JP2015013746A - エスカレータ落下防止装置 - Google Patents

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純一 鍋谷
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Abstract

【課題】 大規模地震の発生時、破断や取付部の破壊が生じることなく、エスカレータの落下を防ぐことができるエスカレータ落下防止装置と提供する。
【解決手段】 本発明に係るエスカレータ落下防止装置100は、エスカレータ30と階床40とを繋ぎ、複数のリンクが連結されてなるリンクチェーン10を備え、リンクチェーン10が、長手方向に所定の引張荷重が作用した場合に塑性曲げを起こす軟性リンク53、および塑性曲げを起こさない硬性リンクを含む。軟性リンク53の湾曲部の曲率半径は、硬性リンクの湾曲部の曲率半径より大きく構成されている。エスカレータ30が階床40から脱落してエスカレータ落下防止装置100に衝撃荷重が作用しても、軟性リンク53の塑性曲げにより衝撃荷重が緩和され、エスカレータ落下防止装置100およびその取付部が破壊することなく、エスカレータ30の落下を防ぐことができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、上下二つの階床に架設されたエスカレータの落下を防止するエスカレータ落下防止装置に関する。
2009年に規定された業界指針においてエスカレータの耐震性能が定められている。この中で、極めて稀に発生する大規模地震時においてもエスカレータ本体が落下しないことが目標とされており、実際にこの指針に従ってエスカレータが設置されてきた。すなわち、大規模地震時に建築物に生ずる層間変形角を想定した上で、この想定された変形に追従する「かかり代」を確保するよう設計されたエスカレータが設置されてきた。しかし、この指針に従って設置されたエスカレータが、平成23年3月の東日本大震災およびその余震により落下するという事象が複数確認された。
そのため、エスカレータの落下防止対策の強化が検討されており、その一つの案として、大規模地震が発生してエスカレータが階床から脱落した場合でも、エスカレータが落下しないようなバックアップ措置を講じる構造が挙げられている。
エスカレータが階床から脱落した場合でも、エスカレータの落下が防止されるような従来の構造の一つとして、特許文献1に示すように、エスカレータのフレームと階床とを、弛緩させたリンクチェーンで連結する構造が知られている。ことのき、リンクチェーンの両端は、エスカレータのフレームおよび階床それぞれに設けられた金具に連結されている(特許文献1、第1図参照)。
しかし、特許文献1に示す構造は、大規模地震による揺れでリンクチェーンが弛緩状態から急に緊張状態に遷移した場合、衝撃荷重によりリンクチェーンが破断する可能性がある。また、リンクチェーンに作用する衝撃荷重により、エスカレータのフレームおよび階床に設けられた金具が破壊する可能性がある。リンクチェーンが破断、または金具が破壊すれば、エスカレータはそのまま落下することになる。
また、エスカレータが階床から脱落した場合でも、エスカレータの落下が防止されるような従来の構造の他の例として、特許文献2に示すように、階床に対するエスカレータの相対的な移動範囲を制限する金具を建築梁に設ける構造が知られている(特許文献2、図1参照)。
しかし、特許文献2に示す構造は、大規模地震による揺れで、移動範囲を制限する金具にエスカレータのフレームが急激に衝突したような場合、衝撃荷重により金具が破壊したり、建築梁から金具が脱落するおそれがある。そして、金具が破壊・脱落した場合、そのままエスカレータが落下することになる。
実開昭61−75483号公報 特開平9−58956号公報
そこで、本発明が解決しようとする課題は、大規模地震の発生時、破断や取付部の破壊が生じることなく、エスカレータの落下を防ぐことができるエスカレータ落下防止装置と提供することである。
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、上下二つの階床に架設されたエスカレータの落下を防止するエスカレータ落下防止装置であって、複数のリンクが連結されてなり、エスカレータと階床とを繋ぐリンクチェーンを備え、前記リンクチェーンが、長手方向に所定の引張荷重が作用した場合に塑性曲げを起こす軟性リンクを含むことを特徴とするエスカレータ落下防止装置である。
