JP2015019485A - 永久磁石埋設型回転電機 - Google Patents

永久磁石埋設型回転電機 Download PDF

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Shuji Takimoto
修二 滝本
博史 深作
Hiroshi Fukasaku
博史 深作
米良 実
Minoru Mera
実 米良
安谷屋 拓
Hiroshi Ataya
拓 安谷屋
雅俊 小林
Masatoshi Kobayashi
雅俊 小林
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Abstract

【課題】トルクリップルを抑制することができる永久磁石埋設型回転電機を提供すること。【解決手段】回転子15の外周面におけるブリッジ18の両側には一対の凹状部21A,21Bが形成されている。一対の凹状部21A,21Bは、回転子15の径方向外側でブリッジ18及び空隙19A,19Bを覆うように形成される凸状部22によって結ばれている。そして、回転子15の径方向において、凹状部21A,21Bの最深部23D,24Dから永久磁石収容部16A,16Bまでの最短距離H1を、凸状部22から空隙19A,19Bまでの最短距離H2よりも短くした。これによれば、一対の凹状部21A,21B付近の磁気抵抗が効率良く高められる。【選択図】図3

Description

本発明は、永久磁石埋設型回転電機に関する。
永久磁石埋設型回転電機では、回転子の内部に複数の永久磁石が回転子の周方向に隣り合うように埋設されており、回転子の周方向に隣り合う一対の永久磁石の磁極が互いに異なるようにしてある。隣り合う一対の永久磁石の間付近には急激な磁束密度変動が発生するため、トルク脈動(以下、「トルクリップル」と称する)が生じ、これが振動、騒音をもたらす。
図5(a)には、回転子の回転位置と1つのティースに働く力(ティーストルク)との関係を示す。なお、ここでは、10極30スロットの回転子を考える。波形Δと横軸とは、横軸上の始端と終端との角度間隔が24°の2等辺三角形を形成している。全てのティースに関するこのような波形Δを合成すると、図5(b)のグラフにおける直線TΔが得られる。つまり、1つのティースに働くティーストルクが波形Δで表される力であれば、全体トルクは一定となり、トルクリップルは零となる。以下においては、波形Δを「理想波形Δ」と言う。
図5(a)の波形Eλ1は、外周の全周が一定の半径の円周からなる回転子を用いた場合に、この回転子の回転位置と1つのティースに働くティーストルクとの関係を示している。全てのティースに関するこのような波形Eλ1を合成すると、図5(b)のグラフにおける合成波形Teが得られる。つまり、1つのティースに働くティーストルクが波形Eλ1で表される力であれば、トルクリップルが零ではない全体トルクがもたらされる。
図5(a)に示す円C10で囲む領域及び円C20で囲む領域では、波形Eλ1が理想波形Δから上側へずれる程度が大きい。円C10,C20で囲む領域でのずれ程度が大きいほど、トルクリップルが大きくなる。よって、波形Eλ1の形状を理想波形Δの形状に近づけるほど、トルクリップルは小さくなる。
図6示すように、回転子100の外周を、回転軸線を中心とする半径Rの円周部101A,101Bと、一対の凹状部102A,102Bと、凸状部103とによって形成したものが従来から知られている(例えば特許文献1)。一対の凹状部102A,102B間の凸状部103は、一対の凹状部102A,102Bの最深部104A,104Bよりも半径方向(回転子100の径方向)の外側にある。回転子100において、隣り合う一対の永久磁石105A,105Bの隣り合う磁極端部間にはブリッジ106が設けられている。凹状部102Aは、回転子100の周方向において、ブリッジ106よりも、永久磁石105Aの磁極中心部C1側にあり、凹状部102Bは、回転子100の周方向において、ブリッジ106よりも、永久磁石105Bの磁極中心部C1側にある。
