JP2015007584A - ステップモータ、時計用ムーブメントおよび時計 - Google Patents

ステップモータ、時計用ムーブメントおよび時計 Download PDF

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Abstract

【課題】ロータのステップ角度を容易に小さくできる小型かつ低コストなステップモータ、このステップモータを備えた時計用ムーブメントおよびこの時計用ムーブメントを備えた時計を提供する。
【解決手段】第1磁極部と第2磁極部とが周方向に交互に配置されたロータ50と、開口部35が形成されたステータヨーク31を有するステータ30と、を備え、ロータ50は、軸方向に磁化された磁石52と、径方向の外側において周方向に離間して配置された複数の第1爪部55を有する第1ヨーク53と、径方向の外側において複数の第1爪部55の間に配置された第2爪部58を有する第2ヨーク56と、を備え、ステータ30は、1個のコイル45と、磁気飽和部37と、保持トルクを作用させる保持トルク発生部40と、第1逃げ部43aと、第2逃げ部43bと、を備えていることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

この発明は、ステップモータ、このステップモータを備えた時計用ムーブメントおよび時計に関するものである。
例えばアナログ式の電子時計における指針の駆動源には、入力されるパルス状の駆動信号に同期して回転する、いわゆるステップモータが用いられている。
ステップモータは、開口部が形成されたステータヨークを有するステータと、ステータの開口部の内側において回転自在に設けられロータと、ステータに磁極を発生させるためのコイルと、を主に備えて構成されている。
ロータは、周方向に分極されたN極とS極からなる磁極を有している。また、ステップモータのステータには、コイルに所定の周期(例えば1秒の周期)で通電することにより、N極とS極とからなる磁極が形成される。ステップモータのロータは、所定の周期で励磁されるステータの磁力によって吸引および反発されることにより、所定のステップ角度(例えば、180°のステップ角度)で回転する。
また、ステップモータの駆動力は、輪列を介して指針に伝達される。これにより、時計の指針のうち秒針は、例えば1秒毎に段階的に運針されるようになっている。
ところで、近年の指針表現の多様化から、指針の連続的な運針が要求されることがある。
指針の連続的な運針を実現する方法としては種々提案されているが、例えば、ステップモータの通電周期を高めて高速回転させるとともに、ロータと指針との間に設けられた減速輪列の減速比を増やす方法が知られている。
これに対し、減速輪列の減速比を増やすことなく指針の連続的な運針を実現する方法として、例えばステップモータのステップ角度を小さくする方法が知られている。
例えば特許文献1には、周縁に12個のN極およびS極が着極され、地板と上板の間に回転自在に支持されたロータと、ロータを回転させるための正転用コイルおよび逆転用コイルと、ロータのN極およびS極の配列ピッチと等しい間隔で配置された凹凸面を有し正転用コイルおよび逆転用コイルの各一方の磁極に磁気結合された補極と、正転用コイルおよび逆転用コイルの他方の磁極に磁気結合され、ロータの同一磁極と対向する間隔で配置された突起を具備した駆動用磁極部と、を備えたステップモータが記載されている。
特許文献1に記載の発明によれば、ロータの回転ピッチ(ステップ角度)を磁極の着磁ピッチに対応した角度(特許文献1に記載の発明においては、30°ピッチ)とすることができるとされている。なお、特許文献1に記載の発明は、ロータの回転ピッチを従来のステップモータよりも小さくすることにより、ロータに連結された指針の回動量を小さくし、指針の振れ過ぎを抑制することを目的としたものであるが、ロータの回転ピッチを小さくすることができるため、指針の連続的な運針にも有効であると考えられる。
特開平8−50185号公報
しかしながら、従来技術における減速輪列の減速比を増やす方法にあっては、減速輪列を構成する歯車の外形を大きくしたり、歯車の個数を増やしたりする必要があるため、減速輪列が大型化するおそれがある。また、例えば、特許文献1に記載の技術のようにコイルを複数設けるとともに、コイルの励磁シーケンスを調整するなどして、ロータのステップ角度が小さくなるように調節する方法も提案されている。しかしながら、ステップモータの構成が複雑となるとともに部品点数が増加するおそれがある。このように、上記いずれの技術においても、ステップモータの大型化および高コスト化を招くおそれがある。
また、例えば、比較的磁気エネルギーが低い等方性磁石を採用した場合には、従来技術のように、ロータの周方向にわたって等間隔に分極された磁極を形成することができる。しかしながら、磁気エネルギーが高い異方性磁石を採用した場合には、従来技術のようにロータの周方向に沿って磁極を複数設けるのが一般に困難であることが知られている。したがって、磁気エネルギーが高い異方性磁石をロータに採用した場合には、従来技術の適用がとりわけ困難である。
そこで、本発明は、ロータのステップ角度を容易に小さくできる小型かつ低コストなステップモータ、このステップモータを備えた時計用ムーブメントおよびこの時計用ムーブメントを備えた時計の提供を課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明のステップモータは、中心軸周りに回転自在に設けられ、一の極に磁化された第1磁極部と、他の極に磁化された第2磁極部とが、前記中心軸の周方向に交互に配置されたロータと、前記ロータが設けられる開口部が形成されたステータヨークを有し、前記第1磁極部と前記第2磁極部とに磁極を発生させるステータと、を備えることを特徴としている。
