼロになった後であって、切り替わり後の要求進行方向に対応する伝達状態を実現する係合装置である切替後係合装置の係合部材間の回転速度差(絶対値)が予め定めた係合判定速度差の範囲内となった後に、回転切替装置RVを切り替わり後の要求進行方向に対応する伝達状態に移行させるように構成されている。
<要求進行方向が前進方向から後進方向に切り替わる場合>
まず、図6に示す例を参照して、図4の比較例と同様に、要求進行方向が後進方向から前進方向に切り替わる場合について説明する。
この場合は、切り替わり後の要求進行方向は後進方向であり、切替後係合装置は、後進伝達状態を実現する後進ブレーキB1となる。
図4の場合と同様に、時刻T11まで、シフト位置が前進走行レンジ(Dレンジ)に指定されており、進行方向受付部44は、要求進行方向が前進方向であると判定している。そのため、切替制御部45は、前進クラッチC1を係合させ、後進ブレーキB1を解放させており、回転切替装置RVを前進伝達状態に制御している。また、内燃機関制御部41は、アイドル回転速度制御を行っており、内燃機関ENGがアイドル回転速度で回転している。また、車輪Wは、要求進行方向である前進方向に回転している。なお、無段変速装置CVTは、所定の変速比(例えば、最大の変速比(例えば、2.5))に制御されており、変速入力軸Iの回転速度は、変速出力軸O及び車輪Wの回転速度(車速)に比例して変化する。
すなわち、時刻T11まで、回転切替装置RVは、要求進行方向である前進方向に対応する前進伝達状態に制御されており、内燃機関ENGが回転し、車輪Wが前進方向に回転している。この状態で、時刻T11で、シフト位置が前進走行レンジ(Dレンジ)から後進走行レンジ(Rレンジ)に変更指定され、要求進行方向が前進方向から後進方向に切り替えられているため、特定切替が生じている。この特定切替は、いわゆるガレージシフトに対応する。
図6に示す本実施形態に係る例では、後進方向への特定切替があった後(時刻T11後)、特定切替制御部46により特定切替制御が実行されている。
特定切替制御部46は、後進方向への特定切替があった場合(時刻T11)に、回転切替装置RVを非伝達状態に移行させると共に回転電機MGに切り替わり後の要求進行方向である後進方向のトルクを出力させる。
特定切替制御部46は、要求進行方向が後進方向に切り替えられた後(時刻T11後)に、前進クラッチC1を解放させると共に、後進ブレーキB1の係合を、後述する係合開始条件が成立するまで(時刻T14まで)遅らせている。
特定切替制御部46は、後進方向に切り替えられた場合(時刻T11)に、前進クラッチC1の油圧指令を、完全係合圧からゼロまでステップ的に減少させている。
一方、特定切替制御部46は、後進ブレーキB1を解放状態に維持させるが、係合開始条件が成立した後、直ぐに後進ブレーキB1を係合状態に移行させることができるように、後進ブレーキB1の油圧指令をゼロから予備充填圧まで増加させている。予備充填圧は、ストロークエンド圧以下の油圧(例えば、ストロークエンド圧より所定値だけ低い油圧)に予め設定されている。
前進クラッチC1の油圧指令がゼロまで減少されてから、油圧変化の遅れ後、時刻T12に前進クラッチC1が解放状態になり、回転切替装置RVが非伝達状態になっている。そのため、内燃機関ENG側から回転切替装置RVに伝達されるトルクが車輪W側に伝達されなくなる(時刻T12以降)。
回転切替装置RVが非伝達状態になると、タービンランナTCbは、無段変速装置CVT側から分離した状態となるので、ポンプインペラTCaの回転に従って、回転する状態となる。よって、タービンランナTCb(中間軸M)の回転速度は、ポンプインペラTCa(内燃機関ENG)の回転速度付近まで上昇している(時刻T12以降)。
特定切替制御部46は、後進方向への特定切替があった後、係合開始条件が成立するまで(時刻T11から時刻T14まで)、回転電機MGに切り替わり後の要求進行方向である後進方向のトルクを出力させている。図6では、後進方向のトルクは、負方向のトルクとなる。
