JP2015027697A - PbフリーZn−Al系合金はんだとCu系母材のクラッド材およびその製造方法 - Google Patents

PbフリーZn−Al系合金はんだとCu系母材のクラッド材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】パワーデバイスなどの高信頼性が要求される半導体素子と基板の接合において、半導体素子と基板の間に使用されるはんだが両表面または片面にクラッドされたCuを母材とするクラッド材とすることによって、高い接合強度を有し、応力緩和性に優れ、かつ熱伝導性等にすぐれた接合材とその製造方法を提供すること。【解決手段】PbフリーZn−Al系合金はんだとCu系母材によって構成されているクラッド材であって、好ましくはPbフリーZn−Al系合金はんだの組成が、Alを0.9質量%以上9.0質量%以下含有し、Ag、Cu、Ge、Mg、Sn、およびPのうちの1種以上を含有していてもよく、Ag、Cu、Mg、Snを含有する場合は各2.0質量%以下、Geを含有する場合は6.0質量%以下、Pを含有する場合は0.5質量%以下であり、残部が製造上不可避に含まれる元素を除きZnから構成され、Cu系母材の表面にAu、Ag、NiおよびCuの1種以上の金属層が設けられているクラッド材である。【選択図】 なし

Description

本発明は、パワーデバイスなどの高信頼性が要求される半導体チップと基板の接合において、チップと基板の間に使用されるはんだがクラッドされたCuを母材とするクラッド材およびその製造方法に関する。
現在、半導体装置はいろいろな機能を持たせたり、処理速度を上げたりなど高機能化が進んでいる。このため、1個の半導体素子当たりに要求される機能が増大する傾向にある。取扱いし易くしたり、省力化などのために小型化が進むとともに、前述のような高性能化の要求から半導体素子が大型化する傾向もあり、二極化が進んでいる。このため、半導体素子の大型化に伴って、1個の素子に流れる電流はますます大きくなってきており、数10A/個の大電流を流すことは普通になってきている。1個の半導体素子に流れる電流が増大すれば、当然、半導体素子の発熱量が多くなり放熱性の問題がより重要になってくる。
つまり、半導体素子から発生する熱を逃がすことができないと半導体素子とその周辺温度が上がりすぎてしまい、半導体素子が壊れたり、周囲のモールド樹脂や電極部等が破壊されてしまう。一般的に、この熱の大部分は半導体素子を接合しているはんだを通して基板へと放熱される。このため、はんだ材料の放熱性能が半導体素子に流せる最大電流を決める重要な要因になっており、当然、放熱性の良いはんだ材料が求められている。
はんだに要求される特性として、放熱性と同様に重要視されることとして応力緩和性がある。つまり、半導体素子に流れる電流は一般的に断続的であり、このため、半導体素子やその周辺は温度が上がったり下がったりすることを繰り返す。この加熱、冷却によって、半導体素子、はんだ、半導体素子を接合している基板等は膨張、収縮を繰り返す。ところが半導体素子と、一般的に基板として使用されるCuの熱膨張係数は約5倍も異なる。このため、この熱膨張・収縮によって発生する応力をはんだで吸収する必要があり、半導体素子に流れる電流が増大しつつある現在の状況において、さらに熱応力の緩和性が大きいはんだが要求されるようになってきているのである。
以上より、半導体素子に流れる電流の増大に伴い、はんだへの要求事項として、より一層良好な放熱性と優れた応力緩和性が要求されるようになっている。
ところで、放熱性に優れる材料としてはZnを主成分とするはんだ材料が挙げられる。例えば、特許文献1として示す特開平11−288955号公報には、Alを1〜9重量%含み、Geを0.05〜1重量%含み、または/及び、Mgを0.01〜0.5重量%含み、残部がZnおよび不可避不純物からなる高温はんだ付用Zn合金が開示されている。
また、特許文献2として示す特開2004−358540号公報には、Geを2〜9重量%、Alを2〜9重量%、Pを0.001〜0.5重量%、残部がZnおよび不可避不純物からなる高温ろう材や、Geを2〜9重量%、Alを2〜9重量%、Mgを0.01〜0.5重量%Pを0.001〜0.5重量%、残部がZnおよび不可避不純物からなる高温ろう材が開示されている。
また、特許文献3として示す特開2011−251332号公報には、平均粒径1μm以上100μm以下のAl粉に対して被覆処理を施さないか、あるいはその少なくとも一部に対してAu、Ag、Ni、及びCuからなる群の1種以上を用いて厚み1μm以下の皮膜を形成する被覆処理を施すことによって得た金属粉と、Znを主成分としAlを第2元素とする2元合金からなるZn合金はんだ粉と、フラックスとを有する高温Pbフリーはんだペーストであって、金属粉とZn合金はんだ粉との合計を100質量%としたとき、金属粉が3質量%以上40質量%以下であることを特徴とする高温Pbフリーはんだペーストが開示されている。
