JP2014061107A - ゴルフクラブシャフト - Google Patents

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雅修 南
Hiroki Takizawa
宏紀 滝澤
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Abstract

【課題】 シャフト重量の増大を抑えつつ、大きな飛距離を得られるように十分なしなりを発生させながらも、ゴルファーが感じるしなり感は大きすぎることなく、安心してスイング出来るシャフトを提供する。
【解決手段】 曲げ剛性はそのままに、ねじり剛性をシャフト先端側を中心に高めることで、しなりによるヘッドの加速、飛距離の増大を維持しながら、適度なしなり感、スイング感を確保する。具体的には、シャフト上の各点でのねじり剛性GI(x)と曲げ剛性EI(x)の比GI(x)/EI(x)を0.5以上1.0以下とする、もしくは平均ねじり剛性GIaと平均曲げ剛性EIaの比であるGIa/EIaの値を0.6以上0.9以下とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、強度、打球の方向性や飛距離及びスイング感を向上したゴルフクラブシャフト(以下「シャフト」と言う。)に関するものであり、特に繊維強化樹脂製のシャフト(以下「FRPシャフト」と言う。)に好適なものである。
ゴルフクラブにおいて、シャフトの剛性は打球の方向性や飛距離及びスイング感に大きな影響を与えることが知られている。シャフトのしなりはゴルフクラブヘッド(以下「ヘッド」と言う。)を加速し、飛距離の増大に寄与する一方、大きすぎるしなりは打球方向性を悪化させるとされている。そのような物理的な効果、影響以外にも、スイング時に感じるしなり感は、ゴルファーに大きな影響を与えることも知られている。適度なしなり感は、スイングのタイミングを取りやすくし、飛距離の増大やスイングの安定をもたらすが、不適切なしなり感はスイング感を悪化させる。具体的には、しなり感が無さ過ぎるとスイング時に力みを招きやすく、スイングを崩す原因ともなりかねず、逆にしなり感が強すぎるとゴルファーは不安、頼りなさを感じ、思い切ってスイングできなくなることも多い。
昨今、ウッドクラブなどの大きな飛距離を目的とする番手には軽量化の容易なFRPシャフトが用いられることが多いが、FRPシャフトは繊維方向をシャフト軸方向から斜めにしたバイアス層がねじり方向の剛性(以下「ねじり剛性」と言う。)を、繊維方向をシャフト軸方向と平行にしたストレート層が曲げ方向の剛性(以下「曲げ剛性」と言う。)を、それぞれ決めるため(例えば特許文献1参照)、ねじり剛性と曲げ剛性を比較的自由に設計することが出来る利点がある。
これを利用して、さまざまな剛性特性を有するシャフトが提案、製造されており(例えば特許文献2、特許文献3参照)、その中にはねじり剛性を表す指標としてせん断弾性係数と断面二次極モーメントの積であるGI(以下「ねじり剛性GI」と言う。)、曲げ剛性を表す指標としてヤング率と断面二次モーメントの積であるEI(以下「曲げ剛性EI」と言う。)に着目し、シャフトの一部や部分毎にこれらの値を適切に設定しようとする提案もなされている(例えば特許文献4、特許文献5参照)。
特開2009-060983号公報 特開2007-135963号公報 特開2007-117109号公報 特開2007-061403号公報 特開平11-099229号公報
しかし、剛性を高めるには使用する繊維の量を増やすことが一般的であるため、ねじり剛性GIや曲げ剛性EIを自由に設計しようとすると、軽量というFRPシャフトの利点の一つが失われるおそれもあり、FRPシャフトの設計自由度が高いとは言えども、軽量なシャフトにおいてはねじり剛性GIや曲げ剛性EIが低めなものが多く、スイング時にしなり感が強すぎたり、ある程度力のある人が使用すると方向性が不安定になるなどの問題がある。
