JP2015014690A - 光ファイバフェルール及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】レンズ設計の自由度を下げることなく、且つ、多くの労力を要することなく、光ファイバの端末と結合可能な耐振性を有する光ファイバフェルール及びその製造方法を提供すること。【解決手段】光ファイバフェルール1は、光ファイバ芯線2a、光ファイバ芯線2aの外周に外装された素線被覆部2b、及び素線被覆部2bの外周に外装されたコード被覆部2cを有する光ファイバコード2と、一方及び他方の端部にそれぞれ凸レンズ4及び光ファイバ芯線2aの端末が挿通される挿入孔6を備える、透光性を有する材料によって形成されたレンズ付フェルール3と、光ファイバ芯線2aの端末を包むように挿入孔6内に挿入された、光ファイバ芯線2a又はレンズ付フェルール3を形成する材料の屈折率と略同じ屈折率を有する軟質、且つ、透明な屈折率整合部材7と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、先端部分にレンズ体を備え、光ファイバの端末と結合する光ファイバフェルール及びその製造方法に関する。
近年、自動車内の光通信に用いられる光ファイバに対しては、コア径が小さく、伝送帯域が大きいものが適用されるようになってきている。しかしながら、コア径が小さい光ファイバは、光ファイバ間を接続する時に軸ずれが生じ、接続損失が増大しやすい。このため、先端部分に凸レンズを有する光ファイバフェルールを光ファイバの端末に結合する技術が提案されている。
ところが、光ファイバフェルールと光ファイバの端末とを溶着によって結合する場合、光ファイバの溶着位置を精度高く管理することが困難である。また、光ファイバフェルールと光ファイバの端末とを溶着せずに光ファイバフェルールに位置合わせ機構を持たせて結合させた場合、光ファイバフェルールと光ファイバの端末との間のクリアランスに伴う界面反射による挿入損失が問題になる。また、挿入損失を抑制するために凸レンズと光ファイバの端末とを直接接触させた場合には、凸レンズが損耗する可能性がある。
このような背景から、特許文献1には、光ファイバの端末と光ファイバフェルールとの間に光ファイバ又は光ファイバフェルールを形成する材料の屈折率に近い屈折率を有する屈折率整合シートを設ける技術が提案されている。また、特許文献2には、光ファイバ芯線の径と同径の円柱形状の透光性及び柔軟性を有する導光部材を光ファイバフェルールの芯線案内部に圧入する技術が提案されている。
特開2010−96903号公報 特開2005−316295号公報
しかしながら、特許文献1記載の技術によれば、屈折率整合シートの厚みが0.1〜1mmと薄いので、光ファイバフェルールと光ファイバとの間の距離を長く取れず、レンズ設計の自由度が低くなる。また、特許文献1記載の技術によれば、屈折率整合シートの厚みが薄いために、屈折率整合シートの取り扱いが難しく、光ファイバフェルールへの組み込み方法が限られてしまう。例えば光ファイバの端末の位置を光ファイバフェルールで規制する場合、細いクラッドの先端に薄い屈折率整合シートを確実に貼る必要があり、非常に困難である。一方、特許文献2記載の技術によれば、導光部材を芯線案内部に圧入する際に大きな力が必要になるために、多くの労力を要する。また、特許文献2記載の技術によれば、芯線案内部の側面と導光部材や光ファイバ芯線との間の空気層を完全に排除できないために、振動に伴う光ファイバ芯線の軸ずれによって接続損失が増大する可能性がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、レンズ設計の自由度を下げることなく、且つ、多くの労力を要することなく、光ファイバの端末と結合可能な耐振性を有する光ファイバフェルール及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光ファイバフェルールは、光ファイバ芯線、光ファイバ芯線の外周に外装された素線被覆部、及び素線被覆部の外周に外装されたコード被覆部を有する光ファイバコードと、一方及び他方の端部にそれぞれレンズ体及び前記光ファイバ芯線の端末が挿通される挿入孔を備える、透光性を有する材料によって形成されたレンズ付フェルールと、前記光ファイバ芯線の端末を包むように前記挿入孔内に挿入された、光ファイバ芯線又はレンズ付フェルールを形成する材料の屈折率と略同じ屈折率を有する軟質、且つ、透明な屈折率整合部材と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバフェルールは、上記発明において、前記コード被覆部の端部に底面が当接する第2の挿入孔を備え、前記挿入孔は第2の挿入孔の底面に形成されていることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバフェルールは、上記発明において、前記素線被覆部の端部に底面が当接する第2の挿入孔を備え、前記挿入孔は第2の挿入孔の底面に形成されていることを特徴とする。
