JP2007226120A - モードフィールド変換器およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】接続損失をより低減することによって光接続効率に優れたモードフィールド変換器およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るモードフィールド変換器X1は、第1モードフィールド径を有する光ファイバ11と、第1モードフィールド径より小さい第2モードフィールド径を有する光ファイバ12とを融着接続してなる接続ファイバ10を有する。接続ファイバ10の融着接続部は、該融着接続部におけるモードフィールド径が光ファイバ11側から光ファイバ12側にかけて漸次小さくなるように、光ファイバ11の構成材料と光ファイバ12の構成材料とが相互に熱拡散されてなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、異なるモードフィールド径を有する光ファイバ同士を接続してなる接続ファイバを有するモードフィールド変換器およびその製造方法に関する。
一般的に、1550nm通信波長帯の光増幅器として広く用いられているエルビウムドープファイバや、光ファイバの波長分散特性を変化させた分散シフト光ファイバは、通常のシングルモード光ファイバよりもモードフィールド径が小さい。具体的には、通常のシングルモード光ファイバのモードフィールド径が9〜10μmであるのに対して、エルビウムドープファイバのモードフィールド径は4〜5μm、分散シフト光ファイバのモードフィールド径は7〜8μmである。このような異なるモードフィールド径を有する光ファイバの端面同士を当接させて接続を行うと、非常に大きな光の接続損失が発生してしまう。
そこで、このような光の接続損失を低減させるための技術が開発され、例えば特許文献1に開示されている。
図7は、光の接続損失の低減技術を採用したモードフィールド変換器を表す概略断面図であり、(a)は第1従来例、(b)は第2従来例、(c)は第3従来例である。
第1従来例のモードフィールド変換器70は、図7(a)に示すように、光ファイバ71,72と、被覆部材73と、フェルール74と、光コネクタ部材75とを備えており、光ファイバ71の一端部と光ファイバ72の一端部とが加熱された状態で軸方向に押し付けあうように加圧することによって融着接続されている。光ファイバ71は、添加物質(例えばゲルマニウム(Ge))を含む円柱状のコア71a、および、添加物質(例えばフッ素(F))を含み、コア71aの外周面を取り囲むように形成されるクラッド71bからなる。光ファイバ72は、添加物質(例えばGe)を含み、コア71aより小さいコア径を有する円柱状のコア72a、および、添加物質(例えばF)を含み、コア72aの外周面を取り囲むように形成されるクラッド72bからなる。被覆部材73は、光ファイバ72を保護するための部材であり、光ファバイ72における光ファイバ71と対向する側の端部を除いて、クラッド72bの外面を取り囲むように形成される。フェルール74は、光ファイバ71を挿入するための貫通孔74aを有する。光コネクタ部材75は、図示しない他の光コネクタ部材と接続する際に寄与する部位である。
第2従来例のモードフィールド変換器80は、図7(b)に示すように、光ファイバ81,82を備えており、光ファイバ81の一端部と光ファイバ82の一端部とが加熱された状態で軸方向に押し付けあうように加圧することによって融着接続されている。光ファイバ81は、添加物質(例えばGe)を含む円柱状のコア81a、および、添加物質(例えばF)を含み、コア81aの外周面を取り囲むように形成されるクラッド81bからなる。光ファイバ82は、添加物質(例えばGe)を含み、コア81aより小さいコア径を有する円柱状のコア82a、および、添加物質(例えばF)を含み、コア82aの外周面を取り囲むように形成されるクラッド82bからなり、その外径は光ファイバ81の外径より小さく構成される。
