JP2015015078A - 空気電池用電解質、および空気電池 - Google Patents

空気電池用電解質、および空気電池 Download PDF

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明人 吉井
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Abstract

【課題】 放電電圧が高く、放電電流が大きい空気電池を簡便に得ることができる空気電池用電解質を提供することを目的とする。【解決手段】 式(1):Mg2+(1−x)Al3+x(OH)2An−x/n・mH2O(式中、式(1)において、An−は、CO32−、NO3−、OH−、SO42−、カルボン酸、F−、Br−、I−およびCl−からなる群より選択されるアニオンであり、xは、0.25以上0.35以下であり、mは、1〜5である)で表されるハイドロタルサイト様化合物を用いる空気電池用電解質であって、ハイドロタルサイト様化合物のCuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、2θ=11.13?〜11.56?におけるピークの最大強度(IA)と、2θ=34.35?〜34.88?におけるピークの最大強度(IC)との比(IA/IC)が、0.9〜2.5であることを特徴とする、空気電池用電解質である。【選択図】 なし

Description

本発明は、空気電池用電解質およびこの空気電池用電解質を有する空気電池に関する。
空気電池は、一般に、正極活物質として空気中の酸素を、負極活物質として金属単体又は合金を利用する、充放電可能な電池である。正極活物質である酸素は空気中に存在するので、電池内に正極活物質を封入する必要がないことから、理論上、空気電池は、固体の正極活物質を用いる二次電池より、単位体積当たりの容量を大きくすることができる。
空気電池を作製するためには、正極と負極の間に電解質が必要となる。電解質には、水酸化カリウム等のアルカリ性水溶液や塩化ナトリウム等の中性水溶液が用いられるが、空気電池の保存時に、電解質としての水溶液が徐々に揮発してしまう、という問題がある。
また、上記アルカリ性水溶液や中性水溶液は、空気中の二酸化炭素を吸収しやすく、アルカリ性水溶液や中性水溶液が二酸化炭素を吸収することにより電解質としての性能が劣化する、アルカリ性水溶液や中性水溶液に含有される金属イオンが炭酸塩として析出する、という問題がある。
上記問題を解決するために、固体の電解質を使用する方法が考えられる。正極(空気極)用電解質として、マグネシウム−アルミニウム複水酸化物等の層状複水酸化物を含有するものが開示されている(特許文献1)。
特開2012−99266号公報
しかしながら、一般的に市販されているマグネシウム−アルミニウム複水酸化物等の層状複水酸化物を、空気電池の電解質として使用すると、放電電圧が低く、放電電流が小さい、という問題があった。
本発明は、放電電圧が高く、放電電流が大きい空気電池を簡便に得ることができる空気電池用電解質を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を有することによって上記問題を解決した空気電池用電解質およびこの空気電池用電解質を有する空気電池に関する。
〔1〕式(1):
Mg2+ (1−x)Al3+ (OH)n− x/n・mHO (1)
(式中、式(1)において、An−は、CO 2−、NO 、OH、SO 2−、F、Br、IおよびClからなる群より選択されるアニオンであり、xは、0.25以上0.35以下であり、mは、5以下の正数である)で表されるハイドロタルサイト様化合物を用いる空気電池用電解質であって、
ハイドロタルサイト様化合物のCuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、2θ=11.13°〜11.56°におけるピークの最大強度(I)と、2θ=34.35°〜34.88°におけるピークの最大強度(I)との比(I/I)が、0.9〜2.5であることを特徴とする、空気電池用電解質。
〔2〕ハイドロタルサイト様化合物のCuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、2θ=22.74°〜23.58°におけるピークの最大強度(I)と、2θ=34.35°〜34.88°におけるピークの最大強度(I)との比(I/I)が、0.6〜1.5である、上記〔1〕記載の空気電池用電解質。
