JP2015020972A - 高発熱量燃料ガスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】エタノールおよび水素をパラジウムとヘテロポリ酸とを無機酸化物担体に担持してなる触媒の存在下に接触反応させて、エタンを含有する燃料ガスに変換する高発熱量燃料ガスの製造に際して触媒の経時的な劣化を抑制する。【解決手段】エタノールおよび水素をパラジウムとヘテロポリ酸とを無機酸化物担体に担持してなる触媒の存在下に接触反応させてエタンに変換するに際し、メタンを共存させる。【選択図】なし

Description

本発明は、エタノールを水素と反応させてエタンを含むガスを製造する高発熱量燃料ガスの製造方法に関する。
天然ガスを主成分とする都市ガスは、石油など他の化石燃料と比較して燃焼時の二酸化炭素排出量が少なく、環境負荷の小さいエネルギーであるが、地球温暖化等の環境問題が深刻化しつつある近年においては、さらなる二酸化炭素排出量の削減が望まれている。
近年、新たなエネルギー資源の一つとして、バイオエタノールなどのバイオマス燃料が注目されている。バイオエタノールは、サトウキビの搾汁やトウモロコシ等の穀物に含まれるデンプンの糖化により得られる糖をアルコール発酵して得られる。バイオエタノールを燃焼させても二酸化炭素は発生するが、原料の植物が生育する過程でこれに対応する量の二酸化炭素を空気中から取り込んでいるため、植物の生育過程から通算すると大気中の二酸化炭素濃度を増加させるものではないと考えることができ、このために、バイオエタノールはカーボンニュートラルな燃料とされている。
エタノールから気体状炭化水素燃料を効率的に製造する方法を確立することができれば、例えば、都市ガス原料としてバイオエタノールを使用することにより、二酸化炭素の排出量削減につながる可能性がある。
エタノールから気体状炭化水素燃料を得る方法として、ルテニウム系触媒を使用して、炭素数2〜5の脂肪族アルコールを接触分解してメタンおよび水素を主成分とする4,000〜5,000kcal/Nm3程度の燃料ガスを製造する方法が知られている(特許文献1)。
また、ロジウムまたはルテニウムを担持した触媒を用いて、エタノールと水蒸気の混合物を400℃以上の温度で反応させて、メタンを50%程度含有するメタン含有ガスの製造方法も知られている(特許文献2)。
しかし、これらの方法で得られるガスの発熱量は、天然ガスを原料として製造される都市ガスの一般的な発熱量である45MJ/Nm3に比べてかなり低いため、都市ガスの規格に適合させるためには、熱量調整のためにプロパンやブタンなどを多量に添加する必要があり、経済性に課題がある。
また、これらの方法では、いずれも接触反応によるメタンへの変換に400℃以上という比較的高い温度を必要とするため、プラントコストが高価となる問題もある。
特許文献3には、エタノールを改質して水素を得るに際し、炭素質ポリマーの生成を減少させることを目的として、エタノールおよび水蒸気を含む流れおよび水素含有流を、エタノールをエチレンに脱水しおよびエチレンを水素化してエタン含有流にするための脱水/水素化反応器に移す段階を含む方法が開示されている。脱水/水素化反応には、白金、パラジウム及び銅の群から選択される触媒が使用される。この際、エタノールと水素とのモル比(体積比)は(水素)/(エタノール)=1.0以上5.0以下とすることが記載されている(段落番号0011,0041等参照)。エタノール6.7%、水素13.3%、水蒸気40%で残部はヘリウムとした条件における反応成績が開示されており、全てのエタノールがエタンに転化され、エチレン濃度は200ppm未満であったと記載されている。生成ガスの発熱量については、何ら記載がないが、この反応条件では、反応式通りに理想的に反応した場合でもエタン:水素=1:1のガスが生成するため、水蒸気およびヘリウムを除外したとしても、その発熱量は41MJ/Nm3に過ぎない。従って、このガスを天然ガス系都市ガスとして一般的な45MJ/Nm3の発熱量に調整するためには、多量のLPGを添加する必要があり、経済的に優れた方法とは言えない。