また、特許文献4として示す特開2013−30607号公報には、半導体素子と、少なくとも表面の主元素をCuとする基板と、前記半導体素子より小さな形状のZnAl共晶はんだチップと、をそれぞれ準備する工程と、前記半導体素子と前記基板とをそれぞれの接合面が対向するように配置して、これら基板と半導体素子との間に前記ZnAl共晶はんだチップを挟む工程と、前記基板と前記半導体素子との間に挟んだ前記ZnAl共晶はんだチップに荷重をかけながら昇温して、前記ZnAl共晶はんだチップを融解させてZnAlはんだ層を形成する工程と、前記ZnAlはんだ層に荷重をかけながら降温する工程と、を備える半導体装置の製造方法が開示されている。
一方、放熱性、応力緩和性を解決するための手段としては、チップとCu基板の間にセラミックスのDBC基板を用いる方法がある。特にモジュールなどの半導体素子の大きな製品によく適用されている。例えば特許文献5〜7には様々な改良されたDBC基板の技術が記載されている。
特許文献5として示す特開平6−90083号公報には、セラミックス基板の表面に金属銅の薄膜を形成した後、前記金属銅の薄膜の上に酸化銅を介して銅板を載置して加熱することにより、銅板とセラミックス基板を充分な結合強度で接合する、という技術が開示されている。
また、特許文献6として示す特開平11−17081号公報には、セラミックス板と、このセラミックス板の一方の表面に貼られた銅板と、他方の表面に貼られた銅回路とにより構成されたDBC基板と、金属ベースとの間に上記セラミックス板の熱線膨張率に近い熱線膨張率の金属熱緩衝板を設けた電力用半導体モジュールが開示されている。
また、特許文献7として示す特許第4301617号公報には、半導体基板等に使用されるDBC回路基板用窒化アルミニウム焼結体の製造方法およびDBC回路基板の製造方法に係り、特に窒化アルミニウム特有の高熱伝導性を損うことなく、強度ならびに破壊靭性値を共に大幅に改善し、放熱性に優れたDBC回路基板用窒化アルミニウム焼結体の製造方法およびDBC回路基板の製造方法が開示されている。
上記のようなDBC基板を用いた技術がある一方でクラッド材で接合する技術がある。
例えば特許文献8として示す特開2001−252772号公報には、軽量性と伝熱性を兼ね備え、例えば熱交換器、放熱器およびヒートパイプ等の材料として好適に用いられるアルミニウム−銅クラッド材およびその製造方法に関するクラッド技術が開示されている。
また、クラッド技術とはんだ技術を合わせた技術もある。
例えば特許文献9として示す特開2009−142890号公報には、内層と表面層とを備える積層はんだ材であって、内層は、Zn単独または50質量%以上のZnを含み、残部がSnおよび不可避不純物からなるZn基合金により構成され、表面層は、Sn単独または50質量%以上のSnを含み、残部がZnおよび不可避不純物からなるSn基合金により構成されることを特徴とする積層はんだ材が開示されている。またこの積層はんだ材の 表面層は、クラッド工法により形成される層である、とも述べられている。
特開平11−288955号公報 特開2004−358540号公報 特開2011−251332号公報 特開2013−30607号公報 特開平6−90083号公報 特開平11−17081号公報 特許第4301617号公報 特開2001−252772号公報 特開2009−142890号公報
上記したように、大電流を流す半導体素子を接合するにあたり、様々な技術が開示されている。しかし、このような技術に関して、各々次のような問題がある。
特許文献1や特許文献2に示されるものは、高温はんだ付用Zn合金が熱伝導性に優れるZnを主成分としているため、放熱性は非常に優れると考えられる(100℃におけるZnの熱伝導率は112W/(m・K)。なおPbの同じ温度における熱伝導率は34W/(m・K)である。)。しかし、Zn−Al系合金は共晶合金とは言っても硬い材料であり、引張強度は低くても80〜100MPa以上ある。従って、大きなSiチップの接合用に使用したり、接合体が高温になったりすると十分に応力緩和ができず、チップ割れを発生したり基板にクラックが入ってしまうなどの不具合を発生する可能性が高くなる。
特許文献3に示されるものは、Znを主成分としAlを第2元素とする2元合金からなるZn合金はんだ粉を用いた高温Pbフリーはんだペーストであるが、このはんだ粉がZn−Al系合金であることから、やはり上記特許文献1や特許文献2と同様に厳しい条件で使用した場合、硬くて十分な応力緩和をできず不具合を発生する可能性が高い。さらにペーストという形態をとっているため、ワイヤやシートなどの成形はんだに比べてフラックスが存在するためボイドが発生し易く、クラック発生の原因になる。
