JP2015020192A - 鋳片の冷却方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】連続鋳造装置によって鋳造した鋳片を適正に冷却することにより安定的に所望組織に制御することができるようにする。
【解決手段】鋳片の鋼種及び冷却面に基づいた基本三次冷却水量αを設定する。鋳片の引抜停止時間に基づいた停止補正係数βを設定する。鋳片の搬送速度に基づいた搬送補正係数γを設定する。連続鋳造装置における平均鋳造速度に基づいた鋳造速度補正係数δを設定する。基本三次冷却水量α、停止補正係数β、搬送補正係数γ、鋳造速度補正係数δに基づいて三次冷却水量を求める。求めた三次冷却水量に基づいて、三次冷却帯における鋳片の三次冷却を行う。
【選択図】図3

Description

本発明は、連続鋳造装置によって鋳造した鋳片の冷却を行う鋳片の冷却方法に関する。
従来より、連続鋳造装置では、転炉や二次精錬装置等から出鋼された溶鋼を取鍋によってタンディッシュまで搬送し、搬送された取鍋内の溶鋼をタンディッシュへ注入後、このタンディッシュから鋳型へ溶鋼を供給することで、溶鋼(鋳片)を連続的に鋳造している。連続鋳造装置によって鋳造された鋳片は、下流側で所定の長さに切断され、その後、圧延等が行われる前に三次冷却帯によって冷却される。鋳片を冷却する技術として特許文献1〜4に示すものがある。
特許文献1では、連続鋳造開始からブルームクーラーへの到達時間により、ブルームクーラーでの冷却開始温度の管理と冷却速度の制御並びに分塊圧延のための加熱炉での加熱温度と在炉時間の管理を行い、加熱炉から抽出する際のブルームの表面温度と中心温度の温度差を一定範囲に制御し、抽出したブルームを分塊圧延すると共に、ブルームクーラーでのブルームの冷却は、ブルームクーラー装入から分塊圧延開始までの間、ブルームの矩形断面の短辺側を上面に維持することによりブルームクーラーでの冷却時のブルーム側面に分解圧延のロール圧下開始時のブルーム側面を一致させ、ブルームの側面から冷却している。
特許文献2では、切断したブルームを連続鋳造機外の冷却装置であるブルームクーラー装置に搬送し、ブルームの表面温度がAr3変態点以上の温度からブルームクーラー装置内に設置した冷却用スプレーノズルから冷却水をブルームに噴流し、ブルーム表面温度がAr3変態点に近づくほど、噴流する冷却水量の密度を大きくして、冷却速度を増加させて冷却している。
特許文献3では、所定の長さに切断された鋳片を搬送テーブルに載せて搬送する途中に、上下左右に設けられたスプレーから0.3m/min・m 以上の水を、移動する鋳片に散水して鋳片表面の急冷処理を行っている。
特許文献4では、所定長さに切断された連続鋳造後の炭素鋼高温鋳片をその表面においてオーステナイト域に認められる温度から670℃以下まで一旦冷却している。
特許第04261259号公報 特開2003−181608号公報 特開平08−187560号公報 特開平01−252730号公報
特許文献1〜4は、いずれも連続鋳造装置で鋳造した鋳片を冷却する技術であるものの、連続鋳造装置における鋳造条件を考慮した上で鋳片の冷却を行うものではないため、連続鋳造装置の鋳造条件が変化してしまうと、適正に鋳片を冷却して所望の組織にすることが難しいのが実情である。
そこで、本発明では、連続鋳造装置によって鋳造した鋳片を適正に冷却することにより安定的に所望組織に制御することができる鋳片の冷却方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明の鋳片の冷却方法は、連続鋳造装置によって鋳造した鋳片を切断後に、当該切断した鋳片の冷却を行う冷却方法であって、下記の工程(1)〜工程(4)を行った後、下記の工程(5)〜工程(15)を行い、前記切断した鋳片を三次冷却帯にて三次冷却を行うことを特徴とする。
