JP2015008058A - 放電ランプ用陰極および放電ランプ - Google Patents

放電ランプ用陰極および放電ランプ Download PDF

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Abstract

【課題】トリウム化合物以外のエミッタ物質を含有してなる放電ランプ用陰極であって、長期間にわたって安定した点灯状態が達成される放電ランプ用陰極およびこの放電ランプ用陰極を備えた放電ランプを提供する。
【解決手段】トリウム元素を含まない材料よりなる本体部と、この本体部の先端に接合された、トリウム元素を含まない材料よりなる先端部と、少なくとも本体部に軸方向に伸びるよう埋設された、トリウム元素を含まないエミッタ物質を前記先端部より高濃度で含有する焼結体部とよりなり、前記焼結体部は、前記先端部側の前端面の外径が後端面の外径より大きいものであることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、放電ランプ用陰極およびこの放電ランプ用陰極を備えた放電ランプに関する。
ショートアーク放電ランプにおいては、その陰極にエミッタ物質が含有されている。陰極に含有されるエミッタ物質としては、一般に、トリウム化合物が用いられている(特許文献1参照)。しかしながら、トリウム元素は放射性元素であることから、トリウム化合物の管理や取り扱いに十分な配慮が必要とされる。
このような事情から、最近においては、エミッタ物質として、酸化ランタン(La2 3 )、酸化ハフニウム(HfO2 )、酸化ジルコニウム(ZrO2 )などの非放射性の希少金属化合物やバリウム化合物が含有されてなる陰極が提案されている(特許文献2参照。)。
しかしながら、エミッタ物質として希少金属化合物やバリウム化合物が含有されてなる陰極を用いた場合には、以下のような問題がある。
放電ランプの陰極において、電子放射特性に寄与するエミッタ物質は当該陰極の先端に存在するものだけである。ここで、陰極の先端に存在するエミッタ物質は、点灯時に陰極先端が加熱されることによって蒸発するが、陰極の後端から先端に向かってエミッタ物質が移動することによって、当該陰極の先端にはエミッタ物質が補給される。
然るに、希少金属化合物やバリウム化合物よりなるエミッタ物質は、トリウム化合物よりなるエミッタ物質に比べて、放電ランプの点灯中において蒸発しやすい。そして、陰極先端においてエミッタ物質が蒸発する速度が、陰極の後端から先端に向かってエミッタが移動する速度より大きいと、陰極先端においてエミッタ物質が枯渇する。このため、陰極に含有されるエミッタ物質としてトリウム化合物以外のものを使用した放電ランプにおいては、点灯状態が早期に不安定になる、という問題がある。特に、1 kW以上の高入力の放電ランプにおいては、希少金属化合物やバリウム化合物の蒸発が著しく、点灯状態が早期に不安定になるという現象が顕著に生じてしまう。
特開平11−96965号公報 特開2005−519435号公報
本発明の目的は、トリウム化合物以外のエミッタ物質を含有してなる放電ランプ用陰極であって、長期間にわたって安定した点灯状態が達成される放電ランプ用陰極およびこの放電ランプ用陰極を備えた放電ランプを提供することにある。
本発明の放電ランプ用陰極は、トリウム元素を含まない材料よりなる本体部と、
この本体部の先端に接合された、トリウム元素を含まない材料よりなる先端部と、
少なくとも本体部に軸方向に伸びるよう埋設された、トリウム元素を含まないエミッタ物質を前記先端部より高濃度で含有する焼結体部とよりなり、
前記焼結体部は、前記先端部側の前端面の外径が後端面の外径より大きいものであることを特徴とする。
本発明の放電ランプ用陰極においては、前記焼結体部における前記エミッタ物質の濃度が5〜60wt%であることが好ましい。
前記焼結体部は、前記本体部と前記先端部とに跨がって埋設されており、
前記焼結体部における前記先端部に埋設される前端部分の外径が、前記本体部に埋設される後端部分の外径より大きく、かつ、当該先端部に埋設される前端部分における軸方向の長さが、当該本体部に埋設される後端部分における軸方向の長さより小さいことが好ましい。
また、前記焼結体部における前記後端部分は、その前端の外径が後端面の外径より大きいものであることが好ましい。
本発明の放電ランプは、放電空間内に陽極および陰極が互いに対向して配置されてなる放電ランプにおいて、
