JP2022133257A - 燃料ガスの製造方法およびアルコールの脱水水素化触媒 - Google Patents

燃料ガスの製造方法およびアルコールの脱水水素化触媒 Download PDF

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Abstract

【課題】メタンを主成分とする燃料ガスを製造するに際して、簡単で経済的に有利な方法で水素濃度が低減された燃料ガスを得る方法およびその実現に必要な触媒を提供する。【解決手段】水素と炭素酸化物とをメタン化触媒の存在下で反応させて、脱水後の体積基準で水素を2%以上20%以下含む第一燃料ガスを得るメタン化反応工程と、メタン化反応工程で得られた燃料ガスにアルコールを添加したのちに、当該アルコールと、第一燃料ガス中の水素とを、脱水水素化触媒の存在下で反応させて、炭素数2以上4以下のアルカンを含む第二燃料ガスを得る脱水水素化反応工程と、を有し、アルコールは、炭素数2以上4以下のアルコールから選択される一つまたは複数のアルコールであり、脱水水素化触媒は、タングステン酸化ジルコニアにパラジウムを担持してなり、アルコールの脱水反応およびアルケンの水素化反応に活性を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、水素と炭素酸化物とをメタン化触媒の存在下にメタン化反応させてメタンを主成分とする高発熱量の燃料ガスを製造する方法に関し、より詳細には水素濃度が低減された炭化水素濃度の高い燃料ガスを製造する方法およびその実現に必要な触媒に関する。
近年、地球温暖化対策の観点から、燃焼利用しても大気中の二酸化炭素濃度を実質的に増加させることがないカーボンニュートラル燃料に注目が集まっている。
工業プロセスや火力発電などで発生する排ガスから二酸化炭素を回収し、再生可能エネルギーである太陽光発電や風力発電などによる電力を用いた電気分解により得られた水素と反応させれば、メタンが得られる。この方法によって得られたメタンは、燃焼利用しても追加的な二酸化炭素の発生がないことから、地球温暖化に影響しないカーボンニュートラル燃料と考えることができる。
二酸化炭素と水素とを反応してメタンを得るメタン化反応(式1)は公知である。
CO+4H → CH+2HO (式1)
特許文献1には、COおよびHを含むガスをメタン化するに際し、上流側にCu-Zn系低温シフト触媒を配し且つ下流側にメタン化触媒を配置したメタン化反応器を使用することを特徴とするCOおよびHを含むガスのメタン化方法が開示されている。上流側の低温シフト反応器ではCOシフト反応(式2)が進行するので、原料ガスに含まれる一酸化炭素の大部分は水蒸気と反応して二酸化炭素に転換され、下流側のメタン化触媒上では二酸化炭素のメタン化反応が進行しているものと考えられる。
CO+HO → CO+H (式2)
メタン化反応はアンモニア合成用の水素から一酸化炭素および二酸化炭素を除去する目的で古くから使用されており、NiやRuなどを担持した触媒が高活性を示すことが知られている(非特許文献1、2)。
炭素酸化物(一酸化炭素および二酸化炭素)を水素と反応させてメタンを得るメタン化反応は、工業的にも確立された技術(たとえば非特許文献3)であるが、都市ガス原料として使用できる品質の燃料ガスを得るにはなお課題がある。
都市ガス原料として一般に利用されているのは天然ガスであり、メタンを主成分とし、少量のエタン、プロパン、およびブタンを含有する。天然ガスには、水素および一酸化炭素は通常含まれず、二酸化炭素は天然ガスの精製過程で除去される。特に、液化天然ガスを原料として製造される都市ガスの場合には、水素、一酸化炭素、および二酸化炭素は液化精製の過程でほぼ完全に除去されるので、実質的にほとんど含まれない。
天然ガス中に含まれるメタン以外の炭化水素(エタン、プロパン、およびブタン)の濃度は、天然ガスの産地や精製方法などによって変動するため、都市ガスを製造する際には、通常はプロパンまたはブタンを添加して熱量を一定の範囲となるように調整したうえで、保安確保のために付臭剤を添加してから都市ガス導管で需要家に送られる。
水素、一酸化炭素および二酸化炭素が都市ガスに含まれると以下のような問題を引き起こす可能性がある。
まず、一酸化炭素は、毒性が高いため、ガスが漏洩した場合に中毒事故の恐れを生じる。その許容濃度は200ppmとされており、安全上の観点から、燃料ガス中の濃度はこれ以下とするのが望ましく、空気による希釈を考慮しても、1000ppm以下とする必要がある。
次に、二酸化炭素は、不燃性であるだけでなく、燃焼を抑える働きがある。従って、燃料ガスに高濃度で混入した場合、燃料ガスの発熱量の低下に伴う導管でのガス輸送の効率を低下させるだけでなく、燃焼機器の効率の低下を引き起こす恐れもある。
最後に、水素は、燃料ガスではあるものの、都市ガスの主成分であるメタンと比較すると単位体積当たりの発熱量が約3分の1しかない。従って、メタン主成分の燃料ガスに水素が混入すると、単位体積当たりの発熱量が低下する。さらに水素は、燃焼速度が速いことから、燃焼機器への影響が大きいことも知られている。
以上のように、水素、一酸化炭素および二酸化炭素は、都市ガスに混入した場合、ガスの供給および消費の各段階で種々の影響を及ぼすことから、都市ガス導管網に受け入れるガスの品質基準で、水素、一酸化炭素および二酸化炭素の濃度に制約が設けられるのが一般的である。
天然ガス自動車向けの燃料充填所が存在する導管網にあっては、水素濃度の上限を体積基準で2%としている例が知られている(非特許文献4)。また、水素濃度を体積基準で4%以下、二酸化炭素濃度を体積基準で0.5%以下、一酸化炭素濃度を体積基準で0.05%以下と規定している例(非特許文献5)、ならびに、メタンおよびエタンの合計濃度を体積基準で93%以上、かつ炭化水素以外の成分の合計濃度を体積基準で4%以下と規定した例(非特許文献6)も知られている。