(1)鋳片の鋼種及び冷却面に基づいた基本三次冷却水量αを設定する。
(2)鋳片の引抜停止時間に基づいた停止補正係数βを設定する。
(3)鋳片の搬送速度に基づいた搬送補正係数γを設定する。
(4)前記連続鋳造装置における平均鋳造速度に基づいた鋳造速度補正係数δを設定する。
(5)鋳造する鋳片の鋼種、冷却面を決定する。
(6)工程(5)及び工程(1)に基づいて、基本三次冷却水量αを決定する。
(7)鋳片の引き抜き停止時間を計測する。
(8)工程(7)及び工程(2)に基づいて、停止補正係数βを決定する。
(9)前記三次冷却帯の入側での鋳片の有無を検知し、鋳片が有りの場合は工程(10)に進み、鋳片無しの場合は工程(15)に進む。
(10)前記搬送速度及び前記平均鋳造速度を求める。
(11)工程(10)及び工程(3)に基づいて、搬送補正係数γを決定する。
(12)工程(10)及び工程(4)に基づいて、鋳造速度補正係数δを決定する。
(13)前記基本三次冷却水量α、停止補正係数β、搬送補正係数γ、鋳造速度補正係数δに基づいて、三次冷却水量を求める。
(14)工程(13)で求めた三次冷却水量に基づいて、前記三次冷却帯における鋳片の三次冷却を行う。
(15)所定時間後、工程(9)に戻る。
本発明によれば、連続鋳造装置によって鋳造した鋳片を適正に冷却することにより安定的に所望組織に制御することができる。例えば、鋳片を加熱炉に装入する前に、当該鋳片の表層を適切な組織に制御することができる。
連続鋳造装置、切断装置、三次冷却装置の概念図である。 鋳片の周りに冷却ノズルを配置した配置図である。 鋳片の三次冷却の手順を示すフローチャートである。 CCT線図である。 上面、下面、狭面の各冷却ノズルの正面図である。 上部冷却ノズルの特性を示す図である。 下部冷却ノズルの特性を示す図である。 狭面冷却ノズルの特性を示す図である。
本発明の連続鋳造方法について図を基に説明する。
本発明の鋳片の冷却方法は、連続鋳造装置によって鋳造した鋳片を切断後に切断した鋳片の三次冷却を行う方法である。
図1は、連続鋳造装置、この連続鋳造装置の下流側に配備され且つ連続鋳造装置で鋳造された鋳片を所定の長さに切断する切断装置、この切断装置で切断された鋳片を冷却する三次冷却装置を示したものである。
まず、連続鋳造装置、切断装置、三次冷却装置について説明する。
図1に示すように、連続鋳造装置1は、溶鋼(鋳片)を連続的に鋳造するものであって、例えば、ブルーム連続鋳造装置である。この連続鋳造装置1は、精錬処理された溶鋼2が装入された取鍋3と、取鍋3内の溶鋼が注入されて当該溶鋼2を一時的に貯留するタンディッシュ4と、このタンディッシュ4からの溶鋼2が供給される鋳型5と、この鋳型5により成型された鋳片Sを引き出すと共に、鋳片Sをサポートする複数のサポートロール6とを有している。
タンディッシュ4は、有底箱形となっており、タンディッシュ4の底部に溶鋼を注入する注入口が設けられ、この注入口に浸漬ノズルが接続されている。浸漬ノズルは、スライドバルブにより開閉可能となっており、スライドバルブの開閉によってタンディッシュ4から鋳型5への溶鋼の注入又は停止を行うことができる。
連続鋳造装置1では、転炉や二次精錬装置等から出鋼された溶鋼2を取鍋3によってタンディッシュ4まで搬送し、搬送された取鍋3内の溶鋼2をタンディッシュ4へ注入後、スライドバルブを開くことによって、鋳型5内の溶鋼2を連続的に鋳造することができる。溶鋼2(鋳片S)は、鋳型5によって一次冷却が行われると共に、鋳型5の下流側に配置された冷却ノズル(図示省略)によって二次冷却が行われる。