〔3〕さらに、水を含み、水が、ハイドロタルサイト様化合物100質量部に対して、30〜60質量部である、上記〔1〕または〔2〕記載の空気電池用電解質。
〔4〕ハイドロタルサイト様化合物の表面に、界面活性剤が存在する、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の空気電池用電解質。
〔5〕上記〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の空気電池用電解質を有する、空気電池。
〔6〕金属負極と、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の空気電池用電解質と、正極集電体と、をこの順に備える、上記〔5〕記載の空気電池。
〔7〕金属負極が、AlまたはZnである、上記〔6〕記載の空気電池。
本発明〔1〕によれば、放電電圧が高く、放電電流が大きい空気電池を簡便に得ることができる。
本発明〔5〕によれば、放電電圧が高く、放電電流が大きい空気電池を提供することができる。
本発明の空気電池の断面の模式図の一例を示す図である。 実施例5のハイドロタルサイト様化合物粉末のX線回折図である。 実施例6のハイドロタルサイト様化合物粉末のX線回折図である。 実施例7のハイドロタルサイト様化合物粉末のX線回折図である。 比較例1のハイドロタルサイト様化合物粉末のX線回折図である。 実施例5のハイドロタルサイト様化合物粉末の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例5のハイドロタルサイト様化合物粉末の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例5のハイドロタルサイト様化合物粉末の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1のハイドロタルサイト様化合物粉末の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1のハイドロタルサイト様化合物粉末の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1のハイドロタルサイト様化合物粉末の走査型電子顕微鏡写真である。 ハイドロタルサイト様化合物と純水との割合を変化させた試験結果のグラフである。
〔空気電池用電解質〕
本発明の空気電池用電解質は、式(1):
Mg2+ (1−x)Al3+ (OH)n− x/n・mHO (1)
(式中、式(1)において、An−は、CO 2−、NO 、OH、SO 2−、F、Br、IおよびClからなる群より選択されるアニオンであり、xは、0.25以上0.35以下であり、mは、5以下の正数である)で表されるハイドロタルサイト様化合物を用いる空気電池用電解質であって、
ハイドロタルサイト様化合物のCuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、2θ=11.13°〜11.56°におけるピークの最大強度(I)と、2θ=34.35°〜34.88°におけるピークの最大強度(I)との比(I/I)が、0.9〜2.5であることを特徴とする。
式(1):
Mg2+ (1−x)Al3+ (OH)n− x/n・mHO (1)
で表されるハイドロタルサイト様化合物は、層状複水酸化物であり、インターカレーションにより、層間に陰イオンや水を取り込むことができる。従来、ハイドロタルサイト様化合物は、制酸性を有するため胃薬、吸湿性を有するため調湿剤等に使用されている。
n−としては、ハイドロタルサイト様化合物の層間へのイオン等の取り込まれ易さの観点からCO 2−が好ましい。xは、電解質として特性が良好であり、かつ化学的に安定であるとの観点から、0.25〜0.33が好ましい。mは、湿度環境により変化するが、5以下の正数である。ハイドロタルサイト様化合物は、Mg0.67Al0.33(OH)(CO0.17・0.5HO(式(1)では、A=CO、x=0.33、n=2、m=0.5)、すなわちMgAl(OH)12CO・3HOであると、空気電池の高電圧化、大電流化の観点から、特に好ましい。