ここで、図5(a)に示す円C10,C20で囲む領域におけるティーストルクは、一対の凹状部102A,102B付近に集中して発生することが、コンピュータを用いたFEM(有限要素法)解析によって見出されている。一対の凹状部102A,102Bは、このFEM解析結果に基づいて、ティーストルクが集中して発生する領域に設けられているため、一対の凹状部102A,102B付近の磁気抵抗が高められている。
図7の波形Eλ2は、図6に示す回転子100を用いた場合に、この回転子100の回転位置と1つのティースに働くティーストルクとの関係を示している。一対の凹状部102A,102B付近の磁気抵抗が高められることで、円C10,C20で囲む領域でのずれが抑えられている。よって、波形Eλ2は、波形Eλ1に比べて理想波形Δに近づけられており、トルクリップルが抑制される。
特開2011−62059号公報
しかしながら、図7に示す円C30で囲む領域では、波形Eλ2が理想波形Δから下側へずれており、図7に示す円C40で囲む領域では、波形Eλ2が理想波形Δから上側へずれているため、この点においてなお改善の余地を残すものとなっている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、トルクリップルを抑制することができる永久磁石埋設型回転電機を提供することにある。
上記課題を解決する永久磁石埋設型回転電機は、環状の固定子の内周に複数配列されたティース間のスロットに巻線が施されており、前記固定子の内側で回転する回転子には、当該回転子の周方向において、ブリッジを間に置いて隣り合う一対の永久磁石収容部が設けられており、前記一対の永久磁石収容部には、互いに磁極の異なる一対の平板形状の永久磁石が収容されており、各永久磁石収容部と前記ブリッジとの間には、前記永久磁石収容部に連なる空隙を有している永久磁石埋設型回転電機であって、前記回転子の外周面における前記ブリッジの両側には一対の凹状部が形成されており、前記一対の凹状部は、前記回転子の径方向外側で前記ブリッジ及び前記空隙を覆うように形成される凸状部によって結ばれており、前記回転子の径方向において、前記一対の凹状部のそれぞれの最深部から前記永久磁石収容部までの最短距離が、前記凸状部から前記空隙までの最短距離以下に設定されている。
これによれば、ティーストルクが集中して発生する領域に設けられた一対の凹状部の最深部から永久磁石収容部までの最短距離が、凸状部から空隙までの最短距離以下に設定されるように形成されているため、一対の凹状部付近の磁気抵抗を効率良く高めることができ、永久磁石埋設型回転電機におけるトルクリップルを抑制することができる。
上記永久磁石埋設型回転電機において、前記回転子の回転軸線を中心とする前記凸状部の端の電気角度θ1は、前記永久磁石の磁極中心部を通り、且つ前記端に最も近い半径直線を基点として70°〜80°の範囲にあり、前記回転子の回転軸線を中心とする前記凹状部の前記最深部の電気角度θ2は、前記半径直線を基点として[(θ1−20°)〜(θ1−10°)]〜θ1の範囲にあることが好ましい。
凸状部の端の電気角度θ1及び凹状部の最深部の電気角度θ2のこのような配置は、永久磁石埋設型回転電機におけるトルクリップルの抑制に特に効果的である。
この発明によれば、トルクリップルを抑制することができる。
実施形態における永久磁石埋設型回転電機を示す断面図。 回転子の部分拡大断面図。 回転子の部分拡大断面図。 (a)は回転子の回転位置と1つのティースに働く力との関係を示すグラフ、(b)は回転子の回転位置とトルクとの関係を示すグラフ。 (a)は従来例における回転子の回転位置と1つのティースに働く力との関係を示すグラフ、(b)は回転子の回転位置とトルクとの関係を示すグラフ。 従来例における回転子の部分拡大断面図。 従来例における回転子の回転位置と1つのティースに働く力との関係を示すグラフ。
以下、永久磁石埋設型回転電機を具体化した一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
図1に示すように、永久磁石埋設型回転電機10を構成する固定子11は、環状のステータコア12と、ステータコア12の内周に複数配列されたティース12a間のスロット12bに施された巻線13(コイル)とからなる。本実施形態では、ティース12a及びスロット12bの個数は30個である。スロット12bは、環状の固定子11の周方向に等ピッチで配列されている。巻線13は波巻きで巻かれている。
