JP2015010528A - 内燃機関の冷却装置及び内燃機関の冷却方法 - Google Patents

内燃機関の冷却装置及び内燃機関の冷却方法 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料消費率を向上させることのできる内燃機関の冷却装置及び内燃機関の冷却方法を提供する。
【解決手段】循環ポンプ23により供給される冷却水を、ヘッド冷却流路13及びブロック冷却流路14に流すことにより、シリンダを冷却する。また、各冷却流路13,14を通過した冷却水を、第1熱交換器20、第2熱交換器21を通すことにより、T/Mオイルとの間で熱交換して、該T/Mオイルの温度を上昇させる。そして、エンジンの始動後、触媒温度Taが、予め設定した触媒活性温度Tth1に達した場合には、エンジンの圧縮比を、始動時の圧縮比である第1の圧縮比から、該第1の圧縮比よりも高い第2の圧縮比に変更する。こうすることにより、エンジン始動時における燃料消費率を向上させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両に搭載される内燃機関を冷却する冷却装置、及び内燃機関の冷却方法に係り、特に、燃料消費率を向上させる技術に関する。
車両に搭載されるパワートレインは、T/M(トランスミッション)オイルの温度を早期に高めることにより、フリクションを低減させて燃料消費率を向上させることが望まれる。また、引用文献1には、排気ガス浄化触媒の温度を迅速に高めることについて記載されており、暖機が完了する前の圧縮比を、暖機が完了する後の圧縮比よりも低くすることが示されている。しかし、特許文献1に開示された技術は、排気ガス温度を上昇させて、触媒温度を活性化温度に達するように調整する構成であり、T/Mオイルの温度を上昇させるものではない。
国際公開2009/091077号
上述したように、特許文献1に開示された従来例は、エンジン始動時において、T/Mオイルの温度を上昇させることについての記載は無く、より一層の燃料消費率の向上を達成できるものではなかった。
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、燃料消費率を向上させることのできる内燃機関の冷却装置及び内燃機関の冷却方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本願発明は、触媒温度を検知または推定する触媒温度取得手段と、冷却水が流れることによりシリンダを冷却する冷却流路と、冷却流路を通過した冷却水のうちの少なくとも一部と、パワートレインで使用される潤滑オイルとの間で熱交換する熱交換器と、冷却水を循環させる循環ポンプと、可変圧縮比エンジンの圧縮比を制御する圧縮比制御手段と、を備える。そして、圧縮比制御手段は、エンジン始動時には、第1の圧縮比でエンジンを始動し、その後、触媒温度が、予め設定した触媒活性温度に達した場合には、エンジンの圧縮比を前記第1の圧縮比よりも高い第2の圧縮比に変更する。
本発明に係る内燃機関の冷却装置及び内燃機関の冷却方法では、エンジンの始動後、触媒温度が予め設定した触媒活性温度に達した時点で、エンジンの圧縮比を高めるように調整しているので、潤滑オイルの温度を早期に暖機判定温度に到達させることができる。その結果、燃料消費率を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る内燃機関の冷却装置が搭載されたパワートレインの構成を模式的に示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る内燃機関の冷却装置の、処理手順を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る内燃機関の冷却装置の、各信号の変化を示すタイミングチャートである。 