請求項1に記載の発明によれば、塑性曲げによりエネルギーを吸収して衝撃荷重を緩和することで、破断や破壊が生じることなく、エスカレータの落下を防ぐことができるエスカレータ落下防止装置を提供することができる。
請求項2に記載の発明は、前記リンクチェーンが、長手方向に前記所定の引張荷重が作用した場合に塑性曲げを起こさない硬性リンク含み、前記軟性リンクの湾曲部の曲率半径が前記硬性リンクの湾曲部の曲率半径より大きいことを特徴とする請求項1に記載のエスカレータ落下防止装置である。
請求項2に記載の発明によれば、湾曲部の曲率半径をそれぞれ変えることにより、軟性リンクと硬性リンクとが構成された、エスカレータ落下防止装置を提供することができる。
請求項3に記載の発明は、前記軟性リンクが真円環であることを特徴とする請求項2に記載のエスカレータ落下防止装置である。
請求項3に記載の発明によれば、形状を真円環とすることにより軟性リンクが構成された、エスカレータ落下防止装置を提供することができる。
請求項4に記載の発明は、前記リンクチェーンが、長手方向に前記所定の引張荷重が作用した場合に塑性曲げを起こさない硬性リンク含み、前記軟性リンクの線径が前記硬性リンクの線径より小さいことを特徴とする請求項1に記載のエスカレータ落下防止装置である。
請求項4に記載の発明によれば、線径をそれぞれ変えることにより、軟性リンクと硬性リンクとが構成された、エスカレータ落下防止装置を提供することができる。
請求項5に記載の発明は、前記リンクチェーンが、長手方向に前記所定の引張荷重が作用した場合に塑性曲げを起こさない硬性リンク含み、前記軟性リンクの材料の降伏応力が前記硬性リンクの材料の降伏応力より低いことを特徴とする請求項1に記載のエスカレータ落下防止装置である。
請求項5に記載の発明によれば、降伏応力の異なる材料をそれぞれ用いることにより、軟性リンクと硬性リンクとが構成された、エスカレータ落下防止装置を提供することができる。
請求項6に記載の発明は、弾性体からなり、前記リンクチェーンの少なくとも一部の区間を内部に収容する、棒状の緩衝体をさらに備え、前記リンクチェーンの前記一部の区間は、隣接するリンク同士に間隙が設けられつつ前記緩衝体の内部に埋設されているとともに、前記間隙に前記弾性体が充填されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエスカレータ落下防止装置である。
請求項6に記載の発明によれば、弾性体からなる緩衝体が衝撃荷重を緩和することにより、衝撃荷重による破断や破壊が生じることなく、エスカレータの落下を防ぐことができるエスカレータ落下防止装置を提供することができる。
本発明によれば、衝撃荷重による破断や破壊が生じることなく、エスカレータの落下を防ぐことができるエスカレータ落下防止装置を提供することができる。
本発明の第一実施形態に係るエスカレータ落下防止装置が取り付けられたエスカレータおよび階床を示す模式図である。 図1の破線Aで囲んだ部分を拡大して示す拡大図である。 本発明の第一実施形態に係るエスカレータ落下防止装置の構成を説明するための図であり、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。 本発明の第二実施形態に係るエスカレータ落下防止装置の構成を説明するための図であり、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。 本発明の第三実施形態および第四実施形態に係るエスカレータ落下防止装置の構成を説明するための図であり、(a)は第三実施形態に係るエスカレータ落下防止装置の部分断面図であり、(b)は第四実施形態に係るエスカレータ落下防止装置の部分断面図である。 本発明の第一実施形態に係るエスカレータ落下防止装置について引張試験を実施して得られた荷重−伸び曲線である。 本発明の第三実施形態に係るエスカレータ落下防止装置について引張試験を実施して得られた荷重−伸び曲線である。
次に、本発明の実施形態について図面に基づき説明する。なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な実施形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
(第一実施形態の構成)