発明者らは、特許文献4において、エタノールを水素の存在下に接触反応させてエタンを主成分とする燃料ガスに変換するための触媒であって、パラジウムおよび白金から選ばれる少なくとも一種と、ヘテロポリ酸とを無機酸化物担体に担持してなる触媒ならびに、エタノールを水素の存在下に同触媒に接触反応させるエタンを主成分とする燃料ガスの製造方法を開示している。この触媒を用いると、エタノールを原料として高濃度のエタンを含む高発熱量ガスを得ることができるが、触媒の長期耐久性は未だ確立されておらず、安定して高いエタン収率が得られる反応プロセスの確立が課題となる。さらに、特許文献5において、同様の触媒を使用して高発熱量燃料ガスを製造する方法を提案している。この文献に記載の方法でも、触媒の長期耐久性及び安定して高いエタン収率が得られる反応プロセスの確立が課題となる。
特許文献6には、(a)少なくとも一つのアルコール(水溶液)と不活性成分とを含む流れ(A)を反応器に導入し、(b)反応器内でアルコールの少なくとも一部を脱水してオレフィンを製造するのに有効な条件下で上記流れ(A)を触媒と接触させ、(c)反応器から、不活性成分および少なくとも一つのオレフィンと、水および任意成分としての未変換アルコールとを含む流れ(B)を回収し、(d)必要に応じて、流れ(B)を分留して未変換アルコールを回収し、未変換アルコールを(a)段階の反応器に再循環し、(e)必要に応じて、流れ(B)を分留して、不活性成分およびオレフィンを回収し、不活性成分を(a)段階の反応器に再循環する、少なくとも一つのアルコールを脱水して少なくとも一つのオレフィンを製造する方法が開示されている。ここで、不活性成分はエタン、3〜10個の炭素原子を有する炭化水素、ナフテンおよびCO2の中から選択され、不活性成分の比率は反応器が基本的に断熱状態で運転できるような比率にすることが開示されている。しかし、この文献は、エタノールから効率的にエチレンを製造する方法を開示するのみで、水素と反応させてエタンを得ることや、水素化活性成分としてパラジウムを用いることについては、何ら開示も示唆もない。
特開昭52−52902号公報 特開2009−227588号公報 特開2006−82996号公報 特開2011−173113号公報 特開2011−174055号公報 特表2011−511037号公報
本発明は、上記実情に鑑み、エタノールおよび水素をパラジウムとヘテロポリ酸とを無機酸化物担体に担持してなる触媒の存在下に接触反応させて、エタンを含有する燃料ガスに変換する高発熱量燃料ガスの製造に際して触媒の経時的な劣化を抑制する優れた方法を提供することを目的とする。
〔構成〕
本発明に係る高発熱量燃料ガスの製造方法の特徴構成は、パラジウムとヘテロポリ酸とを無機酸化物担体に担持してなる触媒を用い、エタノールおよび水素をメタンの共存下に前記触媒上で接触反応させてエタンに変換することにより、エタンを含有する高発熱量燃料ガスを得ることにある。ここで、高発熱量とは、先に説明した45MJ/Nm3以上を意味している。
〔作用効果〕
従来、エタノールを酸触媒に接触させて、脱水反応によりエチレンを生成する方法(式(1))は知られている。また、不飽和炭化水素を水素の存在下に、パラジウムやニッケルを含む触媒に接触させて、水素化反応により飽和炭化水素に変換する方法(式(2))も知られている。
(1) C25OH → C24+H2O :ΔH0= +45.2 kJ/mol
(2) C24+H2 → C26 :ΔH0=−136.2 kJ/mol
これらの反応を逐次的に実施すれば、エタノールをエタンに変換することは可能と考えられる。しかしながら、脱水反応(1)は吸熱反応であり、水素化反応(2)は発熱反応であるため、後段の反応で発生した熱を前段に与えるための複雑な熱授受のための設備が必要になる。さらに、脱水反応には化学平衡の制約があるため、反応条件(温度および圧力)によるがエタノール転化率は90〜95%程度にとどまるのが普通であり、完全転化は難しい。