特許文献4に示されるものは、ZnAl共晶はんだを用いた半導体装置の製造方法であるが、この技術に関してもZnAl共晶はんだが使用されているため、例えば150℃を超えるような温度で使用される場合などは十分な応力緩和性を持っているとは言い難い。
特許文献5に示されるものは、基板表面の酸化物とCuOの共融相を介して接着する方法において、処理条件のコントロールが難しくしかも接着強度の点でやや信頼性に欠ける欠点を解決しようとするものである。しかし、スパッタリング法、化学銅めっき法あるいは真空蒸着法によって形成された金属被膜層が、どのようなメカニズムでセラミック基板と十分な結合強度が得られるか説明されていない。すなわち、銅基板とセラミックスを直接接合しても同じ銅であれば、薄くても厚くても界面で起きる反応は同じであり、よって得られる接合強度(結合強度)も同じあると考えられる。さらにセラミックスの上に金属銅の薄膜を形成してこの銅薄膜を銅基板を接合した場合、どうような方法でも熱力学的に表面に酸化銅が生成されてしまうのは避けられないわけであるから、直接セラミックスと銅基板を接合する場合に比較して銅酸化膜を介しての接合となり、その分だけ接合強度は低下することは自明である。よって、実用性には乏しい技術であり、さらに銅薄膜をわざわざ形成することによってコストが上がってしまい、デメリットが大きいと考えられる。
特許文献6に示されるものは、以下のような課題があると考えられる。すなわち、材料同士の接合強度等はその材料によって決定されるが、熱緩衝板の材料がTiにしか指定されておらず、よってTi以外の材料では、本当にこの発明の効果が発揮されるか定かではなく、よって不明瞭な技術であり、Ti以外を実際に使用しようと考えた場合、実施不可能な技術であると言える。特許文献6において請求項2では緩衝材がTiである電力用半導体モジュールが記載されているが、Tiは融点が高く、どのようなはんだや接合材を用いても合金化しづらく、よって接合しづらい金属である。すなわち、一般的な表現をすれば、Tiは濡れ性が悪く、はんだ等の接合材をはじいてしまい、接合できなかったり、仮に接合できたとしても接合強度が低く、通常求められる信頼性を得ることは不可能性である。しかも、緩衝材を用いることによって製造コストが上がってしまい、加えて、緩衝材に高価なTiを用いてはさらにコストが上がってしまい、汎用品に使用できる技術ではなくなってしまうことは明らかである。
特許文献7に示されるものは以下のような課題があると考えられる。すなわち、このような優れたDBC回路基板を製造するために、窒化アルミニウム原料粉末に、周期律表IIIa族元素,Ca,Sr,Baから選択される少なくとも1種の元素の酸化物を1〜10重量%と、炭化ボロンを0.2〜2.0重量%と、SiO2,Si34,SiC,Si22O,β−サイアロン,α−サイアロンおよびポリタイプの窒化アルミニウム(Al−Si−O−N)から選択された少なくとも1種のけい素化合物をSi成分換算で0.2重量%以下と、HfおよびZrの少なくとも1種を酸化物換算で0.1〜2重量%とを添加した混合粉末を成形する工程と、得られた成形体を非酸化性雰囲気中で1650〜1900℃の温度域で焼結し、得られた焼結体を酸化熱処理することにより焼結体表面に均一な酸化膜を形成する、と記載されている。そして、これによってAlN焼結体は、熱伝導率が130W/m・K以上であり、また3点曲げ強度が450MPaであり、破壊靭性値が3.0MPa・m1/2以上となり、非常に良好な特性が得られるわけだが、DBC基板はこれらの特性だけ優れればよいわけではない。すなわち、銅板やはんだ材料と良好な接合ができなければならない意味をなさないわけだが、本特許文献7にはこの接合性に関して全く触れられていない。CaやBaなどは非常に酸化し易い元素であり、これらの元素の酸化物が1〜10重量%も含まれると接合面が安定した酸化物を多く含んでいることになり、Cu、Ni、Ag、Auなどの接合面と合金化しづらく、十分な接合強度が得られないと考えられる。さらにこのような複雑な多元型材料において結晶粒制御は容易ではないはずであるが、詳しい結晶粒制御条件について触れられておらず、現実的に実施できる技術とは考えづらい。
特許文献8に示されるものは、 アルミニウム系部材と銅系部材とが純アルミニウムまたはJIS1000系アルミニウム合金からなるインサート材を介してクラッドされている。このような技術は、銅単体、またはアルミニウム単体では実現できない材料を提供可能としており、具体的には、銅系材料の優れた伝熱性および耐食性とアルミニウム系材料の軽量性とを加味し、これら異種金属のクラッド材の採用により、重量増加を銅系材料以下に抑えつつ、アルミニウムを超えた伝熱性能を有する熱交換器などに適した材料を実現している。しかし、特許文献4は大電流が流れる半導体素子の接合用のクラッド材を目的としたものではなく、応力緩和性に対する考慮はない。