第3従来例のモードフィールド変換器90は、図7(c)に示すように、光ファイバ91,92を備えており、光ファイバ91の一端部と光ファイバ92の一端部とが加熱された状態で軸方向に押し付けあうように加圧することによって融着接続した後、該軸方向に引き離すように力を作用させてなる。光ファイバ91は、添加物質(例えばGe)を含む円柱状のコア91a、および、添加物質(例えばF)を含み、コア91aの外周面を取り囲むように形成されるクラッド91bからなる。光ファイバ92は、添加物質(例えばGe)を含み、コア91aより小さいコア径を有する円柱状のコア92a、および、添加物質(例えばF)を含み、コア92aの外周面を取り囲むように形成されるクラッド92bからなる。
特開2005−208113号公報
しかしながら、モードフィールド変換器70では、コア71a,72aの添加物質およびクラッド71b,72bの添加物質が融着接続時の加熱による熱拡散により、全体的に(マクロ的に)見ると、光ファイバ71から光ファイバ72にかけてコアが漸次小さくなるために、ある程度光の接続損失の低減を図ることができるものの、図7(a)によく表れているように、融着接続時の加圧によりコア71a,72aおよびクラッド71b,72bが互いに押し潰され、融着接続部の境界部におけるコア径および接続ファイバの外径がその周囲の部位に比べて径方向に広がってしまう。つまり、モードフィールド変換器70では、この径方向に広がる部位においてモードフィールド径が漸次変化していないため、大きい光の接続損失が発生してしまうという問題が依然として残る。
モードフィールド変換器80では、光ファイバ81と光ファイバ82との外径を異ならせているため、融着接続部の境界部における接続ファイバの外径がその周囲の部位に比べて径方向に広がるのを抑制できるものの、融着接続部の境界部におけるコア径に関してはモードフィールド変換器70と同様の問題が残る。
モードフィールド変換器90では、光ファイバ91と光ファイバ92とを融着接続した後、その余熱を利用して各光ファイバ91,92の軸方向に引き離すように力を作用させることにより、融着接続部の境界部におけるコア径および接続ファイバの外径がその周囲の部位に比べて径方向に広がってしまうのを抑制することができるものの、外境界部の周囲の部位におけるコア径および接続ファイバの外径が逆に径方向に縮んでしまう(小さくなってしまう)。つまり、モードフィールド変換器90では、この径方向に縮む部位においてモードフィールド径が漸次変化していないため、大きい光の接続損失が発生してしまうという問題が依然として残る。加えて、モードフィールド変換器90には、融着接続部において引っ張りに起因する残留応力が生じるために、温度変化などにより融着接続部が破断し易くなるという問題が別途生じている。
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、接続損失をより低減することによって光接続効率に優れたモードフィールド変換器およびその製造方法を提供することを、目的とする。
本発明の第1の側面に係るモードフィールド変換器は、第1モードフィールド径を有する第1光ファイバと、第1モードフィールド径より小さい第2モードフィールド径を有する第2光ファイバとを融着接続してなる接続ファイバを有するものであって、接続ファイバの融着接続部は、該融着接続部におけるモードフィールド径が第1光ファイバ側から第2光ファイバ側にかけて漸次小さくなるように、第1光ファイバの構成材料と第2光ファイバの構成材料とが相互に熱拡散されてなることを特徴としている。
本モードフィールド変換器において融着接続部の外径は、第1光ファイバおよび第2光ファイバの外径以下であるのが好ましい。
本発明の第2の側面に係るモードフィールド変換器の製造方法は、第1モードフィールド径を有する第1光ファイバの一端と、第1モードフィールド径より小さい第2モードフィールド径を有する第2光ファイバの一端とを離間して対向配置した状態で、第1光ファイバの一端と第2光ファイバの一端とを加熱して融着接続する融着接続工程を含むことを特徴としている。
本製造方法において第1光ファイバの一端と第2光ファイバの一端との離間距離は、0μmを越えて10μm以下であるのが好ましい。
