JP2015018746A - 有機エレクトロルミネッセンス装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 防湿層と吸湿層の剥離などを防止して、発光寿命の長い有機EL装置を提供する。【解決手段】 本発明の有機EL装置1は、支持基板2と、支持基板2上に設けられた有機EL素子3と、前記有機EL素子3上に設けられた吸湿層4と、前記吸湿層4上に設けられた防湿層5と、を有し、前記吸湿層4が、ホウ素化合物を含み、前記防湿層5が、窒素化合物を含み、前記吸湿層4と防湿層5の間に、B−N結合を有する化合物を含む中間層6が設けられている。【選択図】 図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置に関する。
以下、有機エレクトロルミネッセンスを「有機EL」と記す。
従来、支持基板と、前記支持基板上に設けられた有機EL素子と、を有する有機EL装置が知られている。前記有機EL素子は、第1電極と、第2電極と、前記両電極の間に設けられた有機層と、を有する。
前記有機EL素子は、水分によって劣化し易い。有機EL素子の水分劣化を防止するため、例えば、特許文献1には、支持基板に設けられた有機EL素子と、有機EL素子上に設けられた吸湿層と、吸湿層上に設けられたガスバリア層と、を有する有機EL装置が開示されている。特許文献1の前記吸湿層は、酸化カルシウム又は酸化ストロンチウムなどの金属酸化物から形成され、前記ガスバリア層は、窒化ケイ素、酸化ケイ素又は酸化窒化ケイ素から形成されている。
特許文献1の有機EL装置によれば、ガスバリア層によって有機EL装置に水分が侵入することを防止できる上、ガスバリア層と有機EL素子の間に設けられた吸湿層が水分を吸収するので、有機EL素子の水分劣化を抑制できる。
しかしながら、前記吸湿層が水分を吸収すると、それが体積膨張するので、ガスバリア層が吸湿層から部分的に剥がれる、又は、ガスバリア層や吸湿層にクラックが生じるおそれがある。前記剥離やクラックが生じると、その部分から有機EL素子に水分が侵入して有機EL素子が劣化する。このため、従来の有機EL装置は、発光寿命が短いため、その改善が求められる。
特開2011−020335号公報
本発明の目的は、防湿層と吸湿層の剥離などを防止して、発光寿命の長い有機EL装置を提供することである。
本発明の有機EL装置は、支持基板と、支持基板上に設けられた有機EL素子と、前記有機EL素子上に設けられた吸湿層と、前記吸湿層上に設けられた防湿層と、を有し、前記吸湿層が、ホウ素化合物を含み、前記防湿層が、窒素化合物を含み、前記吸湿層と防湿層の間に、B−N結合を有する化合物を含む中間層が設けられている。
本発明の好ましい有機EL装置は、前記B−N結合を有する化合物が、窒化ホウ素を含む。
本発明の好ましい有機EL装置は、前記ホウ素化合物が、酸化ホウ素を含む。
本発明の好ましい有機EL装置は、前記窒素化合物が、金属又は半金属の窒化物、酸化窒化物、炭化窒化物及び酸化炭化窒化物から選ばれる少なくとも1種を含む。
本発明の好ましい有機EL装置は、前記窒素化合物が、ケイ素の窒化物、酸化窒化物、炭化窒化物及び酸化炭化窒化物から選ばれる少なくとも1種を含む。
本発明の有機EL装置は、防湿層が吸湿層から剥離し難く、長期間安定的に発光し得る。
本発明の有機EL装置の断面図(有機EL装置を厚み方向で切断した断面図)。
以下、本発明について、図面を参照しつつ説明する。ただし、図に表された厚み及び長さなどの寸法は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
また、本明細書において、用語の頭に、「第1」、「第2」を付す場合があるが、この第1などは、用語を区別するためだけに付加されたものであり、その順序や優劣などの特別な意味を持たない。本明細書において、「PPP〜QQQ」という表記は、「PPP以上QQQ以下」を意味する。
[有機EL装置の構成]
本発明の有機EL装置1は、図1に示すように、支持基板2と、前記支持基板2の上に設けられた有機EL素子3と、前記有機EL素子3の上に設けられた吸湿層4と、前記吸湿層4の上に設けられた中間層6と、前記中間層6の上に設けられた防湿層5と、を有する。
前記有機EL素子3は、端子31aを有する第1電極31と、端子32aを有する第2電極32と、前記両電極31,32の間に設けられた有機層33と、を有する。
例えば、前記第1電極31の端子31aは、前記有機層33を基準にしてその第1側に配設され、且つ、第2電極32の端子32aは、第2側に配設されている。前記第1側と第2側は、相反する側である。前記吸湿層4、中間層6及び防湿層5は、これらの端子31a,32aを除いて、有機EL素子3の表面を被覆するように積層接着されている。
支持基板2が導電性を有する場合には、電気的な短絡を防止するため、支持基板2と第1電極31の間に絶縁層(図示せず)が設けられる。
具体的には、前記有機EL素子3は、例えば、平面略長方形状に形成されている。もっとも、有機EL素子3の平面形状は、略長方形状に限られず、例えば、略正方形状又は円形状などに形成されていてもよい。
前記有機EL素子3の有機層33は、発光層を含み、必要に応じて、正孔輸送層及び電子輸送層などの各種機能層を有する。有機層33の層構成は、後述する。
