以下、本発明の一実施形態を図1〜図21(B)に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係るカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着装置2050、給紙コロ2054、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向(回転軸方向)に沿った方向をX軸方向、4つの感光体ドラムの配列方向に沿った方向をZ軸方向として説明する。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するAD変換回路などを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、通信制御装置2080を介して受信した上位装置からの多色の画像情報を光走査装置2010に通知する。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、トナーカートリッジ2034a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、トナーカートリッジ2034b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、トナーカートリッジ2034c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、トナーカートリッジ2034d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転する。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、プリンタ制御装置2090からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて色毎に変調された光束で、対応する帯電された感光体ドラムの表面を走査する。これにより、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像装置の方向に移動する。なお、光走査装置の構成については後述する。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出す。該記録紙は、所定のタイミングで転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出される。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。カラー画像が転写された記録紙は、定着装置2050に送られる。
定着装置2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。トナーが定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次積み重ねられる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
光走査装置2010は、一例として図2〜図4に示されるように、4つの光源装置(2200a、2200b、2200c、2200d)、4つのカップリングレンズ(2201a、2201b、2201c、2201d)、4つの開口板(2202a、2202b、2202c、2202d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、光偏向器2104、4つの走査レンズ(2105a、2105b、2105c、2105d)、6枚の折り返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2108b、2108c)、及び不図示の走査制御装置などを備えている。
なお、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
光源装置2200aとカップリングレンズ2201aと開口板2202aとシリンドリカルレンズ2204aと走査レンズ2105aと折り返しミラー2106aは、感光体ドラム2030aに潜像を形成するための光学部材である。
光源装置2200bとカップリングレンズ2201bと開口板2202bとシリンドリカルレンズ2204bと走査レンズ2105bと折り返しミラー2106bと折り返しミラー2108bは、感光体ドラム2030bに潜像を形成するための光学部材である。
光源装置2200cとカップリングレンズ2201cと開口板2202cとシリンドリカルレンズ2204cと走査レンズ2105cと折り返しミラー2106cと折り返しミラー2108cは、感光体ドラム2030cに潜像を形成するための光学部材である。
光源装置2200dとカップリングレンズ2201dと開口板2202dとシリンドリカルレンズ2204dと走査レンズ2105dと折り返しミラー2106dは、感光体ドラム2030dに潜像を形成するための光学部材である。
各光源装置の構成については、後に詳述する。
各カップリングレンズは、対応する光源装置から射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
各開口板は、開口部を有し、対応するカップリングレンズを介した光束を整形する。
各シリンドリカルレンズは、対応する光源ユニットから射出された光束を、光偏向器2104の偏光反射面近傍にY軸方向に関して結像する。
光偏向器2104は、2段構造のポリゴンミラーを有している。各ポリゴンミラーは、4面の偏光反射面を有している。そして、1段目(下段)のポリゴンミラーではシリンドリカルレンズ2204aからの光束及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束がそれぞれ偏光され、2段目(上段)のポリゴンミラーではシリンドリカルレンズ2204bからの光束及びシリンドリカルレンズ2204cからの光束がそれぞれ偏光されるように配置されている。なお、1段目のポリゴンミラー及び2段目のポリゴンミラーは、互いに位相が略45°ずれて回転し、書き込み走査は1段目と2段目とで交互に行われる。
光偏向器2104で偏光されたシリンドリカルレンズ2204aからの光束は、走査レンズ2105a、及び折り返しミラー2106aを介して、感光体ドラム2030aに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、光偏向器2104の回転に伴って感光体ドラム2030aの長手方向に移動する。
また、光偏向器2104で偏光されたシリンドリカルレンズ2204bからの光束は、走査レンズ2105b、及び2枚の折り返しミラー(2106b、2108b)を介して、感光体ドラム2030bに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、光偏向器2104の回転に伴って感光体ドラム2030bの長手方向に移動する。
また、光偏向器2104で偏光されたシリンドリカルレンズ2204cからの光束は、走査レンズ2105c、及び2枚の折り返しミラー(2106c、2108c)を介して、感光体ドラム2030cに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、光偏向器2104の回転に伴って感光体ドラム2030cの長手方向に移動する。
