JP2015016019A - 液体消臭剤 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2には、植物抽出物と、消臭効果を有する香料と、エタノールと、界面活性剤とを含有する消臭剤組成物が開示されている。
特許文献3には、アルカノールアミン化合物と、分子内にカルボン酸基を2〜5個有するポリカルボン酸化合物と、水とを含有する消臭剤組成物が開示されている。
しかしながら、特許文献1〜3に記載の消臭剤組成物では、高温環境下での悪臭に対する十分な消臭効果や防臭効果を得ることは困難であった。
[1] 界面活性剤(A)と、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄及び亜鉛から選択される少なくとも1種(B)と、前記(B)成分と錯体を形成するアミノカルボン酸型金属イオン封鎖剤(C)と、ビグアニド系ポリマー(D)と、エタノール(E)を10〜80質量%とを含有する、液体消臭剤。
以下、各成分について説明する。
(A)成分は、界面活性剤である。液体消臭剤が(A)成分を含有することで、消臭対象物(悪臭の発生源)に浸透しやすくなると共に、消臭対象物から発生する悪臭に対する消臭効果および防臭効果の向上が図れる。これは、液体消臭剤中で、(A)成分が(D)成分と会合体を形成し、さらにこの会合体が(B)成分と(C)成分とで形成された錯体を取り込むことで、この会合体が消臭対象物の隅々まで吸着し、消臭効果および防臭効果を発揮するためと考えられる。
これらの(A1)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
SASは、「パラフィンスルホン酸塩」とも呼ばれる界面活性剤であって、通常、1分子当たり炭素数10〜21の二級アルキルスルホン酸塩の混合物の形態で提供される。本発明においては、この混合物中に1分子当たり炭素数13〜18の二級アルキルスルホン酸塩を80質量%以上含有するものが好ましく、90質量%以上含有するものがより好ましい。なお、この混合物には、少量の一級アルキルスルホン酸塩、ジスルホン酸塩、ポリスルホン酸塩が含まれていてもよい。
SASとしては、下記一般式(a1)で表される化合物が好ましい。
すなわち、前記式(a1)で表される化合物は、炭素数13〜17(ただし、式(a1)におけるM中の炭素数は含まない。)の二級アルキルスルホン酸塩である。
p+qが10以上であると、消臭対象物に対する浸透力がより向上する。一方、p+qが14以下であると、式(a1)で表される化合物自体の溶解性が良好となるため、保存時における析出などが抑制される。
ここで、「半極性界面活性剤」とは、半極性結合(無極性結合及び極性結合の中間の性質を有する結合)を有する界面活性剤のことであり、半極性界面活性剤が溶解する溶液または分散する分散系のpHにより、カチオン性、アニオン性、または両極性となる。
(A4)成分としては、ドデシルジメチルアミンオキサイド、ミリスチルジメチルアミンオキサイド、ヤシアルキルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキサイド;ヤシ油脂肪酸アミドプロピルアミンオキサイド、ラウリン酸アミドプロピルアミンオキサイド等のアミドアミンオキサイドなどが挙げられる。
(B)成分は、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄及び亜鉛から選択される少なくとも1種である。液体消臭剤が(B)成分を含有することで、優れた消臭効果および防臭効果を発揮する。これは、液体消臭剤中で(B)成分が(C)成分と錯体を形成し、この錯体が微生物の増殖を抑制したり、臭気を吸着したりするためと考えられる。
銅化合物としては、水中で銅イオンを放出するものであれば特に限定されず、例えば、硝酸銅、硫化銅、硫酸銅、塩化銅、酢酸銅、シアン化銅、塩化アンモニウム銅、グルコン酸銅、酒石酸銅、過塩素酸銅等が挙げられる。これらの中でも、取り扱い性、コスト、原料供給性等の点で硫酸銅、塩化銅、グルコン酸銅が好ましく、硫酸銅がより好ましい。
