JP2015012279A - 負荷駆動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】流体圧振動や電流振動を抑制すること。【解決手段】目標電流値とA/D変換された実電流値との偏差と所定の比例定数とに基づき、実電流値が目標電流値に追従するようにデューティ比を設定するデューティ設定手段(24)、比例定数を設定する定数設定手段(28)を備える。定数設定手段は、上記実電流値の周波数解析を行う解析手段(28a)、解析の結果、流体圧振動が生じているのか、電流振動が生じているのか、これら振動が生じていないのかを判断する判断手段(28b)、予め設定された複数の比例定数から、上記判断結果に基づいて比例定数を選択する選択手段(28c)を有する。選択手段は、油圧振動ありと判断されると、第1比例定数に代えて、流体圧振動に対する抑制力の大きい第2比例定数を選択し、電流振動ありと判断されると、第1比例定数に代えて、電流振動に対する抑制力の大きい第3比例定数を選択する。【選択図】図2
Description
本発明は、流体圧バルブのリニアソレノイドの駆動を制御する負荷駆動制御装置に関するものである。
従来、流体圧バルブのリニアソレノイドの駆動を制御する負荷駆動制御装置として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
この負荷駆動装置では、リニアソレノイドに流れる実電流をA/D変換し、このA/D変換値と目標電流値との偏差を無くすようにPID制御を行って、パルス信号のデューティ比が決定される。
ところで、流体圧バルブを含む流体圧回路においては、流体の特性変化などにより、流体圧振動が生じる虞がある。この流体圧振動とは、流体圧回路で連成される振動である。例えば油圧によりクラッチの係合・開放を制御し、オートマチックトランスミッションを目標ギア段に制御する系では、油圧回路のオイルの粘性が酸化や環境温度によって変化すると、クラッチ圧が、図7に示すように、10Hz〜15Hzの周波数帯で振動することがある。図7では、流体圧振動(油圧振動)の周波数が12Hzの例を示している。
また、上記した流体圧振動とは別に、リニアソレノイドに流れる電流が、駆動周波数とは異なる周波数で振動する、すなわち電流振動が生じる虞がある。この電流振動とは、リニアソレノイドとリニアソレノイドの駆動回路(F/B制御回路)とにより形成される電子回路で錬成される振動である。上記したオートマチックトランスミッションの制御系では、例えば環境温度によって電子回路を構成する要素の特性が変化(例えばリニアソレノイドを構成するコイルのインダクタンスが変化)すると、比例定数のゲイン、A/D変換での遅れ、誤差等との関係で振動が錬成され、電流が、図8に示すように、55Hz〜65Hzの周波数帯で振動することがある。図8では、電流振動の周波数が60Hzの例を示している。
なお、図7及び図8は、本発明者が実際に測定した結果を示している。図7及び図8では、それぞれリニアソレノイドに流れる電流、リニアソレノイドにおける油圧を示すソレノイド圧、クラッチにおける油圧を示すクラッチ圧を示している。図7及び図8に示すように、油圧振動発生時に電流振動は発生しておらず、電流振動発生時に油圧振動は発生していない。
このように、油圧振動や電流振動が生じると、オートマチックトランスミッションの制御に影響を与える虞がある。しかしながら、上記した従来の負荷駆動制御装置では、PID制御を行うために、所定の比例定数Kp,Ki,Kdが予め設定されており、これら比例定数は固定値である。したがって、経年変化や環境変化によって生じる油圧振動、電流振動を抑制することができない。
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、流体圧振動や電流振動を抑制することができる負荷駆動制御装置を提供することを目的とする。
ここに開示される発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。なお、特許請求の範囲及びこの項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、発明の技術的範囲を限定するものではない。