特定切替制御部46は、アクセル開度に応じて、後進方向の回転電機要求トルクを算出し、回転電機制御ユニット32に指令するように構成されている。特定切替制御部46は、アクセル開度がゼロの場合は、車両を後進方向に微速走行させる所定のクリープトルクを回転電機要求トルクに設定するように構成されている。この場合は、特定切替制御部46は、車速がゼロに近づくに従い、回転電機要求トルクに設定されるクリープトルクの大きさを増加させるように構成されてもよい。
図6に示す例では、特定切替制御部46は、車輪Wの回転速度がゼロになった後であって、切り替わり後の要求進行方向である後進方向に対応する後進伝達状態を実現する切替後係合装置である後進ブレーキB1の係合部材間の回転速度差(絶対値)が予め定めた係合判定速度差の範囲内となった後に、回転切替装置RVを切り替わり後の要求進行方向である後進方向に対応する後進伝達状態に移行させる。
図6に示すように、車輪Wの回転速度(変速入力軸Iの回転速度)は、次第に減少していき、時刻T13にゼロになっている。このとき、図7の速度線図に点線で示すように、後進ブレーキB1の係合部材間の回転速度差が減少している。後進ブレーキB1の係合部材間の回転速度差は、リングギヤRGの回転速度とケースCsの回転速度(ゼロ)との差となる。
係合判定速度差は、車輪Wの回転速度(変速入力軸Iの回転速度)がゼロになるときの切替後係合装置である後進ブレーキB1の回転速度差より小さく設定されている。
本実施形態では、特定切替制御部46は、中間軸Mの回転速度と、切替後係合装置である後進ブレーキB1が直結係合状態になったときの中間軸Mの回転速度である切替後同期回転速度と、の回転速度差である同期回転速度差Wm(絶対値)が、係合判定速度差以下になった場合に、係合開始条件が成立したと判定して、後進ブレーキB1を係合させるように構成されている。ここで、中間軸Mの切替後同期回転速度は、変速入力軸Iの回転速度が現在の回転速度のままで、切替後係合装置である後進ブレーキB1が直結係合状態になったと仮定した場合の、中間軸Mの回転速度である。特定切替制御部46は、変速入力軸Iの回転速度に、切り替わり後の要求進行方向に対応する回転切替装置RVの伝達状態である後進伝達状態の変速比(本例では、−1.5)を乗算して、中間軸Mの切替後同期回転速度を算出する。
なお、特定切替制御部46は、中間軸Mの回転速度に代えて内燃機関ENGの回転速度と、中間軸Mの切替後同期回転速度と、の回転速度差を同期回転速度差Wmとして算出するように構成されてもよい。
中間軸Mの同期回転速度差Wmと比較される係合判定速度差は、トルクコンバータTCがクリープトルクを伝達して微速走行(クリープ走行)を安定的に行っている場合における、ポンプインペラTCa(内燃機関ENG)とタービンランナTCb(中間軸M)の間の回転速度差に基づいて設定される。このような設定により、切替後係合装置である後進ブレーキB1を係合させた後、速やかに安定的なクリープ走行を行う状態に移行させることができる。なお、係合判定速度差はゼロに設定されてもよい。
図6に示す例では、車輪Wの回転速度(変速入力軸Iの回転速度)がゼロより減少するに従い、中間軸Mの切替後同期回転速度が増加し、中間軸Mの同期回転速度差Wmが減少している。そして、時刻T14で、特定切替制御部46は、同期回転速度差Wmが、クリープ走行に対応して設定された係合判定速度差以下になったので、係合開始条件が成立したと判定している。
そして、特定切替制御部46は、係合開始条件が成立したと判定した場合(時刻T14)に、後進ブレーキB1を係合状態に移行させるために、後進ブレーキB1の係合を開始している。特定切替制御部46は、後進ブレーキB1の油圧指令を予備充填圧から完全係合圧まで次第に増加させている。ここで、完全係合圧とは、駆動力源などから係合装置に伝達されるトルクが変動しても滑りのない係合状態を維持するために設定される最大限の供給油圧である。
後進ブレーキB1の供給油圧がストロークエンド圧を上回り、伝達トルク容量が生じ始めると、回転切替装置RVから車輪W側にトルクが伝達され始めると共に、後進ブレーキB1の係合部材間の回転速度差が減少し、それに応じて中間軸Mの同期回転速度差Wmが減少している。そして、時刻T15で、後進ブレーキB1の回転速度差がゼロになり、後進ブレーキB1が直結係合状態に移行している。このとき、回転切替装置RVは、図7の速度線図に一点鎖線で示すような状態となる。