水素、一酸化炭素および二酸化炭素の混入に関しては、都市ガス品質以外の観点でも問題が存在する。都市ガスは、燃焼機器で安定して利用できるように、前述のようにプロパンまたはブタンを添加して、一定の熱量範囲に調整したうえで供給されている。従って、水素や二酸化炭素が高濃度に含まれていると、熱量調整に必要なプロパンおよびブタンなどを多量に混合する必要がある。これは、ガス製造の費用を増大させるほか、熱量調整に用いるプロパンおよびブタンとして化石燃料由来のものを用いる場合には、製造されたガスのカーボンニュートラル性を損なうことになる。
二酸化炭素のメタン化反応(式1)は、平衡反応であり、通常の工業的な操作条件では、二酸化炭素と水素とを完全にメタンに転化することはできない。化学量論比(水素:二酸化炭素=4:1)の混合ガスを、常圧(0.1MPa)で反応させた場合の二酸化炭素のメタンへの平衡転化率は、反応温度が300℃の場合において95.0%であり、反応温度が250℃の場合において97.5%であり、反応温度が200℃の場合において98.9%である。
このように常圧では、多量に水素を含む燃料ガスしか得られない。メタン化反応は発熱反応であるため、低温になるほど、平衡転化率は向上するが、触媒反応の場合、低温になるほど触媒活性が低下する。このため、反応温度には下限があり、通常のメタン化触媒の場合、実用的な反応速度を得るには250℃以上が必要とされる(非特許文献4、特許文献2および3)。
二酸化炭素のメタン化反応(式1)は、物質量(モル数)が減少する反応であるため、圧力が高いほど平衡転化率は高くなる。250℃で比較すると、二酸化炭素のメタンへの平衡転化率(化学量論比である水素:二酸化炭素=4:1で反応させた場合)は、常圧(0.1MPa)の97.5%に対し、0.7MPaでは98.9%、5MPaでは99.5%まで向上する。しかし、水素:二酸化炭素=4:1の混合ガスを250℃、5MPaで反応させた場合でも、その平衡組成(生成した水を除いた脱水後の体積基準の組成)は、メタン97.45%、水素2.04%、二酸化炭素0.51%となることから、水素2%(体積基準)以下の燃料ガスを得るには、5MPaを超える高圧の条件で反応を行う必要がある。
メタン化反応によって得られる燃料ガス中の水素濃度を低減する方法はいくつか知られている。例えば、化学量論比よりも水素の少ない条件でメタン化反応を実施し、過剰の二酸化炭素を脱炭酸処理により除くと、水素含有量も二酸化炭素含有量も低減することができる(特許文献4)。この方法は、コークス炉ガスのメタン化において採用された例がある(非特許文献3)。しかし、脱炭酸設備は、一般に設備費用が高く、運転にも多量のエネルギーを消費するので、経済性が損なわれる問題がある。
別の方法として、メタン化反応を複数段で行い、途中段階で生成したガスを冷却して、水を凝縮分離する方法も知られている(非特許文献4、特許文献2および3)。生成した水を除くことにより、メタン化反応をさらに生成側に進行させることができ、二酸化炭素のメタンへの転化率を向上できる。しかし、この方法では、熱交換設備が必要になり、設備費用がかさむこと、また生成した水を過度に除去してしまうと、その組成が平衡的に炭素析出の起こる領域に入ることから、水を分離する工程の制御が複雑になるという課題もある。
さらに、化学量論比よりも水素の少ない条件でメタン化反応を実施し、過剰の二酸化炭素を脱炭酸処理により除く方法、および、メタン化反応を複数段で行い、途中段階で生成したガスを冷却して水を凝縮分離する方法、のいずれについても、平衡的に一酸化炭素を生成しやすい条件となるため、製造された燃料ガスに含まれる一酸化炭素濃度が高くなるという問題もある。
特開昭60-235893号公報 特開2015-124217号公報 特開2018-135283号公報 特開2019-26595号公報
社団法人化学工学協会編、化学プロセス集成、1970年、p.153 触媒学会編、触媒便覧、2008年、p.535 川越、松田、松島および植松、日立評論、68巻10号、1986年、p.73 E.I.KoytsoumpaおよびS.Karellas、Renewable and Sustainable Energy Reviews、94巻、2018年、p.536 バイオガス購入要領、大阪瓦斯株式会社、2008年 バイオガス購入要領、東京瓦斯株式会社、2008年 日野誠および荒田一志、表面、34巻2号51頁、1996年
本発明が解決しようとする課題は、以上の問題に鑑み、水素と炭素酸化物とをメタン化触媒の存在下にメタン化反応させてメタンを主成分とする燃料ガスを製造するに際して、極端な高圧条件での反応や、高価な脱炭酸設備の設置などを必要とせず、簡単で経済的に有利な方法で水素濃度が低減された燃料ガスを得る方法およびその実現に必要な触媒を提供することにある。
本発明に係る燃料ガスの製造方法の特徴構成は、水素と炭素酸化物とをメタン化触媒の存在下で反応させて、脱水後の体積基準で水素を2%以上20%以下含む第一燃料ガスを得るメタン化反応工程と、前記メタン化反応工程で得られた前記第一燃料ガスにアルコールを添加したのちに、当該アルコールと、前記第一燃料ガス中の水素とを、脱水水素化触媒の存在下で反応させて、炭素数2以上4以下のアルカンを含む第二燃料ガスを得る脱水水素化反応工程と、を有し、前記アルコールは、炭素数2以上4以下のアルコールから選択される一つまたは複数のアルコールであり、前記脱水水素化触媒は、タングステン酸化ジルコニアにパラジウムを担持してなり、前記アルコールの脱水反応およびアルケンの水素化反応に活性を有する点にある。
本特徴構成によれば、極端な高圧条件を避けてメタン化反応を行って得られた比較的高濃度の水素を含むメタン主成分の第一燃料ガスに含まれる水素が、アルコールとの反応により炭素数2以上4以下のアルカンと水蒸気とに変換されるため、水素濃度が低減された第二燃料ガスを得ることができる。また、炭素数2以上4以下のアルカンの単位体積当たり発熱量はメタンと比較して高いため、熱量調整を行う場合には、熱量調整用のプロパンやブタンなどの添加量を削減できる。さらに、アルコールとして、サトウキビやトウモロコシなどから得られた糖を発酵させて得たバイオマス由来のアルコールを用いる場合には、燃料ガスのカーボンニュートラル性を損なうこともない。
