JP2009179591A - メタノールの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水素、低級炭化水素、及び炭素酸化物を含む原料ガスから、エネルギー及び生産性において最適化されたプロセスを構築し、工業的に有利なメタノールを製造する。
【解決手段】工程(A)水素分離工程、工程(B)改質工程、及び4〜9MPaAの反応圧力で多段化した工程(C)メタノール合成工程とを備え、メタノールの生産性の観点から工程(D)二酸化炭素回収工程、及び工程(E)分離水素添加工程を付加し、更には、コークス炉ガス、石炭ガス化ガス、工程(D)二酸化炭素回収工程で回収された二酸化炭素、及び工程(A)水素分離工程で分離した水素を用いて、工程(A)に導入される各原料ガスの組成、及び工程(C)入口でのガス組成を規定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、石炭由来の原料ガスからメタノールを製造するプロセスの最適化方法に関する。
従来、メタノールを製造するプロセスにおいては、原料ガスとしてメタンを主成分とする天然ガスが用いられている。しかしながら、石油に代表される天然資源の枯渇問題や環境的側面からの排出ガスの有効利用の観点から原料の多様化が進んでいる。
最近では、埋蔵量の豊富な石炭の利用が盛んに進められており、高炉ガス、転炉ガス、及びコークス炉ガス等を利用したメタノールの合成が盛んに研究、開発されている(特許文献1)。
また、天然ガスを用いたメタノール合成やメタノールが原料となる化合物、例えばジメチルエーテルの合成に関してもプロセスの最適化を行なうことで生産性やエネルギー効率の高いプロセスが開発されている。例えば、メタノール合成反応器を2段直列に並べることで、1段反応器で合成されたメタノールを気液分離し、反応ガス中の平衡を操作することで、2段反応器において1段反応器の未反応ガスからメタノールを収率良く合成する方法が提案されている(特許文献2)。また、原料ガス中のメタンから一酸化炭素と水素の合成ガスを得る改質反応器を1次と2次に分け、水蒸気や酸素との反応により、メタノールを合成するのに最適な一酸化炭素、二酸化炭素、及び水素の比率を調整したり、メタノール合成工程の前に水素分離工程を設け、メタノール合成に適した比率に合成ガスを調整している(特許文献3及び特許文献4)。
しかしながら、これらの技術は、いずれも単一の工程でのエネルギーの効率化や、生成物の収率の向上に関するものであり、メタノール製造プロセス全体でのエネルギー効率での観点では、その効率化の達成度には限界がある。
特開2000−109440公報 特開2001−97906公報 特開平11−263740公報 特開平10−259148公報
したがって、本発明の目的は、メタノール製造プロセスおいて、メタノールの収率を下げることなく、プロセス全体でのエネルギーを最適化することができる工業化プロセスとして有利なメタノールの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、メタノール製造プロセスにおいて、反応器を2器以上4器以下用い、且つこれらの反応器を直列に使用し、各反応器の内圧を4〜9MPaAとすることで、メタノールの製造に使用するエネルギーを削減できることを見出し、本発明を完成するに至った。また、このプロセスに対し、更に、水素分離工程、二酸化炭素回収工程、及び分離水素添加工程を組み合わせることで、メタノール合成に最適なガス組成を調整でき、より効率よくメタノールの製造に使用するエネルギーを削減できる。
即ち、本発明は以下の[1]〜[4]を要旨とする。
[1]以下の(A)〜(C)の工程を含むメタノールの製造方法。
工程(A) 水素、低級炭化水素、及び炭素酸化物を含む原料ガスから水素を分離する工程、
工程(B) 工程(A)で水素が分離された原料ガスを改質して少なくとも水素及び炭素酸化物を含有する改質ガスを製造する工程、及び
工程(C) 工程(B)で得られた改質ガスを、内圧を4〜9MPaAに保持した反応器が2器以上4器以下であり、且つ反応器同士が直列に結合された反応系に導入し、反応器内で触媒の存在下で水素と炭素酸化物を反応させ、メタノールを合成する工程。
[2]前記原料ガスが、コークス炉ガス、石炭ガス化ガス、及び二酸化炭素からなり、且つコークス炉ガス:石炭ガス化ガス:二酸化炭素の流量比が1:0.0〜1.5:0.0〜0.7であることを特徴とする[1]に記載のメタノールの製造方法。
[3]前記工程(C)に導入する改質ガスが、炭素酸化物として一酸化炭素及び二酸化炭素を含有し、改質ガス中の水素、一酸化炭素、及び二酸化炭素が以下の関係式(1)および(2)を満たすことを特徴とする[1]又は[2]に記載のメタノールの製造方法。
0.3≦(H)/(2×(CO)+3×(CO))≦5.0・・・(1)
(CO)/(CO)≧0.4・・・(2)
(上記関係式において、(H)、(CO)、(CO)は原料ガス中の水素、一酸化炭素、二酸化炭素のモル比を表す)
