以下、本発明の一実施形態を図1〜図26に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係るカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、光走査装置2010、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、4つのトナーカートリッジ(2034a、2034b、2034c、2034d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着装置2050、給紙コロ2054、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するA/D変換回路などを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、通信制御装置2080を介して受信した上位装置からの多色の画像情報を光走査装置2010に通知する。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。なお、各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転する。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010は、プリンタ制御装置2090からの多色の画像情報(ブラック画像情報、シアン画像情報、マゼンタ画像情報、イエロー画像情報)に基づいて色毎に変調された光束で、対応する帯電された感光体ドラムの表面を走査する。これにより、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。すなわち、ここでは、各感光体ドラムが像担持体である。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像装置の方向に移動する。なお、光走査装置の構成については後述する。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジ(図示省略)からのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出す。該記録紙は、所定のタイミングで転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出される。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。カラー画像が転写された記録紙は、定着装置2050に送られる。
定着装置2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。トナーが定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次積み重ねられる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
次に、前記光走査装置2010の構成について説明する。
光走査装置2010は、一例として図2〜図5に示されるように、4つの光源(2200a、2200b、2200c、2200d)、4つのカップリングレンズ(2201a、2201b、2201c、2201d)、4つの開口板(2202a、2202b、2202c、2202d)、4つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b、2204c、2204d)、光偏向器2104、4つの走査レンズ(2105a、2105b、2105c、2105d)、6枚の折り返しミラー(2106a、2106b、2106c、2106d、2108b、2108c)、及び不図示の走査制御装置などを備えている。
なお、ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向(回転軸方向)に沿った方向をX軸方向、光偏向器2104の回転軸に平行な方向をZ軸方向として説明する。
また、以下では、各光学部材において、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
光源2200aとカップリングレンズ2201aと開口板2202aとシリンドリカルレンズ2204aと走査レンズ2105aと折り返しミラー2106aは、感光体ドラム2030aに潜像を形成するための光学部材である。
光源2200bとカップリングレンズ2201bと開口板2202bとシリンドリカルレンズ2204bと走査レンズ2105bと折り返しミラー2106bと折り返しミラー2108bは、感光体ドラム2030bに潜像を形成するための光学部材である。
光源2200cとカップリングレンズ2201cと開口板2202cとシリンドリカルレンズ2204cと走査レンズ2105cと折り返しミラー2106cと折り返しミラー2108cは、感光体ドラム2030cに潜像を形成するための光学部材である。
