JP2015019447A - 電池の並列接続方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電圧の異なる電池を並列接続する際、電池相互間の電圧差によって流れ得る過大な突入電流を防止することにより、過大な突入電流による電池へのダメージを回避する。
【解決手段】複数個の電池がそれぞれ付属の機械式接点スイッチを介して並列接続可能である電池電源装置において、これから投入しようとする電池が既に投入済みの電池に対して電圧差を有する場合、これから投入しようとする電池に付属する機械式接点スイッチの端子間に双方向降圧チョッパ回路を接続し、そのチョッパ回路の通流率制御により調整した平滑電流を電圧の高い電池側から電圧の低い電池側へ流すことによって両電池間の電圧差を減少させ、その電圧差がなくなったときに、これから投入しようとする電池に付属する機械式接点スイッチをオンさせる。
【選択図】図1

Description

本発明は、それぞれ付属の機械式接点スイッチを介して並列接続可能な複数個の電池からなる電池電源装置における電池の並列接続方法に関する。
ここでいう「電池」とは、原理的には1つの電池を含み得るが、むしろ多数の直列接続された電池からなるいわゆる列電池もしくは電池集合体のことである。このような列電池を複数個並列接続して構成した電池電源装置は、電池を充電するための発電装置を有する例えば電気自動車又は電気推進船舶などのいわゆるハイブリッドシステムにおいて使用されている。この種のシステムにおいて並列接続電池の一部を新品と交換するため既存電池に接続するとき、電池内部抵抗が微小な電池の場合、例えばリチウムイオン電池の場合、僅かな電圧差であっても過大な突入電流が流れ、電池にダメージをもたらすことがある。また、充電動作では一部の電池の特性低下によって過大な充電電流が流れるなど、特性相違、特性劣化に伴う過大電流が電池間に流れる。従って、このような過大電流を防止することが望まれる。
並列接続された電池を一括して充電するとき、機械式接点スイッチと双方向半導体スイッチで構成する充放電回路スイッチ装置を各電池に接続し、特性バラツキによる充電バラツキを防止するために、充電完了した電池から順次オフして全ての電池を満充電にし、また、充電状態から放電に移行するときに、双方向半導体スイッチのオンと同時に機械式接点スイッチをオンする技術は公知である(例えば、特許文献1参照)。しかし、この公知技術は、半導体スイッチを用いて電池のオン・オフ動作を行うだけであって、電池の充放電電流を調節もしくは制御する機能は付加されていない。
特許第4333695号公報
本発明の課題は、複数個の電池がそれぞれ付属の機械式接点スイッチを介して並列接続可能である電池電源装置において、電圧の異なる電池を並列接続するとき、電池相互間の電圧差によって流れ得る過大な突入電流を防止することにより、過大な突入電流による電池へのダメージを回避することにある。
上記課題は、複数個の電池がそれぞれ付属の機械式接点スイッチを介して並列接続可能である電池電源装置において、これから投入しようとする電池が既に投入済みの電池に対して電圧差を有する場合、これから投入しようとする電池に付属する機械式接点スイッチの端子間に双方向降圧チョッパ回路を接続し、そのチョッパ回路の通流率制御により調整した平滑電流を電圧の高い電池側から電圧の低い電池側へ流すことによって両電池間の電圧差を減少させ、その電圧差がなくなったときに、これから投入しようとする電池に付属する機械式接点スイッチをオンさせることによって解決される。
本発明によれば、例えば一部の電池を新品と交換する際に、これから投入しようとする電池が既に投入済みの電池に対して電圧差を有する場合、これから投入しようとする電池に付属する機械式接点スイッチの端子間に双方向降圧チョッパ回路を接続する。これから投入しようとする電池に付属する機械式接点スイッチの端子間への双方向降圧チョッパ回路を接続することは、これから投入しようとする電池と既に投入済みの電池との間に双方向降圧チョッパ回路を接続することを意味する。従って、その双方向降圧チョッパ回路の働きにより、電圧の高い電池側から電圧の低い電池側へ、通流率制御に応じて適度に調整された平滑電流が流れる。その結果、電圧の高い電池側は放電により電圧が低下し、電圧の低い電池側は充電により電圧が上昇し、次第に電圧差が減少していく。電圧差が零になった時点で電流も零になる。電圧差が零に達した時点で機械式接点スイッチをオンさせることによって、過大な突入電流を回避した電池並列接続が達成される。