本製造方法における融着接続工程では、第1光ファイバおよび第2光ファイバを、各軸心を中心として回転させつつ加熱を行うのが好ましい。
本発明の第1の側面に係るモードフィールド変換器において接続ファイバの融着接続部は、該融着接続部におけるモードフィールド径が第1光ファイバ側から第2光ファイバ側にかけて漸次小さくなるように、第1光ファイバの構成材料と第2光ファイバの構成材料とが相互に熱拡散されてなる。つまり、本モードフィールド変換器には、例えば第1光ファイバの一端と第2光ファイバの一端とを互いにその軸方向において押し付けあったり、引っ張ったりすることにより生じるモードフィールド径の漸次変化の乱れる部位が実質的に存在しない。そのため、本モードフィールド変換器は、モードフィールド径の漸次変化の乱れる部位が生じる従来のモードフィールド変換器に比べて、光の接続損失をより低減することができる。したがって、本モードフィールド変換器は、優れた光接続効率を確保するうえで好適である。
本モードフィールド変換器において、融着接続部の外径を第1光ファイバおよび第2光ファイバの外径以下に設定すると、例えば第1光ファイバの一端と第2光ファイバの一端とを互いにその軸方向において押し付けあうことにより生じる凸部(第1光ファイバや第2光ファイバの外径より大きい外径を有する部位)が融着接続部に存在しないので、孔径が一様な貫通孔を有するフェルールの該貫通孔に接続ファイバの融着接続部を適切に挿入させることができる。つまり、本構成のモードフィールド変換器では、融着接続部をフェルールによって適切に保持することができる。そのため、本構成のモードフィールド変換器では、接続ファイバの融着接続部に作用する応力に対する耐性(物理的耐性や熱的耐性など)を向上させることができる。したがって、本モードフィールド変換器は、接続ファイバの融着接続部における破断などに起因する光の接続損失の発生を抑制するうえで好適である。
本発明の第2の側面に係るモードフィールド変換器の製造方法における融着接続工程では、第1光ファイバの一端と第2光ファイバの一端とを離間して対向配置した状態で、第1光ファイバの一端と第2光ファイバの一端とを加熱して融着接続を行っている。そのため、本製造方法では、例えば第1光ファイバの一端と第2光ファイバの一端とを互いにその軸方向において押し付けあったり、引っ張ったりすることにより生じるモードフィールド径の漸次変化の乱れる部位が実質的に存在しないモードフィールド変換器を製造することができる。このような構成のモードフィールド変換器は、モードフィールド径の漸次変化の乱れる部位が生じる従来のモードフィールド変換器に比べて、光の接続損失をより低減することができる。したがって、本製造方法は、優れた光接続効率を有するモードフィールド変換器を適切に製造することができるのである。
また、本製造方法では、第1光ファイバと第2光ファイバとを融着接続する際に、第1光ファイバの一端と第2光ファイバの一端とを互いにその軸方向において押し付けあったり、引っ張ったりすることがないため、接続ファイバの融着接続部に押し付けや引っ張りに起因する残留応力が実質的に生じない。そのため、本製造方法では、接続ファイバの融着接続部に作用する応力に対する耐性(熱的耐性や物理的耐性など)に優れたモードフィールド変換器を製造することができる。したがって、本製造方法は、接続ファイバの融着接続部における破断などに起因する光の接続損失の発生を抑制することができるモードフィールド変換器を製造するうえで好適である。
本製造方法において、第1光ファイバの一端と第2光ファイバの一端との離間距離を0μmを越えて10μm以下に設定すると、一般的な光ファイバ(外径:124〜126μm)を第1光ファイバおよび第2光ファイバとして採用する場合に、加熱溶融して表面張力により略球体状となった各光ファイバの一端が互いに接触して、より適切に融着接続を行うことができる。したがって、本製造方法は、接続ファイバの融着接続部における残留応力の発生をより確実に防ぐうえで好適である。