また、光偏向器2104で偏光されたシリンドリカルレンズ2204dからの光束は、走査レンズ2105d、及び折り返しミラー2106dを介して、感光体ドラム2030dに照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、光偏向器2104の回転に伴って感光体ドラム2030dの長手方向に移動する。
各感光体ドラムにおける光スポットの移動方向が、「主走査方向」であり、感光体ドラムの回転方向が、「副走査方向」である。
光偏向器2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。
4つの光源装置(2200a、2200b、2200c、2200d)は、一例として、実質的に同一の構成を有している。そこで、以下では、各光源装置を、光源装置2200と総称する。以下では、図5(A)等に示されるabc3次元直交座標系を適宜用いて説明する。なお、ここでは、a軸方向が主走査対応方向であり、b軸方向が副走査対応方向である。
図5(A)は、光源装置2200の平面図である。図5(B)は、光源装置2200を−b側から見た側面図である。図6は、図5(A)のJ−J線断面図である。図7は、後述するリッド20が取り外された状態の光源装置2200の平面図である。
光源装置2200は、一例として、図5(A)〜図7に示されるように、パッケージ10、リッド20(キャップ又はカバーともいう)、面発光レーザアレイチップ40、光分離素子50、フォトダイオード60などを有している。
パッケージ10は、一例として、複数のセラミックス層が積層されて形成されたCLCC(Ceramic Leaded Chip Carrier)と呼ばれる放熱性に優れた小型のフラットパッケージである。ここでは、パッケージ10は、一例として、平面形状(+c側から見た形状)が一辺の長さC(例えば13mm)の正方形であり、厚さD(例えば2mm)の薄い略直方体形状の外形を有している(図5(A)及び図5(B)参照)。
詳述すると、パッケージ10は、一例として、複数のセラミックス層と、該セラミックス層内に絶縁された状態で配設された複数のメタライズ配線部材(リード配線)とを有している。なお、パッケージ10の材料としては、絶縁性を有する材料であれば、セラミックス以外のものであっても良く、耐熱性及び放熱性に優れたものがより好ましい。
パッケージ10は、一例として、図6及び図7に示されるように、ab平面に平行に配置されており、中央に段付き凹部10aが形成されている。この段付き凹部10aは、キャビティ領域とも呼ばれる。ここでは、段付き凹部10aの段数は、4となっている。すなわち、キャビティ領域には、c軸方向の異なる4つの位置に4つのキャビティ(凹み)が個別に形成されている。最も−c側のキャビティの平面形状(+c側から見た形状)は、直角を成す二辺がそれぞれa軸及びb軸に平行な正方形状であり、その他の3つのキャビティの平面形状(+c側から見た形状)は、直角を成す二辺がそれぞれa軸及びb軸に平行な、異なる大きさの正方形枠状である。以下では、便宜上、4つのキャビティを、−c側から+c側にかけて順に、第1キャビティ、第2キャビティ、第3キャビティ、第4キャビティとも称する。
詳述すると、パッケージ10は、一例として、チップマウント部11、フォトダイオードマウント部12、パッケージ側二次電極領域13などを有している。
チップマウント部11は、第1キャビティの底面であり、面発光レーザアレイチップ40が実装されている。チップマウント部11には、金属膜が設けられている。この金属膜は、ダイアタッチエリアとも呼ばれており、共通電極になっている。
詳述すると、面発光レーザアレイチップ40は、チップマウント部11のほぼ中央であって、上記金属膜上に、AuSn等の半田材ペーストなどを用いてダイボンドされている。すなわち、面発光レーザアレイチップ40は、第1キャビティの底面(チップマウント部11)に射出方向が+c方向となるように、すなわち後述する基板がab平面に平行になるように取り付けられている。
面発光レーザアレイチップ40の平面形状(+c側から見た形状)は、一辺の長さが例えば0.8〜1mmの正方形である。第1キャビティの一辺の長さは、例えば1.2〜3mmである。第1キャビティの一辺の長さは、用途によって適宜変更可能であるが、長いほど面発光レーザアレイチップの実装が容易になるので、一般的には、2.5mm程度の長さが選択されることが多い。
面発光レーザアレイチップ40は、一例として、直角を成す二辺がそれぞれa軸及びb軸に平行である。すなわち、面発光レーザアレイチップ40は、直角を成す二辺それぞれが第1キャビティの直角を成す二辺に平行になるように第1キャビティ内に配置されている。面発光レーザアレイチップ40の構成については、後に詳述する。
フォトダイオードマウント部12は、一例として、第3キャビティの底面の+a側のb軸方向中央部であり、フォトダイオード60が実装されている。フォトダイオード60については、後に詳述する。
パッケージ側二次電極領域13は、第2キャビティの底面であり、不図示の複数(例えば40個)の接続端子が配置されている。各接続端子は、上記メタライズ配線部材と接続されている。
ここで、パッケージ10における第4キャビティの底面、すなわち第3キャビティの周囲部には、平面形状(+c側から見た形状)が正方形枠状(ロ字状)の金めっき層15が設けられている。金めっき層15は、無電解めっきよりも緻密で密着性に優れた電気めっきにより形成されている。ここでは、金めっき層15の厚さは、約1μmである。
金めっき層15の+c側の面には、平面形状(+c側から見た形状)が略正方形枠状(ロ字状)のシール部材30が設けられている。シール部材30は、一例として、パッケージ10の材料であるセラミックスと熱膨張率が近似するコバール(Kovar:Fe−Ni−Co合金、ウェスチングハウス社の商品名)からなる。シール部材30の表面には金めっきが施されている。シール部材30は、銀ロウを用いて金めっき層15に固着されている。
リッド20は、一例として、略シルクハット形状の金属製部材から成り、そのつば部20aがシール部材30の+c側の面に例えばシーム溶接等によって接合されている。なお、リッド20のつば部20a以外の部分である本体部20bの形状は、略円筒形状に限らず、例えば略角筒柱状であってもよい。
リッド20の+c側の壁は、一例として、−b方向から見てab平面に対して例えば14°〜23°傾斜しており、その中央部、すなわち面発光レーザアレイチップ40の+c側の位置に開口20cが形成されている。
ここでは、一例として、図8(A)及び図8(B)に示されるように、リッド20の肉厚Hは、0.1mmに設定されている。また、リッド20の本体部20bの+a側の端部のc軸方向の長さh1は、2.5mmに設定されている。また、本体部20bの−a側の端部のc軸方向の長さh2は、0.5mmに設定されている。
図6に戻り、リッド20の+c側の壁には、略平板状の外形を有する光分離素子50が、開口20cを塞ぐように例えば低融点ガラスを介して取り付けられている。そこで、面発光レーザアレイチップ40から射出されたレーザ光は、光分離素子50に入射する。光分離素子50については、後に詳述する。なお、以下では、リッド20の+c側の壁を、傾斜壁とも称する。
