JP2015025075A - 反応性シリコーン化合物を含む重合性組成物 - Google Patents

反応性シリコーン化合物を含む重合性組成物 Download PDF

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健太郎 大森
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Abstract

【課題】耐熱黄変色、耐クラック性及び寸法安定性を有するレンズ用材料に用いられる重合性組成物を提供する。【解決手段】(a)式[1]で表されるジアリールケイ酸化合物と式[2]で表されるアルコキシケイ素化合物とを、酸又は塩基の存在下重縮合して得られる反応性シリコーン化合物100質量部、(b)特定の式で表されるビスフェノールAジ(メタ)アクリレート化合物5乃至100質量部、及び(c)特定の式で表される基を有する光安定剤及び/又は特定の式で表される基を有する酸化防止剤0.01乃至5質量部、を含む重合性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、反応性シリコーン化合物を含む重合性組成物に関する。また、本発明は、それより形成される硬化物について、耐熱黄変性、耐クラック性及び寸法安定性等を著しく改善することができる重合性組成物に関する。
プラスチックレンズは、携帯電話、デジタルカメラ、車載カメラ用などに用いられており、その機器の目的に応じた、優れた光学特性を有するものであることが求められる。また、使用態様に合わせて、耐熱性、耐候性等の耐久性と、歩留まり良く成形できる生産性が求められている。このような樹脂材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィンポリマー、メタクリル樹脂等の透明性樹脂が使用されてきた。
近年、実装コスト低減の目的で、カメラモジュールをはんだリフローにて一括実装する方法が提案されており、はんだリフロー工程での高温熱履歴(例えば260℃)に耐え得るものが求められている。しかしながら、従来のプラスチックレンズでは耐熱性が低く、リフロープロセスに適応することは困難となっていた。
また、高解像度カメラモジュールには複数枚のレンズが用いられるが、この中の一枚の波長補正レンズとしても高屈折率を有する光学材料が要求されている。さらに、樹脂レンズの製造にあたり、歩留まりや生産効率向上のために熱可塑性樹脂の射出成型から、室温で液状の硬化性樹脂を使った押し付け成型に移行しつつある。
しかし、高屈折率を特長として提案されている従来材料は、特許文献1に示されているとおり、耐熱性を改良しても200℃以下のものが殆どであり、例えば260℃のハンダリフロー耐熱を保証するには至っていない。
一方、半導体と一体化したレンズ付き電子部品を得るためのはんだリフローに耐える耐熱性の光学材料として、不飽和結合を含有する籠型シルセスキオキサン、SiH基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、及びエチレン性不飽和化合物とからなる硬化成分を用いたレンズ成形用組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平09−31136号公報 特開2009−155442号公報
しかしながら、特許文献2に記載のように籠型シルセスキオキサンを用いた場合は、成型物が硬く脆くなる傾向にあり、耐クラック性などの機械強度が十分ではなかった。
このように、高解像度カメラモジュール用レンズとして使用し得る光学特性(高屈折率)と、はんだリフロー等の実装プロセスに適合する、耐熱黄変性、耐クラック性及び寸法安定性等の耐熱性を満足する硬化性樹脂材料は未だなく、その開発が望まれていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、硬化物が高い屈折率を維持しさらに高温熱履歴によって生じる変色(熱黄変)、クラック及び寸法変化を抑制することができる成形物を作るのに好適な重合性組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、本発明は、特定の反
応性シリコーン化合物に加えて、特定の(メタ)アクリレート化合物、及び光安定剤として知られる特定のヒンダードアミンを添加することにより、得られるその硬化物(成形物)が高い屈折率を維持し、さらに高温熱履歴によって生じる変色(熱黄変)、クラック及び寸法変化を抑制することができる成形物が得られることが見出され、完成するに至った。
すなわち、本発明は第1観点として、
(a)式[1]で表されるジアリールケイ酸化合物と式[2]で表されるアルコキシケイ素化合物とを、酸又は塩基の存在下重縮合して得られる反応性シリコーン化合物100質量部、
(b)式[3]で表されるビスフェノールAジ(メタ)アクリレート化合物5乃至100質量部、及び
(c)式[4]で表される基を有する光安定剤及び/又は式[5]で表される基を有する酸化防止剤0.01乃至5質量部
を含む重合性組成物に関する。
Figure 2015025075
(式中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、炭素原子数1乃至6のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を表し、Ar3は重合性二重結合を有する基を少なくとも1つ
有するフェニル基、又は重合性二重結合を有する基を少なくとも1つ有するナフチル基を表し、R1はメチル基又はエチル基を表し、R2はメチル基、エチル基又はビニルフェニル基を表し、aは2又は3を表す。)
Figure 2015025075