本発明の一実施形態に係る内燃機関の冷却装置の、損益分岐曲線を示す特性図である。 本発明の一実施形態に係る内燃機関の冷却装置が搭載されたパワートレインの、エンジンオイル及びT/Mオイル加温時の冷却水の流れを示す説明図である。 本発明の一実施形態に係る内燃機関の冷却装置が搭載されたパワートレインの、ヘッド冷却水温度を低下させる際の冷却水の流れを示す説明図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、内燃機関としてシリンダブロックとシリンダヘッドを備えるエンジンを例に挙げて説明する。また、該エンジンは、圧縮比を変更する機能を備える圧縮比可変エンジンである。
図1は、本発明の一実施形態に係る内燃機関の冷却装置を含むパワートレインの構成を示す説明図である。図1に示すパワートレイン(エンジン、動力伝達機構の総称)は、シリンダヘッド11と、シリンダブロック12、及びCVT22(Continuously Variable Transmission)を備えている。
また、シリンダヘッド11を冷却するための冷却水を流すヘッド冷却流路13及びシリンダブロック12を冷却するための冷却水を流すブロック冷却流路14と、各冷却流路13,14に冷却水を循環させるための循環ポンプ23と、を備える。更に、ヘッド冷却流路13の出口端部(下流)に設けられるヘッド側四方弁17(第2切替弁)と、ブロック冷却流路14の出口端部(下流)に設けられるブロック側四方弁18(第1切替弁)と、エンジンオイルとの間で熱交換する第1熱交換器20と、パワートレインで使用されるT/Mオイル(トランスミッションオイル;潤滑オイル)との間で熱交換する第2熱交換器21と、ラジエータ19、及び冷却装置全体を総括的に制御するコントローラ10を備えている。
循環ポンプ23は、例えば電動モータで駆動するポンプであり、該循環ポンプ23の出力部に接続された流路(例えば、配管)は、2系統の流路に分岐され、このうち一方の流路は、シリンダヘッド11を冷却するためのヘッド冷却流路13とされている。また、他方の流路は、シリンダブロック12を冷却するためのブロック冷却流路14とされている。
ヘッド冷却流路13の出口端部はヘッド側四方弁17に接続され、ブロック冷却流路14の出口端部はブロック側四方弁18に接続されている。ヘッド側四方弁17は、コントローラ10より出力される制御信号Shにより、ヘッド冷却流路13に流れる冷却水を、ブロック側四方弁18側、或いはラジエータ19側のいずれかに切り替えるように作動する。即ち、ヘッド側四方弁17の一つ目の分岐路は、流路L1を介してブロック側四方弁18に接続され、二つ目の分岐路は、流路L2を介してラジエータ19に接続されており、制御信号Shにより出力側の流路が切り替えられる。
また、ブロック側四方弁18は、コントローラ10より出力される制御信号Sbにより、ブロック冷却流路14に流れる冷却水を、ヘッド側四方弁17側、或いは熱交換器(第1熱交換器20、第2熱交換器21)側に切り替えるように作動する。即ち、ブロック側四方弁18の一つ目の分岐路は、流路L1を介してヘッド側四方弁17に接続され、二つ目の流路L3は、更に2系統に分岐して第1熱交換器20、及び第2熱交換器21に接続されており、制御信号Sbにより出力側の流路が切り替えられる。
第1熱交換器20は、低温側(熱を吸収する側)にエンジンオイルが供給され、高温側(熱を放出する側)にシリンダを通過した冷却水(流路L3を経由した冷却水)のうちの少なくとも一部が供給される。また、第2熱交換器21は、低温側にT/Mオイルが供給され、高温側にシリンダを通過した冷却水(流路L3を経由した冷却水)の少なくとも一部が供給される。従って、シリンダを通過した冷却水(温度が上昇した冷却水)からエンジンオイル、或いはT/Mオイルに熱が伝達されて、各オイルの温度を上昇させる。第1熱交換器20、及び第2熱交換器21の出口側となる冷却水配管は、循環ポンプ23の入り口側に接続される。
