JP6116325B2 - 構造部材の落下防止構造 - Google Patents
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Description
本発明は、少なくとも一方の端部が構造物の支持部に可動可能に支持された構造部材の落下を防止する構造部材の落下防止構造に関する。
エスカレーターは、一般に、構造物の下階から上階へ斜めに架設されたトラス構造部材を有して構成されている。トラス構造部材の上端又は上下端は、地震時の揺れを吸収するために、躯体梁等の支持部に可動可能に支持されている。例えば、特許文献1には、トラス本体の上端が建屋受梁に支持されたエスカレーターのトラスが開示されている。
また、大地震等によりトラス構造部材の上端又は上下端が過大に横移動した場合のエスカレーター落下防止対策として、トラス構造部材の上端又は上下端と、支持部をワイヤーロープによってつないでおくことが考えられている。
しかし、重量物であるエスカレーターの落下をワイヤーロープで支えたときに、エスカレーターの荷重が瞬間的にワイヤーロープに集中するので、トラス構造部材に衝撃荷重が発生してトラス構造部材が大きく揺れたり破損したりしないような対策を施す必要がある。
本発明は係る事実を考慮し、少なくとも一方の端部が構造物の支持部に可動可能に支持された構造部材の落下を防止するとともに、落下防止時に生じる衝撃荷重を低減することができる構造部材の落下防止構造を提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、構造物の上支持部又は下支持部に一端が可動可能に支持され、前記下支持部又は前記上支持部に他端が固定された構造部材と、前記構造部材の一端と前記上支持部又は前記下支持部をつなぎ、前記構造部材の一端が前記上支持部又は前記下支持部から脱落したときに、前記構造部材を支えて該構造部材の落下を防止する落下防止部材と、前記構造部材の一端と前記上支持部又は前記下支持部をつなぎ、前記落下防止部材が前記構造部材を支えるまでに、前記落下防止部材へ作用する衝撃荷重を低下させる衝撃吸収部材と、を有する構造部材の落下防止構造である。
請求項1に記載の発明では、落下防止部材により構造部材が支えられることによって、構造部材の落下を防ぐことができる。また、落下防止部材によって構造部材が支えられるまでに、衝撃吸収部材によって、落下防止部材に作用する衝撃荷重を低下させることができる。これらにより、構造部材の落下を防止するとともに、落下防止時に生じる衝撃荷重を低減することができる。
請求項2に記載の発明は、構造物の上支持部に一端が可動可能に支持され、前記構造物の下支持部に他端が可動可能に支持された構造部材と、前記構造部材の一端と前記上支持部をつなぎ、前記構造部材の一端が前記上支持部から脱落したときに、前記構造部材を支えて該構造部材の落下を防止する第1落下防止部材と、前記構造部材の一端と前記上支持部をつなぎ、前記第1落下防止部材が前記構造部材を支えるまでに、前記第1落下防止部材へ作用する衝撃荷重を低下させる第1衝撃吸収部材と、前記構造部材の他端と前記下支持部をつなぎ、前記構造部材の他端が前記下支持部から脱落したときに、前記構造部材を支えて該構造部材の落下を防止する第2落下防止部材と、前記構造部材の他端と前記下支持部をつなぎ、前記第2落下防止部材が前記構造部材を支えるまでに、前記第2落下防止部材へ作用する衝撃荷重を低下させる第2衝撃吸収部材と、を有する構造部材の落下防止構造である。
請求項2に記載の発明では、第1及び第2落下防止部材により構造部材が支えられることによって、構造部材の落下を防ぐことができる。また、第1及び第2落下防止部材によって構造部材が支えられるまでに、第1及び第2衝撃吸収部材によって、第1及び第2落下防止部材に作用する衝撃荷重を低下させることができる。これらにより、構造部材の落下を防止するとともに、落下防止時に生じる衝撃荷重を低減することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構造部材の落下防止構造において、前記構造部材は、エスカレーターの有するトラスである。
請求項3に記載の発明では、エスカレーターの落下を防止するとともに、落下防止時に生じる衝撃荷重を低減することができる。
本発明は上記構成としたので、少なくとも一方の端部が構造物の支持部に可動可能に支持された構造部材の落下を防止するとともに、落下防止時に生じる衝撃荷重を低減することができる。
図を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。まず、本発明の実施形態に係る構造部材の落下防止構造について説明する。