特許文献9に示されるはんだ材は固相線温度が199℃であるZn−Sn系合金を基本としており、本発明が目的とするような大電流が流れる半導体素子の接合用としては不向きである。
すなわち、現在、特許文献8、9に示されるようなクラッド技術はあるものの、大電流を流すことを前提とした半導体素子を接合するのに適したクラッド材は存在しない。
以上、述べたように、半導体素子や基板等の接合に際しては、高い放熱性が必要であり、従って、はんだ材料で接合する場合などは優れた応力緩和性も求められ、各種改善が試みられているものの、解決すべき課題が残されている。
そこで本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは特にパワーデバイスなどの高信頼性が要求される半導体素子と基板の接合において、高い接合強度を有し、応力緩和性に優れ、かつ熱伝導性等にすぐれたクラッド材とその製造方法を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明によるクラッド材は、PbフリーZn−Al系合金はんだとCu系母材によって構成されていることを特徴とする。
また、本発明においては前記PbフリーZn−Al系合金はんだの組成が、Alを0.9質量%以上9.0質量%以下含有し、Ag、Cu、Ge、Mg、Sn、およびPのうちの1種以上を含有していてもよく、Ag、Cu、Mg、Snを含有する場合は各2.0質量%以下、Geを含有する場合は6.0質量%以下、Pを含有する場合は0.5質量%以下であり、残部が製造上不可避に含まれる元素を除きZnから構成されることが好ましい。
また、本発明において前記Cu系母材の表面にAu、Ag、NiおよびCuのうちのいずれか1種以上の金属層が設けられていることが好ましい。
一方、本発明のクラッド材の製造方法は、表面粗さがともに0.1μm以上であるPbフリーZn−Al系合金はんだとCu系母材を用いてクラッディングすることを特徴とする。
また、本発明においては200℃未満の温度で熱処理を施すことにより残留応力を低減することが好ましい。
本発明によれば、十分な濡れ性と高い接合強度を有し、さらに熱伝導性や応力緩和性に優れ、よって高い信頼性を有するPbフリーZn−Al系合金はんだとCu系母材を用いてクラッディングしたクラッド材を提供できる。そして、本発明により、厳しい使用環境にも耐え得る信頼性の高い半導体装置を提供することが可能となる。
本発明は、PbフリーZn−Al系合金はんだとCu系母材によって構成されているクラッド材であって、好ましくはPbフリーZn−Al系合金はんだの組成が、Alを0.9質量%以上9.0質量%以下含有し、Ag、Cu、Ge、Mg、Sn、およびPのうちの1種以上を含有していてもよく、Ag、Cu、Mg、Snを含有する場合は各2.0質量%以下、Geを含有する場合は6.0質量%以下、Pを含有する場合は0.5質量%以下であり、残部が製造上不可避に含まれる元素を除きZnから構成されるクラッド材である。
また、好ましくはCu系母材の表面にAu、Ag、NiおよびCuのうちのいずれか1種以上の金属層が設けられているクラッド材である。
また、表面粗さがともに0.1μm以上であるPbフリーZn−Al系合金はんだとCu系母材を用いてクラッディングするクラッド材の製造方法である。そして、好ましくは200℃未満の温度で熱処理を施すことにより、接合界面におけるZn−Al系合金はんだとCu系母材の拡散反応を促し、接合強度を向上させ、残留応力を低減するクラッド材の製造方法である。
このようにPbフリーZn−Al系合金はんだとCu系母材によって構成されている本発明のクラッド材は、柔らかいCu系母材が存在することにより応力緩和性に優れ、かつ、接合時にCu系母材は溶融しないためチップの傾きを非常に小さく抑えることができ、よって熱応力等が加わってもクラックが発生しづらいものとなる。さらに熱伝導性のよいZnやAl、そしてCu等から構成されるため、熱伝導性に非常に優れたものとなる。そして非常に強度の高いZn−Al系はんだと、クラッディングによって強固に接合されたCu系母材から構成されるため、本発明のクラッド材は接合強度にも非常に優れたものとなるのである。
本発明のPbフリーZn−Al系合金はんだとCu系母材の原料は特に限定されず、一般的に市場で入手できる原料であってよい。これらの原料を基に箔状のPbフリーZn−Al系合金はんだとCu系母材を準備し、場合によって表面粗さを調整し、その後、クラッディングする。そして、目的に合わせて熱処理を行ってよい。以下、本発明の重要な構成要素である、Cu系母材、PbフリーZn−Al系合金はんだ、クラッディング方法について詳しく説明する。
<Cu系母材>
本発明のクラッド材に用いられるCu系母材はとくに限定されない。一般的に市場で入手できるものであってよい。組成はCuを主成分としており、熱伝導性を大きく下げたり、加工性を著しく損なうことが無い範囲で目的に合わせて各種元素を含有していてもよい。以下、本発明のクラッド材を製造するためのCu箔の製造方法について一例を説明する。