[4]以下の工程(D)及び(E)を更に有する[1]〜[3]のいずれかに記載のメタノールの製造方法。
工程(D) 工程(B)で発生した排ガスから二酸化炭素を分離して、工程(C)に導入する、二酸化炭素回収工程。
工程(E) 工程(A)で分離した水素を工程(C)に導入する、分離水素添加工程。
本発明によれば、メタノールの製造プロセスにおける、より高度な効率化を達成し、エネルギー、生産性の観点から工業的に有利にメタノールを製造することが可能となる。
以下、本発明のメタノールの製造方法の実施形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
本発明のメタノールの製造方法は、工程(A):水素、低級炭化水素、及び炭素酸化物を含む原料ガスから水素を分離する工程(以下、「工程(A)水素分離工程」と略記する)、工程(B):工程(A)で水素が分離された原料ガスを改質して少なくとも水素及び炭素酸化物を含有する改質ガスを製造する工程(以下、「工程(B)改質工程」と略記する)、工程(C):工程(B)で得られた改質ガスを、内圧を4〜9MPaAに保持した反応器が2器以上4器以下あり、且つ反応器同士が直列に結合された反応系に導入し、反応器内で触媒の存在下で水素と炭素酸化物を反応させ、メタノールを合成する工程(以下、「工程(C)メタノール合成工程」と略記する)を包含し、生産性の観点から工程(D)二酸化炭素回収工程、及び工程(E)分離水素添加工程を付加することを特徴とする。
本発明の好ましい実施形態としては、後述の如く、エネルギー最適化の観点から、工程(A)水素分離工程、工程(B)改質工程、工程(C)メタノール合成工程とを備え、メタノールの生産性の観点から工程(D)二酸化炭素回収工程、及び工程(E)分離水素添加工程を付加する方法が挙げられる。この方法において、工程(A)に導入される各原料ガスの組成、及び工程(C)入口でのガス組成を規定することでエネルギー及び生産性において最適なメタノールの製造方法と成り得る。
以下、原料ガス及び各工程について説明する。
[原料ガス]
出発原料となる水素、メタンなどの低級炭化水素、炭素酸化物を含む原料ガスとしては、例えば、コークス炉ガス、石炭ガス化ガス、転炉ガス、高炉ガス、アスファルトガス化ガス、重質油残渣ガス化ガス、石油コークスガス化ガス、改質炉ガス、オキソガス、バイオガス、バイオマスガス化ガス、廃棄物ガス化ガス、天然ガス(LNG、NG)、LPG、メタンハイドレード、燃焼排ガス(主に二酸化炭素)、石油化学又は石油精製のオフガス等が上げられる。これらの原料ガスは、単一で用いてもよく、2種以上を組み合わせた混合ガスとして使用してもよい。これらの原料ガスの中で、水素、炭化水素、炭素酸化物を一定割合で含有し、本発明のプロセスに安定して組み込めること、及び埋蔵量豊富な石炭由来のガスであることから、コークス炉ガス、石炭ガス化ガスを利用することが好ましい。また、環境対策の一助となること、及び原料として豊富に存在することから燃焼排ガスをこれらに組み合わせて利用することがより好ましい。
原料ガスとして、例えば、コークス炉ガス、石炭ガス化ガス、及び二酸化炭素(燃焼排ガスなどから回収)を用いた場合には、コークス炉ガス:石炭ガス化ガス:二酸化炭素の流量比として、1:0.0〜1.5:0.0〜0.7にすることが好ましく、より好ましくは1:0.0〜1.0:0.0〜0.5である。
出発原料に含まれるメタンなどの低級炭化水素としては、特に限定されないが、通常は、炭素数1〜10のオレフィンやパラフィンが用いられ、好ましくは炭素数1〜4のオレフィンやパラフィンであり、具体的には、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、アセチレンが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、炭素酸化物としては、特に限定されないが、通常、一酸化炭素、二酸化炭素を用いる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
出発原料となる水素、メタンなどの低級炭化水素、炭素酸化物を含む原料ガスは、上述した原料ガスの組み合わせなどにより、目的とする組成に調整すればよく、例えば、水素などは、後述するような方法、つまり深冷分離法、吸着分離法(PSA、TSA)、化学/物理吸収法、分離膜法を用いて、上述した原料ガスから分離回収して用いてもよい。
また、二酸化炭素などは、後述する方法を用いて、化学プラントにおける改質炉・燃焼炉の排ガスや、大気中に存在する二酸化炭素を回収して用いてもよい。
[工程(A)水素分離工程]
原料ガスからの工程(A)水素分離工程では、原料ガス中に含有する余剰な水素を分離することによって、次工程の工程(B)改質工程における改質反応を平衡上有利にし、原料ガス中のメタンなどの低級炭化水素を効率的に一酸化炭素及び水素に変換できる。