本発明に係るアルコールの脱水水素化触媒の特徴構成は、水素と炭素酸化物とをメタン化触媒の存在下で反応させるメタン化反応工程を経て得られる、脱水後の体積基準で水素を2%以上20%以下含む第一燃料ガスを、炭素数2以上4以下のアルコールの存在下に処理して、炭素数2以上4以下のアルカンを含み水素濃度が減少した第二燃料ガスに変換するための、タングステン酸化ジルコニアにパラジウムを担持してなる点にある。
この構成によると、水素とアルコールとの反応を十分な速度で行いつつ、水素や二酸化炭素を生成する水蒸気改質反応が抑制されるので、効果的に水素濃度が低減された燃料ガスを得ることができる。また、本触媒は、高温耐性が高く、高温条件でも長期間、安定に使用することができる。
本発明の燃料ガス製造方法を示すブロックフロー図である。 二酸化炭素のメタン化反応の平衡転化率に対する温度および圧力の影響を示す図である。 図2の平衡転化率80~100%の領域の拡大図である。 メタン化反応の反応器の構成の一例である(固定床断熱多段反応器)。 固定床断熱多段反応器を用いてメタン化反応を行う場合の、各反応段における二酸化炭素のメタンへの転化率およびガス温度を示す図である。 メタン化反応の反応器の構成の一例である(1段目出口ガスを1段目入口に戻すリサイクルラインを有する固定床断熱多段反応器)。 メタン化反応の反応器の構造の一例である(熱交換型反応器)。 メタン化反応の反応器の構成の一例である(1段目がリサイクルラインを有する固定床断熱反応器、2段目が熱交換型反応器)。 二酸化炭素のメタン化反応の平衡組成(脱水後)における水素および二酸化炭素濃度に対する入口の水素/二酸化炭素比の影響を示す図である(反応圧力0.7MPa)。 二酸化炭素のメタン化反応の平衡組成(脱水後)における水素および二酸化炭素濃度に対する入口の水素/二酸化炭素比の影響を示す図である(反応圧力5MPa)。 本発明の燃料ガス製造方法により得られる燃料ガスの平衡組成(脱水後)における水素および二酸化炭素濃度に対する入口の水素/二酸化炭素比の影響を示す図である(エタノール/水素のモル比0.9)。 本発明の燃料ガス製造方法により得られる燃料ガスの平衡組成(脱水後)における水素および二酸化炭素濃度に対する入口の水素/二酸化炭素比の影響を示す図である(エタノール/水素のモル比0.5)。 実施例1に係る触媒の試験前後のX線回折パターンを示す図である。 比較例に係る触媒の試験前後のX線回折パターンを示す図である。
〔実施形態〕
以下、本発明に係る燃料ガスを製造するための触媒、および燃料ガスの製造方法の実施形態について説明する。図1は、本発明の燃料ガス製造方法を示すブロックフロー図である。本実施形態に係る燃料ガスの製造方法は、メタン化反応工程(メタン化反応器10)と、脱水水素化反応工程(脱水水素化反応器20)と、を有する。
メタン化反応工程では、水素と炭素酸化物との混合ガス1を、メタン化反応器10に充填されたメタン化触媒に接触させて、メタン化反応を行う。このメタン化反応により、メタンを主成分とし、水素を脱水後の体積基準で2%以上20%以下含有する第一燃料ガス2が得られる。
脱水水素化反応工程では、まず、メタン化反応工程で得られた第一燃料ガス2に対して、流量調整弁30を介してアルコール3を添加する。その後、アルコール3の添加された第一燃料ガス2を、脱水水素化反応器20に送入し、アルコール3が添加された第一燃料ガス2を脱水水素化反応器20に充填された脱水水素化触媒に接触させ、アルコール3と水素との反応によりアルカンを生成する。この反応により、第一燃料ガス2に含まれていた水素が消費されるので、水素濃度が低減された第二燃料ガス4が得られる。得られた第二燃料ガス4は、メタンを主成分とし、アルコール3由来のアルカンを含む。なお、アルコール3は、炭素数2以上4以下のアルコールから選択される一つまたは複数のアルコールであり、第二燃料ガス4に含まれるアルカンの炭素数は、使用するアルコール3と同一である。
〔メタン化反応工程の条件〕
メタン化反応工程において混合ガス1に用いる水素および炭素酸化物は、メタン化触媒の存在下にメタン化反応させるにあたって支障のない純度および性状のものである限り、どのような方法で製造されたものであっても差支えはない。水素は、例えば水を電気分解して得た電解水素であってもよい。炭素酸化物は、一酸化炭素もしくは二酸化炭素、またはそれらの混合物である。二酸化炭素は、燃焼排ガスからアミン吸収法などの公知の二酸化炭素回収方法によって回収されたものであってもよく、有機物をメタン発酵させて得られるバイオガスに含まれる二酸化炭素であってもよい。バイオガスは、通常メタンと二酸化炭素の混合ガスとして得られるが、この混合ガスから二酸化炭素を分離してメタン化反応に用いてもよく、あるいはメタンを分離することなく、メタン化反応に供してもよい。
水素および炭素酸化物に硫黄分やハロゲン化合物、シロキサン化合物、重質炭化水素などが含まれる場合、これらがメタン化反応触媒の劣化を引き起こすことがあるので、必要に応じてメタン化反応に供する前にこれらを除去することが好ましい。
メタン化反応工程において用いるメタン化触媒としては、NiやRuなどを含有する公知のメタン化触媒を用いることができる。
メタン化反応工程に用いるメタン化反応器10の形式は、メタン化反応後の第一燃料ガス2の水素濃度が脱水後の体積基準で2%以上20%以下となる限り、特に制約はない。ただし、メタン化反応は比較的大きな発熱を伴う平衡反応であり、その平衡転化率は図2および図3に示すように、温度および圧力により大きく変化し、低温かつ高圧ほど高くなる。一方で、低温ではメタン化触媒の活性を確保するのが難しくなること、高圧では設備費用が高くなる問題がある。
また、メタン化反応が比較的大きな発熱を伴うため、反応の進行に伴い、ガスの温度が上昇し、それに伴って平衡転化率が低下することも無視できない。以上のことから、メタン化反応器10として、化学プロセスで最も一般的に利用される固定床断熱型反応器を用いる場合、1段で所望の転化率を得ることは通常困難であるので、多段に反応器を連結し、反応熱により温度が上昇した出口ガスを冷却したのち、次段反応器に導入するプロセスとするのがよい。