一般的に、極数をp(整数)、相数をm(整数)、毎極毎相当たりのスロット数をq(0.5、1.0、1.5、2.0、2.5・・・というように0.5飛び)、固定子のスロット数をKとした場合、下記の関係式が成立する。
K=q×p×m
例えば、3相、q=1.0の場合には、スロット数Kと極数pとの関係は、4極12スロット、6極18スロット、8極24スロット、10極30スロット等となる。また、例えば、3相、q=1.5の場合には、スロット数Kと極数pとの関係は、4極18スロット、6極27スロット、8極36スロット、10極45スロット等となる。本実施形態では、3相、スロット数K=30、極数p=10、q=1である。
永久磁石埋設型回転電機10を構成する回転子15は、ロータコア16と、ロータコア16内に埋設された複数(本実施形態では10個)の平板形状の永久磁石17A,17Bとからなる。複数の永久磁石17A,17Bは、全て同形同大である。複数の永久磁石17A,17Bは、回転子15の回転軸線Cを中心とした回転対称に配置されている。ロータコア16の中心部には軸孔16aが貫設されている。軸孔16aには出力軸(図示略)が通される。回転子15は、固定子11の内側で図1において矢印で示す回転方向Yに回転する。
図2に示すように、ロータコア16には、ロータコア16の周方向において、ブリッジ18を間に置いて隣り合う一対の永久磁石収容部16A,16Bが設けられている。一対の永久磁石収容部16A,16Bには、一対の永久磁石17A,17Bが収容されている。一対の永久磁石17A,17Bは、回転子15の周方向に隣り合うようにロータコア16内に磁極として埋設されている。回転子15の周方向に隣り合う一対の永久磁石17A,17Bの磁極は互いに異なっている。つまり、複数の永久磁石17A,17Bは、周方向に交互に異なる極性となるように埋設されている。
ロータコア16において、各永久磁石収容部16A,16Bとブリッジ18との間には、永久磁石収容部16A,16Bに連なる空隙19A,19Bが形成されている。この空隙19A,19Bは、各永久磁石収容部16A,16Bに永久磁石17A,17Bがそれぞれ収容された状態において、永久磁石17A,17Bの両端側に残されて、磁路の短絡を防止する。
永久磁石17A,17Bの一方の磁極端部171と他方の磁極端部172との間の中間位置にある磁極中心部173を通る回転子15の半径直線151[回転軸線Cと垂直な仮想平面(図2の紙面は仮想平面となる)上の直線]は、平板形状の永久磁石17A,17Bの磁極面170に対して直交する。回転子15の回転軸線Cに連なる半径直線151は、回転軸線Cを中心とする等角度間隔(36°)の位置にある。すなわち、永久磁石17A,17Bは、回転子15の周方向に等ピッチに配列されている。また、永久磁石17A,17Bは、回転子15の回転軸線Cから等距離の位置にある。
回転子15の回転軸線Cを中心とする半径直線151を含んだ角度幅Aに位置する回転子15の外周面は、回転軸線Cを中心とする半径Rの円周形状である円周部20A,20Bを形成している。永久磁石17A側の半径直線151は、円周部20Aの中央201に繋がっており、永久磁石17B側の半径直線151は、円周部20Bの中央201に繋がっている。つまり、円周部20Aの一方の端縁202に至る半径直線152(回転軸線Cと垂直な仮想平面上の直線)と円周部20Aの中央201に至る半径直線151との間の角度幅は、円周部20Aの他方の端縁203に至る半径直線153(回転軸線Cと垂直な仮想平面上の直線)と円周部20Aの中央201に至る半径直線151との間の角度幅に等しい。また、円周部20Bの一方の端縁202に至る半径直線152と円周部20Bの中央201に至る半径直線151との間の角度幅は、円周部20Bの他方の端縁203に至る半径直線153と円周部20Bの中央201に至る半径直線151との間の角度幅に等しい。半径直線151は、円周部20A,20Bを周方向において2等分割する2等分割線である。ここにおける2等分割とは、円周部20A,20Bの角度幅を2等分割することを意味する。