特許文献4に記載の方法では、パラジウムおよび白金から選ばれる少なくとも一種と、ヘテロポリ酸とを無機酸化物担体に担持してなる触媒に、エタノールと水素とを含む原料ガスを接触させることで、反応(1)と反応(2)を単一の触媒上で同時に進行させる。これにより、脱水反応に要する吸熱が併発する水素化反応の発熱により賄われるため、複雑な熱授受の設備は必要としない。また、生成したエチレンがエタンへの変換により消費されるため、前記の反応(1)が平衡で制約されることなく進行することから、高いエタノール転化率が達成できるという利点もある。
しかし、反応(1)と反応(2)を組み合わせた総括反応(3)でもエタノール1モルあたり91kJの発熱反応となり、依然大きな反応熱が発生する。
(3)C25OH+H2→ C26+H2O :ΔH0=−91.0 kJ/mol
触媒層が高温になると、触媒の熱的な劣化に加えて、炭素析出による劣化も懸念される。これは、触媒に接触するガスには、エタノール、水素、エタンに加えて、反応中間体であるエチレンが含まれており、エチレンやエタンを高濃度に含むガスを高温でパラジウム触媒に接触させると、脱水素や重合反応で触媒上に炭素質が析出するためである。
発熱反応の反応条件を緩和するための方法として、熱交換器を一体化した反応器を用いて除熱を行いながら反応を進行させる方法があるが、設備が複雑となってコストが嵩む問題がある。このような設備コストが嵩む手法を用いず、断熱的に反応を進行させる場合には、水蒸気や不活性ガス(窒素、二酸化炭素など)による希釈や生成ガスを原料側に戻すリサイクルの手法も一般に用いられる。しかし、本発明のような都市ガス原料となる高発熱量ガスの製造にあたっては、生成したガスからの分離に多額の費用を要する窒素や二酸化炭素の使用は適当ではない。水蒸気による希釈や生成ガスのリサイクルでは、この問題は生じないが一般に触媒の劣化を加速する水蒸気を高濃度で添加することは、触媒の耐久性を低下させるほか、リサイクルにより高濃度のエタンを共存させることは炭素質の析出の観点では懸念を生じる。
これに対し、本発明の方法では、希釈剤としてメタンを用いるので、反応後のガスは希釈剤を分離することなく都市ガス原料に供することができる。また、エタンなど炭素数2以上の炭化水素と異なり、メタンは500℃以下では実質的に不活性であり高濃度でパラジウム触媒に接触させても炭素析出を引き起こすおそれは小さい。このため、本発明の方法を用いると、触媒の活性を長期にわたり安定に維持することができる。
本発明の高発熱量燃料ガスの製造方法において用いる触媒は、パラジウムとヘテロポリ酸とを無機酸化物担体に担持してなる触媒である。その製造は、特許文献4に記載に記載の方法により行うことができる。
前記ヘテロポリ酸としては、多くのヘテロポリ酸が知られているが、本発明者らの検討によると、その中では、リンタングステン酸(H3PW1240)やケイタングステン酸(H4SiW1240)などが好ましく、特にケイタングステン酸(H4SiW1240)が好ましい。また、ヘテロポリ酸を担持させる無機酸化物担体としては、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、チタニア(TiO2)、ジルコニア(ZrO2)等が好適であり、特にシリカ(SiO2)が好ましい。
ヘテロポリ酸の担持量は、触媒全体に対する質量基準の含有量で5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましい。なお、30質量%を超えて担持しようとしてもシリカ上にヘテロポリ酸を高分散に担持することは難しく、副反応が促進される虞がある。5質量%未満とすると、ヘテロポリ酸担持の効果が低くなる。但し、担持している限りにおいて有効である。
パラジウムを担持させる方法としては、公知の含浸法やイオン交換法などが適用できる。含浸法を用いる場合、パラジウムの塩化物や硝酸塩等を用いて、パラジウムを溶解する水溶液を調製し、これに担体あるいは担持ヘテロポリ酸を浸漬、蒸発乾固、焼成することにより本発明の触媒を得ることができる。