結果として、パッケージ10、金めっき層15、リッド20、シール部材30、光分離素子50などによって、面発光レーザアレイチップ40が外部から遮蔽されており、面発光レーザアレイチップ40が収容されている内部空間の気密性が高められている。
光分離素子50は、一例として、図9に示されるように、透明ガラス板から成るカバーガラス41と、該カバーガラス41の入射面(−c側の面)に形成された所定の反射率(又は透過率)を有する反射膜45と、カバーガラス41の射出面(+c側の面)に形成された所定の反射率(又は透過率)を有する反射防止膜46と、を有する。
反射膜45としては、一例として、所定の透過率で光を透過させる薄い金等からなる金属膜、誘電体多層膜などが用いられている。なお、誘電体多層膜は、ミラーとしての機能を有するように、所定の厚さの高屈折率材料と低屈折率材料とを交互に積層することにより形成されたものである。高屈折率材料としては、例えばZnS−SiO2、TiO2等が挙げられ、低屈折率材料としては、例えばSiO2等が挙げられる。
反射防止膜46としては、一例として、カバーガラス41の屈折率よりも低い屈折率を有する誘電体膜、所定の膜厚の高屈折率材料と低屈折率材料とが交互に積層された誘電体多層膜などが用いられている。
以上のように構成される光分離素子50は、一例として、リッド20の傾斜壁に、該傾斜壁にほぼ平行に(−b方向から見てab平面に対して例えば14°〜23°傾斜した状態で)、開口20cをリッド20の内側から覆うように取り付けられている。
この場合、面発光レーザアレイチップ40からの複数のレーザ光それぞれは、一部が反射膜45、カバーガラス41及び反射防止膜46を透過し、残部が反射膜45、カバーガラス41又は反射防止膜46で入射方向に交差する所定方向に反射される。ここでの透過光が光源装置2200から射出されたレーザ光である。
結果として、光分離素子50は、面発光レーザアレイチップ40から射出された複数のレーザ光それぞれを透過光と反射光とに分離する機能、及びリッド20の開口20cを覆う機能を併有する。
なお、光分離素子50は、リッド20の傾斜壁に形成された開口20cをリッド20の外側から覆うように取り付けられても良いし、リッド20の傾斜壁に形成された開口20cに嵌め込まれても良い。
図6に戻り、フォトダイオード60は、一例として、光分離素子50で反射された複数のレーザ光の光路上(ここでは面発光レーザアレイチップ40の+a側)に受光面(例えば絶縁膜の上面)が位置するように、面発光レーザアレイチップ40が収容されている内部空間に配置されている。
詳述すると、フォトダイオード60は、一例として、フォトダイオードマウント部12に受光面がab平面に略平行になるように配置されている。フォトダイオード60は、P型半導体が+c側に位置し、かつN型半導体が−c側に位置するようにダイボンディングによってフォトダイオードマウント部12に実装されている。P型半導体に接続されたアノード電極は、上記メタライズ配線部材とワイヤーボンディングにより電気的に接続されている。N型半導体に接続されたカソード電極は、導電性接着剤を介して接地されている。ここでは、フォトダイオード60の受光面は、半径Rの円形とされている(図7参照)。
この場合、光分離素子50で反射された複数のレーザ光それぞれの残部は、フォトダイオード60に入射される。この結果、フォトダイオード60にモニタ光として十分な光量のレーザ光を入射させることができる。また、光分離素子50は、カバーガラス41の+c側に反射防止膜46を有しているため、カバーガラス41の+c側の面での界面反射を減らすことができ、後述するエタロン効果の影響を低減することができる。
すなわち、本実施形態では、図10に示されるように、各レーザ光の光スポットの主光線を含む中央の光線(光量が大きい光線)をフォトダイオード60に向けて反射させるため、モニタ光として十分な光量を得ることができ、また光スポットの光量分布に影響がない。
ここで、反射膜45の反射率は3%〜15%であることが好ましく、更には、5%〜12%であることがより好ましい。反射率が低過ぎると、モニタ光の光量が小さくなるため、フォトダイオード60でのモニタ電流がノイズに埋もれてしまい、S/N比が低下するため、面発光レーザアレイチップ40における各発光部の光量制御を正確に行なうことができなくなるからである。また、反射率が高過ぎると、光分離素子50を透過するレーザ光の光量が小さくなり、結果的に、光源装置2200から射出されるレーザ光(書き込み用光束)の光量が低下してしまうからである。
なお、光分離素子50では、カバーガラス41の−c側の面に反射膜45を形成せずに、リッド20内外の気体(カバーガラス41の周囲の気体)の屈折率と、カバーガラス41の屈折率との差による界面(カバーガラス41の入射面又は射出面)での反射を利用するとともに、その反射率をカバーガラス41の材料によって設定することが、より好ましい。
すなわち、薄膜作製工程によって形成された完全に均一ではない反射膜45による反射を利用するよりも、カバーガラス41の材料そのものの屈折率による反射を利用することで、安定した光量のモニタ光を受光することができる。また、反射膜45を形成する必要がなくなる分、コストダウンを図ることができる。
また、反射防止膜46は、反射率が1%以下であることが好ましく、更には、0.5%以下であることがより好ましい。この場合、図10に示されるレーザ光の領域6Aの一部を反射防止膜46で反射させてフォトダイオード60に入射させることができる。
面発光レーザアレイチップ40は、図11に示されるように、ab平面に沿って2次元配列された複数(例えば40個)の発光部(v1〜v40)を含む面発光レーザアレイ240、複数(例えば40個)の発光部に対応する複数(例えば40個)の電極パッド(不図示)などを有している。
各発光部は、発振波長が780nm帯の垂直共振器型の面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)である。面発光レーザは、基板に垂直な方向に光を射出する半導体レーザであり、従来の端面発光レーザに比べて低コストで高性能であり、さらにはアレイ化が容易である。
複数(例えば40個)の電極パッドは、複数の発光部の周囲に配置されており、ボンディングワイヤを介して、対応する複数の発光部と電気的に接続されている。また、複数(例えば40個)の電極パッドは、上記複数(例えば40個)の接続端子と個別に電気的に接続されている。結果として、複数(例えば40個)の発光部は、複数(例えば40本)の上記メタライズ配線部材に個別に接続されている。
面発光レーザアレイチップ40では、40個の発光部(v1〜v40)が半導体製造工程によってab平面に平行な同一基板上に形成されている。すなわち、面発光レーザアレイ240は、40チャネルの面発光レーザアレイである。40個の発光部は、全ての発光部をb軸方向(副走査対応方向)に延びる仮想線上に正射影したときに等間隔d1となるように配置されている。なお、本明細書では、2つの発光部の中心間距離を「発光部間隔」とも称する。また、図11では発光部の数が40個であるものを示しているが、発光部の数は、複数であればよく、例えば、発光部が32個のものであってもよい。以下では、各発光部をチャネルとも称する。