尚、分離した水素は、工程(B)改質工程における改質炉の熱源として燃料に利用することができる。また、後述するように下流の工程(C)メタノール合成工程における二酸化炭素の効率的な反応を促進するため、工程(C)メタノール合成工程の入口に添加することもできる。
上述の原料ガスから水素を分離する方法としては、深冷分離法、吸着分離法(PSA、TSA)、化学/物理吸収法、分離膜法が挙げられ、省エネルギーの観点から装置構成も簡便な分離膜法を利用することが好ましい。分離膜法で使用される膜としては、高分子系分離膜、透析膜、限外濾過膜、精密濾過膜、液体膜、イオン交換膜等が挙げられるが、水素分離における分離効率の面から高分子系分離膜を用いることが特に好ましい。
一般に、高分子系分離膜に使用される膜素材には、ポリイミド、ポリアラミド、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、シリコン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、パラジウム系、シリカ・アルミナ・チタニア・ジルコニア等の酸化物及びそれらの複合酸化物、ゼオライト等が挙げられ、それぞれ分離目的に合わせて、耐熱性、耐久性、耐薬品性、機械的強度、透過速度、分離係数等から最適な膜素材が選定される。この中でも特にポリイミドやポリアラミドなどの有機高分子膜が化学プラントにおける使用実績も多く、また、パラジウム系やシリカなどは、耐熱性、分離係数が高いことから、これらの膜素材が、工程(A)水素分離工程における水素の分離に好ましい。
[工程(B)改質工程]
工程(B)改質工程では、改質反応を利用し、原料ガス中のメタンなどの低級炭化水素から、一酸化炭素などの炭素酸化物と水素の改質ガス(以下、合成ガスという場合もある)を製造する。
一般に、改質反応には、水蒸気改質法、炭酸ガス改質法、部分酸化改質法があり、低級炭化水素がメタンの場合、それぞれ下記式(I)〜(III)の反応が行われる。
水蒸気改質法:CH+HO→CO+3H−206kJ/mol (I)
炭酸ガス改質法:CH+CO→2CO+2H−247kJ/mol (II)
部分酸化改質法:CH+1/2O→CO+2H+36kJ/mol (III)
これらの改質法は、反応温度400〜1000℃、反応圧力は0.0〜3.5MPaG程度の運転条件で操作することが好ましい。これらの改質法では、触媒として、共通のものを使用でき、活性金属は、Ni、Pt、Pd、Rh、Ru、Ir、Mo、Lnの金属もしくは金属酸化物を単独もしくは複合させ、使用することが好ましい。特に好ましくは、価格も安価で、汎用的なNiの金属もしくは金属酸化物である。
水蒸気改質法は、原料ガスに水蒸気を添加して、炭素酸化物と水素を含む合成ガスを得る。原料ガス中に含まれる低級炭化水素がメタンの場合は、式(I)の反応が進行する。(水蒸気)/(原料ガス中カーボン)のmol比(以下、S/C と略記する)が、1.0〜5.0の範囲になるように、原料ガスや水蒸気の流量、又は反応温度や反応圧力などの反応条件を操作する。低級炭化水素のコーキングを防止し、更には使用水蒸気量を極力低減するといった観点から、S/Cを1.5〜3.5の範囲にすることが特に好ましい。
炭酸ガス改質法は、原料ガスに二酸化炭素を添加して、炭素酸化物と水素を含む合成ガスを得る。原料ガス中に含まれる低級炭化水素がメタンの場合は、式(II)の反応が進行する。(原料ガス中のカーボン)/(二酸化炭素)のmol比は、0.5〜2.0の範囲になるように、原料ガスや二酸化炭素の流量、又は反応温度や反応圧力などの反応条件を操作する。添加する二酸化炭素は、後述する二酸化炭素回収方法により、燃焼排ガスや大気中から回収したものを用いることも可能である。
また、低級炭化水素のコーキングを防止する観点から、S/C=0.5〜1.5程度で水蒸気を添加し、下記式(IV)を進行させることもできる。
C+2HO→CO+2H−88kJ/mol (IV)
部分酸化改質法は、原料ガスに空気もしくは酸素を添加し、炭素酸化物と水素を含む合成ガスを得る。原料ガス中に含まれる低級炭化水素がメタンの場合は、式(3)が進行する。(原料ガス中のカーボン)/(酸素)のmol比は、0.5〜6.0の範囲になるように、原料ガスや供給する空気もしくは酸素の流量、又は反応温度や反応圧力などの反応条件を操作する。添加する酸素は、市販の酸素発生装置や空気分離器などを用いればよく、空気をそのまま添加することもできる。但し、空気を添加した場合には、NOxが発生し、下流設備においてガム状物質の生成原因となる可能性がある。また、不活性ガスである空気中のNの濃縮によって下流設備での反応効率低下などを招く傾向にあることから、酸素を用いることが好ましい。
また、低級炭化水素のコーキングを防止する観点から、S/C=0.5〜1.5でスチームを添加し、式(IV)を進行させることもできる。
コーキング防止に関しては、特開2002−177783号公報で示されているように、触媒担体に酸化ダイヤモンドを用いることで、触媒金属との相互作用を弱め、酸化還元を容易に起こすことでコーキングの防止に触媒的な改良を加えている例もある。