また、担持ヘテロポリ酸は、ヘテロポリ酸の溶液あるいは懸濁液に担体を浸漬、蒸発乾固、焼成することにより得られる。また、前記溶液あるいは懸濁液にパラジウムを含有させておけば、パラジウムと、ヘテロポリ酸とを同時に無機酸化物担体に担持することもできる。
パラジウムの担持量は、触媒全体に対する質量基準の含有量で0.05質量%以上30質量%以下程度とするのが良く、0.5質量%以上5質量%以下程度とするのが特に好ましい。0.05質量%以上30質量%以下の範囲では、触媒を良好に働かせることが可能である。
焼成は、安定した活性が得られる限り、空気中、不活性ガス中、水素などの還元ガス中のいずれで行っても良く、焼成温度も200℃以上400℃以下程度の範囲で選択できる。
触媒は、反応前に活性を向上させるための前処理を行ってから使用しても良い。例えば、100℃以上300℃以下程度の温度で、水素もしくは水素を窒素またはヘリウムなどの不活性ガスで希釈したガス中で、数分から数時間程度の還元処理を行ってから使用しても良い。
本発明の燃料ガス製造用触媒は、ペレット状やハニカム状など任意の形状に成型して用いても良く、耐火性ハニカム上にウオッシュコートしたりして用いてもよいが、好ましくは、打錠成形もしくは転動造粒などの方法で、ペレットもしくは球状に成型して用いる。
本発明に係る燃料ガス製造方法では、メタンの共存下に、エタノールおよび水素をパラジウムとヘテロポリ酸とを無機酸化物担体に担持してなる触媒の存在下に接触反応させて、エタンを含有する燃料ガスに変換するが、その際の反応温度は、低すぎると反応速度が遅くなり、高すぎても触媒の劣化や、生成した水蒸気によるエタノールの水蒸気改質反応が進行して、発熱量を低下させるなど都市ガスに含まれることが好ましくない一酸化炭素や二酸化炭素を多量に生成するおそれがある。従って、触媒入口の反応ガス温度を190℃以上400℃以下とするのが良く、200℃以上250℃以下で行うのがより好ましい。また、触媒層中の最高温度が500℃を超えないようにメタンを添加することが好ましい。
本発明に係る高発熱量燃料ガス製造方法においては、メタンを共存させる。この場合、触媒に供給されるガス中のメタン/エタノールのモル比は0.5〜1とすることが好ましい。
モル比を0.5より低くすると、メタン添加に伴って得ることができる耐久性向上の効果が得にくくなる。一方、モル比を1より大きくすると、得られる燃料ガスの発熱量(単位体積あたりの発熱量)が低下する場合があり、余りに希釈した条件での反応には(GHSV(ガス時間当たり空間速度)を同一にすると)多量の触媒が必要となるため不利である。
本発明に係る燃料ガス製造方法において、メタンを共存させることに加えて、生成ガスの一部をリサイクルして原料ガスと混合することは、必ずしも排除されるものではないが、高濃度のエタンを共存させると、炭素析出による触媒の劣化を促進する場合があるため、触媒に接触させる前のガス中の(エタン)/(エタノール)のモル比が0.5を超えない範囲とすることが好ましい。モル比が0.5を超えると、耐久性が低下することがあるためである。
本発明に係る燃料ガス製造方法において、触媒に接触させる前のガスに、メタンに加えて、水蒸気を添加することは、必ずしも排除されるものではなく、むしろ少量の水蒸気の添加は炭素析出の抑制に効果が期待できるが、高濃度の水蒸気を共存させると、水蒸気改質反応の進行による副生物(一酸化炭素、二酸化炭素)の生成や触媒の劣化を促進する場合があるため、触媒に接触させる前のガス中の(水蒸気)/(エタノール)のモル比は1を超えない範囲とすることが好ましく、0.2〜0.5の範囲がより好ましい。
反応のGHSVは、低すぎると触媒量が多量となり経済性が悪化するが、高すぎると十分な反応生成が得られないため、1,000h-1以上30,000h-1以下程度とするのが良く、2,000h-1以上5,000h-1以下程度とするのがより好ましい。
反応圧力には、特段の制約はないが、高いほど反応器が小型になる利点がある。一方、あまりに高圧では逆に設備コストがかさむため、常圧以上5MPa(ゲージ圧とする。以下同様)以下程度が好ましく、1MPa以上3MPa以下程度がより好ましい。