本発明によれば、ロータには、第1磁極部と第2磁極部とが交互に配置されているので、第1磁極部と第2磁極部とのピッチを所望に設定することで、ロータのステップ角度を容易に小さくできるとともに、小型かつ低コストなステップモータを得ることができる。
また、前記ロータは、前記ロータの軸方向に沿うように磁化された磁石を有し、前記第1磁極部は、前記磁石の前記軸方向の一方側に配置される第1ベース部と、前記磁石における前記ロータの径方向の外側において前記ロータの周方向に離間して配置され、前記第1ベース部から前記軸方向の他方側に向かって延びる複数の第1爪部と、を有する第1ヨークであり、前記第2磁極部は、前記磁石の前記他方側に配置される第2ベース部と、前記磁石の前記径方向の外側において前記複数の第1爪部の間に配置され、前記第2ベース部から前記一方側に向かって延びる複数の第2爪部と、を有する第2ヨークであり、前記ステータは、1個のコイルと、前記開口部の周囲に設けられ、前記コイルの励磁によって前記ステータヨークに異なった磁極を発生させる磁気飽和部と、前記開口部の周囲に設けられ、前記ロータに対して保持トルクを作用させる保持トルク発生部と、前記開口部の周囲に設けられた逃げ部と、を備えていることを特徴としている。
本発明によれば、ロータは、軸方向に沿うように磁化された磁石と、磁石の径方向の外側において第1ベース部から軸方向の他方側に向かって延びる複数の第1爪部を有する第1ヨークと、磁石の径方向の外側において複数の第1爪部の間に配置され第2ベース部から一方側に向かって延びる複数の第2爪部を有する第2ヨークと、を備えているので、ロータの周方向にわたって、磁石により互いに異なる磁極に磁化された複数の第1爪部と複数の第2爪部とを交互に配置できる。これにより、ロータの外周面に、所定のピッチでN極およびS極の磁極を交互に形成できるので、磁極のピッチに対応したステップ角度でロータを回転させることができる。さらに、磁極のピッチに対応したステップ角度によるロータの回転を、1個のコイルで実現することができる。したがって、ロータのステップ角度を容易に小さくできる小型かつ低コストなステップモータを提供することができる。
また、ステータは、開口部の周囲に、ロータに対して保持トルクを作用させる保持トルク発生部を備えているので、コイルの非通電状態において、ロータの初期位置を決定することができるとともに、コイルの通電および非通電を繰り返すことによりロータを所定方向に、磁極のピッチに対応したステップ角度で回転させることができる。
また、ステータは、開口部の周囲に逃げ部を備えているので、ロータの磁力とステータにより発生される磁力との磁気的な干渉を抑制できる。したがって、逃げ部の配置や形状等を変更することにより、ステップモータの駆動時における省電力化と駆動トルクのロスとのバランスを所望に設定できる。
また、前記保持トルク発生部は、前記ロータに向かって突出した突部により形成されていることを特徴としている。
本発明によれば、保持トルク発生部を突部により形成することで、より大きな保持トルクを確保できる。したがって、例えば外部衝撃等により荷重が加わることによってロータが回転するのを確実に抑制できる。
また、前記逃げ部は、前記開口部の周囲であって、前記磁気飽和部を挟んで一方側の磁極に設けられた少なくとも1つの第1逃げ部と、前記開口部の周囲であって、前記磁気飽和部を挟んで他方側の磁極に設けられた少なくとも1つの第2逃げ部と、により複数設けられ、前記第1逃げ部と、前記第2逃げ部とは、前記径方向において対向する位置から互いにずれていることを特徴としている。
本発明によれば、磁気飽和部を挟んで一方側の磁極に第1逃げ部を設け、他方側の磁極に第2逃げ部を設けることにより、ロータのN極とステータのN極との磁気的な干渉、およびロータのS極とステータのS極との磁気的な干渉を抑制できる。さらに、第1逃げ部と第2逃げ部とは、径方向において対向する位置から互いにずれているので、ロータの周方向にわたって形成された各磁極の位置に対応して、ステータに第1逃げ部および第2逃げ部を形成できる。これにより、ロータの回転時におけるトルクリップルを抑制するとともに、ステップモータの駆動時における省電力化と駆動トルクのロスとのバランスを所望に設定できる。
また、前記ロータの磁極の極対数をnとし、前記第1逃げ部の個数をK1とし、前記第2逃げ部の個数をK2としたとき、前記ロータの極対数n、前記第1逃げ部の個数K1および前記第2逃げ部の個数K2は、
K1=K2=(n−1)/2
の関係を満足するように設定されていることを特徴としている。
本発明によれば、ロータの極対数n、第1逃げ部の個数K1および第2逃げ部の個数K2が、
K1=K2=(n−1)/2・・・(1)
の関係を満足するように設定されることで、ロータの各極対のうち、2極対を回転時における吸引および反発に使用するとともに、残りの極対を形成するロータの磁極に対応して、ステータの一方側の磁極および他方側の磁極に、それぞれ第1逃げ部および第2逃げ部を形成できる。したがって、ロータの極対数に対応して、ステータの磁極に第1逃げ部および第2逃げ部を形成できるので、ロータの極対数に関わらずロータの回転時におけるトルクリップルを抑制するとともに、ステップモータの駆動時における省電力化と駆動トルクのロスとのバランスを所望に設定できる。