これら改質法の中で、コーキング抑制効果があり、燃焼反応を伴っていないため、操業性・安全性が高く、更に反応効率が高いといった観点から、工業的に利用実績の多い水蒸気改質法を利用することが好ましい。
[工程(C)メタノール合成工程]
工程(C)メタノール合成工程では、工程(B)改質工程を出たガス中の炭素酸化物である一酸化炭素や二酸化炭素、及び水素から下記式(V)及び(VI)により、メタノールを合成する。
CO+2H→CHOH+92kJ/mol (V)
CO+3H→CHOH+HO+50kJ/mol (VI)
触媒としては、一般にCu−Zn−Alの金属もしくは金属酸化物触媒が使用される。反応は大きな発熱反応であり、mol数が減少する反応であることから、低温、高圧の条件が有利となる。
メタノール合成反応は、150〜300℃、2〜12MPaAの条件で操作される傾向にある。メタノール合成反応は、低温、高圧の条件ほど反応に有利となるが、反応温度が低すぎると、触媒活性を発現するのに十分なエネルギーが得られず、また圧力が高すぎると、ガスの昇圧に多大なエネルギーを使用することとなり、経済的ではない。そのため、一般的に反応器を1段で用いてのメタノール合成反応の場合、通常、操作条件としては、180〜260℃、8〜12MPaAである。
工程(C)メタノール合成工程に送られるガスは、上述の式(V)及び(VI)を効率的に進行させるため、mol比として0.3≦(H)/(2×(CO)+3×(CO))≦5.0、CO/CO≧0.4 ((H)、(CO)、(CO)は原料ガス中の水素、一酸化炭素、二酸化炭素のモル比を表す) にすることが好ましい。この範囲外でもメタノールを得ることは可能であるが、(H)/(2×(CO)+3×(CO))>5.0の場合、ガス中の水素が余剰となり、反応における昇圧や、後述する工程(G)未反応ガス循環工程を設置する場合に循環動力が過剰に必要となり、プロセス全体のエネルギー効率が悪い。逆に、(H)/(2×(CO)+3×(CO))<0.3の場合、ガス中の水素が不足していることから、上述の式(5)及び(6)の反応効率が悪化し、メタノールの生産性が低下する。
(CO)/(CO)<0.4では、上述の式(V)及び(VI)において、二酸化炭素よりも一酸化炭素の方が、メタノールを合成する反応が進行しやすいことから、メタノールの生産性に対するプロセス全体のエネルギー効率が低下する。
工程(C)メタノール合成工程入口におけるガス組成を上述の範囲に調整するために、上述した工程(A)水素分離工程で分離した水素、及び/又は後述する工程(D)二酸化炭素回収工程で回収した二酸化炭素を添加することも可能である。
メタノール合成反応を行う反応器は、温度・圧力の操作条件によっては、1器でも十分に反応平衡までメタノール合成反応を進行することは可能であるが、大きな発熱を伴う反応であることから、反応器内部の触媒層に、大きな温度分布が生じ、触媒劣化速度の不均
一化、触媒層中の大きな温度差による反応の非効率化が起こる。反応を平衡まで進行させるためには、一般に圧力を8〜12MPaAまで昇圧させる傾向にあり、工程(B)からのガス、及び後述する下流の工程(G)未反応ガス循環工程を設置する場合には、未反応ガスの昇圧に莫大な電力エネルギーを要する可能性がある。また、低圧力において1器で反応を行う場合には、同等のメタノール生産量を得るために未反応ガスの循環量を増加する必要が生じ、トータルのエネルギーとして有利とならない傾向にある。
これに対し、本発明においては、プロセスとしてエネルギー的に最適なメタノールの製造方法を提供することにあり、反応器数は、2器以上4器以下にすることが好ましい。反応器数を増やすことによって、反応器数1基のときよりも低圧力において1基時と同等のメタノール生成量を得ることができる。また、2器以上4器以下の反応器においては、反応器と反応器の間に、後述する工程(F)メタノール分離工程を各々設置することによって、反応器において合成されたメタノールを随時分離し、反応平衡を操作することで、効率的にメタノールを合成することもできる。
反応器数を増やせば増やすほど、反応圧力を低くし、反応効率を上げることができるが、反応器数を増やすことで反応器に関わる建設コストが増大する。そのため、反応器数は、2器以上4器以下用いて、これらを直列につなぎ、且つそれぞれの反応器内の内圧は4〜9MPaAに保持してメタノール合成反応を行う。反応器の内圧として、好ましくは、4〜7MPaAの範囲であり、特に好ましくは、4〜6MPaAである。また、反応器数として好ましくは、2器以上3器以下である。
[工程(D)二酸化炭素回収工程]
工程(D)二酸化炭素回収工程では、工程(B)改質工程の改質炉、その他の燃焼炉の燃焼排ガス、もしくは大気中から二酸化炭素を回収し、メタノールを増産するための原料として用いる。回収した二酸化炭素は、工程(B)改質工程及び/又は工程(C)メタノール合成工程の入口に添加する。
