JP2013118788A - ブラシレスモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】IPMブラシレスモータにおいて、トルクリップルの抑制を図る。
【解決手段】ロータコア11と、直方体形状を有する複数のマグネット12とを有している。マグネット12は、中心から半径方向に延びる基準線Sとその側面12aの両端間の中心点Cとが直交するようにロータコア11の外周部分に埋め込まれている。ロータコア11は、マグネット12の各端部の部分に、一対のフラックスバリア30と、これらフラックスバリア30の間の部分に、線対称に配置された一対のスリット40とを有している。スリット40は、外端40aが内端40bよりも基準線Sから離れるように傾斜しており、分割線Dで中心点Cと端Eとの間を11等分した場合に、内端40bが基準線Sから端Eに向かって8本目の分割線Dより外側に位置している。
【選択図】 図4

Description

本発明は、埋込磁石型のブラシレスモータに関し、その中でも特にロータに形成されたスリットの構造に関する。
ブラシレスモータには、ロータへの磁石の取り付け方の違いから表面磁石型(SPM)と埋込磁石型(IPM)とがある。SPMモータでは、ロータの外周表面に磁石が貼り付けられており、IPMモータでは、ロータの内部に磁石が埋設されている。
IPMモータは、SPMモータと比べて、磁石がロータから剥がれるおそれがなく、リラクタンストルクを積極的に利用できる等の利点がある。IPMモータは、例えば、エアコンや冷蔵庫などに使用される圧縮機の駆動源として用いられている。
IPMモータでは、磁気特性を改良するために、ロータに埋設された永久磁石の外周側に複数のスリットが形成される場合がある。これら複数のスリットについては様々な形状や配置が提案されている。
例えば、特許文献1には、複数のスリットをモータの回転方向や反回転方向に傾斜させたIPMモータや、複数のスリットが磁極の中心線側に傾斜して形成されているIPMモータが開示されている。
特に、特許文献1では、磁極のスリットの傾斜方向を回転方向と反回転方向とに交互に変えるなど、隣り合う磁極のトルクの位相をずらすことが提案されており、そうすることで、トルクの高調波成分が相殺され、トルクリップルの低減が図れることが開示されている。
特開2011−78283号公報
特許文献1の方法では、隣り合う磁極間でスリットの形状や配置を非対称状にするなど、スリットの構造が複雑で、扱い難い難点がある。
そこで、本発明の目的は、簡素な構造のスリットでも効果的にトルクリップルの低減が図れるブラシレスモータを提供することにある。
本発明に係るブラシレスモータは、埋込磁石型のブラシレスモータであり、回転軸を中心に回転するシャフトと、前記シャフトに中心を合わせて固定された円柱状のロータと、前記ロータの周囲に間隙を介して配置されたステータとを備える。前記ロータは、ロータコアと、直方体形状を有する複数のマグネットとを有している。前記複数のマグネットが、前記回転軸の方向から見て、中心から半径方向に延びる基準線と当該マグネットの側面の両端間の中心点とが直交するように、前記ロータコアの外周部分に等間隔で埋め込まれている。
前記ロータコアは、前記マグネットの前記側面の各端部から半径方向外側に拡がって、前記回転軸方向に貫通する一対のフラックスバリアと、前記一対のフラックスバリアの間の部分に、前記基準線に対して線対称に配置され、前記回転軸方向に貫通する一対のスリットとを有している。
そして、前記回転軸の方向から見て、前記スリットは、半径方向外側に位置する外端が半径方向内側に位置する内端よりも前記基準線から離れて位置するように傾斜している。更に、前記基準線と平行な分割線で、前記中心点と前記端との間を11等分した場合に、前記スリットの前記内端が、当該基準線から当該端に向かって8本目の当該分割線より外側に位置している。
このように、マグネットの端部近くの所定範囲にスリットを位置させれば、簡素な構造のスリットであっても、トルクリップルを効果的に抑制することができる。
特に、前記スリットの前記側面からの傾斜角度は、80°以下に設定するのが好ましい。
そうすれば、よりいっそうトルクリップルを効果的に抑制することができる。
例えば、前記ロータコアには、前記一対のスリットのみが形成されていればよいが、前記ロータコアに、前記基準線上に配置され、前記回転軸方向に貫通する中央スリットが更に形成されていてもよい。また、前記ロータコアにおける前記中央スリットと前記一対のスリットとの間の部分に、前記基準線に対して線対称状に配置された一群の補助スリットが更に形成されていてもよい。
