JP2015016152A - ラケットフレーム - Google Patents

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Abstract

【課題】インサイドアウトなスイングを行うために有効な断面形状のラケットフレームにより、打球のパワーアップを可能にする。【解決手段】打球面を囲むヘッド部Hと、グリップ部50と、ヘッド部Hとグリップ部50を連結するシャフト部30とを有するラケットフレーム100において、ヘッド部Hの先端側と手元側の間の最大幅部Wを基準として、ヘッド部Hのうち最大幅部Wより先端側の第1領域Iと、ヘッド部Hのうち最大幅部Wより手元側の第2領域IIと、シャフト部30の第3領域IIIとに区分し、第1領域I、第2領域II及び第3領域IIIから選択した1以上の領域のフレームの表裏に、スイング時にフレームに当たる気流の方向を変化させて手元側から先端側に向けた揚力を発生させる傾斜面を設け、スイング時にフレーム全体に発生する揚力の合成力が、手元側から先端側に向かうようにした。【選択図】図1

Description

本発明は、テニスラケットやバドミントンラケット等のラケットフレームに関するものである。
従来、テニスラケット等のラケットフレームの断面形状を大別すると、正方形及び長方形の四角形型、二等辺三角形型、二等辺台形型、楕円形型、六角形以上の多角形型等に分類される。これらの断面形状の特性について考察すると、四角形型は、曲げ剛性及びねじれ剛性の組み合わせが良好であることが長所であるが、空気抵抗が大きいことが短所となっている。また、二等辺三角形型、二等辺台形型、楕円形型、六角形以上の多角形型は、空気抵抗が少ないことと高い曲げ剛性が長所であるが、打球感触がやや劣ることが短所とされている。このような断面形状が生み出す打球感の特性は、プレーヤーの好みや相性として選択肢の1つになっており、ラケット選びの重要なポイントになっている。
ところで、テニスラケット等のスイング時には、ラケットフレームの表面を流れる空気の流線が途中でラケットフレームの表面から離脱し、その離脱点から後方に渦が発生して、ラケットフレームの背面には風が渦巻く乱流で圧力の低い部分が発生し、その結果フレーム前面とフレーム背面との間に圧力差が生じて空気抵抗が発生する。そして、このような空気抵抗を減少させるために種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1及び特許文献2には、空気抵抗を減少させるためにフレームの断面形状を翼形形状としたものや、フレームの表面を粗面加工して乱流の発生を抑えるようにしたものが記載されている。
また、特許文献3には、空気抵抗を減少させるために、打球面に垂直な方向に対して、ラケットフレームの断面形状における長手方向の中心軸を傾斜させたものが記載されている。これは、下方から上方に傾斜を付けたアッパースイングを行う場合のトップスピン性能の付与を目的としたものである。
また、特許文献4及び特許文献5には、空気抵抗を減少させるために、フレームの位置に応じて断面形状を変化させたものが記載されている。
また、空気抵抗の減少を目的としたものではないが、特許文献6及び特許文献7には、反発性能・スピン性能・コントロール性能等の向上を目的として、フレームの断面形状を略三角形状としたものが記載されている。
実開平4−20369号公報 実開平4−22980号公報 特許第2565416号公報 特許第5103026号公報 特表2000−505712号公報 特開平8−168540号公報 特開2003−93548号公報
一方、打球のパワーアップは、プレーヤーにとって大変重要な課題である。一般的な指導理論では、打球のパワーアップのための理想的な打球方法として、インサイドアウトなスイングを行うことが提唱されている。その理由は、脇を閉めラケットを体軸に近いインサイドから振り始めることにより、スイングの初速が獲得しやすいこと、ついで身体各所の運動連鎖によりラケットを順次加速させながら、最短距離で体軸から遠いアウトサイドな打点でボールを打つことにより、大きなパワーを発生させることができるからである。ラケットスイングの重要な構成要素として体軸を中心とする回転運動があり、体軸より数センチでも数ミリでも回転半径の遠い打点で打つことが、大きな慣性モーメントの獲得による打撃力向上の要であることは周知のことである。
また、体軸を中心とする回転運動と共に、近代テニスにおいては、ボールにトップスピンを与えるワイパースイングが重要視されている。このワイパースイングは、インパクトの前後で前腕をワイパーのように外側から内側に返す腕軸を中心とする回内という回転運動のため、インサイドアウトの所作によりパワーアップを図ることができる。
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載された翼形形状のような表裏が非対称な断面形状を採用すると、表側の打球面(フォアハンド)と裏側の打球面(バックハンド)の双方を使用すると、翼形形状が表側と裏側で逆に作用してしまう。
また、特許文献3に記載されたラケットフレームを傾斜させたものは、その明細書において特にフォアハンドを多用する場合に有効であるとの記述があるように、表側の打球面(フォアハンド)と裏側の打球面(バックハンド)の双方を使用すると、表側と裏側で逆に作用してしまう。さらに、プレーヤーにとって不可欠な球種ショットである上方から下方へのダウンスイングでボールにアンダースピンを付加するスライス系ショットでは空気抵抗が増加する。
このように、特許文献1乃至特許文献3に記載された発明によれば、一方向や特定の球種ショットに対しては空気抵抗の減少効果があるものの、反対方向や他の球種ショットでは空気抵抗が増加するという問題があった。
一方、特許文献4乃至特許文献7にあるように、空気抵抗の減少や反発性能・スピン性能・コントロール性能等の向上を目的として、様々なフレームの断面形状が提案されているが、打球のパワーアップの理想的な打球方法であるインサイドアウトなスイングを行うために有効な断面形状のフレームは未だ提案されていない。