工程(B)改質工程の入口に二酸化炭素を添加した場合は、上述した炭酸ガス改質法や下記式(7)の逆シフト反応が進行し、一酸化炭素と水素の合成ガスを得る原料となる。
CO+H→CO+HO−42kJ/mol (VII)
工程(C)メタノール合成工程の入口に二酸化炭素を添加した場合は、上述した式(VI)が進行し、メタノールを合成する原料となる。
二酸化炭素を添加する工程に特に制約はないが、二酸化炭素を原料とするための利用率を考えると、各工程の操作条件においては、上述の式(II)及び(VII)よりも式(VI)
の方が、発熱反応のため、反応が進行しやすく、また二酸化炭素原料から直接的にメタノールを合成できることから、工程(C)メタノール合成工程の入口に二酸化炭素を添加することが好ましい。また、工程(C)メタノール合成工程入口で、上述したようなガス組成に調整する目的で、工程(D)二酸化炭素回収工程で回収した二酸化炭素を添加することもできる。
また、工程(C)メタノール合成工程入口でのガス組成を調整する目的で、工程(D)二酸化炭素回収工程で回収した二酸化炭素を添加する、或いは、合成されるメタノールの生産性を向上させるために、二酸化炭素を添加することもできる。
排ガスなどから二酸化炭素を回収する方法としては、吸収液(エタノールアミン、メタノール、ポリエチレングリコール、炭酸カリ水溶液など)と接触させる吸収法、吸着剤(合成ゼオライト、活性炭など)に吸着させる吸着法、高分子膜(ポリイミド膜、ゼオライト膜、シリカ膜、炭素膜など)で膜分離する分離膜法などがある。例えば、特開平5−184865号公報で記載された方法、すなわち、燃焼排ガスとモノエタノールアミン(MEA)水溶液を常圧下で接触させて、燃焼排ガス中に含まれる二酸化炭素を除去して回収する吸収法が適している。
[工程(E)分離水素添加工程]
工程(E)分離水素添加工程では、工程(A)水素分離工程で分離した水素を工程(C)メタノール合成工程の入口に添加し、プロセス的に最適なエネルギー効率となるように、上述したガス組成に調整する。また同時に、工程(D)二酸化炭素回収工程で回収された二酸化炭素を工程(C)メタノール合成工程入口に添加した場合に、二酸化炭素の利用率及びメタノールの生産性を向上させるために、分離水素を添加する目的も併せ持つ。
[工程(F)メタノール分離工程]
上述した工程(A)〜(C)に加えて、必要で応じて次の工程(F)メタノール分離工程を付加してもよい。工程(F)メタノール分離工程では、工程(C)メタノール合成工程でメタノールを生成し、それを含有するガスからメタノールを分離する。メタノールを分離された炭素酸化物などの未反応ガスを含むガスは、必要に応じて、後述する工程(G)未反応ガス循環工程において、工程(C)メタノール合成工程の入口に送ることもできる。
メタノールを分離する方法は、特に制限されないが、冷却分離が好ましい。
冷却分離は、熱交換器でガスを冷却し、合成されたガス中のメタノールを凝縮させ、デミスター付きのセパレーターにて気液分離する方法である。この場合、凝縮液分を増加させるために冷凍機にて冷却温度を下げることもできる。また、圧力が高圧の方が凝縮温度を高く設定することができ、工程(C)メタノール合成工程を出て、比較的高い温度を保持している生成メタノール含有ガスから、冷却温度をさほど下げることなく、効率的にメタノールを分離することができる。工程(F)メタノール分離工程の分離圧力は、0.1〜12MPaAで操作する。メタノールの場合、この操作圧力においては、分離温度を10〜150℃で操作することが好ましい。冷却温度は低温の方が好ましいが、10℃未満まで低下させると、工程(C)メタノール合成工程で副生した水が凝固し、配管の閉塞などプロセス的なトラブルを引き起こす可能性がある。また、冷却設備が大きくなり、設備コストが高くなる。一般には、通常の冷却水として用いられる工業用水の温度10〜40℃程度で充分分離可能である。
[工程(G)未反応ガス循環工程]
上述した工程(C)メタノール合成工程の反応効率を向上させるため、必要に応じて、工程(F)メタノール分離工程で分離された未反応ガスを工程(C)メタノール合成工程入口に添加する工程(G)未反応ガス循環工程を設置することもできる。工程(D)メタノール分離工程で分離された未反応ガスが、工程(C)メタノール合成工程の入口に循環させるのに充分な圧力達していなければ、工程(G)未反応ガス循環工程において、ガス圧縮機を設置し、昇圧した上で工程(C)メタノール合成工程入口に添加することも可能である。
また、原料ガス中に含まれる微量な窒素などの不活性成分が工程(G)未反応ガス循環工程を通ることで濃縮され、工程(C)メタノール合成工程における反応効率を低下させる要因に成り得る。そのため、工程(G)未反応ガス循環工程から一部を抜出して、窒素などの不活性成分の濃縮を防止する。抜出した未反応ガスは、工程(B)改質工程の改質炉燃焼用燃料や、その他の燃焼用燃料として利用することができる。
[メタノール製造プロセス]
以下に図面を参照して、本発明のメタノールの製造プロセスをより具体的に説明する。