また、既に投入済みの電池が発電装置の投入によって充電中、又は負荷の投入によって放電中であるときに、異なる電圧を有する電池を追加投入する際にも、全く同様に、追加投入しようとする電池に付属する機械式接点スイッチの端子間に双方向降圧チョッパ回路を接続することによって、電圧の高い電池側から電圧の低い電池側へ、チョッパ回路の通流率制御に応じて適度に調整された平滑電流を流すことができる。従って、電池間の電圧差が零になれば、追加投入しようとする電池に付属する機械式接点スイッチをオンさせることによって、過大な突入電流を防止した電池並列接続を達成することができる。
本発明の実施形態では、前記双方向降圧チョッパ回路を、ダイオードブリッジと、そのダイオードブリッジの直流側端子間に接続された半導体スイッチング素子とインダクタンスとの直列回路と、その半導体スィッチをオフさせたときのインダクタンスのための電流還流路を形成させるための還流ダイオードとから構成し、機械式接点スイッチの端子間への双方向降圧チョッパ回路の接続をダイオードブリッジの交流側端子により行う。これによって、ダイオードブリッジの双方向性と、半導体スイッチング素子のオン・オフによる通流率制御と、インダクタンスによる電流平滑作用により、電圧の高い電池側から電圧の低い電池側へ、適度に調整された平滑電流を流すことができる簡単な双方向降圧チョッパ回路を実現することができる。
本発明の他の実施形態では、複数個の電池に共通な双方向降圧チョッパ回路を設け、その共通な双方向降圧チョッパ回路を、別の切換スイッチ手段を介して、これから投入しようとする電池に付属する機械式接点スイッチの端子間に切換接続することにより、双方向降圧チョッパ回路の個数を低減することができる。
本発明の更に別の実施形態では、電池ごとに双方向降圧チョッパ回路を設け、各電池に付属する機械式接点スイッチの端子間にそれぞれ接続しておき、その都度これから投入しようとする電池に付属する双方向降圧チョッパ回路を選択して動作させる。これによって投入済みの電池とこれから投入しようとする電池との間への双方向降圧チョッパ回路の接続を特別な切換スイッチ手段なしに簡単に行うことができる。
本発明によれば、リチウム電池等の内部抵抗値が極めて小さい電池からなる電池を複数個並列接続した電池電源装置において、例えば一部の電池を新品と交換する際に、これから投入しようとする電池が既に投入済みの電池に対して電圧差を有する場合に、これから投入しようとする電池に付属する機械式接点スイッチの端子間に双方向降圧チョッパ回路を接続して、通流率制御に応じて適度に調整された平滑電流を電圧の高い電池側から電圧の低い電池側へ流すことによって、両電池間の電圧差を減少させ、電圧差が零になった時点で機械式接点スイッチをオンさせるので、過大な突入電流を防止して、電池相互に与えるダメージを無くす効果がある。
図1は本発明による電池の並列接続方法を実施するための基本回路構成を示す回路図である。 図2Aは図1の基本回路構成の基本動作を説明するための電圧および電流の時間的経過図である。 図2Bは図1の基本回路構成の他の基本動作を説明するための電圧および電流の時間的経過図である。 図3は本発明による電池の並列接続方法を実施するための応用例を示す回路図である。
図1は、2つの電池がそれぞれ付属の機械式接点スイッチを介して並列接続可能である電池電源装置において、双方向降圧チョッパを用いた本発明による電池の並列接続方法を実現する原理的な基本回路の構成例を示す。電池電源装置を構成する2つの電池B1およびB2は、それぞれ、例えば互いに直列接続された複数の充放電可能な電池、例えばリチウムイオン電池からなるいわゆる列電池もしくは電池集合体である。各電池B1,B2において、VB1,VB2は端子電圧、eB1,eB2は内部電圧、RB1,RB2は内部抵抗を表す。各電池B1,B2の負極端子は直接に負極側母線に接続され、他方の正極端子はそれぞれ1つの機械式接点スイッチSW1,SW2を介して正極側母線に接続可能である。正極側母線と負極側母線との間には、図1には示されていないが、それぞれ別の機械式接点スイッチを介して負荷および発電装置が接続可能である(図3参照)。
