JP2015017171A - 水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】潤滑性、焼き付き防止性等の潤滑性能や防錆性に優れ、各種金属材料の塑性加工において、化成処理皮膜無しで加工が可能であり、しかも潤滑皮膜の皮膜除去性に優れた金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物を提供すること。【解決手段】(a)融点が90℃以上の有機酸塩と、(b)水溶性高分子化合物及び/又はワックスと、水とを含有し、かつこれらが水に溶解または分散しており、その固形分重量比(b)/(a)が0.1〜5の範囲内にある金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、鉄鋼、ステンレス、チタン、アルミニウム合金、銅合金、マグネシウム合金等の金属材料の塑性加工において、該材料表面に潤滑性を付与させるための水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物に関するものである。
一般的に金属材料の塑性加工には、基油たる鉱物油に、硫黄化合物、リン酸化合物、有機酸、塩素化合物、合成エステル、油脂、金属石鹸等が添加された油性潤滑剤が、多く使用されている。例えば、特許文献1には、鉱物油にリン酸化合物を添加したアルミ合金又は非鉄金属用の油性潤滑剤が開示されている。しかし、この潤滑剤は、アルミ合金や非鉄金属には使用できるものの、加工条件が過酷な鋼やステンレスの塑性加工に使用した場合には、油膜の保持性が不十分で焼き付きが発生し、又加工荷重が大きいために、工具であるパンチやダイスが破損する恐れがあり改善の余地があった。
また、油性の塑性加工用潤滑油には、加工後のドライ切削加工工程等にて発煙し作業環境を大きく低下させるという問題点があり、それを解決するために加工後の部品を洗浄剤にて洗浄して潤滑皮膜を除去することが必要になり、洗浄剤液の使用とその液の管理等が必要になってくる。
一方、特許文献2には、合成樹脂と水溶性無機塩、滑剤、水からなることを特徴とした金属材料の塑性加工用潤滑剤組成物が提案されており、強靭で優れた潤滑性を付与した皮膜が得られるという利点がある。しかし、この潤滑剤でも加工条件が過酷で加工発熱量が多い鋼やステンレスの塑性加工においては、生成させた潤滑皮膜の耐熱性が十分で無い事から耐焼き付き性が不足しており、対応不可能な場合があるという欠点を有する。
そのため、加工条件が過酷な鋼やステンレスの塑性加工においては、固体潤滑剤を利用して耐熱性を高めた潤滑剤を使用したり、化成処理皮膜を生成させて鍛造加工されている場合が多いのが現状である。
ここで、上記固体潤滑剤を利用して耐熱性を高めた潤滑剤を使用する場合、固体潤滑剤が液中で沈殿し易いことから、使用条件を厳しく管理しなければ安定した性能が得られないため、注意が必要である。
また、上記水溶性無機塩を使用した場合、耐焼き付き性や耐熱性を向上させたり、強靭な皮膜を得るのに効果的であるが、吸湿し易い性質を持つものが多く、乾燥させて皮膜を形成した後に皮膜の性能(潤滑性や防錆力など)低下を防止するためには多用出来ない。
更に、上記無機金属塩を使用する場合、モリブデン、リン、ホウ素、ケイ素等を使用する事になり、これらの元素を嫌う場合、例えば、PRTR法非該当や加工品の浸リン対策を目的とする場合は使用不可となるため、適用範囲が限られてしまう。
また、上記化成処理皮膜は潤滑性、耐焼き付き性には優れているが生成固体皮膜のため加工すると工具と加工材の界面にて高圧のスベリにより粉塵が発生して職場を汚染していた。また、この化成処理皮膜の剥離物が工具の中に残り欠肉の原因にもなっている。更に、化成処理皮膜を材料表面に生成するには液管理された多くの処理液と処理工程が必要になる。そして、化成処理液の廃液処理には多くの経費を要している。
従って、別工程であるこの前処理としての化成処理皮膜を生成させずに直接に潤滑剤のみにて金属材料の塑性加工が可能になれば、工程の省略が出来、加工コストが大幅に低下でき、省資源、省エネルギーに大きく寄与する事が可能となる。また同時に加工ラインを一体化することが出来るため、リードタイム短縮等の大きな生産ラインの改善が可能となる。
これに対して、特許文献3では、化成処理皮膜なしで加工が可能であり、皮膜除去性にも優れた潤滑剤として、水溶性高分子化合物と無機金属塩とワックスを有効成分として含有して成る金属材料の水性塑性加工用潤滑剤組成物が提案されている。この潤滑剤組成物では、無機金属塩が耐焼き付き性や密着性を付与するための必須添加剤となっているが、この無機金属塩が、生成させた潤滑皮膜の吸湿性に悪影響を及ぼす場合があることが懸念される。
更に、特許文献4には、二種の二塩基酸のアルカリ金属塩と水溶性高分子化合物とを含有する水溶性塑性加工用潤滑剤が提案されているが、金属の温熱間塑性加工用離型剤としての目的が主となっており、皮膜の追随性や柔軟性が不足しているため、金型に潤滑皮膜を生成させる温熱間塑性加工には適しているが、材料に潤滑皮膜を生成させる金属の冷間塑性加工への適応は困難である。
