JP2015022836A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】大型の印刷ヘッドを用いた場合でも、ヘッド−フィルム間のギャップを高精度に維持し得るインクジェット記録装置を提供する。【解決手段】インクジェット記録装置1は、巻出しローラ2と巻取りローラ3を備えたロールツーロール方式の装置であり、印刷ヘッド6が配置された印刷部4と、印刷部4に設けられフィルム5を浮上させた状態で保持するエア浮上ステージ13とを有する。エア浮上ステージ13は、ノズルブロック14と負圧吸引孔17を備え、ノズルブロック14から噴出する圧縮空気の圧力によってフィルム5が浮上・保持される。印刷部4の前後には搬送ローラ部9が設けられ、フィルム5は、搬送ローラ部9によって、エア浮上ステージ13上方に支持される。印刷部4では、エア浮上ステージ13にてフィルム5を浮上させつつ、印刷ヘッド6によってフィルム5に対し所定の印刷処理が行われる。【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット方式によりロール状フィルム等の記録対象物に印字や描画等の記録を行うインクジェット記録装置に関し、特に、有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子の製造に好適なインクジェット記録装置に関する。
インクジェット方式の記録装置では、インクジェットヘッドに設けたノズルからごく微小なインク滴を記録対象物に対して吐出し、所望の印字や画像記録等を行っている。このようなインクジェット記録装置は、記録対象物から離間した状態で記録動作を行うことが可能なため、様々な材質の記録対象物に印字等を行うことが可能であり、幅広い用途に利用されてきている。近年では、他の記録方式に比べて高精細な記録が可能であることから、カラー液晶ディスプレイ用のカラーフィルタや有機EL等の製造にもインクジェット方式が採用され始めている。
一方、現在、商品化されている有機EL素子のほとんどは、低分子材料を蒸着して成膜する方法(蒸着法)にて製造されている。これは、蒸着法を採用することにより、有機EL材料として、精製が容易な低分子加工物を用いることができ、素材調達が容易となり、製造コストも低く抑えられるためである。また、低分子加工物は積層構造を作り易いことも要因のひとつである。ところが、蒸着法の場合、高真空条件下で蒸着を行うため、成膜を行う装置に制約があり、小さい面積の素子にしかこの方法を適用できない。また、成膜に時間がかかるため、スループット(単位時間当たりの処理能力)が低く、素子の大型化やコストダウンの要請に対応できないという問題があった。
これに対し、有機EL素材として高分子材料を用いると、素材精製はやや難しくなるものの、成膜の際、スピンコートや、スリットコータ、インクジェット、スプレーといった種々の塗布方法が使用できる。このため、有機EL素子の大面積化が容易となり、また、有機EL素子を低コストで製造することも可能となる。特に、ロール状フィルムを用いたロールツーロール(Roll to Roll)方式にて、高分子材料の有機EL素子を連続生産する装置は、生産性が高く、製造コストの面でも非常に有利である。
図10は、従来のロールツーロール方式のインクジェット記録装置51の構成を示す説明図である。図10に示すように、インクジェット記録装置51は、巻出しローラ52と、巻取りローラ53を備えており、印刷部54に配された印刷ユニット55によって、フィルム56に所定の印字や素材の塗布を行う。フィルム56は、巻出しローラ52にロール状に巻装されており、両ローラ52,53の間に張設される。巻取りローラ53と印刷部54との間には、テンション調整機構57が介設されている。印刷部54には、ニップローラ58とガイドローラ59が設置されており、フィルム56は、両ローラ58,59によって挟持されつつ搬送される。
特許文献1には、このようなロールツーロール方式により、有機ELパネルを製造する方法が記載されている。そこでは、層形成工程の後に配されるローラ(図10の装置で言えば巻取りローラ53)の径を、層形成工程前のローラ(図10の装置で言えば巻出しローラ52)の径よりも大きく設定している。搬送ローラ群の各搬送ローラ直径誤差を1%以内とし、これにより、有機ELパネルのヒビワレや変形を防止している。