亜鉛化合物としては、水中で亜鉛イオンを放出するものであれば特に限定されず、例えば、硝酸亜鉛、硫化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、シアン化亜鉛、塩化アンモニウム亜鉛、グルコン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、過塩素酸亜鉛等が挙げられる。これらの中でも、取り扱い性、コスト、原料供給性等の点で硫酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸塩が好ましく、硫酸亜鉛がより好ましい。
あるいは、(B)成分として銅を用いる場合、液体消臭剤100質量%中の銅の含有量は、0.001〜0.5質量%が好ましく、0.01〜0.3質量%がより好ましく、0.02〜0.15質量%がさらに好ましい。銅の含有量が上記下限値未満であると、消臭効果が不十分になるおそれがあり、上記上限値超としても、消臭効果のさらなる向上が図れないおそれがあるためである。
また、例えば、(B)成分として亜鉛を用いる場合、液体消臭剤100質量%中の亜鉛の含有量は、0.002〜2質量%が好ましく、0.02〜1質量%がより好ましく、0.05〜0.5質量%がさらに好ましい。亜鉛の含有量が上記下限値未満であると、消臭効果が不十分になるおそれがあり、上記上限値超としても、消臭効果のさらなる向上が図れないおそれがあるためである。
(C)成分は、(B)成分と錯体を形成するアミノカルボン酸型金属イオン封鎖剤である。液体消臭剤が(C)成分を含有することで、優れた消臭効果および防臭効果を発揮する。
カチオン性アンモニウムとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられ、例えば、アンモニウムの水素原子の1〜3個がアルカノール基で置換されたものが挙げられる。アルカノール基の炭素数は1〜3が好ましい。
中でも、X11〜X14は、アルカリ金属が好ましい。
式(c1)中のX11〜X14は、それぞれ、同じであってもよく、異なっていてもよい。
式(c1)中のn1は、1が好ましい。
式(c2)中のX21〜X23は、それぞれ、同じであってもよく、異なっていてもよい。
Aは、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、ヒドロキシ基、水素原子のいずれであってもよく、水素原子が好ましい。
式(c2)中のn2は、0〜2の整数が好ましく、1がより好ましい。
液体消臭剤100質量%中の(C)成分の含有量は、特に限定されないが、0.1〜5質量%が好ましく、0.2〜3質量%がより好ましい。(C)成分の含有量が上記範囲内であれば、消臭効果および防臭効果 をより高められる。
(D)成分は、ビグアニド系ポリマーである。
(D)成分と(A)成分とを併用することで、消臭効果および防臭効果が高まる。(A)成分と(D)成分とを併用することにより、優れた消臭効果および防臭効果を発揮する理由は定かではないが、以下のように推測される。
液体消臭剤中で(A)成分と(D)成分とは、会合体(以下、「A−D会合体」ということもある。)を形成する。このA−D会合体は、(D)成分単独に比べて消臭対象物に吸着しやすい。このため、A−D会合体として消臭対象物に付着した(D)成分により消臭効果および防臭効果が発揮される。
さらに、A−D会合体が(B)成分と(C)成分とで形成される錯体を取り込み、この錯体との相乗効果により、優れた消臭効果および防臭効果が発揮される。
n5の平均が上記上限値以下であれば、(D)成分の水への溶解性が良好となり、液体消臭剤の経時における液安定性を高められる。
これらの(D)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(E)成分は、エタノールである。液体消臭剤が(E)成分を含有することで、高温環境下での悪臭に対する消臭効果および防臭効果が高まると共に、液体消臭剤の消臭対象物への浸透力が向上する。
液体消臭剤は、(A)〜(E)成分に加え、溶媒を含有する。また、消臭効果をより高める点で、消臭基材や香料を含有することが好ましい。
溶媒としては、水、水溶性溶媒などが挙げられる。
水溶性溶媒としては、任意の比率で水と混ぜて透明に混ざるものであれば特に制限されないが、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの炭素数2〜6のグリコール類;グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの炭素数3〜8の多価アルコール類などが挙げられる。
