JP2015020296A - 板状成形体の製造方法 - Google Patents

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俊光 神谷
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Abstract

【課題】繊維が歪む事態を抑制可能な板状成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂と、所定方向に揃えられた繊維21と、を含む板状体11をプレス成形してなる板状成形体20の製造方法であって、板状体11の一端部11Aを一対のクランプ51,52によって保持するとともに、板状体11の他端部11Bを一対のローラー61,62によって保持する保持工程と、一対のクランプ51,52及び一対のローラー61,62によって保持された板状体11を加熱する加熱工程と、一対のローラー61,62を一対のクランプ51,52から遠ざかる方向に移動させることで、板状体11を引っ張る引張工程と、一対のクランプ51,52及び一対のローラー61,62によって引っ張られた状態の板状体11を一対の成形型40によってプレス成形することで、板状成形体20を成形する成形工程と、を備えることに特徴を有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、板状成形体の製造方法に関する。
従来、熱可塑性樹脂と繊維とを含む板状成形体として、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1では、ブランクシート(板状体)を成形型によってプレス成形し、骨格層(板状成形体)とした後、繊維を含まない熱可塑性樹脂を表皮層として骨格層と一体的に形成するものが記載されている。
特開平05−185466号公報
繊維を含む板状成形体の機械的強度をより高くするためには、含まれている繊維が所定方向(一方向)に揃っていることが好ましい。しかしながら、板状体をプレス成形する際には、板状体の変形に伴って、含まれている繊維が歪む(よれる)ことが懸念され、この点において改善の余地があった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、繊維が歪む事態を抑制可能な板状成形体の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の板状成形体の製造方法は、熱可塑性樹脂と、所定方向に揃えられた繊維と、を含む板状体をプレス成形してなる板状成形体の製造方法であって、前記板状体における前記所定方向の一端部を第1保持部材によって保持するとともに、前記板状体における前記所定方向の他端部を第2保持部材によって保持する保持工程と、前記第1保持部材及び前記第2保持部材によって保持された前記板状体を加熱する加熱工程と、前記加熱工程の後に行われ、前記第2保持部材を前記第1保持部材から遠ざかる方向に移動させることで、前記板状体を引っ張る引張工程と、前記引張工程の後に行われ、前記第1保持部材及び前記第2保持部材によって引っ張られた状態の前記板状体を一対の成形型によってプレス成形することで、前記成形体を成形する成形工程と、を備えることに特徴を有する。
本発明の加熱工程においては、板状体の熱可塑性樹脂が加熱されることで軟化する結果、板状体における長手方向の中央部(保持されていない部分)が自重によって下方に垂れ下がり、含有されている繊維が歪む事態が懸念される。そこで、本発明では、加熱工程の後に、第2保持部材を移動させることで板状体を引っ張っている。これにより、垂れ下がった状態の板状体が引っ張られるため、繊維が歪む事態を抑制することができる。
さらに、成形工程においては、第1保持部材及び第2保持部材によって引っ張られた状態の板状体をプレス成形することとしている。このようにすれば、板状体に含まれる繊維に張力が付与された状態でプレス成形が行われることとなり、繊維が歪む事態を抑制することができる。これにより、板状成形体において、繊維を所定方向に揃った状態とすることができ、板状成形体の機械的強度を確保することができる。
上記構成において、前記第2保持部材は、一対のローラーとされ、前記成形工程では、前記板状体における前記他端部を前記一対のローラーで挟持しつつ、前記一対のローラーを互いに反対方向に回動させることで、前記板状体を引っ張るものとすることができる。
一対のローラーによって板状体を引っ張ることで、板状体に含まれる繊維に対して張力をより確実に付与させることができ、繊維が歪む事態をより確実に抑制することができる。
本発明によれば、繊維が歪む事態を抑制可能な板状成形体の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る板状成形体が設けられた基材を示す斜視図 本発明の実施形態1に係る成形装置を示す断面図 引張工程を示す断面図 成形工程を示す断面図 成形工程における成形型を示す断面図(図4のV−V線で切断した図に対応) 成形工程におけるローラーを示す断面図(図4のVI−VI線で切断した図に対応) 本発明の実施形態2に係る成形装置を示す断面図