ラジエータ19は、流路L2を経由して供給される冷却水(温度が上昇した冷却水)を冷却する。該ラジエータ19の出口側となる冷却水配管は、循環ポンプ23の入口側に接続される。
また、ヘッド冷却流路13の出口付近には、該ヘッド冷却流路13を流れる冷却水の温度を測定或いは推定するヘッド温度検出部15が設けられている。更に、ブロック冷却流路14の出口付近には、該ブロック冷却流路14を流れる冷却水の温度を測定或いは推定するブロック温度検出部16が設けられている。そして、ヘッド温度検出部15で検出されたヘッド冷却水温度Th、及びブロック温度検出部16で検出されたブロック冷却水温度Tbの各データは、コントローラ10に出力される。ここで、「測定或いは推定」とは、センサ等により直接温度を測定ことや、流量等の各種の要因に基づいて間接的に求めることを含む。
更に、本実施形態に係る冷却装置は、車両に搭載される排ガス浄化触媒の温度(以下、触媒温度Taという)を測定或いは推定する触媒温度検出部25(触媒温度取得手段)を有している。また、T/Mオイルの温度Teを検出するオイル温度検出部26(オイル温度取得手段)を備えている。
触媒温度検出部25は、センサを用いて直接温度を測定することや、下記の演算により触媒温度を推定することにより触媒温度を取得する。即ち、1燃焼当たりの供給熱量は「(1燃焼の燃料噴射量)×(点火時期補正係数)×(エンジン回転補正係数)」で演算できる。更に、この1燃焼当たりの供給熱量を累積することにより、累積供給熱量を推定できる。そして、この累積供給熱量に基づいて触媒の温度を推定できる。
コントローラ10は、ヘッド温度検出部15で検出される冷却水温度Th、及びブロック温度検出部16で検出される冷却水温度Tbのデータを取得する。更に、触媒温度検出部25で検出される触媒温度Ta、及びオイル温度検出部26で検出されるT/Mオイルの温度Teを取得する。そして、これらの温度に基づいて、エンジンの圧縮比を変更する制御を行う。具体的には、後述するように、エンジンの始動後、触媒温度Taが予め設定した触媒活性温度Tth1に達する前には、エンジンの圧縮比を第1の圧縮比に設定する。触媒活性温度Tth1に達した後には、エンジンの圧縮比を第1の圧縮比よりも高い第2の圧縮比に設定する。即ち、コントローラ10は、可変圧縮比エンジンの圧縮比を制御する圧縮比制御手段としての機能を備えている。
更に、コントローラ10は、ヘッド側四方弁17、及びブロック側四方弁18の開度を適宜調整して、ヘッド冷却流路13、及びブロック冷却流路14を流れる冷却水の温度を個別に調整可能な温度調整手段としての機能を備えている。
また、コントローラ10は、オイル温度検出部26で検出されるT/Mオイルの温度Teを取得し、このT/Mオイルの温度Teが予め設定した暖機判定温度Tth2(所定オイル温度)に達した場合には、ヘッド冷却流路13を流れる冷却水の温度が低下するように、ブロック側四方弁18、及びヘッド側四方弁17を制御する。即ち、コントローラ10は、第1切替弁(ブロック側四方弁18)及び第2切替弁(ヘッド側四方弁17)を調整する切替弁調整手段としての機能を備えている。
なお、コントローラ10は、例えば、中央演算ユニット(CPU)や、RAM、ROM、ハードディスク等の記憶手段からなる一体型のコンピュータとして構成することができる。
次に、上述のように構成された本実施形態に係る内燃機関の冷却装置の作用について、図2に示すフローチャート、及び図3に示すタイミングチャートを参照して説明する。図3において、(a)は時刻t0でエンジンを始動させた場合の、触媒温度Taの変化を示す特性図、(b)は圧縮比の変化を示す特性図、(c)は、シリンダヘッド11の壁温の変化を示す特性図、(d)はヘッド温度検出部15で検出される冷却水の温度変化を示す特性図、(e)は、T/Mオイルの温度変化を示す特性図である。また、(b)〜(e)において、点線で示す特性曲線は、圧縮比を変化させない場合(即ち、本発明を適用しない場合)の特性を示す。