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、インサイドアウトなスイングを行うために有効な断面形状のラケットフレームにより、打球のパワーアップを可能にするものである。さらに、表側の打球面のスイング(フォアハンド)と裏側の打球面のスイング(バックハンド)、アッパースイング、ダウンスイングのいずれのスイングにおいても、打球のパワーアップを可能にしたものである。
上記課題を解決するため、本発明のラケットフレームは、打球面を囲むヘッド部と、グリップ部と、前記ヘッド部と前記グリップ部を連結するシャフト部とを有するラケットフレームにおいて、前記ヘッド部の先端側と手元側の間の最大幅部を基準として、前記ヘッド部のうち最大幅部より先端側の第1領域と、前記ヘッド部のうち最大幅部より手元側の第2領域と、前記シャフト部の第3領域とに区分し、前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域から選択した1以上の領域のフレームの表裏に、スイング時にフレームに当たる気流の方向を変化させて手元側から先端側に向けた揚力を発生させる傾斜面又は段差面を設け、スイング時にフレーム全体に発生する揚力の合成力が、手元側から先端側に向かうようにしたことを特徴とする。
また好ましくは、前記第1領域のフレームの表裏に、フレーム外周側からフレーム内周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けたことを特徴とする。
また好ましくは、前記第2領域のフレームの表裏に、フレーム内周側からフレーム外周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けたことを特徴とする。
また好ましくは、前記第3領域のシャフト部が、前記ヘッド部の手元側に取り付けられたヨーク部の両端部に連結されてオープンスロート開口部を構成する一対のシャフト部であり、前記一対のシャフト部の表裏に、オープンスロート開口部の内周側から外周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けたことを特徴とする。
また好ましくは、前記オープンスロート開口部にブリッジ部を設け、前記ブリッジ部の表裏に、先端側から手元側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けたことを特徴とする。
また好ましくは、前記第3領域のシャフト部が、直線状の1本の部材であり、前記第3領域のシャフト部の前記ヘッド部との連結部が、手元側から先端側に向けて幅広となる扇状に形成されており、前記扇状連結部の表裏に、中央から外側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けたことを特徴とする。
また好ましくは、前記ヘッド部の先端側フレームに、外周側及び内周側の少なくとも1つから突出する突出部が形成されており、前記ヘッド部の先端側フレームの表裏に、フレーム外周側からフレーム内周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けたことを特徴とする。
また好ましくは、前記ヘッド部の手元側フレームに、内周側及び外周側の少なくとも1つから突出する突出部が形成されており、前記ヘッド部の手元側フレームの表裏に、フレーム内周側からフレーム外周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けたことを特徴とする。
本発明のラケットフレームは、打球面を囲むヘッド部と、グリップ部と、ヘッド部とグリップ部を連結するシャフト部とを有するラケットフレームにおいて、まずヘッド部が、先端側と手元側の間の最大幅部を基準として、最大幅部より先端側の第1領域と最大幅部より手元側の第2領域とに区分されている。また、シャフト部が第3領域に区分されている。そして、第1領域、第2領域及び第3領域から選択した1以上の領域のフレームの表裏に、スイング時にフレームに当たる気流の方向を変化させて手元側から先端側に向けた揚力を発生させる傾斜面又は段差面を設け、スイング時にフレーム全体に発生する揚力の合成力が、手元側から先端側に向かうようになっている。従って、発生した揚力がプレーヤーのスイング軌道をインサイドからアウトサイドに引導して、インサイドアウトなスイングを容易にし、打球のパワーアップを図ることができる。
また、第1領域のフレームの表裏に、フレーム外周側からフレーム内周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けることにより、スイング時にフレームに当たる気流の方向が傾斜面によって変化し、ラケットフレームに手元側から先端側に向けた揚力を発生させることができる。
また、第2領域のフレームの表裏に、フレーム内周側からフレーム外周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けることにより、スイング時にフレームに当たる気流の方向が傾斜面によって変化し、ラケットフレームに手元側から先端側に向けた揚力を発生させることができる。
また、第3領域のシャフト部が、ヘッド部の手元側に取り付けられたヨーク部の両端部に連結されてオープンスロート開口部を構成する一対のシャフト部である場合には、一対のシャフト部の表裏に、オープンスロート開口部の内周側から外周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けることにより、スイング時にフレームに当たる気流の方向が傾斜面によって変化し、ラケットフレームに手元側から先端側に向けた揚力を発生させることができる。
また、オープンスロート開口部にブリッジ部がある場合には、ブリッジ部の表裏に、先端側から手元側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けることにより、スイング時にフレームに当たる気流の方向が傾斜面によって変化し、ラケットフレームに手元側から先端側に向けた揚力を発生させることができる。
また、前記第3領域のシャフト部が、直線状の1本の部材であり、第3領域のシャフト部のヘッド部との連結部が、手元側から先端側に向けて幅広となる扇状に形成されている場合には、扇状連結部の表裏に、中央から外側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けることにより、スイング時にフレームに当たる気流の方向が傾斜面によって変化し、ラケットフレームに手元側から先端側に向けた揚力を発生させることができる。