また、連続鋳造装置1によって鋳造された鋳片Sは、切断装置10に送られ、切断装置10によって所定の長さに切断される。この切断装置10は、連続鋳造装置1の下流側(連続鋳造装置10の最下流に設置されたピンチロール9の下流側)に設置されたもので、例えば、ガスによって鋳片Sの切断を行うガスカッタで構成されている。
三次冷却装置(三次冷却帯)11は、切断装置10の下流側に設置され、当該切断装置10で切断された後の鋳片Sの冷却(鋳片Sの三次冷却)を行う。即ち、三次冷却帯11は、所定長さに切断された鋳片を加熱炉に装入する前に冷却を行うものである。なお、三次冷却帯11は切断された鋳片Sの一本毎に冷却を行う。
図1及び図2に示すように、三次冷却帯11は、鋳片Sを搬送する搬送装置12と、鋳片Sの搬送方向に沿って所定の間隔で配置された冷却ノズル13とを備えている。搬送装置12は、載置された鋳片Sをローラによって搬送するローラ搬送装置で構成されている。冷却ノズル13は、鋳片Sの上面(広面側の上面)を冷却する上部冷却ノズル13aと、鋳片Sの下面(広面側の下面)を冷却する下部冷却ノズル13bと、狭面を冷却する一対の狭面冷却ノズル13cを備えている。したがって、上部冷却ノズル13a、下部冷却ノズル13b、狭面冷却ノズル13cによって矩形状の鋳片Sに対して四面を冷却することができる。
さて、連続鋳造装置1にて鋳片Sを鋳造した場合において、鋳片Sの所定部位が鋳型5から三次冷却帯11に至るまでの経過時間は、連続鋳造装置1で実際に行った鋳造条件によって変化する。例えば、連続鋳造装置1の鋳造速度が遅い場合、鋳片Sの所定部位が鋳型5から三次冷却帯11までに到達する経過時間は長くなる。一方、鋳造速度が速い場合は、鋳片Sの所定部位が鋳型5から三次冷却帯11までに到達する経過時間は短くなる。このように、鋳造速度の1つをとっただけでも、鋳片Sの所定部位が鋳型5から三次冷却帯11へ至る経過時間が異なり、この経過時間の長さにより、鋳片Sが三次冷却帯11に至るまでに冷却される度合いも異なる。その他、鋳片Sの鋼種や冷却場所によっても冷却能が異なる。
本発明では、鋳片Sを三次冷却する場合、当該鋳片Sの冷却に関する様々な要因(鋼種、冷却場所、操業に起因する三次冷却を実行前の冷却度合い等)を考慮し、当該三次冷却における三次冷却水量を決定して、最終的に鋳片Sの三次冷却を実行している。
以下、鋳片Sの三次冷却について詳しく説明する。
まず、鋳片Sの三次冷却の事前準備として、工程(1)〜(4)を行う。
図3に示すように、まず、工程(1)では、鋳片の鋼種及び冷却面に基づいた基本三次冷却水量αを設定する。鋳片(溶鋼)の成分によって冷却特性が異なるため、鋼種毎に基本三次冷却水量αが変わる。また、冷却する冷却面(上面、下面、狭面)によって熱伝達率が異なることから、冷却面毎に基本三次冷却水量αが変わる。
例えば、表1に示したように、3種類の鋼種(鋼種A、鋼種B、鋼種C)の成分表を設定する。また、表2に示すように、表1で設定した各鋼種に対して冷却面(上面、下面、狭面)の基本三次冷却水量αを設定するための基本水量テーブル(一覧表)を用意する。なお、表1の成分表の単位は、質量%である。
基本三次冷却水量αとは、鋳片Sを冷却した場合において、鋳片Sの表層から5mm以上の範囲に亘ってベイナイト(Zw)が単層として形成され、さらに、鋳片Sのコーナ部に過冷却に起因した割れが発生しなかった場合の水量としている。即ち、図4に示すように、CCT線図上のベイナイト(Zw)によって割れが発生しないとされる条件を満足する水量を基本三次冷却水量αとする。
