JP6203604B2 - 温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物 - Google Patents

温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物 Download PDF

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Description

本発明は、金属材料である被加工材に対して温間・熱間領域で鍛造、押し出しあるいはプレス等の塑性加工を行う場合において、型と被加工材との間に供給して両者間の摩擦軽減等を図る温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物に関する。
金属材料の塑性加工では、被加工材たる金属材料と、加工装置たる工具や金型との間の摩擦を低減して塑性加工を円滑化し、併せて、工具や金型の冷却と保護、加工後の被加工材の離型を容易にするため、塑性加工用の潤滑剤を用いている。
このような塑性加工用の潤滑剤として、従来、潤滑性と離型性に優れる黒鉛系潤滑剤が汎用されている。しかし、黒鉛系潤滑剤では黒鉛粉末が潤滑剤塗布用のパイプ等に堆積して目詰まりを起こす場合があった。又、黒鉛粉末が飛散して作業環境を汚染する場合もあった。従って、黒鉛粉末を含有しない無黒鉛型であって、潤滑性と離型性に優れた温間・熱間塑性加工用潤滑剤が提供された場合のメリットは大きい。このような無黒鉛型の潤滑剤の一種として、カルボン酸系化合物と高分子化合物とを含有する潤滑剤が種々に提案されている。
例えば、下記の特許文献1に開示された熱間鍛造用水性潤滑剤は、3個以上のカルボキシル基を有する芳香族多カルボン酸のアルカリ塩を含有することを特徴とする。この水性潤滑剤において、「3個以上のカルボキシル基を有する芳香族多カルボン酸のアルカリ塩」とは、トリメリット酸などのベンゼントリカルボン酸、ピロメリット酸などのベンゼンテトラカルボン酸や、ナフタレントリカルボン酸などの多様な芳香族多カルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩である。又、この水性潤滑剤は、好ましくは水溶性有機増粘剤を含有する、としている。水溶性有機増粘剤としては、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース系ポリマー、アルギン酸ナトリウムやグアガムなどの水溶性天然多糖類、ポリビニルアルコールなどの水溶性合成高分子が例示されている。
下記の特許文献2に開示された温間あるいは熱間鍛造用潤滑剤は、(a)トリメリット酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と、(b)アジピン酸又はイソフタル酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と、(c)オレフィンと無水マレイン酸との共重合体のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と、(d)水からなるものである。そして、カルボン酸化合物の塩である成分(a)、(b)と、水溶性高分子化合物である成分(c)との含有量は、前者が潤滑剤中の0.1〜40重量%、後者が潤滑剤中の0.1〜35重量%と、極めて広範囲に漠然と規定されている。
下記の特許文献3に開示された温間熱間塑性加工用水溶性潤滑剤は、第1の成分として成分A:カルボン酸の水溶性塩、成分B:水溶性ポリマーから選ばれる1種以上を含有し、第2の成分として炭素数が4以上の多価アルコールを含有する。上記カルボン酸には脂肪族又は芳香族のカルボン酸が包含され、上記水溶性ポリマーにはイソブチレン・マレイン酸共重合体、マレイン酸・アクリル酸共重合体、スチレン・マレイン酸共重合体などが包含されている。
一方、下記の特許文献4には、温間及び熱間鍛造用潤滑剤の性能を評価するための方法及び装置が開示されている。この方法及び装置は、「スパイク試験」という通称で当業者に知られており、前方押出加工に分類される方式の試験である。この試験において、特定の潤滑剤を試験した場合に、例えば、最大押込荷重を低く抑えた上で高いスパイクを形成できれば、加工時に金属材料と金型のすべりが良い(潤滑性が良い)と評価することができる。又、例えば、エジェクター荷重が低いと、成形後の金型と成形された金属材料の間の焼き付きが少なく、残存皮膜量が多い(離型性が良い)と評価することができる。
特開昭62−50396号公報 特開平8−157860号公報 特開2010−84076号公報 特開平5−7969号公報
しかし一般的に、無黒鉛型の潤滑剤は黒鉛系潤滑剤に比較して、作業環境や作業効率の悪化、黒鉛の堆積等の問題は起こらない反面、潤滑性及び離型性が劣ると指摘されている。そしてこのようなタイプの、特許文献1〜特許文献3に記載された無黒鉛型の潤滑剤(換言すれば、カルボン酸塩と水溶性ポリマーを有効成分として含有する潤滑剤)も、黒鉛系潤滑剤に比較して、十分に優れた潤滑性及び離型性を実現するに至っていない。
そこで本発明は、黒鉛系潤滑剤に比較しても遜色のない潤滑性と離型性を実現した無黒鉛型の潤滑剤を提供することを、解決すべき課題とする。