その後、速やかにトルクコンバータTCの回転速度差Wtcが所定値に安定し、回転切替装置RVから車輪W側に伝達される後進方向のトルクも所定値に安定している(時刻T15以降)。
特定切替制御部46は、係合開始条件が成立したと判定した後(時刻T14後)に、回転電機MGに要求進行方向である後進方向のトルクを出力させる制御を終了している。図6に示す例では、特定切替制御部46は、係合開始条件が成立したと判定した後(時刻T14後)、中間軸Mの同期回転速度差Wmの減少に応じて、回転電機要求トルクをゼロまで低下させている(時刻T14から時刻T15)。なお、特定切替制御部46は、係合開始条件が成立したと判定した場合に、回転電機要求トルクをゼロまで低下させるように構成されてもよい。
このように、係合開始条件が成立するまで回転切替装置RVが非伝達状態に制御され、係合開始条件が成立した後に、回転切替装置RVが要求進行方向である後進方向に対応する後進伝達状態に移行されるので、回転切替装置RVから車輪W側に伝達される後進方向のトルクの増加を抑制することができている。また、回転切替装置RVが非伝達状態にされ、回転切替装置RVから車輪W側に後進方向のトルクが伝達されない間も、回転電機MGに後進方向のトルクを出力させているので、回転電機MGにより適切なトルクを車輪W側に伝達させることができている。よって、特定切替があった場合に、特定切替制御が実行されると、車輪W側に伝達される後進方向のトルクが増加することを抑制できている。そのため、各プーリP1、P2における伝動ベルトBLの挟持圧を高めることなしに、プーリP1、P2と伝動ベルトBLとの滑りが生じることを抑制できると共に、運転者に違和感を与えることを抑制できている。
<要求進行方向が後進方向から前進方向に切り替わる場合>
次に、図8に示す例を参照して、図6とは反対に、要求進行方向が後進方向から前進方向に切り替わる場合について説明する。
この場合は、切り替わり後の要求進行方向は前進方向であり、切替後係合装置は、前進伝達状態を実現する前進クラッチC1となる。
時刻T21まで、シフト位置が後進走行レンジ(Rレンジ)に指定されており、進行方向受付部44は、要求進行方向が後進方向であると判定している。そのため、切替制御部45は、後進ブレーキB1を係合させ、前進クラッチC1を解放させており、回転切替装置RVを後進伝達状態に制御している。また、内燃機関制御部41は、アイドル回転速度制御を行っており、内燃機関ENGがアイドル回転速度で回転している。また、車輪Wは要求進行方向である後進方向に回転している。なお、無段変速装置CVTは、所定の変速比(例えば、最大の変速比(例えば、2.5))に制御されており、変速入力軸Iの回転速度は、変速出力軸O及び車輪Wの回転速度(車速)に比例して変化する。
すなわち、時刻T21まで、回転切替装置RVは、要求進行方向である後進方向に対応する後進伝達状態に制御されており、内燃機関ENGが回転し、車輪Wが後進方向に回転している。この状態で、時刻T21で、シフト位置が後進走行レンジ(Rレンジ)から前進走行レンジ(Dレンジ)に変更指定され、要求進行方向が後進方向から前進方向に切り替えられているため、特定切替が生じている。この特定切替も、いわゆるガレージシフトに対応する。
特定切替制御部46は、要求進行方向が前進方向に切り替えられた後(時刻T21後)に、後進ブレーキB1を解放させると共に、前進クラッチC1の係合を、後述する係合開始条件が成立するまで(時刻T24まで)遅らせている。
特定切替制御部46は、前進方向に切り替えられた場合(時刻T21)に、後進ブレーキB1の油圧指令を、完全係合圧からゼロまでステップ的に減少させている。
一方、特定切替制御部46は、前進クラッチC1を解放状態に維持させるが、前進クラッチC1の油圧指令をゼロから予備充填圧まで増加させている。
後進ブレーキB1の油圧指令がゼロまで減少されてから、油圧変化の遅れ後、時刻T22に後進ブレーキB1が解放状態になり、回転切替装置RVが非伝達状態になっている。そのため、内燃機関ENG側から回転切替装置RVに伝達されるトルクが車輪W側に伝達されなくなる(時刻T22以降)。