また、特許文献5には、アクリル系化合物とカルボン酸塩と水を主要成分とするアルミ合金の塑性加工用潤滑剤が提案されており、潤滑皮膜の耐熱性を高める工夫はなされているが、鋼やステンレス等の変形抵抗が大きい金属材料の塑性加工に対しては耐焼き付き性が十分ではなく、特に冷間塑性加工への適応は困難である。
特開平5−65493号 特開2000−63880号 特開2012−177000号 特開平2−6600号 特開平11−50083号
本発明の目的は、潤滑性、焼き付き防止性等の潤滑性能や防錆性に優れ、鋼やステンレス、チタン、アルミニウム合金、銅合金、マグネシウム合金等の金属材料の鍛造加工のような過酷な塑性加工においても化成処理皮膜無しで加工が可能であり、しかも潤滑皮膜が水性で再溶解性が良好であるためにその皮膜除去は水のみにて十分可能である優れた皮膜除去性を有する上に、無機金属塩を使用しなくても耐熱性や耐焼き付き性に優れ且つ耐吸湿性にも優れた潤滑皮膜を生成させることが可能な金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物を提供することにある。
本発明者は、従来の冷間塑性加工用潤滑剤が有する諸欠点を解消するために研究を重ねた。その結果、特定の性質を有する有機酸塩と水溶性高分子化合物及び/又はワックスとを特定の割合で混合したものを有効成分とし、これらを水に溶解及び分散してなる水性潤滑剤は、従来の冷間塑性加工用潤滑剤に比して、無機金属塩を使用しなくても極めて優れた耐熱性、加工潤滑性能、防錆性を有し、同時に有機酸塩の優れた再溶解性を利用した皮膜除去性を有し、更に無機金属塩を使用しない場合には、乾燥生成させた潤滑皮膜が吸湿しにくく、吸湿による潤滑皮膜の耐焼き付き性等の性能低下を抑制でき、鉄鋼、ステンレス、チタン、アルミニウム合金、銅合金、マグネシウム合金等の金属材料の冷間塑性加工用潤滑剤組成物として好適であり、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の金属材料の冷間塑性加工用潤滑剤組成物を提供するものである。
1.(a)融点が90℃以上の有機酸塩と、(b)水溶性高分子化合物及び/又はワックスと、水とを含有し、(a)成分及び(b)成分が水に溶解または分散しており、且つ(a)成分と(b)成分の固形分重量比(b)/(a)が0.1〜5の範囲内にある金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
2.前記有機酸塩が、ヒドロキシ酸、芳香族カルボン酸及びジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の有機酸を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びアルカノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリによって塩を形成させ水溶化したものである上記項1に記載の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
3.前記水溶性高分子化合物が、ポリウレタン化合物、ポリエーテル化合物、ポリエステル化合物、ポリビニル化合物、ポリアミド化合物、スルフォン化ポリスチレンのアルカリ塩、オレフィン・無水マレイン酸共重合物又はそのアルカリ塩、及びスチレン系化合物・無水マレイン酸共重合物又はそのアルカリ塩から成る群から選ばれる少なくとも一種である上記項1または2に記載の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
4.前記水溶性高分子化合物が、ポリウレタン化合物、ポリエーテル化合物、オレフィン・無水マレイン酸共重合物又はそのアルカリ塩、及びスチレン系化合物・無水マレイン酸共重合物又はそのアルカリ塩から成る群から選ばれる少なくとも一種である上記項1〜3のいずれか1項に記載の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
5.前記ワックスが、融点50〜160℃の天然ワックス及び融点50〜160℃の合成ワックスからなる群より選ばれる少なくとも一種のワックスである、上記項1〜4のいずれか1項に記載の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
6.更に、リン酸亜鉛、酸化亜鉛、雲母、炭酸カルシウム、二硫化モリブデン、黒鉛、及び窒化ホウ素から成る群から選ばれる少なくとも一種の固体潤滑剤を0.1〜30重量%含有するものである、上記項1〜5のいずれか1項に記載の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
本発明の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物によれば、特定の性質を有する有機酸塩と水溶性高分子化合物及び/又はワックスとを特定の割合で混合したものを有効成分とし、これらを水に溶解及び分散していることによって、以下の如き格別顕著な効果を得ることができる。