特許第5170102号公報 特開2010−140705号公報 特開2012−187453号公報 特開2011−225355号公報
ところが、ロールツーロール方式にて有機EL素子を製造する場合、フィルムへのゴミの付着や汚染、フィルム搬送時のしわやトラフ、フィルム搬送精度などの課題がある。この場合、ゴミの付着、汚染に関しては、主な発塵源であるフィルム端面の保護や、フィルムの端部の清掃機構など各種の提案が成されている。例えば、特許文献2には、フィルム端部をカバーリング処理して段付きローラで搬送すると共に、段付ローラの芯部分からフィルム面に向かってエア噴出し、フィルム端部のゴミを除去する構成が記載されている。また、フィルムのしわへの対策としては、エア噴出による非接触のエアロールを用いた方法などが提案されている。
しかしながら、フィルムの搬送精度、特に、有機EL素子をインクジェット方式によって製造する場合のフィルム搬送精度については、有用な解決策がこれまで提案されていなかった。インクジェット方式の場合、厚みの均一な膜を形成するためには、非常に高精度な印刷が必要となる。また、有機EL素子の大面積化に伴い、大きな印刷ヘッドが必要になると、印刷ヘッドとフィルムの間のギャップを高精度に維持することが困難となる。ヘッド−フィルム間のギャップは、印刷品位確保のためには非常に重要な要素であり、大型の印刷ヘッドを用いて有機EL素子を製造する際、それを高精度に維持するための対策が求められていた。
本発明はこのような事情を鑑みて成されたものであり、本発明は、大型の印刷ヘッドを用いた場合でも、ヘッド−フィルム間のギャップを高精度に維持し得るインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
本発明のインクジェット記録装置は、被処理基材に対し印刷処理を行うインクジェット記録装置であって、印刷ヘッドが配置され、該印刷ヘッドにより前記被処理基材に対し印刷処理を行う印刷領域と、前記印刷領域に設けられ、圧縮空気の送出および/または排出によって、前記被処理基材に対してこれを浮上させる上向きの力と、前記被処理基材を吸引する下向きの力とが付与され、前記上向きの力と前記下向きの力とが釣り合うことで前記被処理基材を一定の高さに浮上保持するエア浮上ステージと、を有し、前記印刷ヘッドが、前記エア浮上ステージにて前記被処理基材を浮上させつつ、該被処理基材に対し印刷処理を行うことを特徴とする。
前記インクジェット記録装置において、前記印刷領域にて、前記被処理基材を搬送しつつ、前記印刷ヘッドによって連続的に印刷処理を行うようにしても良い。また、前記インクジェット記録装置に、前記被処理基材の搬送過程における前記エア浮上ステージの前後の位置に配置され、前記被処理基材を前記エア浮上ステージ上方に支持する被処理基材支持部をさらに設けても良い。その場合、前記被処理基材支持部を上下方向に移動可能に設け、該被処理基材支持部の間に配置された前記被処理基材の高さ位置を任意に調整可能できるようにしても良い。また、前記被処理基材支持部に、前記被処理基材に対し所定の押圧力にて押接されるニップローラを配しても良い。
一方、前記インクジェット記録装置に、前記被処理基材の水平方向の位置ずれを検出する被処理基材位置検出手段と、前記被処理基材位置検出手段によって検出された前記被処理基材の位置ずれに基づいて、前記印刷ヘッドの位置を調整する位置調整手段と、を設け、前記被処理基材の蛇行動等に追従して前記印刷ヘッドを作動させるようにしても良い。
また、前記被処理基材としてフィルムを使用しても良く、このフィルムがロール状に巻装されているものであっても良い。なお、前記被処理基材としてガラス基材を使用することも可能である。