電池B1,B2の電圧VB1(もしくはeB1),VB2(もしくはeB2)間に電圧差があるとき、両機械式接点スイッチSW1,SW2のオンにより両電池B1,B2を直接に並列接続すると、電圧の高い電池側から電圧の低い電池側へ突入電流IBRSHが流れる。この突入電流IBRSHは、VB1(eB1)>VB2(eB2)の場合には、
IBRSH=[(eB1−eB2)/(RB1+RB2)] ・・・(1)
と表され、VB1(eB1)<VB2(eB2)の場合には、
IBRSH=[(eB2−eB1)/(RB1+RB2)] ・・・(2)
と表される。例えば、電池内部抵抗がRB1=RB2=10mΩとした場合、電池B1の電圧VB1と電池B2の電圧VB2との電圧差が1Vであれば、IBRSH=1V÷(10mΩ×2)=50Aの電流が流れ、10Vであれば500Aの電流が流れる。更に、図3に示すように、多数の列電池で構成される電池電源装置では、例えば並列数10個のうち1個の列電池が他の9個の列電池に対して1Vの電圧差があれば、IBRSH=1V÷(10mΩ+(10mΩ÷9))=91Aの電流が流れ、10Vであれば910Aの電流が流れる。このように、電池間に電圧差がある場合、僅かな電圧差であっても、電池内部抵抗が小さい電池では、電池に深刻なダメージをもたらす過大な突入電流が発生し得る。
このような過大な突入電流を回避するために、本発明によれば、これから投入しようとする電池に付属した機械式接点スイッチの端子間に双方向降圧チョッパ回路CHが接続され、そのチョッパ回路CHの通流率αが制御される。例えば、スイッチSW1がオフ、スイッチSW2がオンの場合、電池B2が投入済みの電池で、電池B1がこれから投入しようとする電池である。この場合、これから投入しようとする電池B1に付属した機械式接点スイッチSW1の端子間に、即ちA,B間に、双方向降圧チョッパ回路CHが接続される。逆に、電池B1が投入済みの電池で、電池B2がこれから投入しようとする電池である場合、これから投入しようとする電池B1に付属した機械式接点スイッチSW2の端子間に、即ちC,D間に、双方向降圧チョッパ回路CHが接続される。図1は、双方向降圧チョッパ回路CHをスイッチSW1の端子間、即ちA,B間に接続した状態を示しており、C,D間への接続切換は、C点から左に延びる破線とD点から下に延びる破線とによって象徴的に示されている。このような接続切換のために、唯一の双方向降圧チョッパ回路を共通に使用する場合には、図示されていない特別の切換用スイッチが必要であるが、機械式接点スイッチSW1,SW2ごとに個別の双方向降圧チョッパ回路を設ける場合には、そのような特別の切換用スイッチを必要としない。
図1に示す双方向降圧チョッパ回路CHは、ダイオードD11,D12,D13,D14からなるダイオードブリッジを有し、このダイオードブリッジD11〜D14の直流側端子a1,a2間には、逆並列ダイオードD1を有する半導体スイッチング素子Q、例えばIGBTと、電流平滑用のインダクタンスLとの直列回路が接続されている。半導体スイッチング素子QとインダクタンスLとの接続点と、電池電源装置の負極端子との間に、別のダイオード、いわゆる還流ダイオードD2が接続されている。チョッパ回路CHの機械式接点スイッチSW1の端子間、即ちA,B間への接続は、ダイオードブリッジD11〜D14の交流側端子a3,a4を介して行われる。ダイオードブリッジD11〜D14の交流側端子のうち電池B1側の交流側端子a3と電池電源装置の負極端子との間には平滑コンデンサC1が、そして電池B2側の交流側端子a4と電池負極端子との間には平滑コンデンサC2が接続されており、平滑コンデンサC1,C2には大きな抵抗値を有する抵抗R1,R2が並列接続されている。しかし、これらの構成要素C1,C2およびR1,R2は原理的には必ず必要というわけではないので、動作を説明する際には簡単化のために省略して説明する。
先ず、スイッチSW2のオンにより電池B2が既に投入済みで、スイッチSW1がオフされていて電池B1がこれから投入しようとする電池である場合について考察する。この場合、双方向降圧チョッパ回路CHは、図1に示すように、スイッチSW1の端子間A,Bに接続される。