図1は、本発明のメタノールの製造方法の一例を示すフローシートである。
図1の製造プロセスは、工程(A)水素分離工程、工程(B)改質工程、工程(C)第1及び第2のメタノール合成工程、工程(D)二酸化炭素回収工程、工程(F)第1及び第2のメタノール分離工程、工程(G)未反応ガス循環工程で構成される。
また、効率的に最適なプロセスを構築するため、工程(E)分離水素添加工程を具備し
ている。
各工程及びラインでのガスの流れは次の通りである。
図1において、原料ガスはライン(1)から工程(A)水素分離工程に供給される。原料ガスとして、コークス炉ガス、石炭ガス化ガス、及び二酸化炭素を用いた場合には、上述したようにコークス炉ガス:石炭ガス化ガス:二酸化炭素の流量比として、1:0.0〜1.5:0.0〜0.7になるように調整することが好ましい。ここで、原料として用いる二酸化炭素は、工程(D)二酸化炭素回収工程で回収した二酸化炭素を利用することもできる。
原料ガスは、工程(A)水素分離工程において、原料ガス中の余剰な水素を分離される。水素を分離された原料ガスは、ライン(2)を通って工程(B)改質工程に送られる。分離した水素は、一部ライン(3)から工程(B)改質工程における改質炉の燃焼用燃料として使用されるが、通常、助燃用にコークス炉ガス、天然ガス(LNG、NG)、LPGなどと混合して使われる。残りの分離水素は、ライン(6)におけるガスの組成調整用に利用される。
工程(B)改質工程では、原料ガス中のメタンなどの低級炭化水素が、水蒸気改質法、炭酸ガス改質法、部分酸化改質法のいずれかの改質反応を受け、一酸化炭素と水素の合成ガスに変換される。
工程(B)改質工程を出たガスは、ライン(5)の二酸化炭素及び工程(E)分離水素添加工程の水素、及び工程(G)未反応ガス循環工程の未反応ガスと混合され、上述したような所定の組成:mol比として0.3≦(H)/(2×(CO)+3×(CO))≦5.0、CO/CO≧0.4に調整されて、ライン(6)を通り工程(C)第1のメタノール合成工程に送られる。
ライン(5)からライン(6)に導入される二酸化炭素は、工程(B)改質工程の改質炉から発生した燃焼排ガスが、ライン(4)を通って工程(D)二酸化炭素回収工程に導入され、燃焼排ガスから回収されたものである。
ライン(6)において所定の組成に調整されたガス中の炭素酸化物及び水素は、工程(C)第1のメタノール合成工程に送られ、内圧が4〜9MPaAの比較的低圧の反応器でメタノールに変換される。
工程(C)第1のメタノール合成工程から出たメタノールを含有するガスは、ライン(7)を通って、工程(F)第1のメタノール分離工程に送られる。
工程(F)第1のメタノール分離工程では冷却分離により、ガス中に含有するメタノールが液体としてライン(9)から排出される。また、工程(C)第1のメタノール合成工程において未反応だったガスは、ライン(8)を通って、工程(C)第2のメタノール合成工程に送られる。
工程(C)第2のメタノール合成工程では、第1のメタノール合成工程で未反応だったガス中の炭素酸化物及び水素からメタノールを合成する。工程(F)第1のメタノール分離工程において充分メタノールを分離できていることから、反応平衡上メタノール合成に有利となり、工程(C)第2のメタノール合成工程においても、内圧が4〜9MPaAといった比較的低圧の反応器で第1のメタノール合成工程と同等な反応活性を得ることができる。ライン(8)から工程(C)第2のメタノール合成工程に流れる過程で、特にガスの昇圧操作は必要なく、ライン(6)における昇圧のみでガスを一貫して流すことが可能である。
工程(C)第2のメタノール合成工程から出たメタノールを含有するガスは、ライン(
10)を通って、工程(F)第2のメタノール分離工程に送られる。
工程(F)第2のメタノール分離工程では冷却分離により、ガス中に含有するメタノールが液体として排出され、ライン(9)から送られたメタノールと一緒になり、ライン(11)からメタノール合成品として出ていく。また、工程(C)第2のメタノール合成工程において未反応だったガスは、工程(G)未反応ガス循環工程を通って、工程(C)第1のメタノール合成工程入口のライン(6)に添加される。工程(G)未反応ガス循環工程の未反応ガスは、ガス中の窒素などの不活性ガス濃縮防止のために、一部工程(B)改質工程の改質炉燃焼用ガスとして利用することもできる。
ライン(11)から出てきたメタノール合成品は、工程(C)第1及び第2のメタノール合成工程で副生した水が混合されており、必要に応じてメタノールと水を分離する。メタノールと水との分離は、適当な蒸留塔により容易に行うことができる。
[メタノールの用途]
本発明の方法で製造されたメタノールは、一般的に製造されるメタノール誘導体の全ての原料に使用できる。