(1)従来の冷間塑性加工用潤滑剤に比して、無機金属塩を使用しなくても耐熱性や耐焼き付き性に優れ且つ極めて優れた加工潤滑性能、防錆性等を有しているので、鉄鋼、ステンレス、チタン、アルミニウム合金、銅合金、マグネシウム合金等の金属材料を、鍛造、伸線、伸管、プレスのような冷間塑性加工をするに当って、金属材料表面に、潤滑剤をスプレー、シャワー、浸漬等によって塗布し、水分を乾燥させるという工程で潤滑皮膜を形成させて、使用することによって、化成処理皮膜無しで、好適に塑性加工をすることができる。
(2)短時間で簡単に高い耐熱性を有し、優れた加工性を持つ潤滑皮膜を形成させる事が出来、又無機金属塩を使用しない場合には、乾燥生成させた潤滑皮膜が吸湿しにくく、吸湿による潤滑皮膜の耐焼き付き性等の性能低下を抑制できるので、生成させた潤滑皮膜の耐吸湿性向上や特定元素の使用制限への対応等適用範囲が広がる。
(3)また、有機酸塩特有の再溶解性に優れた性質から、加工後の皮膜除去性も非常に良好であるため、後工程でのメッキ性、塗装性、溶接性等にも有利である。
(4)更に、固体潤滑剤を使用しない場合には、液安定性が非常に優れており、安定した性能を発揮し易いと同時に、ノズル詰まりの心配が無いのでスプレー塗布も可能である。加えて、使用上の廃棄物やエネルギー消費量も少なく、作業環境も良好であるので、事業上の利用価値も非常に大きい。
以下、本発明の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物の内容について、より詳細に説明する。
(a)有機酸塩
本発明の潤滑剤組成物に使用される(a)有機酸塩は、潤滑皮膜に、耐熱性、強度、耐焼き付き性等を付与するためのものであり、耐熱性向上の観点から融点が90℃以上のものを用いる。また、このような有機酸塩としては、潤滑剤組成物中で均一に溶解し、乾燥時に強靭な皮膜を形成する性質を持つことが必要である。そのような性質の有機酸塩として、ヒドロキシ酸、芳香族カルボン酸、及びジカルボン酸から成る群より選ばれる少なくとも一種の有機酸を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びアルカノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリによって塩を形成させ、水溶化したものを用いるのが好ましい。本発明では、このような水溶化された有機酸塩の少なくとも一種を使用することが好ましい。
前記有機酸の具体例としては、例えば、リンゴ酸、クエン酸等のヒドロキシ酸;安息香酸、o-ニトロ安息香酸、m-ニトロ安息香酸、p-ニトロ安息香酸、o-アミノ安息香酸、m-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸、p-t-ブチル安息香酸、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、ケイ皮酸、o-トルイル酸、m-トルイル酸、p-トルイル酸、m-アニス酸、p-アニス酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族カルボン酸;アゼライン酸、グルタル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸、マロン酸、シュウ酸、セバシン酸、フマル酸、ドデカン二酸等のジカルボン酸等が挙げられる。これらは単独で用いても、二種以上組み合わせても良い。
また、前記アルカノールアミンの具体例としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。これらは単独で用いても、二種以上組み合わせても良い。
(b)水溶性高分子化合物及び/又はワックス
本発明組成物で使用する(b)水溶性高分子化合物及び/又はワックスは、潤滑皮膜に密着性や追随性を付与するためのものである。そのため、選ばれる水溶性高分子化合物及び/又はワックスは、潤滑剤組成物中で均一に溶解または分散し、乾燥時にしなやかで高密着性に優れる皮膜を形成する性質を持つことが必要である。そのような性質の水溶性高分子化合物としては、ポリウレタン化合物、ポリエーテル化合物、ポリエステル化合物、ポリビニル化合物、ポリアミド化合物、スルフォン化ポリスチレンのアルカリ塩、オレフィン・無水マレイン酸共重合物又はそのアルカリ塩、スチレン系化合物・無水マレイン酸共重合物又はそのアルカリ塩等から選ばれる少なくとも一種を用いるのが好ましい。また、これらの内、ポリウレタン化合物、ポリエーテル化合物、オレフィン・無水マレイン酸共重合物又はそのアルカリ塩、スチレン系化合物・無水マレイン酸共重合物又はそのアルカリ塩等から選ばれる少なくとも一種を用いるのがより好ましい。
また、ワックスとしては、融点50〜160℃の天然ワックス及び融点50〜160℃の合成ワックスから選ばれる少なくとも一種を、水に分散した状態で使用することが好ましい。