前記陰極は、上記の放電ランプ用陰極であることを特徴とする。
本発明の放電ランプ用陰極においては、焼結体部が、少なくとも本体部に軸方向に伸びるよう埋設されている。この焼結体部は、トリウム元素を含まないエミッタ物質を先端部より高濃度で含有するため、当該先端部より線膨張係数が高くなる。しかも、この焼結体部は、前端面の外径が後端面の外径より大きい。このため、放電ランプ用陰極の製造時の真空熱処理や放電ランプの点灯時においては、昇温時に、焼結体部は、本体部および先端部より大きく膨張することにより、焼結体部は、先端部に押し付けられ、本体部および先端部と焼結体部との間において焼結が進み剥離が生じにくくなる。このため、収縮時において焼結体部の前端面と先端部との間に間隙が形成されることがない。その結果、焼結体部と先端部とが確実に接触または接合されるので、放電ランプの点灯時においては、焼結体部から先端部に十分な量のエミッタ物質が供給される。
従って、本発明の放電ランプ用陰極によれば、トリウム化合物以外のエミッタ物質を含有してなるものでありながら、先端においてエミッタ物質が枯渇することがないので、長期間にわたって安定した点灯状態が達成される放電ランプを提供することができる。
本発明に係る放電ランプ用陰極を備えた放電ランプの一例における構成を、発光管の一部を破断して示す説明図である。 本発明に係る放電ランプ用陰極の一例における構成を示す説明用断面図である。 本発明に係る放電ランプ用陰極の他の例における構成を示す説明用断面図である。 本発明に係る放電ランプ用陰極の更に他例における構成を示す説明用断面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る放電ランプ用陰極を備えた放電ランプの一例における構成を、発光管の一部を破断して示す説明図である。
この放電ランプは、例えば石英ガラスよりなる発光管10を有する。この発光管10は、内部に放電空間Sを形成する外形が回転楕円体状の発光部11と、この発光部11の両端の各々に一体に連設された、管軸に沿って外方に伸びるロッド状の一方の封止部12および他方の封止部13とにより構成されている。
この発光管10の放電空間S内には、陽極20および陰極30が発光管10の軸方向に沿って互いに対向するよう配置されている。また、発光管10内には、それぞれタングステンよりなる陽極用内部リード14および陰極用内部リード15が、発光管10の軸方向に沿って一方の封止部12および他方の封止部13から放電空間S内に伸びるよう配置されている。
陽極用内部リード14は、その基端部が一方の封止部12に埋設されることによって当該一方の封止部12に支持されている。この陽極用内部リード14の先端部には、陽極20が保持されている。
陰極用内部リード15は、その基端部が他方の封止部13に埋設されることによって当該他方の封止部13に支持されている。この陰極用内部リード15の先端部には、陰極30が保持されている。
一方の封止部12の内部には、モリブデンよりなる金属箔(図示省略)が、例えばシュリンクシールにより気密に埋設されている。この金属箔の一端には、陽極用内部リード14の基端が溶接されて電気的に接続されている。また、金属箔の他端には、一方の封止部12の外端から外方に突出する外部リード(図示省略)が溶接されて電気的に接続されている。
他方の封止部13の内部には、モリブデンよりなる金属箔(図示省略)が、例えばシュリンクシールにより気密に埋設されている。この金属箔の一端には、陰極用内部リード15の基端が溶接されて電気的に接続されている。また、金属箔の他端には、他方の封止部13の外端から外方に突出する外部リード(図示省略)が溶接されて電気的に接続されている。
この例の放電ランプには、一方の封止部12および他方の封止部13の各々の端部に、口金16,17が設けられている。これらの口金16,17は、それぞれ外部リードに電気的に接続されている。
発光管10における発光部11内には、例えば、水銀、キセノンガス等の希ガスなどの発光物質が封入されている。
陽極20は、例えばタングステンによって構成されている。この例の陽極20は、発光管10の軸方向に沿って伸びる円柱状の中央部21と、この中央部21の先端に連続して形成された円錐台状の先端部22と、当該中央部21の後端に連続して形成された円錐台状の後端部23とによって構成されている。