このような消臭基材としては市販品を用いることができ、例えばパナソニックエコソリューションズ化研株式会社製の「スーパーピュリエールA−10」、白井松新薬株式会社製の「シライマツFS−500M」、環境科学開発株式会社製の「スメラル」、三井製糖株式会社製の「さとうきび抽出物MSX−245」、リリース科学工業株式会社製の「パンシル」などが挙げられる。
このような香料としては、例えばl−メント−ル、メントン、シンナミックアルデヒド、1,8−シネオール、α−ピネン、シトロネロール、ゲラニオール、リナロール、リモネン、 カンファー、ラバンジュロールなどの香気成分や、ハッカハク油、シトロネラ油、シダーウッド油、スイートオレンジ油、ベルガモット油、ラベンダー油、ローズ油、シンナモン油、ペパーミント油、レモン油、ライム油、ひのき油が挙げられる。
液体消臭剤100質量%中の消臭基材および香料の含有量は合計で、0.1質量%以上が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。これらの含有量が上記範囲内であれば、消臭効果をより高められる。
添加剤としては、例えば色素、粘度調整剤、pH調整剤、増粘剤、表面改質剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可溶化剤、キレート剤(ただし、(C)成分を除く。)、高分子化合物、防腐剤、抗菌剤、分散剤などが挙げられる。
液体消臭剤の製造方法としては特に制限されず、例えば(A)〜(E)成分と、溶媒と、必要に応じて添加剤とを混合することにより製造される。このとき、液体消臭剤の25℃におけるpHがpH3〜11となるように、pH調整剤等で液体消臭剤のpHを調整することが好ましい。
pHを下げるために用いる酸としては、例えば塩酸、硫酸等の無機酸;酢酸、クエン酸等のカルボン酸などが挙げられる。一方、pHを上げるために用いるアルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩;トリエタノールアミン等のアルカノールアミンなどが挙げられる。
本発明の液体消臭剤の使用方法としては、例えば液体消臭剤をスプレー容器に収容し、消臭対象物に噴霧する方法;液体消臭剤を消臭対象物に塗布する方法;液体消臭剤に消臭対象物を浸漬する方法などが挙げられる。これらの中でも、家庭で消臭する際の操作の簡便性や、必要量の液体消臭剤を臭気が気になる部分にのみ作用させられるという経済性の点から、液体消臭剤をスプレー容器に収容し、消臭対象物に噴霧する方法が好ましい。
以上説明した本発明の液体消臭剤によれば、(A)〜(D)成分の相互作用と(E)成分の作用により、悪臭を消臭および防臭できる。
本発明の液体消臭剤が消臭効果および防臭効果に優れる理由は定かではないが、以下のように推測される。
液体消臭剤中では、(B)成分と(C)成分とが錯体(以下、「金属錯体」ということもある。)を形成する。この金属錯体は、消臭対象物中の菌や微生物を失活させ、菌や微生物の増殖を抑制して、悪臭の発生を抑制する。
加えて、この金属錯体は、(B)成分単体及び(C)成分単体に比べて水溶性が低いため、A−D会合体中に容易に取り込まれる。この会合体中に取り込まれた金属錯体は、金属錯体単体に比べて消臭対象物に容易に浸透し、かつ強固に吸着して残留する。消臭対象物に浸透された金属錯体は、消臭対象物中の菌や微生物の増殖を抑制し、悪臭の発生を抑制する。
消臭対象物に浸透された金属錯体の(B)成分周辺では、配位子となる(C)成分や、(B)成分に配位している水が、他の物質と置換されやすい状態になっていると考えられる。このため、消臭対象物に浸透した金属錯体においてはプラスに荷電しやすい悪臭が、(B)成分と置換して金属錯体中の(C)成分と結合し、マイナスに荷電しやすい悪臭が、水又は(C)成分と置換して金属錯体中の(B)成分と結合すると考えられる。このように、金属錯体は、悪臭成分を良好に捕捉すると推測される。
そして、生ごみから発生する悪臭など、様々な悪臭を消臭および防臭できるものと考えられる。
しかし、本発明の液体消臭剤であれば、(D)、(E)成分の作用により菌や微生物の増殖を抑制するので、高温環境下であっても、悪臭に対して優れた消臭効果および防臭効果を有すると考えられる。
(A)成分として、以下に示す化合物を用いた。