前記水溶性高分子化合物の具体例としては、例えば、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン等のポリウレタン化合物;ポリエーテルポリオール等のポリエーテル化合物;ポリエステル系ポリオール等のポリエステル化合物;ポリビニルアルコール等のポリビニル化合物;水性ナイロン等のポリアミド化合物;スルフォン化ポリスチレンのアルカリ塩;メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合物、イソブチレン・無水マレイン酸共重合物のアルカリ塩等のオレフィン・無水マレイン酸共重合物又はそのアルカリ塩;スチレン・無水マレイン酸共重合物のアルカリ塩、α−メチルスチレン・無水マレイン酸共重合物のアルカリ塩、ビニルトルエン・無水マレイン酸共重合物のアルカリ塩等のスチレン系化合物・無水マレイン酸共重合物又はそのアルカリ塩等が挙げられる。これらは単独で用いても、二種以上組み合わせても良い。
また、前記ワックスの具体例として、例えば、カルナウバワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等を挙げることができる。ワックスは、水に対してディスパージョンやエマルジョンの状態で分散されたものを、1種単独で又は二種以上組み合わせて用いるのが好ましい。
(a)の有機酸塩と(b)の水溶性高分子化合物及び/又はワックスの配合比率については、固形分重量比で(b)/(a)を0.1〜5程度とする。固形分重量比(b)/(a)が0.1未満になると皮膜の密着性が不足する恐れがあり、固形分重量比(b)/(a)が5を超えると皮膜の耐熱性が不足する恐れがあるため注意が必要である。固形分重量比(b)/(a)は、0.1〜2程度にするのが好ましい。
その他の成分
更に、皮膜形成後の吸湿の心配や、リン、ホウ素、ケイ素等の特定元素の使用制限が無く、なおかつ加工時の耐焼き付き性及び耐熱性向上を目的とする場合は、本発明の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物に無機金属塩(c)を含有させても良い。
無機金属塩(c)の具体例としては、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、バナジン酸ナトリウム、バナジン酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、珪酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム等を挙げる事が出来、これらは単独で用いても、二種類以上組み合わせても良い。
前記無機金属塩を使用する場合、その含有量は、本発明の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物中に1〜50重量%程度とするのが好ましく、更に1〜20重量%程度とするのがより好ましい。無機金属塩の含有量が50重量%を超えると、生成させた潤滑皮膜の密着性や追随性が低下する恐れがあり注意が必要である。
更に、加工が厳しい場合や潤滑皮膜の吸湿対策を行う場合には、本発明の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物に固体潤滑剤(d)を含有させることが好ましい。
固体潤滑剤(d)の具体例としては、例えば、リン酸亜鉛、酸化亜鉛、雲母、炭酸カルシウム、二硫化モリブデン、黒鉛、窒化ホウ素等を挙げる事が出来、これらは単独で用いても、二種類以上組み合わせても良い。
前記固体潤滑剤を使用する場合、その含有量は、本発明の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物中に1〜30重量%程度とするのが好ましい。
前述の有機酸塩、水溶性高分子化合物、ワックス、無機金属塩、固体潤滑剤を分散または乳化させるために界面活性剤(e)が必要な場合には、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤のいずれも用いることができる。これらの界面活性剤は各々単独でまたは2種以上組み合わせて使用することが出来る。
非イオン界面活性剤としては、特に限定されないが、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン(エチレンおよび/またはプロピレン)アルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール(もしくはエチレンオキシド)と高級脂肪酸(例えば炭素数12〜18)とから構成されるポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンとポリエチレングリコールと高級脂肪酸(例えば炭素数12〜18)とから構成されるポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば脂肪酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩、ジチオリン酸エステル塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えばアミノ酸型およびベタイン型のカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等が挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば脂肪酸アミン塩、第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物の製造方法及び使用方法