本発明によれば、インクジェット記録装置の印刷領域に、圧縮空気の送出および/または排出によって、被処理基材に対してこれを浮上させる上向きの力と、被処理基材を吸引する下向きの力とが付与され、上向きの力と下向きの力とが釣り合うことで被処理基材を一定の高さに浮上保持するエア浮上ステージを設け、エア浮上ステージにて被処理基材を浮上させつつ印刷処理を行うようにしたので、被処理基材の高さ位置をエア浮上ステージにて均一に保持し、印刷ヘッドと被処理基材との間の距離を一定に維持することが可能となる。これにより、大型の印刷ヘッドを用いた場合でも、ヘッドと被処理基材の間のギャップを高精度に制御することができ、被処理基材の印刷処理を高精度に行うことが可能となる。
従って、例えば、本発明のインクジェット記録装置を有機EL素子の製造に適用すれば、有機EL素子をインクジェット+ロールツーロール方式にて製造することも可能となる。これにより、有機EL素子を高精度に連続生産することが可能となり、生産性が向上し、有機EL素子の製造コストの低減を図ることが可能となる。
本発明の実施形態1であるインクジェット記録装置1の構成を示す説明図である。 印刷部の構成を示す説明図であり、(a)はその平面図、(b)は側面図である。 エア浮上ステージの構成を示す斜視図である。 エア浮上ステージの断面構成を示す説明図である。 印刷ヘッドの追従動作を示す説明図である。 本発明の実施形態2であるインクジェット記録装置におけるエア浮上ステージの構成を示す説明図である。 ノズルブロックの構成を示す説明図であり、(a)はその分解斜視図、(b)は図6のA−A線に沿った断面図である。 ノズルブロックの変形例を示す説明図である。 本発明の実施形態3であるインクジェット記録装置の構成を示す説明図である。 従来のロールツーロール方式のインクジェット記録装置の構成を示す説明図である。
[実施の形態1]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態1であるインクジェット記録装置1の構成を示す説明図である。インクジェット記録装置1は、ロール基材の連続搬送印刷を行うラインプリンタであり、図10のインクジェット記録装置51と同様に、巻出しローラ2と巻取りローラ3を備えたロールツーロール構成となっている。巻取りローラ3は、図示しないモータによって駆動され、巻出しローラ2と巻取りローラ3の間には印刷部(印刷領域)4が設けられている。巻出しローラ2にはフィルム(被処理基材)5がロール状に巻装されており、フィルム5は、両ローラ2,3の間に張設される。
図2は、印刷部4の構成を示す説明図である。図2に示すように、印刷部4には、印刷ヘッド6が配置されている。印刷ヘッド6としては、例えば、ピエゾ式の既知のインクジェットヘッドが使用され、印刷ユニット7に固定されている。印刷ユニット7は、ステッピングモータ等を用いた駆動機構(位置調整手段)21によって、フィルム進行方向と直角方向(図2の矢示X方向)および回転方向(同矢示R方向)に自在に動作可能となっている。フィルム5には、印刷ヘッド6によって、所定の印字や素材の塗布が行われる。当該インクジェット記録装置1では、印刷ヘッド6により、フィルム5に高分子の有機EL素材が塗布され、パターン22が形成される。なお、図2では、パターン22が印刷ユニット7より上流側にも記載されているが、これは、既に形成されたパターンに重ねてパターンを印刷する場合をも想定したものである。
巻取りローラ3と印刷部4の間には、テンション調整機構8が介設されている。テンション調整機構8には、圧空等を使用したアキュームレータが使用されており、フィルム5に接触するようにテンションゲージ(図示せず)が設けられている。テンション調整機構8では、テンションゲージによってフィルム5のテンション(張力)を検出し、テンションが設定した値になるようにテンションローラ8aを適宜駆動する。これにより、フィルム5は、巻出しローラ2・巻取りローラ3の間に所定張力で張設される。
印刷部4の両端、すなわち、フィルム搬送過程における印刷部4の前後には、搬送ローラ部9が設けられている。搬送ローラ部9には、フィルム5に対し所定の押圧力にて押接されるニップローラ11(11a,11b)とガイドローラ12(12a,12b)が設置されている。フィルム5は、ニップローラ11によって所定の圧が加えられた状態で、両ローラ11,12間に挟持される。ニップローラ11とガイドローラ12は、搬送ローラ部9に設けられたローラ支持機構23に回転自在に支持されている。ローラ支持機構23は、その高さ位置を自在に調整できるようになっており、インクジェット記録装置1では、搬送ローラ部9間に張設されたフィルム5を任意の高さ位置で保持可能となっている。