図2は、本発明に係る放電ランプ用陰極の一例における構成を示す説明用断面図である。この陰極30は、本体部31と、この本体部31の先端に接合された先端部32と、本体部31に軸方向に伸びるよう埋設された焼結体部33とにより構成されている。
この例の本体部31は、全体が略円柱状の形状を有し、その先端部が先端に向かって小径となる円錐台状に形成されている。この本体部31は、トリウム元素を含まない高融点金属材料によって構成されている。本体部31を構成する高融点金属材料としては、タングステン、モリブデンなどを用いることができる。
また、本体部31には、トリウム元素を含まないエミッタ物質がドープされていてもよい。本体部31におけるエミッタ物質の濃度は、例えば0.1〜3.0wt%である。
この例の先端部32は、陰極先端に向かって小径となる円錐台状に形成されている。この先端部32は、トリウム元素を含まない高融点金属材料によって構成されている。先端部32を構成する高融点金属材料としては、タングステンなどを用いることができる。
また、先端部32には、トリウム元素を含まないエミッタ物質が含有されていることが好ましい。先端部32におけるエミッタ物質の濃度は、0.1〜3.0wt%であることが好ましい。
焼結体部33は、先端部32側の前端面33aの外径が後端面33bの外径より大きいものである。この例の焼結体部33は、前端面33a側から後端面33b側に向かって小径となる円錐台状に形成されている。
焼結体部33における前端面33aの外径と後端面33bの外径との比は、例えば1.005:1〜1.2:1である。
また、焼結体部33の前端面33aと先端部32の陰極先端面との距離は、例えば1〜5mmである。
焼結体部33は、トリウム元素を含まないエミッタ物質が含有されてなるものであり、具体的には、高融点金属材料およびエミッタ物質の焼結体により構成されている。
焼結体部33を構成する高融点金属材料としては、タングステン、モリブデンなどを用いることができる。
焼結体部33中に含有されるエミッタ物質としては、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化ガドリニウム、酸化サマリウム、酸化プラセオジム、酸化ネオジムあるいは酸化ハフニウムなどの希少金属化合物を用いることができる。
焼結体部33におけるエミッタ物質の濃度は、5〜60wt%であることが好ましく、より好ましくは20〜40wt%である。焼結体部33におけるエミッタ物質の濃度が過小である場合には、陰極30の先端に十分な量のエミッタを供給することが困難となることがある。その結果、放電ランプの点灯状態が早期に不安定になりやすい。一方、焼結体部33におけるエミッタ物質の濃度が過大である場合には、焼結体部33におけるタングステンの割合が低いため、酸化物の還元による生成物が減少してしまう。その結果、陰極30の寿命が短くなりやすい。
上記の陰極30の具体的な寸法の一例を挙げると、以下の通りである。
本体部31は、最大外径が15mm、軸方向の長さが60mmである。先端部32は,先端面の径が1.2mm、軸方向の長さが3mmである。本体部31と先端部32との界面の外径は6mmである。焼結体部33は、前端面33aの外径が2.2mm、後端面33bの外径が2.0mm、軸方向の長さが5mmである。
このような陰極30は、例えば以下のようにして製造することができる。
焼結体部33が配置される凹部を有する本体部用金属体、先端部用金属体および焼結体部33をそれぞれ別個に製造する。ここで、焼結体部33は、以下のようにして製造することができる。先ず、高融点金属材料よりなる粉末とエミッタ物質よりなる粉末との混合物にステアリン酸などのバインダとを添加することにより、焼結体部用材料を調製する。次いで、焼結体部用材料を加圧プレス等によって成型する。得られた成型体を、水素ガス雰囲気下において、例えば処理温度が1000℃で処理時間が1時間の条件で加熱することにより、当該成型体に対して脱脂・仮焼結処理を行う。そして、脱脂・仮焼結処理された成型体に対して、減圧下において、処理温度が例えば1600〜2000℃、好ましくは1700〜1900℃、処理時間が例えば1時間の条件で、本焼結処理を行うことにより、焼結体部33が得られる。
次いで、本体部用金属体の凹部内に焼結体部33を配置し、その後、本体部用金属体に先端部用金属体を接合することにより、陰極前駆体を作製する。本体部用金属体に先端部用金属体を接合する方法としては、スポット溶接法、拡散接合法などを用いることができる。