また、前記磁石は、焼結により形成された異方性磁石であることを特徴としている。
本発明によれば、第1ヨークと第2ヨークとにより磁石を挟み込むだけで、ロータを形成するとともに、ロータの周方向に所定のピッチで分極された磁極を容易に形成できる。したがって、従来、周方向に分極された磁極を形成するのが困難とされる異方性磁石を使用したロータに、周方向に分極された磁極を容易に形成できる。また、一般に、異方性磁石は小型かつ磁気エネルギーが高いため、時計等の精密機械製品に本発明のステップモータを適用する場合に特に好適である。
また、本発明の時計用ムーブメントは、上述のステップモータを備えたことを特徴としている。
また、本発明の時計は、上述の時計用ムーブメントを備えていることを特徴としている。
本発明によれば、時計用ムーブメントおよび時計は、ロータのステップ角度を容易に小さくできる小型かつ低コストなステップモータを備えているので、時計用ムーブメントおよび時計の大型化および高コスト化を抑制しつつ、指針の連続的な運針を実現できる。
本発明によれば、ロータには、第1磁極部と第2磁極部とが交互に配置されているので、第1磁極部と第2磁極部とのピッチを所望に設定することで、ロータのステップ角度を容易に小さくできるとともに、小型かつ低コストなステップモータを得ることができる。
実施形態に係る時計および時計に組み込まれたムーブメントの説明図である。 第1実施形態に係るステップモータの平面図である。 図2におけるA−A線に沿ったロータの断面図である。 第1実施形態の変形例に係るステップモータの平面図である。 第2実施形態に係るステップモータの平面図である。 第2実施形態の変形例に係るステップモータの平面図である。
以下に、この発明の第1実施形態について、図面を用いて説明する。
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側、すなわち、文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板の両側のうち、時計ケースのケース裏蓋のある方の側、すなわち、文字板と反対の側をムーブメントの「表側」と称する。
図1は、第1実施形態に係る時計1およびこの時計1に組み込まれたムーブメント10(請求項の「時計用ムーブメント」に相当。)の説明図である。以下では、第1実施形態に係るステップモータ15を備えたムーブメント10、およびこのムーブメント10を備えた時計1について説明をした後、第1実施形態に係るステップモータ15について詳述する。
図1に示すように、本実施形態の時計1は、クォーツ式の腕時計(電子時計)であり、不図示のケース裏蓋とガラス2により形成された時計ケース3内に、ムーブメント10と、少なくとも時に関する情報を示す目盛り等を有する文字板11と、時を示す時針12、分を示す分針13および秒を示す秒針14を含む指針と、を備えている。
ムーブメント10は、該ムーブメント10の基板を構成する不図示の地板および地板よりも表側に配置された不図示の輪列受を有している。地板の裏側には、文字板11がガラス2を通じて視認可能に配置されている。また、地板の表側には、時計1の源振を構成する不図示の水晶ユニットや表輪列20等が配置される。水晶ユニットは、内部に所定の周波数で発振する不図示の水晶振動子を有しており、不図示の回路基板に接続されている。
回路基板には、不図示の集積回路(IC)が実装されている。集積回路は、水晶振動子の振動に基づいて基準信号を出力する発振部(オシレータ)と、この発振部の出力信号を分周する分周部(デバイダ)と、分周部の出力信号に基づいてステップモータ15を駆動するモータ駆動信号を出力する駆動部(ドライバ)と、を内部に有している。
ステップモータ15は、ステータ30とロータ50とを備えている。ステータ30は、地板と輪列受との間に支持されている。また、ロータ50は、地板と輪列受との間に回転可能に支持されている。ステップモータ15については、後に詳細に説明する。
地板の表側には、ロータ50の回転に基づいて回転する五番車25と、この五番車25の回転に基づいて回転する四番車24と、この四番車24の回転に基づいて回転する三番車23と、この三番車23の回転に基づいて回転する二番車22と、この二番車22の回転に基づいて回転する日の裏車26と、この日の裏車26の回転に基づいて回転する筒車21と、が配置されている。これら各車は、表側の表輪列20を構成する。
五番車25の歯車は、ステップモータのロータ50に形成されたロータかな51に噛合している。これにより、五番車25はロータ50の回転にともなって回転する。
四番車24の歯車は、五番車25の五番かなに噛合している。これにより、四番車24は五番車25の回転にともなって回転する。四番車24は、1秒間に1回転するように構成されており、秒針14が取り付けられている。
三番車23の歯車は、四番車24の四番かなに噛合している。これにより、三番車23は四番車24の回転に伴って回転する。
二番車22の歯車は、三番車23の三番かなに噛合している。これにより、二番車22は三番車23の回転に伴って回転する。二番車22は、1時間に1回転するように構成されており、分針13が取り付けられている。
筒車21は、四番車24と同軸上に配置されており、日の裏車26等を介して二番車22に噛合している。これにより、筒車21は、二番車22および日の裏車26の回転にともなって回転する。筒車21は12時間に1回転するように構成されており、時針12が取り付けられている。