また、ヘッド部の先端側フレームに、外周側及び内周側の少なくとも1つから突出する突出部が形成されている場合には、ヘッド部の先端側フレームの表裏に、フレーム外周側からフレーム内周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けることにより、突出部を含めた傾斜面又は段差面を利用することができるので、傾斜面又は段差面を拡大して揚力をさらに増大させることができる。
また、ヘッド部の手元側フレームに、内周側及び外周側の少なくとも1つから突出する突出部が形成されている場合には、ヘッド部の手元側フレームの表裏に、フレーム内周側からフレーム外周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けることにより、突出部を含めた傾斜面又は段差面を利用することができるので、傾斜面又は段差面を拡大して揚力をさらに増大させることができる。
また、第1領域、第2領域、第3領域の傾斜面又は段差面がフレームの表裏に設けられているので、表側の打球面のスイング(フォアハンド)と裏側の打球面のスイング(バックハンド)のいずれにおいても有効である。さらに揚力の発生方向が手元側から先端側であるので、アッパースイング、ダウンスイングのいずれのスイングにおいても有効である。
以上、本発明によれば、インサイドアウトなスイングを行うために有効な断面形状のラケットフレームにより、打球のパワーアップを可能とし、さらに、表側の打球面のスイング(フォアハンド)と裏側の打球面のスイング(バックハンド)、アッパースイング、ダウンスイングのいずれのスイングにおいても、打球のパワーアップを可能にすることができる。
本発明の実施形態に係るラケットフレームを示す正面図である。 本発明の実施形態に係るラケットフレームを示す(A)平面図、(B)底面図である。 本発明の実施形態に係るラケットフレームを示す右側面図である。 (A)は図1のa−a矢視拡大断面図、(B)は(A)のe部拡大詳細図である。 (A)は図1のb−b矢視拡大断面図、(B)は(A)のf部拡大詳細図である。 (A)は図1のc−c矢視拡大断面図、(B)は(A)のg部拡大詳細図である。 (A)は図1のd−d矢視拡大断面図、(B)は(A)のh部拡大詳細図、(C)は(A)のi部拡大詳細図である。 他の実施形態に係るラケットフレームを示す正面図である。 ラケットフレームの揚力発生方向を示す(A)正面図、(B)側面図である。 ラケットフレームの断面形状の変形例を示す図である。 ラケットフレームの断面形状の変形例を示す図である。 コーナー付加物を取り付けたラケットフレームを示す断面図である。 側面付加物を取り付けたラケットフレームの一部分を示す(A)正面図、(B)右側面図である。 他の実施形態に係るラケットフレームを示す正面図である。 他の実施形態に係るラケットフレームを示す正面図である。 他の実施形態に係るラケットフレームを示す正面図である。 ラケットフレームの断面形状の変形例を示す図である。 ラケットフレームのヘッド部の形状を示す図である ラケットフレームの断面形状の変形例を示す図である。 他の実施形態に係るラケットフレームを示す正面図である。 ラケットフレームの断面形状の変形例を示す図である。
次に、図1乃至図16を参照して、本発明の実施形態に係るラケットフレームについて説明する。まず、図1乃至図3を参照して、本実施形態に係るラケットフレーム100の全体構成について説明する。なお、以下の説明において「先端側」とは、ラケットフレームのグリップと反対の側(ヘッド部の先端側)をいい、「手元側」とは、ラケットフレームのグリップの側をいう。
本実施形態に係るラケットフレーム100は、主として繊維強化樹脂や熱可塑性樹脂等からなる中空状部材から構成されており、打球面を囲むヘッド部H、グリップ部50、ヘッド部Hとグリップ部50を連結するシャフト部30,30を有している。また、ヘッド部Hの手元側(グリップ50側)には、ヨーク部40が取り付けられている。ヨーク部40はヘッド部Hの一部となっており、ヨーク部40を含むヘッド部Hにストリング3が張架されて打球面が形成されている。
また、ヘッド部Hとグリップ部50を連結するシャフト部30,30は、同時にヨーク部40の両端部とグリップ部50を連結するように配置された一対の部材であって、ヨーク部40の両端からグリップ部50に向けて収束している。そして、ヨーク部40と一対のシャフト部30,30とによりオープンスロート開口部4が構成されている。
ヘッド部Hは、先端側と手元側の間の最大幅部Wを基準として、最大幅部Wより先端側の第1領域Iと最大幅部Wより手元側の第2領域IIに区分されている。ここでいうヘッド部Hの最大幅部Wを言い換えると、ラケットフレーム100の長手方向の中心軸に垂直で打球面の面内方向の最大幅部であるということができる。以下、ヘッド部Hのうち、第1領域Iの部分をヘッド部10、第2領域IIの部分をヘッド部20と表記する。
また、ヨーク部40はヘッド部20の一部となっており第2領域IIに区分されている。一方、一対のシャフト部30,30は、第1領域I及び第2領域IIとは別の、第3領域IIIに区分されている。
次に、図4乃至図7を参照して、第1領域I、第2領域II及び第3領域IIIにおけるラケットフレーム100の断面形状について説明する。図4において、(A)は図1のa−a矢視拡大断面図、(B)は(A)のe部拡大詳細図である。図5において、(A)は図1のb−b矢視拡大断面図、(B)は(A)のf部拡大詳細図である。図6において、(A)は図1のc−c矢視拡大断面図、(B)は(A)のg部拡大詳細図である。図7において、(A)は図1のd−d矢視拡大断面図、(B)は(A)のh部拡大詳細図、(C)は(A)のi部拡大詳細図である。
以下の説明において、フレームの表裏とは2つの打球面のことをいい、フレーム表側とは図4乃至図6における上側の面を示し、フレーム裏側とは図4乃至図6における下側の面を示す。また、フレーム表側とは図7における左側の面を示し、フレーム裏側とは図7における右側の面を示す。また、フレーム幅とは、フレームの表裏方向の長さをいう。