そして、陰極前駆体における本体部用金属体および先端部用金属体に対して切削加工を施すことにより、所要の形態の本体部31および先端部32を形成する。次いで、本体部31および先端部32が形成された陰極前駆体に対して、例えば処理温度が1000℃で、処理時間が0.5時間の条件で水素ガスによる還元処理を行う。その後、当該陰極前駆体に対して、例えば処理温度が2000〜2400℃で、処理時間が1時間の条件で真空熱処理を行う。これにより、目的とする陰極30が得られる。
以上において、焼結体部33には先端部32より高濃度のエミッタ物質が含有されているため、当該焼結体部33を構成する材料の線膨張係数は、本体部31および先端部32を構成する材料の線膨張係数の2〜3倍となる。而して、焼結体部33は、前端面33aの外径が後端面33bの外径より大きい円錐台状のものである。そのため、陰極30の製造時の真空熱処理や放電ランプの点灯時においては、昇温時に、エミッタ物質を先端部32より高い濃度で含有した焼結体部33は、本体部31および先端部32より大きく膨張することにより、焼結体部33は、先端部32に押し付けられ、本体部31および先端部32と焼結体部33との間において焼結が進み剥離が生じにくくなる。このため、収縮時において焼結体部33の前端面33aと先端部32との間に間隙が形成されることがない。さらに、ランプ点灯時には、先端部32と焼結体部33との間で、焼結が進行する。その結果、焼結体部33と先端部32とが確実に接触または接合されるので、放電ランプの点灯時においては、焼結体部33から先端部32に十分な量のエミッタ物質が供給される。
従って、本発明に係る陰極30を備えた放電ランプによれば、陰極30の先端においてエミッタ物質が枯渇することがないので、長期間にわたって安定した点灯状態を達成することができる。
図3は、本発明に係る放電ランプ用陰極の他の例における構成を示す説明用断面図である。この陰極30は、本体部31と、この本体部31の先端に接合された先端部32と、本体部31および先端部32において当該本体部31および先端部32とに跨がって軸方向に伸びるよう埋設された焼結体部33とにより構成されている。
この例の焼結体部33は、先端部32に埋設される円板状の前端部分34と、本体部31に埋設される円柱状の後端部分35とにより構成されている。そして、焼結体部33は、前端部分34の外径が後端部分35の外径より大きいものとされている。これにより、焼結体部33における先端部32側の前端面33aの外径が後端面33bの外径より大きいものとされている。
また、焼結体部33の前端部分34における軸方向の長さは、後端部分における軸方向の長さより小さいものとされている。具体的には、前端部分34における軸方向の長さと後端部分における軸方向の長さとの比が、1:1.5〜1:5であることが好ましい。前端部分34における軸方向の長さが後端部分における軸方向の長さより大きい場合には、先端部32の先端に近いところまで前端部分34が達するため、先端部32の外径を大きくする必要が生じてしまう。その結果、接合を行う際の通電電流が、大きくなってしまうため、前端部分34の長さは、後端部分35より短くすることが好ましい。
図3に示す陰極30におけるその他の構成は、図2に示す陰極30と同様である。また、図3に示す陰極30は、図2に示す陰極30と同様にして製造することができる。
上記の陰極30の具体的な寸法の一例を挙げると、以下の通りである。
本体部31は、最大外径が15mm、軸方向の長さが60mmである。先端部32は,先端面の径が1.2mm、軸方向の長さが3mmである。本体部31と先端部32との界面の外径は6mmである。焼結体部33は、前端部分34の外径が2.0mm、前端部分34における軸方向の長さが1mm、後端部分34の外径が2.0mm、後端部分34における軸方向の長さが3mmである。