本発明の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物の製造方法については、特に制限されない。例えば、水にアルカリを加えて溶解液とした後、撹拌しながら有機酸を加えて水溶液としたところに水溶性高分子化合物を加えて溶解液とする。更にワックス及び任意成分としての無機金属塩、固体潤滑剤を、必要に応じ界面活性剤及び水を用いて分散液または乳化液または溶解液とした後順次添加し、撹拌することにより製造することができる。
本発明の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物は、鉄鋼、ステンレス、チタン、アルミニウム、銅合金、マグネシウム合金等の冷間塑性加工(伸線、伸管、鍛造等)を行う際に使用する潤滑剤として用いることが出来る。
本発明の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物が使用される金属材料の形状や表面状態は特に限定されない。
本発明の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物は、シャワー、浸漬、スプレー等の方法により金属材料面に塗布される。塗布は加工対象表面が完全に本発明の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物に覆われれば良く、塗布時の接触時間に制限は無い。ただし、塗布された本発明の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物は水分を完全に乾燥して乾燥潤滑皮膜を形成させる必要がある。乾燥方法について特に制限は無いが、50〜150℃程度の温風を利用して塗布対象金属材料表面が40〜80℃程度になるまで乾燥させるのが好ましい。
本発明の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物の乾燥皮膜形成後平均皮膜付着量は、0.1〜20g/m2程度であるのが好ましい。付着量が20g/m2より多くなると、加工時に余分な潤滑剤成分がカスとして発生し、製品の欠肉や金型の摺動不良等の不具合に繋がる恐れがあり注意が必要である。付着量の調整は、本発明の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物の濃度を水分量で調整するか、一度乾燥皮膜を形成させた後、再度塗布乾燥を行うなど、重ね塗りによって調整するか、スプレー等で吐出量や塗布時間を調整する事によって実施することが可能である。
本発明の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物を水分量によって濃度調整を行なう場合の水としては、特に制限はなく、イオン交換水、水道水、地下水等を使用できる。濃度管理は、例えば、有機酸塩及び高分子化合物の糖度の測定、電気伝導度の測定等により行うことができる。電気伝導度によって濃度を管理する場合に限っては、イオン交換水を使用する必要がある。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの各例によって、限定されるものではない。
実施例1〜16及び比較例1〜6
下記表1、表2及び表3に示す様に、(a)成分(有機酸塩)、(b)成分(水溶性高分子化合物及び/又はワックス)、(c)成分(無機金属塩)、(d)成分(固体潤滑剤)、(e) 成分(界面活性剤)及び水を、配合して、実施例1〜16の本発明水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物及び比較例1〜6の比較用水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物を調製した。
表1〜表3において、各表中の配合量の数値は、成分重量%を示す。(b)/(a)はこれらの成分の固形分重量比を示す。(c)成分割合(%)は、(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の各成分の合計固形分量に対する、(c)成分の固形分百分率を示す。また、(d)成分割合(%)は、(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の各成分の合計固形分量に対する、(d)成分の固形分百分率を示す。
Figure 2015017171
Figure 2015017171