まず、第1領域Iに区分されたヘッド部10の断面形状について説明する。図4(A)、(B)に示すように、ヘッド部10の断面形状は略台形であって、フレーム表側の傾斜面11、フレーム裏側の傾斜面12、外周面13及び内周面14の四辺を有している。外周面13には、ストリング溝1が形成されており、ストリング溝1の底部に穿設されたストリング孔2を通してストリング3が張架されている。
外周面13におけるフレーム幅は、内周面14におけるフレーム幅よりも大きくなっている。従って、傾斜面11は、フレーム表側において、フレーム外周側からフレーム内周側に向けてフレーム幅が小さくなるように傾斜しているといえる。同様に、傾斜面12は、フレーム裏側において、フレーム外周側からフレーム内周側に向けてフレーム幅が小さくなるように傾斜しているといえる。また、傾斜面11と傾斜面12は、ストリング3が張架された打球面を中心として対称な傾斜面となっている。なお、ヘッド部10の断面形状については、図7(B)にも同様に記載している。
次に、第2領域IIに区分されたヘッド部20の断面形状について説明する。図5(A)、(B)に示すように、ヘッド部20の断面形状は略台形であって、フレーム表側の傾斜面21、フレーム裏側の傾斜面22、外周面23及び内周面24の四辺を有している。外周面23には、ストリング溝1が形成されており、ストリング溝1の底部に穿設されたストリング孔2を通してストリング3が張架されている。
外周面23におけるフレーム幅は、内周面24におけるフレーム幅よりも小さくなっている。従って、傾斜面21は、フレーム表側において、フレーム内周側からフレーム外周側に向けてフレーム幅が小さくなるように傾斜しているといえる。同様に、傾斜面22は、フレーム裏側において、フレーム内周側からフレーム外周側に向けてフレーム幅が小さくなるように傾斜しているといえる。また、傾斜面21と傾斜面22は、ストリング3が張架された打球面を中心として対称な傾斜面となっている。
次に、第3領域IIIに区分された一対のシャフト部30,30の断面形状について説明する。図6(A)、(B)に示すように、シャフト部30,30の断面形状は略台形であって、フレーム表側の傾斜面31、フレーム裏側の傾斜面32、オープンスロート開口部4の外周面33及びオープンスロート開口部4の内周面34の四辺を有している。
外周面33におけるフレーム幅は、内周面34におけるフレーム幅よりも小さくなっている。従って、傾斜面31は、フレーム表側において、オープンスロート開口部4の内周側から外周側に向けてフレーム幅が小さくなるように傾斜しているといえる。同様に、傾斜面32は、フレーム裏側において、オープンスロート開口部4の内周側から外周側に向けてフレーム幅が小さくなるように傾斜しているといえる。また、傾斜面31と傾斜面32は、ストリング3が張架された打球面を中心として対称な傾斜面となっている。
次に、ヘッド部20の一部として第2領域IIに区分されたヨーク部40の断面形状について説明する。図7(A)、(C)に示すように、ヨーク部40の断面形状は略台形であって、フレーム表側の傾斜面41、フレーム裏側の傾斜面42、外周面43及び内周面44の四辺を有している。ヨーク部40にはストリング孔2が穿設されており、ストリング孔2を通してストリング3が張架されている。
外周面43におけるフレーム幅は、内周面44におけるフレーム幅よりも小さくなっている。従って、傾斜面41は、フレーム表側において、フレーム内周側からフレーム外周側に向けてフレーム幅が小さくなるように傾斜しているといえる。同様に、傾斜面42は、フレーム裏側において、フレーム内周側からフレーム外周側に向けてフレーム幅が小さくなるように傾斜しているといえる。また、傾斜面41と傾斜面42は、ストリング3が張架された打球面を中心として対称な傾斜面となっている。
ここで、ヘッド部の先端側と手元側の間の最大幅部Wは、第1領域Iと第2領域IIの境界部分となっており、最大幅部Wを境として、ヘッド部10の断面形状とヘッド部20の断面形状は、ちょうど外周側と内周側を反転させた形状になっている。なお、最大幅部Wにおける形状変化は、四角形型、二等辺三角形型、二等辺台形型、楕円形型、六角形以上の多角形型等を介在させて直線的又は曲線的に結合する等どのように移行してもよいが、例えば、図14に示す他の実施形態のように最大幅部Wの前後において尾根Rを形成しつつなだらかに変化させることが好ましい。また、第2領域IIと第3領域IIIの境界部分にいても、なだらかに変化させることが好ましい。
また特に、ヘッド形状が略四角形の場合には、ヘッド部の最大幅部W付近において、ラケットフレームの長手軸に平行する部分が長いので、その他の形状に比べてなだらかな形状変更区間を長くすることができる。
また、第1領域I、第2領域II及び第3領域IIIの断面形状は、それぞれの領域のすべての部分について上記のような傾斜面を有する形状とすることが好ましいが、一部に傾斜面を有さない断面形状の部分があってもよい。ただし、第1領域Iにおけるヘッド部10の先端側と、第2領域IIにおけるヨーク部40については、後述する作用効果の観点から傾斜面を設けることが特に好ましい。傾斜面を有さない断面形状にしても影響が少ない部分として、ヘッド部の最大幅部Wを含む第1領域Iと第2領域IIにまたがる部分が挙げられる。この部分は、ラケットフレームの長手軸に最も平行した部分であり、この部分をなだらかな形状変更に利用することが好ましい。
また、図15に示す他の実施形態のように、オープンスロート開口部4にねじれ剛性を向上させるためのブリッジ部35が設けられている場合には、ブリッジ部35の表裏に、ラケットの先端側から手元側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面を設けることが好ましい。
図8は、他の実施形態に係るラケットフレーム200を示す正面図である。ラケットフレーム200は、ヘッド部Hとグリップ部50を連結するシャフト部30が直線状の1本の部材であるものである。従って、ヨーク部40は取り付けられておらず、オープンスロート開口部4も構成されていない。このようなラケットフレーム200の場合には、シャフト部30には傾斜面を設けずに、ヘッド部Hを最大幅部Wを基準として、先端側のヘッド部10を第1領域Iに、手元側のヘッド部20を第2領域IIに区分し、第1領域Iと第2領域IIに傾斜面を設けるとよい。