初めに、図2に示すステップS11において、車両のエンジンを始動させる(図3の時刻t0)。次いで、ステップS12において、コントローラ10は、循環ポンプ23を作動させて、ヘッド冷却流路13及びブロック冷却流路14に冷却水を供給する。この際、図5に示すように、ヘッド側四方弁17は流路L1側が開放され、ブロック側四方弁18は流路L1、L3側が開放される。従って、ヘッド冷却流路13を通過した冷却水は、流路L1を経由して流路L3に導入される。一方、ブロック冷却流路14を通過した冷却水についても同様に、流路L3に導入される。このため、シリンダヘッド11及びシリンダブロック12を通過して温度が上昇した冷却水は、第1熱交換器20、及び第2熱交換器21に供給されることになる。
第1熱交換器20では、熱せられた冷却水の熱がエンジンオイルに伝達されるので、エンジンオイルの温度が上昇する。第2熱交換器21では、熱せられた冷却水の熱がT/Mオイルに伝達されるので、T/Mオイルの温度Teが上昇する。
一方、各熱交換器20,21を通過した冷却水は、各熱交換器20,21にて熱を奪われることにより温度が低下する。そして、循環ポンプ23に供給され、再度ヘッド冷却流路13及びブロック冷却流路14に送出される。
一方、エンジンが始動することにより、排ガス処理用触媒の温度(触媒温度Ta)が上昇する。この温度は、触媒温度検出部25により検出される。具体的には、上述した手法(累積供給熱量に基づいて触媒温度を求める手法)により、触媒温度Taが検出される。
そして、ステップS13において、触媒温度が予め設定した触媒活性温度Tth1に達したか否かを判断する。図3(a)の時刻t1にて触媒活性温度Tth1に達した場合には(ステップS13でYES)、ステップS14において、コントローラ10は、エンジンの圧縮比を上昇させる。例えば、圧縮比を「10:1」(第1の圧縮比)から「14:1」(第1の圧縮比よりも大きい第2の圧縮比)のように上昇させる(図3(b)参照)。
その結果、エンジンの冷却損失が増大するので、シリンダヘッド11の壁温が上昇し、更には、ヘッド冷却流路13を流れる冷却水温度が上昇する(図3(c)、(d)のt1〜t2参照)。これにより、第1熱交換器20及び第2熱交換器21を通過する冷却水(熱せられた冷却水)の温度が上昇するので、該冷却水と熱交換するエンジンオイル、及びT/Mオイルの温度が上昇する(図3(e)のt1〜t2参照)。
ステップS15にて、コントローラ10は、T/Mオイルの温度Teが予め設定した暖機判定温度Tth2に達したか否かを判断する。そして、暖機判定温度Tth2に達した場合には(図3(e)の時刻t2)、T/Mオイルのフリクション(摩擦)が低下するので、燃料消費率を向上させることができる。即ち、T/Mオイルの温度Teの、これ以上の上昇が不要となる。従って、ヘッド冷却流路13を流れる冷却水の温度を低下させることが可能となり、この時点(時刻t2)でシリンダヘッド11の温度を低下させる。即ち、時刻t2までは、ヘッド冷却流路13及びブロック冷却流路14に流れる冷却水はほぼ同一温度であり、ステップS16において、コントローラ10は、ヘッド冷却流路13に流れる冷却水を熱交換器20,21側に流さず、ラジエータ19側に流すことにより、シリンダヘッド11の温度を低下させる。
具体的には、図6に示すように、コントローラ10の制御にて、ヘッド側四方弁17の、流路L1側を閉鎖し、流路L2側を開放する。また、ブロック側四方弁18の、流路L1側を閉鎖し、流路L3側を開放する。こうすることにより、ヘッド冷却流路13を流れた冷却水は、ラジエータ19を経由して冷却された後、循環ポンプ23に送出されることになる。一方、ブロック冷却流路14を流れた冷却水は、第1熱交換器20、及び第2熱交換器21を通過して循環ポンプ23に送出されることになる。その結果、シリンダブロック12のブロック冷却流路14を流れる冷却水の温度は、通常通りに上昇し(図3(d)の点線に示す曲線のように上昇し)、シリンダヘッド11のヘッド冷却流路13を流れる冷却水の温度は図3(d)の時刻t2〜t3の期間(実線)に示すように、温度が低下する。