本願発明者は、この課題の解決手段を研究する過程で、2個以上のカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸化合物のアルカリ金属塩を有効成分とすることを前提に、更に水溶性高分子化合物に特定の分子量分布を持たせること、及び、上記芳香族カルボン酸化合物の塩と水溶性高分子化合物の含有量を特定の量的範囲内でバランスさせることが重要であるとの知見を得るに至り、本発明を完成した。
(第1発明)
上記課題を解決するための第1発明は、下記(A)〜(C)成分を含有する、温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物である。
(A)2個以上のカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸化合物のアルカリ金属塩の1種以上
(B)下記(B1)成分及び(B2)成分
(B1)分子量が5000以上で100000以下である水溶性高分子化合物の1種以上
(B2)分子量が100000を超え500000以下である水溶性高分子化合物の1種以上
(C)水
(第2発明)
上記課題を解決するための第2発明は、前記第1発明に係る温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物が下記(1)〜(3)のいずれか1以上に該当する、温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物である。
(1)潤滑剤組成物中の(A)成分の合計含有量Atと(B)成分の合計含有量Btとの質量比At:Btが1:3〜10:1の範囲内である。
(2)潤滑剤組成物中の全水溶性高分子化合物の合計含有量Ptに対する(B)成分の合計含有量Btの質量比Bt/Ptが0.7以上である。
(3)潤滑剤組成物中の(B1)成分の合計含有量B1tと(B2)成分の合計含有量B2tとの質量比B1t:B2tが1:10〜10:1の範囲内である。
(第3発明)
上記課題を解決するための第3発明は、前記第1発明又は第2発明に係る温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物において、(B1)成分及び(B2)成分がアニオン性高分子化合物である、温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物である。
(第1発明の効果)
第1発明の温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物を用いて、金属材料である被加工材に対して、温間・熱間領域で鍛造、押し出しあるいはプレス等の塑性加工を行うと、潤滑剤の優れた潤滑性と離型性が発揮され、黒鉛系潤滑剤の場合と遜色のない良好な温間・熱間塑性加工を行うことができると共に、加工後の金型と被加工材の間の焼き付きが起こり難い。しかも、黒鉛系潤滑剤のような黒鉛粉末の堆積や飛散に基づく前記の不具合を起こさない。
第1発明の温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物は黒鉛を含有せず、しかも(A)〜(C)の各成分は、温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物の配合成分として公知あるいは常識的なものが多い。それにも関わらず、第1発明の温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物により上記の優れた効果が得られる理由は、未だ十分には解明していないが、次のように推測している。
即ち、芳香族カルボン酸化合物の塩と水溶性高分子化合物とを配合した潤滑剤組成物を用いた温間・熱間塑性加工、特に鍛造加工においては、芳香族カルボン酸化合物の塩には高い耐熱性を持つ固体潤滑剤としての作用が期待されている。一方、水溶性高分子化合物には、潤滑剤組成物の金型への付着性を高める(第1の効果)点と、潤滑性に寄与する(第2の効果)点が期待されている。
本願発明者が上記の水溶性高分子化合物の効果に関して更に研究を重ねたところ、上記第1の効果は水溶性高分子化合物の増粘性から、もともと容易に予測できるが、上記第2の効果については、温間・熱間条件では加工時の金型と被加工材の摺動時に水溶性高分子化合物の一部が分解し、液体状潤滑剤となって潤滑性に寄与すると言うメカニズムが推定され、更に、第1の効果に寄与する高分子量の水溶性高分子化合物と、第2の効果に寄与する低分子量化した水溶性高分子化合物との境界が、分子量が「100000を超える」か、「100000以下である」かの差異であることが判明した。なお、分子量が5000未満にまで低分子量化すると、潤滑作用が失われる。分子量が500000を超えるまでに高分子量化すると、高粘度化に伴うスプレー塗布の困難性を来たし、あるいは、金型にスプレーした潤滑剤が連続加工により金型内に堆積し易くなり、被加工材に欠肉が生じる、などの問題が出てくる。
このような知見に基づき、第1発明では、(B)成分として、分子量が5000以上で100000以下の(B1)成分と、分子量が100000を超え500000以下である(B2)成分とを配合している。従って(B1)成分の配合効果と(B2)成分の配合効果とが相乗して、一般的に水溶性高分子化合物の配合効果として期待される前記第1の効果と第2の効果を極めて顕著に両立させることができる。ひいては、上記(A)成分の配合効果と相まって、顕著に優れた潤滑性と離型性が発揮される。
(第2発明の効果)
上記した第1発明の効果は、温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物が第2発明に規定する(1)〜(3)のいずれか1項目に該当する場合に、より好ましくはいずれか2項目に該当する場合に、更に好ましくは3項目の全てに該当する場合に、とりわけ顕著に発揮される。