VB1(eB1)>VB2(eB2)の場合には、半導体スイッチング素子Qがオンされると、ダイオードD13,D14が導通し、実線の矢印線IBAで示すように、B1→RB1→D13→Q→L→D14→SW2→RB2→B2なる経路にて電流が流れる。インダクタンスLには両電池の差電圧(eB1−eB2)が印加されるので、インダクタンスLの電流は、その差電圧に応じて増大する。半導体スイッチング素子Qがオフされると、ダイオードD2,D14が導通し、L→D14→SW2→RB2→B2→D2→Lなる経路にて電流が流れ続ける。インダクタンスLには逆向きに電圧eB2が印加されるので、この流れ続ける電流は、逆向きの電圧eB2に応じて低下する。このようにして、電圧の高い電池B1側から電圧の低い電池B2側へ電流が流れ、即ち、電圧の高い電池B1が放電され、電圧の低い電池B2が充電されるので、両電池間の電圧差が減少して、やがて零になり、この時点で電流も零に達する。従って、電圧差が零に達した時点で機械式接点スイッチSW1をオンさせることによって、過大な突入電流を回避した電池並列接続が達成される。
逆に、VB1(eB1)<VB2(eB2)の場合には、ダイオードD11およびD12が導通し、B2→RB2→SW2→D11→Q→L→D12→RB1→B1なる経路にて前記IBAとは逆方向に電流が流れ、この電流は差電圧(eB2−eB1)に応じて増大していく。半導体スイッチング素子Qがオフされると、ダイオードD2およびダイオードD12が導通し、電流はL→D12→RB1→B1→D2→Lなる経路にて電流が流れ続け、この電流は、逆向きの電圧eB1に応じて低下する。この場合にも同様に、電圧の高い電池B2側から電圧の低い電池B1側へ電流が流れ、即ち、電圧の高い電池B2が放電され、電圧の低い電池B1が充電されるので、両電池間の電圧差が減少して、やがて零になり、この時点で電流も零に達する。従って、電圧差が零に達した時点で機械式接点スイッチSW1をオンさせることによって、過大な突入電流を回避した電池並列接続が達成される。
スイッチSW1のオンにより電池B1が既に投入済みで、スイッチSW2がオフされていて電池B2がこれから投入しようとする電池である場合には、双方向降圧チョッパ回路CHは、図1に破線にて象徴的に示されているように、スイッチSW2の端子間C,Dに接続される。即ち、チョッパ回路CHの一方の交流側端子a3が、A点ではなくてD点に接続され、他方の交流側端子a4がB点ではなくて、C点に接続される。
従って、VB1(eB1)<VB2(eB2)の場合には、半導体スイッチング素子Qがオンされると、ダイオードD11およびD12が導通し、破線の矢印線IBBで示すように、B2→RB2→D11→Q→L→D12→SW1→RB1→B1なる経路にて電流が流れ、この電流は、両電池間の差電圧(eB2−eB1)に応じて増大していく。半導体スイッチング素子Qがオフされると、ダイオードD2およびダイオードD12が導通し、電流はL→D12→SW1→RB1→B1→D2→Lなる経路にて流れ続け、この電流は、逆向きの電圧eB1に応じて低下する。このようにして、電圧の高い電池B2側から電圧の低い電池B1側へ電流が流れ、即ち、電圧の高い電池B2が放電され、電圧の低い電池B1が充電されるので、両電池間の電圧差が減少して、やがて零になり、この時点で電流も零に達する。従って、電圧差が零に達した時点で機械式接点スイッチSW2をオンさせることによって、過大な突入電流を回避した電池並列接続が達成される。
逆に、VB1(eB1)>VB2(eB2)の場合には、半導体スイッチング素子Qがオンされると、B1→RB1→SW1→D13→Q→L→D14→RB2→B2なる経路にて上記IBBとは逆方向に電流が流れ、この電流は両電池間の差電圧(eB1−eB2)に応じて増大していく。半導体スイッチング素子Qがオフされると、電流はL→D14→RB2→B2→D2→Lなる経路にて流れ続け、この電流は、逆向きの電圧eB2に応じて低下する。このようにして、電圧の高い電池B1側から電圧の低い電池B2側へ電流が流れ、即ち、電圧の高い電池B1が放電され、電圧の低い電池B2が充電されるので、両電池間の電圧差が減少して、やがて零になり、この時点で電流も零に達する。従って、電圧差が零に達した時点で機械式接点スイッチSW2をオンさせることによって、過大な突入電流を回避した電池並列接続が達成される。