光源2200dとカップリングレンズ2201dと開口板2202dとシリンドリカルレンズ2204dと走査レンズ2105dと折り返しミラー2106dは、感光体ドラム2030dに潜像を形成するための光学部材である。
各カップリングレンズは、対応する光源から射出された光束の光路上に配置され、該光束を略平行光束とする。
各開口板は、開口部を有し、対応するカップリングレンズを介した光束を整形する。
各シリンドリカルレンズは、対応する開口板の開口部を通過した光束を、光偏向器2104の偏向反射面近傍にY軸方向に関して結像する。
各光源と光偏向器2104との間の光路上に配置される光学系は、偏向器前光学系とも呼ばれている。
光偏向器2104は、2段構造のポリゴンミラーを有している。各ポリゴンミラーは、4面の偏向反射面を有している。そして、1段目(下段)のポリゴンミラーではシリンドリカルレンズ2204aからの光束及びシリンドリカルレンズ2204dからの光束がそれぞれ偏向され、2段目(上段)のポリゴンミラーではシリンドリカルレンズ2204bからの光束及びシリンドリカルレンズ2204cからの光束がそれぞれ偏向されるように配置されている。なお、1段目のポリゴンミラー及び2段目のポリゴンミラーは、互いに位相が略45°ずれて回転し、書き込み走査は1段目と2段目とで交互に行われる。
光偏向器2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204aからの光束は、走査レンズ2105a、及び折り返しミラー2106aを介して、感光体ドラム2030aに導光される。
また、光偏向器2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204bからの光束は、走査レンズ2105b、及び2枚の折り返しミラー(2106b、2108b)を介して、感光体ドラム2030bに導光される。
また、光偏向器2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204cからの光束は、走査レンズ2105c、及び2枚の折り返しミラー(2106c、2108c)を介して、感光体ドラム2030cに導光される。
また、光偏向器2104で偏向されたシリンドリカルレンズ2204dからの光束は、走査レンズ2105d、及び折り返しミラー2106dを介して、感光体ドラム2030dに導光される。
各感光体ドラム表面の光スポットは、光偏向器2104の回転に伴って感光体ドラムの長手方向に沿って移動する。
各感光体ドラムにおける光スポットの移動方向が「主走査方向」であり、感光体ドラムの回転方向が「副走査方向」である。
光偏向器2104と各感光体ドラムとの間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。
一般的に、発光素子が保持されるパッケージ部材は、発光素子が搭載される搭載部、及び該搭載部あるいは該搭載部の周辺から下方に導出された一対のメタライズ配線部材を有する基体と、この基体の上面に積層され、キャビティ領域を形成するための開口が設けられた枠体とを有している。また、キャビティ領域の底面には発光素子に電力を供給するための配線パターンがめっき金属層によって形成されている。このパッケージ部材は、以下の工程を経て作製される。
最初に、セラミックからなる基体用グリーンシートを準備し、該基体用グリーンシートに上記メタライズ配線部材を通すための貫通孔をあける。
次に、セラミックからなる枠体用グリーンシートを準備し、該枠体用グリーンシートにキャビティ領域となる貫通孔をあける。
続いて、基体用グリーンシートの上面から下面にかけて、メタライズ配線部材用の金属ペーストをスクリーン印刷法等により塗布する。なお、該金属ペーストは、タングステンやモリブデンなどの金属粉末と有機バインダ及び溶剤等とを混練したものである。
また、枠体用グリーンシートの貫通孔の内面に、上記メタライズ金属層用の金属ペーストをスクリーン印刷法等により塗布する。なお、貫通孔への印刷では、一般に、貫通孔の一端に金属ペーストを塗布しておき、他端から吸引しながら貫通孔の内部を印刷する方式が採用されている。
そして、基体用グリーンシートに枠体用グリーンシートをのせ、加圧と加熱によってセラミック基板を作製し、さらに高温で焼成する。
そして、搭載部、メタライズ配線導体及びメタライズ金属層の露出表面に、ニッケルや銀等をめっきする。
このようにして作製されたパッケージ部材に保持される発光素子の一例として面発光レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:VCSEL)がある。面発光レーザは、基板表面に直交する方向に光を射出する半導体レーザであり、従来の端面発光レーザに比べて低コストで高性能であること、さらにはアレイ化が容易であるという特徴を有している。このため、光インターコネクション等の光通信の光源、光ピックアップ用の光源、レーザプリンタ等の画像形成装置の光源としての検討が行われており、一部において実用化されている。
図6には、レーザモジュール500と光学モジュール600とを有する従来の光源ユニット14が示されている。