本発明に係るエスカレータ落下装置の第一実施形態について、図1〜3に基づき説明する。図1は、本発明の第一実施形態に係るエスカレータ落下防止装置が取り付けられたエスカレータおよび階床を示す模式図である。図2は、図1の破線Aで囲んだ部分を拡大して示す拡大図である。図3は、本発明の第一実施形態に係るエスカレータ落下防止装置の構成を説明するための図であり、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。
図1に示すように、下側の階床50と上側の階床40との間にエスカレータ30が架設されている。エスカレータ30は、エスカレータ本体34、およびエスカレータ本体34を構造的に支えるフレーム31を有する。エスカレータ本体34は、欄干34a、手すりベルト34b、および図示しない駆動機構を含む。フレーム31はトラスで構成されており、その内部に駆動機構等を収容するとともに、エスカレータ30全体としての構造の強度を負担している。図1に示すエスカレータ30は、階床50により固定的に支持されており、階床40により非固定的に支持されている。階床40は、H型鋼からなる梁41の上に、床板44が載置されて形成されている。そして、エスカレータ落下防止装置100は、エスカレータ30のフレーム31と、階床40の梁41とに連結されている。
図2は、エスカレータ30が上側の階床40により支持されている部分、すなわち非固定側支持部の拡大図である。フレーム31の上部にはアングル35が剛に結合されている。アングル35のフランジ35aは、かかり代Lを確保しつつ、梁41のフランジ41aの上に載っている。なおこのとき、アングル35のフランジ35aと、梁41のフランジ41aとの間には、スペーサ36が介在している。かかり代Lは、大規模地震発生時に想定される、エスカレータ30の階床40に対する相対的な横方向の変形量より大きく設定されている。なお、アングル35のフランジ35aは、梁41のフランジ41aにおける図示の左側に載っている。梁41のフランジ41aの右側には、前述のとおり、床板44が載っている。
フレーム31の下部にはブラケット32が剛に結合されている。ブラケット32には貫通孔からなる第一連結点32aが設けられている。
梁41のウェブ41bにはブラケット42が剛に結合されている。ブラケット42には貫通孔からなる第二連結点42aが設けられている。
リンクチェーン10のリンク11に通されたシャックル33が、ブラケット32の第一連結点32aに装着されていることにより、リンクチェーン10の一端10aがエスカレータ30に設けられた第一連結点32aに連結されている。一方、リンクチェーン10のリンク15に通されたシャックル43が、ブラケット42の第二連結点42aに装着されていることにより、リンクチェーン10の他端10bが階床40に設けられた第二連結点42aに連結されている。
次に、エスカレータ落下防止装置100の構成について、図3に基づき説明する。エスカレータ落下防止装置100はリンクチェーン10を備えている。リンクチェーン10は、複数のリンク11,12,53,14,15が連結されて構成されている。リンク11,12,14,15は同一の形状を有し、幅W1が長手方向寸法Lより短い幅狭の長円環のリンクである。これに対し、リンク53は直径Dの真円環のリンクである。リンク53の直径Dは、リンク11,12,14,15の幅W1より大きく、長手方向寸法Lと同一である。すなわち、リンク53の湾曲部の曲率半径は、リンク11,12,14,15の湾曲部の曲率半径より大きい。なお、リンク11,12,14,15およびリンク53それぞれの線材の線径は同一である。
リンクチェーン10を構成するリンク11,12,53,14,15は、延性を有する合金鋼からなる。リンク11,12,14,15およびリンク53が、それぞれ上述のような形状に形成されていることにより、リンクチェーン10に引張荷重が作用した場合、リンク11,12,14,15に作用するより大きな曲げモーメントがリンク53に作用する。そして、リンク53に作用する曲げモーメントによる曲げ応力が降伏応力に達すると、線材は塑性曲げを起こす。塑性曲げが生じると、引張荷重がなす仕事は熱エネルギーに変換されて散逸される。
エスカレータ落下防止装置100に衝撃荷重が作用する場合、衝撃荷重によるエネルギーは、リンク53の塑性曲げにより熱エネルギーに変換されて散逸されるため、衝撃荷重が緩和されることになる。そして、衝撃荷重が緩和されることによって、エスカレータ落下防止装置100自身の破断が防止され、またエスカレータ落下防止装置100が連結されるブラケット32,42(図2参照)の破壊が防止される。
