JP2015020265A - 面取回転工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】安定した面取り品質の面取りを容易に行うことが可能な面取回転工具を提供する。【解決手段】本発明の面取回転工具10は、複数の回転切削部20を周方向に並べて備え、回転切削部20に備えた溝部21の前側溝状稜線25が円弧25Eとその円弧の両端に連続した1対の接線25C,25Cとを含んだ形状をなし、円弧25Eに相当する円弧形刃部30のみでワークWを切削し、1対の接線25C,25Cに相当する1対の摺接部31,31はワークWを切削せずにワークWと摺接する構造になっている。また、これに加えて、回転切削部20はワークWに押されて面取回転工具10の回転中心側に移動するようになっている。【選択図】図1

Description

本発明は、回転してワークの面取対象角部を円弧面状に面取りする面取回転工具に関する。
従来、この種の面取回転工具として、刃先が円弧状に湾曲した円弧形刃部を回転軸から離れた位置に備えた構造のものが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
富士元工業株式会社、NICECUT,"R面取りシリーズ",[平成25年4月18日検索]、インターネット<URL:http://www.nicecut.co.jp/r.html>
しかしながら、上記した従来の面取回転工具では、ワークに対する面取回転工具の位置が正規の位置からずれて、面取対象角部を深く削り過ぎたり、削り足りなかったりして、面取り品質が安定しないという問題が生じ得た。特に面取対象角部の角度が、その面取対象角部の稜線方向に沿って徐々に変化していくような形状(例えば、ワークの平坦面に対して斜めに穿孔された孔の開口縁角部の形状)で、面取り品質が不安定になることが大きな問題になっていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、安定した面取り品質の面取りを容易に行うことが可能な面取回転工具の提供を目的とする。
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る面取回転工具は、回転してワークの面取対象角部を円弧面状に面取りする面取回転工具であって、回転半径方向の外側に向かって開口し、面取対象角部を受容可能な溝部を有した回転切削部を備え、回転切削部のうち回転方向の前側に配置された前面と溝部の内面との稜線を、溝部の底部に位置した円弧と、その円弧の両端に連続した1対の接線とを含んだ形状にして、その円弧に相当する部分をワークを切削可能な円弧形刃部とする一方、1対の接線に相当する部分をワークを切削不能な1対の摺接部とし、回転切削部を回転半径方向に往復動可能に支持する切削部支持部と、回転切削部を通常は正規の位置に保持し、回転切削部がワークに押されて面取回転工具の回転中心側に移動することを許容しかつ正規位置に戻るように付勢する切削部付勢手段とを備えたところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載の面取回転工具において、溝部の内面は、円弧形刃部から回転方向の後方に延びかつ後方に向かうに従って円弧形刃部の回転軌跡から面取回転工具の回転中心側に徐々に離れる逃げ面と、1対の摺接部から回転方向の後方に延びかつ後方に向かうに従って摺接部の回転軌跡から面取回転工具の回転中心と反対側に徐々に迫り出すか、或いは、溝部の幅方向の中央側に徐々に迫り出す非逃げ面とを含んでなるところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の面取回転工具において、回転切削部を周方向に複数備えて、それら複数の回転切削部の間で、円弧形刃部の曲率及び回転中心までの距離及び面取回転工具の軸方向における位置を同一にする一方、円弧形刃部の円弧長及び1対の摺接部の開き角を異ならせたところに特徴を有する。