レーザモジュール500は、面発光レーザアレイチップがパッケージ部材に保持されている光デバイス510、該面発光レーザアレイチップを駆動制御するレーザ制御装置(図示省略)、前記光デバイス510及びレーザ制御装置が実装されているPCB(Printed Circuit Board)基板580を有している。
光学モジュール600は、第1の部分610と第2の部分630から構成されている。第1の部分610は、ハーフミラー611、集光レンズ612、及び受光素子613を有している。また、第2の部分630は、カップリングレンズ631、及び開口板632を有している。
第1の部分610は、光デバイス510の+c側であって、光デバイス510から射出された光の光路上にハーフミラー611が位置するように配置されている。ハーフミラー611に入射した光の一部は−b方向に反射され、集光レンズ612を介して受光素子613で受光される。受光素子613は、受光光量に応じた信号(光電変換信号)をレーザモジュール500のレーザ制御装置に出力する。
第2の部分630は、第1の部分610の+c側であって、ハーフミラー611を透過した光の光路上にカップリングレンズ631が位置するように配置されている。カップリングレンズ631は、ハーフミラー611を透過した光を略平行光とする。開口板632は、開口部を有し、カップリングレンズ631を介した光を整形する。開口板632の開口部を通過した光が、光源ユニット14から射出される光となる。
しかしながら、この光源ユニット14は、製造コストが高いという不都合があった。
そこで、発光素子から射出された光束の一部を、リッドに固定されている傾斜した透明部材の表面で反射させ、モニタ用光束として利用することが考案された。この場合は、モニタ用光束を受光するフォトダイオードを発光素子とともにパッケージ部材のキャビティ領域内に収容することとなる。
本実施形態では、各光源は、一例として図7(A)〜図8に示されるように、光デバイス10を有している。なお、図8は、図7(A)のA−A断面図である。
この光デバイス10は、フラットパッケージ20、シールリング30、リッド40、面発光レーザアレイチップ60、及びフォトダイオードPDを有している。
ここでは、フラットパッケージ20の底面に直交する方向をc軸方向とし、c軸方向に直交する面内における互いに直交する2つの方向をa軸方向及びb軸方向とする。そして、a軸方向が主走査対応方向となり、b軸方向が副走査対応方向となるように設定されている。
面発光レーザアレイチップ60は、一例として図9に示されるように、2次元的に配列されている40個の発光部を有している。なお、発光部の数は40個に限定されるものではない。
40個の発光部は、全ての発光部を副走査対応方向に延びる仮想線上に正射影したときに、発光部間隔が等しく(図9では「d1」)なるように配置されている。なお、本明細書では、「発光部間隔」とは2つの発光部の中心間距離をいう。
そして、図10に示されるように、40個の発光部の配列中心と該配列中心から最も離れた位置にある発光部(例えば、発光部v4)の中心との距離をrとする。
各発光部は、発振波長が780nm帯の垂直共振器型の面発光レーザである。すなわち、面発光レーザアレイチップ60は、40個の面発光レーザが集積されたものである。
ここでは、各発光部は、1mWで発光させたときのFFP(ファー・フィールド・パターン)がいずれも8°以下である。
面発光レーザアレイチップ60は、40個の発光部を有しており、端子の数が多いため、面発光レーザアレイチップ60をいわゆるキャンパッケージに収容するのは、極めて困難である。そこで、面発光レーザアレイチップ60は、平面実装が可能で、リードとなる端子の取り出しが容易なフラットパッケージ20に収容されている。
フラットパッケージ20は、CLCC(Ceramic leaded chip carrier)と呼ばれるフラットパッケージであり、一例として、図11〜図13に示されるように、チップマウント部21、PDマウント部22、複数の接続端子23、金めっき部24などを有するセラミックパッケージである。なお、図13は、図11のA−A断面図である。このフラットパッケージ20は、複数のセラミック層が積層されている。
フラットパッケージ20は、+c側の面にキャビティ領域と呼ばれる凹部を有している。
チップマウント部21は、面発光レーザアレイチップ60が実装される部分であり、上記キャビティ領域の底面である。このチップマウント部21には、金属膜が設けられている。この金属膜は、ダイアタッチエリアとも呼ばれており、共通電極になっている。
面発光レーザアレイチップ60は、チップマウント部21のほぼ中央であって、上記金属膜上にAuSn等の半田材を用いてダイボンドされている(図8参照)。すなわち、面発光レーザアレイチップ60は、周囲が壁で囲まれているキャビティ領域の底面上に保持されている。
チップマウント部21からは、不図示の複数のリード端子が、フラットパッケージ20の外周に向かって放射状に伸びている。該複数のリード端子は、ボンディングワイヤによって、面発光レーザアレイチップ60の複数の端子と電気的に接続されている。なお、以下では、チップマウント部21が設けられているセラミック層を、「セラミック層A」ともいう。