40個の発光部(v1〜v40)は、前述したように、半導体製造工程によって同一基板上に形成されている40個の面発光レーザであり、面発光レーザアレイ240は、発光部間で均一な偏光方向を有する単一基本横モードの複数のレーザ光を射出することができる。この結果、円形でかつ高密度の微小な40個の光スポットを対応する感光体ドラム上に形成することができる。
また、面発光レーザアレイ240では、b軸方向に隣り合う2つの発光部の発光部間隔が等間隔d2であるため、各発光部の点灯タイミングを調整することにより、対応する感光体ドラム上に40個の光スポットを副走査方向に等間隔で形成することができ、複数の発光部が感光体ドラムに対向して副走査対応方向に等間隔で並んでいる場合と同様な構成と捉えることができる。
そして、例えば、上記間隔d2を2.65μm、光走査装置2010の全光学系の倍率を2倍とすれば、4800dpi(ドット/インチ)の高密度書込みができる。勿論、主走査対応方向の発光部数を増加したり、副走査対応方向のピッチd1を狭くして間隔d2がより小さくなるように発光部を配置したり、光走査装置2010の全光学系の倍率を下げたりすれば、書込み密度をより高密度化でき、より高品質の画像を形成することが可能となる。なお、主走査方向の書き込み間隔は、各発光部の点灯タイミングを調整することで容易に制御できる。
ところで、40個の発光部を有する面発光レーザアレイチップ40は、端子の数が多いため、面発光レーザアレイチップ40をいわゆるキャンパッケージに収容することは、極めて困難である。そこで、面発光レーザアレイチップ40は、平面実装が可能で、リードとなる端子の取り出しが容易なフラットパッケージであるパッケージ10に収容されている。
パッケージ10は、以下の手順で作製される。
最初に、セラミックスからなる基体用グリーンシートを用意し、該基体用グリーンシートに上記メタライズ配線部材を通すための貫通孔を形成する。
次に、セラミックスからなる枠体用グリーンシートを準備し、該枠体用グリーンシートにキャビティ領域となる貫通孔(段付き孔)を形成する。
続いて、基体用グリーンシートの上面から下面にかけて、上記メタライズ配線部材の材料となる金属ペーストをスクリーン印刷法等により塗布する。なお、該金属ペーストは、タングステンやモリブデンなどの金属粉末と、有機バインダ及び溶剤等とを混練したものである。
また、枠体用グリーンシートの貫通孔の内面に、上記メタライズ配線部材の材料となる金属ペーストをスクリーン印刷法等により塗布する。なお、貫通孔への印刷では、一般に、貫通孔の一端に金属ペーストを塗布しておき、該貫通孔の他端から吸引しながら該貫通孔の内面に印刷する方式が採用される。
そして、基体用グリーンシートに枠体用グリーンシートを載せ、加圧と加熱によってセラミック基板を作製し、さらに高温で焼成する。
次いで、チップマウント部11、フォトダイオードマウント部12、パッケージ側二次電極領域13、メタライズ配線部材の露出表面に、ニッケルや銀等をめっきする。
ところで、光分離素子50をab平面に対して傾斜させて配置している理由の1つは、光分離素子50での反射光が面発光レーザアレイチップ40に戻ることを防止し、ひいては面発光レーザアレイチップ40の各発光部の出力変動を防止するためである。
また、もう1つの理由は、面発光レーザアレイチップ40から射出された複数のレーザ光それぞれの残部を、光分離素子50でフォトダイオード60に向けて反射させるためである。すなわち、光分離素子50で反射されたレーザ光をモニタ用光束として利用するためである。
しかしながら、光分離素子50で反射されたレーザ光をモニタ用光束として利用する場合、カバーガラス41の表面での反射光と裏面での反射光との干渉により、エタロン効果が発生する。
「エタロン効果」とは、透明部材にレーザ光が入射した際、該透明部材の入射面と射出面との距離に応じた多重反射が生じ、これが周波数に応じた光干渉となって波長に対する正弦波を描く現象である。具体的には、発明者の経験に基づくと、例えば10チャネル以上の多チャネル面発光レーザアレイでは、温度変化による周波数変動が顕著であり、この結果、モニタ用光束の強度に振動が生じ、線形的なモニタ電流を出力することができなくなる。
ここで、比較例の光源装置140について説明する。この光源装置140は、一例として、図12に示されるように、レーザモジュール500と光学モジュール600とで構成されている。
レーザモジュール500は、一例として、面発光レーザアレイチップ510、該面発光レーザアレイチップ510を駆動制御する不図示のレーザ制御装置、面発光レーザアレイチップ510、レーザ制御装置が実装されているPCB(Printed Circuit Board)基板580などを有している。面発光レーザアレイチップ510は、面発光レーザアレイチップ40と実質的に同一の構成を有している。
光学モジュール600は、一例として、第1の部分610と第2の部分630とから構成されている。第1の部分610は、ハーフミラー611、集光レンズ612、及びフォトダイオード613を有している。また、第2の部分630は、カップリングレンズ631、及び開口板632を有している。
第1の部分610は、面発光レーザアレイチップ510の+z側であって、面発光レーザアレイチップ510から射出されたレーザ光の光路上にハーフミラー611が位置するように配置されている。ハーフミラー611に入射したレーザ光の一部は−y方向に反射され、集光レンズ612を介してフォトダイオード613で受光される。フォトダイオード613は、モニタ用のフォトダイオードであり、受光光量に応じた信号(光電変換信号)をレーザモジュール500のレーザ制御装置に出力する。
第2の部分630は、第1の部分610の+z側であって、ハーフミラー611を透過したレーザ光の光路上にカップリングレンズ631が位置するように配置されている。カップリングレンズ631は、ハーフミラー611を透過したレーザ光を略平行光とする。開口板632は、開口部を有し、カップリングレンズ631を介したレーザ光を整形する。開口板632の開口部を通過したレーザ光が、光源装置140から射出されたレーザ光となる。
ここで、面発光レーザアレイチップ510から射出されたレーザ光をフォトダイオード613に導く光学系を組み込むコストが、この光源装置140の高価格化を招く原因となっている。
そこで、この問題を解消するために、本実施形態の光源装置2200では、パッケージ10に面発光レーザアレイチップ40とフォトダイオード60を集積化する構成が採用されている。
このように、面発光レーザアレイチップとフォトダイオードとがパッケージに集積化されている場合、カバーガラスを含む光分離素子の表面で反射されたモニタ用光束をフォトダイオードに入射させるためには、フォトダイオード60の受光面の大きさ(面積)と、面発光レーザアレイチップ40の仮想光軸中心(図11参照)と該仮想光軸中心から最も離れた位置に位置する発光部(以下では、最離間チャネルとも称する)の中心との距離rの関係、及び光分離素子50のab平面に対する傾斜角度θが非常に重要である。
ここで、面発光レーザアレイチップ40の「仮想光軸中心」のab平面内における位置(座標)は、例えば図11において、最も−a側のチャネルのa座標と最も+a側のチャネルのa座標の平均値、及び最も+b側のチャネルのb座標と最も−b側のチェネルのb座標の平均値を算出することで求められる。