ハイドロタルサイト様化合物は、空気電池の高電圧化、大電流化の観点から、CuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、2θ=11.13°〜11.56°におけるピークの最大強度(I)と、2θ=34.35°〜34.88°におけるピークの最大強度(I)との比(I/I)が、0.9〜2.5であり、1.2〜2.1であると好ましい。ここで、ハイドロタルサイト様化合物が、MgAl(OH)12CO・3H0であるときには、2θ=11.13°〜11.56°におけるピークは(003)面に相当し、2θ=34.35°〜34.88°におけるピークは(009)面に相当する。
また、ハイドロタルサイト様化合物のCuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、2θ=22.74°〜23.58°におけるピークの最大強度(I)と、2θ=34.35°〜34.88°におけるピークの最大強度(I)との比(I/I)が、空気電池の高電圧化、大電流化の観点から、0.6〜1.5であると好ましく、0.7〜1.3であると、より好ましい。ここで、ハイドロタルサイト様化合物が、MgAl(OH)12CO・3H0であるときには、2θ=22.74°〜23.58°におけるピークは(006)面に相当する。
ハイドロタルサイト様化合物は粉末であり、平均粒子径が、1〜100μmであると、電池として組むときに充填性が良く、かつ、特性が良好で安定した電解質が得られやすいため、好ましい。ここで、ハイドロタルサイト様化合物の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法を用いたBECKMAN
COULTER社製粒度分布測定装置(型式:LS 13 320)で測定する。また、ハイドロタルサイト様化合物の形状は、特に限定されないが、球状であると、充填性および電池特性の観点から好ましい。
さらに、ハイドロタルサイト様化合物が、水を含み、空気電池の高電圧化、大電流化の観点から、電解質中の水が、ハイドロタルサイト様化合物100質量部に対して、20〜200質量部であると好ましく、20〜90質量部であるとより好ましく、30〜60質量部であると、さらに好ましい。ここで、ハイドロタルサイト様化合物に対して、pHメーターで測定するために質量で40倍の純水を添加した後、ハイドロタルサイト様化合物と純水の混合物をpHメーターで測定したときのpHの一例は、pH10とアルカリ性である。
また、ハイドロタルサイト様化合物の表面に、界面活性剤が存在すると、空気電池の高電圧化、大電流化の観点から好ましい。市販の界面活性剤としては、ビックケミ−・ジャパン(株)製:DISPERBYK−2010、DISPERBYK−2012、DISPERBYK−2015、DISPERBYK−2091、DISPERBYK−190、DISPERBYK−193、DISPERBYK−194N、DISPERBYK−198、DISPERBYK−199、DISPERBYK−9076、DISPERBYK−9077;第一工業製薬(株)製:ラベリンFD―40、ラベリンFP、ラベリンFM−45、ラベリンセルFM−P、セルフロー120、セルフロー120P;花王(株)製:アミート102、アミート105、アミート105A、アミート302、アミート320などが挙げられる。界面活性剤の種類としては陰イオン系、非イオン系が好ましく、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物が、より好ましい。市販の陰イオン系界面活性剤としては、ビックケミ−・ジャパン(株)製:DISPERBYK−2015、DISPERBYK−9076、第一工業製薬(株)製:ラベリンFD―40、ラベリンFP、ラベリンFM−45、ラベリンセルFM−P、セルフロー120、セルフロー120Pなどが挙げられる。市販の非イオン系界面活性剤としては、花王(株)製:アミート102、アミート105、アミート105A、アミート302、アミート320などが挙げられる。また、界面活性剤の量は、大電流化の観点から、ハイドロタルサイト様化合物1gに対して、0.02〜1gであると好ましく、0.08〜0.80gであると、より好ましい。
〔空気電池〕