メタノールは、例えば、脱水反応によるジメチルエーテル、酸化反応によるホルムアルデヒド、そのホルムアルデヒドの酸化反応によるギ酸、また、一酸化炭素との反応によるカルボニル化でギ酸メチルや酢酸、そのギ酸メチルの加水分解によるギ酸、ゼオライト触媒によるガソリン留分の多い炭化水素、発酵法によるタンパク質、アルキル化によるエタノール、二酸化炭素との反応による炭酸ジメチル、塩素化によるクロロメタン、エチレンと一酸化炭素の付加によるプロピオン酸メチル、そのプロピオン酸メチルとホルムアルデヒドの脱水縮合反応によるメタクリル酸メチルなどを製造することができる。また、メタノール誘導体であるクロロメタンとアンモニア、及びホルムアルデヒドと塩化アンモニウムの反応でメチルアミンを製造することもできる。
また、上述のような化学原料のみならず、高オクタン価自動車燃料としてガソリン混合用に利用することもできる。
メタノール誘導体の代表的なものとして挙げられるジメチルエーテルは、化粧品用スプレー噴射剤、塗料、農薬に利用されており、最近では二酸化炭素排出量の少ないクリーンなエネルギー源として、自動車や発電機等の燃料への普及が注目されている。また、石炭や汚泥などの高水分の物質に接触させて、脱水させる脱水剤としての利用も期待されている。
[実施例]
以下にメタノールの製造に関する実施例を示す。
<比較例1>
図2(a)に示すプロセスフローにおいてメタノールを製造する。
原料ガスは、脱硫、脱タール、脱ダストの前処理を行ったコークス炉ガスを用いる。なお、原料ガスに含まれる成分組成(vol%)は、H:59vol%、CO:7vol%、CO:2vol%、CH:27vol%、N:2vol%、C:2vol%、C:1vol
%である。
工程(B)の改質工程では、上記原料ガスを、Ni担持Al触媒を用い、反応圧力1.6MPaA、反応温度860℃、滞留時間(SV)=1500h−1、S/C=3.0で水蒸気改質法を行う。
工程(C)について、表1に、メタノール合成工程の反応器数、反応器内の圧力、及び反応器1器当たりの滞留時間SV(h−1)を示す。なお、メタノール合成反応における反応温度は、各メタノール合成反応とも触媒層の平均温度が225℃となるように制御する。
なお、表1における原料ガス量比とは、各プロセスフロー毎の原料ガス量の比率を示しており、例えば図2(a)において1Nm/hの原料ガスを用いた場合は、図2(b)及び図2(c)でも1Nm/hの原料ガスを用いることを意味している。
リサイクル比とは、工程(G)未反応ガス循環工程のガス量/工程(B)改質工程出口流量(工程(G)が添加される位置の原料ガス側の流量)を示している。
上記の条件でメタノールを合成する際の、反応結果(メタノール生産量比、カーボン転化率、及び余剰電力比)を表1に示す。メタノール生産量比とは、各プロセスフロー毎のメタノール生産量の比率を示しており、例えば図2(a)において1.0t/hのメタノールが生産された場合は、図2(b)及び図2(c)でも1.0t/hのメタノールが生産されることを意味している。生成するメタノールの収率は、メタノール合成工程入口の炭素酸化物中のカーボン(C)がメタノールに転化した割合であるカーボン転化率で表す。余剰電力比とは、自プロセスで必要となる電力量の他に、(更に発生する余剰の電力)=(外部に供給可能な電力)を各プロセスフロー毎の比率で示したものであり、例えば図2(a)において1MWhの電力が余剰に発生した場合は、図2(b)及び図2(c)ではそれぞれ3.5MWh、5.3MWh余剰に電力が発生する=外部に供給可能であることを意味する。
<比較例2>
図2(b)で示されるプロセスフローにおいて、メタノールを製造する。
反応条件については、表1に示す条件で行う以外は、比較例1と同様に実施する。反応結果を表1に示す。
<実施例1>
図2(c)で示されるプロセスフローにおいて、メタノールを製造する。
工程(A)水素分離工程は、ポリイミド系の有機高分子膜を用いて、原料ガスからの水素回収率が70%となるように、入口圧力を2.0MPaGとし、分離する水素の圧力を0.5MPaGに調整する。分離した水素は、改質工程における改質炉の燃焼ガスとして利用する。反応条件については、表1に示す条件で行う以外は、比較例1と同様に実施する。反応結果を表1に示す。
Figure 2009179591
表1の結果より、反応圧力4〜9MPaAにおいて複数のメタノール反応器で反応させ、更に改質工程の手前に水素分離工程を設け、原料ガス中の余剰水素を分離することで、改質工程における原料ガスボリュームを減らし、更には反応平衡を有利にすることで、メタノール生産量に対する製造プロセスから発生する余剰電力が大きく、より少ない電力量でメタノールを製造できることがわかる。
<実施例2>
図3に示すプロセスフローにおいてメタノールを製造する。
原料ガスは、コークス炉ガス(H59体積%、CO7体積%、CO2体積%、CH27体積%、N2体積%、C2体積%、C1体積%)、石炭ガス化ガス(H11体積%、CO88体積%、N1体積%)、二酸化炭素を混合して用いた。
改質工程及び水素分離工程の操作方法は、実施例1と同様にする。水素分離工程で分離した水素は、改質工程における改質炉の燃焼ガスとして利用し、助燃用にコークス炉ガスを用いる。