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表1〜表3において、(b)のポリエーテル化合物は三洋化成工業(株)製の「メルポールF−220」(商品名)であり、エーテル系ポリウレタンは第一工業製薬(株)製の「スーパーフレックスE−4800」(商品名)であり、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合物は(ISPジャパン(株)製の「GANTREZ AN−139」(商品名)であり、イソブチレン・無水マレイン酸共重合物のナトリウム塩は(株)クラレ製の「イソバン04」(商品名)のナトリウム塩であり、スチレン・無水マレイン酸共重合物のカリウム塩は Cray Valley USA, LLC製のSMA3000(商品名)のカリウム塩である。また、表1〜表3において、(b)のカルナバワックスエマルション及びポリエチレンワックスエマルションは、いずれも、有効成分量が約40%である。
比較例1として、(a)有機酸塩を含有しない組成配合を行って、比較用に用いた。
比較例2として、(a)有機酸塩と(b)水溶性高分子化合物及び/又はワックスの配合比率が固形分重量比で(b)/(a)=1.8と、5を超えない数値を示し、なおかつ無機金属塩を有効成分量比で15.2重量%と50重量%を超えない量を追加した本発明の請求範囲内の配合比率であるが、使用されている有機酸塩が脂肪酸であるステアリン酸(融点69.6℃)のナトリウム塩と、本発明の請求範囲外のものを適用して組成配合を行い、比較用に用いた。
比較例3として、(a)有機酸塩と(b)水溶性高分子化合物及び/又はワックスの配合比率が固形分重量比で(b)/(a)=1.8と、5を超えない数値を示し、なおかつ無機金属塩を有効成分量比で15.2重量%と50重量%を超えない量を追加した本発明の請求範囲内の配合比率であり、更に使用されている有機酸塩がヒドロキシ酸の一種であるが、本発明の請求範囲外となる融点75℃のグリコール酸のナトリウム塩を適用して組成配合を行い、比較用に用いた。
比較例4として、(a)有機酸塩と(b)水溶性高分子化合物及び/又はワックスの配合比率が固形分重量比で(b)/(a)=6.3と、5を超える数値を示す組成配合を行って、比較用に用いた。
比較例5として、(a)有機酸塩と(b)水溶性高分子化合物及び/又はワックスの配合比率が固形分重量比で(b)/(a)=6.3と、5を超える数値を示すところに、無機金属塩を有効成分量比で3.3重量%と50重量%を超えない量を添加した組成配合を行って、比較用に用いた。
比較例6として化成処理皮膜を用いた。ここで使用した化成処理皮膜は一般的に用いられるものであり、比較例6−1は鋼材の場合でリン酸亜鉛皮膜+金属石鹸皮膜、比較例6−2はステンレス材の場合でシュウ酸塩皮膜+金属石鹸皮膜、比較例6−3はアルミ材の場合でフッ化アルミ皮膜+金属石鹸皮膜、比較例6−4は銅材の場合で亜鉛メッキ+リン酸亜鉛皮膜+金属石鹸皮膜、比較例6−5はチタン材の場合でフッ化チタン皮膜+金属石鹸皮膜を使用した。
実施例1〜16及び比較例1〜5の本発明及び比較用の各組成物及び比較例6の化成処理皮膜について、下記性能評価試験を行った。性能評価試験については、塑性変形により加工時のワークと金型間の温度や圧力が非常に高くなるものを選定しており、生成させた皮膜の耐熱性や強度が不足している場合は、比較例である一般的に皮膜の耐熱性や強度が非常に優れていると考えられる化成処理皮膜よりも性能が劣ることになる。なお、実施例1〜16及び比較例1〜5の潤滑剤組成物に関しては、平均付着量が約6g/mになる様に、水道水にて濃度を調整した。
1.リング圧縮試験
試験に供した金属材料試験片の材質は、次の通りである。鋼材:S45C、ステンレス材:SUS304、アルミ材:A2014、チタン材:純チタン。
室温の各組成物に、上記試験片を浸漬した後、80℃の恒温槽に20分間入れておき、潤滑皮膜を生成させたものを用いて下記項目に従い試験した。
試験機:110トンクランクプレス機、試験速度:35spm、試験片形状:外径20mmφ、内径10mmφ、厚さ7mm、工具材質:SKD−12(合金工具鋼)、試験片温度:50℃、評価:加工荷重の測定と同時に、圧縮率と形状変化より摩擦係数を算出した。
2.後方穿孔試験
試験に供した金属材料試験片の材質は、次の通りである。鋼材:S10C、アルミ材:A1070・A6061、銅材:無酸素銅。
室温の各組成物に、円柱状試験片を浸漬した後、80℃の恒温槽に20分間入れておき、潤滑皮膜を生成させたものを用いて、下記項目に従い試験を行った。
試験機:110トンクランクプレス機、試験速度:35spm、試験片形状:全長17.0mm、21.5mm、26.0mm、30.5mm、35.0mm、外径20mmφ、パンチランド部16.7mmφ、設定面積拡大率:651%、1004%、1358%、1712%、2065%、パンチ材質:HAP72(合金工具鋼)、試験片温度:50℃、評価:予め潤滑皮膜を生成させておいた5水準の試験片を全長が小さい水準から順番に側面と底面を拘束した金型に入れ、上部からパンチを打ち込んで設定の面積拡大率になるようカップ状に成形して、鋼材とアルミ材の場合は試験後の試験片内面に焼き付きが発生しない最高面積拡大率(%)を、銅材の場合は最高面積拡大率(%)とその時の成形荷重(KN)を測定した。