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図6によって説明する。本実施形態では、板状成形体20として、例えば、車両用シートを構成する基材10の背面に取り付けられるものを例示する。
板状成形体20は、例えば、合成樹脂製の基材10を補強するための補強テープとされる。板状成形体20は、図1に示すように、長手状をなしており、例えば、基材10における端部に沿って設けられる。なお、本実施形態では、基材10に設けられた板状成形体のうち、車幅方向に延びるように配される板状成形体20を例示する。
板状成形体20は、基材10の表面形状に沿った形状をなしている。なお、基材10は、例えば、板状成形体20をインサート部材としたインサート成形によって成形される。これにより、板状成形体20は、基材10と一体的に設けられる。
板状成形体20は、所定方向に揃えられた繊維21(図5参照)に熱可塑性樹脂を含浸させることで構成されたプリプレグを板状に成形してなる板状体11(図2参照)を、基材10の表面形状に沿った形状に成形(賦形)することで製造される。なお、本実施形態の板状体11のように、繊維が所定方向(一方向)に引き揃えられた帯状のプリプレグは、UDテープと呼ばれることがある。
板状体11を構成する繊維21(強化繊維)としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維などを挙げることができ、板状体11を構成する熱可塑性樹脂(マトリックス樹脂)としては、例えば、ポリアミドやポリプロピレンなどを挙げることができる。なお、板状体11(板状成形体20)を構成する繊維21及び熱可塑性樹脂の材質は、上述したものに限定されず適宜変更可能である。
なお、本実施形態の板状体11では、板状体11の長手方向に沿って繊維21が揃えられている。つまり、板状体11に含まれる各繊維21の長手方向は、板状体11の長手方向と一致するものとされる。
板状成形体20は、図2に示す成形装置30を用いて製造される。次に成形装置30の構成について説明する。成形装置30は、図2に示すように、一対の成形型40(上型41及び下型42)と、一対のクランプ51,52(第1保持部材)と、一対のローラー61,62(第2保持部材)と、一対の赤外線ヒーター71,72と、を備えている。
上型41は、図示しない駆動装置(例えば、電動モータ、エアシリンダ、油圧シリンダなど)によって、下型42(固定型)に対して移動可能な可動型とされる。上型41を下型42に対して接近離間させることで、一対の成形型40の型閉じ及び型開きが可能な構成となっている。
上型41における下型42との対向面(成形面)には、下方に突き出す突部41Aが形成されている。下型42において突部41Aとの対向面(成形面)には、突部41Aに倣った形状なす凹部42Aが形成されている。
一対のクランプ51,52は、図示しない駆動装置によって、それぞれ上下方向に移動可能な構成となっている。一対のクランプ51,52を互いに接近させることで板状体11を挟持可能な構成となっている。
一対のローラー61,62は、図示しない駆動装置によって、それぞれ上下方向に移動可能な構成となっている。一対のローラー61,62を互いに接近させることで板状体11を挟持可能な構成となっている。
また、一対のローラー61,62は、それぞれ支持部材63,63に対して回転可能に取り付けられている。一対のローラー61,62は、図示しない駆動装置によって、それぞれ回動可能となっている。また、一対のローラー61,62は、その長さL1(図6参照)が板状体11の幅W1(図5参照)よりも長く設定されている。
一対の赤外線ヒーター71,72は、板状体11を表裏両側から挟むように配置されており、板状体11に向けて赤外線を放射可能な構成となっている。なお、一対の赤外線ヒーター71,72は、図3、図4では図示省略してある。
次に、本実施形態の板状成形体20の製造方法について説明する。本実施形態の板状成形体20の製造方法は、板状体11を保持する保持工程と、板状体11を加熱する加熱工程と、加熱された板状体11を引っ張る引張工程と、板状体11をプレスして板状成形体20を成形する成形工程と、を備えている。
(保持工程)
保持工程では、図2に示すように、一対のクランプ51,52によって板状体11の長手方向における一端部11A(所定方向の一端部、長手方向における一端側の部分)を表裏両側から挟んで保持する。また、一対のローラー61,62によって板状体11の長手方向における他端部11B(板状体11の長手方向における他端側の部分)を表裏両側から挟んで保持する。これにより、板状体11が水平方向に沿った状態で上型41と下型42との間に固定される。