一方、シャフト部30が直線状の1本の部材であったとしても、図16に示す他の実施形態のように、シャフト部30のヘッド部Hとの連結部が、手元側から先端側に向けて幅広となるような扇状に形成されている場合には、シャフト部30を第3領域IIIに区分して、扇条連結部36,36の表裏に、中央から外側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面を設けることが好ましい。
次に、図9を参照して、本実施形態に係るラケットフレーム100の作用効果について説明する。図9は、ラケットフレーム100の揚力発生方向を示す(A)正面図、(B)側面図である。図9に示すように、表側の打球面を使用してラケットフレーム100をスイングすると、ラケットフレーム100は面外方向(打球面に垂直な方向)からの気流により風圧を受ける。
このとき第1領域Iのヘッド部10においては、フレーム外周側からフレーム内周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面11が設けられているので、傾斜面11に当たった気流の方向はフレーム外周側からフレーム内周側に向けて変化する。そうすると、フレームには、内周側から外周側に向けた揚力が発生するが、横方向(図9の左右方向)の揚力は打ち消し合うので、結果的にフレームの手元側から先端側に向けた揚力が発生する。
また、第2領域IIのヘッド部20及びヨーク部40においては、フレーム内周側からフレーム外周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面21,41が設けられているので、傾斜面21,41に当たった気流の方向はフレーム内周側からフレーム外周側に向けて変化する。そうすると、フレームには、外周側から内周側に向けた揚力が発生するが、横方向(図9の左右方向)の揚力は打ち消し合うので、結果的にフレームの手元側から先端側に向けた揚力が発生する。
また、第3領域IIIのシャフト部30,30においては、オープンスロート開口部4の内周側から外周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面31,31が設けられているので、傾斜面31,31に当たった気流の方向はオープンスロート開口部4の内周側から外周側に向けて変化する。そうすると、フレームには、外周側から内周側に向けた揚力が発生するが、横方向(図9の左右方向)の揚力は打ち消し合うので、結果的にフレームの手元側から先端側に向けた揚力が発生する。
第1領域I、第2領域II及び第3領域IIIで発生した揚力は、すべて手元側から先端側に向けたものであり、スイング時にフレーム全体に発生する揚力の合成力は手元側から先端側に向かうことになるので、プレーヤーのスイング軌道をインサイドからアウトサイドに引導して、インサイドアウトなスイングを容易にし、打球のパワーアップを図ることができる。なお、フレーム裏側にも同様の傾斜面が設けられているので、裏側の打球面を使用してラケットフレーム100をスイングした場合にも、同様の作用効果を奏する。
これに対して従来のラケットフレームは、ヘッド部の先端側と手元側の断面形状は、基本的に同一であり、本実施形態に係るラケットフレーム100のように最大幅部Wを境界として反転しているものではない。従って、従来のラケットフレームにおいては、例え傾斜面により何らかの揚力が発生したとしても、それは部分的なものであって、ラケットフレーム全体としては打ち消し合ってしまい、手元側から先端側への揚力を発生させることはできない。
なお、図15に示すブリッジ部に設けた傾斜面や、図16に示す扇形連結部に設けた傾斜面についても、同様の作用効果を奏する。
ここで、ラケットフレームのヘッド部の形状について検討する。ラケットフレームのヘッド部の形状には様々なものがある。図18は、ラケットフレームのヘッド部のみの形状を概略的に表したものである。このうち、図18(A)は基本的な楕円形、図18(B)は略三角形、図18(C)は略四角形、図18(D)は略台形である。
図18(B)、図18(C)、図18(D)のヘッド部は、図18(A)の基本的なフレームに比べて、その先端側フレーム82,83,84が略直線状に形成されている。このようなヘッド部の場合には、先端側フレーム82,83,84の表裏に、フレーム外周側からフレーム内周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面を設けることで、手元側から先端側への揚力をより効果的に発生させることができる。
同様に、図18(C)、図18(D)のヘッド部は、図18(A)の基本的なフレームに比べて、その手元側フレーム93,94が略直線状に形成されている。このようなヘッド部の場合には、手元側フレーム93,94の表裏に、フレーム内周側からフレーム外周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面を設けることで、手元側から先端側への揚力をより効果的に発生させることができる。
次に、ラケットフレームの断面形状の変形例について説明する。本実施形態のラケットフレーム100の断面形状は、上述した作用効果により、傾斜面によって手元側から先端側への揚力を発生させることができれば特に限定されるものではない。図10及び図11は、ラケットフレーム100の断面形状の変形例を示す図である。図10及び図11は、図4(B)に示す第1領域Iのヘッド部10の断面形状に対応するものであり、符号Xは内周面、符号Yは面外方向の厚みの中心、符号Zは外周面を示すものである。ただし、ストリング溝やストリング孔の記載は省略してある。なお、第2領域II及び第3領域IIIについては、内周面と外周面を入れ替えることにより同様に考えられるため、説明を省略する。
図10に示す変形例は、傾斜面が一方向のみに存在するものである。図10に示す変形例は、傾斜面が一方向のみに存在するので、傾斜面による揚力の発生方向も一方向である。
図10(A)の断面形状では、フレーム幅の最大位置が外周面Zにある。そして、外周面Zに位置する最大位置から内周面Xに向けて傾斜面11,12が設けられている。