詳しくは、鋼種A、鋼種B、鋼種Cの鋳片を鋳造する。そして、それぞれの鋼種A〜鋼種Cにおいて、各面(上面、下面、狭面)のそれぞれに冷却水を散布する。表3に示すように、鋳片Sの冷却終了後に、鋳片Sの表層から5mm以上の範囲に亘ってベイナイトが単層として現れ且つ過冷却割れが無かったものを合格品[表3の「○」]とし、合格品の鋳片Sにおいて、鋼種、各面及び水量の関係を表2に示すように、基本水量テーブルに記載する。
なお、表3は、基本鋳造速度(目標の鋳造速度)を1.05m/min、引抜停止時間を0分、平均鋳造速度を1.05m/minとした場合における合格品の結果を示したものである。基本三次冷却水量αは、実操業の結果により求めてもよいし、実験により求めても良い。
次に、工程(2)では、鋳片の引抜停止時間に基づいた停止補正係数βを設定する。
引抜停止とは、連続鋳造装置1において「鋳片Sを引き抜きながら鋳造を行うことを停止する」ことであって、引抜停止時間とは、例えば、前チャージと後チャージとの切り替え時に鋳型5内にシーケンスブロックを装入するために引き抜きを停止した時間のことである。
鋳片Sの引き抜きを停止している間は、連続鋳造装置1に留まっている鋳片Sは余分に冷却されることになる。そのため、引抜停止時間の長さに基づいて停止補正係数βを設定し、鋳片Sの三次冷却の際の冷却水量を補正することとしている。例えば、表4に示すように、引抜停止時間と、停止補正係数βとの関係を示す停止補正テーブル(一覧表)を用意し、実験や実操業によって、引抜停止時間の長さに応じた停止補正係数βを求め、求めた数値を停止補正テーブルに入力する。
停止補正係数βは、引き抜き停止時間の長さに対応して、上述した基本三次冷却水量αの減量するもので、百分率で表される。即ち、停止補正係数βは、引き抜き停止時間が長かったとしても、鋳片Sの表層から5mm以上の範囲に亘ってベイナイトが単層として現れ、さらに、過冷却割れが発生しないように、基本三次冷却水量αの補正を行うためのものである。停止補正係数βが「100%」とは、引き抜き停止があったとしても基本三次冷却水量αを減量する必要が無いことを示している。また、停止補正係数βが「90%」ということは、基本三次冷却水量αを10%減量することを示している。
なお、基本鋳造速度(目標の鋳造速度)を1.05m/min、引抜停止時間を0分、平均鋳造速度を1.05m/minとした場合は、停止補正係数βは、表5に示すようになった。上述した表4は、表5の結果をまとめたものである。
次に、工程(3)では、鋳片Sの搬送速度に基づいた搬送補正係数γを設定する。
搬送速度は、鋳片Sの切断完了後に移動する鋳片Sの速度であって、例えば、鋳片Sがガスカッタ10の出側から三次冷却帯11の入側までの間を移動した時の鋳片Sの平均速度である。なお、三次冷却帯11内を移動する鋳片Sの移動速度を一定に設定する場合は、ガスカッタ10の出側から三次冷却11の出側までの間の鋳片Sの移動速度を、搬送速度としてもよい。
鋳片Sの搬送速度が遅い場合は、鋳片Sが切断されてから三次冷却帯11に入るまでに冷却されることになる。そのため、搬送速度に基づいて搬送補正係数γを設定し、鋳片Sの三次冷却の際の冷却水量を補正することとしている。例えば、表6に示すように、搬送速度と、搬送補正係数γとの関係を示す搬送補正テーブル(一覧表)を用意し、実験や実操業によって、搬送速度に応じた搬送補正係数γを求め、求めた値を搬送補正テーブルに入力する。