回転切替装置RVが非伝達状態になった後、タービンランナTCb(中間軸M)の回転速度は、ポンプインペラTCa(内燃機関ENG)の回転速度付近まで上昇している(時刻T22以降)。
特定切替制御部46は、前進方向への特定切替があった後、係合開始条件が成立するまで(時刻T21から時刻T24まで)、回転電機MGに切り替わり後の要求進行方向である前進方向のトルクを出力させている。
特定切替制御部46は、アクセル開度に応じて、前進方向の回転電機要求トルクを算出し、回転電機制御ユニット32に指令するように構成されている。特定切替制御部46は、アクセル開度がゼロの場合は、車両を前進方向に微速走行させる所定のクリープトルクを回転電機要求トルクに設定するように構成されている。
図8に示す例では、特定切替制御部46は、車輪Wの回転速度がゼロになった後であって、切り替わり後の要求進行方向である前進方向に対応する前進伝達状態を実現する切替後係合装置である前進クラッチC1の係合部材間の回転速度差(絶対値)が予め定めた係合判定速度差の範囲内となった後に、回転切替装置RVを切り替わり後の要求進行方向である前進方向に対応する前進伝達状態に移行させる。
図8に示すように、車輪Wの回転速度(変速入力軸Iの回転速度)は、次第に増加していき、時刻T23にゼロになっている。前進クラッチC1の係合部材間の回転速度差は、サンギヤSG(中間軸M)の回転速度と、キャリアCA(変速入力軸I)の回転速度との差となる。
係合判定速度差は、車輪Wの回転速度(変速入力軸Iの回転速度)がゼロになるときの切替後係合装置である前進クラッチC1の回転速度差より小さく設定されている。
本実施形態では、特定切替制御部46は、中間軸Mの回転速度と、切替後係合装置である前進クラッチC1が直結係合状態になったときの中間軸Mの回転速度である切替後同期回転速度と、の回転速度差である同期回転速度差Wm(絶対値)が、係合判定速度差以下になった場合に、係合開始条件が成立したと判定して、前進クラッチC1を係合させるように構成されている。ここで、中間軸Mの切替後同期回転速度は、変速入力軸Iの回転速度が現在の回転速度のままで、切替後係合装置である前進クラッチC1が直結係合状態になったと仮定した場合の、中間軸Mの回転速度である。特定切替制御部46は、変速入力軸Iの回転速度に、切り替わり後の要求進行方向に対応する回転切替装置RVの伝達状態である前進伝達状態の変速比(本例では、1.0)を乗算して、中間軸Mの切替後同期回転速度を算出する。本実施形態では、中間軸Mの切替後同期回転速度は、変速入力軸Iの回転速度と等しくなる。
図8に示す例では、車輪Wの回転速度(変速入力軸Iの回転速度)がゼロより増加するに従い、中間軸Mの切替後同期回転速度が増加し、中間軸Mの同期回転速度差Wmが減少している。そして、時刻T24で、特定切替制御部46は、同期回転速度差Wmが、クリープ走行に対応して設定された係合判定速度差以下になったので、係合開始条件が成立したと判定している。
そして、特定切替制御部46は、係合開始条件が成立したと判定した場合(時刻T24)に、前進クラッチC1を係合状態に移行させるために、前進クラッチC1の係合を開始している。特定切替制御部46は、前進クラッチC1の油圧指令を予備充填圧から完全係合圧まで次第に増加させている。
前進クラッチC1の供給油圧がストロークエンド圧を上回り、伝達トルク容量が生じ始めると、回転切替装置RVから車輪W側にトルクが伝達され始めると共に、前進クラッチC1の係合部材間の回転速度差が減少し、それに応じて中間軸Mの同期回転速度差Wmが減少している。そして、時刻T25で、前進クラッチC1の回転速度差がゼロになり、前進クラッチC1が直結係合状態に移行している。
その後、速やかにトルクコンバータTCの回転速度差Wtcが所定値に安定し、回転切替装置RVから車輪W側に伝達される前進方向のトルクも所定値に安定している(時刻T25以降)。