永久磁石17Aの磁極中心部173に対して回転子15の径方向外側に位置する円周部20Aと、永久磁石17Bの磁極中心部173に対して回転子15の径方向外側に位置する円周部20Bとは、離れている。回転子15の外周面におけるブリッジ18の両側には一対の凹状部21A,21Bが形成されている。一対の凹状部21A,21Bは、回転子15の径方向外側でブリッジ18及び空隙19A,19Bを覆うように形成される凸状部22によって結ばれている。そして、隣り合う一対の円周部20A,20Bは、凹状部21A,21B及び凸状部22によって結ばれている。
本実施形態では、凹状部21Aは、凸状部22に対して回転方向Yの後側にあり、凹状部21Bは、凸状部22に対して回転方向Yの前側にある。直線154(回転軸線Cと垂直な仮想平面上の直線)は、凸状部22の中央220と、回転軸線Cとを結ぶ線である。直線154は、凸状部22を周方向に2等分割する線である。ここにおける2等分割とは、凸状部22の角度幅を2等分割することを意味する。回転軸線Cを中心とした凹状部21Aの角度幅と、回転軸線Cを中心とした凹状部21Bの角度幅とは、同じ角度幅θcとなる。凹状部21Aと凹状部21Bとは、凸状部22を周方向に2等分割する直線154に対して鏡映対称(左右対称)の関係にある。
図3に示すように、凹状部21A,21Bは、凸状部22に連なる直線部211A,211Bと、直線部211A,211Bに連なるとともに凹状部21A,21Bの最深部23D,24Dを含む凹曲部212A,212Bとを有する。さらに、凹状部21A,21Bは、円周部20A,20Bにそれぞれ連なる直線部213A,213Bと、凹曲部212A,212Bと直線部213A,213Bとを結ぶ凸曲部214A,214Bとを有する。
凸状部22は、凹状部21A,21Bの直線部211A,211Bにおける回転子15の径方向外側の変曲点(直線部211A,211Bにおける回転子15の径方向の最外部)の間に形成されている。そして、凸状部22は、凹状部21A,21Bの直線部211A,211Bにおける回転子15の径方向外側の変曲点を結ぶ直線(回転軸線Cと垂直な仮想平面上の直線)状に形成されている。よって、凸状部22における直線部211A,211Bとの連結部位は、凸状部22の端221,222となり、凸状部22の端221,222間が直線状に形成されている。
凸状部22は、円周部20A,20Bを含む半径Rの仮想の円周Eよりも回転子15の径方向内側、且つ円周部20Bの端縁202と円周部20Aの端縁203とを結ぶ仮想の直線H(回転軸線Cと垂直な仮想平面上の直線)よりも回転子15の径方向外側の範囲内で回転子15の径方向外側へ向けて突出している。つまり、凸状部22は、仮想の円周Eと仮想の直線Hとの間の領域内(仮想の円周E上及び仮想の直線H上を除く)で回転子15の径方向外側へ向けて突出している。また、凸状部22は、一対の凹状部21A,21Bのそれぞれの最深部23D,24Dよりも回転子15の径方向外側にある。
図2に示すように、回転子15の回転軸線Cを中心とする凸状部22の端221の電気角度θ1は、端221に最も近い半径直線151(図示の例では円周部20Bを2等分割する半径直線151)を基点として回転方向Yとは反対方向へ70°〜80°の範囲にある。回転子15の回転軸線Cを中心とする凸状部22の端222の電気角度θ1は、端222に最も近い半径直線151(図示の例では円周部20Aを2等分割する半径直線151)を基点として回転方向Yへ70°〜80°の範囲にある。なお、本実施形態では、θ1=75°に設定されている。
回転子15の回転軸線Cを中心とする凹状部21Aの最深部23Dの電気角度θ2は、最深部23Dに最も近い半径直線151(図示の例では円周部20Aを2等分割する半径直線151)を基点として回転方向Yへ[(θ1−20°)〜(θ1−10°)]〜θ1の範囲にある。回転子15の回転軸線Cを中心とする凹状部21Bの最深部24Dの電気角度θ2は、最深部24Dに最も近い半径直線151(図示の例では円周部20Bを2等分割する半径直線151)を基点として回転方向Yとは反対方向へ[(θ1−20°)〜(θ1−10°)]〜θ1の範囲にある。なお、本実施形態では、θ2=60°に設定されている。