つまり、エンジンの始動開始時においては、早期にオイル温度を上昇させて、オイルのフリクションを低減させたいという要望があり、そのためには、冷却水温度を上昇させる必要がある。その一方で、エンジン始動時のノッキングを防止するために、シリンダヘッド11の壁温を低下させたいという要望があり、そのためには、ヘッド冷却流路13を流れる冷却水の温度を低下させる必要がある。
本実施形態では、図3に示す時刻t1にて圧縮比を上昇させることにより、早期にオイル温度を上昇させ、更に、オイル温度が上昇した場合には、ヘッド冷却流路13に流れる冷却水温度を低下させることにより、上記の2つの要望に対処している。
ここで、同一の循環ポンプ23より供給される冷却水により、シリンダヘッド11温度が低下し、シリンダブロック12の温度が低下しない理由について説明する。ヘッド側四方弁17の開度、及びブロック側四方弁18の開度を調整することにより、ヘッド冷却流路13を流れる冷却水、及びブロック冷却流路14を流れる冷却水の流速、流量を調整できる。従って、ヘッド冷却流路13を流れる冷却水の方が、ブロック冷却流路14を流れる冷却水よりも、流速、流量が多くなるように調整すれば、ヘッド冷却流路13の出口付近(ヘッド側四方弁17の手前)での冷却水温度を低下させることができる。つまり、シリンダブロック12の温度を現状維持とし、シリンダヘッド11の温度のみを低下させることができる。
以下、本実施形態を採用しない場合、即ち、圧縮比を変更しない場合と、本実施形態を採用する場合、即ち、圧縮比を変更する場合との対比について説明する。
図3(b)〜(e)の点線で示す曲線は、圧縮比を変更しない場合の特性を示している。圧縮比を変更しない場合には、エンジンの冷却損失が増大しないので、図3(c)の点線に示すように、時刻t1の経過後、シリンダヘッド11の温度は緩やかに上昇する。従って、ヘッド冷却流路13を流れる冷却水の温度は、図3(d)の点線に示すように、緩やかに上昇する。
更に、冷却水の温度上昇が遅いことにより、図3(e)に示すように、T/Mオイルの温度も緩やかに上昇する。従って、T/Mオイルの温度Teが暖機判定温度Tth2に達するまでに長時間を要してしまう。即ち、本実施形態を採用した場合(実線の場合)には、時刻t2で暖機判定温度Tth2に達しているが、本実施形態を採用しない場合(点線の場合)には時刻t3において、暖機判定温度Tth2に達している。つまり、この時刻t3に達するまでは、シリンダヘッド11の温度を低下させることができず、燃料消費率の向上を図ることができない。
これに対して、本実施形態を採用した場合には、時刻t3よりも早い時点である時刻t2にてT/Mオイルの温度Teが暖機判定温度Tth2に達するので、この時刻t2の時点で、シリンダヘッド11の温度を低下させることが可能となる。従って、圧縮比を増大させることにより、オイル温度を早期に暖機判定温度Tth2に到達させることができることが理解される。
次に、ヘッド冷却流路13を流れる冷却水の温度を低下させる判断基準について、図4に示す損益分岐曲線を参照して説明する。
エンジン始動後、時間の経過と共にT/Mオイルの温度Teは上昇するので、これに伴ってパワートレインの内部に発生するフリクションは低減する。よって、フリクションの低減による燃料消費率の向上量は、エンジン始動後からの時間経過と共に増加する。一方、エンジン始動後、時間の経過と共にシリンダヘッド11の温度は上昇するので、ノッキング等の異常燃焼時に点火時期を遅らせる量(リタード量)が増加する。よって、エンジン始動からの積算リタード量に基づく燃料消費率の向上量は、エンジン始動後からの時間経過と共に減少する。