図4に、メタン化反応器10を、固定床断熱多段反応器として設けた場合の構成の一例を示した。この反応器構成では、メタン化反応が進行する反応器(11a~15a)と熱交換器(11b~15b)との組が5組設けられている。図4に示すメタン化反応器10の構成で、化学量論比である水素:二酸化炭素=4:1(モル比)の原料ガスを、各段の入口温度250℃、反応圧力0.7MPaにて反応させる場合、各段の入口および出口における温度および二酸化炭素のメタンへの転化率は図5に示す通りとなる。4段目(14a)出口で二酸化炭素のメタンへの転化率は94.3%で、この段階では、ガス中の水素濃度(水分を除去した脱水後の体積基準。以下同様とする。)は18.3%となって、20%以下とすることができる。5段目(15a)出口では、二酸化炭素のメタンへの転化率が97.7%、ガス中の水素濃度が8.3%まで低下し、10%以下とすることができる。従って、単純な断熱の多段反応でメタン化を行う場合、前記の温度および圧力条件では、水素を体積基準で20%以下とするには4段、10%以下とするには5段の反応とする必要がある。また、メタン化による発熱が大きいことによって1段目の出口温度が約700℃に達するので、触媒の耐久性の観点で問題がある。
図6に、メタン化反応器10を、リサイクルラインを有する固定床断熱多段反応器として設けた場合の構成の一例を示した。この反応器構成では、メタン化反応が進行する反応器(11a~13a)と熱交換器(11b~13b)との組が3組設けられており、これらのうち最初の組には、熱交換後の生成物を反応器11aに戻すリサイクルライン11cが設けられている。この反応器構成を用いると、希釈効果により温度上昇が抑えられることから触媒の耐久性が改善される。加えて、反応器出口温度が低下することにより、平衡転化率が高まる効果が生じるため、単純な多段反応器の構成よりも反応器の段数を削減できる場合がある。
図7に、メタン化反応器10を、熱交換型反応器として設けた場合の構成の一例を示した。この反応器構成では、触媒層温度を所定の温度に保ちながら反応を行うことができ、これによって、1段の反応器で高い転化率を得ることも可能である。ただし、熱交換型反応器は、構造が複雑で、設備や保守の費用が高くなる場合がある。加えて、反応による発熱と熱交換による除熱のバランスが崩れると、局所的な高温部が発生して、触媒が短時間で劣化する場合もある。
図8に、メタン化反応器10を、リサイクルラインを有する固定床断熱反応器と、熱交換型反応器とを組み合わせて構成した一例を示した。この反応器構成では、図6の例の2段目以降の反応器(12a、13a)と熱交換器(12b、13b)との組を、1つの熱交換型反応器で置き換えてある。この反応器構成では、触媒の耐久性を確保しつつ、反応器の段数を減らして設備費用を抑制することが可能である。
〔メタン化反応工程の実施例〕
以下では、メタン化反応器10として図8に示す反応器の構成を採用し、メタン化触媒を十分な量用いて、所定条件におけるメタン化反応およびCOシフト反応の平衡組成が得られているものとする。
入口における、二酸化炭素に対する水素のモル比(水素/二酸化炭素のモル比)を3.8~4.2の範囲とし、2段目の反応温度を250℃としてメタン化反応を行うと、反応圧力が0.7MPaの場合、メタン化反応後のガスに含まれる水素および二酸化炭素の濃度は図9に示す通りとなる。水素/二酸化炭素のモル比が4.0のとき、水素濃度は4.4%、二酸化炭素濃度は1.1%となる。水素/二酸化炭素のモル比を低下させると水素濃度は減少するが、モル比を3.8まで低下させても、水素濃度は2%以下とはならず、また二酸化炭素濃度は5.6%まで上昇する。すなわち、反応圧力が0.7MPaの場合には、水素濃度および二酸化炭素が十分低減された燃料ガスを得ることができない。
反応圧力が5MPaの場合、メタン化反応後のガスに含まれる水素および二酸化炭素は図10に示す通りになる。水素/二酸化炭素のモル比が4.0のとき、水素濃度は2.04%、二酸化炭素濃度は0.51%となる。この条件によれば、水素濃度2%以下かつ二酸化炭素濃度0.5%以下の品質基準(この基準は、一般的に知られる範囲で最も厳しい。)を概ね満たす燃料ガスが得られうる。しかし、この条件の場合、水素/二酸化炭素のモル比がわずかに低下するだけで、二酸化炭素濃度が上昇し、逆に水素/二酸化炭素のモル比がわずかに上昇すると水素濃度が上昇する。このように、水素/二酸化炭素のモル比のわずかな変動が、得られる燃料ガスの純度に大きく影響する。
すなわち、水素と二酸化炭素とのメタン化反応のみでメタンが主成分の燃料ガスを得る場合、前記の水素濃度2%以下かつ二酸化炭素濃度0.5%以下の品質基準を満たす燃料ガスを得るには、使用圧力が5MPaよりも十分高い、高圧の反応設備を必要とする。
〔脱水水素化反応工程の条件〕
脱水水素化反応工程において用いるアルコール3は、炭素数2以上4以下のアルコールから選択される一つまたは複数のアルコールである。すなわち、アルコール3は、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、および2-メチル-2-ブタノールからなる群から選択される一種類のアルコール、またはこれらの群から選択される複数のアルコールの混合物である。
脱水水素化反応工程において用いるアルコール3は、脱水水素化反応工程において進行する反応(詳しくは後述する。)に支障ない純度および性状のものである限り、どのような方法で製造されたものであっても差支えない。例えば、サトウキビやトウモロコシなどを原料として、発酵法により製造されたアルコールも好適に使用できる。本実施形態に係る燃料ガスの製造方法においては、アルコール3が、通常含む程度の量の水を含んでいてもよい。ただし、あまりに水の含有量が多い場合、水を気化するための蒸発熱が必要になるため、燃料ガス製造の効率が低下する場合がある。これを考慮すると、アルコール3の水含有量は、50質量%以下であることが好ましい。