第1電極31の端子31aを形成するため、有機層33は、第1電極31の第1側の端部(端子31a)を除いて、第1電極31の表面上に積層されている。
また、有機層33の表面上には、有機層33の表面を被覆するように第2電極32が積層されているが、第2電極32の端子32aを形成するため、第2電極32の端部(端子32a)は、有機層33の端部から第2側に延出されている。
前記第1電極31及び第2電極32の各端子31a,32aは、外部に接続する部分である。第1電極31の端子31aは、第1電極31の露出した表面からなり、第2電極32の端子32aは、第2電極32の露出した表面からなる。
前記吸湿層4は、水分を吸収する層である。かかる吸湿層4を設けることにより、防湿層5を通過した僅かな水分が吸湿層4に吸収されるので、有機EL素子3の水分劣化を効果的に抑制できる。吸湿層4は、第2電極32上に積層されている。換言すると、吸湿層4は、第2電極32と防湿層5の間に設けられている。
前記防湿層5は、有機EL素子3に、水分(水蒸気)などが浸入することを防止するための層である。防湿層5は、吸湿層4を被覆するように、中間層6上に積層されている。
前記中間層6は、吸湿層4と防湿層5を一体化させるためのバインダー層として機能する。中間層6は、吸湿層4と防湿層5の層間の一部分に介在するように設けられていてもよいが、好ましくは、中間層6は、吸湿層4と防湿層5の層間の全体に介在するように設けられている。
前記吸湿層4、中間層6及び防湿層5は、前記各端子31a,32aを除いて、有機EL素子3の全体を気密的に覆っている。詳しくは、吸湿層4は、各端子31a,32aを除いて、第2電極32の表面に接着し、さらに、図1に示すように、有機EL素子3の周端面に接着している。また、吸湿層4の周縁部は、第1電極31の表面及び第2電極32の表面にそれぞれ接着されている。なお、有機EL素子3の前記周端面は、素子3の厚みを構成する周囲の面である。防湿層5は吸湿層4の外側に積層されているので、有機EL素子3の周端面は、防湿層5にも覆われている。
なお、図1に示す例では、吸湿層4、中間層6及び防湿層5は、有機EL素子3の周端面までも覆うように設けられているが、吸湿層4及び/又は中間層6及び/又は防湿層5が有機EL素子3の周端面を覆わずに第2電極32の表面のみを覆うように設けられていてもよい(図示せず)。
また、支持基板2と有機EL素子3の間、有機EL素子3と吸湿層4の間、又は、防湿層5の表面に、任意の適切な機能層が設けられていてもよい(機能層は、不図示)。
[支持基板]
前記支持基板は、シート状物であり、好ましくは、フレキシブルなシート状物である。 前記支持基板は、透明又は不透明の何れでもよい。ただし、ボトムエミッション型の有機EL装置を構成する場合には、透明な支持基板が用いられる。トップエミッション型の有機EL装置を構成する場合には、透明な支持基板又は不透明の支持基板の何れを用いてもよい。なお、前記透明は、無色透明又は有色透明を意味する。前記透明の指標としては、例えば、全光線透過率70%以上、好ましくは80%以上が例示できる。ただし、前記全光線透過率は、JIS K7105(プラスチックの光学的特性試験方法)に準拠した測定法によって測定される。
本発明において、支持基板は、水蒸気や酸素などの侵入を防止できるガスバリア性に優れている基板が用いられる。例えば、支持基板は、例えば、金属シート、樹脂シート、ガラスシート、セラミックシートなどから適宜選択して用いることができる。なお、本明細書において、シートとは、一般にフィルムと呼ばれるものを含む。前記金属シートは、特に限定されないが、例えば、ステンレス、銅、チタン、アルミニウム、合金などからなるフレキシブルな薄板が挙げられる。前記金属シートの厚みは、例えば、10μm〜100μmである。前記樹脂シートは、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリカーボネート(PC);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などからなるフレキシブルな合成樹脂シートが挙げられる。前記樹脂シートの厚みは、特に限定されないが、例えば、10μm〜200μmである。良好なガスバリア性を付与できることから、前記樹脂シートの少なくとも一方面に公知のガスバリア層が積層されていてもよい。
また、駆動時に有機EL装置の温度上昇を防止するため、前記支持基板は、放熱性に優れていることが好ましい。なお、支持基板として、導電性基板(金属シートなど)を用いる場合には、対面する電極に対して絶縁するため、前記支持基板の表面に絶縁層が設けられる。
[吸湿層]
吸湿層は、ホウ素化合物を含んでいる。吸湿層は、ホウ素化合物を含んでいることを条件として、他の化合物が含まれていてもよい。前記他の化合物は、ホウ素化合物以外の化合物をいう。
前記吸湿層は、(a)吸湿性を有するホウ素化合物のみを実質的に含む、(b)吸湿性を有するホウ素化合物と吸湿性を有する他の化合物を含む、(c)吸湿性を有するホウ素化合物と吸湿性を有さない他の化合物を含む、(d)吸湿性を有するホウ素化合物と吸湿性を有さない他の化合物と吸湿性を有する他の化合物を含む、(e)吸湿性を有さないホウ素化合物と吸湿性を有する他の化合物を含む、などが挙げられる。なお、吸湿性とは、物質がその周りから化学的に水分を吸収する性質を言う。