本製造方法の融着接続工程において、第1光ファイバおよび第2光ファイバを、各軸心を中心として回転させつつ加熱を行うと、各光ファイバの一端において溶融した構成材料が重力により偏ってしまうのを防ぐことができるので、より適切な融着接続を行うことができる。したがって、本製造方法は、接続ファイバの融着接続部における構成材料の偏りなどに起因する光の接続損失の発生を抑制することができるモードフィールド変換器を製造するうえで好適である。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るモードフィールド変換器X1の概略構成を表す断面図である。図2は、図1に示すモードフィールド変換器X1における接続ファイバの要部拡大断面図である。モードフィールド変換器X1は、接続ファイバ10と、フェルール20と、被覆部材30と、コネクタ部材40とを備えている。
接続ファイバ10は、光ファイバ11および光ファイバ12を含み、光ファイバ11の一端と光ファイバ12の一端とを融着接続してなる部材である。
光ファイバ11は、その光軸方向に延びるコア11aおよびクラッド11bを有しており、コア11aとクラッド11bとの境界において光を全反射させることにより、コア11aに沿って光を伝播することができるように構成されている。このようにして伝搬する光は、コア11aを中心とした同心円状のパワー分布となり、そのパワーの最大値の1/eの大きさとなる径をモードフィールド径と呼ぶ。モードフィールド径は、伝搬する光の波長にもよるが、コア11aの径や、コア11aとクラッド11bとの屈折率差によって決定する。
コア11aは、光ファイバ1において主として光が伝搬する部位であり、略円柱状に構成されている。コア11aのコア径dは、後述する光ファイバ12におけるコア12aのコア径dより大きく、例えば8〜10μmに設定されている。コア11aの構成材料としては、後述するクラッド11bの構成材料よりも屈折率の大きい材料(例えば、ゲルマニウムやリンなど)が採用される。なお、コア11aには、コア11aのコア径を変化させたり、より適切な融着接続を行うべく、屈折率制御用添加材(例えばゲルマニウム)を添加してもよい。
クラッド11bは、コア11aとの境界においてコア11aを伝搬する光を全反射させるための部位であり、コア11aの外周面を取り囲むように形成されている。クラッド11bの構成材料としては、コア11aの構成材料よりも屈折率の小さい材料(例えば、ホウ素やフッ素など)が採用される。なお、クラッド11bには、コア11aのコア径を変化させたり、より適切な融着接続を行うべく、屈折率制御用添加材(例えばフッ素)を添加してもよい。また、クラッド11bは、後述するフェルール20の貫通孔20aに対してより精度よく固定するために、クラッド11bの全体にわたって、外径を一様に構成するのが好ましい。
光ファイバ12は、その光軸方向に延びるコア12aおよびクラッド12bを有しており、コア12aとクラッド12bとの境界において光を全反射させることにより、コア12aに沿って光を伝播することができるように構成されている。
コア12aは、光ファイバ12において主として光が伝搬する部位であり、略円柱状に構成されている。コア12aのコア径dは、光ファイバ1におけるコア11aのコア径dより小さく、例えば6〜9μmに設定されている。コア12aの構成材料としては、コア11aと同様のものが挙げられる。
クラッド12bは、コア12aとの境界においてコア12aを伝搬する光を全反射させるための部位であり、コア12aの外周面を取り囲むように形成されている。クラッド12bの構成材料としては、クラッド11bと同様のものが挙げられる。なお、クラッド12bは、後述するフェルール20の貫通孔20aに対してより精度よく固定するために、クラッド12bの全体にわたって、外径を一様に構成するのが好ましい。
接続ファイバ10の融着接続部10aは、光ファイバ11の構成材料と光ファイバ12の構成材料とを相互に熱拡散することにより形成されており、融着接続部10aにおけるモードフィールド径が光ファイバ11側から光ファイバ12側にかけて漸次小さくなるように構成されている。また、本実施形態において接続ファイバ10の融着接続部10aは、光ファイバ11と光ファイバ12との接続境界部Aで外径が最小となるように、融着接続部10aの端部から接続境界部Aにかけて徐々に外径が小さくなるように形成されているが、このような形状には限られない。但し、接続ファイバ10の融着接続部10aの外径は、後述するフェルール20により融着接続部10aを適切に保持させる観点から、光ファイバ11,12の外径以下に設定するのが望ましい。