図1の側面図には、エスカレーターを支える骨格となる構造部材としての鋼製のトラス10が示されている。説明の都合上、エスカレーターの有する移動手すり、踏段、各種装置等のトラス10以外のものは省略されている。
トラス10は、構造物としての建物に設けられた、H形鋼からなる上支持部としての躯体上梁12から、H形鋼からなる下支持部としての躯体下梁14へ斜めに架け渡されている。躯体上梁12は、建物階の天井部に設けられており、躯体下梁14は、この建物階の床部に設けられている。
トラス10の上端部16端面には、側断面形状がL字状となる鋼製の支持部材18が固定されており、この支持部材18の突出部20が、躯体上梁12の上フランジ22上面に摺動可能(横移動可能)に支持されている。また、トラス10の下端部24端面には、側断面形状がL字状となる鋼製の支持部材26が固定されており、この支持部材26の突出部28が、躯体下梁14の上フランジ30上面に溶接やボルト等によって固定されている。すなわち、躯体上梁12にトラス10の一端(上端部16)が可動可能に支持され、躯体下梁14にトラス10の他端(下端部24)が固定されている。
トラス10の上端部16付近を拡大した図2の側面図に示すように、トラス10の上端部16と躯体上梁12は、高剛性及び高強度を有する鋼製のワイヤーロープからなる落下防止部材としてのロープ32によってつながれている。
ロープ32は、躯体上梁12の下フランジ34下面に固定された吊りピース36にシャックル38を介して上端部が接続されており、トラス10の上端部16の端面下部に固定された吊りピース40にシャックル42を介して下端部が接続されている。
また、トラス10の上端部16と躯体上梁12は、低剛性及び衝撃力吸収性を有するナイロンロープからなる衝撃吸収部材としてのロープ44によってつながれている。
ロープ44は、躯体上梁12の上フランジ22下面と、ウエブ46側面との交わる隅部に固定された吊りピース48にシャックル50を介して上端部が接続されており、トラス10の上端部16の端面上部に固定された吊りピース52にシャックル54を介して下端部が接続されている。
ロープ32、44は、軽く張った状態で設けられている。さらに、ロープ32、44は、トラス10の上端部16が躯体上梁12から脱落したときに、ロープ32よりも先にロープ44が利いて(トラス10の鉛直荷重により生じる引張力が、ロープ32よりも先にロープ44に掛かり)、ロープ44が所定長さだけ伸びた後にロープ32が利くように、躯体上梁12及びトラス10に対する取り付け位置や、長さが設定されている。
本実施形態では、図2に示すように、トラス10の上端部16が躯体上梁12から脱落したときに(図3の側面図に示す状態になったときに)、ロープ44が長さL1から長さD1だけ伸びて長さL3になった状態で、ロープ32の長さは、トラス10の上端部16が躯体上梁12から脱落する前の長さL2と変わっていない。すなわち、ロープ44が長さD1だけ伸びた状態から、トラス10の鉛直荷重により生じる引張力(図2において、軽く張られたロープ32に生じている引張力よりも大きな引張力)が、ロープ32に掛かり始めるようになっている。
これにより、ロープ32は、トラス10の上端部16が躯体上梁12から脱落したときにトラス10を支えて、このトラス10の落下を防止し、ロープ44は、ロープ32がトラス10を支えるまでに、トラス10からロープ32へ作用する衝撃荷重を吸収して低下させる。
次に、本発明の実施形態に係る構造部材の落下防止構造の作用と効果について説明する。
本実施形態では、図3に示すように、トラス10の上端部16が躯体上梁12から脱落したときに、ロープ32によりトラス10が支えられることによって、トラス10の落下を防ぐことができる。また、ロープ32によってトラス10が支えられるまでに、ロープ44によって、ロープ32に作用する衝撃荷重を低下させることができる。これらにより、トラス10の落下を防止するとともに、トラス10の落下防止時に生じる衝撃荷重を低減することができる。
すなわち、本実施形態の構造部材の落下防止構造では、地震時にトラス10の上端部16が躯体上梁12から脱落したときに、エスカレーターの落下を防止するとともに、この落下防止時にエスカレーターに生じる衝撃荷重を低減することができる。よって、地震時にエスカレーターが落下した際に、このエスカレーターの下に居る人の安全を確保することができ、また、エスカレーターに乗っている人が衝撃で振り落されるのを防ぐことができる。さらに、地震時にエスカレーターが落下した際の衝撃でエスカレーターが崩壊して、エスカレーターに乗っている人が落ちてしまったり、破片が人に当たってしまったりするのを防ぐことができる。