反応を行う際の水素とエタノールの比は、低いと水素化反応が進行しないためエタンが生成しないが、多くしても生成ガス中に水素が多量に残存して、生成した燃料ガスの発熱量が低下する。従って、(水素)/(エタノール)の体積比で1.0以上1.2以下程度とするのが良く、好ましくは1.05以上1.15以下程度とする。
尚、発酵法によって得られるエタノールには、通常水分が含まれる。本発明の燃料ガスの製造方法は、水蒸気が共存しても反応成績に大きな影響がないため、質量基準で5%以上50%以下程度の水分が含まれていても差し支えない。含水エタノールの脱水は、通常は蒸留などエネルギー消費の大きいプロセスが用いられているが、本発明の燃料ガスの製造方法に用いるエタノールには、そのようなエネルギー多消費型の工程を経る必要がない。
発酵法によって得られるエタノールには、原料もしくは処理過程で混入した硫黄化合物が含まれる場合がある。硫黄化合物による触媒の活性低下が問題になる場合には、必要に応じて脱硫処理を行ってから反応に供しても良い。
以下に、本発明のエタノールを原料として燃料ガスを製造するための触媒および同触媒を用いる燃料ガスの製造方法を説明する。尚、以下に好適な実施例を記すが、これら実施例はそれぞれ、本発明をより具体的に例示するために記載されたものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能であり、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
〔触媒〕
ケイタングステン酸(ヘテロポリ酸)および硝酸パラジウムを溶解した水溶液に、シリカ粉末(無機酸化物担体)を浸漬して含浸させた後(蒸発乾固)、空気中で焼成し、触媒を得る。この触媒は、例えば、打錠成型、破砕した後、反応管に充填して用いられる。
〔燃料ガスの製造〕
前記触媒を反応管に充填し、エタノール、水素、メタンの混合ガスを流通させると、メタン、エタン、エチレン等の可燃性ガス成分と一酸化炭素、二酸化炭素を含むガスが得られた。
得られた混合物を分析すると、エタノールと水素は高効率でエタンに変換されており、高発熱量の燃料ガスが得られていることがわかった。
以下、実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
比較例1
ケイタングステン酸(SiO2・12WO3・26H2O、キシダ化学社製)2.400gを硝酸パラジウム水溶液(田中貴金属工業社製、パラジウムとして8.26質量%含有)2.906gを純水20gで希釈した溶液に溶解し、これに市販の高表面積SiO2(富士シリシア化学社製G−6)9.36gを浸漬した。ホットプレート上で蒸発乾固し、空気中350℃で4時間焼成して、パラジウムを2質量%担持したケイタングステン酸/シリカ触媒を得た。
得られた触媒を打錠成形して破砕し、1mm程度の粒径とした触媒3mlを炭化ケイ素(SiC)3mlと混合して反応管に充填し触媒層とした。炭化ケイ素は触媒を分散させて局所的な発熱を抑えるために添加したものである。また触媒層の上下には石英ウールを介してガラスビーズ(直径1.2〜1.5mm)を充填した。電気炉で触媒層温度を250℃に保ち、H2を100ml/分の流量で2時間流通して、触媒を還元する前処理を行った。
その後、触媒入口ガスの温度を210℃に制御(触媒層上端から1cm上のガラスビーズ部分に接触させた熱電対の温度を210℃に制御した)して、エタノール:水素:水蒸気=1:1.1:1(モル基準)の混合ガスを、GHSV4,133h-1となる流量で流通した。尚、用いたエタノールは、キシダ化学社製の純度99.5%、含水率0.4質量%の試薬特級品である。反応管出口ガスは、氷水で冷却した凝縮器でガス成分と液成分に分離し、ガス成分は流量計で流量を計測するとともにガスクロマトグラフで分析(炭化水素、エタノール、ジエチルエーテル、CO、CO2およびH2)し、液成分については30分間の積算質量を計測するとともにガスクロマトグラフでエタノールおよびジエチルエーテルの分析を行い、残部は水として定量した(以下、他例でも同じ)。
