JP2015010903A - 回転挟持機構 - Google Patents
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Abstract
Description
上述した結合装置は、より具体的に説明すると、回転軸の歯車に噛み合わされる噛合部13を備えており、さらに噛合部13に備えられた噛合い爪部18にアンバランスウェイト18cが設けられた構造である(特許文献1の図1参照)。
このような結合装置を用いたコールドテスト装置でコールドテストを行う場合は、エンジンの回転軸の歯車に噛合い爪部18を噛合わせ、その後モータを作動させて噛合部13を回転させる。すると、噛合部13の噛合い爪部18及びアンバランスウェイト18cが回転し、アンバランスウェイト18cの遠心力によって噛合い爪部18が歯車に押し付けられ、回転軸が噛合部13に挟持される。同時に、エンジンの回転軸が回転状態になり、テスト可能な状態になる。
このようなズレが生じると、複数の噛合い爪部18の開閉角度(回転軸に対する噛合い爪部18の傾き角度)にバラつきが生じ、回転軸から各噛合い爪部18の重心位置までの距離にバラつきが生じる。このようなバラつきがあると、噛合い爪部18から歯車に加わる挟持力が噛合い爪部18ごとにバラつく。また、各噛合い爪部18から歯車に加わる挟持力が時々刻々と変化することになる。このようなことから、上述したようなズレが生じると、噛合部13を回転させたときに振動が生じやすい。特に、上述の結合装置の噛合部13は、重量物であるアンバランスウェイト18cを備えているので、重心位置のバラつきが生じやすく振動が生じやすい。噛合部13の振動は噛合い爪部18を介してエンジン側にノイズとして伝わるので、エンジンのコールドテストの計測精度に悪影響を及ぼす。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、回転駆動装置側と回転対象物側との連結状態に拘わらず、回転駆動装置側の振動の発生がより確実に抑制される構造の回転挟持機構を提供することを課題とする。
そして、前記付勢部材の付勢方向は、前記回動部材の回転軸の軸方向と直交する方向であり、各係合部材の揺動面は、当該係合部材に付与される付勢力の付勢方向と、前記回転軸の軸方向とで形成される面である。
また、前記開閉機構は、前記係合部材の摺動面に摺動可能に当接する押付け部材を備えており、当該押付け部材は、前記付勢部材の付勢力に抗する押し付け力を係合部材に付与して当該係合部材を前記解除位置に位置させる押し込み位置と、前記係合部材から離間した退避位置との間で移動可能であり、前記係合位置に位置する各係合部材は、前記付勢部材の付勢力によって前記回転対象物に押付けられたフローティング状態である。
また、各係合部材の揺動軸位置は、係合部材の、前記回転対象物との当接位置と、前記付勢部材の、当該係合部材との当接位置との間の途中位置であり、かつ、当該両当接位置から等距離である中間位置よりも前記付勢部材と係合部材との当接位置側にオフセット配置されている。
また、前記付勢部材は、前記付勢方向における前記係合部材との当接位置が当該係合部材の前記揺動軸位置よりも前記回転軸側に位置するように配置される。
20…回動部材、20a…ネジ、21…先部、22…基部、23…摺動部、
30…係合部材、30a…揺動軸部、30b…揺動軸、30c…揺動軸の接円、
30d…揺動面、30e…揺動軸と接円の接点、31,31a,31b,31c…爪部(当接部)、
32…アーム部、33…テール部、33a…付勢面、33b…カム面(押付け面)、34…カム溝、
40…付勢部材、41…バネ、42…ヘッド部、
50…スライダ、51…スライダ本体、51a…リブ部、52…カムローラ(押付け部材)、
52a…カムローラ52の中心軸(円筒形の中心軸)、52b…中心軸の接円、
A…エンジンの主軸、B…ドライブプレート(回転対象物),C…ドライブプレートの軸心,
D1…揺動軸からヘッド部の当接位置までの距離、D2…揺動軸から爪部までの距離、
G…歯車、X…回転軸方向、Xa…回転軸方向前方、Xb…回転軸方向後方。
本実施例の回転挟持機構1(図1参照)は、エンジンのコールドテスト装置(内燃機関のテスト装置)で用いられるものである。コールドテスト装置は、図示しない装置基礎部に設置されたエンジン設置部(不図示)及び回転挟持機構1を備えており、エンジン設置部上の所定のテスト位置(動力伝達実施位置)に設置されたテスト対象のエンジンを、回転挟持機構1を用いて回転させることによって、エンジンについて各種のテストを行う装置である。
アーム部32は、その先端に、ドライブプレートBに当接する爪部31を備えている。