まず、原料として99.99質量%以上の純度のCuを準備する。これをグラファイト製のるつぼに入れ、横型連続鋳造機の槽内にセットする。連続鋳造機の槽内に窒素を流しながら高周波でCuを溶解する。Cuが十分に溶融したことを確認後、横孔から板状になったCuを引き出す。引出速度は0.1〜5m/分程度で行う。引出の孔の形状によって得られるCu材の形状が決まるが、円柱状、長方形状などの形状にすることが一般的であり、例えば、孔の形状を5mm×60mmの長方形の形状とすると、厚さ5mm、幅60mmのCu板を得ることができる。連続鋳造後、十分に冷却し、適当な長さに裁断する。
このようにして準備したCu系母材を圧延機を用いて所定の厚さまで圧延してCu箔を製造する。圧延機は冷間圧延、温間圧延、熱間圧延のいずれの方法で圧延してもよい。Cu板は比較的柔らかいため、冷間圧延で行うことが特に好ましい。冷間圧延の場合、Cuの表面酸化が比較的進まず、クラッドする際、良好な接合性、高い接合強度が得られるからである。製造速度を上げるため、温間圧延や熱間圧延を行ってもよいが、この際は表面酸化に十分考慮する必要がある。
さらに、Cu系母材は表面にAu、Ag、Ni、及びCuのうちのいずれか1種以上から成る金属層が形成させていることが好ましい。このような金属層が形成されることによりZn−Al系合金はんだとCu系母材の濡れ性や接合性を上げたり、調整したりすることが可能となる。また、CuとZnは反応性が高いため、過剰な反応が起きる場合はNiなどの金属層を設けることによって過剰反応を抑制することもできる。
Cu系母材表面への金属層の形成方法はとくに限定されない。例えば、蒸着法、電解めっき法、無電解めっき法などで行ってよい。
例えば、電解めっき法で行う場合には、まずNaOHなどのアルカリ溶液で脱脂を行い、その後、HClなどで酸洗浄を行い、シアン、クエン酸等を用いてめっきする。めっきをする際のCu系母材の搬送速度は狙いとするめっき厚等を考慮して決めればよいが、概ね0.3〜3.0m/分程度である。その後、純水等でめっきされたCu系母材を洗浄し、乾燥する。乾燥方法はとくに限定されないが、真空中で40℃程度で加熱乾燥することにより水分や溶剤が十分に除去でき、酸化も進行せず、好ましい。
<PbフリーZn−Al系合金はんだ>
本発明のクラッド材に用いられるPbフリーZn−Al系合金はんだの組成は、Alを0.9質量%以上9.0質量%以下含有し、Ag、Cu、Ge、Mg、Sn、およびPのうちの1種以上を各2.0質量%以下含有していてもよく、残部が製造上、不可避に含まれる元素を除きZnから構成されていればよい。以下、PbフリーZn−Al系合金の製造方法の一例を示す。
原料として、99.99質量%以上のZn、Al、Geを準備する。これらを所定量秤量し、グラファイト製のるつぼに入れ、横型連続鋳造機の槽内にセットする。連続鋳造機の槽内に窒素を流しながら高周波で原料を溶解する。原料が十分に溶融した後、撹拌棒を挿入し溶けた原料を撹拌する。原料を撹拌しながら横孔から1.0m/分の速度で板状になったZn−Al―Ge合金を引き出す。Zn−Al−Ge合金板は孔を5mm×60mmの長方形の形状として厚さ5mm、幅60mmの板とした。連続鋳造後、十分に冷却し、適当な長さに裁断する。
このようにして準備した合金板を圧延機を用いて所定の厚さまで圧延し、Zn−Al系合金箔を製造する。圧延機は冷間圧延、温間圧延、熱間圧延のいずれの方法で圧延してもよい。特にZn−Al系合金はAlが5質量%程度であると共晶点の組成付近であるため延性に富み、加工しやすく好ましく、この組成付近であれば冷間圧延で行うことが好ましい。Cu箔の場合と同様に冷間圧延の場合、表面酸化が比較的進まず、クラッドする際、良好な接合性、高い接合強度が得られるので好ましい。製造速度を上げるため、温間圧延や熱間圧延を行ってもよいが、この際は表面酸化に十分考慮する必要がある。
<クラッディング方法>
本発明のクラッド材を製造するにあたり、クラッド方法はとくに限定されない。Cu箔にZn−Al系合金箔を片面、または両面に張り合わせ、ロール圧延機を通すことによって圧延してよい。この際、それぞれの箔の表面状態には十分注意を要する。すなわち、箔の表面に不純物や異物が付着していたり、酸化膜が厚く存在していたりする場合、良好な接合性を有することは困難になってしまう。つまり、金属同士を力学的な力によって接合させようとしても表面に不純物等が存在しているとCuとZn−Al系合金の金属同士が接触できず、両金属の拡散が進まず、よって接合できなくなってしまうのである。当然、どのような金属でも酸化膜は存在するがこの酸化膜が薄ければ、押しつけ合う力によって酸化膜が破れ、金属同士が接して接合できるのである。金属表面を不純物等のない状態にするため、表面を研磨したり、酸洗浄したりしてもよい。