請求項4の発明は、請求項3に記載の面取回転工具において、面取回転工具の先端部分は、円筒体を複数に縦割り分割して複数の片持ち梁片を備えた形状とされ、それら複数の片持ち梁片の先端部の外面周を周方向に横切るように溝部を形成して、各片持ち梁片の先端部を回転切削部とすると共に、各片持ち梁片の中間部及び基端部を、切削部支持部、兼、切削部付勢手段としたところに特徴を有する。
本発明の面取回転工具を回転させると、回転切削部の溝部が、面取回転工具の外周面を一周する周面溝の軌跡を描く。その周面溝にワークの面取対象角部を突入させると、回転切削部のうち前面と溝部の内面とが交差した稜線(以下、適宜「前側溝状稜線」という)からワークの面取対象角部に接近して溝部に面取対象角部を受け入れ、溝部の後方へと面取対象角部が外れていく動作が繰り返される。ここで、本発明の面取回転工具では、前側溝状稜線が、溝部の底部に位置した円弧と、その円弧の両端に連続した1対の接線とを含んだ形状をなし、円弧に相当する円弧形刃部のみでワークを切削し、1対の接線に相当する1対の摺接部はワークを切削せずにワークと摺接する構造になっている。また、これに加えて、回転切削部はワークに押されて面取回転工具の回転中心側に移動するので、ワークのうち面取対象角部を挟んだ両側の面が、1対の摺接部に摺接する位置まで面取対象角部を溝部に押し込みながら、面取回転工具を面取対象角部に沿って移動するだけで同一形状の面取り面をワークに加工することができる。即ち、本発明の面取回転工具を使用すれば、安定した面取り品質の面取りを容易に行うことができる。
上記した前側溝状稜線を構成する円弧と1対の接線とのうち円弧部分のみを刃部(円弧形刃部)にするための具体的な構成としては、円弧部分のみをエッジ形状にして接線部分をR面取り又はC面りした構成や、請求項2のように、円弧部分の後方のみに逃げ面を設けた構成が挙げられる。
請求項3の面取回転工具では、回転切削部を周方向に複数備えて、それら複数の回転切削部の間で1対の摺接部の開き角を異ならせたので、面取対象角部の角度が徐々に変化していくような場合であっても、容易に安定した面取り品質の面取りを行うことができる。詳細には、回転切削部の前側溝状稜線は、円弧の両端に1対の接線が連続した形状であるので、それら1対の接線に相当する部分の1対の摺接部の開き角が大きくなるに従って、円弧に相当する部分の円弧形刃部の円弧長(即ち、刃長)が短くなり、逆に、1対の摺接部の開き角が小さくなるに従って、円弧形刃部の円弧長(即ち、刃長)は長くなる。
よって、比較的小さい角度の面取対象角部に関しては、1対の摺接部の開き角が比較的大きい回転切削部の溝部に受容されたときには、その回転切削部の円弧形刃部では僅かにしか切削されずに、その回転切削部はワークに押されて回転中心側に退避し、一方、1対の摺接部の開き角が比較的小さい回転切削部の溝部に受容されたときには、その回転切削部の円弧形刃部にて深くかつ幅広に切削される。即ち、角度が比較的小さい面取対象角部は、1対の摺接部の開き角が比較的小さい回転切削部における前側溝状稜線の形状に合うように面取りされる。
また、比較的大きい角度の面取対象角部に関しては、1対の摺接部の開き角が比較的小さい回転切削部の溝部に受容されたときには、面取対象角部が円弧形刃部に触れる前に面取対象角部の両側の面が1対の摺接部に当接し、その回転切削部はワークに押されて回転中心側に退避し、一方、1対の摺接部の開き角が比較的大きい回転切削部の溝部に受容されたときには、その回転切削部の円弧形刃部にて浅くかつ幅狭に切削される。即ち、角度が比較的大きいワークの面取対象角部が、1対の摺接部の開き角が比較的大きい回転切削部における前側溝状稜線の形状に合うように面取りされる。