エタノール転化率(%)は、100×{1−(反応管出口で定量されたエタノール質量)/(反応管に流入したエタノール質量)}により計算した。また、エチレンおよびエタン収率(%)は、100×(30分間に反応管出口で定量された各成分のモル数)/(30分間に反応管に流入したエタノールのモル数)により計算した(以下、他例でも同じ)。
反応開始直後(約2時間)のエタノール転化率は99.9%、エタン収率は94.8%、エチレン収率は3.0%であった。また触媒層内の上中下に1カ所ずつ設置した熱電対で計測した触媒層内のピーク温度は286℃(触媒層上部)であった。これに対し、反応開始20時間後には、エタノール転化率100%、エタン収率は92.2%、エチレン収率は6.3%となり、エタン収率は低下し、エチレン収率が上昇した。これは触媒の水素化活性が低下したことを示している。反応開始43時間後には、エタノール転化率99.8%、エタン収率88.0%、エチレン収率は11.9%となり、さらにエタン収率が低下し、エチレン収率が上昇した。この時の触媒層内のピーク温度は278℃(触媒層下部)であった。触媒の水素化活性の低下に伴い、ピーク温度位置が上流から下流に移動したことを示している。
実施例1
反応ガスの組成をエタノール:水素:水蒸気:メタン=1:1.1:0.5:0.5(モル基準)としたほかは、比較例1と同様にして、エタノールと水素をエタンに変換する反応を行った。
反応開始直後(約2時間)のエタノール転化率は100%、エタン収率は97.7%、エチレン収率は2.3%であった。また触媒層内のピーク温度は301℃(触媒層上部)であった。反応開始43時間後では、エタノール転化率99.9%、エタン収率90.1%、エチレン収率は8.1%と、比較例1よりもエタン収率が高く維持されていた。また、触媒層内のピーク温度は270℃(触媒層下部)であった。
実施例2
反応ガスの組成をエタノール:水素:水蒸気:メタン=1:1.1:0.2:0.8(モル基準)としたほかは、比較例1と同様にして、エタノールと水素をエタンに変換する反応を行った。
エタノール転化率は反応開始直後から43時間まで100%を維持した。また、反応開始直後(約2時間)のエタン収率は94.2%、エチレン収率は2.7%であった。また触媒層内のピーク温度は293℃(触媒層上部)であった。反応開始43時間後でも、エタン収率は95.8%、エチレン収率は4.2%と、エタン収率は高く維持されていた。また、触媒層内のピーク温度は281℃(触媒層中心部)であった。
実施例3
反応ガスの組成をエタノール:水素:メタン=1:1.1:1(モル基準)としたほかは、比較例1と同様にして、エタノールと水素をエタンに変換する反応を行った。本実施例では、反応ガスに水蒸気を添加していないが、エタノール中に微量(0.4質量%)含まれる水分に由来する水蒸気は含まれている。
エタノール転化率は反応開始直後から43時間まで100%を維持した。また、反応開始直後(約2時間)のエタン収率は92.0%、エチレン収率は3.1%であった。また触媒層内のピーク温度は318℃(触媒層上部)であった。反応開始43時間後でも、エタン収率は92.7%、エチレン収率は4.1%であって、エタン収率は高く維持されていた。また、触媒層内のピーク温度は287℃(触媒層中心部)であった。
参考例1
反応ガスの組成をエタノール:水素:水蒸気:エタン=1:1.1:0.5:0.5(モル基準)としたほかは、比較例1と同様にして、エタノールと水素をエタンに変換する反応を行った。なお、この実験におけるエタン収率(%)は、反応ガス中に添加したエタンを差し引いて、100×{(30分間に反応管出口で定量されたエタンのモル数)−(30分間に反応管に流入したエタンのモル数)}/(30分間に反応管に流入したエタノールのモル数)により計算した。
エタノール転化率は反応開始直後から43時間まで100%を維持した。反応開始直後のエタン収率は94.7%、エチレン収率は2.4%であった。反応開始43時間後では、エタン収率93.3%、エチレン収率は3.4%であった。