シャフトのねじれは、曲げよりもヘッドの姿勢に対する影響が大きいため、ねじれが大きすぎると方向安定性が損なわれる。本願発明者らは、ゴルフクラブはヘッドの重心がシャフト軸上に無いために、ヘッドに働く遠心力やヘッドの加減速によって生じるトルクが曲げと同時にねじりを生じさせるのであるから、ねじり剛性GIを高めるだけでもシャフトのしなりが抑制され、ゴルファーの感じるしなり感、スイング感に影響することを見出した。また、スイートスポットを外して打撃した場合にヘッドが回転して生じるシャフトのねじれが大きくなると、ゴルファーに不安感を与え、精神面からプレーに悪影響を及ぼすこともあるが、ねじり剛性を高めればこれも改善できる。
本発明は、斯かる実情に鑑み、大きな飛距離を得られるように十分なしなりを発生させながらも、ゴルファーが感じるしなり感は大きすぎることなく、安心してスイング出来るシャフトを提供しようとするものである。
本願第一の発明は、ヘッドを取り付ける側であるチップ端から、シャフト軸上をグリップを取り付ける側であるバット端方向へ距離xにある点のねじり剛性をGI(x)、同じ点の曲げ剛性をEI(x)としたときに、これらの比であるGI(x)/EI(x)が、チップ端からバット端までの全ての点において、0.5以上1.0以下であることを特徴とするゴルフクラブシャフトである。
本願第二の発明は、チップ端からシャフト軸上をバット端方向へ距離xにある点のねじり剛性をGI(x)、同じ点の曲げ剛性をEI(x)としたときに、チップ端からシャフト軸上をバット端方向へ200mmの点を始点とし、バット端を終点とする区間全てにおいて、ねじり剛性GI(x)と曲げ剛性EI(x)の比であるGI(x)/EI(x)が0.5以上1.0以下であることを特徴とするゴルフクラブシャフトである。
本願第三の発明は、チップ端よりバット端までの平均ねじり剛性GIaと、同じくチップ端よりバット端までの平均曲げ剛性EIaの比であるGIa/EIaの値が0.6以上0.9以下であることを特徴とするゴルフクラブシャフトである。
本願第四の発明は、シャフト全長を2等分し、チップ端側の区間の平均ねじり剛性をGIt2、該区間の平均曲げ剛性をEIt2とし、バット端側の区間の平均ねじり剛性をGIb2、該区間の平均曲げ剛性をEIb2としたときに、下式を満たすことを特徴とする本願第一乃至第三の発明に係るゴルフクラブシャフトである。
GIt2/EIt2>GIb2/EIc2
本願第五の発明は、シャフト全長を3等分し、最もチップ端側の区間の平均ねじり剛性をGIt3、該区間の平均曲げ剛性をEIt3とし、最もバット端側の区間の平均ねじり剛性をGIb3、該区間の平均曲げ剛性をEIb3とし、真ん中の区間の平均ねじり剛性をGIc3、該区間の平均曲げ剛性をEIc3としたときに、下の二つの式を満たすことを特徴とする本願第一乃至第三の発明に係るゴルフクラブシャフトである。
GIt3/EIt3≧GIc3/EIc3≧GIb3/EIc3
GIt3/EIt3>GIb3/EIc3
本願第六の発明は、ねじり剛性GIが極大点を有することを特徴とする本願第一乃至第五の発明に係るゴルフクラブシャフトである。
本願第七の発明は、極大点がシャフト全長を3等分した場合の最もチップ端側の区間内にあることを特徴とする本願第六の発明に係るゴルフクラブシャフトである。
本発明のシャフトによれば、曲げ剛性に比較して相対的にねじり剛性を高くしたために、しなりは十分に発生し、ヘッドが加速されて飛距離は増大するものの、ねじり方向の弾性変形は抑えられるために飛球の方向安定性が向上すると共に、ゴルファーが感じるしなり感はやや小さく、しっかりした感じになり、安定したスイングをも実現することができる。ねじり剛性と曲げ剛性の比の上限も設定されているため、相対的に曲げ剛性を低くしようとしすぎて曲げ方向の強度不足を招くおそれもない。
また、本願第四乃至第七の発明は、曲げ剛性に比較して相対的にねじり剛性を高める部位を、しなり感、スイング感への影響が最も大きいチップ側にすることで、さらに効率的に適切なしなり感、スイング感をもたらし、シャフトの軽量化にも寄与する。
表1に示したねじり剛性GIのグラフである。 表2に示した曲げ剛性EIのグラフである。 表3に示したねじり剛性GI/曲げ剛性EIのグラフである。
表1から3に実施例1乃至3と比較例1乃至4のねじり剛性GI、曲げ剛性EIおよびこれらの比であるGI/EIの数値を示し、図1から3にはこれらをグラフ化して示す。なお、実施例1は本願第二乃至七の発明の実施例であり、実施例2は本願第一乃至七の発明、実施例3は本願第一乃至二の発明の実施例であり、詳細は後述する。
Figure 2014061107
