JP4234069B2 - 光ファイバの接続構造、光ファイバ型光部品及び分散補償ファイバモジュール - Google Patents
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Description
既に広範囲に敷設されている1.3μm帯零分散シングルモード光ファイバ(S−SMF;Standard Single-Mode Fiber)は、1.55μm帯で約+17ps/nm/kmの波長分散を持つため、高速伝送では伝送距離が制限されてしまう。各種非零(ノンゼロ)分散シフト光ファイバ(NZ−DSF;Non-Zero Dispersion Shifted Fiber)も、S−SMFよりも波長分散は小さく抑えられているが、高速伝送では同様に伝送距離が制限されてしまう。そのため、伝送速度の高速化、長距離化のためには分散補償デバイスが必須である。
これまで、各種伝送用光ファイバそれぞれについて分散スロープと分散を同時に補償可能な分散補償ファイバモジュールが開発され実用化されている。
これらの分散補償ファイバは、モジュール化して伝送路の端局に挿入されるのが一般的である。そのため、分散補償ファイバの両端には、伝送路と同じS−SMF(又は、NZ−DSF)が低損失で融着接続され、伝送路に挿入するときには、同種ファイバを接続(コネクタ、又は融着接続)すればよい構成になっている。
そのため、従来は分散補償ファイバとS−SMFを融着接続して接続部を加熱することで、分散補償ファイバのMFDの拡大を行い接続損失を下げる方法や、分散補償ファイバとS−SMFの間に、コアが拡散しやすいような構造を有する中間光ファイバを介在させる方法が取られてきた(例えば、特許文献1参照。)。
フォトニック結晶ファイバとMFDが相対的に大きい被接続ファイバを接続する際に、双方の光ファイバに対して中間的なMFDを有するバッファ光ファイバを挿入して接続する方法が、特許文献2,特許文献3に開示されている。
また、中間ファイバを用いた場合、中間ファイバとS−SMFのMFD差は5μm程度あるため、MFDの拡大を行ったとしても、フィールド分布のミスマッチなどから、接続損失の低減にも限界があり、中間ファイバの両端の損失合計で0.2〜0.3dB程度が限界であった。
また本発明は、それぞれ異なるモードフィールド径を持つ第1及び第2の光ファイバの接続構造において、これらの第1及び第2の光ファイバの間に、クラッド部より高い屈折率のコア部を持ち、少なくともクラッド部に3個以上の空孔を有するホーリーファイバを挿入し、このホーリーファイバの一端面を、前記第1及び第2の光ファイバのうちモードフィールド径の小さい第1の光ファイバの一端面に空孔を保持した状態で接続し、ホーリーファイバの他端部に、ホーリーファイバの空孔径を漸次縮小させた空孔漸減部を設け、このホーリーファイバの他端面をモードフィールド径の大きい第2の光ファイバの一端面に接続してなり、前記第1の光ファイバが分散補償ファイバであり、第2の光ファイバが1.55μm帯非零分散シングルモード光ファイバであり、前記ホーリーファイバの空孔部以外のクラッド部に対するコア部の比屈折率差が0.3%〜0.5%であり、前記ホーリーファイバの一端面のモードフィールド径と前記分散補償ファイバのモードフィールド径との差が±1.0μm以内であり、空孔漸減部を設けたホーリーファイバの他端面のモードフィールド径と前記1.55μm帯非零分散シングルモード光ファイバのモードフィールド径との差が±0.5μm以内であることを特徴とする光ファイバの接続構造を提供する。
また本発明は、前述した本発明に係る光ファイバの接続構造を有することを特徴とする分散補償ファイバモジュールを提供する。