開示された発明のひとつは、流体圧バルブのリニアソレノイド(100)の駆動を制御する負荷駆動制御装置であって、リニアソレノイドの通電経路上に設けられ、オンすることでリニアソレノイドに電流を流すスイッチング手段(12)と、所定のデューティ比のパルス信号を所定の周期で発生し、パルス信号をスイッチング手段に供給することにより、リニアソレノイドを駆動させるパルス信号発生手段(26)と、リニアソレノイドに流れる実電流値を検出する電流値検出手段(16)と、電流値検出手段により検出された実電流値をA/D変換するA/D変換手段(22)と、リニアソレノイドの目標電流値とA/D変換された実電流値との偏差と、所定の比例定数とに基づき、実電流値が目標電流値に追従するようにパルス信号のデューティ比を設定するデューティ設定手段(24)と、デューティ設定手段に対して、比例定数を設定する定数設定手段(28)と、を備え、定数設定手段は、A/D変換された実電流値に対して周波数解析を行う解析手段(28a)と、解析手段による解析の結果、第1周波数以上第2周波数以下に振動が検出された場合、流体圧回路で連成される流体圧振動が生じていると判断し、第2周波数よりも高周波である第3周波数以上第4周波数以下に振動が検出された場合、リニアソレノイド及び該リニアソレノイドの駆動回路により形成される電子回路で錬成される電流振動が生じていると判断し、第1周波数以上第2周波数以下、及び、第3周波数以上第4周波数以下に振動が検出されない場合、流体圧振動及び電流振動が生じていないと判断する判断手段(28b)と、予め設定された複数の比例定数の中から、判断手段の判断結果に基づいて、デューティ設定手段が用いる比例定数を選択する選択手段(28c)と、を有し、選択手段は、比例定数として第1比例定数が設定された状態で、油圧振動が生じていると判断されると、第1比例定数に代えて、第1比例定数よりも流体圧振動に対する抑制力の大きい第2比例定数を選択し、第1比例定数が設定された状態で、電流振動が生じていると判断されると、第1比例定数に代えて、第1比例定数よりも電流振動に対する抑制力の大きい第3比例定数を選択することを特徴とする。
これによれば、A/D変換された実電流値に対して周波数解析を行うことで、流体圧振動が生じているか、電流振動が生じているかを判断することができる。そして、流体圧振動が生じていると判断されると、第1比例定数から、流体圧振動に対して抑制力の大きい第2比例定数に切り替えることができる。一方、電流振動が生じていると判断されると、第1比例定数から、電流振動に対して抑制力の大きい第3比例定数に切り替えることができる。したがって、流体圧振動や電流振動が生じても、これら振動を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。なお、各実施形態において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。
(第1実施形態)
先ず、本実施形態に係る負荷駆動制御装置10により、駆動が制御されるリニアソレノイドについて説明する。
先ず、本実施形態に係る負荷駆動制御装置10により、駆動が制御されるリニアソレノイドについて説明する。
本実施形態では、流体圧バルブのリニアソレノイドとして、油圧バルブのリニアソレノイドの例を示す。図1に示すリニアソレノイド100は、油圧によりクラッチの係合・開放を制御し、ひいては、車両のオートマチックトランスミッションを目標ギア段に制御するために用いられる。
リニアソレノイド100は、図示しないコイルとプランジャを有しており、コイルへの通電を制御することで、プランジャ、ひいてはプランジャに連結されたスプールの作動が制御されるようになっている。
次に、図1を用いて、負荷駆動制御装置10の概略構成を説明する。
図1に示すように、負荷駆動制御装置10は、スイッチ12と、マイコン14と、電流検出部16と、を備えている。なお、スイッチ12は、特許請求の範囲に記載のスイッチング手段に相当し、電流検出部16は、電流検出手段に相当する。
スイッチ12は、リニアソレノイド100の通電経路上に設けられており、マイコン14から供給されるパルス信号によって、オン・オフが制御される。スイッチ12がオンすると、リニアソレノイド100に電流が供給され、オフすると、電流の供給が遮断される。
本実施形態では、スイッチ12としてMOSFETを採用しており、このスイッチ12が、リニアソレノイド100に対して、上流側に設けられている。そして、MOSFETのゲート信号としてパルス信号を入力することで、パルス信号に応じた、スイッチ12のオン・オフの切替を実施することができる。