(式中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、L及びLはそれぞれ独立して、炭素原子数1乃至6のアルキレン基を表し、m及びnはm+nが1乃至8となる正数を表す。)
Figure 2015025075
(式中、Rは水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は炭素原子数1乃至12のアルコキシ基を表し、Rは、炭素原子数1乃至10のアルキル基を表し、R乃至Rはそれぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数1乃至10のアルキル基を表し、黒点は結合手を表す。)
第2観点として、さらに(d)一分子内に少なくとも3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物1乃至30質量部を含む、第1観点に記載の重合性組成物に関する。
第3観点として、前記(d)多官能(メタ)アクリレート化合物が、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールからなる群から選ばれるポリオールの、(メタ)アクリ
レート又はアルコキシ化(メタ)アクリレートである、第2観点に記載の重合性組成物に関する。
第4観点として、前記(a)反応性シリコーン化合物が、式[6]で表される化合物と式[7]で表される化合物とを、酸又は塩基の存在下重縮合して得られる反応性シリコーン化合物である、第1観点乃至第3観点のうち何れか一つに記載の重合性組成物に関する。
Figure 2015025075
(式中、R1は前記と同じ意味を表す。)
第5観点として、当該組成物より得られる硬化物のアッベ数が32以下となる、第1観点乃至第4観点のうち何れか一つに記載の重合性組成物に関する。
第6観点として、第1観点乃至第5観点の何れかに記載の重合性組成物を重合して得られる、硬化物に関する。
第7観点として、第1観点乃至第5観点の何れかに記載の重合性組成物からなる高屈折率樹脂レンズ用材料に関する。
第8観点として、第1観点乃至第5観点の何れかに記載の重合性組成物を、支持体と鋳型との空間に充填する工程、当該充填された組成物を露光して光重合する工程、支持体上の光重合物を鋳型から離型する工程、光重合物を支持体ごと加熱する工程、を含む成型体の製造方法に関する。
第9観点として、前記成型体がカメラモジュール用レンズである、第8観点に記載の製造方法に関する。
本発明の、特定の反応性シリコーン化合物、特定の(メタ)アクリレート化合物、並びに特定のヒンダードアミン系光安定剤及び/又は特定のフェノール系酸化防止剤から構成される重合性組成物は、その硬化物が、光学デバイス、例えば高解像度カメラモジュール用レンズとして望ましい光学特性(高屈折率)だけでなく、カメラモジュールの実装プロセスに必要とされる、耐熱黄変性、耐クラック性及び寸法安定性等の耐熱性を有することができる。
本発明の高屈折率樹脂レンズ用材料は、高解像度カメラモジュール用レンズとして好適に使用することができる。
本発明の製造方法によると、成型体、特に、カメラモジュール用レンズである成型体を好適に製造することができる。
さらに本発明の重合性組成物は、無溶剤の形態で十分に取り扱い可能な粘度であるため、金型等の鋳型の押し付け加工に好適に用いることができる。
図1は、製造例1で得られた反応性シリコーン化合物のH NMRスペクトルを示す図である。
<<重合性組成物>>
本発明の重合性組成物は、(a)成分として反応性シリコーン化合物、(b)成分としてビスフェノールAジ(メタ)アクリレート化合物、そして(c)成分として光安定剤及び/又は酸化防止剤を含有する感光性樹脂組成物である。以下、各成分の詳細を説明する。
<(a)反応性シリコーン化合物>
本発明に用いられる(a)反応性シリコーン化合物は、特定構造のジアリールケイ酸化合物と特定構造のアルコキシケイ素化合物とを、酸又は塩基の存在下重縮合して得られる化合物である。
[ジアリールケイ酸化合物]
前記ジアリールケイ酸化合物は、下記式[1]で表される化合物である。
Figure 2015025075
上記式[1]中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、炭素原子数1乃至6のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を表す。
Ar1及びAr2としては、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、4−エチルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、3,5−ジイソプロピルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基等が挙げられる。
上記式[1]の具体例としては、例えば、ジフェニルシランジオール、ビス(4−トリル)シランジオール、ビス(4−エチルフェニル)シランジオール、ビス(4−イソプロピルフェニル)シランジオール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
[アルコキシケイ素化合物]
前記アルコキシケイ素化合物は、下記式[2]で表される化合物である。
Figure 2015025075
上記式[2]中、Ar3は重合性二重結合を有する基を少なくとも1つ有するフェニル
基、又は重合性二重結合を有する基を少なくとも1つ有するナフチル基を表し、R1はメ
チル基又はエチル基を表し、R2はメチル基、エチル基又はビニルフェニル基を表し、a
