JP2015014231A - エンジンの再始動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】再始動制御手段(20)は、再始動条件が成立したときに、車輪(18)がエンジン(1)を再始動させるための駆動力を保有しているか否かを判定し、この判定結果を前記再始動条件として出力する再始動判定部(20B)と、再始動判定部(20B)が前記駆動力を保有していると判定した場合に、スタータモータ(3)の駆動を停止させるスタータモータ制御部(20C)とを備える。
【選択図】図1
Description
また、エンジンの制御装置としては、燃料供給を停止した後、燃料供給を再開させる場合に、クラッチを徐々に結合させるエンジンの再始動制御装置が知られている。
このようなエンジンの制御装置としては、以下のような先行技術文献がある。
ところが、上記の特許文献1では、エンジンを再始動させる際、スタータモータがエンジン回転数を上昇させた後で燃料供給を再開し、エンジンを始動させているため、スタータモータが消費する電力を、再始動後のエンジンが発電機を駆動させて回収する必要があり、燃費を悪化させる要因となっていた。
また、上記の特許文献1では、車両の惰性走行時(コースト走行時)等でエンジンブレーキを必要としない場合に、無段変速機内の油圧クラッチを開放しているが、この油圧クラッチの開放中においても、エンジンがアイドリング回転数を維持するための燃料を消費している不具合があった。
図1に示すように、車両には、エンジン1と、このエンジン1に連結した変速機2とが搭載される。
エンジン1は、アイドルストップ機能を有するものであり、スタータモータ3と、燃料噴射装置4とを備える。また、エンジン1には、発電機が備えられる。
変速機2は、油圧クラッチ付の無段変速機(CVT)であり、プライマリプーリ5と、セカンダリプーリ6と、プライマリプーリ5及びセカンダリプーリ6に巻き掛けられたベルト7とを備える。
また、変速機2には、エンジン1側の入力軸8にトルクコンバータ9とオイルポンプ10と油圧クラッチ(以下「クラッチ」という)11とが備えられるとともに、このクラッチ11に油圧を作用させる電動オイルポンプ12が備えられる。クラッチ11は、エンジン1を変速機2に接続するものであって、電動オイルポンプ12からの油圧によってエンジン1と変速機2とを結合・開放するように動作される。
更に、変速機2には、セカンダリプーリ6に連結した中間軸13と、この中間軸13に接続した減速機構14とが設けられる。この減速機構14は、中間軸13に接続したドライブギヤ15と、このドライブギヤ15に噛み合ったドリドリブンギヤ16とからなる。このドリドリブンギヤ16は、出力軸17の一端に取り付けられている。この出力軸17の他端には、車輪18が取り付けられている。
この再始動制御装置19は、再始動制御手段20を備える。この再始動制御手段20には、スタータモータ3と、燃料噴射装置4と、変速機2のプライマリプーリ5又はセカンダリプーリ6と、クラッチ11と、電動オイルポンプ12とが接続している。
また、再始動制御手段20には、クランク角を検出して車速センサとしての機能を備えるクランク角センサ21と、アクセルペダルの踏み込み状態を検出するアクセルペダルセンサ22と、ブレーキペダルの踏み込み状態を検出するブレーキペダルセンサ23と、電動オイルポンプ12からクラッチ11への油圧をプライマリプーリ回転数として検出するプライマリプーリ回転数センサ24とが接続する。なお、アクセルペダルセンサ22の代わりに、スロットルポジションセンサとすることも可能である。
再始動制御手段20は、前記再始動条件が成立すると、エンジン1のエンジン回転数を上昇させるように、スタータモータ3を駆動する。
また、再始動制御手段20は、再始動判定部20Bが前記駆動力を保有していると判定した場合に、スタータモータ3の駆動を停止させるスタータモータ制御部20Cを備える。
一方で、クラッチ11の開放による惰性走行中(コースト走行中)において、エンジン1の再始動の直前に登り坂へ入った場合や、急ブレーキ等による急減速が必要な場合等で早急なエンジン再始動が必要な場合では、従来通り、スタータモータ3を作動させてエンジン1を再始動させる。