地板には、巻真5が回転可能に組み込まれている。この巻真5は、例えば、日付の修正や、時刻表示(時および分の表示)を修正する際に用いられる時計部品である。巻真5の一端部には、時計ケース3の側方に位置するりゅうず7が取り付けられている。
巻真5を引き出した状態では、三番車23と二番車22の噛合が外れた状態となり、秒針14の付いた四番車24は回転しない。したがって、りゅうず7を介して巻真5を回すことにより、分針13が取り付けられた二番車22および時針12が取り付けられた筒車21のみを回し、時刻を修正することができる。
(ステップモータ)
図2は、第1実施形態に係るステップモータ15の平面図である。なお、図2においては、ロータかな51(図1参照)の図示を省略している。
図2に示すように、第1実施形態に係るステップモータ15は、ステータ30と、ロータ50とを備えている。
図3は、図2におけるA−A線に沿ったロータ50の断面図である。
図3に示すように、ロータ50は、全体として円柱形状に形成されており、磁石52と、第1ヨーク53と、第2ヨーク56と、を備えている。なお、以下の説明では、ロータ50の中心軸をOとし、中心軸Oに沿う方向を軸方向といい、軸方向と直交する方向を径方向といい、軸方向周りに周回する方向を周方向という。
磁石52は、サマリウム(Sm)やコバルト(Co)等を主原料とする、いわゆるサマリウムコバルト磁石であり、例えば焼結により形成されている。
磁石52は、軸方向に沿って磁化されており、軸方向における中間部を挟んで一方側(図3における上側)の領域52aが例えばS極となっており、他方側(図3における下側)の領域52bが例えばN極となっている。なお、図3においては、S極とN極との境界を二点鎖線で図示している。
第1ヨーク53は、磁石52の軸方向の一方側の端面に配置される第1ベース部54と、磁石52の径方向の外側において第1ベース部54から軸方向の他方側に向かって延びる複数(本実施形態では3本、図1参照)の第1爪部55と、を有している。
第1ヨーク53は、例えば鉄等の磁性材料により形成されている。また、第1ヨーク53の製造方法は特に限定されないが、例えば鍛造や鋳造、プレス加工、機械加工等が好適である。第1ヨーク53の第1ベース部54と第1爪部55とは、互いに一体形成されている。
第1ベース部54は、軸方向から見て円盤形状に形成されており、磁石52の軸方向の一方側の端面に、例えば接着剤等により固定される。これにより、第1ヨーク53は、磁石52の軸方向における一方側の領域52aと同じ磁極(本実施形態ではS極)に磁化される。
第1爪部55は、磁石52の径方向の外側において、周方向に所定間隔だけ離間して配置されている。本実施形態の第1爪部55は、周方向に120°ピッチで3本形成されている。各第1爪部55の長さは、磁石52の軸方向に沿う長さと同等となっている。
なお、磁石52、第1ヨーク53および第1爪部55は、本発明の第1磁極部としても機能する。
第2ヨーク56は、磁石52の軸方向の他方側の端面に配置される第2ベース部57と、磁石52の径方向の外側において第2ベース部57から軸方向の他方側に向かって延びる複数(本実施形態では3本、図1参照)の第2爪部58と、を有している。第2ヨーク56は、第1ヨーク53と同一形状に形成されている。したがって、第2ヨーク56については詳細な説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
第2ベース部57は、磁石52の軸方向の他方側の端面に、例えば接着剤等により固定される。これにより、第2ヨーク56は、磁石52の軸方向の他方側の領域52bと同じ磁極(本実施形態ではN極)に磁化される。
3本の第2爪部58は、磁石52の径方向の外側において、それぞれ第1爪部55と所定の間隔を空けて、各第1爪部55の間に配置されている。
上述のように、磁石52の一方側の端面に第1ベース部54を固定して第1ヨーク53を配置し、磁石52の他方側の端面に第2ベース部57を固定して第2ヨーク56を配置することで、磁石52の径方向の外側には、S極に磁化された第1爪部55と、N極に磁化された第2爪部58とが、周方向に等間隔かつ交互に配置される。これにより、ロータ50の外周面には、第1爪部55の本数と第2爪部58の本数とを合計した数に等しい6極(すなわち3極対)の磁極が形成される。ここで、ロータ50の磁極ピッチ角度は、60°となっている。この磁極ピッチ角度は、ステップモータ15のロータ50が回転する際の1ステップ角度に相当する。
なお、磁石52、第2ヨーク56および第2爪部58は、本発明の第2磁極部としても機能する。
図2に示すように、ステータ30は、ステータヨーク31と、1個のコイル45とを備えている。
ステータヨーク31は、例えば鉄(Fe)やニッケル(Ni)等を主原料とする、いわゆるパーマロイ等の透磁率の大きな金属材料により全体としてU字形状に形成されており、平面視で長方形状の本体部32と、本体部32から外側に延出された一対の取付部33,33とにより構成されている。
ステータヨーク31の一対の取付部33,33の間には、コイル45が本体部32と平行となるように配置されている。
コイル45は、巻胴部46aと、巻胴部46aの両端に形成された固定部46b,46bとを備えた磁心46の巻胴部46aに、導線47を巻回することにより形成されている。
磁心46は、ステータヨーク31と同様に、例えばパーマロイ等の透磁率の大きな金属材料により形成されている。導線47は、例えば銅等の導電率の高い金属材料により形成されている。