PDマウント部22は、上記セラミック層Aの+c側に積層されているセラミック層(以下では、「セラミック層B」ともいう)に設けられている。
フォトダイオードPDは、PDマウント部22にダイボンドされている。フォトダイオードPDのアノード電極は、ボンディングワイヤによって上記リード端子と電気的に接続されている。フォトダイオードPDの裏面のカソードは、導電性接着剤を介してグラウンド(GND)と電気的に接続されている。すなわち、面発光レーザアレイチップ60とフォトダイオードPDは、異なるセラミック層上に保持されている。
複数の接続端子23は、面発光レーザアレイチップ60をプリント基板等と電気的に接続するための端子であり、キャステレーションとも呼ばれている。該複数の接続端子23は、上記複数のリード端子と個別に電気的に接続されている。
金めっき部24は、キャビティ領域を取り囲むように設けられている。この金めっき部24は、無電解めっきよりも緻密で密着性に優れた電気めっきにより形成されている。これにより、キャップ40内部の気密性をより高めることができる。ここでは、金めっき部24のめっき厚は約1μmである。
フラットパッケージ20の外形は、一辺の長さC(図12参照)が約13mmの正方形である。また、フラットパッケージ20の厚さD(図12参照)は、約2mmである。
シールリング30は、一例として、図14〜図16に示されるように、金めっき部24の+c側に取り付けられている。このシールリング30は、キャビティ領域を取り囲むように開口部が形成された略正方形状の金属部材である。該開口部の大きさは、c軸方向に直交する平面にキャビティ領域を正射影したときのキャビティ領域の大きさとほぼ同じになるように設定されている。
シールリング30は、フラットパッケージ20の材料であるセラミックと熱膨張率の近いコバールでできている。シールリング30の表面には金めっきが施されている。シールリング30は、銀ロウを用いて金めっき部24に固着されている。
リッド40は、一例として図17に示されるように、金属で形成されているリッド本体41、及びガラス板42を有している。リッド本体41は、図18(A)及び図18(B)に示されるように、c軸方向に延びる立ち上がり部41aと、立ち上がり部41aの−c側の端部に設けられたフランジ部41bと、立ち上がり部41aの+c側の端部に設けられた傾斜部41cとを有している。ここでは、一例として、図18(A)における符号Hを0.1mm、符号h1を2.5mm、符号h2を0.5mmとしている。
フランジ部41bは、シールリング30と接続される平坦状の部分である。傾斜部41cは、ガラス板42が取り付けられる部分である。面発光レーザアレイチップ60から射出されガラス板42で反射された光束(以下では、「モニタ用光束」ともいう)がフォトダイオードPDに入射するように、ガラス板42は、c軸方向に直交する面に対して、所定の角度だけ傾斜して傾斜部41cに取り付けられている。なお、ここでは、面発光レーザアレイチップ60における複数の発光部の2次元配列の中心に発光部があると仮定したときに、該発光部から射出されガラス板42で反射されてフォトダイオードPDで受光される光束の中心が、フォトダイオードPDの受光面の中心と略一致するように設定されている。
ガラス板42は、リッド本体41の内側から、低融点ガラス43で傾斜部41cに固定されている(図17参照)。ガラス板42は、一例として図19に示されるように、−c側の面に反射膜45が形成され、+c側の面に反射防止膜46が形成されている。
面発光レーザアレイチップ60から射出されガラス板42を透過した光束が、光源から射出される光束であり、対応する感光体ドラムを光走査するための走査用光束となる。
反射膜45の反射率は3%〜15%であることが好ましい。反射率が3%より低いと、フォトダイオードPDで生成される受光光量に対応したモニタ信号のレベルが小さくなり、フォトダイオードPDから出力される信号のS/Nが低下する。また、反射率が15%より高いと、走査用光束の光量が少なくなる。反射防止膜46の反射率は1%以下であることが好ましい。
反射膜45は、所定の透過率で光を透過する薄い金(Au)等からなる金属膜、あるいは、誘電体多層膜からなるミラーにより構成されている。誘電体多層膜は、ミラーとしての機能を有するように、所定の厚さの高屈折率材料と低屈折率材料とが交互に積層されている。高屈折率材料としては、ZnS−SiO2、TiO2等が挙げられ、低屈折率材料としては、SiO2等が挙げられる。また、反射防止膜46は、ガラス板42の屈折率よりも低い屈折率を有する誘電体膜、または、所定の膜厚の高屈折率材料と低屈折率材料とが交互に積層された誘電体多層膜により構成されている。
走査制御装置は、所定のタイミング毎に、フォトダイオードPDの出力信号に基づいて、各発光部のAPCを実施する。