図2Aおよび図2Bは、双方向降圧チョッパ回路CHにより制御される電圧および電流の経過例を概略的に示す。t1はチョッパ回路動作の初期の時点を示し、t2は終期の時点を表す。図2Aでは、VB1(eB1)>VB2(eB2)の場合について時間軸が左から右の方向へ進行するように図示されている。図2Bでは、VB1(eB1)<VB2(eB2)の場合について時間軸が右から左の方向へ進行するように図示されている。チョッパ回路CH(半導体スイッチング素子Q)の通流率αを電池間の電圧差に応じて制御することによって、電流を所望の範囲に調整することができる。ここでは、チョッパ回路の動作開始時における電池間の電圧差に応じて決定した通流率αが、チョッパ回路の動作中、一定に保たれている。
VB1(eB1)>VB2(eB2)の場合には、既に説明したとおり電圧の高い電池B1側から電圧の低い電池B2側へ電流が流れることにより、図2Aに示すように、電池B1は放電により電圧VB1(eB1)が下がり、電池B2は充電により電圧VB2(eB2)が上がるので、時点t1での電圧差は時間の経過にともなって減少していき、時点t2では零に到達する。仮に、インダクタンスL=0とした場合、図示のように、先に式(1)で示したIBRSHに対応したパルス高さIBAと、通流率αに対応したパルス幅とを有するパルス電流が流れる。パルス電流の高さIBAは、式(1)から分かるように、電圧差(eB1−eB2)に比例して減少する。実際には、インダクタンスLの電流平滑作用により、増減を繰り返しながら低下する電流IBAαが生じる。図2Aにおける破線は理想的に平滑された電流を示す。電圧差が零になる時点t2では、この電流も零に達する。電流IBAαは、
IBAα=[(eB1−eB2)/(RB1+RB2)]×α ・・・(3)
で表わされる。
VB1(eB1)<VB2(eB2)の場合には、既に説明したとおり電圧の高い電池B2側から電圧の低い電池B1側へ電流が流れることにより、図2Bに示すように、電池B1は充電により電圧VB1(eB1)が上がり、電池B2は放電により電圧VB2(eB2)が下がるので、時点t1での電圧差は時間の経過にともなって減少していき、時点t2では零に到達する。仮に、インダクタンスL=0とした場合、図示のように、先に式(2)で示したIBRSHに対応したパルス高さIBBと、通流率αに対応したパルス幅とを有するパルス電流が流れる。パルス電流の高さIBBは、式(2)から分かるように、電圧差(eB2−eB1)に比例して減少する。実際には、インダクタンスLの電流平滑作用により、増減を繰り返しながら低下する電流IBBαが生じる。図2Bにおける破線は理想的に平滑された電流を示す。電圧差が零になる時点t2では、この電流も零に達する。電流IBBαは、
IBBα=[(eB2−eB1)/(RB1+RB2)]×α ・・・(4)
で表わされる。
以上のように、これから投入しようとする電池に付属する機械式接点スイッチをオンする前に、当該機械式接点スイッチの端子間に双方向降圧チョッパを接続して作動させることにより、電池間に電圧差があれば、電圧の高い電池側から、電圧の低い電池側へ電流が流れ、前者の電池は放電により電圧が減少し、後者の電池は充電により電圧が増大することにより、両電池の電圧は互いに接近していく。両電池の電圧が一致した時点で、新たに投入すべき電池に属する機械式接点スイッチがオフからオンに切り換えられる。従って、過大な突入電流を発生させることなく、投入済みの電池に対して新たに電池を並列投入することができる。
図3は、図1に示した基本回路の応用例を示す。ここに示されている電池電源装置は、並列接続可能なn個の列電池B1,B2,B3,・・・,Bnを含む。各列電池は、負極端子を負極側母線に直接接続され、正極端子をそれぞれに付設の機械式接点スイッチSW1,SW2,SW3,・・・,SWnを介して正極側母線に接続されている。各列電池において、VB1〜VBnは端子電圧、eB1〜eBnは内部電圧、RB1〜RBnは内部抵抗を示す。この電池電源装置の正極側母線と負極側母線との間には、それぞれ他の機械式接点スイッチSWZもしくはSWGを介して、負荷Zもしくは発電機Gが接続可能である。正極側母線と負極側母線との間の電圧がVB、発電機Gの電圧がVGで示されている。更に本発明による方法を実施するために、双方向降圧チョッパ回路CHが設けられている。この双方向降圧チョッパCHは、図1に示した双方向降圧チョッパ回路と同一構成であり、同一符号が用いられている。