は2又は3の整数を表す。
Ar3が表す重合性二重結合を有する基を少なくとも1つ有するフェニル基としては、
例えば、2−ビニルフェニル基、3−ビニルフェニル基、4−ビニルフェニル基、4−ビニルオキシフェニル基、4−アリルフェニル基、4−アリルオキシフェニル基、4−イソプロペニルフェニル基等が挙げられる。
Ar3が表す重合性二重結合を有する基を少なくとも1つ有するナフチル基としては、
例えば、4−ビニルナフタレン−1−イル基、6−ビニルナフタレン−2−イル基等が挙げられる。
上記式[2]の具体例としては、例えば、トリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメトキシ(メチル)(4−ビニルフェニル)シラン、ジメトキシビス(4−ビニルフェニル)シラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(a)成分の反応性シリコーン化合物としては、下記式[6]で表される化合物と下記式[7]で表される化合物とを、酸又は塩基の存在下重縮合して得られる反応性シリコー
ン化合物が好ましい。
Figure 2015025075
上記式[7]中、R1は前記と同じ意味を表す。
[ジアリールケイ酸化合物とアルコキシケイ素化合物の配合割合]
(a)成分の反応性シリコーン化合物に用いる、式[1]で表されるジアリールケイ酸化合物と式[2]で表されるアルコキシケイ素化合物の重縮合反応にかかる配合モル比は特に限定されないが、ブロックコポリマー化を防ぐ目的から、通常、ジアリールケイ酸化合物:アルコキシケイ素化合物=2:1〜1:2の範囲が好ましい。より好ましくは1.1:0.9〜0.9:1.1の間で配合される範囲である。
上述のジアリールケイ酸化合物及びアルコキシケイ素化合物は、必要に応じて適宜化合物を選択して用いることができ、また、複数種を併用することもできる。この場合のモル比もジアリールケイ酸化合物のモル量の総計とアルコキシケイ素化合物のモル量の総計の比が上記の範囲となる。
[酸又は塩基性触媒]
上記式[1]で表されるジアリールケイ酸化合物と、上記式[2]で表されるアルコキシケイ素化合物との重縮合反応は、酸又は塩基性触媒の存在下で好適に実施される。
上記重縮合反応に用いる触媒は、後述の溶媒に溶解する、又は均一分散する限りにおいては特にその種類は限定されず、必要に応じて適宜選択して用いることができる。
用いることのできる触媒としては、例えば、酸性化合物として、B(OR)、Al(OR)、Ti(OR)、Zr(OR)等;塩基性化合物として、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アンモニウム塩、アミン類等;フッ化物塩として、NHF、NRF等が挙げられる。なお、ここでRは、水素原子、炭素原子数1乃至12の直鎖状アルキル基、炭素原子数3乃至12の分枝状アルキル基、炭素原子数3乃至12の環状アルキル基からなる群から選ばれる一種以上の基である。
これら触媒は、一種単独で、又は複数種を併用することもできる。
上記酸性化合物としては、例えば、ホウ酸、トリメトキシボロン、トリエトキシボロン、トリ−n−プロポキシボロン、トリイソプロポキシボロン、トリ−n−ブトキシボロン、トリイソブトキシボロン、トリ−sec−ブトキシボロン、トリ−tert−ブトキシボロン、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリイソブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトライソブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム、テトラ−tert−ブトキシジルコニウム等が挙げられる。
上記塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、トリエチルアミン等が挙げられる。
上記フッ化物塩としては、例えば、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム等を挙げることができる。
これら触媒のうち、好ましく用いられるのは、テトライソプロポキシチタン(チタンテトライソプロポキシド)、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、及び水酸化バリウムからなる群から選ばれる一種以上である。
触媒の使用量は、上記ジアリールケイ酸化合物とアルコキシケイ素化合物との合計質量に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。触媒の使用量を0.01質量%以上とすることで反応がより良好に進行する。また、経済性を考慮すれば、10質量%以下の使用で十分である。
[重縮合反応]
本発明にかかる反応性シリコーン化合物は、アルコキシケイ素化合物の構造が一つの特徴となっている。本発明に用いられるアルコキシケイ素化合物に含まれる反応性基(重合性二重結合)は、ラジカル又はカチオンによって容易に重合し、重合後(硬化後)は高い耐熱性を示す。
このようなアルコキシケイ素化合物とジアリールケイ酸化合物とを重縮合させ、耐熱性の高いシリコーン化合物とするとき、生成物が液体状態を保てるよう、適度な重合度で反応を停止させる必要がある。なお本発明で用いるアルコキシケイ素化合物は積極的に加水分解しないことから、ジアリールケイ酸化合物との重縮合反応が穏やかであり、重合度を制御しやすい特徴がある。