特定切替制御部46は、係合開始条件が成立したと判定した後(時刻T24後)に、回転電機MGに要求進行方向である前進方向のトルクを出力させる制御を終了している。図8に示す例では、特定切替制御部46は、係合開始条件が成立したと判定した後(時刻T24後)、中間軸Mの同期回転速度差Wmの減少に応じて、回転電機要求トルクをゼロまで低下させている(時刻T24から時刻T25)。
このように、係合開始条件が成立するまで回転切替装置RVが非伝達状態に制御され、係合開始条件が成立した後に、回転切替装置RVが要求進行方向である前進方向に対応する前進伝達状態に移行されるので、回転切替装置RVから車輪W側に伝達される前進方向のトルクの増加を抑制することができている。また、回転切替装置RVが非伝達状態にされ、回転切替装置RVから車輪W側に前進方向のトルクが伝達されない間も、回転電機MGに前進方向のトルクを出力させているので、回転電機MGにより適切なトルクを車輪W側に伝達させることができている。よって、特定切替があった場合に、特定切替制御が実行されているので、車輪W側に伝達される前進方向のトルクが増加することを抑制できている。そのため、各プーリP1、P2における伝動ベルトBLの挟持圧を高めることなしに、プーリP1、P2と伝動ベルトBLとの滑りが生じることを抑制できると共に、運転者に違和感を与えることを抑制できている。
3−4−4−1−3.特定切替制御の第2の構成例
次に、図9に示すタイムチャートを参照して、特定切替制御の第2の構成例を説明する。
第2の構成例では、特定切替制御部46は、車輪Wの回転速度がゼロになった後に、上述した第1の構成例における係合判定速度差の判定を行わず、回転切替装置RVを切り替わり後の要求進行方向に対応する伝達状態に移行させるように構成されている。図9に示す例では、切り替わり後の要求進行方向は後進方向であり、切替後係合装置は、後進伝達状態を実現する後進ブレーキB1となる。
時刻T33までは、図6の時刻T13までと同様なので説明を省略する。
図9に示すように、車輪Wの回転速度(変速入力軸Iの回転速度)は、次第に減少している。そして、時刻T33で、特定切替制御部46は、車輪Wの回転速度(変速入力軸Iの回転速度)がゼロになったので、係合開始条件が成立したと判定している。
そして、特定切替制御部46は、係合開始条件が成立したと判定した場合(時刻T33)に、後進ブレーキB1を係合状態に移行させるために、後進ブレーキB1の係合を開始している。特定切替制御部46は、後進ブレーキB1の油圧指令を予備充填圧から完全係合圧まで次第に増加させている。
後進ブレーキB1の供給油圧がストロークエンド圧を上回り、伝達トルク容量が生じ始めると(時刻T34)、後進ブレーキB1の係合部材間の回転速度差が減少するように、中間軸Mの回転速度が減少する(時刻T34後)。後進ブレーキB1の係合部材間の回転速度差がゼロまで減少し、後進ブレーキB1が直結係合状態になると、中間軸Mの回転速度の減少が終了する(時刻T35)。
特定切替制御部46は、係合開始条件が成立したと判定した後(時刻T33後)に、回転電機MGに要求進行方向である後進方向のトルクを出力させる制御を終了している。図6に示す例では、特定切替制御部46は、係合開始条件が成立したと判定した後(時刻T33後)、中間軸Mの同期回転速度差Wmの減少に応じて、回転電機要求トルクをゼロまで低下させている(時刻T33から時刻T35)。
第2の構成例では、車輪Wの回転速度がゼロになるまで、後進ブレーキB1の係合開始を遅らせているので、図4の比較例と比べて、ポンプインペラTCa(内燃機関ENG)とタービンランナTCb(中間軸M)との回転速度差Wtcの増加量が減少している。よって、図4の比較例と比べて、トルクコンバータTCから回転切替装置RVに伝達されるトルクの増加量が減少しており、回転切替装置RVから車輪W側に伝達される後進方向のトルクの増加量が減少している(時刻T35からT36)。また、図4の比較例と比べて、後進ブレーキB1が直結係合状態になったとき(時刻T35)の後進ブレーキB1の油圧指令の増加量が減少しているので、後進ブレーキB1が直結係合状態になるまでの、回転切替装置RVから車輪W側に伝達される後進方向のトルクの増加量が減少している(時刻T34からT35)。よって、特定切替があった場合に、特定切替制御が実行されているので、車輪W側に伝達される後進方向のトルクが増加することを抑制できている。そのため、各プーリP1、P2における伝動ベルトBLの挟持圧を高めることなしに、プーリP1、P2と伝動ベルトBLとの滑りが生じることを抑制できると共に、運転者に違和感を与えることを抑制できている。