本発明の空気電池は、上記空気電池用電解質を有する。具体的には、空気電池は、金属負極と、上記空気電池用電解質と、正極用集電体と、をこの順に備えると、好ましい。金属負極は、AlまたはZnであると、空気電池の高電圧化、大電流化の観点から、好ましい。なお、本発明の空気電池は、Ni等の正極(空気極)用触媒を備えなくても放電することが可能である。図1に、本発明の空気電池の断面の模式図の一例を示す。図1では、空気電池1は、基板2上に、金属負極3、空気電池用電解質4、正極集電体5の順に備える。ここで、空気電池用電解質4は、側面の4辺を開口絶縁板6で覆われ、金属負極3と開口絶縁板6と正極集電体5は、粘着テープ7で固定されている。
金属負極がAlである場合の空気電池の反応を、以下に示す。
正極:O+2HO+4e→ 4OH
負極:Al+3OH →Al(OH)+3e
電池全体:4Al+3O+6HO → 4Al(OH)
次に、金属負極がZnである場合の空気電池の反応を、以下に示す。
正極:O+2HO+4e→ 4OH
負極:Zn+2OH →Zn(OH)+2e
電池全体:2Zn+O+2HO → 2Zn(OH)
空気電池用電解質は、結合剤を添加して成形してもよい。結合剤としては、シリコーン樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フルオロエチレン/ビニルエーテル交互共重合体等のフッ素樹脂等が挙げられる。
〔空気電池用電解質の製造方法〕
空気電池用電解質に用いられるハイドロタルサイト様化合物の製造方法の一例を以下に示す。
まず、ビーカー中で撹拌しながら、純水中に、塩化マグネシウム・6水和物と、塩化アルミニウムを混合する。このとき、発熱するので、約30℃に自然冷却するまで、ビーカーの撹拌を続ける。このときのビーカー中の水溶液のpHの一例は、1.8である。次に、このビーカー中に、アンモニア水をスポイトで、ビーカー中の水溶液のpHが7になるまで加える。
得られたハイドロタルサイト様化合物を、純水で洗浄する。風乾した後、ハイドロタルサイト様化合物を600℃で1時間焼成して、空気電池用電解質に用いられる粉末のハイドロタルサイト様化合物を得る。
次に、表面及び層間に界面活性剤が存在するハイドロタルサイト様化合物を製造する方法の一例を以下に示す。
まず、純水に、界面活性剤を溶解させ、界面活性剤水溶液を調整する。このとき、界面活性剤は、界面活性剤水溶液:100質量部に対して、3〜40質量部であると好ましい。
ハイドロタルサイト様化合物と陰イオン界面活性剤水溶液を、質量比で1:2になるように計量した後、ビーカー中で、ヘラを用いて手動で混合する。この後、ハイドロタルサイト様化合物と陰イオン界面活性剤水溶液の混合物を、乾燥機中に入れ、50℃で5時間乾燥させ、表面に陰イオン界面活性剤が存在するハイドロタルサイト様化合物を製造することができる。
〔空気電池の製造方法〕
本発明の好ましい空気電池ある、金属負極と、上記空気電池用電解質と、正極用集電体と、をこの順に備えるものについても製造方法の一例を、図1に示す空気電池の場合について示す。
まず、基板2に金属負極3、この場合、金属負極3には、片面に接着剤を有するアルミテープを用い、アルミテープの接着面を貼り付ける。次に、金属負極3に開口絶縁板6を設置する。このとき、金属負極3の中央部と開口絶縁板6の開口部の中心とが重なるようにする。この後、開口絶縁板6の開口部に、空気電池用電解質4を充填した後、空気電池用電解質4および開口絶縁板6の上に正極集電体5を乗せ、金属負極3と開口絶縁板6と正極集電体5を、粘着テープ7で固定する。
本発明について、実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、部、%はことわりのない限り、質量部、質量%を示す。
〔実施例1〕
まず、500cmのビーカー中で撹拌しながら、純水:250g中に、塩化マグネシウム・6水和物:30gと、塩化アルミニウム:10gを混合した。このとき、発熱するので、約30℃に冷却するまでビーカーの撹拌を続けた。このときのビーカー中の水溶液のpHの一例は、1.8であった。次に、このビーカー中に、アンモニア水をスポイトで、ビーカー中の水溶液のpHが7になるまで加えた。この後、さらに純水:200cmを加えて撹拌し、ハイドロタルサイト様化合物を得た。