図3に示すように、回転子15の径方向において、凹状部21Aの最深部23Dから永久磁石収容部16Aまでの最短距離H1は、凸状部22から空隙19Aまでの最短距離H2よりも短くなっている。凹状部21Aの最深部23Dから永久磁石収容部16Aまでの最短距離H1は、永久磁石収容部16Aにおける回転子15の径方向外側の端面161Aに直交する方向へ延びて、凹状部21Aの最深部23Dと永久磁石収容部16Aの端面161Aとを結ぶ直線L1(図3において破線で示す)の長さに相当する。凸状部22から空隙19Aまでの最短距離H2は、凸状部22に直交する方向へ延びて、凸状部22と空隙19Aにおける回転子15の径方向外側に最も近い部位とを結ぶ直線L2(図3において破線で示す)の長さに相当する。
回転子15の径方向において、凹状部21Bの最深部24Dから永久磁石収容部16Bまでの最短距離H1は、凸状部22から空隙19Bまでの最短距離H2よりも短くなっている。凹状部21Bの最深部24Dから永久磁石収容部16Bまでの最短距離H1は、永久磁石収容部16Bにおける回転子15の径方向外側の端面161Bに直交する方向へ延びて、凹状部21Bの最深部24Dと永久磁石収容部16Bの端面161Bとを結ぶ直線L1(図3において破線で示す)の長さに相当する。凸状部22から空隙19Bまでの最短距離H2は、凸状部22に直交する方向へ延びて、凸状部22と空隙19Bにおける回転子15の径方向外側に最も近い部位とを結ぶ直線L2(図3において破線で示す)の長さに相当する。
次に、本実施形態の作用について説明する。
図4(a)のグラフは、回転子15の回転位置と1つのティース12aに働く力(以下においては、ティーストルクと言うことにする)との関係を示す。波形Δと横軸とは、横軸上の始端と終端との角度間隔が24°の2等辺三角形を形成している。全てのティース12aに関するこのような波形Δを合成すると、図4(b)のグラフにおける直線TΔが得られる。つまり、1つのティース12aに働くティーストルクが波形Δで表される力であれば、全体トルクは一定となり、トルクリップルは零となる。以下においては、波形Δを「理想波形Δ」と言う。
ここで、図7に示す円C30,C40で囲む領域におけるティーストルクは、一対の凹状部21A,21B付近に集中して発生することが、コンピュータを用いたFEM(有限要素法)解析によって見出されている。そこで、回転子15の径方向において、凹状部21A,21Bの最深部23D,24Dから永久磁石収容部16A,16Bまでの最短距離H1を、凸状部22から空隙19A,19Bまでの最短距離H2よりも短くした。これによれば、例えば、凹状部21A,21Bの最深部23D,24Dから永久磁石収容部16A,16Bまでの最短距離H1が、凸状部22から空隙19A,19Bまでの最短距離H2よりも長い場合に比べると、一対の凹状部21A,21B付近の磁気抵抗が高められている。
図4(a)の波形Eλ3は、回転子15を用いた場合に、この回転子15の回転位置と1つのティースに働くティーストルクとの関係を示している。一対の凹状部21A,21B付近の磁気抵抗が高められることで、円C30,C40で囲む領域でのずれが抑えられている。よって、波形Eλ3は、図7に示す波形Eλ2に比べて理想波形Δに近づけられており、トルクリップルが抑制される。
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)回転子15の径方向において、凹状部21A,21Bの最深部23D,24Dから永久磁石収容部16A,16Bまでの最短距離H1を、凸状部22から空隙19A,19Bまでの最短距離H2よりも短くした。これによれば、一対の凹状部21A,21B付近の磁気抵抗を効率良く高めることができ、永久磁石埋設型回転電機10におけるトルクリップルを抑制することができる。
(2)凸状部22の端221,222の電気角度θ1を70°〜80°の範囲とし、且つ凹状部21A,21Bの最深部23D,24Dの電気角度θ2を[(θ1−20°)〜(θ1−10°)]〜θ1の範囲とした構成は、永久磁石埋設型回転電機10におけるトルクリップルの抑制に特に効果的である。