フェルール20は、光ファイバ11,12を挿入するための貫通孔20aを有し、例えば略円筒状に形成されている。フェルール20の構成材料としては、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)、ムライト、窒化ケイ素、炭化ケイ素および窒化アルミニウムなどの単体もしくはこれらを主成分として含むセラミックスや、結晶化ガラスなどのガラスセラミックスや、燐青銅、ベリリウム銅、黄銅、ステンレスなどの金属や、エポキシおよび液晶ポリマなどのプラスチックなどが挙げられ、中でも耐摩耗性や弾性変形性に優れたジルコニア系セラミックス(ジルコニアを主成分とするセラミックス)が好適である。
被覆部材30は、光ファイバ11,12を保護するための部材であり、本実施形態ではクラッド12bの外周面を取り囲むように形成されている。被覆部材30の構成材料としては、ナイロン11やポリエステルエラストマーなどが挙げられる。なお、被覆部材30は、図1において、フェルール20の貫通孔20aに入り込むようには描かれていないが、被覆部材30の一部が貫通孔20aに入り込むように構成してもよい。
光コネクタ部材40は、フェルール20を保持して図示しない他のコネクタ部材と適切に接続するための機能を担う部材であり、例えばSC形光コネクタの場合、フランジ、ばね、ストップリング、プラグフレーム、つまみなどの各部材を組み合わせて構成される。フランジ、ばね、ストップリングの構成材料としては、ステンレス、銅合金、鉄、ニッケル合金、アルミニウムなどの金属などが挙げられ、中でも耐摩耗性やコストの観点から、SUS304などのステンレスが好適である。プラグフレームやつまみの構成材料としては、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、液晶ポリマ、エポキシなどのプラスチック材料などが挙げられ、中でも耐環境試験性の観点から、PBTにガラスフィラーを20〜30wt%含有させたものが望ましい。なお、光コネクタ部材30としてはSC形には限られず、FC形、MU形、LC形、ST形、FA形など種々の形状を採用することができる。
本実施形態に係るモードフィールド変換器X1において接続ファイバ10の融着接続部10aは、融着接続部10aにおけるモードフィールド径が光ファイバ11側から光ファイバ12側にかけて漸次小さくなるように、光ファイバ11の構成材料と光ファイバ12の構成材料とが相互に熱拡散されてなる。つまり、モードフィールド変換器X1には、例えば光ファイバ11の一端と光ファイバ12の一端とを互いにその軸方向において押し付けあったり、引っ張ったりすることにより生じるモードフィールド径の漸次変化の乱れる部位が実質的に存在しない。そのため、モードフィールド変換器X1は、モードフィールド径の漸次変化の乱れる部位が生じる従来のモードフィールド変換器に比べて、光の接続損失をより低減することができる。したがって、モードフィールド変換器X1は、優れた光接続効率を確保することができるのである。
モードフィールド変換器X1では、融着接続部10aの外径を光ファイバ11,12の外径以下に設定されているので、例えば光ファイバ11の一端と光ファイバ12の一端とを互いにその軸方向において押し付けあうことにより生じる凸部(光ファイバ11や光ファイバ12の外径より大きい外径を有する部位)が融着接続部に存在しないので、孔径が一様な貫通孔20aを有するフェルール20の貫通孔20aに接続ファイバ10の融着接続部10aを適切に挿入させることができる。つまり、モードフィールド変換器X1では、融着接続部10aをフェルール20によって適切に保持することができる。そのため、モードフィールド変換器X1では、接続ファイバ10の融着接続部10aに作用する応力に対する耐性(物理的耐性や熱的耐性など)を向上させることができる。したがって、モードフィールド変換器X1は、接続ファイバ10の融着接続部10aにおける破断などに起因する光の接続損失の発生を抑制することができるのである。