アルコキシケイ素化合物とジアリールケイ酸化合物の脱アルコールによる重縮合反応は、無溶媒下で行うことも可能だが、後述するトルエンなどのアルコキシケイ素化合物に対して不活性な溶媒を反応溶媒として用いることも可能である。無溶媒の場合は、反応副生成物であるアルコールの留去が容易になるという利点がある。一方、反応溶媒を用いる場合は、反応系を均一にしやすく、より安定した重縮合反応を行えるという利点がある。
反応性シリコーン化合物の合成反応は、前述のように無溶媒で行ってもよいが、より均一化させるために溶媒を使用しても問題ない。溶媒は、ジアリールケイ酸化合物及びアルコキシケイ素化合物と反応せず、その縮合物を溶解するものであれば特に限定されない。
このような反応溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルセロソルブ、ジエチルカルビトール等のグリコールエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド類などが挙げられる。これら溶媒は、一種単独で、又は二種以上を混合して用いてもよい。
本発明で用いる反応性シリコーン化合物は、式[1]で表されるジアリールケイ酸化合物と式[2]で表されるアルコキシケイ素化合物とを、酸又は塩基性触媒の存在下で、脱アルコール縮合を行うことにより得られる。反応は水分の混入を防ぐ目的から、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で行うことが望ましい。反応温度は20〜150℃、より好ましくは30〜120℃である。
反応時間は、重縮合物の分子量増加が終了し、分子量分布が安定するのに必要な時間以上なら、特に制限は受けず、より具体的には数時間から数日間である。
重縮合反応の終了後、得られた反応性シリコーン化合物をろ過、溶媒留去等の任意の方法で回収し、必要に応じて適宜精製処理を行うことが好ましい。
このような反応によって得られた重縮合化合物は、GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwが500〜10,000であり、分散度Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は1.0〜10である。
<(b)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート化合物>
本発明に用いられる(b)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート化合物は、式[3]で表される化合物である。
なお、本発明では(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物とメタクリレート化合物の両方をいう。例えば(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸をいう。
Figure 2015025075
上記式[3]中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、L及びLはそれぞれ独立して、炭素原子数1乃至6のアルキレン基を表し、m及びnはm+nが1〜8となる正数を表す。
及びLとしては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert−ペンチレン基、1−メチルブチレン基、2−メチルブチレン基、1,2−ジメチルプロピレン基、1−エチルプロピレン基、ヘキシレン基、イソヘシレン基、1−メチルペンチレン基、2−メチルペンチレン基、3−メチルペンチレン基、1,1−ジメチルブチレン基、1,2−ジメチルブチレン基、2,2−ジメチルブチレン基、1−エチルブチレン基、1,1,2−トリメチルプロピレン基、1,2,2−トリメチルプロピレン基、1−エチル−2−メチルプロピレン基、1−エチル−1−メチルプロピレン基等が挙げられる。
式[3]で表される化合物において、m及びnは、m+nが2〜6となる場合が好ましく、m+nが2〜4となる場合が最も好ましい。
<(c)光安定剤及び/又は酸化防止剤>
本発明に用いられる(c)光安定剤及び/又は酸化防止剤は、式[4]で表される基を有する光安定剤及び/又は式[5]で表される基を有する酸化防止剤である。
Figure 2015025075
上記式中、Rは水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は炭素原子数1乃至12のアルコキシ基を表し、Rは、炭素原子数1乃至10のアルキル基を表し、R乃至Rはそれぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数1乃至10のアルキル基を表し、黒点は結合手を表す。
炭素原子数1乃至10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、tert−アミル基、sec−イソアミル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
炭素原子数1乃至12のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソアミルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert−アミルオキシ基、sec−イソアミルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチル基オキシ、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基等が挙げられる。
これらの中でも、Rとしては、水素原子、メチル基、シクロヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基が好ましい。