磁心46は、両端の固定部46b,46bをそれぞれステータヨーク31の取付部33,33に対して例えばネジ61等により締結固定することにより、機械的および磁気的にステータヨーク31と接続される。これにより、ステータ30には、ステータヨーク31と磁心46とにより、環状の磁路が形成される。
ステータヨーク31の本体部32には、該本体部32の長手方向および短手方向の中間部に、開口部35が形成されている。開口部35は、軸方向から見て円形状に形成されており、ロータ50よりも大径となっている。これにより、ロータ50は、開口部35の中心軸と同軸上に配置されて、開口部35の中心軸(すなわち中心軸O)周りに回転自在に設けられる。
ここで、開口部35の周囲には、コイル45の励磁によってステータヨーク31の本体部32に異なった磁極を発生させる磁気飽和部37,37が一対形成されている。
磁気飽和部37,37は、本体部32の長手方向の中間部において、本体部32の短手方向の外側から内側(すなわち開口部35)に向かって、本体部32の外側部分を円弧状に凹ませることにより形成されている。これにより、本体部32の長手方向の中間部における開口部35の径方向の外側の肉厚は、他の部分と比較して最も薄くなるように形成される。そして、磁気飽和部37,37は、コイル45に通電してコイル45を励磁したとき、本体部32の中間部に対応した境界Pを挟んで一方側(図2における右側)と他方側(図2における左側)とに、それぞれS極またはN極の磁極を発生させる。以下の説明では、境界Pを挟んで一方側(図2における右側)の磁極を第1磁極39aといい、境界Pを挟んで他方側(図2における左側)の磁極を第2磁極39bという。
開口部35の周囲には、ロータ50に対して保持トルクを作用させる保持トルク発生部40が設けられている。保持トルク発生部40は、開口部35の内周面とロータ50との径方向に沿った離間距離が、他の部分よりも狭くなることにより形成される。本実施形態の保持トルク発生部40は、開口部35の内周面からロータ50に向かって円弧状に突出した一対の突部41a,41bにより形成されている。
一対の突部41a,41bのうち、第1突部41aは、第1磁極39a側に形成されている。また、一対の突部41a,41bのうち、第2突部41bは、第2磁極39b側であって、中心軸Oを挟んで第1突部41aとは反対側の位置に、第1突部41aと対向するように形成されている。
図2に示す状態において、保持トルクは、第1突部41aと第2ヨーク56の第2爪部58との間、および第2突部41bと第1ヨーク53の第1爪部55との間における磁石52の吸引力によって発生する。これにより、コイル45の非通電状態において、例えば衝撃等により指針に回転力が作用しても、ロータ50が回転することがないので、指針が所定位置に保持される。
さらに、開口部35の周囲には、一対の逃げ部43a,43bが形成されている。一対の逃げ部43a,43bは、それぞれ開口部35の内周面を、本体部32の長手方向に沿って、例えば矩形状に切り欠くことにより形成されている。これにより、一対の逃げ部43a,43bとロータ50との離間距離は、他の部分よりも大きくなる。
一対の逃げ部43a,43bのうち、第1逃げ部43aは、第1磁極39a側であって、本体部32の短手方向における中間部に形成されている。また、一対の逃げ部43a,43bのうち、第2逃げ部43bは、第2磁極39b側であって、中心軸Oを挟んで第1逃げ部43aとは反対側の位置に、第1逃げ部43aと対向するように形成されている。
ここで、ロータ50の極対数をnとし、第1逃げ部43aの個数をK1とし、第2逃げ部43bの個数をK2としたとき、ロータ50の極対数n、第1逃げ部43aの個数K1および第2逃げ部43bの個数K2は、
K1=K2=(n−1)/2・・・(1)
の関係を満足するように設定されている。
本実施形態においては、ロータ50の磁極数は6極であり、極対数n=3であるので、K1=K2=1となっている。すなわち、第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bは、それぞれ1個ずつ形成される。
(1)式を満足することにより、ロータ50の各極対のうち、2極対(対抗する一対の第1爪部55および第2爪部58)を回転時における吸引および反発に使用するとともに、残りの極対を形成するロータ50の第1爪部55および第2爪部58に対応して、ステータ30の第1磁極39aおよび第2磁極39bに、それぞれ第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bを形成できる。したがって、ロータ50に発生する磁力とステータ30の第1磁極39aおよび第2磁極39bに発生する磁力との磁気的な干渉が抑制される。なお、一対の逃げ部43a,43bの作用については、後に詳述する。
(作用)
続いて、第1実施形態に係るステップモータ15の作用について説明する。以下では、図2に示すコイル45の無通電状態におけるロータ50の位置を初期位置とし、以降、コイル45への通電および無通電を繰り返してコイル45の励磁および消磁を行うことにより、ロータ50を回転させる場合について説明する。
初期位置において、第1突部41aと、N極に磁化されたロータ50の第2爪部58との間に吸引力が働く。また、初期位置において、第2突部41bと、S極に磁化されたロータ50の第1爪部55との間に吸引力が働く。これにより、ロータ50は、吸引力によって発生する保持トルクにより保持されている。