Figure 2014061107
Figure 2014061107
これらのシャフトを使用したゴルフクラブを作成し、試打した結果を表4に示す。試打者は年齢30〜60代、ヘッドスピード39〜46m/秒、ハンディキャップ7〜25、キャリア3〜30年の男性アマチュアゴルファー28名である。もちろん、長さやバランスなどのクラブスペックは統一してある。
Figure 2014061107
比較例1と2が軽量FRPシャフトの一般的な例である。図1、図2から分かるように、シャフト全長にわたってねじり剛性GIと曲げ剛性EIが共に低いために、表4に示すように飛距離は出るものの、シャフトがしなりすぎて方向安定性がやや低く、さらに強すぎるしなり感のためにスイング感が良くない。一方、これを解消しようとねじり剛性GIと曲げ剛性EIを高めたのが比較例3であるが、表4のとおり、しなり感が無くなってタイミングを取りにくくなってしまうほか、重いと感じるようになってしまう。これは、剛性を高めるためには強化繊維を増やさざるを得ず、そのために質量が増してしまうためである。
そこで曲げ剛性EIは比較例1乃至2と同等にし、ねじり剛性GIのみを増大するようにしたのが実施例1乃至3である。本願発明者らは、過去の試作結果等より、曲げ剛性EIのみならず、ねじり剛性もしなり感へ影響することを見出し、比較例1乃至2に示す従来のシャフトにおいてはチップ端からシャフト軸上をバット方向へ200mmの点からバット端までの区間のGI(x)/EI(x)が0.5未満、シャフト全長の平均GI(x)と平均EI(x)の比であるGIa/EIaが0.6未満であるところ、実施例1乃至3はチップ端からシャフト軸上をバット方向へ200mmの点からバット端までの全区間のGI(x)/EI(x)が0.5以上、シャフト全長の平均GI(x)と平均EI(x)の比であるGIa/EIaが0.6以上としたものである。
試打評価の結果を表4に示すが、実施例1乃至3は比較例1乃至2に比べ高い評価が得られた。曲げ剛性EIは比較例1乃至2と同じであるから、物理的なしなり、即ち曲げ方向の弾性変形は十分あるために飛距離においては同等あるいはそれ以上でありながら、高いねじり剛性GIのためにゴルファーの感じるしなり感は比較例1乃至3のようでは無く、しっかりした印象となってスイング感の評価も高くなった。特に、実施例2乃至3は、チップ端から200mmまでの区間も含め、シャフト全長においてGI(x)/EI(x)を0.5以上としているから、実施例1よりも更にシャフトのねじれが少なく、方向安定性では更に優れる結果となった。
また、表4から分かるとおり、実施例1乃至2は、実施例3に比べて飛距離、スイング感において優れた結果となった。実施例1乃至2はシャフトのチップ寄りの区間を除く区間において、実施例3よりねじり剛性が低いが(図1参照)、本願発明者らが精査したところ、しなり感、スイング感においては、チップ寄り区間のねじり剛性の影響が大きく、中間からバット端の区間は相対的に影響が小さいことがわかった。即ち、チップ寄りの区間のねじり剛性を重点的に高めることで、効率的にしなり感、スイング感の改善を図ることができるものである。
具体的には、
シャフト全長を2等分し、チップ端側の区間の平均ねじり剛性をGIt2、該区間の平均曲げ剛性をEIt2とし、バット端側の区間の平均ねじり剛性をGIb2、該区間の平均曲げ剛性をEIb2としたときに、
GIt2/EIt2>GIb2/EIc2
を満たすことであり、
もしくは、
シャフト全長を3等分し、最もチップ端側の区間の平均ねじり剛性をGIt3、該区間の平均曲げ剛性をEIt3とし、最もバット端側の区間の平均ねじり剛性をGIb3、該区間の平均曲げ剛性をEIb3とし、真ん中の区間の平均ねじり剛性をGIc3、該区間の平均曲げ剛性をEIc3としたときに、
GIt3/EIt3≧GIc3/EIc3≧GIb3/EIc3

GIt3/EIt3>GIb3/EIc3
を満たすことである。
そして、そのためには
ねじり剛性GIが極大点を有することが有利であって、その極大点がシャフト全長を3等分した場合の最もチップ端側の区間内にあるようにするのが更に好ましい。