一方、本発明によるインクジェット記録装置1では、印刷部4にエア浮上ステージ13が設けられている。図3はエア浮上ステージ13の構成を示す斜視図、図4はその断面構成を示す説明図である。エア浮上ステージ13は、フィルム5の下方に配設されており、図3に示すように、そこには複数個のノズルブロック14が設けられている。ノズルブロック14は、金属製のベースプレート15上に載置されており、多孔質カーボンにて直方体状に形成された噴気部16と、ノズルブロック14の中央部に形成され上面にて開口する負圧吸引孔17(排気部)とから構成されている。ノズルブロック14の噴気部16にはコンプレッサ24より圧縮空気が供給されており、図4に示すように、ノズルブロック14の上面から上方のフィルム5に向かって圧縮空気が送出される。なお、ノズルブロック14から供給される空気の温度は、水滴発生を防止するため、周囲の環境温度と同じ温度に設定されている。
噴気部16から噴出した圧縮空気は、ノズルブロック14とフィルム5との間を流通し、負圧吸引孔17から吸引排出される。これにより、フィルム5の下方側には浮上圧力領域Pが形成され、エア浮上ステージ13では、フィルム5が浮上状態にて保持される。この場合、エア浮上ステージ13上では、ノズルブロック14上面から均一にエアが供給され、負圧吸引孔17から適宜排出されるため、フィルム下の浮上圧力分布が均一となる。従って、エア浮上ステージ13にて、フィルム5は均一な浮上圧力を受け、均一に浮上する。また、フィルム5の浮上量は、ノズルブロック14から供給される圧縮空気の圧力によって調整可能であり、エア浮上ステージ13では、印刷ヘッド6とフィルム5との間の距離を所望の値にて一定に維持できるようになっている。
前述のように、当該インクジェット記録装置1では、フィルム5の高さ位置は、搬送ローラ部9によって所望の高さに調整できる。そして、このように調整されたフィルム5の高さを、搬送ローラ部9の間に設けたエア浮上ステージ13にて均一に保持し、印刷ヘッド6とフィルム5との間の距離を所望の値で一定に維持する。これにより、大型の印刷ヘッド6を用いた場合でも、ヘッド−フィルム間のギャップを任意かつ高精度に制御することができ、有機EL素子をインクジェット+ロールツーロール方式にて製造することが可能となる。従って、本発明のインクジェット記録装置1によれば、有機EL素子を高精度に連続生産することが可能となり、生産性が向上し、製造コストの低減を図ることが可能となる。
また、本発明によるインクジェット記録装置1では、印刷ヘッド6を搭載した印刷ユニット7がフィルム5の蛇行に追従して動くようになっている。フィルム5の蛇行は、搬送ローラ部9におけるニップローラ11の押圧力調整等により抑えられているが、この蛇行調整機能を用いても、フィルム5に若干の蛇行が生じるのは避けられない。そこで、当該インクジェット記録装置1にあっては、図2に示すように、フィルム位置検出手段(被処理基材位置検出手段)として、アライメントマーク18とアライメントカメラ19を設け、フィルム5の蛇行動を検出する。そして、その検出データに基づき、フィルム5の蛇行に追従するよう印刷ユニット7の位置を制御する。
図2に示すように、フィルム5の側縁部には、所定間隔にてアライメントマーク18が付されている。これに対し、印刷ユニット7の下部(フィルム側)には、アライメントカメラ19がフィルム5を向いて設けられている。アライメントカメラ19としては、例えば、CCD等の画像処理カメラが使用され、印刷ユニット7上に、印刷ヘッド6を挟んで2個配置される(19a,19b)。このように、アライメントカメラ19をフィルム進行方向に沿って2個設けることにより、フィルム5と印刷ユニット7の為す角度が検出でき、フィルム5の蛇行状態が把握可能となる。アライメントカメラ19a,19bによって撮影されたアライメントマーク18の映像は、制御処理装置20(位置調整手段)に送られる。