本発明のブラシレスモータによれば、トルクリップルを効果的に抑制することができ、生産性の向上も図ることができる。
実施形態のモータを示す概略斜視図である。 モータの概略断面図である。 図2におけるI−I線から見た概略断面図である。 図3の要部を拡大して示した概略図である。 スリットの傾斜角度とトルクリップルとの関係を表したグラフである。 スリットの傾斜を説明するための図である。 スリットの形成位置とトルクリップルとの関係を表したグラフである。 変形例のモータを示す概略図である。 変形例のモータを示す概略図である。 変形例のモータを示す概略図である。 (a)、(b)は、スリットの変形例を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
(モータの全体構成)
図1〜図3に、本実施形態のモータ1を示す。このモータ1は、インナーロータ型のブラシレスモータであり、例えば冷蔵庫等のコンプレッサの駆動源として用いられる。モータ1は、シャフト2やモータケース3、ロータ4、ステータ5、配電部材7などで構成されている。
図2に示すように、シャフト2はモータケース3にベアリング6を介して支持されており、回転軸Aを中心に回転する。シャフト2の中間部分には、外観が円柱形状をしたロータ4がシャフト2と回転の中心を合わせた状態で固定されている。
ロータ4は、ロータコア11や複数(本実施形態では6個)のマグネット12などで構成されている。ロータコア11は、円板状の複数の金属板を回転軸Aの方向(回転軸Aが延びている方向)に積層することにより、円柱状に形成されている。このモータ1は、いわゆる埋込磁石型のモータであり(IPMモータ)、各マグネット12はロータコア11の外周部分に埋設されている。
図3にその横断面を示すように、各マグネット12は、いずれも同形同寸法であり、直方体形状を有している。具体的には、図4に示すように、各マグネット12は、細長い平板形状をしており、長方形をした一対の側面12aと、これら側面12aに連なる一対の長手端面12b及び一対の短手端面12cとを有している。これらマグネット12は、短手端面12cを回転軸Aの方向に向けた状態で、周方向に等間隔でS極とN極とが交互に並ぶように配置されている。ロータ4の細部構造については後述する。
モータケース3の内側には、外観が円筒形状をしたステータ5が取り付けられている。ステータ5の内周面は、僅かな間隙を隔ててロータ4の外周面と対向している。
ステータ5は、ステータコア21やコイル22などで構成されている。ステータコア21は、円環状のベース部21aと、ベース部21aの内周面から中心方向に放射状に突出した複数(本実施形態では9個)のティース部21bとを有している。これらティース部21bのそれぞれに、絶縁性のインシュレータ(図示せず)を介してワイヤを巻き付けることにより、複数(本実施形態では9個)のコイル22が形成されている。
モータケース3の内部には、接続端子等で構成された配電部材7が設置されている。モータ1に対して図外の電源から供給される電流は、この配電部材7を通じて各コイル22に所定のタイミングで供給される。それにより、ロータ4の各マグネット12と、ステータ5の各コイル22との間の磁界が変動してトルクが発生し、シャフト2が回転する。このモータ1は、正転及び逆転のいずれも可能であり、供給電流の制御方法に従って回転する。
シャフト2が回転する際、ロータ4とステータ5の間で磁力が変動して、トルクリップル(脈動)が発生する。このトルクリップルを効果的に抑制するために、このモータ1のロータコア11には、スリット40が形成されている。特に、生産性の向上等も踏まえて、簡素な構成で効率よくトルクリップルが抑制できるように、スリット40の位置や角度が工夫されている。
(ロータの細部構成)
図4に、回転軸Aの方向から見た、マグネット12が埋設されているロータコア11の外周部分を示す。6箇所あるいずれの外周部分もその構成は同じである。マグネット12やスリット40の位置、角度等の条件については、本図を用いて説明する。
マグネット12は、ロータコア11の外周縁の近傍に、その側面12aを半径方向に向けた状態でロータコア11に埋設されている。詳しくは、中心(回転軸A)から半径方向に延びる仮想の基準線Sが、マグネット12の側面12aの両端間の中心点Cを通るように引いたとき、その基準線Sが側面12aと直交するように設定されている。
マグネット12の両端が位置するロータコア11の部分には、磁束の短絡を防止するために、一対のフラックスバリア30,30が形成されている。詳しくは、マグネット12の側面12aの各端部、具体的には、半径方向外側に面する側面12aが長手端面12bと連なっている各端部が位置する部分に、フラックスバリア30として、回転軸Aの方向にロータコア11を貫通する長孔が形成されている。