本発明に係る光ファイバフェルールは、上記発明において、前記屈折率整合部材は、ゲル状、ジェル状、及びゴム状のうちのいずれかの状態の樹脂材料によって形成されていることを特徴とする。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光ファイバフェルールの製造方法は、一方及び他方の端部にそれぞれレンズ体及び前記光ファイバ芯線の端末が挿通される挿入孔を備える透光性を有する材料によって形成されたレンズ付フェルールの挿入孔内に、光ファイバ芯線又はレンズ付フェルールを形成する材料の屈折率と略同じ屈折率を有する軟質、且つ、透明な屈折率整合部材を挿入する工程と、治具を用いて前記挿入孔内に挿入された前記屈折率整合部材を挿入孔の底面まで押し込む工程と、前記挿入孔内に光ファイバコードの光ファイバ芯線を挿入し、前記屈折率整合部材が光ファイバ芯線の端末を包んでいる状態で光ファイバコードを固定する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明に係る光ファイバフェルールの製造方法は、上記発明において、治具を用いて前記挿入孔内に挿入された前記屈折率整合部材を挿入孔の底面まで押し込む工程を含むことを特徴とする。
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る光ファイバフェルールの製造方法は、光ファイバコードの光ファイバ芯線の端末を包むように、光ファイバ芯線又はレンズ付フェルールを形成する材料の屈折率と略同じ屈折率を有する軟質、且つ、透明な屈折率整合部材を光ファイバ芯線の端末に取り付ける工程と、一方及び他方の端部にそれぞれレンズ体及び前記光ファイバ芯線の端末が挿通される挿入孔を備える透光性を有する材料によって形成されたレンズ付フェルールの挿入孔内に端末に屈折率整合部材が取り付けられた光ファイバ芯線を挿入し、光ファイバコードを固定する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明に係る光ファイバフェルールの製造方法は、上記発明において、前記挿入孔の周面には、前記光ファイバ芯線を挿入した際に押し出される空気を逃がすための空気抜き用の溝が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、レンズ設計の自由度を下げることなく、且つ、多くの労力を要することなく、光ファイバの端末と結合可能な耐振性を有する光ファイバフェルール及びその製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態である光ファイバフェルールの構成を示す断面図である。 図2は、図1に示す光ファイバフェルールの部分拡大図である。 図3は、図1に示す光ファイバフェルールの変形例を示す部分拡大図である。 図4は、図3に示す屈折率整合部材の構成を示す断面図である。 図5は、図3に示す光ファイバフェルールの変形例の構成を示す図である。 図6は、図1に示す光ファイバフェルールの変形例の構成を示す図である。 図7は、図1に示す光ファイバフェルールの製造方法を示す模式図である。 図8は、図1に示す光ファイバフェルールの他の製造方法を示す模式図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である光ファイバフェルールについて説明する。
〔光ファイバフェルールの構成〕
始めに、図1,2を参照して、本発明の一実施形態である光ファイバフェルールの構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態である光ファイバフェルールの構成を示す断面図である。図2は、図1に示す光ファイバフェルールの部分拡大図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態である光ファイバフェルール1は、光ファイバコード2と、レンズ付フェルール3と、を備えている。
光ファイバコード2は、軸心に位置する光ファイバ芯線2aと、光ファイバ芯線2aの外周に外装された素線被覆部2bと、図示しないケブラー(登録商標)等の抗張力体を介して素線被覆部2bの外周に外装されたコード被覆部2cと、を備えている。光ファイバコード2の端末では、素線被覆部2b及びコード被覆部2cがそれぞれ所定長さ除去され、レンズ付フェルール3内において光ファイバ芯線2a及び素線被覆部2bが露出するようになっている。なお、光ファイバ芯線2aはコア及びクラッドによって形成されている。また、光ファイバ芯線2aの端面には研磨等の鏡面加工が施されていてもよい。