また、Rとしては、tert−ブチル基が好ましい。このような式[5]で表される基としては、例えば、3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル基、3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル基、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル基等が挙げられる。
式[4]で表される基を有する光安定剤としては、例えば、TINUVIN(登録商標)123、同144、同152、同292、同770[以上、BASFジャパン(株)製]、アデカスタブ(登録商標)LA−52、同LA−57、同LA−63P、同LA−68、同LA−72、同LA−77Y、同LA−77G、同LA−81、同LA−82、同LA−87[以上、(株)ADEKA製]等が挙げられる。
式[5]で表される基を有する酸化防止剤としては、例えば、IRGANOX(登録商標)245、同1010、同1035、同1076、同1135[以上、BASFジャパン(株)製]、スミライザー(登録商標)GA−80、同GP、同MDP−S、同BBM−S、同WX−R[以上、住友化学(株)製]、アデカスタブ(登録商標)AO−20、同AO−30、同AO−40、同AO−50、同AO−60、同AO−80、同AO−330[以上、(株)ADEKA製]等が挙げられる。
本発明の重合性組成物において、(b)成分及び(c)成分の含有量は、(a)成分100質量部に対し、(b)成分が5〜100質量部、(c)成分が0.01〜5質量部である。
<(d)多官能(メタ)アクリレート化合物>
本発明の重合性組成物は、さらに(d)成分として同一分子内に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物を含み得る。
同一分子内に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,3,5−トリ(メタ)アクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられ、特に、トリメチロールプロパン及びペンタエリトリトールからなる群から選ばれるポリオールの、(メタ)アクリレート又はアルコキシ
化(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明の重合性組成物中、(d)成分の含有量は、(a)成分100質量部に対し、1〜30質量部含まれる。
また、本発明において好ましい態様は、重合性組成物から得られる硬化物を高屈折率のものとする観点から、得られる硬化物のアッベ数が32以下である重合性組成物である。
<(e)重合開始剤>
本発明の重合性組成物は、上記(a)成分乃至(c)成分、又は上記(a)成分乃至(d)成分に加えて、(e)重合開始剤を含み得る。重合開始剤としては、光重合開始剤及び熱重合開始剤の何れも使用できる。
光重合開始剤としては、例えば、アルキルフェノン類、ベンゾフェノン類、アシルホスフィンオキシド類、ミヒラーのベンゾイルベンゾエート類、オキシムエステル類、テトラメチルチウラムモノスルフィド類、チオキサントン類等が挙げられる。
特に、光開裂型の光ラジカル重合開始剤が好ましい。光開裂型の光ラジカル重合開始剤については、最新UV硬化技術(159頁、発行人:高薄一弘、発行所:(株)技術情報協会、1991年発行)に記載されているものが挙げられる。
市販されている光ラジカル重合開始剤としては、例えば、IRGACURE(登録商標)184、同369、同651、同500、同819、同907、同784、同2959、同CGI1700、同CGI1750、同CGI1850、同CG24−61、Darocur(登録商標)1116、同1173、LUCIRIN(登録商標)TPO[以上、BASFジャパン(株)製]、ESACURE KIP150、同KIP65LT、同KIP100F、同KT37、同KT55、同KTO46、同KIP75[以上、ランベルティ社製]等を挙げることができる。
熱重合開始剤としては、例えば、アゾ類、有機過酸化物類等が挙げられる。
市販されているアゾ系熱重合開始剤としては、例えば、V−30、V−40、V−59、V−60、V−65、V−70[以上、和光純薬工業(株)製]等を挙げることができる。
また市販されている有機過酸化物系熱重合開始剤としては、例えば、パーカドックス(登録商標)CH、同BC−FF、同14、同16、トリゴノックス(登録商標)22、同23、同121、カヤエステル(登録商標)P、同O、カヤブチル(登録商標)B[以上、化薬アクゾ(株)製]等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
重合開始剤を添加する場合、重合開始剤は一種単独で、又は二種以上を混合して用いてもよい。また、その添加量としては、(a)反応性シリコーン化合物100質量部に対して0.1〜20質量部、さらに好ましくは0.3〜10質量部である。
<その他添加剤>
更に、本発明の重合性組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、レオロジー調整剤、シランカップリング剤等の接着補助剤、顔料、染料、保存安定剤、消泡剤、多価フェノールや多価カルボン酸等の溶解促進剤などを含有することができる。
<重合性組成物の調製方法>
本実施の形態の重合性組成物の調製方法は、特に限定されない。調製法としては、例えば、(a)成分、(b)成分、(c)成分及び必要に応じて(d)成分、(e)成分を所定の割合で混合し、所望によりその他添加剤をさらに添加して混合し、均一な溶液とする