本発明では、吸湿性を有するホウ素化合物のみを実質的に含む吸湿層、吸湿性を有するホウ素化合物と吸湿性を有さない他の化合物を含む吸湿層、又は、吸湿性を有するホウ素化合物を含み且つ吸湿性を有する他の化合物を含まない吸湿層の何れかが好ましく、特に、吸湿性を有するホウ素化合物のみを実質的に含む吸湿層がより好ましい。
前記ホウ素化合物は、その分子中にホウ素原子が含まれている化合物であり、例えば、ホウ素の酸化物、ホウ素の酸素酸、ホウ素の臭化物などが挙げられる。前記ホウ素の酸化物としては、酸化ホウ素(B)が挙げられる。前記ホウ素の酸素酸は、ホウ素原子を中心原子とする酸素酸又はその塩である。ホウ素の酸素酸としては、例えば、オルトホウ酸、メタホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸、及びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。前記ホウ素の臭化物としては、三臭化ホウ素(BBr)が挙げられる。これらの中では、吸湿性に優れていることから、酸化ホウ素が好ましい。また、酸化ホウ素は、透明性にも優れているので、トップエミッション型の有機EL装置の吸湿層の形成材料として好適である。
前記吸湿性を有する他の化合物としては、有機又は無機の何れでもよいが、通常、無機化合物が用いられる。吸湿性を有する他の化合物としては、例えば、アルカリ金属;アルカリ土類金属;アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、フッ化物、硫酸塩、ハロゲン化物、リン酸塩、硫化物又は過塩素酸塩;などが挙げられる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属としては、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Baなどが挙げられる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物としては、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。アルカリ金属などのフッ化物としては、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウムなどが挙げられる。アルカリ金属などの硫酸塩としては、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウムなどが挙げられる。アルカリ金属などのハロゲン化物としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、臭化カルシウムなどが挙げられる。アルカリ金属などのリン酸塩としては、リン酸カルシウムなどが挙げられる。アルカリ金属などの硫化物としては、硫化炭素、硫化亜鉛などが挙げられる。アルカリ金属などの過塩素酸塩としては、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウムなどが挙げられる。
吸湿層がホウ素化合物と他の化合物を含む場合、ホウ素化合物の量は、特に限定されない。中間層と強固に結合することから、ホウ素化合物の量は、吸湿層全体に対して、50質量%以上100質量%未満であり、好ましくは60質量%〜99質量%である。
吸湿層の厚みは特に限定されず、例えば、5nm〜500nmであり、好ましくは、30nm〜200nmである。
[防湿層]
防湿層は、窒素化合物を含んでいる。防湿層は、窒素化合物を含んでいることを条件として、窒素化合物以外の化合物が含まれていてもよい。
前記窒素化合物は、その分子中に窒素原子が含まれている化合物であり、例えば、含窒素無機化合物が挙げられる。真空蒸着法にて防湿層を形成できることから、窒素化合物は、含窒素無機化合物が好ましい。
含窒素無機化合物としては、金属又は半金属の窒化物、金属又は半金属の酸化窒化物、金属又は半金属の炭化窒化物、金属又は半金属の酸化炭化窒化物などが挙げられる。金属としては、上記に例示したようなアルカリ金属、アルカリ土類金属の他、これら以外の金属が挙げられる。アルカリ金属及びアルカリ土類金属以外の金属としては、チタン、アルミニウム、亜鉛、ガリウム、インジウムなどが挙げられる。半金属としては、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモンなどが挙げられる。防湿層は、好ましくは、金属又は半金属の窒化物、酸化窒化物、炭化窒化物及び酸化炭化窒化物から選ばれる少なくとも1種を含み、より好ましくは、ケイ素の窒化物、酸化窒化物、炭化窒化物及び酸化炭化窒化物から選ばれる少なくとも1種を含む。ケイ素の窒化物、酸化窒化物、炭化窒化物及び酸化炭化窒化物は、それぞれ窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、炭化窒化ケイ素、酸化炭化窒化ケイ素が挙げられる。
防湿層の厚みは特に限定されず、例えば、50nm〜2000nmであり、好ましくは、100nm〜1000nmである。
[中間層]
中間層は、B−N結合を有する化合物を含んでいる。中間層は、窒化ホウ素を含んでいることが好ましく、さらに、B−N結合を有する化合物以外の他の化合物が含まれていてもよい。防湿層及び吸湿層と強固に結合することから、前記他の化合物は、前記ホウ素化合物又は窒素化合物であることが好ましい。以下、B−N結合を有する化合物を、「B−N化合物」という。