3.吸湿試験
室温の各組成物に板状試験片を浸漬した後、80℃の恒温槽に20分間入れておき、潤滑皮膜を生成させたものを用いて、下記項目に従い試験を行った。
試験片形状:80mm×100mm(厚さ0.8mm)、試験片材質:SPCC-SD(冷延ダル鋼板)、評価:前記方法にて潤滑皮膜を生成させる前後の重量を測定しておいた試験片を、温度40℃、湿度60%の恒温恒湿槽に10分間入れた後再度重量を測定し、皮膜重量に対する増加分を吸湿率(%)として算出した。
4.皮膜除去性試験
室温の各組成物に板状試験片を浸漬した後、80℃の恒温槽に20分間入れておき、潤滑皮膜を生成させたものを用いて、下記項目に従い試験を行った。
試験片形状:80mm×100mm(厚さ0.8mm)、試験片材質:SPCC-SD(冷延ダル鋼板)、評価:前記方法にて潤滑皮膜を生成させる前後の重量を測定しておいた試験片を、1Lビーカーに入れた温度20℃の水道水に10分間入れた後再度重量を測定し、皮膜重量に対する減量割合を洗浄率(%)として算出した。
5.判定
判定は次の基準によった。各材質別性能評価について、○は化成処理皮膜と比較して優れることを、△は化成処理皮膜と比較して同等を、×は化成処理皮膜と比較して劣ることを、それぞれ示す。
また、皮膜除去性に関する判定は次の基準によった。○は皮膜除去率が90%以上であることを、△は皮膜除去率が70%以上・90%未満であることを、×は皮膜除去率が70%未満であることをそれぞれ示す。
更に、吸湿性に関する判定は次の基準によった。○は吸湿率が10%未満であることを、×は吸湿率が10%以上であることをそれぞれ示す。
まず、鋼材の場合の総合判定を、表4、表5及び表6に示す。
Figure 2015017171
Figure 2015017171
Figure 2015017171
表4、表5及び表6の結果より明らかなように、本発明の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物は、鋼材の場合全ての性能評価試験において化成処理皮膜である比較例6−1と比較して非常に優れた性能を示しているのに対して、本発明の請求範囲外となる比較例1〜5では化成処理皮膜である比較例6−1と比較して特に後方穿孔試験において同等以下の性能を示す事が分かる。
次に、ステンレス材の場合の総合判定を表7、表8及び表9に示す。
Figure 2015017171
Figure 2015017171
Figure 2015017171
表7、表8及び表9の結果より、本発明の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物は、ステンレス材の場合リング圧縮試験の性能評価試験において化成処理皮膜である比較例6−2と比較して同等以下の摩擦係数を示しているのに対して、本発明の請求範囲外となる比較例1〜5では化成処理皮膜である比較例6−2よりも高摩擦係数を示す事が分かる。
次に、アルミ材の場合の総合判定を表10、表11及び表12に示す。
Figure 2015017171
Figure 2015017171
Figure 2015017171
表10、表11及び表12の結果より、本発明の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物は、アルミ材の場合全ての性能評価試験において化成処理皮膜である比較例6−3と比較して同等以上の性能を示しているのに対して、本発明の請求範囲外となる比較例1〜5では化成処理皮膜である比較例6−3と比較して特に後方穿孔試験において性能が劣っている事が分かる。
次に、銅材の場合の総合判定を表13、表14及び表15に示す。
Figure 2015017171
Figure 2015017171
Figure 2015017171
表13、表14及び表15の結果より明らかなように、本発明の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物は、銅材質の場合後方穿孔試験において化成処理皮膜である比較例6−4と比較して低荷重を示しているのに対して、本発明の請求範囲外となる比較例1〜5では化成処理皮膜である比較例6−4と比較して同等以上の加工荷重を示す事が分かる。
次に、チタン材の場合の総合判定を表16、表17及び表18に示す。
Figure 2015017171
Figure 2015017171
Figure 2015017171
表16、表17及び表18の結果より明らかなように、本発明の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物は、チタン材質の場合リング圧縮試験において化成処理皮膜である比較例6−5と比較して低摩擦係数を示しているのに対して、本発明の請求範囲外となる比較例1〜5では化成処理皮膜である比較例6−5と比較して高摩擦係数を示す事が分かる。