すなわち、面発光レーザアレイチップ40の「仮想光軸中心」は、面発光レーザアレイ240の中心である。以下では、この「仮想光軸中心」を、「面発光レーザアレイチップ40の中心」とも称する。
なお、上記rの定義に用いられている、仮想光軸中心から最も離れた位置に位置するチャネルとは、例えば図11から分かるように、v4又はv37である。
ところで、レーザにはFFP(ファーフィールドパターン)というレーザ光の広がり角で表される指標がある。FFPは、レーザから所定距離離れた場所、例えばレーザから1m離れた場所でレーザ光の強度分布を測定したものである。
本実施形態では、比較的狭いFFPである8°以下の面発光レーザを用いている。このようなFFPが狭い面発光レーザは、FFPが広い面発光レーザと比べて実装のための設計思想が全く異なる。
狭いFFPの面発光レーザでは、射出光の広がりを抑えることができ、結果的に小さな光スポットで書き込みができるようになり、走査光学系を用いたプリンタ、複写機などの光源として好適である。
一方で、FFPが狭い場合にはフォトダイオードの受光面に入射されるレーザ光が該受光面の中心からずれた際のモニタ電流(フォトダイオードの出力電流)の変化が大きくなる。特に複数チャネルを有する面発光レーザアレイの場合に、この現象は顕著になる。
従って、複数チャネルを有する面発光レーザアレイを光源に用いる場合には、各射出光をフォトダイオードの受光面に精度良く入射させることが非常に重要となる。
なお、FFPは面発光レーザの発光パワーによって変化するが、本実施形態では、一例として、各面発光レーザを1mWの発光パワーで発光させたときのレーザ光の広がり角をFFPとして採用している。
ここで、面発光レーザアレイチップ40のa軸に平行な一辺の長さAと、該面発光レーザアレイチップ40が配置されている第1キャビティのa軸に平行な一辺の長さBとの比B/A(図13参照)は、フォトダイオード60へのモニタ用光束の入射特性に大きな影響を及ぼす。そこで、後に詳述するように、B/Aを制御することで該入射特性を向上させることができる。
また、例えば、B/Aを小さくするほど、面発光レーザアレイチップ40とフォトダイオード60を近接させることができる。
また、例えば、B/Aを小さくするほど、ワイヤーボンディングに用いる金の使用量を格段に少なくすることができる。
また、例えば、B/Aを小さくするほど、第1キャビティ内でのチップ実装位置の実装ずれを判別し易くなり、目視検査での実装ずれを見逃すことによる不良品の流出率を格段に減少させることができる。
ところで、本実施形態のように小型のフラットパッケージにフォトダイオードを内蔵させる場合、フォトダイオードとして極力小型のものを用いることが望まれる。
また、発光部から射出された光束は、FFPの広がり角に応じて広がりながら進行するため、小型のフォトダイオードの受光面には、モニタ用光束(発光部から射出され光分離素子50で反射された光束)の一部が入射する。以下では、モニタ用光束の光量に対する受光面での受光量を「カップリング効率」と称する。
この場合、モニタ用光束の中心が受光面の中心から離れるにつれてカップリング効率は低下する。また、例えば面発光レーザアレイチップのような複数の発光部を有する発光素子では、発光部毎にカップリング効率は異なる。以下では、{100−(カップリング効率の最小値/カップリング効率の最大値)×100}を「カップリング効率ばらつき(%)」と称する。
ところで、上記走査制御装置によって、所定のタイミング毎に、フォトダイオードの出力信号に基づいて各発光部のAPC(Auto Power Control)が実施されるが、カップリング効率ばらつきが30%を超えるとAPCが困難になる。また、小さい面積の受光面を有するフォトダイオードでは、小さなモニタ電流しか得られず、このこともAPCを難しくする一因となる。
ここで、APCについて説明する。画像形成装置では、温度変化や経時変化に伴って走査用光束(書込み用光束)の光量が変化し、最終的に出力される画像(出力画像)に濃度むらが発生するおそれがある。そこで、これを抑制するため、通常、光走査装置では、光源から射出される光束の一部をモニタ用光束としてフォトダイオード等のディテクタ(光検出器)で受光し、その結果に基づいて、光源の出力レベルを制御するAPCを実施している。
端面発光レーザを用いた光走査装置では、端面発光レーザから後方に射出される光をモニタし、APCを行っていた。
一方、面発光レーザではその構造上、後方への射出光が生じないため、面発光レーザを用いた光走査装置では、面発光レーザから射出された光束の一部を分岐させて光検出器に導き、該光検出器の出力に基づいてAPCを行っていた。
このようなAPCでは、特に本実施形態のように面発光レーザから射出された光束(射出光束)の一部を分岐させてフォトダイオードに導く方式を採用する場合、射出光束のうち大きな割合の光束をフォトダイオードに導くと、書き込み用光束の割合が小さくなって好ましくない。
そこで、フォトダイオードに導く光束をできるだけ小さな割合にすることが考えられるが、この場合、モニタ用光束の光量が小さくなり、小型のフォトダイオードで得られるモニタ電流では効率的で安定したAPCができなくなる。また、書き込み用光束は最大パワーと最小パワーとの比が5〜6倍の範囲であることが多く、このような範囲で小型のフォトダイオードを用いると最小パワーで発光する面発光レーザを正確に制御することは困難である。
ここで、上述の如く、フォトダイオード60の受光面は、半径Rの円形である。この場合、(R/r)≧4を満たすような比較的大きい受光面を有するフォトダイオード60及び面発光レーザアレイチップ40を集積化させる場合には、面発光レーザアレイチップにおける中央の面発光レーザと周囲の面発光レーザとの間でのカップリング効率ばらつきは小さくなるため、カップリング効率ばらつきが問題になることはない。なお、rは、上述の如く、面発光レーザアレイチップ40の中心と最離間チャネルの中心との距離である。
一方、(R/r)<4を満たすような比較的小さい受光面を有する小型のフォトダイオード及び面発光レーザアレイチップを集積化させる場合には、カップリング効率ばらつきが問題になる。
この問題を解決するために、発明者らは、以下に示すような鋭意検討を行った。
ここで、図13に示されるように、面発光レーザアレイチップ40とフォトダイオード60のa軸方向に関する中心間距離をL1、面発光レーザアレイチップ40の+c側の面(射出面)とフォトダイオード60の+c側の面(受光面)との距離をL2とする。
ここでは、一例として、r=0.22mm、R=0.6mm、FFP≒6.5°、反射膜45の反射率=10%、A=0.9mm、L2=0.4mm(=1.82r)、光分離素子50のab平面に対する傾斜角度θ=20°、面発光レーザアレイチップ40と光分離素子50の反射膜45との距離=2.64mm(=12r)とされている。この場合のB/AとL1との関係が図14にグラフで示されている。