脱水水素化反応器20における反応は、以下のように進行する。すなわち、脱水水素化反応器20において、アルコールの脱水反応(式3)およびアルケンの水素化反応(式4)が進行する。
2n+1OH → C2n+HO (式3)
2n + H → C2n+2 (式4)
ただし、nは、2、3、または4である。
アルコール3の添加量が少ない場合、第二燃料ガス4中の水素濃度の低減が不十分となる。一方、アルコール3の添加量が多い場合、水素濃度が極端に少なくなることにより、アルコール3の脱水に伴って生成するアルケン(アルコールとしてエタノールを用いた場合は、エチレン)の水素化反応(式4)が十分に進行せず、第二燃料ガス4中にアルケンが残存することがあるほか、反応中のアルケン濃度が高いことから、触媒上でアルケンが重合して、触媒の炭素析出による劣化が問題になる場合がある。従って、アルコール3の添加量は、メタン化反応工程で得られた第一燃料ガス2に含まれる水素に対するアルコール3のモル比(アルコール/水素)を、0.45以上0.9以下とするのが好ましい。
脱水水素化触媒でアルコールを水素との反応によりアルカンに変換する際の反応温度は、200℃以上400℃以下とすることが好ましい。脱水水素化触媒は一般的に200℃以上の条件で良好な活性を示すので、反応温度を200℃以上とすると、アルコール3と水素との反応(式3および式4)が進行しやすい。また、反応温度を400℃以下とすると、メタン、エタン、プロパンおよびブタンの水蒸気改質反応を抑制しやすい。メタン、エタン、プロパンおよびブタンの水蒸気改質反応が進行すると、アルケンの水素化反応で水素が減少しても、メタン、エタン、プロパンまたはブタンの水蒸気改質反応によって新たに水素が生成されるため、燃料ガス中の水素濃度を低減することができない場合がある。反応温度は、250℃以上350℃以下とすることがより好ましい。
〔脱水水素化触媒〕
脱水水素化反応工程で用いる脱水水素化触媒は、タングステン酸化ジルコニアにパラジウムを担持してなる触媒である。タングステン酸化ジルコニアは、WO/ZrOと表記されることもある公知の物質であり(例えば、日野誠および荒田一志、表面、34巻2号51頁、1996年(非特許文献7)など)、公知の方法に従って調製できる。すなわち、タングステン酸化ジルコニアは、例えば、酸化ジルコニウムとタングステン酸とを混合し、水を加えて、混練した後乾燥し、空気中で焼成することにより得られる。
パラジウムの担持方法は、パラジウムが担体に高分散に担持される限り、特に制限されないが、好ましくは、担体を硝酸塩、塩化物塩などの水溶液に含浸する方法により行われる。パラジウムの担持量は、特に限定されないが、タングステン酸化ジルコニアの重量を基準として、0.1~5%であることが好ましく、0.5~2%であることがより好ましく、0.5~1%であることがさらに好ましい。パラジウムの担持量が少なすぎる場合には、触媒活性が低くなるおそれがあるのに対し、多すぎる場合には、パラジウムの使用量が多くなって経済性が低下するおそれがあり、また、パラジウムの凝集によりかえって触媒活性が失われるおそれがある。
脱水水素化反応工程で用いる脱水水素化触媒は、アルコールの脱水反応(式3)およびアルケンの水素化反応(式4)に活性を有するとともに、メタン、エタン、プロパンおよびブタンの水蒸気改質反応に対しては、実質的に活性を示さないことが好ましい。また、脱水水素化触媒は、高温でも安定に使用できることが好ましい。触媒の高温耐性が低いと、脱水水素化反応を、長期間安定的に進行させることができず、触媒の交換頻度が高くなり、プロセス全体の運用コストが高くなる。
脱水水素化反応工程に用いる脱水水素化反応器20の形式は特に限定されず、例えば、固定床断熱反応器、リサイクルラインを有する固定床断熱反応器、熱交換型反応器、などでありうる。
〔脱水水素化反応工程の実施例〕
以下では、メタン化反応器10として図8に示す反応器の構成を採用し、当該メタン化反応器10の下流に、固定床断熱反応器として構成された脱水水素化反応器20(不図示)を設けた場合を例として説明する。なお、この例において、メタン化反応器10ではメタン化反応およびCOシフト反応が平衡に達し、アルコール3としてエタノールを用い、脱水水素化反応器20では、エタノールの脱水反応およびエチレンの水素化反応が平衡に達しているものとする。
以下の例では、メタン化反応器10における熱交換型反応器12dの反応温度を250℃に設定した。また、脱水水素化反応器20は、入口温度を250℃とし、断熱条件で反応が進行するようにした。なお、反応圧力は、メタン化反応器10および脱水水素化反応器20の双方において、0.7MPaとした。この場合に得られる第二燃料ガス4の水素および二酸化炭素の濃度を、メタン化反応器10に供給された混合ガス1の水素/二酸化炭素のモル比に対して示すと、図11および図12の通りとなる。
図11は、エタノールの添加量を第一燃料ガス2に含まれる水素に対するモル比で0.9とした場合について、混合ガス1の組成と、第二燃料ガス4の水素および二酸化炭素の濃度との関係を示している。混合ガス1の水素/二酸化炭素のモル比を4.0とした場合、水素濃度は0.44%、二酸化炭素濃度は1.09%となる。同様の条件においてメタン化反応工程だけを行った場合は、水素濃度は4.4%、二酸化炭素濃度は1.1%である(図9)から、脱水水素化反応工程によって、メタン化反応により得られた第一燃料ガス2の水素濃度が大幅に低減されていることがわかる。また、水素/二酸化炭素のモル比を4.04とした場合、水素濃度は0.55%、二酸化炭素濃度は0.43%、メタン濃度は94.1%、エタン濃度は4.9%となって、炭化水素(メタン+エタン)成分の濃度は99%を超える。メタン化反応工程だけを行った場合は、水素濃度は5.5%、二酸化炭素濃度は0.43%であるから、この場合においても、脱水水素化反応工程によって大幅に水素濃度が低減されていることがわかる。