改質工程の改質炉から発生した燃焼排ガスは、工程(D)二酸化炭素回収工程において、モノエタノールアミンによる吸収法により、燃焼排ガスから二酸化炭素を回収する。回収した二酸化炭素は、水素分離工程入口の原料ガス、及びメタノール合成工程入口の原料ガスとしてプロセスラインに添加する。
メタノール合成工程は、反応器2器を用いる反応を行い、実施例1の反応条件と同様に反応させる。
各原料ガスの流量を変化させ、メタノール合成工程入口での各ガス成分組成を変化させたときのメタノール生産量の結果は、図4に示す通りである。
図4の結果から、メタノール合成工程入口のガス組成がmol比として0.3≦(H)/(2×(CO)+3×(CO))≦5.0の範囲にメタノール生産量のピークがあり、CO/COが上がればメタノール生産量も上がることが確認できる。
<実施例3>
図5(a)及び(b)に示すプロセスフローにおいてメタノールを製造する。
原料ガス、改質工程及び水素分離工程の操作方法は、実施例1と同様とし、二酸化炭素回収工程の操作方法は、実施例2と同様とする。
二酸化炭素回収工程で回収した二酸化炭素は、図5(a)においては、改質工程の入口に添加し、図5(b)においては、メタノール合成工程の入口に添加する。
メタノール合成工程は、2段反応器による反応を行い、反応条件は表2の通りとする。メタノール製造結果は、表2に示す。
Figure 2009179591
表2の結果から、二酸化炭素回収工程で回収した二酸化炭素は、メタノール合成工程入口に添加することによって、二酸化炭素を効率的にメタノール合成に利用できることが確認できる。
実施例の結果より、工程(A)水素分離工程、工程(B)改質工程、4〜9MPaAの反応圧力で多段化した工程(C)メタノール合成工程を必須工程として備え、必要に応じて工程(F)メタノール分離工程、及び工程(G)未反応ガス循環工程とを備え、メタノールの生産性の観点から工程(D)二酸化炭素回収工程、及び工程(E)分離水素添加工程を付加し、更には、コークス炉ガス、石炭ガス化ガス、工程(D)二酸化炭素回収工程で回収された二酸化炭素、及び工程(A)水素分離工程で分離した水素を用いて、工程(A)に導入される各原料ガスの組成、及び工程(C)入口でのガス組成を規定することで、エネルギー及び生産性において最適なメタノールの製造方法と成り得ることが期待できる。
本発明のメタノールの製造方法の一例を示すフローシートである。 本発明のメタノールの製造方法における製造方法の違いを示すフローシートである。 本発明のメタノールの製造方法において反応ガス組成を調整するのに必要な工程及び各種原料ガスを加味した一例を示すフローシートである。 本発明のメタノールの製造方法において反応ガス組成に対するメタノール生産量の関係を示す説明図である。 本発明のメタノールの製造方法において二酸化炭素の添加位置の違いを示すフローシートである。
符号の説明
A:水素分離工程
B:改質工程
C:メタノール合成工程
D:二酸化炭素回収工程
E:分離水素添加工程
F:メタノール分離工程
G:未反応ガス循環工程

Claims (4)

  1. 以下の(A)〜(C)の工程を含むメタノールの製造方法。
    工程(A) 水素、低級炭化水素、及び炭素酸化物を含む原料ガスから水素を分離する工程、
    工程(B) 工程(A)で水素が分離された原料ガスを改質して少なくとも水素及び炭素酸化物を含有する改質ガスを製造する工程、及び
    工程(C) 工程(B)で得られた改質ガスを、内圧を4〜9MPaAに保持した反応器が2器以上4器以下であり、且つ反応器同士が直列に結合された反応系に導入し、反応器内で触媒の存在下で水素と炭素酸化物を反応させ、メタノールを合成する工程。
  2. 前記原料ガスが、コークス炉ガス、石炭ガス化ガス、及び二酸化炭素からなり、且つコークス炉ガス:石炭ガス化ガス:二酸化炭素の流量比が1:0.0〜1.5:0.0〜0.7であることを特徴とする請求項1に記載のメタノールの製造方法。
  3. 前記工程(C)に導入する改質ガスが、炭素酸化物として一酸化炭素及び二酸化炭素を含有し、改質ガス中の水素、一酸化炭素、及び二酸化炭素が以下の関係式(1)および(2)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のメタノールの製造方法。
    0.3≦(H)/(2×(CO)+3×(CO))≦5.0・・・(1)
    (CO)/(CO)≧0.4・・・(2)
    (上記関係式において、(H)、(CO)、(CO)は原料ガス中の水素、一酸化炭素、二酸化炭素のモル比を表す)
  4. 以下の工程(D)及び(E)を更に有する請求項1〜3のいずれかに記載のメタノールの製造方法。
    工程(D) 工程(B)で発生した排ガスから二酸化炭素を分離して、工程(C)に導入する、二酸化炭素回収工程。
    工程(E) 工程(A)で分離した水素を工程(C)に導入する、分離水素添加工程。
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