ここで、パッケージ10において、フォトダイオードマウント部12をチップマウント部11側へ近づけた構造とする場合、パッケージ側二次電極領域13の幅を少なくとも0.3Aほど確保する必要がある。パッケージ側二次電極領域13の幅がこれ以上狭くなると、ワイヤーボンディングにおいてキャピラリーがフォトダイオード60に干渉する可能性が高くなるからである。このような制約がある場合に、Bの大きさを小さくしてB/Aを小さくすることでL1の値を小さくできること、すなわち面発光レーザアレイチップ40及びフォトダイオード60をより小さいスペースに集積化できることが図14から分かる。
しかしながら、B/Aが1.2よりも小さいと、すなわちL1が10rよりも小さいと面発光レーザアレイチップ40をチップマウント部11にダイボンドする際に面発光レーザアレイチップ40の端面からはみ出している導電性ペーストが、第1キャビティの側面に接触するおそれがある。導電性ペーストが第1キャビティの側面に接触すると、その導電性ペーストがパッケージ側二次電極領域13にまで這い上がり、接続端子間での短絡(ショート)の原因となる。
そこで、光源装置2200では、一例として、(R/r)<4が成立する場合に、B/A≧1.2(L1≧10r)が成立するように、A及びBの値が設定されている。
図15には、L1とカップリング効率ばらつきとの関係がグラフで示されている。APCを安定して行うことができるのは、カップリング効率ばらつきが30%以下の場合であることを考慮すると、図15から分かるように、L1を13r以下にすることが好ましい。L1が13rを超えるとカップリング効率ばらつきが30%を超えることになるが、図14及び図15から、30%を超えないB/Aの範囲は2.0以下であるということが分かる。
そこで、光源装置2200では、一例として、(R/r)<4が成立する場合に、10r≦L1≦13rが成立するように、A及びBの値が設定されている。
また、本実施形態の面発光レーザアレイチップ40のチャネル数は、40であり、40個のチャネルに対応する接続端子も40個ある。そして、対応するチャネルと接続端子とが金ワイヤーを用いてボンディングされるが、金ワイヤーは1つのパッケージ10に対して40本必要なので金の消費量が多くなる。
ここで用いられる金ワイヤーの太さは例えば20μmである。図16には、1つのパッケージ10(40チャネル分)でのワイヤーボンディングで使用される金ワイヤーの長さ(使用量)とB/Aとの関係が示されている。図16から、B/Aの値が2.0以下では、その金の使用量が非常に小さくなることが分かる。特に、B/A=2.76という値を持つ、面発光レーザアレイチップとフォトダイオードが集積化されていない比較例の光源装置との比較では、金の使用量はほぼ半分程度になることが分かる。
また、B/Aの値が2.0以下では、面発光レーザアレイチップ40のサイズに対して、チップマウント部11が小さくなることで、チップマウント部11の中心にダイボンドされた面発光レーザアレイチップ40の実装ずれを、目視によって判別し易くなる。チップマウント部11の中心に面発光レーザアレイチップ40を実装する場合、その実装ずれは本実施形態のパッケージ10であれば80μmまで許容されるところ、目視による実装ずれを見逃したことによる不良品の流出率は、B/Aが2.76の場合は7%であるのに対し、B/Aが2.0以下の場合は0.8%であり、実装ずれが格段に判別し易くなることが分かる。
そこで、光源装置2200では、一例として、(R/r)<4が成立する場合に、B/A≦2.0以下となるように、A及びBの値が設定されている。
また、図15から分かるように、カップリング効率ばらつきを低減させる観点からは、L1はできるだけ小さい方が良い。しかしながら、フォトダイオード60を面発光レーザアレイチップ40に近づけ過ぎると、フォトダイオード60がフォトダイオードマウント部12から内側にはみ出し、フォトダイオード60をダイボンドしている導電性ペーストがパッケージ側二次電極領域13を底面とする第2キャビティ内へと進入し、接続端子間で短絡のおそれがある。
本実施形態の光源装置2200において、L1=2.2mm(=10r)、L2=0.4mm(=1.82r)、面発光レーザアレイチップ40と光分離素子50の反射膜45との距離を2.6mm(=11.8r)としたときの、面発光レーザアレイチップ40を、仮想光軸中心が第1キャビティの中心(チップマウント部11の中心)からフォトダイオード60側にずれた状態で実装した場合のずれ量と、カップリング効率ばらつきとの関係が図17にグラフで示されている。
図17から、面発光レーザアレイチップ40を第1キャビティの中心からフォトダイオード60側へ0.15r以上ずらして実装することでL1の値を小さくでき、かつカップリング効率ばらつきを小さくできることが分かる。また、ずれ量が0.4r以上になるとその効果が横ばいとなり、面発光レーザアレイチップ40をダイボンドする際に面発光レーザアレイチップ40の端面からはみ出している導電性ペーストが、第1キャビティの側面に接触するおそれがある。導電性ペーストが第1キャビティの側面に接触すると、その導電性ペーストがパッケージ側二次電極領域13にまで這い上がり、接続端子間での短絡の原因となる。
そこで、光源装置2200では、一例として、(R/r)<4が成立する場合に、面発光レーザアレイチップ40が第1キャビティの中心からフォトダイオード60側へ0.15r〜0.4rずらして実装されている。
また、本実施形態の光源装置2200において、B/A=1.6、L1=2.2mm(=10r)、L2=0.4mm(=1.82r)、光分離素子50のab平面に対する傾斜角=20°、フォトダイオード60(受光面の中心)の、フォトダイオードマウント部12の中心からのずれ量を50μmとしたときの、面発光レーザアレイチップ40の中心と光分離素子50の反射膜45とのc軸方向に関する距離L3と、カップリング効率ばらつきとの関係が図18にグラフで示されている。図18から分かるように、カップリング効率ばらつきを低減する観点からは、L3は、例えば1.76mm(=8r)〜3.74mm(=17r)であることが好ましい。なお、図18に示される曲線は、12.5rで極小値をとる略放物線である。
そこで、光源装置2200では、一例として、(R/r)<4が成立する場合に、L3が8r〜17rに設定されている。
また、本実施形態の光源装置2200において、B/A=1.6、L1=2.2mm(=10r)、L2=0.4mm(=1.82r)、面発光レーザアレイチップ40と光分離素子50の反射膜45との距離を2.6mm(=11.8r)、フォトダイオード60(受光面の中心)の、フォトダイオードマウント部12の中心からのずれ量を50μmとしたときの、面発光レーザアレイチップ40の+c側の面(射出面)とフォトダイオード60の+c側の面(受光面)とのc軸方向に関する距離L2とカップリング効率ばらつきとの関係が図19にグラフで示されている。図19から分かるように、カップリング効率ばらつきを低減する観点からは、L2は、例えば0.22mm(=r)〜0.726mm(=3.3r)であることが好ましい。なお、図19に示される曲線は、2rで極小値をとる略放物線である。
そこで、光源装置2200では、一例として、(R/r)<4が成立する場合に、L2がr〜3.3rに設定されている。