方法、又はこれらの成分に加え更に慣用の溶剤を使用する方法等が挙げられる。
重合性組成物における固形分の割合は、各成分が溶剤に均一に溶解している限りは特に限定はないが、例えば1〜50質量%であり、又は、1〜30質量%であり、又は1〜25質量%である。ここで固形分とは、重合性組成物の全成分から溶剤成分を除いたものである。
また、重合性組成物の溶液は、孔径が0.05〜0.2μmのフィルタなどを用いてろ過した後、使用することが好ましい。
<<硬化物>>
また、本発明の重合性組成物は、露光又は加熱により、反応性シリコーン化合物に含まれる重合性二重結合と、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート化合物に含まれる(メタ)アクリロイル基とを反応させて、硬化物を得ることができる。
露光する光線としては、紫外線、電子線、X線等が挙げられる。紫外線照射に用いる光源としては、太陽光線、ケミカルランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が使用できる。
加熱条件としては、特に限定されないが、通常、50〜300℃、1〜120分間の範囲から適宜、選択される。また、加熱手段としては、特に限定されないが、例えばホットプレート、オーブン等が挙げられる。
本発明の重合性組成物を硬化することにより得られる硬化物は、波長589nmにおける屈折率が1.5以上と高いものであり、また、加熱による黄変及びクラックの発生が抑制され、寸法安定性を有するものであるから高屈折率樹脂レンズ用材料として好適に使用することができる。
<<成形体>>
本発明の樹脂組成物を成形する際は、例えば、圧縮成形、射出成形、ブロー成形、真空成形などの慣用の成形法を使用することによって、各種成型体を容易に製造することができる。こうして得られる成型体も本発明の対象である。
成型体を製造する方法としては、持体と鋳型との間に充填する工程、露光する工程、鋳型から離形する工程、支持体ごと加熱する工程、を含む製造方法が好ましい。
上記加熱工程の条件としては、特に限定されないが、通常、50〜260℃、0.5〜60分間の範囲から適宜、選択される。また、加熱手段としては、特に限定されないが、例えば、ホットプレート、オーブン等が挙げられる。
このような方法によって製造された成型体は、カメラ用モジュールレンズとして好適に使用することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例において、試料の調製及び物性の分析に用いた装置及び条件は、以下の通りである。
(1)H NMRスペクトル
装置:日本電子(株)製 JNM−ECX300
測定溶媒:CDCl
基準物質:テトラメチルシラン(0.00ppm)
(2)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
装置:東ソー(株)製 HLC−8320GPC
カラム:昭和電工(株)製 Shodex(登録商標)GPC KF−802.5、GPC KF−803
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:UV(254nm)
検量線:標準ポリスチレン
(3)撹拌脱泡機
装置:(株)シンキー製 自転・公転ミキサー あわとり錬太郎(登録商標)ARE−310
(4)UV露光
装置:アイグラフィックス(株)製 バッチ式UV照射装置(高圧水銀灯2kW×1灯)
(5)屈折率/アッベ数ν
装置:(株)アタゴ製 多波長アッベ屈折計DR−M4
測定温度:20℃
(6)光線透過率
装置:(株)島津製作所製 紫外可視分光光度計UV−3100
(7)リフロー炉
装置:(株)シンアペックス製 卓上型リフロー炉STR−3100
(8)マイクロスコープ
装置:(株)ハイロックス製 デジタルマイクロスコープKH−7700
また、略記号は以下の意味を表す。
2MPT:2−メトキシフェノチアジン[東京化成工業(株)製]
ABPE4:エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(エトキシ基4mol付加)[新中村化学工業(株)製 NKエステルA−BPE−4]
ABPE10:エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(エトキシ基10mol付加)[新中村化学工業(株)製 NKエステルA−BPE−10]
ATMPT:1,1,1−トリメチロールプロパントリアクリレート[新中村化学工業(株)製 NKエステルA−TMPT]
DCP:トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジメタクリレート[新中村化学工業(株)製 NKエステルDCP]
IRG184:1−ヒドロキシシクロヘキシル=フェニル=ケトン[BASFジャパン(株)製 IRGACURE(登録商標)184]
IRG245:トリエチレングリコールビス(3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパノエート)[BASFジャパン(株)製 IRGANOX(登録商標)245]
NPHA:N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩[和光純薬工業(株)製]
TIN123:デカン二酸ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)[BASFジャパン(株)製 TINUVIN(登録商標)123]
TIN152:2,4−ビス(N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン[BASFジャパン(株)製 TINUVIN(登録商標)152]