3−4−4−2.フローチャート
図10に示すフローチャートに基づき、特定切替制御などの処理について説明する。
切替制御部45は、要求進行方向が前進方向と後進方向との間で切り替わった場合(ステップ♯01:Yes)に、回転切替装置RVの伝達状態の切替制御を開始する。
切替制御部45は、要求進行方向の切り替わりが、特定切替であるか否かを判定する(ステップ♯02)。具体的には、切替制御部45は、回転切替装置RVを要求進行方向に対応する前進伝達状態又は後進伝達状態に制御しており、内燃機関ENGが回転し、車輪Wが要求進行方向に回転している状態で、要求進行方向が前進方向と後進方向との間で切り替わった場合に、特定切替であると判定し、それ以外の場合は通常切替であると判定する。
特定切替制御部46は、特定切替であると判定された場合(ステップ♯02:Yes)に、一連の特定切替制御を開始する。特定切替制御部46は、回転切替装置RVを非伝達状態に移行させる移行制御を開始する(ステップ♯03)。また、特定切替制御部46は、回転電機MGに切り替わり後の要求進行方向のトルクを出力させるトルク制御を開始する(ステップ♯04)。
特定切替制御部46は、回転切替装置RVを伝達状態に移行させる係合開始条件が成立したか否かを判定する(♯05)。特定切替制御部46は、少なくとも車輪Wの回転速度がゼロになった後に、係合開始条件が成立したと判定する。上記の第1の構成例では、特定切替制御部46は、車輪Wの回転速度がゼロになった後であって、切り替わり後の要求進行方向に対応する伝達状態を実現する係合装置である切替後係合装置の係合部材間の回転速度差(絶対値)が予め定めた係合判定速度差の範囲内となった場合に、係合開始条件が成立したと判定するように構成されている。第2の構成例では、特定切替制御部46は、車輪Wの回転速度がゼロになった場合に、係合開始条件が成立したと判定するように構成されている。
特定切替制御部46は、係合開始条件が成立したと判定した場合(ステップ♯05:Yes)に、回転電機MGに切り替わり後の要求進行方向のトルクを出力させるトルク制御を終了する(ステップ♯06)。また、特定切替制御部46は、回転切替装置RVを切り替わり後の要求進行方向に対応する伝達状態に移行させて(ステップ♯07)、回転切替装置RVの伝達状態の切替制御を終了する。
一方、特定切替制御部46は、通常切替であると判定された場合(ステップ♯02:No)は、通常切替制御を実行した後(ステップ♯08)、回転切替装置RVの伝達状態の切替制御を終了する。
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明のその他の実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
(1)上記の実施形態においては、回転電機MGが、無段変速装置CVTと車輪Wとを結ぶ動力伝達経路2に設けられている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、回転電機MGは、回転切替装置RVを介さずに車輪Wに駆動連結されていればどのような構成であってもよい。例えば、回転電機MGは、回転切替装置RVと無段変速装置CVTとを結ぶ動力伝達経路2、例えば、変速入力軸Iに設けられてもよい。或いは、回転電機MGは、内燃機関ENG及び無段変速装置CVTなどが駆動連結されていない他の車軸と一体回転するように備えられていてもよい。
(2)上記の実施形態において、制御装置30は、複数の制御ユニット32〜34を備え、これら複数の制御ユニット32〜34が分担して複数の機能部41〜47を備える場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、制御装置30は、上述した複数の制御ユニット32〜34を任意の組み合わせで統合又は分離した制御装置として備えるようにしてもよく、複数の機能部41〜47の分担も任意に設定することができる。