図3には、エンジン停止制御のフローチャートを示す。このエンジン停止制御は、いわゆる通常の運転状態のとき、繰り返し実行される制御である。この制御は、車両が惰行走行中(コースト走行中)と判定された場合に、エンジン1を停止した後で行われなくなり、その後、エンジン1が復帰した場合には、再開される。
図3に示すように、再始動制御手段20のプログラムがスタートすると(ステップA01)、車両が惰行走行中(コースト走行中)か否かを判定する(ステップA02)。具体的には、アクセル開度が零(0)であって、車速が設定値以上である状態が設定時間以上経過した場合、惰行走行中(コースト走行中)と判定する。なお、この判定は、下り坂を走行中であるか否かを検出しても良い。この場合は、傾斜センサを用いて、下り坂を判定することができる。
このステップA02がNOの場合には、この判定を継続する。
このステップA02がYESの場合には、クラッチ11を開放する(ステップA03)。つまり、このステップA03では、再始動制御手段20は、電動オイルポンプ12を作動制御してクラッチ11への油圧を低下させ、クラッチ11を開放する。ただし、エンジンブレーキが必要である場合は、クラッチ11が滑るように調整し、摩擦抵抗が発生するようにしても良い。この場合、例えば、定行速度が高い場合は、摩擦抵抗が高くなるようにクラッチ11を調整し、定行速度が低くなる場合は、摩擦抵抗が低くなるように調整することができる。
そして、エンジン1を停止し(ステップA04)、プログラムをエンドとする(ステップA05)。
図4に示すように、再始動制御手段20のプログラムがスタートすると(ステップB01)、運転者によるエンジン1の始動要求があるか否かを判定する(ステップB02)。このエンジン1の再始動要求は、例えば、アクセルペダルの踏み込みや、ブレーキペダルの踏み込みを検出している。なお、ブレーキペダルの踏み込みによりエンジン1を再始動させる理由は、エンジンブレーキによる制動力を得るためである。
このステップB02がNOの場合には、この判定を継続する。
このステップB02がYESの場合には、出力軸17側の必要回転変化量dN/dtを算出する(ステップB03)。このステップB03において、プライマリプーリ回転数センサ24の出力値に基づき、出力軸17のエンジン始動に要するトルクTを算出し、このトルクTを、dN/dt=T*60/(I*G*2π)の(式)に代入する。
具体的に説明すると、車両がエンジン始動に要する慣性エネルギを有しているかどうかは、以下の(式)の計算方法により判断する。
dN/dt=T*60/(I*G*2π)……(式)
ここで、
dN/dt:出力軸側の必要回転変化量
2π/60*dN/dt:単位時間クラッテ回転数変化量
dN:クラッチ回転数変化量
dt:クラッチ結合時間
T:エンジン始動に要するトルク
I:予め算出されたクラッチ出力側から車輪までの部品の慣性重量
G:重力加速度
である。
上記の(式)では、プライマリプーリ回転数センサ24の出力値に基づき、出力軸17側のトルクTを算出し、そして、出力軸17側の必要回転変化量dN/dtを算出し、プライマリプーリ回転数センサ24の出力値に基づき、クラッチ11の結合によるプライマリプーリ回転数の低下量を予測する。クラッチ11の結合においても、プライマリプーリ回転数が零(0)にならない場合には、エンジン再始動可能と判断し、クラッチ11の結合によりエンジン1を再始動させる。エンジン1の再始動に必要なトルクは分かっているため、予め算出されたクラッチ11の出力側から車輪18までの部品の慣性重量を用いて、上記の(式)よりエンジン1の始動に必要な必要回転変化量dN/dtを算出できる。
そして、dN/dt≧設定値か否かを判定する(ステップB04)。つまり、このステップB04では、再始動制御手段20は、必要回転変化量dN/dtが、設定値以上であるか否かを判定する。設定値は、この設定値を下回ると、車輪18側の回転数が零(0)となる危険性がある値に設定される。また、この設定値は、予め実験によって求めた値か、経験により予測された値として設定される。