(加熱工程)
加熱工程では、図2に示すように、一対のクランプ51,52及び一対のローラー61,62によって保持された板状体11を一対の赤外線ヒーター71,72によって加熱する。これにより、板状体11が軟化状態となる。また、一対の赤外線ヒーター71,72によって、上型41、下型42、及び一対のローラー61,62も加熱される。
(引張工程)
板状体11が軟化状態となることで、板状体11の長手方向における中央部は、図2の2点鎖線に示すように、自重によって垂れ下がる。そこで、加熱工程の後に行われる引張工程では、図3に示すように、板状体11を挟んだ状態の一対のローラー61,62を下方(一対のクランプ51,52から遠ざかる方向)に移動させる。これにより、板状体11が、その長手方向に引っ張られ、垂れ下がった状態が解除される。
なお、引張工程における一対のローラー61,62の対向間隔T2は、例えば、板状体11の厚さT1よりも小さくなるように設定されている。これにより、板状体11における一対のローラー61,62に挟まれた部分は、その周囲よりも板厚が小さくなる。
(成形工程)
引張工程の後に行われる成形工程では、まず、ローラー61を反時計回り(図4の矢線P1で示す方向)に回動させ、ローラー62を時計回り(図4の矢線P2で示す方向)に回動させる。つまり、一対のローラー61,62を互いに反対方向に回動させる。これによって、一対のローラー61,62に挟持された板状体11は、長手方向における他端側(図4の右側)に引っ張られる。
次に、一対のローラー61,62を回動させた状態(板状体11が引っ張られた状態)で、図4及び図5に示すように、上型41及び下型42を型閉じする。これにより、軟化状態の板状体11が上型41及び下型42の形状に倣った形状にプレス成形され、板状成形体20となる。そして、上型41及び下型42に接触することで板状成形体20が冷却され、板状成形体20の製造が完了する。
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態の加熱工程においては、板状体11の熱可塑性樹脂が加熱されることで軟化する結果、板状体11における長手方向の中央部(保持されていない部分)が自重によって下方に垂れ下がり、含有されている繊維21が歪む事態が懸念される。そこで、本実施形態では、加熱工程の後に、一対のローラー61,62を下方に移動させることで板状体11を引っ張っている。これにより、垂れ下がった状態の板状体11が引っ張られるため、繊維21が歪む事態を抑制することができる。
さらに、成形工程においては、一対のクランプ51,52及び一対のローラー61,62によって引っ張られた状態の板状体11をプレス成形することとしている。このようにすれば、板状体11に含まれる繊維21に張力が付与された状態でプレス成形が行われることとなり、繊維21が歪む事態を抑制することができる。これにより、板状成形体20(成形後の板状体11)において、繊維21を所定方向に揃った状態とすることができ、板状成形体20の機械的強度を確保することができる。
また、成形工程では、板状体11における他端部11Bを一対のローラー61,62で挟持しつつ、一対のローラー61,62を互いに反対方向に回動させることで、板状体を引っ張っている。
一対のローラー61,62によって板状体11を引っ張ることで、板状体11に含まれる繊維21に対して張力をより確実に付与させることができ、プレス成形時に、繊維21が歪む事態をより確実に抑制することができる。
なお、本実施形態では、成形後の板状体11(板状成形体20)の中央部が一方(図4では下方)に屈曲された形状をなしている。直線状に延びる板状体11をプレス成形によって屈曲させる際(板状成形体20の形状に成形する際)には、板状体11の下面付近の繊維21は引っ張られる一方で、板状体11の上面付近の繊維21は縮む。このため、板状体11の上面付近の繊維21が特に歪み易くなる。本実施形態では、一対のローラー61,62によって繊維21に張力を付与させた状態でプレス成形を行うため、プレス成形時に繊維21が縮む事態を抑制することができる。
また、一対のローラー61,62としては、回転トルク(又は回転数)をそれぞれ調節可能なものを用いることが好ましい。このようにすれば、成形する板状成形体20の形状に応じてローラー61,62の回転トルクをそれぞれ調節することができる。例えば、板状体11の上面側(繊維21が比較的縮み易い側)に配されたローラー61の回転トルクをローラー62の回転トルクより大きく設定することで、縮み易い側の繊維21に対して、より強い張力を付与させることができる。
また、本実施形態において、一対のローラー61,62で板状体11を引っ張る際には、一対のローラー61,62によって、板状体11の他端部11B(一対のローラー61,62によって挟持される部分)をプレスして、その板厚を小さくしている(図6参照)。