メタン化反応工程と脱水水素化反応工程(脱水および水素化)とを、いずれも同じ入口温度(250℃)で行っているにもかかわらず、メタン化反応工程では水素が残留し、脱水水素化反応工程では水素が減少することは、次の理由による。二酸化炭素のメタン化反応は、水素1モルあたり41kJの発熱反応である。一方、エチレンの水素化反応は、やや大きい発熱(エチレン1モルあたり136kJの発熱)を伴う反応であり、エタノールの脱水反応(エタノール1モルあたり45kJの吸熱)と合わせても、水素1モルあたり約90kJの発熱反応となる。従って、エタノールの脱水によるエチレン生成と、これに引き続くエチレンの水素化と、によるエタンの生成は、平衡的に著しくエタン生成側に偏っている。このため、メタン化反応工程では水素が残留するような温度条件であっても、脱水水素化反応が十分に進行する。
この説明は、アルコール3に含まれうる他のアルコールについても成立する。たとえば、アルコール3が1-プロパノールを含む場合について、1-プロパノールの脱水反応における吸熱は1-プロパノール1モルあたり33kJであり、プロピレンの水素化反応における発熱はプロピレン1モルあたり125kJであるから、脱水水素化反応工程の1-プロパノールが関与する部分は水素1モルあたり92kJの発熱反応になる。アルコール3に含まれうる他のアルコールについても、脱水水素化反応工程全体では水素1モルあたり65~95kJ程度の発熱反応になる。従って、上記のエタノールを用いた場合についての説明と同様に、アルコール3に含まれうる他のアルコールについても、脱水水素化反応工程における反応が十分に進行することがわかる。
脱水水素化反応工程では、二酸化炭素は減少させることができない。メタン化反応に供する水素/二酸化炭素のモル比を4.0よりもわずかに高めて、水素がやや過剰な条件でメタン化反応工程を行うと、メタン化反応工程後の第一燃料ガス2中の二酸化炭素濃度を低減することができる。ここで、水素を過剰に加えたことによって、第一燃料ガス2中の水素濃度が上昇するが、当該水素は脱水水素化反応工程で減少させることができる。メタン化反応工程に供する混合ガス1の水素/二酸化炭素のモル比を4.04とすると、得られる燃料ガス中の水素濃度は0.55%、二酸化炭素濃度は0.43%となる。すなわち、メタン化反応のみによっては5MPaという高圧の反応条件でも達成できない水素濃度2%以下、二酸化炭素濃度0.5%以下の品質基準が、本実施形態に係る方法を用いると、0.7MPaという低い圧力での反応で達成できる。
メタン化反応工程に供する混合ガス1の水素/二酸化炭素のモル比をさらに高めれば、得られる燃料ガス中の二酸化炭素濃度はさらに低減できる。例えば、メタン化反応工程に供する混合ガス1の水素/二酸化炭素のモル比を4.2とすると、得られる燃料ガス中の水素濃度は1.7%、二酸化炭素濃度は0.1%以下となる。また、メタン濃度は83.3%、エタン濃度は15.0%となって、燃料ガス1mあたりの発熱量は44MJとなり、一般的な天然ガス系都市ガスとほぼ同じ性状のガスとなる。
一方で、添加するアルコール3がより多く必要になることに加えて、断熱条件で脱水水素化反応工程の反応(脱水および水素化)を行う場合には、脱水水素化反応工程の反応の出口温度が高くなり、アルケン濃度が高くなることで、炭素析出による触媒の劣化や、水蒸気改質反応の併発にともなう水素および二酸化炭素濃度の上昇も懸念される。この観点では、メタン化反応工程に供する混合ガス1の水素/二酸化炭素のモル比は4.08を超えないようにするのが好ましい。水素/二酸化炭素のモル比が4.04以上4.08以下の範囲であれば、水素濃度2%以下、二酸化炭素濃度0.5%以下の品質基準を達成しやすい。
図12は、エタノールの添加量を第一燃料ガス2に含まれる水素に対するモル比で0.5とした場合について、混合ガス1の組成と、第二燃料ガス4の水素および二酸化炭素の濃度との関係を示している。図12の例では、図11の例に比べてエタノールの添加量が少ないことから、得られる第二燃料ガス4中の水素濃度が図11と比較すると高くなるものの、図9との比較では、第二燃料ガス4中の水素濃度が低減されていることが理解される。混合ガス1の水素/二酸化炭素のモル比が4.04以上4.08以下の範囲であれば、水素濃度4%以下、二酸化炭素濃度0.5%以下、炭化水素以外の成分4%以下の品質基準をすべて達成しうる。この条件は、0.7MPaにおけるメタン化反応では、メタン化反応に供する混合ガスの水素/二酸化炭素のモル比をどのように設定しても実現することのできないことから、本発明の方法が、高圧の反応設備を用いることなく、高い品質の燃料ガスを製造するうえで有用であることが明らかである。なお、この場合であっても、上記と同様に、炭素酸化物として一酸化炭素および二酸化炭素の少なくとも一方を含む場合、メタン化反応工程に供給される水素と炭素酸化物との比率が、物質量基準で計算される{(水素)+(一酸化炭素)}/{(一酸化炭素)+(二酸化炭素)}の値が4.04以上4.08以下を満たす比率であれば、上記品質基準を達成し易い。
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係る燃料ガスの製造方法のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
上記の実施形態では、メタン化反応工程に用いるメタン化反応器10を、図8に示すような、リサイクルラインを有する固定床断熱反応器と、熱交換型反応器とを組み合わせた構成とした例について特に説明した。しかし、本発明に係るメタン化反応工程において用いる反応器は、水素を2体積%以上10体積%以下含む燃料ガスが得られる限りにおいて、特に限定されない。かかる反応器としては、固定床断熱多段反応器や、1段式または多段式の熱交換型反応器などが例示される。
上記の実施形態では、メタン化反応工程における圧力を0.7MPaとする例について特に説明した。しかし、本発明に係るメタン化反応工程における圧力は、水素を2体積%以上10体積%以下含む第一燃料ガスが得られる限りにおいて、特に限定されない。ただし、圧力が0.5MPa以上であると、メタン化反応工程において得られる第一燃料ガス中の水素および二酸化炭素の含有量が低減されることから、最終生成物の第二燃料ガス中の水素および二酸化炭素の含有量も低減しやすい。また、メタン化反応工程に用いる設備のコストを低減しやすいことから、圧力が3MPa以下であることが好ましく、1MPa以下であることがより好ましい。