第2発明の(1)の項目に関しては、(B)成分の合計含有量Btに対する(A)成分の合計含有量のAtの質量比At:Btが規定された数値範囲から外れると、(A)成分と(B)成分との相対的含有量のバランスが崩れるため、温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物の潤滑性と離型性が良好に両立し難くなる場合がある。
第2発明の(2)の項目に関しては、全水溶性高分子化合物の合計含有量Ptに対する(B)成分の合計含有量Btの質量比Bt/Ptが規定された数値範囲を下回ると、本質的に必要ではない分子量の水溶性高分子化合物が(B)成分に対して過剰となるため、(B)成分の上記した配合効果が十分に発揮され難くなる場合がある。
第2発明の(3)の項目に関しては、(B1)成分の合計含有量B1tと(B2)成分の合計含有量B2tとの質量比B1t:B2tが1:10〜10:1の範囲から外れると、上記した(B1)成分の配合効果と(B2)成分の配合効果とがバランス良く相乗し難くなる場合がある。
(第3発明の効果)
(B1)成分及び(B2)成分である水溶性高分子化合物としては、アニオン性高分子化合物が好ましい。これらが非イオン性であると、潤滑剤組成物の基材である水に溶け難い。又、これらがカチオン性、あるいは両性イオン性であると、(A)成分とコンプレックスを形成してしまう恐れがある。よって、アニオン性高分子化合物以外の水溶性高分子化合物を配合すると、潤滑剤組成物の潤滑性と離型性が良好に両立し難くなる場合がある。
次に本発明の実施形態を、その最良の形態を含めて説明する。本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されない。
〔温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物〕
本発明の温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物は(A)〜(C)成分を必須成分として含有する。(C)成分である水を必須とする液体状の剤型であるが、水は容易に準備できるため、潤滑剤組成物の使用前の保存・流通時には、水を含有しない粉末状、あるいは水を少量しか含有しない濃縮状の原液としても取り扱うことができる。従って、粉末状あるいは濃縮状原液の剤型である温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物であっても、本発明に該当するか否かは、使用時の水を添加した液体状剤型で判断される。
本発明の温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物は、金属材料である被加工材に対する鍛造、押し出しあるいはプレス等の塑性加工に用いることができる。とりわけ温間・熱間領域での被加工材に対する鍛造に好ましく用いることができる。
被加工材に対する鍛造においては、例えば、被加工材の温度を800〜1250℃の範囲内とすることが好ましく、また、金型の温度を70〜400℃の範囲内とすることが好ましい。本発明の温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物は良好な潤滑性を示すので、等速ジョイントアウターレースの鍛造加工に代表される絞り加工等の難加工においても使用できる。その他、例えば、前方押出加工、後方押出加工、前後方押出加工、据込み加工、ギア成形、クランクシャフトの成形等においても使用できる。
温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物は、金型や被加工材の材質、形状、温度等を考慮して、適宜な方法で金型や被加工材に適用可能である。例えば、エアスプレー等を使用するスプレー塗布、刷毛塗り、浸漬等が挙げられる。金型や被加工材への適用に当たっては、好ましくはpH7〜12、特に好ましくはpH8〜11に調整してから用いる。
金属材料である被加工材の種類は限定されないが、例えば、鉄、ステンレス、チタン、及び/又は黄銅を基材とする被加工材が好ましい。
〔温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物の主要成分〕
本発明の温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物は下記の(A)成分〜(C)成分を必須成分として含有する。なお、黒鉛は実質的に含有しない。即ち、黒鉛は含有しないか、含有するとしても、不純物として許容される量とする。
以下において、温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物中の特定の成分の含有量を述べる場合は、使用時における、水を含有した液体状の組成物中の含有量を意味する。
((A)成分)
(A)成分は、2個以上のカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸化合物のアルカリ金属塩の1種以上である。