搬送補正係数γは、搬送速度に対応して、上述した基本三次冷却水量αの減量するもので、百分率で表される。即ち、搬送補正係数γは、搬送速度が遅かったとしても、鋳片Sの表層から5mm以上の範囲に亘ってベイナイトが単層として現れ、さらに、過冷却割れが発生しないように、基本三次冷却水量αの補正を行うためのものである。搬送補正係数γが「100%」とは、基本三次冷却水量αを減量する必要が無いことを示している。また、搬送補正係数γが「50%」ということは、基本三次冷却水量αを50%減量することを示している。
なお、基本鋳造速度(目標の鋳造速度)を1.05m/min、引抜停止時間を0分、平均鋳造速度を1.05m/minとした場合は、搬送補正係数γは、表7に示すようになった。上述した表6は、表7の結果をまとめたものである。
次に、工程(4)では、連続鋳造装置1における平均鋳造速度に基づいた鋳造速度補正係数δを設定する。
平均鋳造速度とは、所定の鋳片Sが連続鋳造装置1によって鋳造されて切断されるまでの間の鋳片の速度ある。例えば、平均鋳造速度とは、鋳型5内のメニスカスに位置する鋳片(溶鋼)Sがガスカッタ10に入るまでの経過時間を、連続鋳造装置1の機体の長さ(鋳型5の上端からガスカッタ10までの距離)で割ることにより求めた値である。即ち、鋳型5内の上部位置する溶鋼が次第に冷却されながら移動して鋳片Sとなり、ガスカッタ10に至るまでの経過時間を機体長さで割った値を平均鋳造速度としている。
鋳片Sの平均鋳造速度が遅い場合は、鋳片Sは連続鋳造装置1内で余計に冷却されることになる。そのため、平均鋳造速度に基づいて鋳造速度補正係数δを設定し、鋳片Sの三次冷却の際の冷却水量を補正することとしている。例えば、表8に示すように、平均鋳造速度と、鋳造速度補正係数δとの関係を示す鋳造補正テーブル(一覧表)を用意し、平均鋳造速度に応じた鋳造速度補正係数δの数値を鋳造補正テーブルに入力する。
鋳造速度補正係数δは、平均鋳造速度に対応して、上述した基本三次冷却水量αの減量するもので、百分率で表される。即ち、鋳造速度補正係数δは、平均鋳造速度が遅かったとしても、鋳片Sの表層から5mm以上の範囲に亘ってベイナイトが単層として現れ、さらに、過冷却割れが発生しないように、基本三次冷却水量αの補正を行うためのものである。鋳造速度補正係数δが「100%」とは、基本三次冷却水量αを減量する必要が無いことを示している。また、鋳造速度補正係数δが「50%」ということは、基本三次冷却水量αを50%減量することを示している。
なお、基本鋳造速度(目標の鋳造速度)を1.05m/min、引抜停止時間を0分、平均鋳造速度を1.05m/minとした場合は、搬送補正係数γは、表7に示すようになった。上述した表8は、表9の結果をまとめたものである。
このように、鋳片Sの三次冷却を行う前に、工程(1)〜工程(4)を行い、鋳片の鋼種及び冷却面と基本三次冷却水量αとの関係、鋳片の引抜停止時間と停止補正係数βとの関係、鋳片の搬送速度と搬送補正係数γとの関係、平均鋳造速度と鋳造速度補正係数δとの関係を求める。
次に、工程(5)〜工程(15)を行うことにより、切断した鋳片Sを三次冷却帯11にて三次冷却を行う。この工程(5)〜工程(15)の説明では、実際に行った実施例と共に説明を進める。
この実施例では、連続鋳造装置1を「神戸製鋼所製、垂直曲げ型連鋳機」とした。また、連続鋳造装置1のストランド数を2ストランドとし、鋳型サイズを300×430mmとし、メニスカスから三次冷却帯の入側までの距離(機長長さ)を48.3mとした。三次冷却帯11における三次冷却方法では、ミスト状の冷却水を鋳片Sの上面、下面、狭面の4面に噴射した。三次冷却帯11の冷却ノズルの本数は、1面毎に24本とした。三次冷却帯11の長さは7.23mとした。