・(A1−1):炭素数14〜17の二級アルカンスルホン酸ナトリウム(SAS)(クラリアントジャパン株式会社製、「HOSTAPUR SAS30A」)
・(A1−2):炭素数10〜14のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(テイカ株式会社製、「テイカパワーL121」)を水酸化ナトリウムにて中和したもの。
・(A1−3):ジオクチルスルホコハク酸エステルナトリウム(ライオン株式会社製、「リパール 870P」)
・(A3−1):ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ライオン株式会社製、「レオックスCL−90」、エチレンの平均繰り返し数:9、アルキル基の炭素数:12、14)
・(B−1):硫酸亜鉛・7水和物(関東化学株式会社製)
・(C−1):メチルグリシンジ酢酸3ナトリウム(MGDA)(BASF社製、「Trilon M Compactate」)
・(D−1):ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩(アーチ・ケミカルズ・ジャパン株式会社製、「Proxel IB」)
・エタノール:純正化学株式会社製、試薬1級、純分95質量%
・植物抽出液(消臭基材):パナソニックエコソリューションズ化研株式会社製、「スーパーピュリエールA−10」
・水:精製水
<液体消臭剤の調製>
表1に示す配合で各成分を混合して、混合物のpHが7になるようにpH調整剤(水酸化カリウム、クエン酸)を用いて調整し、液体消臭剤を得た。
得られた液体消臭剤について、以下に示す評価を行った。結果を表1に示す。
なお、表1中の配合量の単位は質量%であり、純分換算量を示す。また、バランス量の水とは、最終生成物である液体消臭剤の総量(全体量)が100質量%になるように配合量を調整した水のことである。
キャベツを千切りにしたもの又はイワシをすりつぶしたもの10gを100mLの広口瓶に入れて蓋をした。この状態で25℃または40℃を保持しながら48時間放置した。その後、蓋を開けて液体消臭剤0.5gを滴下して蓋をした。1分経過後に蓋を開けて、広口瓶内の臭気を専門パネラー10名により、下記6段階臭気強度表示法に基づいて官能評価した。
(6段階臭気強度表示法)
5点:耐えられない程度の強い臭気。
4点:強い臭気。
3点:明らかに感じる臭気。
2点:何のニオイかわかる程度の臭気。
1点:やっと感知できる程度の臭気。
0点:無臭。
(評価基準)
◎◎:平均点が1点未満。
◎:平均点が1点以上1.5点未満。
○:平均点が1.5点以上2.5点未満。
△:平均点が2.5点以上3点未満。
×:平均点が3点以上。
キャベツを千切りにしたもの又はイワシをすりつぶしたもの10gを100mLの広口瓶に入れ、さらに液体消臭剤0.5gを滴下して蓋をした。この状態で25℃または40℃を保持しながら48時間放置した。その後、蓋を開けて、広口瓶内の臭気を専門パネラー10名により、下記6段階臭気強度表示法に基づいて官能評価した。
(6段階臭気強度表示法)
5点:耐えられない程度の強い臭気。
4点:強い臭気。
3点:明らかに感じる臭気。
2点:何のニオイかわかる程度の臭気。
1点:やっと感知できる程度の臭気。
0点:無臭。
(評価基準)
◎◎:平均点が1点未満。
◎:平均点が1点以上1.5点未満。
△:平均点が1.5点以上2.5点未満。
○:平均点が2.5点以上3点未満。
×:平均点が3点以上。
各成分の配合量を表1〜4に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして各例の液体消臭剤を調製し、各種評価を行った。結果を表1〜4に示す。
(E)成分の含有量が90質量%である比較例6の液体消臭剤は、防臭効果が得られなかった。また、40℃の高温環境下での消臭効果も得られなかった。
Claims (1)
- 界面活性剤(A)と、
銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄及び亜鉛から選択される少なくとも1種(B)と、
前記(B)成分と錯体を形成するアミノカルボン酸型金属イオン封鎖剤(C)と、
ビグアニド系ポリマー(D)と、
エタノール(E)を10〜80質量%と
を含有する、液体消臭剤。
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