図10(B)の断面形状では、フレーム幅の最大位置が外周面よりも外側にある。そして、外周面Zよりも外側に位置する最大位置から内周面Xに向けて傾斜面11,12が設けられている。
図10(C)の断面形状では、外周面Zから中心Yにかけて平坦面15,16が設けられており、平坦面15,16がフレーム幅の最大位置になっている。そして、平坦面15,16のから内周面Xに向けて傾斜面11,12が設けられている。
図10(D)の断面形状では、外周面Zから中心Yよりも内周面X側にかけて平坦面15,16が設けられており、平坦面15,16がフレーム幅の最大位置になっている。そして、平坦面15,16のから内周面Xに向けて傾斜面11,12が設けられている。
なお、図10(B)に示した変形例では、フレーム幅の最大位置が外周面よりも外側にあるが、これを言い換えれば、フレーム外周側から突出する突出部を形5,6成し、突出部5,6も含めて傾斜面を形成したということができる。この点については、図19(A)に示すように、フレーム内周側から突出する突出部7,8を形成したものや、図19(B)に示すように、フレーム外周側から突出する突出部5,6及びフレーム内周側から突出する突出部7,8の両方を形成したものとすることもできる。このように、突出部を含めて傾斜面を形成すれば、突出部を含めた傾斜面を利用することができるので、揚力を発生させための傾斜面を拡大することができる。
図20は、図19(B)に示す傾斜面5,6,7,8を、ヘッド部Hの先端側フレームとヘッド部Hの手元側フレームに適用した状態のラケットフレームを示す正面図である。このように、手元側から先端側への揚力を発生するために特に有効な部位に突出部を形成して傾斜面を設けることにより、より効果的に揚力を発生させることができる。
図11に示す変形例は、傾斜面が二方向に存在するものである。図11の断面形状では、傾斜面11,12に対して反対の傾斜となる逆傾斜面17,18が設けられている。傾斜面が二方向に存在するので、傾斜面による揚力の発生方向も二方向となる。
図11(A)の断面形状では、フレーム幅の最大位置が外周面Zと中心Yの間にある。そして、外周面Zと中心Yの間に位置する最大位置から内周面Xに向けて傾斜面11,12が設けられている。また、外周面Zと中心Yの間に位置する最大位置から外周面Zに向けて傾斜面17,18が設けられている。
図11(B)の断面形状では、フレーム幅の最大位置が外周面Zと中心Yの間にある。そして、外周面Zと中心Yの間に位置する最大位置から内周面Xに向けて傾斜面11,12が設けられている。また、外周面Zと中心Yの間に位置する最大位置から外周面Zに向けて傾斜面17,18が設けられている。
図11(C)の断面形状では、フレーム幅の最大位置が中心Yにある。そして、中心Yに位置する最大位置から内周面Xに向けて傾斜面11,12が設けられている。また、中心Yに位置する最大位置から外周面Zに向けて傾斜面17,18が設けられている。
図11(D)の断面形状では、フレーム幅の最大位置が内周面Xと中心Yの間にある。そして、内周面Xと中心Yの間に位置する最大位置から内周面Xに向けて傾斜面11,12が設けられている。また、内周面Xと中心Yの間に位置する最大位置から外周面Zに向けて傾斜面17,18が設けられている。
図11の断面形状では、傾斜面11,12に対して反対の傾斜となる逆傾斜面17,18が設けられているので、傾斜面による揚力の発生方向も二方向となる。そして、発生した二方向の揚力は打ち消し合い、その結果一方向の揚力が残ることになるが、残った揚力の方向は傾斜面11により発生する揚力の方向と一致しなければならない。従って、表側については、傾斜面11により発生する揚力の方が、逆傾斜面17により発生する揚力よりも大きくなるように、傾斜面11と逆傾斜面17の形状を決定する。具体的には、フレーム幅の最大位置や、傾斜面11と逆傾斜面17の角度を決定する。裏側の傾斜面12及び傾斜面18についても同様である。
図21に示す変形例は、傾斜面が曲面状になっているものである。図21(A)は、凸面状の曲面になっており、図21(B)は凹面状の曲面になっている。このように、傾斜面は必ずしも平面状である必要はなく、スイング時にフレームに当たる気流の方向を変化させることができれば、曲面状の傾斜面であってもよい。
また、ラケットフレームの断面形状の変形例として、傾斜面ではなく段差面を設けてもよい。例えば、図17に示すように、フレーム外周側からフレーム内周側に向けてフレーム幅が小さくなるような段差面19を設けることができる。傾斜面ではなく段差面によっても、上述した傾斜面における作用効果と同様に、手元側から先端側への揚力を発生させることができる。段差の数は、図17(A)に示す1段や図17(B)に示す2段、またそれ以上の複数段とすることができる。
また、その他の変形例として、特にヘッド部の第1領域Iの先端部やヘッド部の第2領域IIの手元側のヨーク部において、フレームを複数層とし、揚力を発生させる傾斜面を複数層に増設することもできる。
なお、本実施形態のフレームは、繊維強化樹脂や熱可塑性樹脂等からなる中空状部材により、上記形状に形成されるものであるが、従来のラケットフレームにコーナー付加物を付加することにより、形成することも可能である。例えば、図12に示すように、ラケットフレームのヘッド部10の外周側のコーナー部に,軟質軽量部材からなるコーナー部付加物60,60を両面テープ等により取り付けて、傾斜面11,12を形成してもよい。
また、本実施形態では、説明を容易にするために、グロメット等の軟質樹脂製附属パーツについての記載を省略してある。しかし例えば、繊維強化樹脂や熱可塑性樹脂等からなる中空状部材で構成された正方形のボックス形状のラケットフレームに、グロメット等を含む附属パーツによって傾斜面を構成して合体させることにより、傾斜面を形成することも可能である。
また、図13に示すように、ラケットフレームのヘッド部10,20の表面〜外周面〜裏面や表面〜内周面〜裏面にかけて、略三角柱状の側面付加物70を取り付けて、手元側から先端側に向けた揚力を増大させるようにしてもよい。