図3は、本発明の第2の実施形態に係るモードフィールド変換器X2の概略構成を表す断面図である。図4は、図3に示すモードフィールド変換器X2における接続ファイバの要部拡大断面図である。モードフィールド変換器X2は、光ファイバ13を更に有する点、および、被覆部材30が光ファイバ13を保護している点において、モードフィールド変換器X1と異なる。モードフィールド変換器X2の他の構成については、モードフィールド変換器X1に関して上述したのと同様である。
モードフィールド変換器X2は、接続ファイバ10’と、フェルール20と、被覆部材30と、コネクタ部材40とを備えている。
接続ファイバ10’は、光ファイバ11と、光ファイバ12と、光ファイバ13とを含み、光ファイバ11の一端と光ファイバ12の一端とを融着接続するとともに、光ファイバ12の一端と光ファイバ13の一端とを融着接続してなる部材である。
光ファイバ13は、その光軸方向に延びるコア13aおよびクラッド13bと、被覆部材13cとを有しており、コア13aとクラッド13bとの境界において光を全反射させることにより、コア13aに沿って光を伝播することができるように構成されている。
コア13aは、光ファイバ13において主として光が伝搬する部位であり、略円柱状に構成されている。コア13aのコア径dは、光ファイバ1におけるコア11aのコア径dより大きく、例えば3〜6μmに設定されている。コア13aの構成材料としては、コア11aと同様のものが挙げられる。
クラッド13bは、コア13aとの境界においてコア13aを伝搬する光を全反射させるための部位であり、コア13aの外周面を取り囲むように形成されている。クラッド13bの構成材料としては、クラッド11bと同様のものが挙げられる。なお、クラッド13bは、フェルール20の貫通孔20aに対してより精度よく固定するために、クラッド13bの全体にわたって、外径を一様に構成するのが好ましい。
被覆部材30は、本実施形態においては光ファイバ13を保護すべく、クラッド13bの外周面を取り囲むように形成されている。
接続ファイバ10’の融着接続部10bは、光ファイバ12の構成材料と光ファイバ13の構成材料とを相互に熱拡散することにより形成されており、融着接続部10bにおけるモードフィールド径が光ファイバ12側から光ファイバ13側にかけて漸次大きくなるように構成されている。また、本実施形態において接続ファイバ10の融着接続部10bは、光ファイバ12と光ファイバ13との接続境界部Bで外径が最小となるように、融着接続部10bの端部から接続境界部Bにかけて徐々に外径が小さくなるように形成されているが、このような形状には限られない。但し、接続ファイバ10’の融着接続部10bの外径は、後述するフェルール20により融着接続部10bを適切に保持させる観点から、光ファイバ12,13の外径以下に設定するのが望ましい。
本実施形態に係るモードフィールド変換器X2においても、モードフィールド変換器X1と同様の効果を奏する。
図5は、本発明の第3の実施形態に係るモードフィールド変換器X3の概略構成を表す断面図である。モードフィールド変換器X3は、被覆部材30に代えてスリーブ50を有し、光ファイバ11の部位をスリーブ50により保持させる点において、モードフィールド変換器X1と異なる。モードフィールド変換器X3の他の構成については、モードフィールド変換器X1に関して上述したのと同様である。
モードフィールド変換器X3は、接続ファイバ10と、フェルール20と、コネクタ部材40と、スリーブ50とを備えている。