なお、エスカレータ落下防止装置100のリンクチェーン10に作用する引張荷重が所定の荷重に到達すると、リンク53が先に塑性曲げを起こし、リンク11,12,14,15は塑性曲げを起こさない。すなわち、リンク53は、所定の引張荷重が作用すると塑性曲げが発生する軟性リンクであるのに対して、リンク11,12,14,15は、上述の所定の引張荷重が作用しても塑性曲げが発生しない硬性リンクである。なお、リンク53に塑性曲げが発生すると、図示の上下方向に伸びた形状となる。
図2に示すように、エスカレータ落下防止装置100のリンクチェーン10はシャックル33,43を介してエスカレータ30および階床40に連結されている。シャックル33,43は合金製が好適である。なお、シャックル33,43に代えてフックやサルカン等の適宜な連結部材を選択することも勿論可能である。また、ブラケット32,42の取付位置も適宜に設定することが可能である。
なお、図2に示すように、微小な振動ではエスカレータ落下防止装置100のリンクチェーン10は弛んだ状態で連結されているため、エスカレータ落下防止装置100には張力は作用せず、リンクチェーン10に繰返し応力が作用することがないため、疲労寿命が問題となることはない。
(第二実施形態の構成)
次に、本発明に係るエスカレータ落下防止装置の第二実施形態について、図4を用いて説明する。なお、以下においては、第一実施形態との相違点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。図4は、本発明の第二実施形態に係るエスカレータ落下防止装置の構成を説明するための図であり、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。
第二実施形態に係るエスカレータ落下防止装置100も、第一実施形態と同様に、図1に示すエスカレータ30のフレーム31と、階床40の梁41とを連結している。第一実施形態との相違点は、エスカレータ落下防止装置100のリンクチェーン10の構成である。図4に示すように、第二実施形態に係るエスカレータ落下防止装置100のリンクチェーン10は、複数のリンク11,62,63,64,15が連結されて構成されている。リンク11,15およびリンク62,63,64はいずれも長円環のリンクであり、長手方向寸法Lを有する。しかし、リンク62,63,64の幅W2の方がリンク11,15の幅W1より広く形成されている。すなわち、リンク62,63,64の湾曲部の曲率半径は、リンク11,15の湾曲部の曲率半径より大きい。なお、リンク11,15およびリンク62,63,64それぞれの線材の線径は同一である。
リンクチェーン10を構成するリンク11,62,63,64,15は、延性を有する合金鋼からなる。リンク11,15およびリンク62,63,64が、それぞれ上述のような形状に形成されていることにより、リンクチェーン10に引張荷重が作用した場合、リンク11,15に作用するより大きな曲げモーメントがリンク62,63,64に作用する。そして、リンク62,63,64に作用する曲げモーメントによる曲げ応力が降伏応力に達すると、線材は塑性曲げを起こす。塑性曲げが生じると、引張荷重がなす仕事は熱エネルギーに変換されて散逸される。
したがって、第二実施形態も第一実施形態と同様に、衝撃荷重は塑性曲げにより緩和される。そして衝撃荷重が緩和されることによって、エスカレータ落下防止装置100自身の破断が防止され、またエスカレータ落下防止装置100が連結されるブラケット32,42(図2参照)の破壊が防止される。第二実施形態においては、リンク62,63,64が、所定の引張荷重が作用すると塑性曲げが発生する軟性リンクであるのに対して、リンク11,15は、上述の所定の引張荷重が作用しても塑性曲げが発生しない硬性リンクである。第二実施形態では、リンク62,63,64が軟性リンクとして衝撃荷重によるエネルギーを吸収することになる。
なお、第一、第二実施形態においては、硬性リンクと軟性リンクとを、線径が同一でありつつも、湾曲部の曲率半径が異なるよう構成している。しかし、硬性リンクと軟性リンクとはこの態様に限られず、例えば、軟性リンクの線径を硬性リンクの線径より小さく設定することにより、引張荷重が作用した場合に軟性リンクが硬性リンクよりも早く塑性曲げを起こすよう構成することも可能である。