B−N化合物としては、代表的には、窒化ホウ素が挙げられる。その他、B−N化合物としては、窒化ホウ素アルミニウム、窒化ホウ素ガリウムなどが挙げられる。
中間層の厚みは特に限定されず、例えば、1nm〜100nmである。中間層の形成材料として窒化ホウ素を用いる場合には、中間層の厚みは、1nm〜10nmが好ましく、5nm〜10nmがより好ましい。窒化ホウ素は、透明性が悪いので、トップエミッション型の有機EL装置を構成する場合に、窒化ホウ素を含む中間層が光を遮断するからである。
[第1電極、有機層及び第2電極を有する有機EL素子]
前記第1電極は、陽極又は陰極のいずれでもよい。例えば、第1電極は陽極である。
前記第1電極(陽極)の形成材料は、特に限定されないが、例えば、インジウム錫酸化物(ITO);酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO);アルミニウム;金;白金;ニッケル;タングステン;銅;合金;などが挙げられる。ボトムエミッション型の有機EL装置を構成する場合には、透明な第1電極が用いられる。
第1電極の厚みは、特に限定されないが、通常、0.01μm〜1.0μmである。
有機層は、少なくとも2つの層からなる積層構造である。有機層の構造としては、例えば、(A)正孔輸送層、発光層及び電子輸送層の、3つの層からなる構造、(B)正孔輸送層及び発光層の、2つの層からなる構造、(C)発光層及び電子輸送層、の2つの層からなる構造、などが挙げられる。
前記(B)の有機層は、発光層が電子輸送層を兼用している。前記(C)の有機層は、発光層が正孔輸送層を兼用している。
本発明に用いられる有機層は、前記(A)〜(C)の何れの構造であってもよい。
以下、第1電極が陽極である場合の、前記(A)の構造を有する有機層について説明する。
正孔輸送層は、第1電極の表面に設けられる。もっとも、有機EL素子の発光効率を低下させないことを条件として、第1電極と正孔輸送層の間にこれら以外の任意の機能層が介在されていてもよい。
例えば、正孔注入層が、第1電極の表面に設けられ、その正孔注入層の表面に正孔輸送層が設けられていてもよい。正孔注入層は、陽極層から正孔輸送層へ正孔の注入を補助する機能を有する層である。
正孔輸送層の形成材料は、正孔輸送機能を有する材料であれば特に限定されない。正孔輸送層の形成材料としては、4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)−トリフェニルアミン(略称:TcTa)などの芳香族アミン化合物;1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼンなどのカルバゾール誘導体;N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(略称:α-NPD)、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9’−スピロビスフルオレン(略称:Spiro−NPB)などのスピロ化合物;高分子化合物;などが挙げられる。正孔輸送層の形成材料は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。また、正孔輸送層は、2層以上の多層構造であってもよい。
正孔輸送層の厚みは、特に限定されないが、駆動電圧を下げるという観点から、1nm〜500nmが好ましい。
発光層は、正孔輸送層の表面に設けられる。
発光層の形成材料は、発光性を有する材料であれば特に限定されない。発光層の形成材料としては、例えば、低分子蛍光発光材料、低分子燐光発光材料などの低分子発光材料を用いることができる。
低分子発光材料としては、例えば、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)−ビフェニル(略称:DPVBi)などの芳香族ジメチリデン化合物;5−メチル−2−[2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾオキサゾールなどのオキサジアゾール化合物;3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾールなどのトリアゾール誘導体;1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼンなどのスチリルベンゼン化合物;ベンゾキノン誘導体;ナフトキノン誘導体;アントラキノン誘導体;フルオレノン誘導体;アゾメチン亜鉛錯体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)などの有機金属錯体;などが挙げられる。
また、発光層の形成材料として、ホスト材料中に発光性のドーパント材料をドープしたものを用いてもよい。
前記ホスト材料としては、例えば、上述の低分子発光材料を用いることができ、これ以外に、1,3,5−トリス(カルバゾ−9−イル)ベンゼン(略称:TCP)、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、2,6−ビス(N−カルバゾリル)ピリジン、9,9−ジ(4−ジカルバゾール−ベンジル)フルオレン(略称:CPF)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジメチル−フルオレン(略称:DMFL−CBP)などのカルバゾール誘導体などを用いることができる。