このような陰極30においては、焼結体部33は、先端部32に埋設される外径の大きい前端部分34と、本体部31に埋設される外径の小さい後端部分35とにより構成されている。また、エミッタ物質を先端部32より高い濃度で含有した焼結体33は、本体部31および先端部32より線膨張係数が高くなる。そのため、陰極30の製造時の真空熱処理や放電ランプの点灯時においては、本体部31および先端部32と焼結体部33との間において、昇温時に、エミッタ物質を先端部より高い濃度で含有した焼結体部33は、本体部31および先端部32より大きく膨張する。これにより、焼結体部33は、先端部32に押し付けられ、先端部32との間で、焼結が進み剥離が生じにくくなる。このため、収縮時において焼結体部33の前端面33aと先端部32との間に間隙が形成されることがない。その結果、焼結体部33と先端部32とが確実に接触または接合されるので、放電ランプの点灯時においては、焼結体部33から先端部32に十分な量のエミッタ物質が供給される。
従って、本発明に係る陰極30を備えた放電ランプによれば、陰極30の先端においてエミッタ物質が枯渇することがないので、長期間にわたって安定した点灯状態を達成することができる。
図4は、本発明に係る放電ランプ用陰極の更に他の例における構成を示す説明用断面図である。この陰極30は、本体部31と、この本体部31の先端に接合された先端部32と、本体部31および先端部32において当該本体部31および先端部32とに跨がって軸方向に伸びるよう埋設された焼結体部33とにより構成されている。
この例の焼結体部33は、先端部32に埋設される円板状の前端部分34と、本体部31に埋設される後端部分35とにより構成されている。後端部分35は、その前端(前端部分34との境界)の外径が後端面の外径より大きいものである。具体的には、後端部分35は、前端面33a側から後端面33b側に向かって小径となる円錐台状に形成されている。また、前端部分34の外径は後端部分35における前端の外径より大きいものとされている。これにより、焼結体部33における前端面33aの外径が後端面33bの外径より大きいものとされている。
また、焼結体部33の前端部分34における軸方向の長さは、後端部分における軸方向の長さより小さいものとされている。具体的には、前端部分34における軸方向の長さと後端部分における軸方向の長さとの比が、1:1.5〜1:5であることが好ましい。
図4に示す陰極30におけるその他の構成は、図2に示す陰極30と同様である。また、図4に示す陰極30は、図2に示す陰極30と同様にして製造することができる。
上記の陰極30の具体的な寸法の一例を挙げると、以下の通りである。
本体部31は、最大外径が15mm、軸方向の長さが60mmである。先端部32は,先端面の径が1.2mm、軸方向の長さが3mmである。本体部31と先端部32との界面の外径は6mmである。焼結体部33は、前端部分34の外径が2.2mm、前端部分34における軸方向の長さが1mm、後端部分34における前端の外径が2.0mm、後端部分34における後端の外径が1.8mm、後端部分34における軸方向の長さが4mmである。
このような陰極30においては、焼結体部33は、先端部32に埋設される外径の大きい前端部分34と、本体部31に埋設される外径の小さい円錐台状の後端部分35とにより構成されている。また、エミッタ物質を先端部32より高い濃度で含有した焼結体33は、本体部31および先端部32より線膨張係数が高くなる。そのため、陰極30の製造時の真空熱処理や放電ランプの点灯時においては、昇温時に、エミッタ物質を先端部32より高い濃度で含有した焼結体部33は、本体部31および先端部32より大きく膨張する。これにより、焼結体部33は、先端部32に押し付けられ、本体部31および先端部32と焼結体部33との間において、焼結が進み剥離が生じにくくなる。このため、収縮時において焼結体部33の前端面33aと先端部32との間に間隙が形成されることがない。その結果、焼結体部33と先端部32とが確実に接触または接合されるので、放電ランプの点灯時においては、焼結体部33から先端部32に十分な量のエミッタ物質が供給される。
従って、本発明に係る陰極30を備えた放電ランプによれば、陰極30の先端においてエミッタ物質が枯渇することがないので、長期間にわたって安定した点灯状態を達成することができる。
〈実施例1〉
図3に示す構成に従い、下記の仕様の陰極を作製した。
本体部:材質=酸化ジルコニウム(ZrO2 )がドープされたタングステン(ZrO2 の濃度が1wt%),最大外径=15mm,軸方向の長さ=58mm
先端部:材質=酸化ランタン(La2 3 )および酸化ジルコニウム(ZrO2 )がドープされたタングステン(La2 3 の濃度が1.5wt%,ZrO2 の濃度が0.05wt%),先端面の径=0.8mm,本体部との界面の外径=6mm,軸方向の長さ=2mm