次いで、コイル45に対して所定方向に通電してコイル45を励磁し、第1磁極39aにN極を発生させるとともに、第2磁極39bにS極を発生させる。これにより、N極に磁化された第1磁極39aとN極に磁化された第2爪部58との間、およびS極に磁化された第2磁極39bとS極に磁化された第1爪部55との間に反発力が働くとともに、N極に磁化された第1磁極39aとS極に磁化された第1爪部55との間、およびS極に磁化された第2磁極39bとN極に磁化された第2爪部58との間に吸引力が働く。そして、ロータ50は、磁極ピッチ角度に対応する1ステップ角度(本実施形態では60°)だけ、反時計方向回りに回転する。
ここで、ステータ30には、一対の逃げ部43a,43bが形成されているので、図2に示す状態からロータ50が反時計回り方向に回転するとき、第2爪部58に発生するN極の磁力とステータ30の逃げ部43aに発生されるN極の磁力との磁気的な干渉、およびロータ50の第1爪部55に発生するS極の磁力とステータ30の逃げ部43bに発生されるS極の磁力との磁気的な干渉が抑制される。
次いで、コイル45に対して所定方向とは反対方向に通電してコイル45を励磁し、第1磁極39aにS極を発生させるとともに、第2磁極39bにN極を発生させる。これにより、S極に磁化された第1磁極39aとS極に磁化された第1爪部55との間、およびN極に磁化された第2磁極39bとN極に磁化された第2爪部58との間に反発力が働くとともに、S極に磁化された第1磁極39aとN極に磁化された第2爪部58との間、およびN極に磁化された第2磁極39bとS極に磁化された第1爪部55との間に吸引力が働く。そして、ロータ50は、さらに1ステップ角度(本実施形態では60°)だけ反時計方向回りに回転する。
以降、コイル45に対して所定方向および所定方向とは逆方向に所定のタイミングで通電する。これにより、ロータ50は、上述のように1ステップ角度(本実施形態では60°)ずつ、反時計方向回りに回転することができる。
第1実施形態によれば、ロータ50は、軸方向に沿うように磁化された磁石52と、磁石52の径方向の外側において第1ベース部54から軸方向の他方側に向かって延びる複数の第1爪部55を有する第1ヨーク53と、磁石52の径方向の外側において複数の第1爪部55の間に配置され第2ベース部57から一方側に向かって延びる複数の第2爪部58を有する第2ヨーク56と、を備えているので、ロータ50の周方向にわたって、磁石52により互いに異なる磁極に磁化された複数の第1爪部55と複数の第2爪部58とを交互に配置できる。これにより、ロータ50の外周面に、所定のピッチでN極およびS極の磁極を交互に形成できるので、磁極のピッチに対応したステップ角度でロータ50を回転させることができる。さらに、磁極のピッチに対応したステップ角度によるロータ50の回転を、1個のコイル45で実現することができる。したがって、ロータ50のステップ角度を容易に小さくできる小型かつ低コストなステップモータ15を提供することができる。
また、ステータ30は、開口部35の周囲に、ロータ50に対して保持トルクを作用させる保持トルク発生部40を備えているので、コイル45の非通電状態において、ロータ50の初期位置を決定することができるとともに、コイル45の通電および非通電を繰り返すことによりロータ50を所定方向に、磁極のピッチに対応したステップ角度で回転させることができる。
また、ステータ30は、開口部35の周囲に第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bを備えているので、ロータ50の磁力とステータ30により発生される磁力との磁気的な干渉を抑制できる。したがって、第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bの配置や形状等を変更することにより、ステップモータ15の駆動時における省電力化と駆動トルクのロスとのバランスを所望に設定できる。
また、保持トルク発生部40を第1突部41aおよび第2突部41bにより形成することで、より大きな保持トルクを確保できる。したがって、例えば外部衝撃等により荷重が加わることによってロータ50が回転するのを確実に抑制できる。
また、ロータ50の極対数n、第1逃げ部43aの個数K1および第2逃げ部43bの個数K2が、
K1=K2=(n−1)/2・・・(1)
の関係を満足するように設定されるので、ロータ50の各極対のうち、2極対を回転時における吸引および反発に使用するとともに、残りの極対を形成するロータ50の磁極に対応して、ステータ30の第1磁極39aおよび第2磁極39bに、それぞれ第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bを形成できる。したがって、ロータ50の極対数に対応して、ステータ30の磁極に第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bを形成できるので、ロータ50の極対数に関わらずロータ50の回転時におけるトルクリップルを抑制するとともに、ステップモータ15の駆動時における省電力化と駆動トルクのロスとのバランスを所望に設定できる。
また、磁石52は、焼結により形成された異方性磁石であるので、第1ヨーク53と第2ヨーク56とにより磁石52を挟み込むだけで、ロータ50を形成するとともに、ロータ50の周方向に所定のピッチで分極された磁極を容易に形成できる。したがって、従来、周方向に分極された磁極を形成するのが困難とされる異方性磁石を使用したロータ50に、周方向に分極された磁極を容易に形成できる。また、一般に、異方性磁石は小型かつ磁気エネルギーが高いため、時計1等の精密機械製品に本実施形態のステップモータ15を適用する場合に特に好適である。