得られたハイドロタルサイト様化合物を、日立工機(株)製遠心分離機(型番:CT6EL)を用い、4000rpmで10分間、遠心分離した。この後、液体から分離されたハイドロタルサイト様化合物を、純水で洗浄した。ハイドロタルサイト様化合物から蛍光X線分析でClが検出されなくなるまで、遠心分離、純水洗浄を繰り返した後、電気炉へ投入し、600℃で1時間焼成して、実施例1のハイドロタルサイト様化合物粉末(表1の「ハイドロタルサイト様化合物(HT)の種類」の列に、「本開発HT」と記載した)を得た。得られたハイドロタルサイト様化合物粉末を、株式会社リガク製X線回折装置(型番:Ultima IV)を用いて測定し、(I/I)と(I/I)を求めた。表1に、結果を示す。このX線回折の測定条件は、CuKα線、管電圧:50kV、管電流:50mAであった。
次に、得られたハイドロタルサイト様化合物粉末の評価を行うために、図1に示すような空気電池を作製した。ここで、基板2には、幅:30mm、長さ:50mm、厚さ:500μmのアルミナ基板を、金属負極3には、片面に接着剤が形成された幅:30mm、長さ:50mm、厚さ:100μmのアルミニウムテープを、正極集電体5には、幅:10mm、長さ:10mm、厚さ:50μmのステンレス箔(SUS430)を用いた。また、開口絶縁板6には、幅:25mm、長さ:25mm、厚さ:650μmのアルミナ基板の中央部に、幅:7mm、長さ:7mmの開口を設けたものを用いた。空気電池用電解質4には、ハイドロタルサイト様化合物粉末100質量部と純水50質量部を混合したものを用いた。
まず、アルミナ基板に、アルミニウムテープの接着面を貼り付け、アルミニウムテープのアルミニウム面の中央に、開口したアルミナ基板を設置した。開口したアルミナ基板の開口部に、ハイドロタルサイト様化合物粉末と純水の混合物を充填した。その後、開口したアルミナ基板の周辺部にステンレス箔を設置した後、アルミニウムテープのアルミニウム面と、開口したアルミナ基板の周辺部と、ステンレス箔の周辺部を、セロハンテープで固定して、空気電池を作製した。
作製した空気電池の放電時の電圧と電流を、KEITHLEY
INSTRUMENTS社製2400型汎用ソースメータを用いて、測定した。表1に、測定結果を示す。
〔実施例2〕
まず、純水に、界面活性剤を溶解させ、界面活性剤水溶液を調整した。このとき、界面活性剤は、界面活性剤水溶液:100質量部に対して、4.8質量部になるようにした。
ハイドロタルサイト様化合物と界面活性剤水溶液を、質量比で1:2になるように計量した後、ビーカー中で、ヘラを用いて手動で混合した。この後、実施例1で得られたハイドロタルサイト様化合物粉末と界面活性剤水溶液の混合物を、乾燥機中に入れ、50℃で5時間乾燥させ、実施例2のハイドロタルサイト様化合物粉末を得た。得られた実施例2のハイドロタルサイト様化合物粉末を、実施例1と同様に評価を行った。表1に、評価結果を示す。
〔実施例3〜15、比較例1〜3〕
表1に示す配合になるようにしたこと以外は、実施例2と同様にして、実施例3〜15、比較例1〜3のハイドロタルサイト様化合物粉末を得た。得られたハイドロタルサイト様化合物粉末を実施例1と同様に評価を行った。表1に、評価結果を示す。また、実施例5〜7、比較例1のハイドロタルサイト様化合物粉末のX線回折図を図2〜5に示す。次に、図6〜8に、実施例5のハイドロタルサイト様化合物粉末の走査型電子顕微鏡写真を、図7〜9に、比較例1のハイドロタルサイト様化合物粉末の走査型電子顕微鏡写真を示す。
なお、比較例3で使用した協和化学工業製ハイドロタルサイト粉末(品名:KW−2200)は、一般式:Mg0.7Al0。31.15で表される、合成ハイドロタルサイトを600℃で2時間焼成して得られた化合物であり、この化合物は、層間にOHを含有しないため、2θ=11.13°〜11.56°、2θ=22.74°〜23.58°、2θ=34.35°〜34.88°にピークを有さない、と考えられる。実施例14、15では、協和化学工業製ハイドロタルサイト粉末(品名:KW−2200)を陰イオン界面活性剤水溶液で処理したときに、合成ハイドロタルサイトの層間にHOをはじめ、OHやCO 2−が含有され、2θ=11.13°〜11.56°、2θ=22.74°〜23.58°、2θ=34.35°〜34.88°にピークが発生した、と考えられる。
〔ハイドロタルサイト様化合物と純水との割合の変化に関する試験〕