また、本実施形態の構造部材の落下防止構造は、ワイヤーロープやナイロンロープ等の市販品を用いることができるロープ32、44を、一般的な方法でトラス10の上端部16と躯体上梁12に接続するだけで、簡易に構築することができる。さらに、本実施形態の構造部材の落下防止構造は、ロープ32、44によって略構成されており、ダンパーやアクチュエータ等の装置が設けられているものではないので、コンパクト性に優れており、メンテナンスを不要とする、又はメンテナンスの手間を軽減することができる。
以上、本発明の実施形態について説明した。
なお、本実施形態では、図2に示すように、落下防止部材を鋼製のワイヤーロープからなるロープ32とした例を示したが、落下防止部材は、トラス10の上端部16が躯体上梁12から脱落したときにトラス10を支えて、このトラス10の落下を防止できる高強度の長尺部材であればよく、例えば、落下防止部材をアラミド繊維ロープ等の繊維ロープとしてもよい。また、落下防止部材は複数設けてもよい。
さらに、本実施形態では、図2に示すように、衝撃吸収部材をナイロンロープからなるロープ44とした例を示したが、衝撃吸収部材は、トラス10の上端部16が躯体上梁12から脱落したときに落下防止部材へ作用する衝撃荷重を吸収して低下させることが可能な衝撃吸収性を有する長尺部材であればよく、例えば、衝撃吸収部材を帯状のナイロンスリングとしてもよい。
また、衝撃吸収部材は複数設けてもよい。例えば、図4の側面図に示すように、2つのロープ44を設け、一方のロープ44(以下、「ロープ44A」とする)をトラス10の上端部16(支持部材18)から躯体上梁12(ウェブ46)へ斜め下向きになるように配置し、他方のロープ44(以下、「ロープ44B」とする)をトラス10の上端部16(支持部材18)から躯体上梁12(ウェブ46)へ斜め上向きになるように配置してもよい。
このようにすれば、地震時にトラス10の上端部16が浮き上がろうとしたときにロープ44Aが引っ張られて、トラス10に生じる上向きの力が吸収される。これにより、トラス10の浮き上がりを抑制して落下高さを低くすることができるので、トラス10の落下による衝撃荷重を低減することができる。
なお、ロープ44A、44Bは、ロープ44Aをトラス10の上端部16から躯体上梁12へ斜め下向きになるように配置し、ロープ44Bをトラス10の上端部16から躯体上梁12へ斜め上向きになるように配置できれば、どのように配置してもよい。例えば、ロープ44A、44Bを交差させて配置してもよい。
さらに、本実施形態では、図2に示すように、落下防止部材としてのロープ32と、衝撃吸収部材としてのロープ44を別々に設けた例を示したが、落下防止部材としてのロープ(以下、「落下防止ロープ」とする)と、衝撃吸収部材としてのロープ(以下、「衝撃吸収ロープ」とする)を編み込んで1つの複合ロープにしてもよい。例えば、衝撃吸収ロープを心材にして、この衝撃吸収ロープよりも長い落下防止ロープを緩く巻きつけて1つの長さの複合ロープとすれば、複合ロープが引っ張られたときに、まず、衝撃吸収ロープに主に引張力が掛かり、複合ロープがある程度の長さになってから、落下防止ロープに主に引張力が掛かるようにすることができる。
また、本実施形態では、図2に示すように、落下防止部材としてのロープ32と、衝撃吸収部材としてのロープ44を軽く張った状態で設けた例を示したが、ロープ32よりも先にロープ44が利くように設けられれば、ロープ32、44をともに張った状態で設けてもよいし、ロープ32、44をともに弛ませた状態で設けてもよいし、ロープ32、44のどちらか一方を張った状態で設けて他方を緩めた状態で設けてもよい。ロープ44を張った状態で設け、ロープ32を緩めた状態で設けるのが好ましい。このようにすれば、構造部材としてのトラス10の上端部16を躯体上梁12から脱落し難くすることができ、また、トラス10から発生する力をロープ32に徐々に伝えることができる。
さらに、本実施形態では、図1に示すように、躯体上梁12にトラス10の上端部16が可動可能に支持され、躯体下梁14にトラス10の下端部24が固定されている例を示したが、躯体下梁14にトラス10の下端部24が可動可能に支持され、躯体上梁12にトラス10の上端部16が固定されていてもよい。
この場合には、落下防止部材(ロープ32)によって、トラス10の下端部24と躯体下梁14をつなぎ、衝撃吸収部材(ロープ44)によって、トラス10の下端部24と躯体下梁14をつなぐ。
また、躯体上梁12にトラス10の上端部16が可動可能に支持され、躯体下梁14にトラス10の下端部24が可動可能に支持されていてもよい。