次に、本実施形態に係るラケットフレームの素振りによる評価実験についての実施例を示す。中・上級プレーヤー11人による素振りデータに基づき、プレーヤーの体感するインサイドアウトなスイングの容易性を5点法で評価した。評点はそれぞれ、「5:大変容易である」、「4:容易である」、「3:普通」、「2:容易でない」、「1:全く容易でない」を示す。なお実験は、(1)水平なフラットスイング、(2)上向きのワイパースイング、(3)下向きのスライススイングの3種類のスイングについて行った。実験用ラケットの重量は250グラム、ラケットフェイス115平方インチで、表側のフレームには本実施形態に係るラケットフレーム100の傾斜面を形成するように付加物を接着固定し、裏側の面は通常のままとし、表裏をグリップチェンジしてスイングの比較を行った。表1にその結果を示す。
Figure 2015016152
表1の評価結果は、3種類全てのスイングにおいて、インサイドアウトなスイングの容易性を示している。特に、ボールにトップスピンを付加する(2)上向きのワイパースイングでは、インサイドアウトに働く揚力によりインパクト直後の振り抜きの良さが認められて高評価となっている。
本実施形態に係るラケットフレームは、打球面を囲むヘッド部Hと、グリップ部50と、ヘッド部Hとグリップ部50を連結するシャフト部30とを有するラケットフレーム100において、まずヘッド部Hが、先端側と手元側の間の最大幅部Wを基準として、最大幅部Wより先端側の第1領域Iと最大幅部Wより手元側の第2領域IIとに区分されている。また、シャフト部30が第3領域IIIに区分されている。そして、第1領域I、第2領域II及び第3領域IIIから選択した1以上の領域のフレームの表裏に、スイング時にフレームに当たる気流の方向を変化させて手元側から先端側に向けた揚力を発生させる傾斜面を設け、スイング時にフレーム全体に発生する揚力の合成力が、手元側から先端側に向かうようになっている。従って、発生した揚力がプレーヤーのスイング軌道をインサイドからアウトサイドに引導して、インサイドアウトなスイングを容易にし、打球のパワーアップを図ることができる。
また、第1領域Iのフレームの表裏に、フレーム外周側からフレーム内周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面11,12を設けることにより、スイング時にフレームに当たる気流の方向が傾斜面11,12によって変化し、ラケットフレームに手元側から先端側に向けた揚力を発生させることができる。
また、第2領域IIのフレームの表裏に、フレーム内周側からフレーム外周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面21,22,41,42を設けることにより、スイング時にフレームに当たる気流の方向が傾斜面21,22,41,42によって変化し、ラケットフレームに手元側から先端側に向けた揚力を発生させることができる。
また、第3領域IIIのシャフト部30が、ヘッド部Hの手元側に取り付けられたヨーク部40の両端部に連結されてオープンスロート開口部4を構成する一対のシャフト部30,30である場合には、一対のシャフト部30,30の表裏に、オープンスロート開口部4の内周側から外周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面31,32を設けることにより、スイング時にフレームに当たる気流の方向が傾斜面31,32によって変化し、ラケットフレームに手元側から先端側に向けた揚力を発生させることができる。
また、オープンスロート開口部4にブリッジ部35がある場合には、ブリッジ部35の表裏に、先端側から手元側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面を設けることにより、スイング時にフレームに当たる気流の方向が傾斜面によって変化し、ラケットフレームに手元側から先端側に向けた揚力を発生させることができる。
また、第3領域IIIのシャフト部30が、直線状の1本の部材であり、第3領域IIIのシャフト部30のヘッド部Hとの連結部が、手元側から先端側に向けて幅広となる扇状に形成されている場合には、扇状連結部36,36の表裏に、中央から外側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面を設けることにより、スイング時にフレームに当たる気流の方向が傾斜面によって変化し、ラケットフレームに手元側から先端側に向けた揚力を発生させることができる。
また、ヘッド部の先端側フレームに、外周側及び内周側の少なくとも1つから突出する突出部が形成されている場合には、ヘッド部の先端側フレームの表裏に、フレーム外周側からフレーム内周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けることにより、突出部を含めた傾斜面又は段差面を利用することができるので、傾斜面又は段差面を拡大して揚力をさらに増大させることができる。
また、ヘッド部の手元側フレームに、内周側及び外周側の少なくとも1つから突出する突出部が形成されている場合には、ヘッド部の手元側フレームの表裏に、フレーム内周側からフレーム外周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けることにより、突出部を含めた傾斜面又は段差面を利用することができるので、傾斜面又は段差面を拡大して揚力をさらに増大させることができる。
また、ヘッド部の先端側フレームが略直線状に形成されている場合には、ヘッド部の先端側フレームの表裏に、フレーム外周側からフレーム内周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けることにより、手元側から先端側への揚力をより効果的に発生させることができる。
また、ヘッド部の手元側フレームが略直線状に形成されている場合には、ヘッド部の手元側フレームの表裏に、フレーム内周側からフレーム外周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けることにより、手元側から先端側への揚力をより効果的に発生させることができる。