2個以上のカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ヘミメリト酸、ピロメリット酸、メロファン酸、ベンゼンペンタカルボン酸、ベンゼンヘキサカルボン酸(メリト酸)、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、フェナンスレン多カルボン酸等が例示され、特にフタル酸系のものやトリメリット酸あるいはピロメリット酸が好ましいが、以上のものに限定されない。上記の各種芳香族カルボン酸化合物のアルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等が例示される。
温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物における(A)成分の含有量は一概に限定されないが、例えば0.1〜35質量%、好ましくは1〜20質量%とすることができる。
((B)成分)
(B)成分は(B1)成分及び(B2)成分からなる。(B1)成分は分子量が5000以上で100000以下である水溶性高分子化合物の1種以上である。(B2)成分は分子量が100000を超え500000以下である水溶性高分子化合物の1種以上である。従って、水溶性高分子化合物であっても、分子量が5000未満のもの、又は500000を超えるものは、(B1)成分でも(B2)成分でもなく、従って、(B)成分ではない。水溶性高分子化合物には、そのアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等の塩類も包含される。又、「第3発明の効果」の項で前記した理由から、特にアニオン性高分子化合物が好ましい。
水溶性高分子化合物の具体例としては、アクリル酸をモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー及びその塩、メタクリル酸をモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー及びその塩、マレイン酸又は無水マレイン酸をモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー及びその塩、エチレンイミンをモノマーとして含むホモポリマー又はコポリマー及びその塩、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースやカルボキシエチルセルロース等のセルロース系水溶性ポリマー等が例示されるが、これらに限定されない。
温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物における(B)成分の含有量は限定されないが、例えば0.1〜30質量%、好ましくは1〜15質量%とすることができる。
又、潤滑剤組成物中の(B)成分の合計含有量に関しては、「第2発明の効果」の項で前記した理由から、以下の(1)〜(3)の内のいずれか1以上に該当することが、特に好ましい。
(1)潤滑剤組成物中の(A)成分の合計含有量のAtと(B)成分の合計含有量Btとの質量比At:Btが1:3〜10:1の範囲内、特に好ましくは、1.5:1〜10:1の範囲内であること。
(2)潤滑剤組成物中の全水溶性高分子化合物の合計含有量Ptに対する(B)成分の合計含有量Btの質量比Bt/Ptが0.7以上、特に好ましくは0.8以上であること。
(3)潤滑剤組成物中の(B1)成分の合計含有量B1tと(B2)成分の合計含有量B2tとの質量比B1t:B2tが1:10〜10:1の範囲内であり、特に好ましくは、1:9〜8:2の範囲内であること。
((C)成分)
(C)成分は、組成物の基材たる水である。温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物における(C)成分の含有量は限定されないが、例えば50〜90質量%、好ましくは60〜80質量%とすることができる。
〔温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物の任意的な配合成分〕
本発明の温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物は上記した主要な成分の他に、本発明の効果を阻害しない限度内において、この種の潤滑剤組成物に配合されることがある各種の成分を任意的に含有しても良い。このような任意的な配合成分として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ、ソルビン酸塩等の防腐剤、染料、香料、固体潤滑剤、ワックス、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防錆剤、極圧添加剤等が挙げられる。
次に本発明の実施例を説明する。本発明の技術的範囲は以下の実施例によって限定されない。
〔温間・熱間塑性加工用潤滑剤の調製〕
表1〜表5に示す組成の実施例1〜実施例65に係る塑性加工用潤滑剤と、表6に示す比較例1〜比較例15に係る塑性加工用潤滑剤とを、それぞれ常法に従い液状に調製した。なお、これらの実施例、比較例に係る塑性加工用潤滑剤は、使用時には水で10倍希釈してから使用した。
各実施例と各比較例において、各成分の含有量を質量%単位の数値で表記した。成分名の欄において、本発明の(A)成分であるものは左側欄外に「(A)」と表記し、(B1)成分や(B2)成分であるものは左側欄外にそれぞれ「(B1)」、「(B2)」と表記した。一方、(A)成分や(B)成分ではなく、それらの比較用の成分であるものは、左側欄外に「(A比)」又は「(B比)」と表記した。更に、表中の「At:Bt」の欄には、各実施例と各比較例に係る潤滑剤組成物中の(A)成分の合計含有量Atと(B)成分の合計含有量Btとの質量比である「At:Bt」の値を表記した。