TIN292:デカン二酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−イル)[BASFジャパン(株)製 TINUVIN(登録商標)292]
TIN770:デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)[BASFジャパン(株)製 TINUVIN(登録商標)770]
TPO:ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド[BASFジャパン(株)製 LUCIRIN(登録商標)TPO]
[製造例1]反応性シリコーン化合物の製造
冷却器を備えた1Lのナス型フラスコに、ジフェニルシランジオール[東京化成工業(株)製]177g(0.80mol)、トリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン[信越化学工業(株)製]179g(0.80mol)、及びトルエン141gを仕込み、窒素バルーンを用いてフラスコ中の空気を窒素で置換した。この反応混合物を50℃に加熱後、水酸化バリウム一水和物[アルドリッチ社製]0.303g(1.6mmol)を添加し、さらに50℃で2日間撹拌して脱アルコール縮合を行った。反応混合物を室温(およそ25℃)まで冷却し、孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いて不溶物を除去した。ロータリーエバポレーターを用いて、この反応混合物からトルエン及び副生成物のメタノールを50℃で減圧留去することで、無色透明油状物の反応性シリコーン化合物305gを得た。
得られた反応性シリコーン化合物のH NMRスペクトルを図1に示す。また、GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1,600、分散度Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は1.3であった。
[実施例1]
製造例1で製造した反応性シリコーン化合物75質量部、ジ(メタ)アクリレート化合物としてABPE4 25質量部、光安定剤及び/又は酸化防止剤としてTIN292 0.2質量部、並びに重合開始剤としてIRG184 2質量部及びTPO 0.5質量部を混合し、10分間撹拌脱泡することで重合性組成物を得た。
得られた重合性組成物を、0.3mm厚のシリコーンゴム製スペーサーとともに、離型処理したガラス基板2枚で挟み込んだ。この挟み込んだ重合性組成物を、20mW/cmで2分間UV露光し、さらに150℃のホットプレートで15分間加熱した。室温(およそ25℃)まで冷却後、硬化物をガラス基板から剥離することで、直径3cm、厚さ0.3mmの試験片を作製した。
得られた試験片の波長589nmにおける屈折率、アッベ数ν、及び波長400nmの光線透過率を評価した。また、リフロー炉を用いた加熱試験でのクラック発生頻度を評価した。なお、評価は、同一組成の試験片3つをリフロー炉に入れ、1)260℃まで3分間で昇温、2)260℃で20秒間保持、3)50℃まで放冷、の3ステップを3回繰り返した後、各試験片のクラックの有無を目視で確認した。結果を表1に併せて示す。
[実施例2、比較例1乃至3]
反応性シリコーン化合物の添加量を表1に記載の量に、ジ(メタ)アクリレート化合物を表1に記載の種類、添加量にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様に操作、評価した。結果を表1に併せて示す。
Figure 2015025075
表1に示すように、本発明の重合性組成物から得られた硬化物は、260℃でのリフロー工程を3回経てもクラックが入らなかった。
一方、特定のジ(メタ)アクリレート化合物を添加しない硬化物(比較例1)、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレートであってもエトキシ基10mol付加のものを添加した硬化物(比較例2)、及びビスフェノールA骨格を持たないジ(メタ)アクリレート化合物を添加した硬化物(比較例3)にあっては、全部又は一部の試験片にクラックが入り、260℃でのリフロー工程に耐えられないという結果が得られた。
[実施例3]
製造例1で製造した反応性シリコーン化合物75質量部、ジ(メタ)アクリレート化合物としてABPE4 25質量部、光安定剤及び/又は酸化防止剤としてIRG245 0.2質量部、及び重合開始剤としてIRG184 3質量部を混合し、10分間撹拌脱泡することで重合性組成物を得た。
得られた重合性組成物を用いて、実施例1と同様の操作により直径3cm、厚さ0.3mmの試験片を作製した。
得られた試験片のリフロー炉を用いた加熱試験前後の波長400nmの光線透過率を測定し、加熱による透過率の低下を評価した。なお、加熱試験は、1)260℃まで3分間で昇温、2)260℃で20秒間保持、3)50℃まで放冷、の3ステップを3回繰り返した。結果を表2に示す。
[実施例4乃至7、比較例4乃至6]
光安定剤及び/又は酸化防止剤を表2に記載の種類に、重合開始剤を表2に記載の種類、添加量にそれぞれ変更した以外は、実施例3と同様に操作、評価した。結果を表2に併せて示す。
Figure 2015025075
表2に示すように、本発明の重合性組成物から得られた硬化物は、260℃でのリフロー工程を3回経ても透過率の低下が少なく、耐熱性が高いとする結果が得られた。