前記ドーパント材料としては、例えば、スチリル誘導体;ペリレン誘導体;トリス(2−フェニルピリジル)イリジウム(III)(Ir(ppy))、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム(III)(Ir(piq))、ビス(1−フェニルイソキノリン)(アセチルアセトナト)イリジウム(III)(略称:Ir(piq)(acac))などの有機イリジウム錯体などの燐光発光性金属錯体;などを用いることができる。
さらに、発光層の形成材料には、上述の正孔輸送層の形成材料、後述の電子輸送層の形成材料、各種添加剤などが含まれていてもよい。
発光層の厚みは、特に限定されないが、例えば、2nm〜500nmが好ましい。
電子輸送層は、発光層の表面に設けられる。もっとも、有機EL素子の発光効率を低下させないことを条件として、第2電極と電子輸送層の間にこれら以外の任意の機能層が介在されていてもよい。
例えば、電子注入層が、電子輸送層の表面に設けられ、電子注入層の表面に、第2電極が設けられていてもよい。電子注入層は、前記第2電極から電子輸送層へ電子の注入を補助する機能を有する層である。
電子輸送層の形成材料は、電子輸送機能を有する材料であれば特に限定されない。電子輸送層の形成材料としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)などの金属錯体;2,7−ビス[2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]−9,9−ジメチルフルオレン(略称:Bpy−FOXD)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、2,2’,2’'−(1,3,5−フェニレン)−トリス(1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール)(略称:TPBi)などの複素芳香族化合物;ポリ(2,5−ピリジン−ジイル)(略称:PPy)などの高分子化合物;などが挙げられる。電子輸送層の形成材料は、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。また、電子輸送層は、2層以上の多層構造であってもよい。
電子輸送層の厚みは、特に限定されないが、駆動電圧を下げるという観点から、1nm〜500nmが好ましい。
第2電極は、陰極又は陽極の何れでもよい。例えば、第2電極は陰極である。
前記第2電極の形成材料は、特に限定されないが、トップエミッション型の有機EL素子を構成する場合には、透明な第2電極が用いられる。透明及び導電性を有する第2電極の形成材料としては、インジウム錫酸化物(ITO);酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO);アルミニウムなどの導電性金属を添加した酸化亜鉛(ZnO:Al);マグネシウム−銀合金などが挙げられる。第2電極の厚みは、特に限定されないが、通常、0.01μm〜1.0μmである。
[有機EL装置の用途及び効果]
本発明の有機EL装置は、その1つ又は複数を組み合わせて、照明装置や画像表示装置などの発光パネルとして利用できる。
本発明の有機EL装置は、防湿層が設けられているので、内部に水分が侵入することを防止できる。また、有機EL素子と防湿層の間に吸湿層が設けられているので、僅かな水分が防湿層を通過しても、吸湿層がその水分を吸収することにより、有機EL素子に水分が侵入することを防止できる。
本発明の有機EL装置は、吸湿層がホウ素化合物を含み、防湿層が窒素化合物を含み、それらの間にB−N化合物を含む中間層が設けられている。かかる有機EL装置が長期間安定的に発光することは、下記実施例及び比較例で実証されている。本発明の有機EL装置の発光寿命が長い理由は、明確ではないが、本発明者らは下記のように推定している。もっとも、その理由はあくまで推定であるので、下記とは異なる理由に基づいている可能性も否定できない。
一般に、有機EL装置を使用しているうちに、吸湿層が水分を吸収していくと、吸湿層が膨張して防湿層にひずみが生じる。その結果、防湿層が吸湿層から部分的に剥がれる、又は、防湿層や吸湿層にクラックが生じる。かかる剥離部分又はクラック部分から有機EL素子へと水分が侵入する。
本発明の有機EL装置は、吸湿層と防湿層の層間に、B−N化合物を含む中間層が設けられている。さらに、前記中間層の裏面に接する吸湿層は、ホウ素化合物を含み、前記中間層に表面に接する防湿層は、窒素化合物を含んでいる。吸湿層のホウ素化合物のホウ素原子が、中間層のB−N化合物の窒素原子とB−N結合を生じ、防湿層の窒素化合物の窒素原子が、中間層のB−N化合物のホウ素原子とB−N結合を生じていると推定される。なお、吸湿層に含まれる全てのホウ素化合物分子及び防湿層に含まれる全ての窒素化合物分子が中間層のB−N化合物とB−N結合しているわけではなく、吸湿層と中間層の界面及びその付近、並びに、防湿層と中間層の界面及びその付近における分子の複数がB−N結合しているものと推定される。B−N結合は、他の結合に比して、水分や酸素によって解離し難いので、吸湿層が水分を吸収しても、吸湿層と中間層、及び、防湿層と中間層は、それぞれ離れ難い。本発明においては、吸湿層と防湿層とが中間層を介して一体化しているので、吸湿層が膨張しても防湿層が剥離したり、或いは、クラックが生じることを効果的に防止できる。このため、本発明の有機EL装置は、長期間安定的に発光し続けると推定される。