ところで、本実施形態のように、小さなフラットパッケージ内にフォトダイオードを内蔵させる場合、フォトダイオードの大きさは極力小さなものとしなければならない。また、発光部から射出された光束は、FFPの広がり角に応じて広がっていくので、小さなフォトダイオードの受光面には、モニタ用光束の一部が入射することとなる。ここでは、モニタ用光束の光量に対する受光面の受光量を「カップリング効率」という。この場合、モニタ用光束の中心が受光面の中心から離れるにつれてカップリング効率は低下する。また、発光素子が複数の発光部を有していると、発光部毎にカップリング効率は異なる。このとき、{100−(カップリング効率の最小値/カップリング効率の最大値)×100}をカップリング効率ばらつき(%)という。このカップリング効率ばらつきが30%を超えるとAPC(Auto Power Control)が困難になる。また、小さな面積の受光面のフォトダイオードでは、小さなモニタ電流しか得られず、それもAPCを難しくする一因となる。
ここでAPCについて説明する。画像形成装置では、温度変化や経時変化に伴って走査用光束の光量が変化し、最終的に出力される画像(出力画像)に濃度むらが発生するおそれがある。そこで、これを抑制するため、通常、光走査装置では、光源から射出される光束の一部をモニタ用光束としてフォトダイオード等のディテクタで受光し、その結果に基づいて、光源の出力レベルを制御するAPCを実施している。
端面発光レーザを用いた光走査装置では、端面発光レーザから後方に射出される光をモニタし、APCを行っていた。しかしながら、面発光レーザではその構造上、後方への射出光が生じないため、面発光レーザを用いた光走査装置では、面発光レーザから射出された光束の一部を分岐させて光検出器に導き、その光検出器の出力に基づいてAPCを行うという方法が考えられた。
このようなAPCを行っている場合で、特に面発光レーザから射出された光束の一部を分岐させてフォトダイオードに導く方式の場合、あまり多くの光束を分岐させてフォトダイオードに導くと、書き込み用の光束の光量が少なくなって好ましくない。従って、フォトダイオードへ分岐させる光束をできるだけ少なくしたいが、それでは光量が少なく、小さなフォトダイオードで得られるモニタ電流では効率的で安定したAPCができない。また、光源の発光パワーは、所定の範囲内で変動し、最大値は最小値の5〜6倍となることが多く、小さなフォトダイオードを用いると光源が最小値の発光パワーで点灯されるときに精度良く制御するのが困難である。
フォトダイオードPDの受光面として種々の形状の受光面が考えられるが、半径Rの円形の受光面(図20(A)参照)と一辺の長さが2Rの正方形の受光面(図20(B)参照)を考える。本実施形態のように狭い空間に面発光レーザとフォトダイオードとを集積させるという難しい条件において、半径Rの円形の受光面の場合は、(R/r)<4が満足されるように設定されている。また、一辺の長さが2Rの正方形の受光面の場合は、(R/r)<5.6が満足されるように設定されている。このような難しい条件化での集積化実装における問題点を解決できる発明を、本発明者らは鋭意検討の結果なすにいたった。
また、図21に示されるように、a軸方向に関する面発光レーザアレイチップ60とフォトダイオードPDの中心間距離をL1、c軸方向に関する面発光レーザアレイチップ60とフォトダイオードPDの段差をL2とする。
具体例として、r=0.22mm、R=0.6mm、FFP≒6.5°、反射膜45の反射率=10%とした。
このとき、L1=1.8mm(=8.18r)、L2=0.4mm(=1.82r)、ガラス板42の傾斜角=20°として、フォトダイオードPDの受光面が円形及び正方形の場合について、面発光レーザアレイチップ60からガラス板42の反射膜45までの距離とカップリング効率ばらつきとの関係を求めた。その結果が図22に示されている。図22から、フォトダイオードPDの受光面が円形及び正方形のいずれであっても、面発光レーザアレイチップ60からガラス板42の反射膜45までの距離は、8r〜17rとするのが好ましいことがわかる。
次に、L1=1.8mm(=8.18r)、L2=0.4mm(=1.82r)、面発光レーザアレイチップ60からガラス板42の反射膜45までの距離を2.6mm(=11.8r)にして、ガラス板42の傾斜角とカップリング効率ばらつきとの関係を求めた。その結果が図23に示されている。図23から、ガラス板42の傾斜角は、14°〜23°とするのが好ましいことがわかる。
次に、L2=0.4mm(=1.82r)、ガラス板42の傾斜角=20°、面発光レーザアレイチップ60からガラス板42の反射膜45までの距離を2.6mm(=11.8r)にして、L1とカップリング効率ばらつきとの関係を求めた。その結果が図24に示されている。図24から、L1は、6r〜14rとするのが好ましいことがわかる。
次に、L1=1.8mm(=8.18r)、ガラス板42の傾斜角=20°、面発光レーザアレイチップ60からガラス板42の反射膜45までの距離を2.6mm(=11.8r)にして、L2とカップリング効率ばらつきとの関係を求めた。その結果が図25に示されている。図25から、L2は、0.5r〜3.7rとするのが好ましいことがわかる。