一方、特定の光安定剤及び/又は酸化防止剤を添加しない硬化物(比較例4)にあっては、透過率の低下が大きかった。また、特定のヒンダードアミン又はヒンダードフェノール以外の光安定剤又は酸化防止剤を添加した硬化物(比較例5,6)にあっては、加熱前の透過率が70%前後と低い上に、加熱後では35%前後と半減しており、260℃でのリフロー工程に耐えられないという結果が得られた。
[実施例8]
製造例1で製造した反応性シリコーン化合物80質量部、ジ(メタ)アクリレート化合物としてABPE4 10質量部、光安定剤及び/又は酸化防止剤としてTIN770 0.2質量部、多官能(メタ)アクリレート化合物としてATMPT10質量部、並びに重合開始剤としてIRG184 2質量部及びTPO 0.5質量部を混合し、10分間撹拌脱泡することで重合性組成物を得た。
得られた重合性組成物をガラス基板上に乗せ、その上からアルミ製鋳型を押し付け、鋳型内に重合性組成物を充填した。この重合性組成物にガラス基板面から積算光量9J/cmでUV露光し、硬化させた。鋳型を外した後、この硬化物をガラス基板ごと150℃のホットプレートで20分間加熱することで、凸レンズ形状の成型体を作製した。
得られた成型体のリフロー炉を用いた加熱試験前後のレンズ高さ(厚み)を、マイクロスコープで測定し、加熱による寸法安定性を評価した。なお、加熱試験は、実施例3と同様の条件で行った。結果を表3に示す。
[実施例9]
反応性シリコーン化合物の添加量を75質量部に、ABPE4の添加量を25質量部にそれぞれ変更し、さらにATMPTを添加しなかった以外は、実施例8と同様に操作、評価した。結果を表3に併せて示す。
Figure 2015025075
表3に示すように、多官能(メタ)アクリレート化合物であるATMPTを添加した重合性組成物から得られた硬化物(実施例8)は、260℃でのリフロー工程を3回経てもレンズ高さの変化がほとんどなく、寸法安定性が高いとする結果が得られた。
本発明の重合性組成物の硬化物は、高い屈折率を有し、そして、高温プロセスにおいても、クラックの発生、熱黄変及び寸法変化が抑制されるものであることから、カメラ用モジュールレンズの材料等として好適に使用することができる。

Claims (9)

  1. (a)式[1]で表されるジアリールケイ酸化合物と式[2]で表されるアルコキシケイ素化合物とを、酸又は塩基の存在下重縮合して得られる反応性シリコーン化合物100質量部、
    (b)式[3]で表されるビスフェノールAジ(メタ)アクリレート化合物5乃至100質量部、及び
    (c)式[4]で表される基を有する光安定剤及び/又は式[5]で表される基を有する酸化防止剤0.01乃至5質量部
    を含む重合性組成物。
    Figure 2015025075
    (式中、Ar1及びAr2はそれぞれ独立して、炭素原子数1乃至6のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を表し、Ar3は重合性二重結合を有する基を少なくとも1つ
    有するフェニル基、又は重合性二重結合を有する基を少なくとも1つ有するナフチル基を表し、R1はメチル基又はエチル基を表し、R2はメチル基、エチル基又はビニルフェニル基を表し、aは2又は3を表す。)
    Figure 2015025075
    (式中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、L及びLはそれぞれ独立して、炭素原子数1乃至6のアルキレン基を表し、m及びnはm+nが1乃至8となる正数を表す。)
    Figure 2015025075
    (式中、Rは水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、又は炭素原子数1乃至12のアルコキシ基を表し、Rは、炭素原子数1乃至10のアルキル基を表し、R乃至Rはそれぞれ独立して、水素原子、又は炭素原子数1乃至10のアルキル基を表し、黒点は結合手を表す。)
  2. さらに(d)一分子内に少なくとも3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物1乃至30質量部を含む、請求項1に記載の重合性組成物。
  3. 前記(d)多官能(メタ)アクリレート化合物が、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールからなる群から選ばれるポリオールの、(メタ)アクリレート又はアルコキシ化(メタ)アクリレートである、請求項2に記載の重合性組成物。
  4. 前記(a)反応性シリコーン化合物が、式[6]で表される化合物と式[7]で表される
    化合物とを、酸又は塩基の存在下重縮合して得られる反応性シリコーン化合物である、請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の重合性組成物。
    Figure 2015025075
    (式中、R1は前記と同じ意味を表す。)
  5. 当該組成物より得られる硬化物のアッベ数が32以下となる、請求項1乃至請求項4のうち何れか一項に記載の重合性組成物。
  6. 請求項1乃至請求項5の何れかに記載の重合性組成物を重合して得られる、硬化物。
  7. 請求項1乃至請求項5の何れかに記載の重合性組成物からなる高屈折率樹脂レンズ用材料。
  8. 請求項1乃至請求項5の何れかに記載の重合性組成物を、支持体と鋳型との空間に充填する工程、当該充填された組成物を露光して光重合する工程、支持体上の光重合物を鋳型から離型する工程、光重合物を支持体ごと加熱する工程、を含む成型体の製造方法。
  9. 前記成型体がカメラモジュール用レンズである、請求項8に記載の製造方法。
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