スイッチSW2〜SWnがオンされて既に投入済みの電池B2〜Bnに対し、電池B1をこれから投入しようとする場合、電池B1に付属したスイッチSW1の端子間に双方向降圧チョッパ回路CHを接続して、これを通流率αにて動作させる。投入済みの他の電池B2〜Bnの全体における端子電圧をVB、等価内部電圧をeB、等価内部抵抗をRB(RB2RBn)にて表すものとすると、仮にチョッパ回路CHの介在なしに直接にスイッチSW1を投入すると、
IB1RSH=(n−1)×|eB1−eB|/RB(RB2RBn) ・・・(5)
で表される電流が流れる。電圧差|eB1−eB|が僅かであっても、電池内部抵抗が小さい電池を用いる場合には、電池に深刻なダメージをもたらす過大な突入電流が発生し得る。本発明によれば、通流率αで動作するチョッパ回路CHの介在によって、電流は、
IB1α=IB1RSH×α (6)
で表され、通流率αによって適度の範囲に調整可能である。
電池B1は、このように調整された電流によって、電圧VB1>VBの場合は放電させられ、逆にVB1<VBの場合は充電され、従っていずれにしても電圧VB1が電圧VBに近づき、電流IB1αは零に向かう。電圧が一致した時点でスイッチSW1がオンされ、スイッチSW1の通電開始後にチョッパ回路CHの動作が停止される。
なお、スイッチSW1によって電池B1を投入しようとするとき、投入済みの電池B2〜Bnと同様に、負荷Zおよび/又は発電機GがスイッチSWLおよび/又はSWGによって投入されている場合にも、上述の動作に格別の相違は生じない。例えば発電機Gによる電池B2〜Bnの充電中に、新たに電池B1を並列接続する場合、VB(もしくはeB)が発電機Gの電圧VGに等しいものとすれば、上記と同様の動作説明を当てはめることができる。また、双方向降圧チョッパ回路は、列電池ごとに設置することができる。
B1,B2,・・・Bn 電池
eB1,eB2,・・・eBn 内部電圧
CH 双方向降圧チョッパ回路
D1,D2 ダイオード
D11〜D14 ダイオージブリッジ
L インダクタンス
Q 半導体スイッチング素子
RB1,RB2,・・・RBn 内部抵抗
SW1,SW2,・・・SWn 機械式接点スイッチ
VB1,VB2,・・・VBn 端子電圧

Claims (4)

  1. 複数個の電池がそれぞれ付属の機械式接点スイッチを介して並列接続可能である電池電源装置において、これから投入しようとする電池が既に投入済みの電池に対して電圧差を有する場合、これから投入しようとする電池に付属する機械式接点スイッチの端子間に双方向降圧チョッパ回路を接続し、そのチョッパ回路の通流率制御により調整した平滑電流を電圧の高い電池側から電圧の低い電池側へ流すことによって両電池間の電圧差を減少させ、その電圧差がなくなったときに、これから投入しようとする電池に付属する機械式接点スイッチをオンさせることを特徴とする電池の並列接続方法。
  2. 前記双方向降圧チョッパ回路を、ダイオードブリッジと、そのダイオードブリッジの直流側端子間に接続された半導体スイッチング素子とインダクタンスとの直列回路と、その半導体スィッチをオフさせたときのインダクタンスのための電流還流路を形成させるための還流ダイオードとから構成し、機械式接点スイッチの端子間への双方向降圧チョッパ回路の接続をダイオードブリッジの交流側端子により行うことを特徴とする請求項1記載の電池の並列接続方法。
  3. 複数個の電池に共通な双方向降圧チョッパ回路を設け、その共通な双方向降圧チョッパ回路を、別の切換スイッチ手段を介して、これから投入しようとする電池に付属する機械式接点スイッチの端子間に切換接続することを特徴とする請求項1又は2記載の電池の並列接続方法。
  4. 電池ごとに双方向降圧チョッパ回路を設け、各電池に付属する機械式接点スイッチの端子間にそれぞれ接続しておき、これから投入しようとする電池に付属する双方向降圧チョッパ回路を選択して動作させることを特徴とする請求項1又は2記載の電池の並列接続方法。
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