(3)凸状部22を2等分割する直線154に対して鏡映対称となるように一対の凹状部21A,21Bを設けた構成は、回転子15をどちらに回転させてもトルクリップルの抑制に関して同じ効果をもたらす。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態において、凸状部22の端221,222の電気角度θ1は、半径直線151を基点として70°〜80°の範囲にあればよく、θ1=75°に限定されるものではない。また、凹状部21A,21Bの最深部23D,24Dの電気角度θ2は、半径直線151を基点として[(θ1−20°)〜(θ1−10°)]〜θ1の範囲にあればよく、θ2=60°に限定されるものではない。
○ 実施形態では、回転子15の径方向において、凹状部21A,21Bの最深部23D,24Dから永久磁石収容部16A,16Bまでの最短距離H1が、凸状部22から空隙19A,19Bまでの最短距離H2と同じであってもよい。要は、回転子15の径方向において、一対の凹状部21A,21Bのそれぞれの最深部23D,24Dから永久磁石収容部16A,16Bまでの最短距離H1が、凸状部22から空隙19A,19Bまでの最短距離H2以下に設定されていればよい。
○ 実施形態において、凹状部21A,21Bが凸状部22を2等分割する直線154に関して非鏡映対称であってもよい。
○ 実施形態において、凸状部22が、円周部20A,20Bを含む半径Rの仮想の円周Eよりも回転子15の径方向外側にあってもよい。
○ 実施形態において、凸状部22が、凹状部21A,21Bの直線部211A,211Bにおける回転子15の径方向外側の変曲点を結ぶ湾曲状に形成されていてもよい。すなわち、凸状部22の端221,222間が湾曲状に形成されていてもよい。
○ 実施形態において、回転子15は、10極30スロット以外(例えば6極18スロット、8極24スロット等)であってもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記永久磁石の磁極中心部に対して前記回転子の径方向外側に位置する前記回転子の外周面は、前記回転子の回転軸線を中心とする半径の円周形状である円周部を形成しており、隣り合う一対の円周部は、前記一対の凹状部及び前記凸状部によって結ばれていることが好ましい。
(ロ)前記一対の凹状部は、前記凸状部を2等分割する直線に対して鏡映対称に設けられていることが好ましい。
(ハ)前記凸状部は、前記円周部を含む仮想の円周よりも前記回転子の径方向内側にあることが好ましい。
(ニ)前記凸状部は直線状に形成されていることが好ましい。
10…永久磁石埋設型回転電機、11…固定子、12a…ティース、12b…スロット、13…巻線、15…回転子、16A,16B…永久磁石収容部、17A,17B…永久磁石、18…ブリッジ、19A,19B…空隙、21A,21B…凹状部、22…凸状部、23D,24D…最深部、173…磁極中心部、221,222…端。

Claims (2)

  1. 環状の固定子の内周に複数配列されたティース間のスロットに巻線が施されており、前記固定子の内側で回転する回転子には、当該回転子の周方向において、ブリッジを間に置いて隣り合う一対の永久磁石収容部が設けられており、前記一対の永久磁石収容部には、互いに磁極の異なる一対の平板形状の永久磁石が収容されており、各永久磁石収容部と前記ブリッジとの間には、前記永久磁石収容部に連なる空隙を有している永久磁石埋設型回転電機であって、
    前記回転子の外周面における前記ブリッジの両側には一対の凹状部が形成されており、
    前記一対の凹状部は、前記回転子の径方向外側で前記ブリッジ及び前記空隙を覆うように形成される凸状部によって結ばれており、
    前記回転子の径方向において、前記一対の凹状部のそれぞれの最深部から前記永久磁石収容部までの最短距離が、前記凸状部から前記空隙までの最短距離以下に設定されていることを特徴とする永久磁石埋設型回転電機。
  2. 前記回転子の回転軸線を中心とする前記凸状部の端の電気角度θ1は、前記永久磁石の磁極中心部を通り、且つ前記端に最も近い半径直線を基点として70°〜80°の範囲にあり、前記回転子の回転軸線を中心とする前記凹状部の前記最深部の電気角度θ2は、前記半径直線を基点として[(θ1−20°)〜(θ1−10°)]〜θ1の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の永久磁石埋設型回転電機。
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