マイコン14は、CPU、ROM、RAM、レジスタなどを備えて構成されている。CPUは、入力信号やROMに記憶されたプログラムに基づいて、RAM及びレジスタを一時的に記憶領域として用いつつ各種演算処理を実行する。マイコン14の詳細については後述する。
電流検出部16は、リニアソレノイド100に対して直列に接続された電流検出用の抵抗16aと、抵抗16aの両端に印加される電圧を増幅してマイコン14に出力するオペアンプ16bと、を有している。
抵抗16aは、一端が、リニアソレノイド100の下流側端子に接続されており、他端が、接地されている。このように、抵抗16aは、両端に生じる電圧が、リニアソレノイド100に流れる電流(実電流値)に応じた電圧となるよう設けられている。
オペアンプ16bは、正極入力端子が抵抗16aの上流側の端子に電気的に接続されており、負極入力端子が抵抗16aの下流側の端子に電気的に接続されている。オペアンプ16bの出力端子は、マイコン14に電気的に接続されている。このように、オペアンプ16bは、抵抗16aの両端間で発生する電圧を増幅してマイコン14に出力するよう設けられている。
次に、図2に基づいて、マイコン14の概略構成について説明する。
図2に示すように、マイコン14は、目標電流値算出部20と、A/D変換部22と、デューティ設定部24と、PWM制御部26と、定数設定部28と、を備えている。なお、A/D変換部22が、特許請求の範囲に記載のA/D変換手段に相当し、デューティ設定部24が、デューティ設定手段に相当する。また、PWM制御部26が、パルス信号発生手段に相当し、定数設定部28が、定数設定手段に相当する。
目標電流値算出部20は、制御対象であるリニアソレノイド100を目標状態にするため、リニアソレノイド100に流すべき電流値、すなわち目標電流値を算出する。本実施形態では、オートマチックトランスミッションの入力側の回転数を検知する回転検出センサ、及び、オートマチックトランスミッションの出力側の回転数を検知する回転検出センサから入力される信号に基づいて、目標電流値を算出する。
目標電流値算出部20は、先ず、回転検出センサから入力される信号に基づき、オートマチックトランスミッションにおける、入力側の回転数及び出力側の回転数を把握する。そして、入力側の回転数及び出力側の回転数に基づき、オートマチックトランスミッションに印加すべき目標油圧を算出する。
次に、目標電流値算出部20は、算出した目標油圧に基づき、リニアソレノイド100に流すべき電流値として、目標電流値を算出する。この目標油圧と目標電流値との関係は、予め定められ、例えばマップとしてマイコン14のROMに格納されている。目標電流値算出部20は、目標油圧と目標電流値との所定の関係に基づき、目標油圧から目標電流値を算出する。
A/D変換部22は、A/D変換器22aと、平均値算出部22bと、を有している。A/D変換器22aは、オペアンプ16bの出力信号をA/D変換する。本実施形態では、パルス信号の一周期分の波形を、所定の間隔で16回A/D変換する。すなわち、パルス信号の周期毎に複数回A/D変換する。平均値算出部22bは、パルス信号の周期毎に16回分のA/D変換値の平均値を算出し、この平均A/D変換値を実電流値として出力する。
デューティ設定部24は、電流偏差算出部24aと、デューティ算出部24bと、を有している。
電流偏差算出部24aは、目標電流値算出部20によって算出された目標電流値と、A/D変換部22から入力される実電流値(本実施形態では平均A/D変換値)との電流偏差を算出する。電流偏差算出部24aは、算出した電流偏差をデューティ算出部24bに出力する。
デューティ算出部24bは、算出された電流偏差と比例定数とに基づき、実電流値が目標電流値に追従するようにリニアソレノイド100をF/B制御するためのデューティ比を算出する。本実施形態では、デューティ算出部24bがPI制御を行うように構成されている。そして、算出したデューティ比をPWM制御部26にも出力する。
PWM制御部26は、図示しないが、出力するパルス信号を規定するデータ、すなわちデューティ比及び発生周期(駆動周波数)を記憶するレジスタを有している。そして、PWM制御部26は、レジスタに記憶されたデューティ比及び発生周期に応じたパルス信号を出力する。