参考例2
反応ガスの組成をエタノール:水素:水蒸気:エタン=1:1.1:0.2:0.8(モル基準)としたほかは、参考例1と同様にして、エタノールと水素をエタンに変換する反応を行った。
反応開始直後のエタン収率は93.0%、エチレン収率は2.7%であったが、反応開始43時間後では、エタン収率80.6%、エチレン収率は12.9%となり、経時的にエタン収率が大きく低下し、エチレン収率が上昇した。
参考例3
反応ガスの組成をエタノール:水素:エタン=1:1.1:1(モル基準)としたほかは、参考例1と同様にして、エタノールと水素をエタンに変換する反応を行った。
反応開始直後のエタン収率は90.2%、エチレン収率は3.5%であったが、反応開始43時間後では、エタン収率79.7%、エチレン収率は12.1%となり、経時的にエタン収率が大きく低下し、エチレン収率が上昇した。また、反応開始43時間後にはエタノール転化率も99.8%に低下した。
実施例4
反応ガスの圧力を0.2MPa(ゲージ圧)としたほかは実施例3と同様にして、エタノールと水素をエタンに変換する反応を行った。エタノール転化率は反応開始直後から43時間まで100%を維持した。エタン収率は反応開始直後で93.2%、20時間後で94.3%、43時間後で91.8%と安定していた。
実施例5
反応ガスの圧力を0.8MPa(ゲージ圧)としたほかは実施例3と同様にして、エタノールと水素をエタンに変換する反応を行った。エタン収率は反応開始直後で93.4%、20時間後で94.7%、43時間後で90.1%となった。
比較例2
反応ガスの組成をエタノール:水素:水蒸気=1:1.2:1(モル基準)とし、単位触媒量あたりのエタノール供給量を一定にするためGHSVを4,267h-1としたほかは、比較例1と同様にして、エタノールと水素をエタンに変換する反応を行った。
エタン収率は比較例1よりも高く推移し、エチレン収率は比較例1よりも低く推移した。これは、水素/エタノール比が高いことにより、エチレンの水素化反応が有利に進行したためと考えられる。しかし、この反応ガス組成では、生成したガス中には約20体積%の水素が含まれるため、単位体積あたりの発熱量が低下することが問題となる。
これらの実施例、比較例及び参考例をまとめると、以下に示す表1のようになる。
表1には、原料ガス組成、GHSV,触媒反応の圧力(ゲージ圧)、反応時間(2h、20h、43h)、転化率及び収率を、各例について示した。
Figure 2015020972
表1より、メタンを添加しない比較例1、2に対して、メタンの共存下で高発熱量燃料ガスの製造を行なった実施例1〜5では、43時間経過後でもエタン収率が高く維持されていることが読み取れる。参考例1を参照すると、エタンの共存下でも、エタン収率の高収率維持が可能であるが、実施例1、2のメタンの共存下では、水蒸気添加量に関わらずエチレン収率を低く抑えることが可能であるのに対して、参考例2、3のエタン共存下では、エチレンの収率が大きくなり、エタン収率が低下しており不利である。
なお、上記した全ての実施例1〜5に関して、実験した43時間において、得られた燃料ガスの発熱量は、目標とした45MJ/Nm3を越えていた。
本発明の燃料ガス製造方法は、エタノールを原料として都市ガス原料として利用できる気体燃料を製造するプロセスにおいて好適に利用することができる。

Claims (3)

  1. メタンの共存下に、エタノールおよび水素をパラジウムとヘテロポリ酸とを無機酸化物担体に担持してなる触媒の存在下に接触反応させて、エタンを含有する燃料ガスに変換する高発熱量燃料ガスの製造方法。
  2. 触媒に供給される原料ガス中のメタン/エタノールのモル比が0.5〜1である請求項1に記載の高発熱量燃料ガスの製造方法。
  3. 触媒に供給される原料ガスがさらに水蒸気を含み、その水蒸気/エタノールのモル比が0.2〜0.5である請求項1または2に記載の高発熱量燃料ガスの製造方法。
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