[有機EL装置の製造方法]
本発明の有機EL装置の製造方法は、有機EL素子が形成された支持基板の前記有機EL素子上に吸湿層を形成する吸湿層形成工程と、前記吸湿層上に中間層を形成する中間層形成工程と、前記中間層上に防湿層を形成する防湿層形成工程と、を有する。
本発明の有機EL装置は、ロールツーロール方式にて複数連続的に製造することもできるし、個々に製造することもできる。
以下、ロールツーロール方式にて有機EL装置を複数連続的に製造する方法について説明する。
ロールツーロール方式による有機EL装置の製造方法は、フレキシブルな帯状の支持基板を繰り出す繰出し工程と、前記帯状の支持基板に複数の有機EL素子を形成する素子形成工程と、前記有機EL素子上に吸湿層を形成する吸湿層形成工程と、前記吸湿層上に中間層を形成する中間層形成工程と、前記中間層上に防湿層を形成する防湿層形成工程と、帯状の支持基板、有機EL素子、吸湿層、中間層及び防湿層を有する帯状の積層体をロール状に巻き取る巻取り工程と、を有する。
(繰出し工程)
繰出し工程は、ロールに巻かれた帯状の支持基板を製造ラインに送り出す工程である。
前記帯状の支持基板は、細長い長方形状のフレキシブルなシート状物である。前記帯状の支持基板の長さ(長手方向の長さ)は、特に限定されないが、例えば、10m〜1000mであり、その幅(短手方向の長さ)も特に限定されないが、例えば、10mm〜300mmである。
(素子形成工程)
有機EL素子の形成工程は、従来と同様にして行われる。
簡単に説明すると、前記繰り出した支持基板を、必要に応じて洗浄槽にて洗浄した後、乾燥する。洗浄乾燥後、その支持基板の表面上に第1電極を形成する。
第1電極の形成方法は、その形成材料に応じて最適な方法を採用できるが、スパッタ法、真空蒸着法、インクジェット法などが挙げられる。例えば、金属によって陽極を形成する場合には、真空蒸着法が用いられる。なお、予め第1電極がパターニングされた支持基板を用いてもよい。予め第1電極が形成された支持基板を用いる場合には、それをロールから繰り出し、洗浄乾燥する。
前記第1電極の表面上に、その端子を除いて、有機層を形成する。前記第1電極の表面に、例えば、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層などを順に形成することによって、有機層を形成できる。正孔輸送層、発光層及び電子輸送層などの形成方法は、その形成材料に応じて最適な方法を採用できるが、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、インクジェット法、コート法などが挙げられる。通常、これらは、真空蒸着法によって形成される。
続いて、有機層の表面に、第2電極を形成する。第2電極は、第1電極の端子に重ならないように形成される。第2電極の形成方法は、その形成材料に応じて最適な方法を採用できるが、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、インクジェット法などが挙げられる。
前記複数の有機EL素子の間隔は、特に限定されず、適宜設定できる。例えば、前記間隔は、0.5mm〜5mmである。
(吸湿層形成工程)
吸湿層形成工程は、前記有機EL素子上に、吸湿層を形成する工程である。
上述のようにホウ素化合物及び必要に応じて他の化合物を、2つの電極端子を除く有機EL素子の表面に付着させることにより、吸湿層を形成する。
吸湿層の形成方法は、その形成材料に応じて最適な方法を採用できるが、例えば、抵抗加熱蒸着や電子ビーム蒸着などの真空蒸着法、スパッタ法、熱CVD、光CVD、プラズマCVD、MOCVD、原子層堆積法(ALD)などが挙げられる。好ましくは、真空蒸着法を利用して吸湿層を形成する。
(中間層形成工程及び防湿層形成工程)
中間層形成工程は、前記吸湿層上に、中間層を形成する工程である。
上述のようにB−N化合物及び必要に応じて他の化合物を、吸湿層の表面に付着させることにより、中間層を形成する。
防湿層形成工程は、前記中間層上に、防湿層を形成する工程である。
上述のように窒素化合物及び必要に応じて他の化合物を、中間層の表面に付着させることにより、防湿層を形成する。
中間層及び防湿層の形成方法は、それらの形成材料に応じて最適な方法を採用できるが、例えば、上述のような物理気相成長法又は化学気相成長法が挙げられる。これらの中でも、プラズマを用いた物理蒸着法又はプラズマを用いた化学蒸着法を利用して中間層及び防湿層を形成することが好ましく、特に、プラズマ真空蒸着法を利用して中間層及び防湿層を形成することがより好ましい。
中間層の形成方法として、プラズマを用いた方法を採用することにより、吸湿層に対してより多くのB−N結合を生じた中間層を形成できる。詳しくは、プラズマを用いると、相手方である吸湿層の表面が活性化する。吸湿層の表面が活性化することにより、吸湿層中のホウ素化合物が中間層の形成材料であるB−N化合物と反応し易くなる。その結果、吸湿層との界面又は界面付近でより多くのB−N結合を生じた中間層を形成できる。