また、第一、第二実施形態においては、硬性リンクと軟性リンクとで同一の合金鋼を用いるよう構成している。しかし、硬性リンクと軟性リンクとはこの態様に限られず、例えば、軟性リンクの材料の降伏応力が硬性リンクの材料の降伏応力より低くなるよう選択することも可能であり、具体的には、軟性リンクをアルミ製とし、硬性リンクを鋼製とすることも可能である。このように構成してもまた、引張荷重が作用した場合に軟性リンクが硬性リンクよりも早く塑性曲げを起こすよう構成することが可能となる。
(第三実施形態および第四実施形態の構成)
次に、本発明に係るエスカレータ落下防止装置の第三、第四実施形態について、図5を用いて説明する。なお、以下においては、第一、第二実施形態との相違点を中心に説明し、対応する箇所には同一の符号を付して説明する。図5は、本発明の第三実施形態および第四実施形態に係るエスカレータ落下防止装置の構成を説明するための図であり、(a)は第三実施形態に係るエスカレータ落下防止装置の部分断面図であり、(b)は第四実施形態に係るエスカレータ落下防止装置の部分断面図である。
まず、第三実施形態について説明する。第三実施形態に係るエスカレータ落下防止装置100は、第一実施形態と同様に、図1に示すエスカレータ30のフレーム31と、階床40の梁41とを連結している。第一実施形態との相違点は、エスカレータ落下防止装置100が、リンクチェーン10の他に、さらに棒状の緩衝体20を備えるという点である。
図5(a)に示す、第三実施形態に係るエスカレータ落下防止装置100のリンクチェーン10は、第一実施形態と同様に、硬性リンクであるリンク11,12,14,15、および軟性リンクであるリンク53から構成され、第一実施形態と同様の順序で連結されている。リンクチェーン10のうち、図示のXからYまでの区間が、緩衝体20の内部に収容されている。すなわち、リンク12,53,14は緩衝体20の内部に完全に収容されて外部には全く露出せず、リンク11およびリンク15は、リンクの長さの約半分程度が緩衝体20の端部から露出している。
隣接するリンク12とリンク53との間、および隣接するリンク14とリンク53との間には、それぞれ間隙10c,10dが設けられており、間隙10c,10dにも緩衝体20と同材料の弾性体が充填されている。すなわち、隣接するリンク12,53およびリンク53,14は直接接触しておらず、リンクチェーン10における引張荷重の伝達は、間隙10c,10dに充填された弾性体を介して行われる。
緩衝体20の形状は円柱形であって、円柱の径を適宜選択することによりエスカレータ落下防止装置100が有する剛性を設定することができるが、緩衝体20の形状も任意に選択することができる。なお、全ての隣接するリンク11,12,53,14,15同士の間に間隙を設ける必要は無く、間隙の個数やその寸法は適宜設定することができる。間隙の個数やその寸法を選択することによっても、エスカレータ落下防止装置100が有する剛性を設定することができる。
エスカレータ落下防止装置100はリンクチェーン10と緩衝体20との複合体であるため、全体として弾性を有し、リンクチェーン10の軟性リンクにのみならず、緩衝体20によっても、衝撃荷重を緩和することができる。すなわち、緩衝体20における荷重の伝達は、リンク同士の間に存在する弾性体を介してなされるため、後述するように、突発的な衝撃荷重により作用する応力のピークのレベルを緩和することができる。すなわち、衝撃荷重の一部はまず緩衝体20によって緩和され、さらに作用する衝撃荷重は軟性リンクの塑性曲げによって緩和される。
次に第四実施形態について説明する。第四実施形態も第三実施形態と同様に、エスカレータ落下防止装置100がリンクチェーン10の他に、さらに棒状の緩衝体20を備える。第四実施形態と第三実施形態のとの相違点は、リンクチェーン10の構成である。図5(b)に示す第四実施形態に係るエスカレータ落下防止装置100のリンクチェーン10は、第二実施形態と同様に、硬性リンクであるリンク11,15、および軟性リンクであるリンク62,63,64から構成され、第二実施形態と同様の順序で連結されている。リンクチェーン10のうち、図示のXからYまでの区間が、緩衝体20の内部に収容されている。すなわち、リンク62,63,64は緩衝体20の内部に完全に収容されて外部には全く露出せず、リンク11およびリンク15は、リンクの長さの約半分程度が緩衝体20の端部から露出している。