また、ムーブメント10および時計1は、ロータ50のステップ角度を容易に小さくできる小型かつ低コストなステップモータ15を備えているので、ムーブメント10および時計1の大型化および高コスト化を抑制しつつ、指針の連続的な運針を実現できる。
(第1実施形態の変形例)
続いて、第1実施形態の変形例に係るステップモータ15について説明する。
図4は、第1実施形態の変形例に係るステップモータ15の説明図である。
第1実施形態に係るステップモータ15は、ロータ50が6極(3極対)の磁極により形成されるとともに、第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bがそれぞれ1個ずつ形成されていた(図2参照)。
これに対して、第1実施形態の変形例に係るステップモータ15は、図4に示すように、ロータ50が10極(5極対)の磁極により形成されるとともに、第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bがそれぞれ2個ずつ形成されている点で、第1実施形態とは異なっている。なお、以下では、第1実施形態と同様の構成部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
第1実施形態の変形例に係るステップモータ15のロータ50は、第1ヨーク53の第1爪部55および第2ヨーク56の第2爪部58が、それぞれ周方向に72°ピッチで5本形成されている。磁石52の径方向の外側には、S極に磁化された第1爪部55と、N極に磁化された第2爪部58とが、周方向に等間隔かつ交互に配置される。これにより、ロータ50の外周面には、第1爪部55の本数と第2爪部58の本数とを合計した数に等しい10極(すなわち5極対)の磁極が形成される。ここで、ロータ50の磁極ピッチ角度は36°となっている。この磁極ピッチ角度は、ステップモータ15のロータ50が回転する際の1ステップ角度に相当する。
開口部35の周囲には、複数の逃げ部43a,43bが形成されている。
ここで、ロータ50の極対数n、第1逃げ部43aの個数K1および第2逃げ部43bの個数K2は、
K1=K2=(n−1)/2・・・(1)
の関係を満足するように設定されている。
第1実施形態の変形例においては、ロータ50の磁極数は10極であり、極対数n=5であるので、K1=K2=2となる。したがって、第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bは、それぞれ2個ずつ形成される。
第1実施形態の変形例によれば、ロータ50の磁極数(極対数)は、第1実施形態に限定されなくとも第1実施形態と同じ作用効果を奏することができる。とりわけ、ロータ50の磁極数を増やすことにより、ステップ角度をさらに小さくすることができる。
また、(1)式を満足することにより、ロータ50の磁極数(極対数)に対応して第1逃げ部43aの個数K1および第2逃げ部43bの個数K2を設定できるので、ロータ50の磁極数(極対数)を変更した場合であっても、ロータ50の磁力とステータ30により発生される磁力との磁気的な干渉を抑制できる。
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態に係るステップモータ15について説明する。
図5は、第2実施形態に係るステップモータ15の説明図である。
第1実施形態に係るステップモータ15は、保持トルク発生部40が一対の突部41a,41bにより形成されるとともに、第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bがそれぞれ対向するように1個ずつ形成されていた(図2参照)。
これに対して、図5に示すように、第2実施形態に係るステップモータ15は、第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bが、径方向において対向する位置から互いにずれているとともに、第1逃げ部43aと第2逃げ部43bとの間に突部を設けることなく保持トルク発生部40が形成されている点で、第1実施形態とは異なっている。なお、以下では、第1実施形態と同様の構成部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
第2実施形態に係るステップモータ15のステータヨーク31には、第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bがそれぞれ1個ずつ形成されている。
第1逃げ部43aは、ステータヨーク31の本体部32における短手方向の中間部よりも、コイル45とは反対側に形成されている。第2逃げ部43bは、ステータヨーク31の本体部32における短手方向の中間部よりも、コイル45側に形成されている。これにより、第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bは、径方向において対向する位置から互いにずれている。
また、第1逃げ部43aと第2逃げ部43bとの間は、開口部35の内周面とロータ50との離間距離が他の部分(すなわち、第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bの形成部分)よりも狭い保持トルク発生部40となっている。保持トルク発生部40は、第1逃げ部43aと第2逃げ部43bとの間において対向するように一対設けられており、滑らかな円弧状に形成されている。