次に、皮膜除去性の総合判定を表19、表20及び表21に示す。
Figure 2015017171
Figure 2015017171
Figure 2015017171
表19、表20及び表21の結果より明らかなように、本発明の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物は、本発明の請求範囲外となる比較例1〜5と比較して高い皮膜除去率を示す事が分かる。
次に、吸湿性の総合判定を表22、表23及び表24に示す。
Figure 2015017171
Figure 2015017171
Figure 2015017171
表22、表23及び表24の結果より明らかなように、実施例1〜16及び比較例1〜5の本発明及び比較用の各組成物中、無機金属塩を含有するものは高い吸湿率を示す事が分かる。
6.総合評価
次に、各金属材料での性能評価試験結果と皮膜除去性試験結果から判断した総合評価を表25、表26及び表27に示す。なお、各金属材料での性能評価試験結果と皮膜除去性試験結果の各総合判定において、全て○の場合は総合評価が○、一つ以上△がある場合は総合評価が△、一つ以上×がある場合は総合評価が×とした。
Figure 2015017171
Figure 2015017171
Figure 2015017171
表25、表26及び表27の結果より明らかなように、本発明の水性金属材料の冷間塑性加工用潤滑剤組成物は、化成処理皮膜である比較例6と比較して総合的に同等以上の評価であるのに対して、本発明の請求範囲外となる比較例1〜5では化成処理皮膜である比較例6と比較して総合評価が劣る事が分かる。
以上の事から、本発明の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物は、様々な金属材料において、化成処理皮膜と比較して同等以上の加工性能を有するため広範囲の部品加工に対応出来ると同時に、生成させた皮膜の皮膜除去性が優れる事から加工後の皮膜除去性も非常に良好であり、後工程でのメッキ性や塗装性・溶接性への悪影響を防止出来ると考えられる。
本発明の金属材料の冷間塑性加工用水系潤滑剤組成物は、従来の塑性加工用潤滑剤に比して、極めて優れた加工潤滑性能、防錆性、加工後の皮膜除去性等に優れており、金属材料の冷間塑性加工用潤滑剤として、好適に利用できる。

Claims (6)

  1. (a)融点が90℃以上の有機酸塩と、(b)水溶性高分子化合物及び/又はワックスと、水とを含有し、(a)成分及び(b)成分が水に溶解または分散しており、且つ(a)成分と(b)成分の固形分重量比(b)/(a)が0.1〜5の範囲内にある金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
  2. 前記有機酸塩が、ヒドロキシ酸、芳香族カルボン酸及びジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の有機酸を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びアルカノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリによって塩を形成させ水溶化したものである請求項1に記載の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
  3. 前記水溶性高分子化合物が、ポリウレタン化合物、ポリエーテル化合物、ポリエステル化合物、ポリビニル化合物、ポリアミド化合物、スルフォン化ポリスチレンのアルカリ塩、オレフィン・無水マレイン酸共重合物又はそのアルカリ塩、及びスチレン系化合物・無水マレイン酸共重合物又はそのアルカリ塩から成る群から選ばれる少なくとも一種である請求項1または2に記載の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
  4. 前記水溶性高分子化合物が、ポリウレタン化合物、ポリエーテル化合物、オレフィン・無水マレイン酸共重合物又はそのアルカリ塩、及びスチレン系化合物・無水マレイン酸共重合物又はそのアルカリ塩から成る群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
  5. 前記ワックスが、融点50〜160℃の天然ワックス及び融点50〜160℃の合成ワックスからなる群より選ばれる少なくとも一種のワックスである請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
  6. 更にリン酸亜鉛、酸化亜鉛、雲母、炭酸カルシウム、二硫化モリブデン、黒鉛、及び窒化ホウ素から成る群から選ばれる少なくとも一種の固体潤滑剤を0.1〜30重量%含有するものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属材料の水性冷間塑性加工用潤滑剤組成物。
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