フラックスバリア30は、各端部から半径方向外側に拡がる横断面を有している。詳しくは、その横断面は、マグネット12の半径方向外側に面する側面12aの端の周囲(側面12aと長手端面12bとの間の角の部分)を含んでロータコア11の外周面の近傍まで拡がる略扇形状ないし略正方形状をしている。
そして、マグネット12よりも半径方向外側のロータコア11の外周部分であって、これらフラックスバリア30の間の部分に、フラックスバリア30と同様に、回転軸Aの方向に貫通する2つのスリット40,40が形成されている。これらスリット40の位置及び形状は、基準線Sに対して線対称になっている。
各スリット40は、概ね半径方向に延びた細長い略長方形の横断面を有している。スリット40の半径方向外側に位置する端部(外端40aともいう)は、スリット40の半径方向内側に位置する端部(内端40bともいう)よりも基準線Sから離れて位置するように傾斜している。
このモータ1では、各スリット40の外端40aは、それぞれが対向しているロータコア11の外周縁の部分と略平行であり、各スリット40の内端40bは、マグネット12の側面12aと略平行である。
各スリット40のマグネット12の側面12aからの傾斜角度θは、80°以下に設定されている。
具体的には、図4に示すように、各スリット40の長軸m(スリット40の幅中心を通る線)が、マグネット12の側面12a(同図では、側面12aと平行な基準線nを用いている)と交わる角度が80°以下となるように設定されている。このように、各スリット40の傾斜角度θを設定することで、トルクリップルを抑制することができる。
図5に、スリット40の傾斜角度θとトルクリップルとの関係を調べるために行った試験結果(グラフ)を示す。縦軸はトルクリップルの大きさを表している。横軸はスリット40の傾斜角度θを表している。破線は、比較対象として、スリット40が形成されていない場合の試験結果を表している。
なお、試験では、図6に矢印で示すように、スリット40がマグネット12の側面12aに対して直交した状態(傾斜角度θ=90°)からスリット40を傾斜させて、所定の角度でトルクリップルを測定した。傾斜角度θ以外はいずれも条件は同じである。
図5に示したように、傾斜角度θが小さくなるに従ってトルクリップルは小さくなることが確認された。特に、スリット40が形成されていない場合と比較した場合、およそ80°以下でトルクリップルが小さくなることが確認された。ただし、傾斜角度θをあまり小さくすると、スリット40の外端40aがフラックスバリア30と接触するため、傾斜角度θは20°以上が好ましい。
従って、各スリット40の傾斜角度θを80°以下に設定すれば、トルクリップルの抑制を抑制することができる。
そして、各スリット40は、フラックスバリア30の近傍に配置されている。
具体的には、図4に示したように、基準線Sと平行な仮想の分割線D〜D10で、マグネット12の側面12aにおける中心点Cと端Eとの間を11等分したとする。そうした場合に、スリット40の内端40bが、基準線Sから端Eに向かって8本目の分割線Dより外側に位置するように配置されている。
換言すれば、マグネット12の半分の長さをLとした場合、マグネット12の長手端部12bから3/11×Lの長さだけ中心点C側に寄った点を通る分割線Dよりも長手端部12b側にスリット40の内端40bが位置するように配置されている。このように、各スリット40の形成位置を設定することで、トルクリップルを抑制することができる。
図7に、スリット40の形成位置とトルクリップルとの関係を調べるために行った試験結果(グラフ)を示す。縦軸はトルクリップルの大きさを表している。横軸はスリット40の内端40bの位置であり、図4に示した分割線D〜D10のマグネット12の端E(長手端部12b)からの距離で表している。破線は、比較対象として、スリット40が形成されていない場合の試験結果を表している。なお、試験条件は、スリット40の形成位置以外はいずれも同じである。
図7に示したように、スリット40がマグネット12の端E側に近づくに従って、トルクリップルが小さくなることが確認された。特に、スリット40が形成されていない場合と比較した場合、およそ端Eから3/11×Lの位置(基準線Sから端に向かって8本目の分割線Dの位置)より端E側でトルクリップルが小さくなることが確認された。
ただし、スリット40をあまり端E側に形成すると、フラックスバリア30と接触するため、端Eから1/11×Lの位置(基準線Sから端Eに向かって10本目の分割線D10の位置)より中心点C側にスリット40を形成するのが好ましい。