さらに各箔の表面は表面粗さが0.1μm以上であってよい。表面は適度な凹凸があることによってアンカー効果が期待できるのである。すなわち、表面に凹凸があることによって、互いの金属にアンカーように深く刺さり込み、しっかり結合でき、高い接合強度を得ることができるのである。金属表面は研磨紙や研磨石、または金属製ブラシや、有機樹脂製ブラシなどによって表面粗さを調整してよい。得たい接合強度や接合条件に合わせて適宜、表面粗さを調整すればよい。
Cu箔とZn−Al系合金箔はそれぞれ最終箔厚(製品になったときの箔厚)を考慮しクラッドする際の厚さを決める。すなわち、CuとZn−Al系合金では同じ応力で圧延しても圧下率が異なるため、事前に圧下率を考慮に入れて各箔の厚さを決めて準備する必要がある。
このようにして準備したCu箔とZn−Al系合金箔を合わせてロールで圧延する場合について説明する。
まず各箔を張り合わせて圧下率を設定し、圧延油をたらしながら圧延を行う。なお、接合面に圧延油が入らないようにロールに当たる面だけに圧延油をかけていく。その後、クラックやバリが発生していないことを確認しながら圧下率を下げて目的の厚さより10%程度厚めの状態まで圧延していく。その後、最終圧延として圧下率が0に近いような状態で厚さを測りながら少しずつ圧延していく。
<クラッド材の熱処理>
クラッド材の硬さや伸び率などを調整する目的で熱処理を行ってもよい。特に残留応力を軽減するためには200℃以下で熱処理を行うとよく、接合面の接合強度を上げるためには200℃以上で熱処理を行うとよい。ただし、熱処理する場合、表面の酸化には十分注意を要する。酸化が進行しすぎると接合強度を極端に低下させてしまう。真空中、または不活性カス中、または還元雰囲気中などで熱処理すると酸化の進行を抑制できて好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
<Cu箔>
まず、原料として99.99質量%以上の純度のCuを準備した。これをグラファイト製のるつぼに入れ、横型連続鋳造機の槽内にセットした。連続鋳造機の槽内には窒素を5L/分の流量で流しながら、高周波電源を入れ、約20℃/分の昇温速度で昇温していった。Cuが1200℃に達した後、その温度を保持するように制御した。Cuが十分に溶融したことを確認後、横孔から1.5m/分の速度で板状になったCuを引き出した。孔は5mm×60mmの長方形の形状として、厚さ5mm、幅60mmのCu板を得た。連続鋳造後、Cu板を十分に冷却し、5mの長さに裁断し、クラッド材用のCu系母材とした。
このようにして準備したCu系母材をロール圧延機を用いて冷間圧延を行い、200μmの厚さに加工した。冷間圧延を選んだ理由は、Cuの表面酸化が比較的進みづらく、クラッドする際、良好な接合性、高い接合強度が得られるためである。圧延の際、圧延油には鉱物油と植物油を1:2(体積比)の割合で混合した混合油を用いた。この混合油をCu系母材の表面に供給しながら圧延していった。圧延回数は7回であり、最後の2回は仕上げ圧延であって圧下率は2〜5%程度を狙って行った。圧下率の定義は(1)式のとおりである。
圧下率=(圧延前の厚さ−圧延後の厚さ)÷圧延前の厚さ×100(%)・・(1)式
最終圧延終了後、自動洗浄機でエタノールを用いて圧延油を除去し、その後、真空乾燥機で真空中、常温で5時間乾燥して、Cu箔を得た。
また、一部のCu箔試料(試料42〜49)については、Au、Ag、Ni、及びNi−Cuのめっきを施した。まず、30%NaOHのアルカリ溶液でCu箔表面の脱脂を行った。その後、25%HClを用いて酸洗浄を行った。さらにクエン酸、クエン酸塩、リン酸塩、シアンを所定の混合比で混ぜた溶液を用いてめっきを行った。Cu箔の搬送速度は1.5m/分、電流はめっきの厚さを調整するため0.8〜1.8Aとした。Ni−Cuめっきに関してはまずNiめっきを行い、その後、Cuめっきを行った。NiとCuのめっき厚さは同じにあるように諸条件を調整して製造した。その後、純水中で洗浄、真空中で乾燥を行って金属めっきを施したCu箔を得た。
クラッディングの際のCu箔の接合面は、研磨装置を用いて自動研磨を行い、表面粗さを調整した。その後、研磨時に発生した研磨カスや汚れを除去するために自動洗浄機でエタノールを用いて洗浄した。その後、空乾燥機で真空中、常温で5時間乾燥して、表面粗さを調整したCu箔を得た。
<PbフリーZn−Al系合金はんだ>
原料として、99.99質量%以上のZn、Al、Ag、Cu、Ge、Mg、Sn、P、Pb、およびAuを準備した。これらを試料1〜試料49に合わせてそれぞれ所定量秤量し、グラファイト製のるつぼに入れ、横型連続鋳造機の槽内にセットした。連続鋳造機の槽内には窒素を5L/分の流量で流しながら、高周波電源を入れ、約15℃/分の昇温速度で昇温していった。各試料が液相線温度より80℃高い温度に達した後、その温度を保持するように制御した。試料が十分に溶融したことを確認後、横孔から1.2m/分の速度で板状になった試料を引き出した。孔は5mm×60mmの長方形の形状として、厚さ5mm、幅60mmの板状の各試料を得た。連続鋳造後、各試料の板を十分に冷却し、5mの長さに裁断し、クラッド材用のはんだ合金母材とした。