スリーブ50は、接続ファイバ10を保持しているフェルール20を挿入するための貫通孔50aを有し、該フェルール20と図示しないプラグフェルールとの間の調心機能を担う部材である。ここで、調芯機能とは、一方のコアと他方のコアとを再現よく接続させるための機能を意味する。スリーブ50には、その一端からフェルール20が挿入され、その他端から上記プラグフェルールが挿入される。本実施形態に係るスリーブ50は、長手方向(矢印AB方向)に延びるスリット(図示せず)を有する、いわゆる割りスリーブである。このような構成のスリーブ50を採用する場合、スリーブ50内に挿入される上記プラグフェルールに対して作用する把持力を高めるべく、貫通孔50aの孔径はプラグフェルールの外径より若干(例えば数μm)小さく設定するのが好ましい。スリーブ50としては、割りスリーブに代えて、いわゆる精密スリーブ(スリット無し)を採用してもよい。スリーブ50を構成する材料としては、燐青銅、ベリリウム銅、黄銅、銅、ステンレスなどの金属、エポキシや液晶ポリマなどのプラスチック、ジルコニア系やアルミナ系のセラミックスなどが挙げられ、中でも耐摩耗性に優れ且つ適度に弾性変形するジルコニア系セラミックス(ジルコニアを主成分とするセラミックス)が好適である。さらに、ジルコニア系セラミックスの中でも、酸化ジルコニウム(ZrO)を主成分とし、Y、CaO、MgO、CeO、Dyなどからなる群より選択される少なくとも一種を安定化剤として含む部分安定化ジルコニアセラミックス(正方晶の結晶が主体)は、耐摩耗性および弾性変形性の観点から好適である。
以下に、本発明に係るモードフィールド変換器の製造方法について、モードフィールド変換器X1を用いて説明する。図6は、モードフィールド変換器1における接続ファイバ10を製造する際の経時変化を表す断面図である。
まず、図6(a)に示すように、光ファイバ11の一端と光ファイバ12の一端とを離間して対向配置する。また、本実施形態では、より適切な融着接続を達成すべく、離間距離は0μmを越えて10μm以下に設定する。
次に、図6(b)〜(d)に示すように、光ファイバ11の一端部と光ファイバ12の一端部とを所定の溶融温度(例えば1500℃)まで加熱する。具体的には、所定の加熱手段により各光ファイバ11,12の所定位置を加熱すると、各光ファイバ11,12の一端が膨らみ始め(図6(b))、各光ファイバ11,12の一端が当接し(図6(c))、更に各光ファイバ11,12の一端がより広範囲で当接し且つ各光ファイバ11,12の構成材料の熱拡散が進行する(図6(d))。この加熱手段としては、バーナーやセラミックヒータなどが挙げられる。
次に、図6(e)に示すように、接続ファイバ10の融着接続部10aにおけるモードフィールド径が光ファイバ11側から光ファイバ12側にかけて漸次小さくなるように、光ファイバ11の構成材料と光ファイバ12の構成材料とが相互に熱拡散される。
以上のようにして、図1に示すモードフィールド変換器X1の接続ファイバ10を製造することができる。なお、本製造方法では、モードフィールド変換器X1を用いて説明したが、モードフィールド変換器X2においても同様の方法を適用することができる。
本発明のモードフィールド変換器X1の製造方法における融着接続工程(接続ファイバ10の製造工程)では、光ファイバ11の一端と光ファイバ12の一端とを離間して対向配置した状態で、光ファイバ11の一端と光ファイバ12の一端とを加熱して融着接続を行っている。そのため、本製造方法では、例えば光ファイバ11の一端と光ファイバ12の一端とを互いにその軸方向において押し付けあったり、引っ張ったりすることにより生じるモードフィールド径の漸次変化の乱れる部位が実質的に存在しないモードフィールド変換器X1を製造することができる。このような構成のモードフィールド変換器X1は、モードフィールド径の漸次変化の乱れる部位が生じる従来のモードフィールド変換器に比べて、光の接続損失をより低減することができる。したがって、本製造方法は、優れた光接続効率を有するモードフィールド変換器X1を適切に製造することができるのである。
また、本製造方法では、光ファイバ11と光ファイバ12とを融着接続する際に、光ファイバ11の一端と光ファイバ12の一端とを互いにその軸方向において押し付けあったり、引っ張ったりすることがないため、接続ファイバ10の融着接続部10aに押し付けや引っ張りに起因する残留応力が実質的に生じない。そのため、本製造方法では、接続ファイバ10の融着接続部10aに作用する応力に対する耐性(熱的耐性や物理的耐性など)に優れたモードフィールド変換器X1を製造することができる。したがって、本製造方法は、接続ファイバ10の融着接続部10aにおける破断などに起因する光の接続損失の発生が抑制されたモードフィールド変換器X1を製造することができるのである。