制御処理装置20は、アライメントカメラ19a,19bから送られてきた映像に基づいて、フィルム5と印刷ユニット7の為す角度θを算出し、フィルム5の水平方向の位置ずれ(蛇行状態)を把握する。そして、制御処理装置20は、フィルム5の位置ずれに合わせて、印刷ユニット7の位置(X方向・回転方向)を調節すべく、駆動機構21を作動させる。図5は、印刷ユニット7の蛇行追従動作を示す説明図であり、図5に示すように、印刷ユニット7は、駆動機構21の作動により、フィルム5の動きに追従して動作する。すなわち、印刷ヘッド6を備えた印刷ユニット7の姿勢が、フィルム5の蛇行に合わせて制御される。従って、ロールツーロール方式のインクジェット記録装置において、フィルム5の蛇行を考慮した高精度の印刷処理や塗布処理が可能となる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施形態2として、ベルヌーイの定理に基づき、エアの噴出のみにてエア浮上ステージを形成したインクジェット記録装置30について説明する。なお、以下の実施の形態では、実施の形態1と同様の部材、部分については同一の符号を付し、その説明は省略する。
図6は、本発明の実施形態2であるインクジェット記録装置30におけるエア浮上ステージ13の構成を示す説明図である。図6に示すように、インクジェット記録装置30では、実施形態1のインクジェット記録装置1と異なり、エア浮上ステージ13に排気部が設けられておらず、ノズルブロック31には、噴気部32のみが形成されている。図7は、ノズルブロック31の構成を示す説明図であり、(a)はその分解斜視図、(b)は図6のA−A線に沿った断面図である。
図7に示すように、ノズルブロック31は、ベースブロック33と載置ブロック34とから構成されている。ベースブロック33の中には凹部35が形成されており、凹部35の底面35aには圧縮空気が供給されるエア供給スリット36が形成されている。ベースブロック33の短辺部中央には載置ブロック取付部37が凹設されており、そこに載置ブロック34が固定される。載置ブロック34は、その底部34aが、エア供給スリット36に対向する形で取り付けられる。これにより、ノズルブロック31内にはエア流路38が形成され(図7(b)参照)、エア供給スリット36から供給された圧縮空気は、エア流路38内を流通し、噴気部32から上方に噴出する。
このようなノズルブロック31を有するエア浮上ステージ13では、図8に示すように、フィルム5を押し上げる上向きの力(矢印Q)と、フィルム5を吸い寄せる下向きの力(矢印R)が働く。この場合、矢印Rの力は、ベルヌーイの定理に基づき、噴気部32から噴出する気流によって発生する負圧による力と、フィルム5に加わる重力との合力である。エア浮上ステージ13においては、この2つの力を釣り合わせることにより、非接触にてフィルム5を浮上保持で、気流の速度や量を調整することにより、フィルムの保持高さhも制御できる。
このように、実施の形態2のインクジェット記録装置30では、フィルム5を非接触保持可能なエア浮上ステージ13を噴気部のみにて形成することができる。すなわち、圧縮空気の送出のみにて、フィルム5を浮上保持することができる。このため、より簡単な装置構成にてエア浮上ステージ13を構築でき、さらに、排気部に接続される吸引排気手段も不要となるため、装置コストの低減を図ることが可能となる。
なお、ノズルブロック31は、図7のような構成のものには限定されず、種々の形態のものを適用し得る。例えば、図8に示すように、噴気部32がコの字形となったもの(同図(a))や、エア供給スリット36を複数個の連続するエア供給孔39にて形成したもの(同図(b))であっても良い。また、ノズルブロック31では、載置ブロック34の底部34aの形状を変更することにより(同図(c))、エア流路38の形態を適宜変更することも可能である。
[実施の形態3]