このステップB04がYESの場合には、クラッチ11を結合する(ステップB05)。つまり、再始動制御手段20は、必要回転変化量dN/dtが設定値以上である場合、十分な駆動力を得られると判断し、電動オイルポンプ12による油圧によってクラッチ11を結合させる。この結合によるクラッチ11の入力側・出力側の動きは、例えば、50km/hで走行時のクラッチ開放により慣性走行からエンジン再始動させる際を例にあげと、図5に示すようになる。
そして、変速比(プーリ比)を下げる(ステップB06)。つまり、再始動制御手段20は、出力軸17の回転数が急激に低下することを避けるため、変速比を低下させる。具体的に説明すると、クラッチ11の結合による出力軸17の回転数の低下は、運転者に減速感を与える可能性があるため、クラッチ11の結合の際には、変速比をHigh側ヘシフトさせて車輪18の回転数が変化しないように、変速比の制御を行う。
その後、エンジン1を再始動する(ステップB07)。
一方、前記ステップB04がNOの場合には、スタータモータ3によるエンジン1の再始動を実施する(ステップB08)。つまり、このステップB08では、車速が低い場合等で、プライマリプーリ回転数がクラッチ11の結合により零(0)になる可能性がある場合には、エンジン1の始動に十分ではないと判断し、従来通り、スタータモータ3にてエンジン1を再始動させる。
前記ステップB07の処理後、又は前記ステップB08の処理後は、プログラムをエンドとする(ステップB09)。
このような構成により、車輪18が十分な駆動力を保有している場合は、スタータモータ3を停止させた状態でエンジン1が再始動されるため、スタータモータ3による電力の消費が抑えられる。従って、エンジン1によって発電機を駆動させる必要がなく、燃料消費量を低減することができる。
即ち、クラッチを開放ではなく、クラッチをスリップ制御し、そのときのスリップ回転数を調整することで、エンジンブレーキによる車両減速力を調節することができる。例えば、急な下り坂ではエンジンブレーキを強めに効かせ、緩やかな下り坂ではスリップ回転数を少なくしてエンジンブレーキによる減速力を調整する。
また、油圧クラッチではなく、ロックアップクラッチを使用することで、同様の効果を得られる。しかし、ロックアップクラッチを開放してもトルクコンバータ内の相対回転によってエンジンが回転するため、エンジンブレーキによる減速力を無くすことはできない。走行中のロックアップクラッチは、結合したまま油圧クラッチの開放・結合によって効果を得る。
2 変速機
3 スタータモータ
4 燃料噴射装置
5 プライマリプーリ
6 セカンダリプーリ
7 ベルト
8 入力軸
9 トルクコンバータ
10 オイルポンプ
11 クラッチ
12 電動オイルポンプ
17 出力軸
18 車輪
19 再始動制御装置
20 再始動制御手段
20A アイドルストップ制御部
20B 再始動判定部
20C スタータモータ制御部
21 クランク角センサ
22 アクセルペダルセンサ
23 ブレーキペダルセンサ
24 プライマリプーリ回転数センサ
Claims (1)
- エンジンと、前記エンジンにクラッチを介して接続された変速機と、前記変速機に接続された車輪と、車両減速時に燃料停止条件が成立すると燃料供給を停止させ且つ前記クラッチを開放し、その後、再始動条件が成立すると燃料供給を再開させ且つ前記クラッチを結合する再始動制御手段と、前記再始動条件が成立すると前記エンジンのエンジン回転数が上昇するように前記再始動制御手段によって駆動されるスタータモータとを備えるエンジンの再始動制御装置において、前記再始動制御手段は、前記再始動条件が成立したときに、前記車輪が前記エンジンを再始動させるための駆動力を保有しているか否かを判定し、この判定結果を前記再始動条件として出力する再始動判定部と、前記再始動判定部が前記駆動力を保有していると判定した場合に、前記スタータモータの駆動を停止させるスタータモータ制御部とを備えることを特徴とするエンジンの再始動制御装置。
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