板状体11の板厚が大きいと、板厚方向における板状体11の中央部(表面より遠い部分)に配されている繊維21には、一対のローラー61,62からの力が作用し難く、張力を付与させることが困難となる。
図6に示すように、一対のローラー61,62によって、板状体11の他端部11Bをプレスし、その板厚を小さくすることで、一対のローラー61,62からの力を板状体11に含まれている繊維21のそれぞれに作用させることができる。これにより、繊維21の各々に対して、張力を確実に付与させることができる。なお、この時の板状体11の他端部11Bにおける板厚T2の値は、適宜設定可能であるが、例えば、板状体11の厚さT1の1/10〜1/2となる範囲で設定することが好ましい。
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図7によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、成形装置130の構成が上記実施形態と異なる。
本実施形態では、第2保持部材として、一対のローラー61,62の代わりに一対のクランプ161,162を備えている。一対のクランプ161,162は、図示しない駆動装置によって、互いに接近又は離間する方向に移動可能となっている。
一対のクランプ161,162間に板状体11を配した状態で、一対のクランプ161,162を接近させることで板状体11を挟持可能な構成となっている。
一対のクランプ161,162は、板状体11に向かうにつれて、一対のクランプ51,52から遠ざかる方向に傾斜する形で延びている。これにより、一対のクランプ161,162を、それぞれ延設方向(図7の矢線P3、P4参照)に沿って駆動させることで、板状体11の他端部を挟持しつつ、板状体11を引っ張ることができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)板状成形体20の形状及び用途は、上記実施形態で例示したものに限定されず、適宜変更可能である。また、一対の成形型40における成形面の形状も上記実施形態で例示した形状に限定されず、板状成形体20の形状に合わせて適宜変更可能である。
(2)上記実施形態では、板状体11を加熱する加熱装置として、赤外線ヒーターを例示したが、これに限定されない。加熱装置として、例えば、熱風を吹き付けることで板状体11を加熱可能な送風装置などを用いてもよい。
(3)上記実施形態では、引張工程において、一対のローラー61,62を下方に移動させる方法を例示したが、一対のローラー61,62の移動方向は、下方に限定されない。引張工程における一対のローラー61,62の移動方向は、一対のクランプ51,52から遠ざかる方向であればよく、例えば、上方であってもよいし、板状体11の長手方向における他端側(図3に示す右側)であってもよい。
(4)上記実施形態では、第1保持部材として、一対のクランプ51,52を例示したが、これに限定されない。第1保持部材として、例えば、一対のローラーを用いてもよい。
(5)上記実施形態では、繊維21の長手方向(所定方向)が板状成形体20(板状体11)の長手方向と一致する構成を例示したが、これに限定されない。
11…板状体、11A…板状体の一端部、11B…板状体の他端部、20…板状成形体、21…繊維、40…一対の成形型、51…クランプ(第1保持部材)、52…クランプ(第1保持部材)、61…ローラー(第2保持部材)、62…ローラー(第2保持部材)、161…クランプ(第2保持部材)、162…クランプ(第2保持部材)

Claims (2)

  1. 熱可塑性樹脂と、所定方向に揃えられた繊維と、を含む板状体をプレス成形してなる板状成形体の製造方法であって、
    前記板状体における前記所定方向の一端部を第1保持部材によって保持するとともに、前記板状体における前記所定方向の他端部を第2保持部材によって保持する保持工程と、
    前記保持工程の後に行われ、前記第1保持部材及び前記第2保持部材によって保持された前記板状体を加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程の後に行われ、前記第2保持部材を前記第1保持部材から遠ざかる方向に移動させることで、前記板状体を引っ張る引張工程と、
    前記引張工程の後に行われ、前記第1保持部材及び前記第2保持部材によって引っ張られた状態の前記板状体を一対の成形型によってプレス成形することで、前記板状成形体を成形する成形工程と、を備える板状成形体の製造方法。
  2. 前記第2保持部材は、一対のローラーとされ、
    前記成形工程では、前記板状体における前記他端部を前記一対のローラーで挟持しつつ、前記一対のローラーを互いに反対方向に回動させることで、前記板状体を引っ張る請求項1に記載の板状成形体の製造方法。
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