爪部31は、ドライブプレートBとの当接位置に形成されたものであり、ドライブプレートBの外周に形成された歯車Gに係合可能な凹凸形状を備えている。
テール部33は、後述する付勢部材40のヘッド部42が当接する付勢面33aと、カムローラ52が当接するカム面(押付け面)33bと、回転軸前方Xa側が回転軸11aに向かって下向きに傾斜しているカム溝34とを有している。テール部33の付勢面33aは、回動部材20の中心の回転軸側(径方向内側)に向いた面である。また、カム面33bは、カムローラ52が挿し抜きされるカム溝34のヘッド部42側に位置する面であり、回転軸後方側から回転軸前方側に向かって回転軸11aに近づく向きに傾斜した傾斜面である。なお、カム面33bは、必ずしも溝部における溝面でなくてもよく、テール部33の外形面であってもよい。
このように、係合部材30の揺動軸部30aの位置(揺動軸位置)は、爪部31の位置(当接位置)と、付勢部材40のヘッド部42が係合部材30に当接する位置(付勢位置)との間の途中位置に配置されている。また、揺動軸位置は、爪部31の位置と、カムローラ52が係合部材30に当接する位置との間の途中位置に配置されている。
係合位置の係合部材30は、爪部31がドライブプレートBの歯車Gに係合し、回転挟持機構1によってドライブプレートBを挟持している状態である(図2参照)。ドライブプレートBを挟持した状態で、回動部材20を回転させると、回動部材20の回転動力が係合部材30を介してドライブプレートBに伝達され、ドライブプレートBを回転させることができる。すなわち、エンジンに燃料を供給して実際に燃焼させることなく、エンジンを駆動させる(コールドテストする)ことができる。
他方、解除位置の係合部材30は、爪部31がドライブプレートBから離間した状態である。この状態のとき、コールドテスト対象のエンジンを、所定のテスト位置に対して搬入出することができる。
各付勢部材40は、図1に示されるように、回転軸11aと係合部材30のテール部33との間に配置されており、コイル状のバネ41と、バネ41の先端部に取り付けられたヘッド部42とを備えている。
バネ41は、図5に示されるように、回動部材20の回転軸11aの軸方向Xと直交する径方向(回転軸11aから外側に延びる放射方向)に伸縮方向が向けられた押しバネであり、伸長可能な状態である。そして、バネ41は、その中心を通る伸縮方向に延びる伸縮軸が、対応する係合部材30の揺動面30d上に位置するように設置されている。つまり、各係合部材30の揺動面30dは、回動部材20の回転軸11aとバネ41の伸縮軸(付勢部材の付勢方向)とで形成される面と一致する。このように、各バネ41は、係合部材30の揺動面30dと同様、120度間隔で配置されている。
また、バネ41は、その基端部(径方向の回転軸側の端部)で回動部材20に当接し、径方向外側の先端部でヘッド部に当接しており(図1参照)、バネ41の伸長に伴ってヘッド部42を径方向外向きに付勢している。
ヘッド部42は、進退移動するバネ41の先端部を覆うように設けられた円筒体であり、バネ41に取り付けられている。また、ヘッド部42は、係合部材30のテール部33に当接しており、ヘッド部42の、テール部33との当接部は球面部になっている。また、付勢部材40は、径方向外向きの付勢力を係合部材30のテール部33に付与することで、係合部材30を係合位置に向けて付勢している。
例えば、解除位置の係合部材30(図1参照)は、テール部33を付勢力によってカムローラ52に押付けられた状態である。このような状態の係合部材30は、付勢部材40とカムローラ52とに挟まれた状態で解除位置に位置決めされる。他方、係合位置の係合部材30(図2参照)は、爪部31を付勢力によってドライブプレートBに押付けられた状態である。このとき、付勢部材40の付勢力は、爪部31の、ドライブプレートBとの係合状態を維持する力として作用する。
また、本実施例の付勢部材40は交換や取り出しなどのメンテナンスが容易である。つまり、テスト位置にエンジンを設置していない状態で係合部材30の揺動軸部30aを取外し、係合部材30を回転部材20から取り外すだけで、付勢部材40を径方向外側に容易に取り出すことができる。
なお、揺動軸30bからヘッド部42の当接位置までの距離D1(図2参照)は、揺動軸30bから爪部31までの距離D2より短い。つまり、揺動軸位置30aは、爪部31の位置と付勢位置(ヘッド部42の係合部材への当接位置)との中間位置よりも付勢位置側にオフセット配置されている。
スライダ本体51は、回動部材20の回転軸方向Xに摺動可能な状態で設置されており、図示しないアクチュエータ(不図示)によって回転軸方向Xに進退移動される。