さらに、何れの回転切削部における1対の摺接部の開き角とも、面取対象角部の角度が一致していない場合には、複数の回転切削部のうち1対の摺接部の開き角が、面取対象角部の角度より大きくかつそれらの角度差が最も小さい回転切削部における前側溝状稜線に近い形状に面取りされる。これらにより、面取対象角部の角度の変化に伴って、面取り幅も徐々に変化するように面取りを行うことができる。即ち、本発明によれば、面取対象角部の角度が徐々に変化していくような場合であっても、ワークのうち面取対象角部を挟んだ両側の面が、1対の摺接部に摺接する位置まで面取対象角部を溝部に押し込みながら、面取回転工具を面取対象角部に沿って移動するだけでよく、安定した面取り品質の面取りを容易に行うことができる。
なお、回転切削部を回転半径方向に往復動可能に支持する構成としては、面取回転工具の本体部に径方向に延びた複数の支持孔を穿孔し、それら支持孔に本体部とは別部品である回転切削部を往復動可能に収容して抜け止めし、さらに、支持孔の奥側から外側へと回転切削部を弾性部材や圧縮ガス等で付勢する構成や、請求項4のように、面取回転工具の先端部分を複数の片持ち梁片に分割し、それら片持ち梁片の先端部の外面周に溝部を形成した構成が挙げられる。
本発明の一実施形態に係る面取回転工具の斜視図 面取回転工具の回転切削部の拡大斜視図 面取回転工具の横断面図 (A)図3のX−X切断面の断面図,(B)図3のY−Y切断面の断面図,(C)図3のZ−Z切断面の断面図 回転切削部の正面図 (A)回転切削部の平面図、(B)回転切削部の側断面図 ワークの側断面図 (A)鋭角の開口縁角部に鈍角用の回転切削部を宛った状態の側断面図,(B)鋭角の開口縁角部に鋭角用の回転切削部を宛った状態の側断面図面取回転工具の (A)鈍角の開口縁面取対象角部に鋭角用の回転切削部を宛った状態の側断面図,(B)鈍角の開口縁角部に鈍角用の回転切削部を宛った状態の側断面図
以下、本発明の実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態の面取回転工具10は、断面円形の中実シャフトに先端面から中間位置まで中心孔11A(図4(A)参照)を形成して円筒体11Bとし、その円筒体11Bを複数(例えば、6つ)の片持ち梁片12に縦割り分割した構造をなしている。なお、円筒体11Bを複数の片持ち梁片12に分割するために、図3に示すように、円筒体11Bには、その周方向を複数等分する位置に、中心孔11Aの直径より幅狭の分割スリット13が放射状に形成されている。
図1に示すように、各片持ち梁片12には、先端部の外面周を周方向に横切るように溝部21がそれぞれ形成され、各片持ち梁片12の先端部が本発明に係る回転切削部20をなすと共に、各片持ち梁片12の中間部及び基端部が、本発明に係る「切削部支持部」と「切削部付勢手段」とを兼ねている。
この面取回転工具10は、先端面側から見て、反時計回りとなる方向(即ち、図1及び図2に示した矢印Aの方向)に回転する。そして、各回転切削部20のうち回転方向の前側に配置された前面12F(片持ち梁片12の前面でもある)と溝部21の内面22との稜線25(以下、適宜、「前側溝状稜線25」という)の一部が円弧形刃部30になっている。具体的には、前側溝状稜線25は、図5に示すように、溝部21の底部に位置した円弧25Eと、その円弧の両端に連続した1対の接線25C,25Cとから構成されている。そして、その円弧25Eに相当する部分がワークを切削可能な円弧形刃部30をなし、1対の接線25C,25Cに相当する部分がワークを切削せずにワークと摺接する1対の摺接部31,31になっている。
図2に示すように、溝部21の内面22は、円弧形刃部30から後方に延びた溝内曲面23と、1対の摺接部31,31から後方に延びた1対の溝内平面24,24とからなる。溝内曲面23は、円弧形刃部30から後方に向かって徐々に拡径する円錐面であって、溝内曲面23が形成された部分では、溝部21が後方に向かって徐々に深く(図6(B)参照)かつ幅広になっている(図6(A)参照)。また、図6(B)に示すように、溝内曲面23のうち前端部から後方寄り位置に亘る範囲は、円弧形刃部30から後方に向かうに従って円弧形刃部30の回動軌跡30Kから面取回転工具10の回転中心側に徐々に離れて円弧形刃部30の「逃げ面」として機能するようになっている。