また、本実施形態の光源装置において、B/A=1.6、L1=2.2mm(=10r)、L2=0.4mm(=1.82r)、面発光レーザアレイチップ40と光分離素子50の反射膜45との距離を2.6mm(=11.8r)、フォトダイオード60(受光面の中心)の、フォトダイオードマウント部12の中心からのずれ量を50μmとしたときの、光分離素子50のab平面に対する傾斜角度とカップリング効率ばらつきとの関係が図20に示されている。図20から分かるように、カップリング効率ばらつきを低減する観点からは、光分離素子50の傾斜角度θは、例えば14°〜23°であることが好ましい。なお、図20に示される曲線は、18.5°で極小値をとる略放物線である。
そこで、光源装置2200では、一例として、(R/r)<4が成立する場合に、光分離素子50の傾斜角度θは、14°〜23°に設定されている。
また、本実施形態の光源装置において、B/A=1.6、L1=2.2mm(=10r)、L2=0.4mm(=1.82r)、面発光レーザアレイチップ40と光分離素子50の反射膜45との距離を2.6mm(=11.8r)、フォトダイオード60(受光面の中心)の、フォトダイオードマウント部12の中心からのずれ量を50μmとしたときの、光分離素子50の傾斜角度θの基準角度(ここでは18.5°)からのずれ量であるθずれ量と各チャネルに対応するカップリング効率との関係、及びθずれ量とカップリング効率ばらつきとの関係が図21(A)に表で示されている。また、θずれ量とカップリング効率ばらつきとの関係が図21(B)にグラフで示されている。図21(A)及び図21(B)から分かるように、θずれ量が大きいほどカップリング効率ばらつきが大きくなることが分かる。なお、図21(A)では、40チャネルのうち10チャネル分のデータが表示され、その他の30チャネル分のデータは省略されている。図21(A)におけるch1〜ch40は、図11におけるv1〜v40に個別に対応している。
そこで、光源装置2200では、光分離素子50の傾斜角度θは、17°〜20°に設定されることが好ましく、18.5°に設定されることがより好ましい。
以上説明した本実施形態の光源装置2200は、基板に垂直な方向に光を射出する複数の発光部を有する、平面形状が正方形の面発光レーザアレイチップ40と、該面発光レーザアレイチップ40からの複数の光の光路上に配置され、前記複数の光それぞれの一部を透過させ、残部を入射方向に交差する方向に反射させる光分離素子50と、該光分離素子50で反射された光を受光する、円形の受光面を有するフォトダイオード60と、面発光レーザアレイチップ40及びフォトダイオード60が実装されるパッケージ10と、を備えている。複数の発光部それぞれから射出される光のファーフィールドパターンにおける広がり角は、8°以下である。そして、面発光レーザアレイチップ40は、その一辺がパッケージ10に設けられた平面形状が正方形の第1キャビティの一辺に平行になるように第1キャビティに配置されている。面発光レーザアレイチップ40及びフォトダイオード60は、第1キャビティの前記一辺に平行な方向に離間している。さらに、面発光レーザアレイチップ40の基板に平行な面内における中心と該中心から最も離れた位置に位置する発光部の中心との距離r及びフォトダイオード60の受光面の半径RについてR/r<4が成立し、かつ面発光レーザアレイチップ40の前記一辺の長さA及び第1キャビティの前記一辺の長さBについてB/A≦2が成立する。
この場合、フォトダイオード60の受光面の大きさが面発光レーザアレイチップ40の大きさに対して比較的小さくても、フォトダイオード60と面発光レーザアレイチップ40とを近接させた状態でフォトダイオード60での出力ばらつき(カップリング効率ばらつき)を抑制できる。この結果、APCを安定して精度良く行うことができる。
逆に言うと、面発光レーザアレイチップ40及び小型のフォトダイオード60を、該フォトダイオード60での出力ばらつきが抑制されるようにパッケージ10の限られたスペースに実装することができる。
結果として、光源装置2200では、フォトダイオード60での出力ばらつきが抑制されるように面発光レーザアレイチップ40とフォトダイオード60とを集積化させることができる。
また、光源装置2200では、B/A≧1.2が成立する。この場合、面発光レーザアレイチップ40を第1キャビティ内に実装(ダイボンド)する際に面発光レーザアレイチップ40の端面からはみ出している導電性ペーストが、第1キャビティの側面に接触することを防止できる。なお、導電性ペーストが第1キャビティの側面に接触すると、その導電性ペーストが第1キャビティから出て、接続端子間での短絡(ショート)の原因となる。
すなわち、光源装置2200では、面発光レーザアレイチップ40とフォトダイオード60との中心間距離L1について10r≦L1≦13rが成立している。
また、上述の如く、光源装置2200では、面発光レーザアレイチップ40からの各射出光の一部をフォトダイオードの受光面の中央に精度良く入射させることができる。そして、面発光レーザアレイチップ40からの各射出光のファーフィールドパターンにおける広がり角は、8°以下に設定されている。
この場合、モニタ電流(フォトダイオード60の出力電流)の変化を抑制しつつ小さな光スポットを例えば感光体ドラムに照射することができる。
また、光分離素子50の、前記複数の光が入射される入射面は、基板に対して14°〜23°傾斜しているため、フォトダイオード60での出力ばらつきを更に抑制することができる。
また、面発光レーザアレイチップ40の中心は、第1キャビティの中心からフォトダイオード60側に0.15r〜0.4rずれているため、フォトダイオード60での出力ばらつきを更に抑制することができ、かつ面発光レーザアレイチップ40を第1キャビティ内に実装(ダイボンド)する際に面発光レーザアレイチップ40の端面からはみ出している導電性ペーストが第1キャビティの側面に接触することを防止できる。
また、光源装置2200では、前記面発光レーザアレイチップ及び前記受光素子の中心間距離L1について10r≦L1≦13rが成立している場合、面発光レーザアレイチップ40と光分離素子50との距離L3について8r≦L3≦17rが成立しているため、フォトダイオード60での出力ばらつきを更に抑制することができる。
また、光源装置2200では、前記面発光レーザアレイチップ及び前記受光素子の中心間距離L1について10r≦L1≦13rが成立している場合、面発光レーザアレイチップ40の射出面とフォトダイオード60の受光面との前記基板に垂直な方向に関する距離L2についてr≦L2≦3.3rが成立しているため、フォトダイオード60での出力ばらつきを更に抑制することができる。
また、光分離素子50は、前記複数の光が入射される入射端に反射膜45を有し、該反射膜45での反射率は、前記複数の光それぞれの波長に対して3%〜15%であるため、フォトダイオード60でのS/N比の低下を防止でき、かつ光分離素子50を透過するレーザ光の光量が小さくなることを防止できる。
また、光源装置2200では、面発光レーザアレイチップ40及びフォトダイオード60の設置スペースを小さくできるため、結果的にパッケージ10の小型化、ひいては装置の小型化を図ることができる。
また、光走査装置2010は、光源装置2200と、該光源装置2200からの光を偏向する光偏向器2104と、該光偏向器2104により偏向された光を各感光体ドラムの表面(被走査面)上に導く走査光学系と、を備えている。
この場合、各感光体ドラムの表面を安定して精度良く走査することができる。