さらに、本製造方法では、光ファイバ11の一端と光ファイバ12の一端との離間距離を0μmを越えて10μm以下に設定されているので、一般的な光ファイバ(外径:124〜126μm)を光ファイバ11および光ファイバ12として採用する場合に、加熱溶融して表面張力により略球体状となった各光ファイバの一端が互いに接触して、より適切に融着接続を行うことができる。したがって、本製造方法は、接続ファイバ10の融着接続部10aにおける残留応力の発生をより確実に防ぐことができるのである。
以上、本発明の具体的な実施形態を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
モードフィールド変換器X1における接続ファイバ10の製造において、各光ファイバ11,12の加熱は、光ファイバ11および光ファイバ12を、各軸心を中心として回転させつつ行うようにしてもよい。このような方法によると、各光ファイバ11,12の一端において溶融した構成材料が重力により偏ってしまうのを防ぐことができるので、より適切な融着接続を行うことができる。つまり、本方法では、接続ファイバ10の融着接続部10aにおける構成材料の偏りなどに起因する光の接続損失の発生が抑制されたモードフィールド変換器X1を製造することができる。
本発明の第1の実施形態に係るモードフィールド変換器の概略構成を表す断面図である。 図1に示すモードフィールド変換器の接続ファイバの要部拡大図である。 本発明の第2の実施形態に係るモードフィールド変換器の概略構成を表す断面図である。 図3に示すモードフィールド変換器の接続ファイバの要部拡大図である。 本発明の第3の実施形態に係るモードフィールド変換器の概略構成を表す断面図である。 図1に示すモードフィールド変換器の接続ファイバを製造する際の経時変化を表す断面図である。 従来のモードフィールド変換器の概略構成を表す断面図であり、(a)は第1従来例、(b)は第2従来例、(c)は第3従来例である。
符号の説明
X1〜X3 モードフィールド変換器
10,10’ 接続ファイバ
10a,10b 融着接続部
11 光ファイバ
12 光ファイバ
13 光ファイバ
20 フェルール
30 被覆部材
40 光コネクタ部材
50 スリーブ

Claims (5)

  1. 第1モードフィールド径を有する第1光ファイバと、前記第1モードフィールド径より小さい第2モードフィールド径を有する第2光ファイバとを融着接続してなる接続ファイバを有するモードフィールド変換器であって、
    前記接続ファイバの融着接続部は、該融着接続部におけるモードフィールド径が前記第1光ファイバ側から前記第2光ファイバ側にかけて漸次小さくなるように、前記第1光ファイバの構成材料と前記第2光ファイバの構成材料とが相互に熱拡散されてなることを特徴とする、モードフィールド変換器。
  2. 前記融着接続部の外径は、前記第1光ファイバおよび前記第2光ファイバの外径以下である、請求項1に記載のモードフィールド変換器。
  3. 第1モードフィールド径を有する第1光ファイバの一端と、前記第1モードフィールド径より小さい第2モードフィールド径を有する第2光ファイバの一端とを離間して対向配置した状態で、前記第1光ファイバの一端と前記第2光ファイバの一端とを加熱して融着接続する融着接続工程を含む、モードフィールド変換器の製造方法。
  4. 前記第1光ファイバの一端と前記第2光ファイバの一端との離間距離は、0μmを越えて10μm以下である、請求項3に記載のモードフィールド変換器の製造方法。
  5. 前記融着接続工程では、前記第1光ファイバおよび前記第2光ファイバを、各軸心を中心として回転させつつ加熱を行う、請求項3または4に記載のモードフィールド変換器の製造方法。
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