このようにして準備したはんだ合金母材をロール圧延機を用いて冷間圧延を行い、100μmの厚さに加工した。圧延の際、圧延油には鉱物油と植物油を1:2(体積比)の割合で混合した混合油を用いた。この混合油をはんだ合金母材の表面に供給しながら圧延していった。圧延回数は7回であり、最後の2回は仕上げ圧延であって圧下率は1〜3%程度を狙って行った。
最終圧延終了後、自動洗浄機でエタノールを用いて圧延油を除去し、その後、真空乾燥機で真空中、常温で5時間乾燥して、はんだ合金箔を得た。
クラッディングの際のはんだ合金箔の接合面は、研磨装置を用いて自動研磨を行い、表面粗さを調整した。その後、研磨時に発生した研磨カスや汚れを除去するために自動洗浄機でエタノールを用いて洗浄した。その後、空乾燥機で真空中、常温で5時間乾燥して、表面粗さを調整したはんだ合金箔を得た。
<クラッディング方法>
準備したCu箔とはんだ合金箔を合わせてロールで圧延する方法でクラッディングを行った。まずCu箔を2枚のはんだ合金箔で挟み、クラッヂィングを行った。圧延油は、鉱物油と植物油を1:1(体積比)の割合で混合した混合油を用い、接合面に圧延油が入らないようにロールに当たる面だけに圧延油を供給していった。
その後、クラックやバリが発生していないことを確認しながら圧下率10〜30%の割合で薄く圧延していき、約110μmの厚さまで圧延した。その後、厚さが100μmになるように厚さを測定しながら僅かずつゆっくりと圧延した。このようにして100±1.5μmの各クラッド材を得た。
<クラッド材の熱処理>
クラッド材の硬さや伸び率などを調整する目的で熱処理を行った。熱処理は密閉性のある電気炉を用いて、窒素ガス中、所定の温度で2時間熱処理した。
Cu系母材、はんだ合金母材を用いてクラッディングを行って得られたクラッド材をその母材に応じて試料1〜49(実施例)とした。さらに比較例として、Pbを主成分として含むはんだ合金母材を用いたクラッド材の試料50,51、はんだ材料のみの試料52〜62を準備した。なお、試料42〜49は基本的には試料2と同じ条件のクラッド材で、Au、Ag、Ni、及びNi−Cuのめっきを施したものである。
試料1〜62のクラッド材に用いたCu系母材、はんだ合金母材の表面粗さや組成、Cu系母材のめっき、クラッド材の熱処理条件を表1に示す。
Figure 2015027697
表1の続き
Figure 2015027697
このように製造した試料1〜49のクラッド材と、比較例の試料50及び51のクラッド材と試料52〜62のはんだ合金について、各種評価を行った。すなわち、試料1〜51のクラッド材に関しては、ボイド率、伸び率を測定した。さらにこれら試料1〜51のクラッド材及び試料52〜62のはんだ合金を用いて、半導体素子とCu基板の接合体を作り、その接合体についてボイド率、シェア強度を測定し、さらにヒートサイクル試験を行った。各評価について、以下、詳細に説明する。
<クラッド材のボイド率>
クラッディングの接合性を確認するため、上記クラッド材をX線透過装置(株式会社 東芝製 TOSMICRON−6125)を用いて測定した。クラッド材を長さ方向、そして幅方向と垂直を成す角度からX線を透過し観察を行い、観察面積は100mm2、各試料5点測定し、平均値をその試料のボイド率とした。以下の計算式(2)を用いてボイド率を算出した。
ボイド率 = ボイド面積(mm2)÷100(mm2)×100(%)・・・(2)式
<伸び率>
応力緩和性の指標として伸び率を測定した。製造した各クラッド材を幅3mm×長さ100mmに裁断し、引張試験機(テンシロン万能試験機)を用いて伸び率を測定した。各試料5点の伸び率を測定し、計5点の平均をその試料の伸び率とした。
<半導体素子接合体のボイド率>
クラッド材、またははんだ合金を用いて、10mm×10mmのSiチップ半導体素子をCu基板に接合し、評価用の接合体を作った。接合には濡れ性試験を用い、接合条件としては、温度ははんだの液相線温度より50℃高い温度とし、接合時間は25秒、雰囲気は窒素フローで行った。
ボイド率は上記のクラッド材のボイド率を測定した場合と同様の方法で行った。
なお、比較として、比較例50〜62のクラッド材とはんだ合金についても同様の評価を行った。
<シェア強度>
接合体の接合強度を確認するため、上記のボイド率測定に用いたものと同様の半導体素子接合体を作り、シェア試験を行った。作製した接合体をシェア試験機に固定し、半導体素子側面に測定用冶具をあてて接合強度を測定した。なお、比較として、比較例50〜62のクラッド材とはんだ合金についても同様の評価を行った。