ところで、フラットパッケージ20は、セラミックを焼成する際に20〜30%程度収縮するため、製造ロット毎に多少サイズにばらつきがある。このばらつきに関して特に問題になるのは、キャビティ領域の深さである。キャビティ領域の深さが大きくばらつくと、面発光レーザアレイチップ60からガラス板42の反射膜45までの距離がばらつき、モニタ用光束のフォトダイオードPDにおける入射位置もばらつくことになる。その結果、カップリング効率ばらつきが30%を超えるおそれがある。
そこで、本実施形態では、シールリング30の外形寸法を、リッド40の溶接部であるフランジ部41bよりも0.2r〜2r程度大きくしている。この場合は、リッド40をシーム溶接する際に、図26に示されるように、a軸方向に関してリッド40の位置を調整することにより、面発光レーザアレイチップ60からガラス板42の反射膜45までの距離を所望に値とすることができる。
例えば、ガラス板42の傾斜角が19°であれば、リッド40の位置をa軸方向に関して30μm移動させると、面発光レーザアレイチップ60からガラス板42の反射膜45までの距離を10μmだけ変更することができる。そして、L1の値を8μmだけ変更することができる。
一般的に、フラットパッケージ20におけるサイズのばらつきは、同一ロット内では非常に小さいことが多い。そこで、製造ロットが変更になった際に、フラットパッケージ20のサイズ、特にキャビティ領域の深さを測定しておき、シールリング30のサイズ内でどれだけリッド40をずらしてシーム溶接すればよいかを決定すると良い。
なお、シールリング30の外形寸法を、フランジ部41bよりも2r以上大きくし、リッド40をr以上移動させると、面発光レーザアレイチップ60における複数の発光部のうち、配列端に位置する発光部から射出された光束が、リッド本体41によっていわゆるケラレるおそれがある。
以上説明したように、本実施形態に係る光走査装置2010によると、4つの光源(2200a、2200b、2200c、2200d)、4つの偏向器前光学系、光偏向器2104、4つの走査光学系、及び走査制御装置などを備えている。
各光源は、面発光レーザアレイチップ60と、該面発光レーザアレイチップ60の発光光量をモニタするためのフォトダイオードPDと、面発光レーザアレイチップ60及びフォトダイオードPDがキャビティ領域に保持されているフラットパッケージ20と、面発光レーザアレイチップ60から射出された光束の一部をフォトダイオードPDに向けて反射するガラス板42を有するリッド40と、フラットパッケージ20とリッド40との間に設けられ、キャビティ領域を密閉するためのシールリング30とを備えた光デバイス10を有している。
面発光レーザアレイチップ60の複数の発光部は、それぞれファー・フィールド・パターンが8°以下である。そして、複数の発光部の配列中心と該配列中心から最も離れた場所にある発光部との距離rを用いて、面発光レーザアレイチップ60からガラス板42の反射面までの距離は8r〜17rの範囲内にある。
また、フォトダイオードPDの受光面が半径Rの円形状であれば、(R/r)<4の関係が満足され、フォトダイオードPDの受光面が一辺の長さが2Rの正方形状であれば、(R/r)<5.6の関係が満足されている。
また、ガラス板42の傾斜角は14〜23°の範囲内であり、面発光レーザアレイチップ60とフォトダイオードPDの中心間距離は6r〜14rの範囲内である。
さらに、ガラス板42の反射率は、面発光レーザアレイチップ60から射出される光に対して3%〜15%である。
そして、キャビティ領域の深さ方向に関して、フォトダイオードPDは面発光レーザアレイチップ60よりも浅い位置に配置され、その差は0.5r〜3.7rの範囲内である。
この場合は、光デバイス10は、フォトダイオードPDの出力のばらつきを小さくすることができる。
そこで、光走査装置2010は、高品質の潜像を安定して形成することができる。また、カラープリンタ2000は、光走査装置2010を備えているため、その結果として、高品質の画像を安定して形成することができる。
なお、上記実施形態では、発光部の発振波長が780nm帯の場合について説明したが、これに限定されるものではない。感光体の特性に応じて、発光部の発振波長を変更しても良い。
また、上記光デバイスは、画像形成装置以外の用途にも用いることができる。その場合には、発振波長は、その用途に応じて、650nm帯、850nm帯、980nm帯、1.3μm帯、1.5μm帯等の波長帯であっても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置としてカラープリンタの場合について説明したが、これに限定されるものではなく、単色のプリンタであっても良い。
また、上記実施形態では、トナー画像を記録紙に転写する画像形成装置について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であっても良い。
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。