また、実施例では、図5に示すように、先端に噴霧口を2つ有する冷却ノズルを用いることとし、図6に示す特性を示す上部冷却ノズル13aを使用し、図7に示す特性を示す下部冷却ノズル13bを使用し、図8に示す特性を示す狭面冷却ノズル13cを使用した。また、冷却ノズルの気水体積比31とし、ノズル角は、鋳片Sの上下面に対しては95°、狭面に対しては111°とした。
工程(5)では、鋳造する鋳片の鋼種、冷却面を決定する。連続鋳造装置1にて鋳片Sを鋳造するにあたって、溶鋼成分により鋼種を決定する。例えば、溶鋼成分に関して、C=0.20質量%、Si=0.30質量%、Mn=0.80質量%、Cr=1.00質量%、Mo=0.50質量%である場合、「鋼種A」とであると決定する。また、冷却面を上面、下面、狭面とする。なお、以降、便宜上、冷却面を上面として説明を続ける。
工程(6)では、工程(5)及び工程(1)に基づいて、基本三次冷却水量αを決定する。即ち、工程(5)において設定した冷却面(「上面」)に関して、当該上面の基本三次冷却水量αを、工程(1)で求めた基本水量テーブルから求める。つまり、「鋼種A」の「上面」の基本三次冷却水量αを基本水量テーブルから抽出した。この実施形態では、基本三次冷却水量αは11L/minとなる。
工程(7)では、鋳片の引き抜き停止時間を計測する。即ち、前チャージと後チャージとの間で引抜停止時間を測定する。この実施形態では、引抜停止時間は6.0minであった。
工程(8)では、工程(7)及び工程(2)に基づいて、停止補正係数βを決定する。即ち、工程(7)で測定した引抜停止時間に対応する停止補正係数βを停止補正テーブルから抽出した。この実施形態では、引抜停止時間が6.0minであるため、停止補正係数βは90%となる。
工程(9)では、三次冷却帯11の入側での鋳片の有無を検知し、鋳片Sが有りの場合は工程(10)に進み、鋳片Sが無しの場合は工程(15)に進む。工程(9)では、予め三次冷却帯11の入側にセンサ等を設置し、このセンサにより三次冷却帯11に鋳片Sが入ったか否か(鋳片Sの有無)を検知する。鋳片Sの検知は、所定時間(例えば1秒)毎に行う。
工程(10)では、搬送速度の実績値及び平均鋳造速度の実績値を求める。即ち、鋳片Sが有る場合、当該鋳片Sがガスカッタ10から三次冷却帯11に至るまでの搬送速度の実績値を求めると共に、当該鋳片Sが鋳造されたときの平均鋳造速度の実績値を求める。搬送速度及び平均鋳造速度は、所定時間(例えば1秒)毎に行う。
さらに具体的には、ガスカッタ10の下流側に設置された搬送ロール8の回転速度により搬送速度を計算すると共に、ガスカッタ10の上流側に設置されたピンチロール9の回転速度により平均鋳造速度を計算した。この実施形態では、搬送速度は1.0m/min、平均鋳造速度は、0.90m/minとなった。
工程(11)では、工程(10)及び工程(3)に基づいて、搬送補正係数γを決定する。即ち、工程(10)で計算した搬送速度に対応する搬送補正係数γを搬送補正テーブルから抽出した。この実施形態では、搬送速度が1.0m/minであるため、搬送補正係数γは100%となる。
工程(12)では、工程(10)及び工程(4)に基づいて、鋳造速度補正係数δを決定する。即ち、工程(10)で計算した平均鋳造に対応する鋳造速度補正係数δを鋳造補正テーブルから抽出した。この実施形態では、平均鋳造速度は、0.90m/minであるため、鋳造速度補正係数δは80%となる。
工程(13)では、基本三次冷却水量α、停止補正係数β、搬送補正係数γ、鋳造速度補正係数δに基づいて、三次冷却水量Qを求める。即ち、「三次冷却水量Q=基本三次冷却水量α×停止補正係数β×搬送補正係数γ×鋳造速度補正係数δ」により、三次冷却水量を求める。この実施形態では、基本三次冷却水量α=11L/min、停止補正係数β=90%、搬送補正係数γ=100%、鋳造速度補正係数δ=80%であるため、三次冷却水量Qは、7.92L/minとなる。