また、カラープリンタ2000は、複数の感光体ドラム(像担持体)と、該複数の感光体ドラムを画像情報に応じて変調された光によって走査する光走査装置2010と、を備えている。
この場合、最終的に出力されるカラー画像の品質を安定して向上させることができる。
ところで、カラープリンタ2000では、各部品の製造誤差や位置誤差等によって色ずれが発生する場合がある。このような場合であっても、点灯させる発光部を選択することで色ずれを低減することができる。
なお、上記実施形態の光源装置2200の構成は、適宜変更可能である。
例えば、光源装置2200が有する各構成部材のパラメータの数値及び範囲は、適宜変更可能である。
また、光源装置2200では、面発光レーザアレイチップの平面形状は、正方形とされているが、矩形とされても良い。
また、光源装置2200では、第1キャビティの平面形状は、正方形とされているが、矩形とされても良い。
また、パッケージの構成は、適宜変更可能である。上記実施形態では、例えばキャビティ領域を構成する段付き凹部の段数が4段とされているが、1段〜3段、5段以上とされても良い。
また、上記実施形態では、光源装置2200は、4つの感光体ドラムに個別に対応して4つ設けられているが、これに限らない。
また、面発光レーザアレイチップにおける複数の発光部の配列は、上記実施形態で説明したもの(図11参照)に限られない。要は、面発光レーザアレイの複数の発光部は、副走査対応方向(b軸方向)の位置が互いに異なるように2次元配列されていることが好ましい。例えば、マトリクス状に配置された複数の発光部を有する面発光レーザアレイチップを射出方向(c軸方向)周りに回転させて配置しても良い。
また、上記実施形態では、カバーガラスの入射面に反射膜が形成され、カバーガラスの射出面に反射防止膜が形成されているが、逆でも良い。
また、上記実施形態では、カバーガラスに反射膜及び反射防止膜が形成されているが、反射膜及び反射防止膜の少なくとも一方が形成されていなくても良い。
また、上記実施形態では、光分離素子50は、リッド20の開口20cを覆うためのカバーガラス41と、該カバーガラス41に形成された反射膜45及び反射防止膜46とを含んで構成されているが、これに限られない。例えば、面発光レーザアレイと、リッドの開口を覆うためのカバーガラスとの間のレーザ光の光路上に、例えばハーフミラー等のビームスプリッタ、透明ガラス板、反射膜及び反射防止膜の少なくとも一方が形成された透明ガラス板などを配置しても良い。要は、面発光レーザアレイチップからの複数のレーザ光の光路上に、該複数のレーザ光それぞれの一部を透過させ、残部を反射させる光学素子が配置されていれば良い。
また、上記実施形態では、面発光レーザの発振波長が780nm帯の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、650nm帯、850nm帯、980nm帯、1.3μm及び1.5μm帯など、異なる活性層材料を用いた他の波長帯であっても良い。また、基板もGaAs以外の基板を用いても良い。また、感光体の特性に応じて、発光部の発振波長を変更しても良い。
また、上記面発光レーザアレイチップは、画像形成装置以外の用途にも用いることができる。その場合には、発振波長は、その用途に応じて、650nm帯、780nm帯、850nm帯、980nm帯、1.3μm帯、1.5μm帯等の波長帯であっても良い。この場合に、活性層を構成する半導体材料は、発振波長に応じた混晶半導体材料を用いることができる。例えば、650nm帯ではAlGaInP系混晶半導体材料、980nm帯ではInGaAs系混晶半導体材料、1.3μm帯及び1.5μm帯ではGaInNAs(Sb)系混晶半導体材料を用いることができる。
また、上記実施形態では、受光素子として、フォトダイオード60が採用されているが、これに限らず、例えばフォトトランジスタなどを採用しても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置としてカラープリンタ2000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であっても良い。
例えば、媒体が、CTP(Computer to Plate)として知られている印刷版であっても良い。つまり、光走査装置2010は、印刷版材料にレーザアブレーションによって直接画像形成を行い、印刷版を形成する画像形成装置にも好適である。
また、例えば、媒体が、いわゆるリライタブルペーパーであっても良い。これは、例えば紙や樹脂フィルム等の支持体上に、以下に説明するような材料が記録層として塗布されている。そして、レーザ光による熱エネルギ制御によって発色に可逆性を与え、表示/消去を可逆的に行うものである。
透明白濁型リライタブルマーキング法とロイコ染料を用いた発消色型リライタブルマーキング法があり、いずれも適用できる。
透明白濁型は、高分子薄膜の中に脂肪酸の微粒子を分散したもので、110℃以上に加熱すると脂肪酸の溶融により樹脂が膨張する。その後、冷却すると脂肪酸は過冷却状態になり液体のまま存在し、膨張した樹脂が固化する。その後、脂肪酸が固化収縮して多結晶の微粒子となり樹脂と微粒子間に空隙が生まれる。この空隙により光が散乱されて白色に見える。次に、80℃から110℃の消去温度範囲に加熱すると、脂肪酸は一部溶融し、樹脂は熱膨張して空隙を埋める。この状態で冷却すると透明状態となり画像の消去が行われる。
ロイコ染料を用いたリライタブルマーキング法は、無色のロイコ型染料と長鎖アルキル基を有する顕消色剤との可逆的な発色及び消色反応を利用している。レーザ光により加熱されるとロイコ染料と顕消色剤が反応して発色し、そのまま急冷すると発色状態が保持される。そして、加熱後、ゆっくり冷却すると顕消色剤の長鎖アルキル基の自己凝集作用により相分離が起こり、ロイコ染料と顕消色剤が物理的に分離されて消色する。
また、媒体が、紫外光を当てるとC(シアン)に発色し、可視光のR(レッド)の光で消色するフォトクロミック化合物、紫外光を当てるとM(マゼンタ)に発色し、可視光のG(グリーン)の光で消色するフォトクロミック化合物、紫外光を当てるとY(イエロー)に発色し、可視光のB(ブルー)の光で消色するフォトクロミック化合物が、紙や樹脂フィルム等の支持体上に設けられた、いわゆるカラーリライタブルペーパーであっても良い。
これは、一旦紫外光を当てて真っ黒にし、R・G・Bの光を当てる時間や強さで、Y・M・Cに発色する3種類の材料の発色濃度を制御してフルカラーを表現し、仮に、R・G・Bの強力な光を当て続ければ3種類とも消色して真っ白にすることもできる。
このような光エネルギ制御によって発色に可逆性を与えるものも上記実施形態と同様な光走査装置を備える画像形成装置として実現できる。
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
また、上記光源装置は、画像形成装置以外の用途にも用いることができる。その場合には、発振波長は、その用途に応じて、650nm帯、850nm帯、980nm帯、1.3μm帯、1.5μm帯等の波長帯であっても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置としてカラープリンタの場合について説明したが、これに限定されるものではなく、単色のプリンタであっても良い。