また、第1領域I、第2領域II、第3領域IIIの傾斜面がフレームの表裏に設けられているので、表側の打球面のスイング(フォアハンド)と裏側の打球面のスイング(バックハンド)のいずれにおいても有効である。さらに揚力の発生方向が手元側から先端側であるので、アッパースイング、ダウンスイングのいずれのスイングにおいても有効である。
以上、本実施形態に係るラケットフレームによれば、インサイドアウトなスイングを行うために有効な断面形状により、打球のパワーアップを可能とし、さらに、表側の打球面のスイング(フォアハンド)と裏側の打球面のスイング(バックハンド)、アッパースイング、ダウンスイングのいずれのスイングにおいても、打球のパワーアップを可能にすることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、第1領域I、第2領域II、第3領域IIIの全てに傾斜面を設けたが、第1領域I、第2領域II及び第3領域IIIから選択した1以上の領域のフレームの表裏に傾斜面を設け、他の領域には傾斜面を設けないようにしてもよい。ただし、その場合には、選択した領域の傾斜面により発生した揚力が選択しなかった領域において発生した揚力によって打ち消されることのないようにして、スイング時にフレーム全体に発生する揚力の合成力が、手元側から先端側に向かうようになっていなければならない。そのためには、選択しなかった領域において反対方向の揚力が発生しないか、例え発生してもわずかであるような形状とすることが有効である。例えば、選択しなかった領域におけるラケットフレームの長軸方向の揚力発生が0となるような形状にすればよい。
また、本実施形態のラケットフレーム100はテニスラケットのものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、ソフトテニスラケット、バドミントンラケット、スカッシュラケット、バウンドテニスラケット等、ストリングを張架する打球用具に適用することができる。
1 ストリング溝
2 ストリング孔
3 ストリング
4 オープンスロート開口部
5 突出部
6 突出部
7 突出部
8 突出部
10 ヘッド部
11 傾斜面
12 傾斜面
13 外周面
14 内周面
15 平坦面
16 平坦面
17 傾斜面
18 傾斜面
19 段差面
20 ヘッド部
21 傾斜面
22 傾斜面
23 外周面
24 内周面
30 シャフト部
31 傾斜面
32 傾斜面
33 外周面
34 内周面
35 ブリッジ部
36 扇状連結部
40 ヨーク部
41 傾斜面
42 傾斜面
43 外周面
44 内周面
50 グリップ部
60 コーナー付加物
70 側面付加物
81 先端側フレーム
82 先端側フレーム
83 先端側フレーム
84 先端側フレーム
91 手元側フレーム
92 手元側フレーム
93 手元側フレーム
94 手元側フレーム
100 ラケットフレーム
200 ラケットフレーム
I 第1領域
II 第2領域
III 第3領域
H ヘッド部
W ヘッド部の最大幅部
R 尾根

Claims (8)

  1. 打球面を囲むヘッド部と、グリップ部と、前記ヘッド部と前記グリップ部を連結するシャフト部とを有するラケットフレームにおいて、
    前記ヘッド部の先端側と手元側の間の最大幅部を基準として、前記ヘッド部のうち最大幅部より先端側の第1領域と、前記ヘッド部のうち最大幅部より手元側の第2領域と、前記シャフト部の第3領域とに区分し、
    前記第1領域、前記第2領域及び前記第3領域から選択した1以上の領域のフレームの表裏に、スイング時にフレームに当たる気流の方向を変化させて手元側から先端側に向けた揚力を発生させる傾斜面又は段差面を設け、
    スイング時にフレーム全体に発生する揚力の合成力が、手元側から先端側に向かうようにしたことを特徴とするラケットフレーム。
  2. 前記第1領域のフレームの表裏に、フレーム外周側からフレーム内周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けたことを特徴とする請求項1に記載のラケットフレーム。
  3. 前記第2領域のフレームの表裏に、フレーム内周側からフレーム外周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のラケットフレーム。
  4. 前記第3領域のシャフト部が、前記ヘッド部の手元側に取り付けられたヨーク部の両端部に連結されてオープンスロート開口部を構成する一対のシャフト部であり、
    前記一対のシャフト部の表裏に、オープンスロート開口部の内周側から外周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1つに記載のラケットフレーム。
  5. 前記オープンスロート開口部にブリッジ部を設け、前記ブリッジ部の表裏に、先端側から手元側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けたことを特徴とする請求項4に記載のラケットフレーム。
  6. 前記第3領域のシャフト部が、直線状の1本の部材であり、
    前記第3領域のシャフト部の前記ヘッド部との連結部が、手元側から先端側に向けて幅広となる扇状に形成されており、
    前記扇状連結部の表裏に、中央から外側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1つに記載のラケットフレーム。
  7. 前記ヘッド部の先端側フレームに、外周側及び内周側の少なくとも1つから突出する突出部が形成されており、前記ヘッド部の先端側フレームの表裏に、フレーム外周側からフレーム内周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか1つに記載のラケットフレーム。
  8. 前記ヘッド部の手元側フレームに、内周側及び外周側の少なくとも1つから突出する突出部が形成されており、前記ヘッド部の手元側フレームの表裏に、フレーム内周側からフレーム外周側に向けてフレーム幅が小さくなるような傾斜面又は段差面を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のうちいずれか1つに記載のラケットフレーム。
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