一方、各溝内平面24は、摺接部31から後方に向かって徐々に片持ち梁片12の外周面側に近づくように傾斜した平坦面になっている。即ち、各溝内平面24は、摺接部31から後方に向かうに従って摺接部31の回動軌跡から面取回転工具10の回転中心と逆側に徐々に迫り出した「非逃げ面」になっている。
また、回転切削部20の前面12Fは、図3に示すように、回転方向の前方に平行移動すると面取回転工具10の回転中心を含む中心面(図3の符号F参照)に含まれるように構成された平坦面をなしている。換言すれば、回転切削部20の前面12Fは、面取回転工具10の回転中心を含む中心面(図3の符号F参照)を、回転方向の後方に平行移動して重なる平面になっている。そして、円弧形刃部30にてワークを切削する際には、前面12Fが円弧形刃部30のすくい面として機能する。
以上により、溝部21の前側溝状稜線25のうち円弧25Eに相当する円弧形刃部30のみでワークを切削し、1対の接線25C,25Cに相当する1対の摺接部31,31は、ワークに摺接するようになっている。
複数の回転切削部20の間では、円弧形刃部30の曲率及び回転中心までの距離(図4の符号L参照)及び面取回転工具10の軸方向における位置が同一になっている。一方、円弧形刃部30の円弧長及び1対の摺接部31,31の開き角は、複数の回転切削部20の間で異なっている。具体的には、図3における左下の回転切削部20の開き角θa(図4(A)参照)、左上の回転切削部20の開き角θc(図4(B)参照)、下中央の回転切削部20の開き角θe(図4(C)参照)、右上の回転切削部20の開き角θb(図4(A)参照)、右下の回転切削部20の開き角θd(図4(B)参照)、上中央の回転切削部20の開き角θf(図4(C)参照)の順番で、1対の摺接部31,31の開き角が等間隔に大きくなっている。また、例えば、図3における右上の回転切削部20の開き角θbは90度で、その開き角より小さい開き角θa,θc,θeは鋭角、その開き角より大きい開き角θd,θfは鈍角になっている。
本実施形態の面取回転工具10の構成に関する説明は以上である。次に、この面取回転工具10の作用効果について説明する。本実施形態の面取回転工具10では、ワークの面取対象角部の角度が徐々に変化していくような場合であっても、容易に安定した面取り品質の面取りを行うことができる。その一例として、図7に示すようにワークWに穿孔した孔91の開口縁の角部92(以下、「開口縁角部92」という)を面取対象角部として面取回転工具10にて面取りする場合について説明する。
このワークWでは、平坦面90に対して斜めに孔91が穿孔されているので、孔91の開口は楕円形状になる。そして、楕円の長軸方向の一端(図7における位置P1)では開口縁角部92が鋭角になる一方、長軸方向の他端(図7における位置P3)では開口縁角部92が鈍角になり、楕円の長軸方向の一端から他端に向かって開口縁角部92の角度が徐々に大きくなるように変化している。また、楕円の長軸方向の一端と他端との間の中央位置(図7における位置P2)では、開口縁角部92が90度になっている。
なお、このワークWの開口縁角部92の最も小さい鋭角の角度は、例えば面取回転工具10が有する複数の回転切削部20のうち、最も小さい1対の摺接部31,31の開き角θa(図4(A)参照)と略同一で、開口縁角部92の最も大きい鈍角の角度は、最も大きい1対の摺接部31,31の開き角θf(図4(A)参照)とと略同一になっている。