上記の実施形態では、脱水水素化反応工程に用いる脱水水素化反応器20を、固定床断熱反応器として構成した例について特に説明した。しかし本発明に係る脱水水素化反応工程において用いる反応器は、式3および式4で表される反応が進行する限りにおいて、特に限定されない。かかる反応器としては、リサイクルラインを有する固定床断熱反応器や、熱交換型反応器などが例示される。
上記の実施形態では、脱水水素化反応工程における圧力を0.7MPaとする例について特に説明した。しかし、本発明に係る脱水水素化反応工程における圧力は、式3および式4で表される反応が進行する限りにおいて、特に限定されない。ただし、圧力が0.5MPa以上であると、脱水水素化触媒を多量に用いることなく、得られる燃料ガス中の水素および二酸化炭素の含有量を低減しやすい。また、脱水水素化反応工程に用いる設備のコストを低減しやすいことから、圧力が3MPa以下であることが好ましく、1MPa以下であることがより好ましい。
上記の実施形態では、メタン化反応工程と脱水水素化反応工程との圧力を同一(0.7MPa)とした例について特に説明した。しかし、本発明に係るメタン化反応工程および脱水水素化反応工程において、圧力は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、本発明は、従来公知のメタン転化率の向上手段の併用を排除するものではなく、例えば、多段型反応の途中段で、反応ガスを冷却して水蒸気の一部を凝縮、分離する構成としてもよい。この場合でも、本発明の方法を用いると、水蒸気を極端に除去することなく、燃料ガス中の水素および二酸化炭素濃度を低下させることができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
水酸化ジルコニウム(林純薬工業社製;ZrOとして85%含有)160gとタングステン酸(三津和化学薬品社製;HWO)30gとを混合し、純水220gを加えて、12時間湿式混練した。エバポレーターで水分を除去し、120℃の乾燥器で3時間乾燥した後、700℃で3時間焼成してWO/ZrOを得た。前記のWO/ZrO
30gに、Pdとして0.3gを含有する硝酸パラジウム水溶液を含浸し、125℃のホットプレート上で蒸発乾固し、120℃の乾燥器で1時間乾燥させたのち、空気中350℃で4時間焼成して、WO/ZrOに、1質量%パラジウムを担持してなる触媒(1%Pd/WO/ZrO触媒)を得た。
前記1%Pd/WO/ZrO触媒を打錠成型して、1.7~3.4mmに分級し、その5mLをSUS製反応管(内径15mm)に充填し、水素10%、残部窒素のガスを流通しながら、電気炉で加熱して、250℃まで昇温し、4時間保持して、触媒の還元処理を行ったのち、さらに昇温して300℃に保った。
メタン32.3体積%、水蒸気64.4体積%および水素3.3体積%からなる燃料ガス毎分236mL(0℃、101.325kPaの標準状態における体積)に、エタノールと窒素とを添加して、燃料ガス中の水素に対するエタノールのモル比が0.7、燃料ガス中の窒素濃度が10.0体積%(乾燥基準における体積)となるように調整した。このエタノールおよび窒素を添加した燃料ガスを、圧力0.8MPaの条件のもとで、前記触媒に流通し、流通開始後から2.5時間おきに反応管出口ガスを分析した。分析は、反応後の燃料ガスを冷却して水を分離したのち、ガスクロマトグラフを用いて、メタン、エタン、エチレン、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、および窒素の濃度を定量することによって行った。分析結果を表1に示す。また、試験前後の触媒のX線回折パターンを図13に示す。
表1:燃料ガスの分析結果(実施例1)
Figure 2022133257000002
-:検出されず
〔実施例2〕
硝酸パラジウムの量を変えた他は実施例1と同様にして、WO/ZrOに、0.1質量%パラジウムを担持してなる触媒(0.1%Pd/WO/ZrO触媒)を調製した。触媒として0.1%Pd/WO/ZrO触媒を用いたほかは実施例1と同様に試験を実施した。燃料ガスの分析結果を表2に示す。
表2:燃料ガスの分析結果(実施例2)
Figure 2022133257000003
-:検出されず
〔比較例〕
シリカ担体(富士シリシア化学製CARiACT(登録商標)G-6)に、ケイタングステン酸(SiO・12WO・26HO)と硝酸パラジウムの水溶液を含浸し、湯浴上で蒸発乾固したのち、120℃で乾燥し、空気中350℃で4時間焼成して、シリカ担体80質量部に対し、ケイタングステン酸20質量部と、パラジウムを2質量部とを担持してなる触媒(Pd/SiW/シリカ触媒)を得た。触媒として、前記Pd/SiW/シリカ触媒を打錠成型し、1.7~3.4mmに分級したものを用いたほかは、実施例1と同様に試験を実施した。燃料ガスの分析結果を表3に示す。また、試験前後の触媒のX線回折パターンを図14に示す。
表3:燃料ガスの分析結果(比較例)
Figure 2022133257000004
実施例1に示す通り、水素を含む燃料ガスに、水素に対するエタノールのモル比が0.7になるようにエタノールを添加した後Pd/WO/ZrO触媒に流通した場合には、水素はエタノールと定量的に反応して、水蒸気とエタンとなり、燃料ガスを冷却して、水を分離することにより水蒸気は除去されるから、燃料ガス中の水素濃度が低減するとともに、エタンが生成する。燃料ガス流通開始後50時間経過時には、水素濃度は3.7%まで低減されているから、水素濃度4%の基準を満たすことができる。また、燃料ガス流通開始後50時間経過時までは、反応管出口ガス中水素濃度は経時的に減少し、エタン濃度は経時的に増加する傾向が見られるものの、50時間経過後から、150時間経過するまでの間、反応管出口ガス中のガスの組成はほぼ一定で安定しており、一酸化炭素およびエチレンの生成は見られなかった。この結果から、Pd/WO/ZrOは、300℃という比較的高い温度でも、長時間にわたり性能を維持する、高い耐久性をもった触媒であるといえる。