防湿層の形成方法としても、プラズマを用いた方法を採用することにより、中間層に対してより多くのB−N結合を生じた防湿層を形成できる。詳しくは、プラズマを用いると、相手方である中間層の表面が活性化する。中間層の表面が活性化することにより、中間層中のB−N化合物が防湿層の形成材料である窒素化合物と反応し易くなる。その結果、中間層との界面又は界面付近でより多くのB−N結合を生じた防湿層を形成できる。
前記プラズマは、特に限定されず、例えば、アーク放電プラズマ、グロー放電プラズマなどを用いることができる。グロー放電プラズマなどとは異なり、非常に高い電子密度となることから、アーク放電プラズマを用いることが好ましい。アーク放電プラズマを用いることにより、窒素化合物の反応性を高めることができ、より多くのB−N結合を生じ得る。
アーク放電プラズマの発生源としては、例えば、圧力勾配型プラズマガン、直流放電プラズマ発生装置、高周波放電プラズマ発生装置などを利用できる。これらの中では、高密度なプラズマを安定的に発生させることが可能であることから、プラズマ源として圧力勾配型プラズマガンを用いることが好ましい。
中間層及び防湿層を形成するプラズマ蒸着装置は、従来公知のものを使用できる。
簡単に説明すると、プラズマ蒸着装置は、内部を真空に保持できるチャンバーと、帯状の支持基板を連続的に送る搬送装置と、プラズマを発生するプラズマ源と、材料を入れた蒸発源と、前記チャンバー内に反応ガスを供給する反応ガス供給装置と、前記チャンバー内に放電ガスを供給する放電ガス供給装置と、前記チャンバー内を真空状態にする真空ポンプと、を有する。前記蒸発源は、搬送される支持基板と対向するように、通常、チャンバーの底部に設置される。前記蒸発源に入れられた材料を蒸発させる手段としては、前記プラズマを用いることができるが、抵抗加熱や電子ビームを用いてもよい。
窒化ホウ素からなる中間層を形成する場合には、例えば、前記蒸着源にホウ素が入れられ、反応ガスとして窒素含有ガスが用いられる。
金属又は半金属の窒化物、酸化窒化物、炭化窒化物及び酸化炭化窒化物から選ばれる少なくとも1種を含む防湿層を形成する場合、前記蒸発源には、例えば、金属若しくは半金属、又はこれらの窒化物、酸化窒化物、炭化窒化物若しくは酸化炭化窒化物が入れられる。また、蒸発源に金属又は半金属を入れた場合には、反応ガスとして、窒素含有ガス、窒素酸素含有ガス、窒素炭化水素含有ガス又は窒素酸素炭化水素含有ガスを用いることにより、金属又は半金属窒化物などからなる防湿層を形成できる。前記窒素含有ガスとしては、窒素(N)、アンモニア(NH)又は一酸化窒素(NO)などが挙げられる。窒素酸素含有ガスとしては、一酸化窒素(NO)若しくは一酸化二窒素(NO)、又は、窒素(N)と酸素(O)の混合ガスなどが挙げられる。窒素炭化水素含有ガスとしては、前記窒素含有ガスと炭化水素含有ガスの混合ガスなどが挙げられる。前記炭化水素含有ガスとしては、メタン(CH)、エタン(C)、プロパン(C)、ブタン(C10)、エチレン(C)、アセチレン(C)などが挙げられる。窒素酸素炭化水素含有ガスとしては、前記窒素含有ガス、酸素含有ガス及び炭化水素含有ガスの混合ガス、又は、窒素酸素含有ガス及び炭化水素含有ガスの混合ガスなどが挙げられる。
真空ポンプを作動させることにより、チャンバーの内部を真空状態に保つ。チャンバー内の圧力は、0.01Pa〜0.1Paの範囲内であり、好ましくは0.02Pa〜0.05Paである。真空状態のチャンバー内において、プラズマ発生源に放電ガス供給装置から放電ガスを導入してプラズマを発生させる。さらに、チャンバー内に、反応ガス供給装置から反応ガスを導入すると共に、蒸着源から材料を蒸発させることにより、吸湿層上に防湿層を形成できる。
前記反応ガスの導入と前記プラズマの発生は、同時に行ってもよいし、或いは、前記反応ガスの導入後に前記プラズマを発生させてもよいし、或いは、前記プラズマの発生後に反応ガスを導入してもよい。中間層の形成材料を付着させる前に吸湿層の表面を活性化できること及び防湿層の形成材料を付着させる前に中間層の表面を活性化できることから、プラズマの発生後に反応ガスを導入することが好ましい。
前記蒸着速度は、適宜設定でき、例えば、10〜300nm/分である。
(巻取り工程)
巻取り工程は、前記各工程を経て得られた、帯状の積層体(帯状の支持基板上に有機EL素子と吸湿層と中間層と防湿層が積層されたもの)をロールに巻き取る工程である。
このようにして、ロールツーロール方式にて複数の有機EL装置が繋がった長尺物を得ることができる。この長尺物を適宜切断することより、1つ又は2つ以上の本発明の有機EL装置を得ることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をさらに説明する。ただし、本発明は、下記実施例のみに限定されない。
[実施例1]
(有機EL素子の形成)
市販のガラス基板の表面に、アルミニウムを厚み150nmで真空蒸着することにより、陽極を形成した。次に、前記陽極の表面に、HATCN(ヘキサ−アザトリフェニレン−ヘキサカルボニトリル)を厚み40nmで真空蒸着することにより、正孔注入層を形成した。この正孔注入層の表面に、α−NPD(N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン)を厚み30nmで真空蒸着することにより、正孔輸送層を形成した。この正孔輸送層の表面に、Alq(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム)を厚み60nmで真空蒸着することにより、発光層を形成した。この発光層の表面に、フッ化リチウムを厚み1nmで真空蒸着することにより、電子注入層を形成した。この電子注入層の表面に、マグネシウムと銀の合金(マグネシウム:銀(モル比)=9:1)を厚み5nmで真空蒸着することにより、陰極を形成した。