さて、面取回転工具10にて面取りを行うには、例えば図示しないロボットの先端に取り付けられたロータに面取回転工具10を装着して回転させた状態にする。すると、複数の回転切削部20の溝部21が、面取回転工具10の外周面を一周する1つの周面溝の軌跡を描く。そこで、その周面溝にワークWの開口縁角部92を側方から突入させるように面取回転工具10の姿勢を変更しながら、開口縁角部92に沿って面取回転工具10を倣わせる。このとき周面溝の内部では、開口縁角部92に対して回転切削部20群が、次々と、それらの前側溝状稜線25から接近して溝部21に開口縁角部92を受け入れ、溝部21の後方へと開口縁角部92が外れていく動作が繰り返され、前側溝状稜線25における円弧形刃部30でワークWが切削されていく。
ここで、各回転切削部20の前側溝状稜線25は、円弧25Eの両端に1対の接線25C,25Cが連続した形状になっているので、それら1対の接線25C,25Cに相当する1対の摺接部31,31の開き角が大きくなるに従って、円弧25Eに相当する部分の円弧形刃部30の円弧長(即ち、刃長)が短くなり、逆に、1対の摺接部31,31の開き角が小さくなるに従って、円弧形刃部30の円弧長(即ち、刃長)は長くなる。
よって、比較的小さい角度の開口縁角部92に関しては、図8(A)に示すように、1対の摺接部31,31の開き角が比較的大きい回転切削部20の溝部21に受容されたときには、その回転切削部20の円弧形刃部30では僅かにしか切削されずに、その回転切削部20は、ワークWに押されて片持ち梁片12を撓ませながら回転中心側に退避し、一方、図8(B)に示すように、1対の摺接部31,31の開き角が比較的小さい回転切削部20の溝部21に受容されたときには、その回転切削部20の円弧形刃部30にて深くかつ幅広に切削される。即ち、角度が比較的小さいワークWの開口縁角部92が、1対の摺接部31,31の開き角が比較的小さい回転切削部20における前側溝状稜線25の形状に合うように面取りされる。
また、比較的大きい角度の開口縁角部92に関しては、図9(B)に示すように、1対の摺接部31,31の開き角が比較的小さい回転切削部20の溝部21に受容されたときには、開口縁角部92が円弧形刃部30に触れる前に、或いは、開口縁角部92が円弧形刃部30に僅かに面取りされただけで、開口縁角部92の両側の面が1対の摺接部31,31に当接し、その回転切削部20はワークWに押されて片持ち梁片12を撓ませながら回転中心側に退避し、一方、図9(A)に示すように、1対の摺接部31,31の開き角が比較的大きい回転切削部20の溝部21に受容されたときには、その回転切削部20の円弧形刃部30にて浅くかつ幅狭に切削される。即ち、角度が比較的大きいワークWの開口縁角部92が、1対の摺接部31,31の開き角が比較的大きい回転切削部20における前側溝状稜線25の形状に合うように面取りされる。
さらに、何れの回転切削部20における1対の摺接部31,31の開き角とも、開口縁角部92の角度が一致していない場合には、複数の回転切削部20のうち1対の摺接部31,31の開き角が、開口縁角部92の角度より大きくかつそれらの角度差が最も小さい回転切削部20における前側溝状稜線25に近い形状に面取りされる。これらにより、開口縁角部92の角度の変化に伴って、面取り幅も徐々に変化するように面取りを行うことができる。即ち、本実施形態によれば、上記した開口縁角部92のように面取対象角部の角度が徐々に変化していくような場合であっても、面取対象角部を挟んだ両側の面が、1対の摺接部31,31に摺接する位置まで面取対象角部を溝部21に押し込みながら、面取回転工具10を面取対象角部に沿って移動するだけでよく、安定した面取り品質の面取りを容易に行うことができる。