隣接するリンク62とリンク63との間、および隣接するリンク64とリンク63との間には、それぞれ間隙10c,10dが設けられており、間隙10c,10dにも緩衝体20と同材料の弾性体が充填されている。すなわち、隣接するリンク62,63およびリンク63,64は直接接触しておらず、リンクチェーン10における引張荷重の伝達は、間隙10c,10dに充填された弾性体を介して行われる。
その他の構成は第三実施形態と同様であるため、説明を省略する。第四実施形態も第三実施形態と同様に、緩衝体20と軟性リンクとで、衝撃荷重を緩和するよう構成されている。
(エスカレータ落下防止装置の動作)
次に、エスカレータ落下防止装置100の動作について、図1〜5および図6,7に基づき説明する。図6は、本発明の第一実施形態に係るエスカレータ落下防止装置について引張試験を実施して得られた荷重−伸び曲線であり、図7は、本発明の第三実施形態に係るエスカレータ落下防止装置について引張試験を実施して得られた荷重−伸び曲線である。なお、図6,7における実線は、それぞれ本発明の第一、第三実施形態に係るエスカレータ落下防止装置(リンクチェーン+緩衝体)の引張試験の結果を示す曲線であり、破線は、リンクチェーンのみの引張試験の結果を示す曲線である。
前述のとおり、図1に示すエスカレータ30は、上下二つの階床40,50に架設されており、階床50により固定的に支持されており、階床40により非固定的に支持されている。図1に示す建築物において大規模地震が発生すると、エスカレータ30は階床40,50に対して相対的に、図示の左右方向に振動する。このとき、エスカレータ30は階床50により固定的に支持されているため、非固定的な支持箇所であるエスカレータ30と階床40との間で、図示の左右方向にずれが発生する。そして、階床40に対する相対的なエスカレータ30の左方向への移動距離が、図2に示すかかり代Lを超えたとき、アングル35のフランジ35aが梁41のフランジ41aから脱落することにより、フレーム31が梁41からの支持を失う。すなわち、図1における、エスカレータ30の、階床40による非固定的支持が外れる。
エスカレータ30のフレーム31が階床40の梁41から脱落すると、エスカレータ落下防止装置100が張り、それ以上の落下が妨げられる。このときエスカレータ落下防止装置100には衝撃荷重が作用する。しかし、本発明に係るエスカレータ落下防止装置は、図6,7に示すような特性を有するため衝撃荷重が緩和される。
本発明の第一実施形態に係るエスカレータ落下防止装置100は、図6における実線で示すように、荷重がpに至るまでは弾性的な挙動を取る。そして、荷重がpに到達すると、エスカレータ落下防止装置100のチェーンリンク10のうち、軟性リンク(リンク53)が塑性曲げを起こし、伸びが大きくなる(「塑性曲げ」と記載した領域)。そして荷重がyに到達すると、引張荷重により全体が塑性伸びを起こす(「塑性伸び」と記載した領域)。これに対して、硬性リンクのみからなるリンクチェーンの場合、荷重kに至るまで弾性領域である。したがって、本発明の実施形態に係るエスカレータ落下防止装置100に衝撃荷重が作用した場合、荷重pで塑性曲げが始まり、塑性曲げによってエネルギーが吸収されるため、衝撃荷重が緩和される。すなわち、衝撃荷重に起因する衝撃応力が低減され、破断するおそれが少ない。そして衝撃荷重が緩和されるため、ブラケット32,42に作用する衝撃応力も低減され、破壊するおそれが少ない。したがって、第一実施形態に係るエスカレータ落下防止装置100は、エスカレータの落下を防止することができる。
なお、硬性リンクのみで構成されたリンクチェーンの場合は、図6における破線で示すように、荷重pを超える荷重kに至るまで、塑性変形をせず弾性領域であり、この間高い剛性が維持される。そのため、もしも硬性リンクのみで構成されたリンクチェーンでエスカレータ30と階床40とを連結した場合は、衝撃荷重が作用しても緩和されることはなく、リンクチェーンが破断するおそれが生じ、また連結先のブラケットが破壊するおそれが生じる。
第二実施形態に係るエスカレータ落下防止装置についても、軟性リンクを備えることにより第一実施形態と同様な特性を有するため、第一実施形態と同様な効果を奏する。