図9は、本発明の実施形態3であるインクジェット記録装置40の構成を示す説明図である。図9に示すように、インクジェット記録装置40では、テンション調整機構8に加えて、巻出しローラ2と搬送ローラ部9の間にテンション調整機構41、エア浮上ステージ13の前段にテンション調整機構42がさらに設けられている。また、印刷部4前後の搬送ローラ部9には、ニップローラ11と、モータ43によって駆動される送りローラ44が設けられている。インクジェット記録装置40では、送りローラ44を備えた搬送ローラ部9によってフィルム5の搬送路が区画され、送りローラ44を境に3つのテンション領域A,B,Cが形成される。前述のように、テンション領域A,B,Cにはそれぞれテンション調整機構41,42,8が配されており、各テンション領域A,B,Cでは、各々別個にフィルム5のテンションを調整できるようになっている。
ここで、フィルムの搬送においては、シワ防止などの観点から高いテンションをかけて搬送を行うのが一般的である。しかしながら、フィルムにかかるテンションが高いほど、ローラ間のフィルムに振動が伝わり易くなり、前後のロールや、その他外部からの振動がフィルムに伝わると、これを減衰することが難しい。特に、エア浮上ステージでは、上下に加わる力が釣り合っており、いつまでも振動を続けてしまう傾向がある。そこで、ロールツーロール方式の装置では、前後のローラからの振動が伝わりにくいように、印刷領域では出来るだけテンションをかけないようにフィルムを搬送するが、そうすると、今度はフィルムが弛んでしまうという問題が生じる。
そこで、当該インクジェット記録装置40では、各テンション領域A,B,Cにおけるフィルム5のテンションをテンション調整機構41,42,8によって制御し、印刷部4以外では高テンションでの搬送を維持する一方、印刷部4ではテンションをやや低くする。すなわち、巻出し側の領域Aと巻取り側の領域Cが高テンション、印刷ユニット7の下の領域B(ニップローラ11aと送りローラ44a、および、ニップローラ11bと送りローラ44bとで挟まれた領域)が低テンションとなるように、フィルム5のテンションをテンション調整機構41,42,8によって調整する。
これにより、印刷部4では、前後のローラからの振動が伝わりにくいようなテンションでフィルム5が搬送される一方、印刷部4以外では、高いテンションによりシワの防止が図られる。従って、フィルム5の高さを一定に保持し、フィルム5と印刷ヘッド6とのギャップを一定に保ちつつ、シワや振動の影響を抑えた高品位の印刷が可能となり、有機EL素子等の製品品質の向上を図ることが可能となる。
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、前述の実施形態では、搬送ローラ部として、ニップローラ11とガイドローラ12を用いた構成を示したが、搬送ローラ部の形態はこれには限定されず、エア噴射型の非接触ローラを用いることも可能である。ニップローラは、フィルム5のスリップ防止に有効であるが、エア噴射型の非接触ローラもまた、フィルム5のシワ防止に有効である。
また、前述の実施形態では、エア浮上ステージ13にノズルブロック14と負圧吸引孔17を配した構成を示したが、エア浮上ステージ13は、エアの噴き出しと吸い込みの両方が備わったエア浮上システムであれば、前述の構成には限定されない。例えば、ノズルブロック14を円形としたり、負圧吸引孔17をスリット状に形成したりするなど、種々の構成が採用可能である。
さらに、インクジェット記録装置1は、ロール状に巻装されたフィルムの印刷を行う構成となっているが、印刷対象物(被処理基材)はフィルムには限定されず、例えば、ガラス基板に対する印刷にも本発明の装置は適用可能である。この場合も、エア浮上ステージにおいて、ガラス基板と印刷ヘッドの間のギャップを高精度に制御でき、高品質な印刷処理が可能となる。なお、ガラス基板では問題とならない基材の撓みについても、当該インクジェット記録装置は、フィルムの撓みを矯正しつつ印刷処理が可能である。
本発明のインクジェット記録装置は、有機EL素子の製造のみならず、カラーテレビやパーソナルコンピュータのディスプレイ等に用いられるカラー液晶ディスプレイの構成部材であるカラーフィルタ等の製造にも使用可能である。
1 インクジェット記録装置
2 巻出しローラ
3 巻取りローラ