工程(14)では、工程(13)で求めた三次冷却水量Qに基づいて、三次冷却帯11における鋳片Sの三次冷却を行う。鋳片Sが三次冷却帯11に入ったとき、当該鋳片Sの上面に、上部冷却ノズル13aを用いて工程(13)で求めた三次冷却水量Q(7.92L/min)の冷却水を噴射する。なお、工程(9)〜工程(14)までの処理は、1秒毎に行うため、鋳片Sの上面に0.132L(7.92L/min÷60min)の冷却水を噴射する。
工程(15)では、所定時間後(1秒間経過後)、工程(9)に戻り、鋳片Sの三次冷却を繰り返し行う。なお、当然の如く、上面以外の面を冷却する場面も、工程(5)〜工程(15)を行う。
以上述べたように、工程(1)〜工程(4)を行った後、工程(5)〜工程(15)を行うことによって、切断した鋳片Sに対して三次冷却帯11にて三次冷却を行っているため、鋳片を適正に冷却することができる。即ち、三次冷却後の鋳片Sを所望組織にすることができる。つまり、鋳片Sの表層を加熱炉に装入する前に、ベイナイト組織にすることができる。それゆえ、鋳片Sに対して、磁粉探傷試験を行ったとしても、その表面に疵が現れることがなく、疵の無い鋳片を製造することができる。
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
1 連続鋳造装置
2 溶鋼
3 取鍋
4 タンディッシュ
5 鋳型
6 サポートロール
8 搬送ロール
9 ピンチロール
10 切断装置
11 三次冷却装置
12 搬送装置
13 冷却ノズル
13a 上部冷却ノズル
13b 下部冷却ノズル
13c 狭面冷却ノズル
S 鋳片

Claims (1)

  1. 連続鋳造装置によって鋳造した鋳片を切断後に、当該切断した鋳片の冷却を行う冷却方法であって、
    下記の工程(1)〜工程(4)を行った後、下記の工程(5)〜工程(15)を行い、前記切断した鋳片を三次冷却帯にて三次冷却を行うことを特徴とする鋳片の冷却方法。
    (1)鋳片の鋼種及び冷却面に基づいた基本三次冷却水量αを設定する。
    (2)鋳片の引抜停止時間に基づいた停止補正係数βを設定する。
    (3)鋳片の搬送速度に基づいた搬送補正係数γを設定する。
    (4)前記連続鋳造装置における平均鋳造速度に基づいた鋳造速度補正係数δを設定する。
    (5)鋳造する鋳片の鋼種、冷却面を決定する。
    (6)工程(5)及び工程(1)に基づいて、基本三次冷却水量αを決定する。
    (7)鋳片の引き抜き停止時間を計測する。
    (8)工程(7)及び工程(2)に基づいて、停止補正係数βを決定する。
    (9)前記三次冷却帯の入側での鋳片の有無を検知し、鋳片が有りの場合は工程(10)に進み、鋳片無しの場合は工程(15)に進む。
    (10)前記搬送速度及び前記平均鋳造速度を求める。
    (11)工程(10)及び工程(3)に基づいて、搬送補正係数γを決定する。
    (12)工程(10)及び工程(4)に基づいて、鋳造速度補正係数δを決定する。
    (13)前記基本三次冷却水量α、停止補正係数β、搬送補正係数γ、鋳造速度補正係数δに基づいて、三次冷却水量を求める。
    (14)工程(13)で求めた三次冷却水量に基づいて、前記三次冷却帯における鋳片の三次冷却を行う。
    (15)所定時間後、工程(9)に戻る。
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