レンズ付フェルール3は、透光性を有する樹脂やガラス、セラミック材料によって形成された略円柱状の部材である。レンズ付フェルール3の光結合側である一方の長さ方向端部3aには、凸レンズ4が設けられている。また、レンズ付フェルール3の他方の長さ方向端部3bには、円柱形状の挿入孔5が形成され、挿入孔5の底部5aにはさらに円柱形状の挿入孔6が形成されている。挿入孔6の内径Rは、挿入孔5の底部5aにコード被覆部2cを突き当てることによって光ファイバコード2の位置合わせができるように素線被覆部2bの外径r1以上コード被覆部2cの外径r2未満の大きさに形成されている。
挿入孔6の底部6aには、屈折率整合部材7が挿入されている。屈折率整合部材7は、ゴム状、ゲル状、及びジェル状のうちのいずれかの状態の軟質、且つ、透明な樹脂材料によって形成されている。屈折率整合部材7は軟質の樹脂材料によって形成されているので、挿入孔6に光ファイバ芯線2aが挿入された際、図2に示すように、屈折率整合部材7は光ファイバ芯線2aの先端部を包み込むように光ファイバ芯線2aの側面に回り込む。このため、振動によって光ファイバ芯線2aの軸ずれが発生し、接続損失が増大することを抑制できる。屈折率整合部材7が光ファイバ芯線2aの側面に回り込む量は、屈折率整合部材7の量を調整することによって制御できる。また、屈折率整合部材7は軟質の樹脂材料によって形成されているので、挿入孔6内に容易に組み付けることができる。また、屈折率整合部材7は厚みを自由に設計できるので、凸レンズ4と光ファイバ芯線2aの端末との間の距離を適宜変更し、レンズ付フェルール3の構造を光コネクタの要件に対して最適化することができる。
屈折率整合部材7は、空気よりも屈折率が高く、レンズ付フェルール3又は光ファイバ芯線2aを形成する材料の屈折率と略同じ屈折率を有している。これにより、光ファイバ芯線2aの端末と凸レンズ4との間の屈折率を整合し、界面反射による挿入損失を生じさせることなく、光ファイバ芯線2aの端末とレンズ付きフェレルール3とを結合することができる。
なお、本実施形態では、挿入孔6の底部6aに予め屈折率整合部材7を組み付けることとしたが、図3に示すように、光ファイバ芯線2aの端末を包むようにゴム状の屈折率整合部材7を取り付け、光ファイバ芯線2aの挿入時に屈折率整合部材7を組み付けてもよい。この場合、図4に示すように、屈折率整合部材7の一方の長さ方向端部7aには、丸形の凸部7cが形成されている。また、他方の長さ方向端部7bには、光ファイバ芯線2aが挿通される円柱形状の挿入孔7dが形成され、挿入孔7dの底部には凸部7eが形成されている。これにより、屈折率整合部材7と挿入孔6の底部6a及び光ファイバ芯線2aの端末との接触状態はほぼ点接触になるので、空気の介在を防ぎ、挿入損失を抑えることができる。
また、図3に示す屈折率整合部材7を用いる場合には、図5に示すように、挿入孔6の周部に空気抜き用の溝6bを形成しておくことが望ましい。これにより、光ファイバ芯線2aを挿入した際に押し出された空気が空気抜き用の溝6b側に抜けるので、挿入孔6の底部6aと光ファイバ芯線2aの端末との間に空気が介在することをより確実に抑制できる。但し、屈折率整合部材7が挿入孔6の底部6aに到達する前にコード被覆部2cが挿入孔5内に挿入される場合、コード被覆部2cによって挿入孔5及び挿入孔6内の空気が外部に抜けにくくなるので、挿入孔5の周部にも空気抜き用の溝を形成してもよい。
また、本実施形態では、挿入孔5の底部5aにコード被覆部2cを突き当てることによって光ファイバコード2の位置合わせを行ったが、図6に示すように、挿入孔6の底部6aに光ファイバ芯線2aが挿入される挿入孔8を形成し、挿入孔6の底部6aに素線被覆部2bを突き当てることによって光ファイバコード2の位置合わせを行ってもよい。この場合、屈折率整合部材7は挿入孔8の底部8aに挿入される。また、挿入孔8の内径R1は、光ファイバ芯線2aの外径r3以上素線被覆部2bの外径r1未満の大きさに形成されている。
〔光ファイバフェルールの製造方法〕
次に、図7を参照して、図1に示す光ファイバフェルールの製造方法について説明する。