また、触媒として0.1%Pd/WO/ZrOを用いた実施例2においても同様に、燃料ガス流通開始後50時間経過後から、145時間経過するまでの間、出口ガスの組成は安定しており、4%以下の水素濃度を維持した。
一方で、触媒としてPd/SiW/シリカ触媒を用いた比較例では、燃料ガス流通開始後5時間経過時には水素濃度が3.7%まで低減され、4.7%のエタンが得られているものの、時間の経過とともに水素濃度が増加し、154時間経過時には水素濃度が4.7%まで上昇した。
また、1%Pd/WO/ZrOのX線回折パターン(図13、実施例1)では、ZrOに由来する回折ピークのみ観測され、試験前後で明らかな変化は確認されなかった。一方でPd/SiW/SiOのX線回折パターン(図14、比較例)では、試験後品のX線回折パターンの23.5°付近に、試験前には見られなかった鋭いピークが確認された。これは、新品触媒に含まれるケイタングステン酸(SiW)が、試験後に酸化タングステンへと変化したためである。
Pd/WO/ZrOを使用した実施例1および2では、生成されるエタンの濃度が150時間にわたって維持された(表1、表2)。また、実施例1の試験前後のX線回折パターン(図13)において、Pd/WO/ZrOの構造が使用前後で変化しないことが示された。一方、従来の触媒であるPd/SiW/SiOを使用した比較例では、反応を継続することによる水素濃度の低下が見られた(表3)。また、比較例の試験前後のX線回折パターン(図14)の比較から、Pd/SiW/SiOの構造が使用中に変化することが示された。これらのことから、Pd/WO/ZrO触媒の高温耐性が従来の触媒に比べて高く、高温条件(たとえば300℃)でも長期間、安定に使用することができることが示された。
〔実施例3〕
水酸化ジルコニウム(太陽鉱工社製Z-999-D)78gとメタタングステン酸アンモニウム水溶液(日本無機化学工業社製MW-2、WOとして50質量%含有)21gとを混合し、純水50gを加えて、湿式混練した。湯浴中で蒸発乾固し、120℃の乾燥器で一晩乾燥した後、800℃で4時間焼成してWO/ZrOを得た。前記のWO/ZrO35gに、Pdとして0.18gを含有する硝酸パラジウム水溶液を含浸し、湯浴中で蒸発乾固し、120℃の乾燥器で一晩乾燥したのち、空気中350℃で4時間焼成して、WO/ZrOに0.5質量%のパラジウムを担持してなる触媒(0.5%Pd/WO/ZrO触媒)を得た。
前記0.5%Pd/WO/ZrO触媒を打錠成型して、1.0~2.5mmに分級し、その6mLをSUS製反応管(内径16mm)に充填し、240℃で水素10%、残部窒素のガスを流通し、1時間保持した後、ガスを水素20%、残部窒素のものに切り替えて、さらに2時間保持することで還元処理を行った。
メタン32.6%、水蒸気65.2%、水素2.0%及び二酸化炭素0.14%からなる燃料ガス毎分400mL(0℃、101.325kPaの標準状態における体積)に、エタノールを添加して、燃料ガス中の水素に対するエタノールのモル比が0.7になるように調整した。このエタノールを添加した燃料ガスを、圧力0.7MPa(絶対圧)の条件のもとで、前記触媒に通じ、300℃まで昇温し、一晩保持した。反応後の燃料ガスを冷却して水を分離したのち、ガスクロマトグラフを用いて、メタン、エタン、水素、一酸化炭素、および二酸化炭素の濃度を定量した。反応後の燃料ガスに含まれる各成分の濃度(脱水後の体積基準)は、水素1.9%、二酸化炭素0.47%、一酸化炭素0.10%、エタン4.0%、残部メタンであった。
実施例3に示す通り、水素を含む燃料ガスに、水素に対するエタノールのモル比が0.7になるようにエタノールを添加したのち0.5%Pd/WO/ZrO触媒に通じると、水素はエタノールと定量的に反応して、水蒸気とエタンとなり、燃料ガスを冷却して、水を分離することにより水蒸気は除去されるから、燃料ガス中の水素濃度が低減するとともに、エタンが生成する。実施例3の条件では、水素濃度が1.9%まで低減されているから、水素濃度4%の基準を満たすことができる。
本発明は、たとえば、都市ガスとして供給するための燃料ガスを製造する方法として利用することができる。
1 :混合ガス
2 :燃料ガス
3 :アルコール
4 :燃料ガス
10 :メタン化反応器
11a~15a :反応器
11b~15b :熱交換器
11c :リサイクルライン
12d :熱交換型反応器
20 :脱水水素化反応器
30 :流量調整弁

Claims (2)

  1. 水素と炭素酸化物とをメタン化触媒の存在下で反応させて、脱水後の体積基準で水素を2%以上20%以下含む第一燃料ガスを得るメタン化反応工程と、
    前記メタン化反応工程で得られた前記第一燃料ガスにアルコールを添加したのちに、当該アルコールと、前記第一燃料ガス中の水素とを、脱水水素化触媒の存在下で反応させて、炭素数2以上4以下のアルカンを含む第二燃料ガスを得る脱水水素化反応工程と、を有し、
    前記アルコールは、炭素数2以上4以下のアルコールから選択される一つまたは複数のアルコールであり、
    前記脱水水素化触媒は、タングステン酸化ジルコニアにパラジウムを担持してなり、前記アルコールの脱水反応およびアルケンの水素化反応に活性を有する燃料ガスの製造方法。
  2. 水素と炭素酸化物とをメタン化触媒の存在下で反応させるメタン化反応工程を経て得られる、脱水後の体積基準で水素を2%以上20%以下含む第一燃料ガスを、炭素数2以上4以下のアルコールの存在下に処理して、炭素数2以上4以下のアルカンを含み水素濃度が減少した第二燃料ガスに変換するための、タングステン酸化ジルコニアにパラジウムを担持してなる、アルコールの脱水水素化触媒。

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