そこで、コントローラ10は、始動時から積算した、パワートレインの内部で発生するフリクションの低下による燃料消費率の改善量と、内燃機関の点火時期のリタード量低減による燃料消費率の改善量との大小関係が逆転するか否かを判断する。コントローラ10は、大小関係が逆転した時点(損益分岐時)で、ヘッド冷却流路13を流れる冷却水の温度を低下させる。即ち、図4に示す曲線q1は、フリクションによる燃料消費率の向上量を示し、曲線q3は、積算リタード量に基づく燃料消費率の向上量を示している。また、横軸は、ヘッド冷却流路13に流れる冷却水温度の高温継続時間を示している。従って、高温継続時間を、曲線q1と曲線q3の交点となる時間T1とすることにより、最も効率を高めることができる。
そして、本実施形態では、T/Mオイルの温度Teを早期に暖機判定温度Tth2に到達させることができるので、曲線q1が図4中の左上側にシフトすることになり、曲線q2に示す特性となる。従って、曲線q2と曲線q3の交点となる時間T2とすることができ、燃料消費率を向上させることができる。
このようにして、本実施形態に係る内燃機関の冷却装置では、エンジンの始動後、排ガス処理用触媒の温度が、予め設定した活性化温度Tth1に達した時点で、エンジンの圧縮比を高めるように調整しているので、T/Mオイル温度を早期に暖機判定温度Tth2に到達させることができる。その結果、シリンダヘッド11の温度を早期に低下させることができるので、燃料消費率を向上させることができる。
即ち、図3に示した時刻t2において、シリンダヘッド11の温度を低下させることができ、従来と対比して早期にノッキングを抑制することができるので、良好な燃料消費率での運転状態に早期に移行させることができる。
また、排ガス処理用の触媒温度Taが、触媒活性温度Tth1に達した時点で(図3の時刻t1)で圧縮比を上昇させているので、確実に排ガス処理を行うことができる。
更に、T/Mオイル温度が暖機判定温度Tth2に達した時点で、ヘッド冷却流路13に流れる冷却水温度を低下させるので、早期にシリンダヘッド11の温度を低下させることができ、ノッキングの発生を防止できる。その結果、燃料消費率を向上させることが可能となる。
また、ヘッド側四方弁17、及びブロック側四方弁18を備え、シリンダヘッド11とシリンダブロック12の温度を同一にする場合には、ヘッド冷却流路13及びブロック冷却流路14を流れる冷却水が共に熱交換器(第1熱交換器20、第2熱交換器21)に流れるようにし、シリンダヘッド11の温度のみを低下させる場合には、ブロック冷却流路14より出力される冷却水のみを熱交換器に供給し、ヘッド冷却流路13より出力される冷却水をラジエータ19に供給するので、簡単な操作で、且つ確実にシリンダヘッド11の温度を低下させることが可能となる。
以上、本発明の内燃機関の冷却装置、及び内燃機関の冷却方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
例えば、上述した実施形態では、循環ポンプ23の出力を、ヘッド冷却流路13、及びブロック冷却流路14の2系統に分岐して、シリンダヘッド、及びシリンダブロックを冷却する例について説明したが、1系統のみの冷却流路でシリンダ内を冷却する構成としてもよい。この場合には、T/Mオイルの温度Teが暖機判定温度Tth2に達した後に、シリンダヘッド、シリンダブロックの区別なく、シリンダ温度を低下させることにより、ノッキングの影響を回避することができ、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
本発明は、エンジン始動時における燃料消費率を向上させることに利用することができる。
10 コントローラ(圧縮比制御手段、切替弁調整手段、温度調整手段)
11 シリンダヘッド
12 シリンダブロック
13 ヘッド冷却流路(冷却流路)
14 ブロック冷却流路(冷却流路)
15 ヘッド温度検出部
16 ブロック温度検出部
17 ヘッド側四方弁(温度調整手段、第2切替弁)