本発明の第三実施形態に係るエスカレータ落下防止装置100は、図7における実線で示すように、所定の伸びEに至るまでは、隣接するリンク同士の間隙10c,10d(図5(a)参照)に充填された弾性体が圧縮変形して間隙10c,10dが狭くなる余地があるため、小さな荷重で容易に伸び、剛性は低い。そして、所定の伸びEに到達したあとは、間隙10c,10dに充填された弾性体に圧縮変形できる余地がもはやなくなり、リンクチェーン10の引張変形が主となり、伸びるためには大きな荷重が必要となるため、剛性が高くなる。したがって、本発明の実施形態に係るエスカレータ落下防止装置100に衝撃荷重が作用した場合、伸びEに至るまで変形が吸収されるため、衝撃荷重が緩和される。すなわち、衝撃荷重に起因する衝撃応力が低減され、破断するおそれが少ない。また、衝撃荷重により緩衝体20に蓄積されるエネルギーの一部が熱エネルギーに変換され散逸することにより、さらに衝撃荷重が緩和される。そして衝撃荷重が緩和されるため、ブラケット32,42に作用する衝撃応力も低減され、破壊するおそれが少ない。また、伸びEに到達したあと、剛性がいったん高くなっても、荷重pに到達した後は軟性リンク(リンク53)が塑性曲げを起こすため、衝撃荷重によるエネルギーを吸収する。したがって、第三実施形態にかかるエスカレータ落下防止装置100は、エスカレータの落下を防止することができる。
第四実施形態に係るエスカレータ落下防止装置についても、軟性リンクを備えることにより第一実施形態と同様な特性を有するため、第三実施形態と同様な効果を奏する。
100 エスカレータ落下防止装置
10 リンクチェーン
10a 一端
10b 他端
10c,10d 間隙
11,12,14,15 リンク(硬性リンク)
53 リンク(軟性リンク)
62,63,64 リンク(軟性リンク)
20 緩衝体
30 エスカレータ
32a 第一連結点
40 階床
42a 第二連結点

Claims (6)

  1. 上下二つの階床に架設されたエスカレータの落下を防止するエスカレータ落下防止装置であって、
    複数のリンクが連結されてなり、エスカレータと階床とを繋ぐリンクチェーンを備え、
    前記リンクチェーンが、長手方向に所定の引張荷重が作用した場合に塑性曲げを起こす軟性リンクを含む
    ことを特徴とするエスカレータ落下防止装置。
  2. 前記リンクチェーンが、長手方向に前記所定の引張荷重が作用した場合に塑性曲げを起こさない硬性リンク含み、
    前記軟性リンクの湾曲部の曲率半径が前記硬性リンクの湾曲部の曲率半径より大きい
    ことを特徴とする請求項1に記載のエスカレータ落下防止装置。
  3. 前記軟性リンクが真円環である
    ことを特徴とする請求項2に記載のエスカレータ落下防止装置。
  4. 前記リンクチェーンが、長手方向に前記所定の引張荷重が作用した場合に塑性曲げを起こさない硬性リンク含み、
    前記軟性リンクの線径が前記硬性リンクの線径より小さい
    ことを特徴とする請求項1に記載のエスカレータ落下防止装置。
  5. 前記リンクチェーンが、長手方向に前記所定の引張荷重が作用した場合に塑性曲げを起こさない硬性リンク含み、
    前記軟性リンクの材料の降伏応力が前記硬性リンクの材料の降伏応力より低い
    ことを特徴とする請求項1に記載のエスカレータ落下防止装置。
  6. 弾性体からなり、前記リンクチェーンの少なくとも一部の区間を内部に収容する、棒状の緩衝体をさらに備え、
    前記リンクチェーンの前記一部の区間は、隣接するリンク同士に間隙が設けられつつ前記緩衝体の内部に埋設されているとともに、前記間隙に前記弾性体が充填されている
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエスカレータ落下防止装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016155630A (ja) * 2015-02-24 2016-09-01 株式会社日立製作所 乗客コンベア
JP2017155544A (ja) * 2016-03-04 2017-09-07 ショーボンド建設株式会社 落橋防止部材
JP2017193401A (ja) * 2016-04-19 2017-10-26 株式会社日立製作所 乗客コンベア及びその耐震補強工法
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