(3)上記の実施形態において、係合判定速度差は、車輪Wの回転速度(変速入力軸Iの回転速度)がゼロになるときの切替後係合装置の回転速度差より小さく、クリープ走行に対応した回転速度差の値に設定されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、係合判定速度差は、車輪Wの回転速度(変速入力軸Iの回転速度)がゼロになるときの切替後係合装置の回転速度差より小さく設定されれば、ゼロまでの範囲で、任意の回転速度差の値に設定されてもよい。
本発明は、内燃機関に駆動連結される入力部材と車輪とを結ぶ動力伝達経路に、前記入力部材の側から順に、流体継手、回転切替装置、及び無段変速装置を備えると共に、前記回転切替装置を介さずに車輪に駆動連結される回転電機を備えた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置に好適に利用することができる。
1 :車両用駆動装置
2 :動力伝達経路
30 :車両用駆動装置の制御装置
43 :変速制御部
44 :進行方向受付部
45 :切替制御部
46 :特定切替制御部
B1 :後進ブレーキ
C1 :前進クラッチ
CVT :無段変速装置
ENG :内燃機関
M :中間軸
I :変速入力軸
O :変速出力軸
MG :回転電機
PC :油圧制御装置
RV :回転切替装置
RG :リングギヤ
SG :サンギヤ
TC :トルクコンバータ
TCa :ポンプインペラ
TCb :タービンランナ
Wm :同期回転速度差
Wtc :回転速度差

Claims (2)

  1. 内燃機関に駆動連結される入力部材と車輪とを結ぶ動力伝達経路に、前記入力部材の側から順に、流体継手、回転切替装置、及び無段変速装置を備えると共に、前記回転切替装置を介さずに車輪に駆動連結される回転電機を備えた車両用駆動装置を制御対象とする制御装置であって、
    前記回転切替装置は、係合装置が係合又は解放されることにより、前記内燃機関の回転を車両が前進する回転方向で前記車輪側に伝達する前進伝達状態と、前記内燃機関の回転を車両が後進する回転方向で前記車輪側に伝達する後進伝達状態と、前記内燃機関の回転を前記車輪側に伝達しない非伝達状態と、の間で伝達状態が切り替わる構成であり、
    車両の進行方向を前進方向又は後進方向にする要求である要求進行方向を受け付ける進行方向受付部と、
    前記要求進行方向が前記前進方向である場合は、前記回転切替装置を前記前進伝達状態に制御し、前記要求進行方向が前記後進方向である場合は、前記回転切替装置を前記後進伝達状態に制御する切替制御部と、を備え、
    前記切替制御部は、前記回転切替装置を前記要求進行方向に対応する前記前進伝達状態又は前記後進伝達状態に制御しており、前記内燃機関が回転し、前記車輪が前記要求進行方向に回転している状態で、前記要求進行方向が前記前進方向と前記後進方向との間で切り替わる特定切替があった場合に、前記回転切替装置を前記非伝達状態に移行させると共に前記回転電機に切り替わり後の前記要求進行方向のトルクを出力させ、少なくとも前記車輪の回転速度がゼロになった後に、前記回転切替装置を切り替わり後の前記要求進行方向に対応する前記伝達状態に移行させる特定切替制御を実行する車両用駆動装置の制御装置。
  2. 前記切替制御部は、前記特定切替があった場合に、前記回転切替装置を前記非伝達状態に移行させると共に前記回転電機に切り替わり後の前記要求進行方向のトルクを出力させ、前記車輪の回転速度がゼロになった後であって、切り替わり後の前記要求進行方向に対応する前記伝達状態を実現する前記係合装置の係合部材間の回転速度差が予め定めた範囲内となった後に、前記回転切替装置を切り替わり後の前記要求進行方向に対応する前記伝達状態に移行させる請求項1に記載の車両用駆動装置の制御装置。
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