カムローラ52は、図5に示されるように、係合部材30の開閉機構を構成する部材であり、各係合部材30に対応して1つずつ設置されている。また、各カムローラ52は、スライダ本体51が進退移動されると、スライダ本体51と一体に回転軸方向Xに進退移動するものであり、回転軸方向前方Xaに移動したときの退避位置(図2参照)と後方Xbに移動したときの押し込み位置(図1参照)との間で進退移動可能である。
各カムローラ52は、円筒形の部材であり、各カムローラ52の中心軸(円筒形の中心軸)52aの方向は、対応する係合部材30の揺動軸30bと同じ方向である(図3、4及び5参照)。そして、3つのカムローラ52の中心軸52aは、回動部材20の回転軸11aを中心とする同一の接円52bの接線上に位置する。
また、各カムローラ52は、対応する係合部材30のテール部33のカム面33bに摺動可能な状態で接するものであり、カム溝34内に配置されている。なお、各カムローラ52は、その中心軸52aが揺動軸30bの位置よりも回転軸側に位置するように配置されており(図1参照)、対応する係合部材30の揺動面30dと交差する状態で配置されている(図5参照)。
従って、スライダ本体51を回転軸方向前方Xaに前進させると、図3に示されるように、カムローラ52が前進し、同時に、係合部材30が、カム面33bとカムローラ52との摺動接触を維持しつつ、付勢部材40の付勢力の作用によって係合位置に向けて回転する。そして、3つの係合部材30が係合位置に達すると、各係合部材30の爪部31がドライブプレートBに係合し、ドライブプレートBが回転挟持機構1によって挟持される(図3(C)参照)。その後、さらにカムローラ52が前進すると、カム面33bから離間した退避位置に達する(図3(D)参照)。
つまり、係合部材30は、爪部31がドライブプレートBに係合する係合位置に達するまでは、カムローラ52と付勢部材40に挟まれた状態で位置決めされる。ところが、爪部31がドライブプレートBに係合した後は、両部材40,52に挟まれた状態ではなくなり、付勢部材40による付勢力及び付勢部材40の自重に伴う遠心力の両反力により、爪部31がドライブプレートBに押付けられた状態になる。
そして、スライダ本体51を後退させると、退避位置のカムローラ52が後退し、係合位置に位置する係合部材30のカム面33bに当接する(図3(C)参照)。つまり、係合部材30が付勢部材40とカムローラ52に挟まれた状態になる。さらにカムローラ52が後退すると、係合部材30の爪部31がドライブプレートBから離間し、係合部材30は付勢部材40の付勢力に抗してバネ41を圧縮しつつ解除位置に向けて回転する(図3(B)参照)。そして、カムローラ52が押し込み位置に達すると、係合部材30が解除位置に達する(図3(A)参照)。
このように、本実施例の回転挟持機構1では、係合部材30の開閉機構を構成する上述したカムローラ52、カム面33b及び付勢部材40を用いて係合部材30を開閉している。
そして、回動部材20の回転軸11aの軸心とドライブプレートBの軸心Cとが芯ずれしている場合、各係合部材30に位置ずれが生じるため、回動部材20の回転に伴って回転挟持機構1側に振動等が発生する。しかしながら、回転挟持機構1における各係合部材30はフローティング状態にあるので、振動等が各係合部材30を介してドライブプレートB側、すなわちエンジン側に伝達されるということはない。すなわち、回転に伴って振動するのは各係合部材30だけであり、エンジンに振動等は伝達されないため、振動体(振動するもの)の慣性力の増分は少なく、ひいては設備全体の振動も小さくなり、共振が生じにくくなる。その結果、エンジンのコールドテスト時におけるノイズが減少し、各種計測精度が著しく向上するという作用効果を奏する。
なお、ここでは、係合部材30が解除位置に位置しており、カムローラ52が押し込み位置に位置する状態(図1参照)を基点として、回転挟持機構1の動作説明を行う。
次に、アクチュエータを作動させて、スライダ本体51を前進させて各カムローラ52を前進させる。すると、各係合部材30が付勢部材40の付勢力によって押されて係合位置に回転し、各係合部材30の爪部31がエンジンのドライブプレートBに当接して係合する。つまり、3つの係合部材30によって、ドライブプレートBが挟持された状態になる。
さらに、カムローラ52を前進させると、カムローラ52が係合部材30のカム面33bから離間した退避位置に移動する。
この状態でモータを作動させて回動部材20を回転させることにより、エンジンのドライブプレートBを回転させて、エンジンのコールドテストを実施する。
両軸心にズレがある状態(図6(A)参照)で、3つの係合部材30の爪部31a,31b,31cをドライブプレートBに係合させると、回動部材20の回転軸11aからドライブプレートBに係合する各爪部31a,31b,31cの位置(係合位置)までの距離にバラつきが生じる。そして、両軸心にズレがある状態で、回動部材20を回転させてドライブプレートBを回転させる駆動動作を行うと、駆動動作中に各爪部31a,31b,31cの位置が揺動面30dの方向に時々刻々と変化する。