定数設定部28は、デューティ算出部24bがデューティ比を算出するための比例定数を設定する。本実施形態では、上記したようにデューティ算出部24bがPI制御を実行するため、比例項(P項)の比例定数Kpと、積分項(I項)の比例定数Kiを設定する。
この定数設定部28は、解析部28aと、判断部28bと、選択部28cと、を有している。なお、解析部28aが特許請求の範囲に記載の解析手段に相当し、判断部28bが判断手段に相当する。また、選択部28cが選択手段に相当する。
解析部28aは、A/D変換部22から出力された実電流値に対して周波数解析を行う。本実施形態では、平均A/D変換値を所定期間取得して、FFT(高速フーリエ変換)解析を行う。これにより、波形データを時間軸から周波数軸に変換し、電流値を周波数成分に分解すことができる。
判断部28bは、解析部28aによる周波数解析の結果に基づいて、油圧振動が生じているのか、電流振動が生じているのか、それとも油圧振動と電流振動のいずれも生じていないのか、を判断する。
本実施形態では、バルブボディ内の油圧回路において、例えばオイルの粘性が酸化や環境温度によって変化すると、振動が連成されて油圧振動(例えば図7に示したクラッチ圧の振動)が生じる。この油圧振動は、10Hz〜15Hzの周波数帯(以下、第1周波数帯と示す)に生じる。判断部28bは、周波数解析の結果、図3に示すように、第1周波数帯に振幅(ピーク)があると、油圧振動が生じていると判断する。なお、10Hzが特許請求の範囲に記載の第1周波数に相当し、15Hzが第2周波数に相当する。
また、リニアソレノイド100とリニアソレノイド100の駆動回路(F/B制御回路)とにより形成される電子回路において、例えば環境温度によって電子回路を構成する要素の特性が変化(例えばリニアソレノイドを構成するコイルのインダクタンスが変化)すると、比例定数のゲイン、A/D変換での遅れ、誤差等との関係で振動が錬成され、電流振動が発生する。この電流振動は、55Hz〜65Hzの周波数帯(以下、第2周波数帯と示す)に生じる。本実施形態では、パルス信号の駆動周波数300Hzに対して、60Hzの電流振動が発生する。判断部28bは、周波数解析の結果、第2周波数帯に振幅(ピーク)があると、電流振動が生じていると判断する。なお、55Hzが特許請求の範囲に記載の第3周波数に相当し、65Hzが第4周波数に相当する。
また、判断部28bは、周波数解析の結果、第1周波数帯及び第2周波数帯のいずれにも振幅(ピーク)がない場合に、油圧振動と電流振動のいずれも生じていないと判断する。
選択部28cは、予め設定された複数の比例定数の中から、判断部28bの判断結果に基づいて、デューティ算出部24bが用いる比例定数を選択する。本実施形態では、比例定数と振動抑制力との関係が予め定められ、例えばマップとしてマイコン14のROMに保存されている。具体的には、図4に示すように、5組の比例定数(Kp1,Ki1)、(Kp2,Ki2)、(Kp3,Ki3)、(Kp4,Ki4)、(Kp5,Ki5)が保存されている。
ところで、本発明者が確認したところ、油圧振動が生じる第1周波数帯のゲインを大きくすることで、油圧振動を抑制するできることが明らかとなった。第1周波数帯のゲインを大きくすると、低周波振動である油圧振動の微小な変化に対する応答性が高まるためであると考えられる。一方、電流振動が生じる第2周波数帯のゲインを小さくすることで、電流振動を抑制することができることが明らかとなった。第2周波数帯のゲインを小さくすると、電流補正の方向が逆となって振幅が大きくなるのを抑制できるためであると考えられる。しかしながら、第1周波数帯のゲインを大きくすると、第2周波数帯のゲインも大きくなる。また、第2周波数帯のゲインを小さくすると、第1周波数帯のゲインも小さくなる。
そこで、本実施形態では、ボード線図などにより、種々の比例定数についてゲイン特性と位相特性の評価を予め行うことで、5組の比例定数が選定されている。5組の比例定数は、(Kp1,Ki1)、(Kp2,Ki2)、(Kp3,Ki3)、(Kp4,Ki4)、(Kp5,Ki5)の順にゲインが大きくなっている。(Kp3,Ki3)が初期値として選択される。(Kp3,Ki3)を除く4組の比例定数については、発散せず、油圧振動及び電流振動の一方の抑制に効果があり、且つ、他方に影響の少ないもの、が選定されている。