例えば、MFDの小さな分散補償ファイバとMFDの大きな口出し用の伝送用ファイバを接続する構造において、分散補償ファイバと口出し用の伝送用ファイバの間に、クラッド部より高い屈折率のコア部を持ち、少なくともクラッド部に3個以上の空孔を有するホーリーファイバを挿入し、このホーリーファイバの一端面を空孔を保持した状態で分散補償ファイバに接続し、このホーリーファイバの他端部に空孔径を漸次縮小させた空孔漸減部を設け、この他端面のMFDを拡張して伝送用ファイバのMFDと同等な値を持つようにし、この他端面を伝送用ファイバの一端面に接続することで、低損失な接続構造を得ることが可能となった。その結果、口出しファイバの融着接続損失を含めた分散補償ファイバモジュールの損失を低くすることができる。
図1は本発明による光ファイバの接続構造の一実施形態を示す要部側面図であり、図中符号1は第1の光ファイバ、2は第2の光ファイバ、3はホーリーファイバ、4は第1の光ファイバ1のコア部、5はホーリーファイバ3のコア部、6は第2の光ファイバ2のコア部、7は空孔、8は空孔漸減部、9はホーリーファイバ3の一端面、10はホーリーファイバ3の他端面、11は第1の融着接続部、12は第2の融着接続部である。
MFDが通常の伝送用光ファイバのMFDと大きく異なる例としては、高非線形ファイバなどがあるが、本発明は分散補償ファイバと伝送用光ファイバとの接続、高非線形ファイバと伝送用光ファイバとの接続にのみ限定されるものではない。MFD差が非常に大きい組み合わせの場合、本発明の接続構造は有効である。
本発明の分散補償ファイバモジュールは、前述した本発明に係る光ファイバの接続構造を備えたものなので、従来品に比べて低損失で分散補償を行うことができる。
本実施例では、図2に示すように、クラッド部22よりも高屈折率のコア21の周囲に6個の空孔23を有するホーリーファイバ20を用いた。このホーリーファイバ20は、S−SMF製造用母材の所定位置に孔を穿設し、その母材を通常の伝送用光ファイバの線引き方法と同様の方法で作製した。
このコア部21は、S−SMFと同等のΔ=0.34%のコア−クラッド比屈折率差を有している。空孔23がない場合は、S−SMFと同等のMFD、カットオフ波長などの光学特性を有している。このホーリーファイバ20の空孔径、空孔間隔、コア直径、光学特性を表1に示す。
S−SMF用分散補償ファイバの特性を表2に示す。また、この分散補償ファイバを用いた分散補償ファイバモジュールの口出しに用いるS−SMFの特性を表3に示す。
次に、図4に示すように、空孔漸減部28を形成したホーリーファイバ20の他端面31にS−SMF29を融着接続して第2の融着接続部32を形成した。この第2の融着接続部32は、空孔漸減部28を形成し、空孔23を完全に潰したホーリーファイバ20の他端面31と、S−SMF29の一端面とが融着接続され、この第2の融着接続部32においてはホーリーファイバ20のコア部21とS−SMF29のコア部30の直径が等しく、またそれぞれのMFDが等しくなっている。
本実施例では、分散補償ファイバ24として、表4に示したS−SMF用分散補償ファイバを用いた以外は、実施例1と同様とした。本実施例で用いた分散補償ファイバ24の特性を表4に示す。
次に、図4に示すように、空孔漸減部28を形成したホーリーファイバ20の他端面31にS−SMF29を融着接続して第2の融着接続部32を形成した。この第2の融着接続部32は、空孔漸減部28を形成し、空孔23を完全に潰したホーリーファイバ20の他端面31と、S−SMF29の一端面とが融着接続され、この第2の融着接続部32においてはホーリーファイバ20のコア部21とS−SMF29のコア部30の直径が等しく、またそれぞれのMFDが等しくなっている。
実施例1と同様にして、図2に示すような構造を持ったホーリーファイバを作製した。コア部は、S−SMFよりも僅かにコア−クラッド比屈折率差が高いΔ=0.40%を有している。空孔がない場合は、NZ−DSFと同等のMFDを有する母材を用いた。製造したホーリーファイバの空孔径、空孔間隔、コア直径、光学特性を表5に示す。