傾斜角度θと形成位置の双方を考慮した場合には、特に、傾斜角度θは40°〜80°で、形成位置はマグネット12の端から1/11×L〜3/11×Lの範囲とするのが好ましい。
(変形例)
図8〜図10に、実施形態の変形例を示す。上述した実施形態に示したように、2つのスリット40,40が所定位置に配置され、所定角度で形成されていれば、トルクリップルを抑制する効果を得ることができる。
しかし、モータ特性の改良等により、スリット40を更に形成したい場合がある。そのような場合には、図8等に示すように、基準線Sに対して線対称となる位置に、回転軸Aの方向に貫通して各スリット40を形成することができる。
具体的には、スリット40を3つにする場合は、図8に示すように、追加するスリット40(中央スリット51)は、基準線S上に配置する。更に、スリット40を増やす場合は、図9や図10に示すように、追加するスリット40(補助スリット52)は、2つずつ増やしていく。この場合、補助スリット52は、中央スリット51と両端のスリット40との間の部分に、位置及び傾斜角度θが均等になるように配置する。
そうすれば、所定形態の一対のスリット40によって得られるトルクリップルの抑制効果を妨げることなく、スリットの数を増やすことができる。しかも、スリット40が対称状になっているので、生産性に優れる利点があるし、いずれの回転方向に対しても安定したモータ特性を発揮させることができる。
なお、本発明にかかるブラシレスモータは、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
例えば、実施形態で示したスリット40の断面形状は一例に過ぎない。スリット40の断面形状は、図11の(a)に示すように長方形であってもよいし、図11の(b)に示すように長円形であってもよい。
1 モータ
2 シャフト
4 ロータ
5 ステータ
11 ロータコア
12 マグネット
12a 側面
12b 長手端面
30 フラックスバリア
40 スリット
40a 外端
40b 内端
A 回転軸
S 基準線
C 中心点
D 分割線

Claims (5)

  1. 回転軸を中心に回転するシャフトと、
    前記シャフトに中心を合わせて固定された円柱状のロータと、
    前記ロータの周囲に間隙を介して配置されたステータと、
    を備え、
    前記ロータは、
    ロータコアと、
    直方体形状を有する複数のマグネットと、
    を有し、
    前記複数のマグネットが、前記回転軸の方向から見て、中心から半径方向に延びる基準線と当該マグネットの側面の両端間の中心点とが直交するように、前記ロータコアの外周部分に等間隔で埋め込まれている、埋込磁石型のブラシレスモータであって、
    前記ロータコアは、
    前記マグネットの前記側面の各端部から半径方向外側に拡がって、前記回転軸方向に貫通する一対のフラックスバリアと、
    前記一対のフラックスバリアの間の部分に、前記基準線に対して線対称に配置され、前記回転軸方向に貫通する一対のスリットと、
    を有し、
    前記回転軸の方向から見て、
    前記スリットは、半径方向外側に位置する外端が半径方向内側に位置する内端よりも前記基準線から離れて位置するように傾斜しており、
    前記基準線と平行な分割線で、前記中心点と前記端との間を11等分した場合に、前記スリットの前記内端が、当該基準線から当該端に向かって8本目の当該分割線より外側に位置しているブラシレスモータ。
  2. 請求項1に記載のブラシレスモータにおいて、
    前記スリットの前記側面からの傾斜角度が、80°以下に設定されているブラシレスモータ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のブラシレスモータにおいて、
    前記ロータコアに、前記一対のスリットのみが形成されているブラシレスモータ。
  4. 請求項1又は請求項2に記載のブラシレスモータにおいて、
    前記ロータコアに、前記基準線上に配置され、前記回転軸方向に貫通する中央スリットが更に形成されているブラシレスモータ。
  5. 請求項4に記載のブラシレスモータにおいて、
    前記ロータコアにおける前記中央スリットと前記一対のスリットとの間の部分に、前記基準線に対して線対称状に配置された一群の補助スリットが更に形成されているブラシレスモータ。
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