<ヒートサイクル試験>
クラッド材の接合信頼性を評価するためにヒートサイクル試験を行った。なお、この試験は上記のボイド率測定に用いたものと同様の半導体素子接合体を作り、ヒートサイクル試験を行った。まず、接合体に対して、−40℃の冷却と150℃の加熱を1サイクルとして、これを所定のサイクル繰り返した。その後、接合体を埋め込み、断面研磨を行い、SEM(日立製作所製 S−4800)により接合面の観察を行った。接合面にはがれやはんだにクラックが入っていた場合を「×」、そのような不良がなく、初期状態と同様の接合面を保っていた場合を「○」とした。なお、比較として、比較例50〜62のクラッド材とはんだ合金についても同様の評価を行った。
試料1〜62のクラッド材とはんだ合金のボイド率、伸び率、そして、半導体素子接合体のボイド率、シェア強度、ヒートサイクル試験の結果を表2に示す。
Figure 2015027697
表2の続き
Figure 2015027697
これらの結果から分かるように、試料1〜49にその結果を示した本発明のクラッド材は各評価において非常に優れた結果を示している。すなわち、本発明のクラッド材にはボイドは存在しない。また、特に表面粗さが0.1μm以上であり且つ200℃未満の温度で熱処理を施したものは伸び率も150%以上を有しており格段に高い応力緩和性があると考えられる。さらにSi半導体素子接合体の評価においてもボイドは存在しない。また、特に表面粗さが0.1μm以上であり且つ200℃未満の温度で熱処理を施したものはシェア強度も全て95MPaを超えており非常に強固な接合が実現できている。そして、ヒートサイクル試験においても−40℃⇔+150℃という非常に厳しい条件においても500サイクルまでクラック等の不良の発生は見られなかった。また、Cu箔表面にめっきを施さない試料2と、Cu箔表面にめっきを施した試料42〜49を比較すると、めっきを施すことによってシェア強度が20%程度上昇している。
加えて本発明のクラッド材は、Pbを主成分とするはんだを用いた比較例50、51のクラッド材より優れた評価結果を示している。この理由はPbを主成分とするはんだは柔らかい反面、強度が低く、比較的高い温度でのヒートサイクル試験などでは熱応力による発生するクラックの進展を止めることができないのである。
さらには比較例52〜62に挙げた既存のはんだ合金より各評価において優れている。
例えば、試料52、試料53、試料54、試料55、試料56、試料57はそれぞれ試料2、試料4、試料5、試料6、試料7、試料10のはんだ合金箔と同一組成であって同一の表面粗さのものである。異なる点は、試料2、試料4、試料5、試料6、試料7、試料10の本発明のクラッド材はCu系母材とはんだ合金があらかじめクラッディングされているのに対し、比較例の試料52、試料53、試料54、試料55、試料56、試料57はCu基板とはんだ合金はクラッディングされた状態とはなっていないことである。
その結果、半導体素子接合体の評価において、本発明のものはボイド率がすべて0%であるのに対し、比較例のもののボイド率は1〜2%ある。また、シェア強度も平均して比較例のものは本発明のものより20MPa小さい値となっている。そして、ヒートサイクル試験においても比較例のものは、500サイクルでは全てクラック等の不良の発生が確認された。
このようにCu系母材を用いたクラッド材とすることにより応力緩和等が優れる材料となることが分かる。以上より、本発明が産業上、非常に有用であり、かつ、実用性に富む技術であることが示された。

Claims (5)

  1. PbフリーZn−Al系合金はんだとCu系母材によって構成されていることを特徴とするクラッド材。
  2. 前記PbフリーZn−Al系合金はんだの組成が、Alを0.9質量%以上9.0質量%以下含有し、Ag、Cu、Ge、Mg、Sn、およびPのうちの1種以上を含有していてもよく、Ag、Cu、Mg、Snを含有する場合は各2.0質量%以下、Geを含有する場合は6.0質量%以下、Pを含有する場合は0.5質量%以下であり、残部が製造上不可避に含まれる元素を除きZnから構成されることを特徴とする請求項1に記載のクラッド材。
  3. 前記Cu系母材の表面にAu、Ag、NiおよびCuのうちのいずれか1種以上の金属層が設けられていること特徴とする請求項1または2に記載のクラッド材。
  4. 表面粗さがともに0.1μm以上であるPbフリーZn−Al系合金はんだとCu系母材を用いてクラッディングすることを特徴とするクラッド材の製造方法。
  5. 200℃未満の温度で熱処理を施すことにより残留応力を低減したこと特徴とする請求項4に記載のクラッド材の製造方法。
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