この場合には、第1落下防止部材(ロープ32)によって、トラス10の上端部16と躯体上梁12をつなぎ、第1衝撃吸収部材(ロープ44)によって、トラス10の上端部16と躯体上梁12をつなぐ。また、第2落下防止部材(ロープ32)によって、トラス10の下端部24と躯体下梁14をつなぎ、第2衝撃吸収部材(ロープ44)によって、トラス10の下端部24と躯体下梁14をつなぐ。
さらに、本実施形態では、図2に示すように、吊りピース36、40、48、52や、シャックル38、42、50、54を用いて、トラス10の上端部16及び躯体上梁12にロープ32、44をつないだ例を示したが、ロープ32によってトラス10を支えることができ、ロープ32に作用する衝撃荷重をロープ44によって低下させることができれば、トラス10の上端部16及び躯体上梁12にロープ32、44をどのような方法でつないでもよい。例えば、トラス10の上端部16及び躯体上梁12に、丸カン金具、アイボルト等を設けてもよい。
また、本実施形態では、図2に示すように、支持部材18の突出部20を、躯体上梁12の上フランジ22上面に摺動可能(横移動可能)に支持することにより、躯体上梁12にトラス10の上端部16を可動可能に支持している例を示したが、支持部材18の突出部20下面と、躯体上梁12の上フランジ22上面との間にスペーサーを設けて、トラス10の上端部16の設置高さを調整するようにしてもよい。
さらに、例えば、図5に示すように、突出部20下面と上フランジ22上面に、摺動可能に板材56、58を設けてもよい。例えば、滑り面の摩擦係数が小さくなるようにステンレス、テフロン(登録商標)等の材料によって板材56、58を構成すれば、トラス10を長周期で免震支持することができ、滑り面の摩擦係数が大きくなるような材料によって板材56、58を構成すれば、摩擦によるエネルギー吸収性及び抵抗性によってトラス10の横揺れを低減することができる。
また、例えば、突出部20下面と板材56の間や、上フランジ22上面と板材58の間に積層ゴムを設けて、所謂、滑り積層ゴムを構成するようにすれば、トラス10の上端部16(支持部材18の突出部20)の滑り代を大きくして、躯体上梁12(上フランジ22)から脱落し難くすることができる。
さらに、本実施形態では、図1に示すように、構造部材をエスカレーターのトラスとした例を示したが、本実施形態の構造部材の落下防止構造は、建物等の構造物に設けられた躯体梁等の支持部に両端が支持される、階段やスロープなどの骨格部材等のさまざまな構造部材に適用することができる。
また、本実施形態の構造部材の落下防止構造は、新設及び既設の構造部材(例えば、エレベーターのトラス、階段、スロープ等)に対して適用することができる。先に述べたように、本実施形態の構造部材の落下防止構造は、簡易性及びコンパクト性に優れ、メンテナンスの手間を無くす又は軽減することができるものなので、改修工事により既設のエスカレーターに適用する場合に、より優れた効果を発揮させることができる。
<実施例>
ここでは、図1〜3で示した本実施形態の構造部材の落下防止構造において、落下防止部材(ロープ32)を繊維ロープとし、衝撃吸収部材(ロープ44)をナイロンロープとした場合に、本発明の効果(落下防止部材によって構造部材を支え、落下防止部材に作用する衝撃荷重を衝撃吸収部材によって低下させる)が得られることを説明する。
図6のモデル図に示すように、重さWの錘60が高さhから落下し、長さLの棒62上面に衝突して棒62を長さλだけ縮めた場合、錘60から棒62に作用した衝撃荷重をσ、棒62の断面積をA、棒62の縦弾性係数をEとすると、錘60が棒62に与える位置エネルギーと、棒62に生じる弾性エネルギーは等しくなるので、式(1)の関係が成り立つ。よって、式(1)から式(2)を導くことができ、これによって衝撃荷重σを求めることができる。
表1には、ロープA、B又はCによって躯体上梁12とトラス10の上端部16をつないだ状態で、トラス10の上端部16を躯体上梁12から脱落させ落下させたときのロープA、B、Cの余裕度が示されている。トラス10の重さを8tf、トラス10の落下した高さhを107mm、ロープA、B、Cの長さLをともに707mmとしている。
ロープBは、縦弾性係数Eが98100N/mm2、ロープ径が50mm(有効断面積625mm2/本)の2本のワイヤーロープによって構成されている。式(2)より衝撃荷重σは2452kN/本となり、引張荷重Tは1740kN/本となるので、余裕度T/σは0.71となる。よって、ロープBは、余裕度が1よりも小さいので、本実施形態の落下防止部材(ロープ32)に適していないことがわかる。