18 ブロック側四方弁(温度調整手段、第1切替弁)
19 ラジエータ
20 第1熱交換器(熱交換器)
21 第2熱交換器(熱交換器)
23 循環ポンプ
25 触媒温度検出部(触媒温度取得手段)
26 オイル温度検出部(オイル温度取得手段)

Claims (4)

  1. 可変圧縮比エンジンを搭載したパワートレインを有する車両の、シリンダを冷却する内燃機関の冷却装置において、
    車両に搭載される排ガス浄化触媒の温度を検知または推定する触媒温度取得手段と、
    冷却水が流れることにより前記シリンダを冷却する冷却流路と、
    前記冷却流路を通過した冷却水のうちの少なくとも一部と、前記パワートレインで使用される潤滑オイルとの間で熱交換する熱交換器と、
    前記冷却水を循環させる循環ポンプと、
    前記可変圧縮比エンジンの圧縮比を制御する圧縮比制御手段と、を有し、
    前記圧縮比制御手段は、エンジン始動時には、第1の圧縮比でエンジンを始動し、その後、前記触媒温度取得手段で検知または推定される前記排ガス浄化触媒の温度が、予め設定した触媒活性温度に達した場合には、エンジンの圧縮比を前記第1の圧縮比よりも高い第2の圧縮比に変更すること
    を特徴とする内燃機関の冷却装置。
  2. 前記冷却流路は、前記シリンダを構成するシリンダブロックを冷却するブロック冷却流路と、シリンダヘッドを冷却するヘッド冷却流路の2系統を有し、
    更に、
    前記潤滑オイルの温度を検知または推定するオイル温度取得手段と、前記ブロック冷却流路を流れる冷却水、及びヘッド冷却流路を流れる冷却水の温度を個別に調整可能な温度調整手段と、を備え、
    前記温度調整手段は、エンジンの始動後、前記潤滑オイルの温度が予め設定した所定オイル温度に達する前には、前記ブロック冷却流路及びヘッド冷却流路に流れる冷却水温度をほぼ同一温度とし、前記潤滑オイルの温度が前記所定オイル温度に達した際に、前記ブロック冷却流路に流れる冷却水の温度に対して、ヘッド冷却流路に流れる冷却水の温度が低下するように調整すること
    を特徴とする請求項1に記載の内燃機関の冷却装置。
  3. 前記温度調整手段は、
    前記ブロック冷却流路の下流に設けられる第1切替弁と、前記ヘッド冷却流路の下流に設けられる第2切替弁と、前記第1切替弁及び第2切替弁を調整する切替弁調整手段と、を有し、
    前記ほぼ同一温度とする際には、前記ブロック冷却流路より出力される冷却水と前記ヘッド冷却流路より出力される冷却水が共に前記熱交換器に供給されるように、前記第1切替弁、及び第2切替弁を調整し、
    前記ヘッド冷却流路に流れる冷却水の温度を低下させる場合には、前記ブロック冷却流路より出力される冷却水のみが前記熱交換器に供給されるように、前記第1切替弁、及び第2切替弁を調整することを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の冷却装置。
  4. 可変圧縮比エンジンを搭載したパワートレインを有する車両の、シリンダを冷却する内燃機関の冷却方法において、
    循環ポンプにより供給される冷却水を、シリンダに設けられた冷却流路に流すことにより、シリンダを冷却する工程と、
    前記シリンダを通過した冷却水を、熱交換器を通すことにより前記パワートレインで使用される潤滑オイルとの間で熱交換して、該潤滑オイルの温度を上昇させる工程と、
    車両に搭載される排ガス浄化触媒の温度を検知または推定する工程と、
    エンジンの始動後、前記排ガス浄化触媒の温度が、予め設定した触媒活性温度に達した場合には、エンジンの圧縮比を、始動時の圧縮比である第1の圧縮比から、該第1の圧縮比よりも高い第2の圧縮比に変更する工程と、
    を有することを特徴とする内燃機関の冷却方法。
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