(吸湿層、中間層及び防湿層の形成)
この陰極の表面に、B(酸化ホウ素)を厚み60nmで真空蒸着することにより、吸湿層を形成した。
この吸湿層の表面に、B(窒化ホウ素)を厚み10nmで真空蒸着することにより、中間層を形成した。前記中間層形成時のプラズマ蒸着は、プラズマ源として圧力勾配型プラズマガンを用い、蒸発源としてホウ素粒子を用い、反応ガスとして窒素ガス(N)を用い、蒸着速度10nm/分で行った。
この中間層の表面に、SiN(窒化ケイ素)を厚み300nmでプラズマ蒸着することにより、防湿層を形成した。前記防湿層形成時のプラズマ蒸着は、プラズマ源として圧力勾配型プラズマガンを用い、蒸発源としてケイ素粒子を用い、反応ガスとして窒素ガス(N)を用い、蒸着速度50nm/分で行った。
このようにしてトップエミッション型の有機EL装置を作製した。
(実施例1の有機EL装置の構成)
防湿層:厚み300nmのSiN
中間層:厚み10nmのB
吸湿層:厚み60nmのB
陰極:厚み5nmのMg:Ag合金
電子注入層:厚み1nmのLiF
発光層:厚み60nmのAlq
正孔輸送層:厚み30nmのα−NPD
正孔注入層:厚み40nmのHATCN
陽極:厚み150nmのAl
基板:ガラス基板
[実施例2]
反応ガスとして窒素ガス(N)及び酸素ガス(O)の混合ガスを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機EL装置を作製した。実施例2で得られた有機EL装置の防湿層は、厚み300nmのSiO(酸化窒化ケイ素)からなる。
[比較例1]
中間層を形成しなかったこと以外(つまり、吸湿層の表面に防湿層を直接形成したこと以外)は、実施例1と同様にして、有機EL装置を作製した。
[比較例2]
防湿層の形成時に用いる反応ガスとして酸素ガスを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機EL装置を作製した。比較例2で得られた有機EL装置の防湿層は、厚み300nmのSiO(酸化ケイ素)からなる。
[比較例3]
実施例1の吸湿層に代えて、BaO(酸化バリウム)を厚み60nmで真空蒸着することにより吸湿層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、有機EL装置を作製した。
[有機EL装置の発光寿命の計測]
各実施例及び比較例の有機EL装置のそれぞれを、実験用回路に組み込み、それを60℃、90%RH下に保管し、電圧を印加して長時間連続的に発光させた。そして、その発光初期の輝度を100%としたとき、輝度が70%になるまでの時間を計測した。
その結果を、表1に示す。
Figure 2015018746
表1から明らかなように、実施例1及び実施例2の有機EL装置は、比較的長時間発光した。特に、防湿層が窒化物である実施例1は、酸化窒化物である実施例2よりも発光時間が長くなった。他方、防湿層に窒素化合物を含まない比較例2、吸湿層にホウ素化合物を含まない比較例3は、短時間で発光が低下した。なお、吸湿層にホウ素化合物を含み、且つ防湿層に窒素化合物を含む比較例1は、発光寿命が比較例2及び3に比して長いが、中間層を設けた実施例1に比して、発光寿命が短い。このことから中間層は、有機EL装置の発光時間の長期化に有意であることが判る。
本発明の有機EL装置は、例えば、照明装置、画像表示装置などとして利用できる。
1 有機EL装置
2 支持基板
3 有機EL素子
4 吸湿層
5 防湿層
6 中間層

Claims (5)

  1. 支持基板と、支持基板上に設けられた有機エレクトロルミネッセンス素子と、前記有機エレクトロルミネッセンス素子上に設けられた吸湿層と、前記吸湿層上に設けられた防湿層と、を有し、
    前記吸湿層が、ホウ素化合物を含み、前記防湿層が、窒素化合物を含み、
    前記吸湿層と防湿層の間に、B−N結合を有する化合物を含む中間層が設けられている、有機エレクトロルミネッセンス装置。
  2. 前記B−N結合を有する化合物が、窒化ホウ素を含む、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  3. 前記ホウ素化合物が、酸化ホウ素を含む、請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  4. 前記窒素化合物が、金属又は半金属の窒化物、酸化窒化物、炭化窒化物及び酸化炭化窒化物から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  5. 前記窒素化合物が、ケイ素の窒化物、酸化窒化物、炭化窒化物及び酸化炭化窒化物から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
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