図6では、各爪部に別個の符号31a,31b,31cを付し、図6(A)の状態から60度回転した状態を図6(B)に示した。各爪部31a,31b,31cは、両軸心にズレがなければ、二点鎖線に沿って回転移動するものであるが、例えば、図6(A)示される爪部31aは、60度回転すると、二点鎖線の位置からさらに離れた位置に揺動する(図6(B)参照)。つまり、各係合部材30は、駆動動作中に揺動する。
駆動動作中に係合部材30が揺動すると、爪部31とドライブプレートBとの当接位置で爪部31がガタついて振動が生じたり、係合部材30の揺動に起因した振動が生じたりするおそれがある。このような振動がドライブプレートBに伝わってエンジンが振動すると、コールドテストに悪影響を及ぼすおそれがある。
この点、本実施例の回転挟持機構1では、次に説明するように、振動の発生が最小限に抑制されている。したがって、本実施例の回転挟持機構1を用いたコールドテスト装置では、コールドテスト時に回転対象物に伝わる振動が最小限に抑制され、テスト対象のエンジンに対して、より正確なコールドテストを実施することができる。
特に、本実施例では、係合部材30によってドライブプレートBを挟持するとき、係合位置の係合部材30のカム面33bからカムローラ52を離間させたフローティング状態でドライブプレートBを挟持しているので、コールドテスト時、回動部材20の回転に伴う所定周波数の振動が係合部材30に伝達されることを極力低減することができる。そして、このとき係合部材30は回転力と挟持力のみをドライブプレートBに付与する。言い換えると、係合部材30を介してドライブプレートBに伝達されるのは回転力及び挟持のための付勢力のみであって、回動部材20の回転に伴う振動周波数が伝達されることはない。
Claims (6)
- 回転駆動可能に設置された回動部材と、当該回動部材に取り付けられ、回転動力を伝達するための係合部材とを備えており、前記係合部材に対して所定の位置関係にある動力伝達実施位置に配置された回転対象物に前記係合部材を係合させ、前記回動部材を回転させることにより前記回転対象物を回転させる回転挟持機構であって、
前記係合部材は、前記回動部材に少なくとも2つ取り付けられており、
各係合部材は、前記回転対象物に動力伝達可能な状態で係合する係合位置と、係合が解除される解除位置とに揺動可能な状態で前記回動部材に軸支されており、
各係合部材を前記係合位置と前記解除位置との間で開閉させる開閉機構と、各係合部材を前記係合位置に向けて付勢する付勢部材とを、さらに備えており、
複数の係合部材は、前記係合位置に位置するとき、前記付勢部材によって前記回転対象物に押付けられたフローティング状態で前記回転対象物を挟持することを特徴とする回転挟持機構。 - 前記付勢部材の付勢方向は、前記回動部材の回転軸の軸方向と直交する方向であり、各係合部材の揺動面は、当該係合部材に付与される付勢力の付勢方向と、前記回転軸の軸方向とで形成される面である、請求項1に記載の回転挟持機構。
- 前記開閉機構は、前記係合部材の摺動面に摺動可能に当接する押付け部材を備えており、
当該押付け部材は、前記付勢部材の付勢力に抗する押し付け力を係合部材に付与して当該係合部材を前記解除位置に位置させる押し込み位置と、前記係合部材から離間した退避位置との間で移動可能であり、
前記係合位置に位置する各係合部材は、前記付勢部材の付勢力によって前記回転対象物に押付けられたフローティング状態である、請求項1又は請求項2に記載の回転挟持機構。 - 各係合部材の揺動軸位置は、係合部材の、前記回転対象物との当接位置と、前記付勢部材の、当該係合部材との当接位置との間の途中位置であり、かつ、当該両当接位置から等距離である中間位置よりも前記付勢部材と係合部材との当接位置側にオフセット配置されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の回転挟持機構。
- 前記付勢部材は、前記付勢方向における前記係合部材との当接位置が当該係合部材の前記揺動軸位置よりも前記回転軸側に位置するように配置される、請求項4に記載の回転挟持機構。
- 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の前記回転挟持機構を備え、
前記係合部材を係合させて回転させる前記回転対象物は、内燃機関エンジンのドライブプレートである、内燃機関の回転テスト装置。
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