例えば(Kp3,Ki3)が選択されている状態で、油圧振動が発生した場合、選択部28cは、(Kp3,Ki3)よりも1段ゲインの大きい(Kp4,Ki4)を選択する。さらに油圧振動を抑制したい場合には、(Kp4,Ki4)よりも1段ゲインの大きい(Kp5,Ki5)を選択する。なお、(Kp4,Ki4)、(Kp5,Ki5)としては、第1周波数帯でのゲイン増加に対して、第2周波数帯でのゲイン増加が小さいものが設定されている。このため、(Kp4,Ki4)、(Kp5,Ki5)が選択されても、第2周波数帯でのゲイン増加を最小限にとどめ、ゲイン増加により電流振動が生じるのを抑制することができる。
また、例えば(Kp3,Ki3)が選択されている状態で、電流振動が発生した場合、選択部28cは、(Kp3,Ki3)よりも1段ゲインの小さい(Kp2,Ki2)を選択する。さらに電流振動を抑制したい場合には、(Kp2,Ki2)よりも1段ゲインの小さい(Kp1,Ki1)を選択する。なお、(Kp2,Ki2)、(Kp1,Ki1)としては、第2周波数帯でのゲイン減少に対して、第1周波数帯でのゲイン減少が小さいものが設定されている。このため、(Kp2,Ki2)、(Kp1,Ki1)が選択されても、第1周波数帯でのゲイン減少を最小限にとどめ、ゲイン減少により油圧振動が生じるのを抑制することができる。
次に、図5に基づき、デューティ設定部24が実行する処理について説明する。デューティ設定部24は、パルス信号の発生周期毎に、図5に示す一連の処理を実行する。
先ず、デューティ設定部24の電流偏差算出部24aは、目標電流値算出部20から出力された目標電流値を取得する(S10)。次に、電流偏差算出部24aは、A/D変換部22から出力された平均A/D変換値、すなわち実電流値を取得する(S20)。そして、電流偏差算出部24aは、取得した目標電流値及び実電流値に基づいて電流偏差を算出し、その電流偏差をデューティ算出部24bに出力する(S30)。
次に、デューティ算出部24bは、RAMに前回値として保存されている比例定数(Kp,Ki)を取得する(S40)。そして、電流偏差算出部24aから出力された電流偏差と、S40で取得した比例定数とに基づき、電流偏差に比例したデューティ比の算出(S50)、電流偏差の積分値に比例したデューティ比の算出(S60)を行う。
次に、デューティ算出部24bは、PWM制御部26へ出力するデューティ比として、S50,S60で算出した2つのデューティ比の和を算出する(S70)。そして、デューティ算出部24bは、算出したデューティ比をPWM制御部26に出力し、PWM制御部26のレジスタに保存する。(S80)。以上により、一連の処理を終える。
次に、図6に基づき、定数設定部28が実行する処理について説明する。定数設定部28は、マイコン14の電源が投入された状態で、図6に示す一連の処理を繰り返し実行する。
先ず、定数設定部28の選択部28cは、RAMに比例定数の前回値が保存されているか否かを判定する(S100)。前回値が保存されていないと判定されると、選択部28cは、ROMに保存された初期値(Kp3,Ki3)を今回値として選択するとともに、マイコン14が内蔵するカウンタのカウント値をインクリメント、すなわち「+1」する(S110)。そして、今回値としての初期値を、前回値としてRAMに保存する(S120)。
一方、S100において、前回値が保存されていると判定されると、解析部28aは、カウンタのカウント値が「1」以上か否かを判定する(S130)。カウント値が「1」以上であると判定されると、次に、解析部28aは、リニアソレノイド100の制御状態が、定常状態であるか否かを判定する(S140)。
ここで定常状態とは、目標電流値が一定の状態、換言すれば油圧に変化のない状態である。このように定常状態であるか否かを判定するのは、クラッチの係合・開放を切り替える期間である変速過渡状態では、目標電流値、ひいては油圧が変化し、油圧振動、電流振動を誤検出する虞があるからである。本実施形態では、マイコンの内部タイマのカウント値に基づいて、目標電流値が一定となってから所定時間(例えば250ms)経過以降を、定常状態と判定する。なお、内部タイマのカウント値は、目標電流値が変化するとリセットされる。したがって、所定時間経過以降であって目標電流値が変化するまでの期間が定常状態とされる。