4 印刷部(印刷領域)
5 フィルム(被処理基材)
6 印刷ヘッド
7 印刷ユニット
8 テンション調整機構
8a テンションローラ
9 搬送ローラ部
11 ニップローラ
12 ガイドローラ
13 エア浮上ステージ
14 ノズルブロック
15 ベースプレート
16 噴気部
17 負圧吸引孔
18 アライメントマーク(被処理基材位置検出手段)
19 アライメントカメラ(被処理基材位置検出手段)
19a,19b アライメントカメラ
20 制御処理装置(位置調整手段)
21 駆動機構(位置調整手段)
22 パターン
23 ローラ支持機構
24 コンプレッサ
30 インクジェット記録装置
31 ノズルブロック
32 噴気部
33 ベースブロック
34 載置ブロック
34a 底部
35 凹部
35a 底面
36 エア供給スリット
37 載置ブロック取付部
38 エア流路
39 エア供給孔
40 インクジェット記録装置
41 テンション調整機構
42 テンション調整機構
43 モータ
44 送りローラ
51 インクジェット記録装置
52 巻出しローラ
53 巻取りローラ
54 印刷部
55 印刷ユニット
56 フィルム
57 テンション調整機構
58 ニップローラ
59 ガイドローラ
P 浮上圧力領域
A,B,C テンション領域

Claims (7)

  1. 被処理基材に対し印刷処理を行うインクジェット記録装置であって、
    印刷ヘッドが配置され、該印刷ヘッドにより前記被処理基材に対し印刷処理を行う印刷領域と、
    前記印刷領域に設けられ、圧縮空気の送出および/または排出によって、前記被処理基材に対してこれを浮上させる上向きの力と、前記被処理基材を吸引する下向きの力とが付与され、前記上向きの力と前記下向きの力とが釣り合うことで前記被処理基材を一定の高さに浮上保持するエア浮上ステージと、を有し
    前記印刷ヘッドは、前記エア浮上ステージにて前記被処理基材を浮上させつつ、該被処理基材に対し印刷処理を行うことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 請求項1記載のインクジェット記録装置において、
    前記印刷領域では、前記被処理基材を搬送しつつ、前記印刷ヘッドによって連続的に印刷処理を行うことを特徴とするインクジェット記録装置。
  3. 請求項2記載のインクジェット記録装置において、
    該インクジェット記録装置はさらに、前記被処理基材の搬送過程における前記エア浮上ステージの前後の位置に配置され、前記被処理基材を前記エア浮上ステージ上方に支持する被処理基材支持部を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  4. 請求項3記載のインクジェット記録装置において、
    前記被処理基材支持部は上下方向に移動可能に設けられ、該被処理基材支持部の間に配置された前記被処理基材の高さ位置を任意に調整可能であることを特徴とするインクジェット記録装置。
  5. 請求項3または4記載のインクジェット記録装置において、
    前記被処理基材支持部は、前記被処理基材に対し所定の押圧力にて押接されるニップローラを有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
    前記被処理基材の水平方向の位置ずれを検出する被処理基材位置検出手段と、
    前記被処理基材位置検出手段によって検出された前記被処理基材の位置ずれに基づいて、前記印刷ヘッドの位置を調整する位置調整手段と、を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載のインクジェット記録装置において、
    前記被処理基材がフィルムであり、該フィルムはロール状に巻装されてなることを特徴とするインクジェット記録装置。
JP2013148547A 2013-07-17 2013-07-17 インクジェット記録装置 Active JP6312959B2 (ja)

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