NZ−DSF用分散補償ファイバの特性を表6に示す。また、この分散補償ファイバを用いた分散補償ファイバモジュールの口出しに用いるNZ−DSFの特性を表7に示す。
次に、図4に示すように、融着接続機を用いてホーリーファイバの他端部の空孔を長手方向に沿って漸次潰しながら、他端面では空孔を完全に潰して空孔漸減部を形成した。このときの他端面のMFDは波長1.55μmにおいて9.6μmであった。
次に、このホーリーファイバの他端面と、表7に示す特性を有するNZ−DSFの一端面を接続して第2の融着接続部を形成した。
このように、ホーリーファイバを介在させて分散補償ファイバとNZ−DSFを接続した場合、第1の融着接続部と第2の融着接続部の接続損失は合計で0.15dBとなり、従来の接続損失に比べて半分程度の低損失な接続構造が得られた。
Claims (4)
- それぞれ異なるモードフィールド径を持つ第1及び第2の光ファイバの接続構造において、これらの第1及び第2の光ファイバの間に、クラッド部より高い屈折率のコア部を持ち、少なくともクラッド部に3個以上の空孔を有するホーリーファイバを挿入し、このホーリーファイバの一端面を、前記第1及び第2の光ファイバのうちモードフィールド径の小さい第1の光ファイバの一端面に空孔を保持した状態で接続し、ホーリーファイバの他端部に、ホーリーファイバの空孔径を漸次縮小させた空孔漸減部を設け、このホーリーファイバの他端面をモードフィールド径の大きい第2の光ファイバの一端面に接続してなり、前記第1の光ファイバが分散補償ファイバであり、第2の光ファイバが1.3μm帯零分散シングルモード光ファイバであり、前記ホーリーファイバの空孔部以外のクラッド部に対するコア部の比屈折率差が0.3%〜0.4%であり、前記ホーリーファイバの一端面のモードフィールド径と前記分散補償ファイバのモードフィールド径との差が±1.0μm以内であり、空孔漸減部を設けたホーリーファイバの他端面のモードフィールド径と前記1.3μm帯零分散シングルモード光ファイバのモードフィールド径との差が±0.5μm以内であることを特徴とする光ファイバの接続構造。
- それぞれ異なるモードフィールド径を持つ第1及び第2の光ファイバの接続構造において、これらの第1及び第2の光ファイバの間に、クラッド部より高い屈折率のコア部を持ち、少なくともクラッド部に3個以上の空孔を有するホーリーファイバを挿入し、このホーリーファイバの一端面を、前記第1及び第2の光ファイバのうちモードフィールド径の小さい第1の光ファイバの一端面に空孔を保持した状態で接続し、ホーリーファイバの他端部に、ホーリーファイバの空孔径を漸次縮小させた空孔漸減部を設け、このホーリーファイバの他端面をモードフィールド径の大きい第2の光ファイバの一端面に接続してなり、前記第1の光ファイバが分散補償ファイバであり、第2の光ファイバが1.55μm帯非零分散シングルモード光ファイバであり、前記ホーリーファイバの空孔部以外のクラッド部に対するコア部の比屈折率差が0.3%〜0.5%であり、前記ホーリーファイバの一端面のモードフィールド径と前記分散補償ファイバのモードフィールド径との差が±1.0μm以内であり、空孔漸減部を設けたホーリーファイバの他端面のモードフィールド径と前記1.55μm帯非零分散シングルモード光ファイバのモードフィールド径との差が±0.5μm以内であることを特徴とする光ファイバの接続構造。
- 請求項1又は2に記載の光ファイバの接続構造を有することを特徴とする光ファイバ型光部品。
- 請求項1又は2に記載の光ファイバの接続構造を有することを特徴とする分散補償ファイバモジュール。
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