なお、成分名の欄に、例えば「アクリル酸重合体ナトリウム塩 MW 70000」と表記したものは、重量平均分子量が70000であるアクリル酸重合体ナトリウム塩を指す。周知のように、「重量平均分子量が70000のポリマー」と言えば、実際は分子量が70000のポリマーを中心に、分子量が70000未満のポリマーや、分子量が70000を超えるポリマーが混在する分子量分布を示す場合が多い。しかしながら、分子量が70000又はそのほぼ近傍のポリマーが圧倒的に大きな比率を占めるため、上記の分子量分布の広がりは、事実上、無視できる。
〔温間・熱間塑性加工用潤滑剤の評価〕
各実施例と各比較例に係る温間・熱間塑性加工用潤滑剤について、以下のように潤滑性と付着性を評価した。
(潤滑性の評価)
前記特許文献4に記載された装置を用い、同特許文献に記載された方法によりスパイク試験を行い、各実施例と各比較例に係る温間・熱間塑性加工用潤滑剤の潤滑性を評価した。
使用した機器等として、プレス機は200tクランクプレス機(コマツ産機製)を使用した。ストローク長は250mm、ストローク数は25spm、ダイギャップは3mmとした。テストピース(被加工材)は、材質がS45C、サイズがφ25mm×30mmのものを使用した。一方、金型は、材質がSKD61であり、スパイク試験前に♯1000のサンドペーパーで研磨した。なお、上記のテストピース及び金型の材質は「JISハンドブック2005」に記載された組成に従っている。
金型を200℃、テストピースを1100℃にそれぞれ加熱した。各実施例と各比較例に係る温間・熱間塑性加工用潤滑剤を水で更に10倍希釈し、それぞれの試験において2mlを金型にエアスプレーで塗布した。その後、テストピースのスパイク加工を行った。押込荷重測定用のロードセルで、テストピース加工時の最大押込荷重を測定した。
各実施例と各比較例について、試験は5連行った。「スパイク高さ(mm)」及び「最大押込荷重(tonf)」は試験結果の平均値を評価に用いた。
潤滑剤が有する潤滑性の評価指標として、形成されたスパイクの高さ(mm)と最大押込荷重(tonf)の比率「スパイク高さ/最大押込荷重(mm/tonf)」を用いた。「潤滑性評価」欄では、当該比率が黒鉛を使用した比較例15を有意に超えるものを「◎」、比較例15と同等の範囲内のものを「○」、当該比率が比較例15より有意に小さいものを「×」とした。
各実施例と各比較例に係る温間・熱間塑性加工用潤滑剤について、スパイク高さ、最大成形荷重、これらの比率、及び潤滑性評価を各表の該当欄に記載した。
(付着性の評価)
JIS G4314に規定するSUS304(0.8×50×75mm)の試験片を、予めアルカリ脱脂したもとでホットプレート上に置き、表面温度が200℃になるまで加温した後、純水にて10倍希釈した各実施例と比較例に係る温間・熱間塑性加工用潤滑剤をスプレー塗布した。スプレー塗布の条件としては、エアレススプレーを用い、吐出量1.0ml/秒で、1秒間塗布した。繰り返し回数として、各実施例と比較例に係る温間・熱間塑性加工用潤滑剤(使用時の希釈液)について、3回の試験を実施した。スプレー塗布時にはじき発生や塗布ムラの発生の有無を目視にて確認し、3回の試験のいずれにおいてもはじき発生や塗布ムラがなかったものを○、3回の試験の1回以上においてはじき発生や塗布ムラができたものを×として評価した。評価結果を各表の「付着性評価」の欄に示す。
本発明により、黒鉛系潤滑剤に比較しても遜色ない潤滑性と離型性を実現した無黒鉛型の潤滑剤が提供される。

Claims (3)

  1. 下記(A)〜(C)成分を含有することを特徴とする温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物。
    (A)2個以上のカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸化合物のアルカリ金属塩の1種以上
    (B)下記(B1)成分及び(B2)成分
    (B1)アニオン性高分子であって、分子量が5000以上で100000以下である水溶性高分子化合物の1種以上
    (B2)分子量が100000を超え500000以下である水溶性高分子化合物の1種以上
    (C)水
  2. 前記温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物が下記(1)〜(3)のいずれか1以上に該当することを特徴とする請求項1に記載の温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物。
    (1)潤滑剤組成物中の(A)成分の合計含有量のAtと(B)成分の合計含有量Btとの質量比At:Btが1:3〜10:1の範囲内である。
    (2)潤滑剤組成物中の全水溶性高分子化合物の合計含有量Ptに対する(B)成分の合計含有量Btの質量比Bt/Ptが0.7以上である。
    (3)潤滑剤組成物中の(B1)成分の合計含有量B1tと(B2)成分の合計含有量B2tとの質量比B1t:B2tが1:10〜10:1の範囲内である。
  3. 前記(B1)成分及び(B2)成分がアニオン性高分子化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の温間・熱間塑性加工用潤滑剤組成物。
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