ロープCは、縦弾性係数Eが2000N/mm2、ロープ径が50mm(有効断面積625mm2/本)の2本のナイロンロープによって構成されている。式(2)より衝撃荷重σは572kN/本となり、引張荷重Tは427kN/本となるので、余裕度T/σは0.75となる。よって、ロープCは、余裕度が1よりも小さいので、本実施形態の衝撃吸収部材(ロープ44)に適していないことがわかる。
表2には、本実施形態の構成となるように、落下防止部材(ロープ32)としてのロープDと、衝撃吸収部材(ロープ44)としてのロープEを併設した場合の、ロープD、Eの余裕度が示されている。すなわち、表2には、ロープDとロープEによって躯体上梁12とトラス10の上端部16をつないだ状態で、トラス10の上端部16を躯体上梁12から脱落させ落下させたときのロープD、Eの余裕度が示されている。トラス10の重さを8tf、トラス10の落下した高さhを107mmとしている。
また、トラス10の衝撃荷重を受けたときの長さが、ロープD、Eともに同じ長さL’(>707mm)になるように、ロープDの長さを707mm、ロープEの長さを316mmとしている。
ロープDは、縦弾性係数Eが45000N/mm2、ロープ径が28mm(有効断面積196mm2/本)の2本の繊維ロープによって構成されている。式(2)より衝撃荷重σは219kN/本となり、引張荷重Tは269kN/本となるので、余裕度T/σは1.23となる。よって、ロープDは、余裕度が1よりも大きいので、本実施形態の落下防止部材(ロープ32)に適していることがわかる。
ロープEは、縦弾性係数Eが2000N/mm2、ロープ径が40mm(有効断面積400mm2/本)の2本のナイロンロープによって構成されている。式(2)より衝撃荷重σは86kN/本となり、引張荷重Tは167kN/本となるので、余裕度T/σは1.94となる。よって、ロープEは、余裕度が1よりも大きいので、本実施形態の衝撃吸収部材(ロープ44)に適していることがわかる。
よって、表2より、ロープDは、切れずにトラス10を支えることができ、ロープEは、切れずに衝撃荷重を吸収して低下させることができることがわかる。また、表1、2より、ロープAの衝撃荷重σ(=1744kN/本)よりもロープDの衝撃荷重σ(=219kN/本)が小さいことから、ロープEによってロープDに作用する衝撃荷重を吸収して低下させていることがわかる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
10 トラス(構造部材)
12 躯体上梁(上支持部)
14 躯体下梁(下支持部)
16 上端部(一端)
24 下端部(他端)
32 ロープ(落下防止部材)
44 ロープ(衝撃吸収部材)
12 躯体上梁(上支持部)
14 躯体下梁(下支持部)
16 上端部(一端)
24 下端部(他端)
32 ロープ(落下防止部材)
44 ロープ(衝撃吸収部材)
Claims (3)
- 構造物の上支持部又は下支持部に一端が可動可能に支持され、前記下支持部又は前記上支持部に他端が固定された構造部材と、
前記構造部材の一端と前記上支持部又は前記下支持部をつなぎ、前記構造部材の一端が前記上支持部又は前記下支持部から脱落したときに、前記構造部材を支えて該構造部材の落下を防止する落下防止部材と、
前記構造部材の一端と前記上支持部又は前記下支持部をつなぎ、前記落下防止部材が前記構造部材を支えるまでに、前記落下防止部材へ作用する衝撃荷重を低下させる衝撃吸収部材と、
を有する構造部材の落下防止構造。 - 構造物の上支持部に一端が可動可能に支持され、前記構造物の下支持部に他端が可動可能に支持された構造部材と、
前記構造部材の一端と前記上支持部をつなぎ、前記構造部材の一端が前記上支持部から脱落したときに、前記構造部材を支えて該構造部材の落下を防止する第1落下防止部材と、
前記構造部材の一端と前記上支持部をつなぎ、前記第1落下防止部材が前記構造部材を支えるまでに、前記第1落下防止部材へ作用する衝撃荷重を低下させる第1衝撃吸収部材と、
前記構造部材の他端と前記下支持部をつなぎ、前記構造部材の他端が前記下支持部から脱落したときに、前記構造部材を支えて該構造部材の落下を防止する第2落下防止部材と、
前記構造部材の他端と前記下支持部をつなぎ、前記第2落下防止部材が前記構造部材を支えるまでに、前記第2落下防止部材へ作用する衝撃荷重を低下させる第2衝撃吸収部材と、
を有する構造部材の落下防止構造。 - 前記構造部材は、エスカレーターの有するトラスである請求項1又は2に記載の構造部材の落下防止構造。
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