S140において定常状態であると判定されると、解析部28aは、A/D変換部22から出力された実電流値に対して周波数解析を行い、解析結果を判断部28bに出力する(S150)。本実施形態では、解析部28aが、所定期間の平均A/D変換値に対してFFT解析を行う。
次に、判断部28bは、解析部28aから出力された周波数解析の結果に基づいて、第1周波数帯に振動があるか否かを判定する(S160)。すなわち、油圧振動の有無を判定する。第1周波数帯に振動がある、すなわち油圧振動が生じていると判断すると、判断部28bは、RAMに保存されている前回値が上限値か否かを判定する(S170)。上限値とは、図4に示したゲインが最も大きい比例定数(Kp5,Ki5)を指す。
上限値ではないと判定されると、選択部28cは、今回設定する比例定数として、前回値よりも1段ゲインが上の比例定数を選択するとともに、カウンタのカウント値を「0」にリセットする(S180)。例えば、前回値として(Kp3,Ki3)が保存されている場合、今回値として、(Kp3,Ki3)よりも1段ゲインの大きい(Kp4,Ki4)を選択する。前回値が(Kp4,Ki4)の場合には、今回値として、(Kp5,Ki5)を選択する。そして、選択部28cは、S180にて選択した今回値を、前回値としてRAMに保存する(S120)。
なお、初期値(Kp3,Ki3)を特許請求の範囲に記載の第1比例定数とすると、1段ゲインの大きい(Kp4,Ki4)が第2比例定数に相当する。(Kp4,Ki4)を第1比例定数とすると、(Kp5,Ki5)が第2比例定数に相当する。
一方、S170において上限値であると判定されると、選択部28cは、RAMに保存されている前回値を今回値として選択するとともに、カウンタのカウント値をインクリメントする(S200)。そして、選択部28cは、S200にて選択した今回値を、前回値としてRAMに保存する(S120)。
また、S160において、第1周波数帯に振動がないと判断すると、次に、判断部28bは、周波数解析の結果に基づいて、第2周波数帯に振動があるか否かを判定する(S210)。すなわち、電流振動の有無を判定する。第2周波数帯に振動がある、すなわち電流振動が生じていると判断すると、判断部28bは、RAMに保存されている前回値が下限値か否かを判定する(S220)。下限値とは、図4に示したゲインが最も小さい比例定数(Kp1,Ki1)を指す。
下限値ではないと判定されると、選択部28cは、今回設定する比例定数として、前回値よりも1段ゲインが下の比例定数を選択するとともに、カウンタのカウント値を「0」にリセットする(S230)。例えば、前回値として(Kp3,Ki3)が保存されている場合、今回値として、(Kp3,Ki3)よりも1段ゲインの小さい(Kp2,Ki2)を選択する。前回値が(Kp2,Ki2)の場合には、今回値として、(Kp1,Ki1)を選択する。そして、選択部28cは、S230にて選択した今回値を、前回値としてRAMに保存する(S120)。
なお、初期値(Kp3,Ki3)を特許請求の範囲に記載の第1比例定数とすると、1段ゲインの小さい(Kp2,Ki2)が第3比例定数に相当する。(Kp2,Ki2)を第1比例定数とすると、(Kp1,Ki1)が第3比例定数に相当する。
一方、S220において下限値であると判定されると、選択部28cは、RAMに保存されている前回値を今回値として選択するとともに、カウンタのカウント値をインクリメントする(S200)。そして、選択部28cは、S200にて選択した今回値を、前回値としてRAMに保存する(S120)。
また、S130において、カウンタ値が1より小さいと判定されると、選択部28cは、RAMに保存されている前回値を今回値として選択するとともに、カウンタのカウント値をインクリメントする(S240)。そして、選択部28cは、S240にて選択した今回値を、前回値としてRAMに保存する(S120)。S140にて定常状態でないと判定された場合、S210にて第2周波数帯に振動なしと判定された場合も、同様に、選択部28cは、S240,S120の処理を順に実行する。
次に、負荷駆動制御装置10の効果について説明する。