実施例5で作製したハイドロタルサイト様化合物粉末を用いて、ハイドロタルサイト様化合物と純水との割合に関する試験を行った。ハイドロタルサイト様化合物100質量部(1g)に対して、純水を20〜90質量部(0.2〜0.9g)添加したこと以外は、実施例1と同様にして、空気電池を作製し、評価を行った。図12に、評価結果を示す。
〔金属負極に関する試験〕
実施例6で作製したハイドロタルサイト様化合物粉末を用いて、金属負極をZnにして空気電池を作製した。金属負極にAlを使用した空気電池では、電圧:1.20V、電流:1640μAであったのに対し、金属負極にZnを使用した空気電池では、電圧:1.06V、電流:738μAであった
表1からわかるように、実施例1〜15のハイドロタルサイト様化合物粉末を用いた空気電池は、全て放電時の電圧が高く、電流が大きかった。特に、I/Iが1.2〜2.1の範囲内であり、かつ界面活性剤を、ハイドロタルサイト様化合物粉末:1gに対して、0.08〜0.80g含む実施例2、4〜7、10〜12、15は、著しく放電時の電圧が高く、電流が大きかった。これに対して、I/Iが高すぎる比較例1、2では、放電時の電圧が低く、電流が小さかった。X線回折図でI、Iが観察されなかった比較例3では、放電時の電流が小さかった。
ここで、図2〜4からわかるように、本発明の空気電池用電解質のハイドロタルサイト様化合物のX線回折図は、ピークがブロードであるのに対して、図5からわかるように、比較例1のハイドロタルサイト様化合物のX線回折図は、ピークがシャープである。次に、図6〜8からわかるように、本発明の空気電池用電解質のハイドロタルサイト様化合物は、粒径が1〜100μmの球状粒子であるのに対して、図9〜11からわかるように、比較例1のハイドロタルサイト様化合物は、微細な薄片状粒子であった。
また、図12からわかるように、ハイドロタルサイト様化合物100質量部に対して、純水は30〜60質量部であると、空気電池の放電時の電流が大きくなり、好ましい。
金属負極としては、Alの方が、Znより高電圧、大電流の空気電池の作製に適していることがわかった。
上記のように、本発明の空気電池用電解質は、放電時の電圧が高く、電流が大きい空気電池に非常に適している。
1 空気電池
2 基板
3 金属負極
4 空気電池用電解質
5 正極集電体
6 開口絶縁板
7 粘着テープ

Claims (7)

  1. 式(1):
    Mg2+ (1−x)Al3+ (OH)n− x/n・mHO (1)
    (式中、式(1)において、An−は、CO 2−、NO 、OH、SO 2−、F、Br、IおよびClからなる群より選択されるアニオンであり、xは、0.25以上0.35以下であり、mは、5以下の正数である)で表されるハイドロタルサイト様化合物を用いる空気電池用電解質であって、
    ハイドロタルサイト様化合物のCuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、2θ=11.13°〜11.56°におけるピークの最大強度(I)と、2θ=34.35°〜34.88°におけるピークの最大強度(I)との比(I/I)が、0.9〜2.5であることを特徴とする、空気電池用電解質。
  2. ハイドロタルサイト様化合物のCuKα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて、2θ=22.74°〜23.58°におけるピークの最大強度(I)と、2θ=34.35°〜34.88°におけるピークの最大強度(I)との比(I/I)が、0.6〜1.5である、請求項1記載の空気電池用電解質。
  3. さらに、水を含み、水が、ハイドロタルサイト様化合物100質量部に対して、30〜60質量部である、請求項1または2記載の空気電池用電解質。
  4. ハイドロタルサイト様化合物の表面に、界面活性剤が存在する、請求項1〜3のいずれか1項記載の空気電池用電解質。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の空気電池用電解質を有する、空気電池。
  6. 金属負極と、請求項1〜4のいずれか1項記載の空気電池用電解質と、正極集電体と、をこの順に備える、請求項5記載の空気電池。
  7. 金属負極が、AlまたはZnである、請求項6記載の空気電池。
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