一方で、表4から分かるとおり、比較的評価の良かった比較例4は試打中に折損しており、強度が不足していた。表3を見ると、比較例4は実施例1乃至3以上にねじり剛性が曲げ剛性に比べて大きいことが分かる。具体的に指摘すれば、GI(x)/EI(x)が1.0を超えている部位があり、平均であるGIa/EIaは0.9を超えている。ねじれ剛性GIを高めるにはシャフトの内側に配されるバイアス層を増やす必要があるが、比較例4はバイアス層が多すぎたために、外側のストレート層が不足せざるを得ず、強度の不足を生じたものである。以上より、強度を確保するため、GI(x)/EI(x)を1.0以下もしくはGIa/EIaを0.9以下とすることが必要と考えられた。
特に、比較例4のチップ寄り150mm点ではGI(x)/EI(x)が1.02と高く、チップ端付近のバイアス層が厚くなっている。チップ端付近はもっとも強度不足の発生しやすい部位であるため、この部分だけ増されたストレート層(「補強層」と言う。)も必要とされる部分であるから、なおのことバイアス層が厚くなりすぎた場合には強度不足の危険が高い。従って、より強度を優先するためには、チップ端から200mmまでについてはGI(x)/EI(x)を高めないことも好適と考えられる。
本願発明は、シャフトの素材を限定するものではないが、ねじり剛性と曲げ剛性を独立に設計できる素材が有利であり、現時点ではFRPシャフトへの適用が好適であって、軽量とされる30g以上60g未満のシャフトに特に好適である。本願発明がプリプレグ、繊維の使用量の増加をできるだけ防ぎつつ、適切なしなり感やスイング感を実現するものだからである。
本発明のゴルフクラブシャフトは、飛距離と共にしなり感、スイング感に優れたシャフトを有するゴルフクラブに利用することができる。

Claims (7)

  1. チップ端からシャフト軸上をバット端方向へ距離xにある点のねじり剛性をGI(x)、同じ点の曲げ剛性をEI(x)としたときに、これらの比であるGI(x)/EI(x)が、チップ端からバット端までの全ての点において、0.5以上1.0以下であることを特徴とするゴルフクラブシャフト。
  2. チップ端からシャフト軸上をバット端方向へ距離xにある点のねじり剛性をGI(x)、同じ点の曲げ剛性をEI(x)としたときに、チップ端からシャフト軸上をバット端方向へ200mmの点を始点とし、バット端を終点とする区間全てにおいて、ねじり剛性GI(x)と曲げ剛性EI(x)の比であるGI(x)/EI(x)が0.5以上1.0以下であることを特徴とするゴルフクラブシャフト。
  3. チップ端よりバット端までの平均ねじり剛性GIaと、同じくチップ端よりバット端までの平均曲げ剛性EIaの比であるGIa/EIaの値が0.6以上0.9以下であることを特徴とするゴルフクラブシャフト。
  4. シャフト全長を2等分し、チップ端側の区間の平均ねじり剛性をGIt2、該区間の平均曲げ剛性をEIt2とし、バット端側の区間の平均ねじり剛性をGIb2、該区間の平均曲げ剛性をEIb2としたときに、下式を満たすことを特徴とする請求項1乃至3に記載のゴルフクラブシャフト。
    GIt2/EIt2>GIb2/EIc2
  5. シャフト全長を3等分し、最もチップ端側の区間の平均ねじり剛性をGIt3、該区間の平均曲げ剛性をEIt3とし、最もバット端側の区間の平均ねじり剛性をGIb3、該区間の平均曲げ剛性をEIb3とし、真ん中の区間の平均ねじり剛性をGIc3、該区間の平均曲げ剛性をEIc3としたときに、下の二つの式を満たすことを特徴とする請求項1乃至3に記載のゴルフクラブシャフト。
    GIt3/EIt3≧GIc3/EIc3≧GIb3/EIc3
    GIt3/EIt3>GIb3/EIc3
  6. ねじり剛性GIが極大点を有することを特徴とする請求項1乃至5に記載のゴルフクラブシャフト。
  7. 極大点がシャフト全長を3等分した場合の最もチップ端側の区間内にあることを特徴とする請求項6のゴルフクラブシャフト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018121828A (ja) * 2017-01-31 2018-08-09 グローブライド株式会社 ゴルフクラブ
JP2019136281A (ja) * 2018-02-09 2019-08-22 グローブライド株式会社 ゴルフクラブ

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