図7は、図1に示す光ファイバフェルールの製造方法を示す模式図である。図1に示す光ファイバフェルールを製造する際は、始めに、図7(a)に示すように、挿入孔6内に屈折率整合部材7を挿入する。次に、図7(b)に示すように、先端に平坦部10aを備える治具10を用いて屈折率整合部材7を挿入孔6の底部に押し付け、屈折率整合部材7を平坦に成形する。そして、最後に、図7(c)にように、挿入孔5の底部5aにコード被覆部2cを突き当て、挿入孔6内に光ファイバ芯線2a及び素線被覆部2bを挿入し、屈折率整合部材7の先端部を包み込むように光ファイバ芯線2aの先端部及び側面に屈折率整合部材7を当接させ、この状態で光ファイバコードを接着剤又は機械的(物理的)な手段によって固定する。これにより、図1に示す光ファイバフェルールが製造される。
なお、屈折率整合部材7を挿入孔6の底部に押し付ける際、図8に示すように、先端に凹部10bを有する治具を用いてもよい。先端に凹部10bを有する治具10を用いて屈折率整合部材7を挿入孔6を押し付けた場合、屈折率整合部材7の治具10との接触面は凸形状になり、光ファイバ芯線2aと屈折率整合部材7との接触状態はほぼ点接触になるので、空気の介在を防ぎ、挿入損失を抑えることができる。
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者などによりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 光ファイバフェルール
2 光ファイバコード
2a 光ファイバ芯線
2b 素線被覆部
2c コード被覆部
3 レンズ付フェルール
4 凸レンズ
5,6,8 挿入孔
7 屈折率整合部材

Claims (8)

  1. 光ファイバ芯線、光ファイバ芯線の外周に外装された素線被覆部、及び素線被覆部の外周に外装されたコード被覆部を有する光ファイバコードと、
    一方及び他方の端部にそれぞれレンズ体及び前記光ファイバ芯線の端末が挿通される挿入孔を備える、透光性を有する材料によって形成されたレンズ付フェルールと、
    前記光ファイバ芯線の端末を包むように前記挿入孔内に挿入された、光ファイバ芯線又はレンズ付フェルールを形成する材料の屈折率と略同じ屈折率を有する軟質、且つ、透明な屈折率整合部材と、
    を備えることを特徴とする光ファイバフェルール。
  2. 前記コード被覆部の端部に底面が当接する第2の挿入孔を備え、前記挿入孔は第2の挿入孔の底面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバフェルール。
  3. 前記素線被覆部の端部に底面が当接する第2の挿入孔を備え、前記挿入孔は第2の挿入孔の底面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバフェルール。
  4. 前記屈折率整合部材は、ゲル状、ジェル状、及びゴム状のうちのいずれかの状態の樹脂材料によって形成されていることを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか1項に記載の光ファイバフェルール。
  5. 一方及び他方の端部にそれぞれレンズ体及び前記光ファイバ芯線の端末が挿通される挿入孔を備える透光性を有する材料によって形成されたレンズ付フェルールの挿入孔内に、光ファイバ芯線又はレンズ付フェルールを形成する材料の屈折率と略同じ屈折率を有する軟質、且つ、透明な屈折率整合部材を挿入する工程と、
    前記挿入孔内に光ファイバコードの光ファイバ芯線を挿入し、前記屈折率整合部材が光ファイバ芯線の端末を包んでいる状態で光ファイバコードを固定する工程と、
    を含むことを特徴とする光ファイバフェルールの製造方法。
  6. 治具を用いて前記挿入孔内に挿入された前記屈折率整合部材を挿入孔の底面まで押し込む工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の光ファイバフェルールの製造方法。
  7. 光ファイバコードの光ファイバ芯線の端末を包むように、光ファイバ芯線又はレンズ付フェルールを形成する材料の屈折率と略同じ屈折率を有する軟質、且つ、透明な屈折率整合部材を光ファイバ芯線の端末に取り付ける工程と、
    一方及び他方の端部にそれぞれレンズ体及び前記光ファイバ芯線の端末が挿通される挿入孔を備える透光性を有する材料によって形成されたレンズ付フェルールの挿入孔内に端末に屈折率整合部材が取り付けられた光ファイバ芯線を挿入し、光ファイバコードを固定する工程と、
    を含むことを特徴とする光ファイバフェルールの製造方法。
  8. 前記挿入孔の周面には、前記光ファイバ芯線を挿入した際に押し出される空気を逃がすための空気抜き用の溝が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の光ファイバフェルールの製造方法。
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