本実施形態に係る負荷駆動制御装置10によれば、A/D変換された実電流値に対して周波数解析を行い、周波数解析の結果に基づいて、油圧振動及び電流振動のいずれかが生じているか否かを判断することができる。そして、油圧振動が生じている場合には、現在設定されている比例定数よりも、油圧振動に対して抑制力の大きい比例定数、具体的には1段ゲインが大きい定数を選択する。一方、電流振動が生じている場合には、現在設定されている比例定数よりも、電流振動に対して抑制力の大きい比例定数、具体的には1段ゲインが小さい定数を選択する。したがって、油圧振動や電流振動が生じても、これら振動を抑制することができる。
また、定数設定部28の解析部28aは、定常状態において、周波数解析を行う。具体的には、目標電流値(油圧)が変化する期間ではなく、目標電流値が一定である期間において、周波数解析を行う。このため、変速過渡状態において周波数解析を行う場合に較べて、油圧振動や電流振動を精度よく検出することができる。
また、A/D変換部22は、パルス信号の周期毎に複数回A/D変換するとともに、パルス信号の周期毎に平均A/D変換値を算出し、該平均A/D変換値をA/D変換された実電流値として出力する。このように、平均A/D変換値を用いると、駆動周波数の成分が現れない分、油圧振動や電流振動の検出精度を向上することができる。また、パルス信号の周期毎に1回のみA/D変換する場合に較べて、実電流値の検出精度を向上することができる。
また、S180,S230のように、比例定数を切り替えると、カウント値をリセットする。一方、S110のように初期値を今回値に選択する場合や、S200,S240のように前回値を今回値に選択する場合、すなわち比例定数を切り替えない場合は、カウント値をインクリメントする。そして、S130において、カウント値が「1」未満の場合、S240において前回値を今回値として選択する。これにより、比例定数を切り替えた次のフローでは、同じ比例定数をもう一度選択することとなるため、比例定数が頻繁に切り替わるのを抑制することができる。また、連続して周波数解析がなされないようにし、マイコン14の処理負荷を軽減することができる。
また、図6に示したように、判断部28bは、油圧振動及び電流振動のうち、油圧振動が生じているか否かを先に判定し、次いで、電流振動が生じているか否かを判定する。電流振動よりも油圧振動のほうが、オートマチックトランスミッションの制御に与える影響が大きい。上記によれば、電流振動に対して油圧振動を優先的に判断し、油圧振動が生じている場合には、油圧振動を抑制するように比例定数を選択するため、オートマチックトランスミッションの制御に与える影響を低減することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
本実施形態では、流体圧バルブのリニアソレノイドとして、オートマチックトランスミッションの油圧を制御する油圧バルブのリニアソレノイド100を例示した。しかしながら、リニアソレノイドとしてはオートマチックトランスミッション用に限定されるものではない。また、流体圧バルブとしては油圧バルブに限定されず、空気圧バルブ(空圧バルブ)にも適用することができる。
本実施形態では、平均A/D変換値を所定期間取得してFFT解析することで、周波数成分に分解する例を示した。しかしながら、平均A/D変換値ではなく、複数回のA/D変換値をそのまま用いてFFT解析しても良い。
また、平均A/D変換値を所定期間サンプリングして、得られる波形のピーク時刻をもとに周波数解析を行なっても良い。この場合、2つのピーク時刻から周期Tを算出でき、周期Tから周波数fを算出することができる。これにより、油圧振動(流体圧振動)や電流振動が生じていることを判断することができる。
本実施形態では、デューティ算出部24bがPI制御を行う例を示した。しかしながら、が、PID制御を行う構成にも適用することができる。
本実施形態では、判断部28bが、先に油圧振動(流体圧振動)の有無を判定し、次いで、電流振動の有無を判定する例を示した。しかしながら、電流振動の有無を先に判定し、次いで、油圧振動の有無を判定しても良い。
ROMに予め格納される比例定数としては、上記した5組に限定されるものではない。複数であれば良い。
本実施形態では、比例定数を切り替えた次のフローにおいて、同じ比例定数をもう一度選択する例を示した。しかしながら、図6のS130を省略しても良い。