また、本実施形態の面取回転工具10によれは、角度が均一の面取対象角部の面取りに使用してもよい。即ち、角度が均一の面取対象角部に面取回転工具10を使用すれば、複数の回転切削部20のうちからその面取対象角部に最もあった回転切削部20が自動的に選定されて、その回転切削部20の前側溝状稜線25の形状に面取対象角部を面取りすることができる。よって、角度が異なる複数箇所の面取対象角部の面取りを行う場合に、本実施形態の面取回転工具10を使用すれば、1つの面取回転工具10で、工具交換を行うことなく、それぞれの面取対象角部に適した形状の面取りを行うことができる。
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)前記実施形態の面取回転工具10は、複数の回転切削部20の間で、1対の摺接部31,31の開き角が異なっていたが、複数の回転切削部20の間で、1対の摺接部31,31の開き角を同じにしてもよいし、回転切削部20を1つだけ備えた構成にしてもよい。そのような構成としても、従来の面取回転工具に比べ、安定した面取り品質の面取りを容易に行うことができる。
(2)前記実施形態の面取回転工具10は、回転切削部20を回転半径方向に往復動可能に支持するために複数の片持ち梁片12に回転切削部20が設けられていたが、例えば、面取回転工具の本体部に径方向に延びた複数の支持孔を穿孔し、それら支持孔に本体部とは別部品である回転切削部を往復動可能に収容して抜け止めし、さらに、支持孔の奥側から外側へと回転切削部を弾性部材や圧縮ガス等で付勢する構成にしてもよい。
10 面取回転工具
11B 円筒体
12 片持ち梁片
12F 前面
20 回転切削部
21 溝部
25 稜線
25C 接線
25E 円弧
30 円弧形刃部
31 摺接部
92 開口縁角部(面取対象角部)
W ワーク
θa〜θf 開き角

Claims (4)

  1. 回転してワークの面取対象角部を円弧面状に面取りする面取回転工具であって、
    回転半径方向の外側に向かって開口し、前記面取対象角部を受容可能な溝部を有した回転切削部を備え、前記回転切削部のうち回転方向の前側に配置された前面と前記溝部の内面との稜線を、前記溝部の底部に位置した円弧と、その円弧の両端に連続した1対の接線とを含んだ形状にして、その円弧に相当する部分を前記ワークを切削可能な円弧形刃部とする一方、前記1対の接線に相当する部分を前記ワークを切削不能な1対の摺接部とし、
    前記回転切削部を前記回転半径方向に往復動可能に支持する切削部支持部と、
    前記回転切削部を通常は正規の位置に保持し、前記回転切削部が前記ワークに押されて前記面取回転工具の回転中心側に移動することを許容しかつ前記正規位置に戻るように付勢する切削部付勢手段とを備えたことを特徴とする面取回転工具。
  2. 前記溝部の内面は、前記円弧形刃部から回転方向の後方に延びかつ後方に向かうに従って前記円弧形刃部の回転軌跡から前記面取回転工具の回転中心側に徐々に離れる逃げ面と、前記1対の摺接部から回転方向の後方に延びかつ後方に向かうに従って前記摺接部の回転軌跡から前記面取回転工具の回転中心と反対側に徐々に迫り出すか、或いは、前記溝部の幅方向の中央側に徐々に迫り出す非逃げ面とを含んでなることを特徴とする請求項1に記載の面取回転工具。
  3. 前記回転切削部を周方向に複数備えて、それら複数の回転切削部の間で、前記円弧形刃部の曲率及び回転中心までの距離及び前記面取回転工具の軸方向における位置を同一にする一方、前記円弧形刃部の円弧長及び前記1対の摺接部の開き角を異ならせたことを特徴とする請求項1又は2に記載の面取回転工具。
  4. 前記面取回転工具の先端部分は、円筒体を複数に縦割り分割して複数の片持ち梁片を備えた形状とされ、それら複数の片持ち梁片の先端部の外面周を周方向に横切るように前記溝部を形成して、各前記片持ち梁片の先端部を前記回転切削部とすると共に、各前記片持ち梁片の中間部及び基端部を、前記切削部支持部、兼、前記切削部付勢手段としたことを特徴としたことを特徴とする請求項3に記載の面取回転工具。
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