焼結体部:材質=酸化セリウム(CeO2 )とタングステン(W)との焼結体(CeO2 とWとの質量比が1:1),前端部分の外径=2.2mm、前端部分における軸方向の長さ=1mm、後端部分の外径=2.0mm、後端部分における軸方向の長さ=4mm
また、上記の陰極の製造条件は、以下の通りである。
[焼結体部]
脱脂・仮焼結処理:
水素ガス雰囲気下,処理温度=1000℃,処理時間=1時間
本焼結処理:減圧下(1×10-5Pa以下),処理温度=1800℃,処理時間=1時間
[陰極]
還元処理:
水素ガス雰囲気下,処理温度=1000℃,処理時間=0.5時間
真空熱処理:
減圧下(1×10-5Pa以下),処理温度=2200℃,処理時間=1時間
上記の陰極を用い、図1に示す構成に従って、下記の仕様の放電ランプを作製した。
発光管:材質=石英ガラス,最大内径=109mm
陽極:材質=タングステン,外径=35mm,軸方向の長さ=65mm
電極間距離:9mm
定格入力:7kW
上記の放電ランプを、電圧が35V、電流が200Aの条件で点灯させ、フリッカが発生するまでの点灯時間を測定したところ、700時間であった。また、点灯を開始してから700時間経過後における放電ランプの照度維持率は85%であった。
〈比較例1〉
焼結体部を外径が2.2mmで、軸方向の長さが5mmの円柱状のものに変更したこと以外は実施例1と同様にして、陰極および放電ランプを作製した。
上記の放電ランプを、電圧が35V、電流が200Aの条件で点灯させ、フリッカが発生するまでの点灯時間を測定したところ、500時間であった。また、点灯を開始してから500時間経過後における放電ランプの照度維持率は85%であった。
以上の結果から明らかなように、実施例1に係る放電ランプによれば、長期間にわたって安定した点灯状態が達成されることが確認された。
これに対して、比較例1に係る放電ランプにおいては、点灯状態が早期に不安定となった。これは、陰極の製造工程の真空熱処理において、先端部と焼結体部との線膨張係数の差に起因して、先端部と焼結体部との間に間隙が形成され、これにより、放電ランプの点灯中において、焼結体部から先端部に十分にエミッタ物質が供給されなかったためと考えられる。
10 発光管
11 発光部
12 一方の封止部
13 他方の封止部
14 陽極用内部リード
15 陰極用内部リード
16,17 口金
20 陽極
21 中央部
22 先端部
23 後端部
30 陰極
31 本体部
32 先端部
33 焼結体部
33a 前端面
33b 後端面
34 前端部分
35 後端部分
S 放電空間

Claims (5)

  1. トリウム元素を含まない材料よりなる本体部と、
    この本体部の先端に接合された、トリウム元素を含まない材料よりなる先端部と、
    少なくとも本体部に軸方向に伸びるよう埋設された、トリウム元素を含まないエミッタ物質を前記先端部より高濃度で含有する焼結体部とよりなり、
    前記焼結体部は、前記先端部側の前端面の外径が後端面の外径より大きいものであることを特徴とする放電ランプ用陰極。
  2. 前記焼結体部における前記エミッタ物質の濃度が5〜60wt%であることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ用陰極。
  3. 前記焼結体部は、前記本体部と前記先端部とに跨がって埋設されており、
    前記焼結体部における前記先端部に埋設される前端部分の外径が、前記本体部に埋設される後端部分の外径より大きく、かつ、当該先端部に埋設される前端部分における軸方向の長さが、当該本体部に埋設される後端部分における軸方向の長さより小さいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放電ランプ用陰極。
  4. 前記焼結体部における前記後端部分は、その前端の外径が後端面の外径より大きいものであることを特徴とする請求項3に記載の放電ランプ用陰極。
  5. 放電空間内に陽極および陰極が互いに対向して配置されてなる放電ランプにおいて、
    前記陰極は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の放電ランプ用陰極であることを特徴とする放電ランプ。
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