10・・・負荷駆動制御装置、12・・・スイッチ、14・・・マイコン、16・・・電流検出部、16a・・・抵抗、16b・・・オペアンプ、20・・・目標電流値算出部、22・・・A/D変換部、22a・・・A/D変換器、22b・・・平均値算出部、24・・・デューティ設定部、24a・・・電流偏差算出部、24b・・・ディーティ算出部、26・・・PWM制御部、28・・・定数設定部、28a・・・解析部、28b・・・判断部、28c・・・選択部、100・・・リニアソレノイド
Claims (5)
- 流体圧バルブのリニアソレノイド(100)の駆動を制御する負荷駆動制御装置であって、
前記リニアソレノイドの通電経路上に設けられ、オンすることで前記リニアソレノイドに電流を流すスイッチング手段(12)と、
所定のデューティ比のパルス信号を所定の周期で発生し、前記パルス信号を前記スイッチング手段に供給することにより、前記リニアソレノイドを駆動させるパルス信号発生手段(26)と、
前記リニアソレノイドに流れる実電流値を検出する電流値検出手段(16)と、
前記電流値検出手段により検出された実電流値をA/D変換するA/D変換手段(22)と、
前記リニアソレノイドの目標電流値とA/D変換された前記実電流値との偏差と、所定の比例定数とに基づき、前記実電流値が前記目標電流値に追従するように前記パルス信号のデューティ比を設定するデューティ設定手段(24)と、
前記デューティ設定手段に対して、前記比例定数を設定する定数設定手段(28)と、
を備え、
前記定数設定手段は、
A/D変換された前記実電流値に対して周波数解析を行う解析手段(28a)と、
前記解析手段による解析の結果、第1周波数以上第2周波数以下に振動が検出された場合、流体圧回路で連成される流体圧振動が生じていると判断し、前記第2周波数よりも高周波である第3周波数以上第4周波数以下に振動が検出された場合、前記リニアソレノイド及び該リニアソレノイドの駆動回路により形成される電子回路で錬成される電流振動が生じていると判断し、前記第1周波数以上第2周波数以下、及び、前記第3周波数以上第4周波数以下に振動が検出されない場合、前記流体圧振動及び前記電流振動が生じていないと判断する判断手段(28b)と、
予め設定された複数の比例定数の中から、前記判断手段の判断結果に基づいて、前記デューティ設定手段が用いる比例定数を選択する選択手段(28c)と、
を有し、
前記選択手段は、前記比例定数として第1比例定数が設定された状態で、前記油圧振動が生じていると判断されると、前記第1比例定数に代えて、前記第1比例定数よりも前記流体圧振動に対する抑制力の大きい第2比例定数を選択し、前記第1比例定数が設定された状態で、前記電流振動が生じていると判断されると、前記第1比例定数に代えて、前記第1比例定数よりも前記電流振動に対する抑制力の大きい第3比例定数を選択することを特徴とする負荷駆動制御装置。 - 前記解析手段(28a)は、前記目標電流値が一定の期間において、周波数解析を行うことを特徴とする請求項1に記載の負荷駆動制御装置。
- 前記A/D変換手段(22)は、前記パルス信号の周期毎に複数回A/D変換するとともに、平均化して平均A/D変換値を算出し、該平均A/D変換値をA/D変換された前記実電流値とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の負荷駆動制御装置。
- 前記解析手段(28a)は、FFT解析を行うことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の負荷駆動制御装置。
- 前記解析手段(28a)は、前記平均A/D変換値を所定期間サンプリングして、複数のピーク時刻から周波数解析を行うことを特徴とする請求項3に記載の負荷駆動制御装置。
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US9494230B2 (en) | 2014-11-06 | 2016-11-15 | Denso Corporation | Control unit of automatic transmission |
CN109715834A (zh) * | 2016-09-15 | 2019-05-03 | 日立金属株式会社 | 金属掩模用原材料及其制造方法 |
-
2013
- 2013-07-02 JP JP2013139248A patent/JP2015012279A/ja active Pending
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