コイル45の無通電状態において、保持トルクは、ステータヨーク31の保持トルク発生部40と、保持トルク発生部40の形成領域に対応する第1爪部55および第2爪部58との間における磁石52の吸引力によって発生する。これにより、コイル45の非通電状態において、ロータ50の初期位置が決定される。したがって、コイル45の非通電状態において、例えば衝撃等により指針に回転力が作用しても、ロータ50が回転することがないので、指針が所定位置に保持される。
ここで、第1逃げ部43aと第2逃げ部43bとのずれ量は、第1ヨーク53の第1爪部55および第2ヨーク56の第2爪部58の形状やピッチ、必要とされる保持トルクの大きさ等に対応して設定される。例えば、第1逃げ部43aと第2逃げ部43bとのずれ量は、ロータ50の初期位置において、第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bが、それぞれ保持トルク発生部40の形成領域以外の領域に対応した第1爪部55および第2爪部58と対向する位置に形成されるように決定される。
第2実施形態によれば、磁気飽和部37を挟んで一方側の第1磁極39aに第1逃げ部43aを設け、他方側の第2磁極39bに第2逃げ部43bを設けることにより、ロータ50のN極とステータ30のN極との磁気的な干渉、およびロータ50のS極とステータ30のS極との磁気的な干渉を抑制できる。さらに、第1逃げ部43aと第2逃げ部43bとは、径方向において対向する位置から互いにずれているので、ロータ50の周方向にわたって形成された各磁極の位置に対応して、ステータ30に第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bを形成できる。これにより、ロータ50の回転時におけるトルクリップルを抑制するとともに、ステップモータ15の駆動時における省電力化と駆動トルクのロスとのバランスを所望に設定できる。
(第2実施形態の変形例)
続いて、第2実施形態の変形例に係るステップモータ15について説明する。
図6は、第2実施形態の変形例に係るステップモータ15の説明図である。
第2実施形態に係るステップモータ15は、ロータ50が6極(3極対)の磁極により形成されるとともに、第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bが径方向において対向する位置から互いにずれてそれぞれ1個ずつ形成されていた(図5参照)。
これに対して、第2実施形態の変形例に係るステップモータ15は、図6に示すように、ロータ50が10極(5極対)の磁極により形成されるとともに、第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bが径方向において対向する位置から互いにずれてそれぞれ2個ずつ形成されている点で、第2実施形態とは異なっている。なお、以下では、第2実施形態と同様の構成部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
第2実施形態の変形例に係るステップモータ15のロータ50は、第1ヨーク53の第1爪部55および第2ヨーク56の第2爪部58が、それぞれ周方向に72°ピッチで5本形成されている。これにより、ロータ50の磁極ピッチ角度(すなわち、ステップモータ15のロータ50が回転する際の1ステップ角度)は36°となっている。
ここで、ロータ50の極対数n、第1逃げ部43aの個数K1および第2逃げ部43bの個数K2は、
K1=K2=(n−1)/2・・・(1)
の関係を満足するように設定されている。
第2実施形態の変形例においては、ロータ50の磁極数は10極であり、極対数n=5であるので、K1=K2=2となる。これにより、第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bは、それぞれ2個ずつ形成される。
2個の第1逃げ部43aおよび2個の第2逃げ部43bは、それぞれ径方向において対向する位置から互いにずれている。第1逃げ部43aと第2逃げ部43bとのずれ量は、第2実施形態と同様に、例えば、ロータ50の初期位置において、第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bが、それぞれ保持トルク発生部40の形成領域以外の領域に対応した第1爪部55および第2爪部58と対向する位置に形成されるように決定される。
第2実施形態の変形例によれば、ロータ50の磁極数(極対数)が第2実施形態に限定されなくとも、第2実施形態と同じ作用効果を奏することができる。すなわち、ロータ50の周方向にわたって形成された各磁極の位置に対応して、ステータ30に第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bを形成できるので、ロータ50の回転時におけるトルクリップルを抑制するとともに、ステップモータ15の駆動時における省電力化と駆動トルクのロスとのバランスを所望に設定できる。
なお、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
第1実施形態では、本発明のステップモータ15を適用した時計1として、クォーツ式の腕時計を例に説明をしたが、本発明のステップモータ15の適用は、クォーツ式の腕時計に限定されない。また、本発明のステップモータ15の適用は、時計1に限定されることはない。本発明のステップモータ15は、種々の電子機器に効果的に適用できる。
ロータ50やステータ30を形成する材料や製法等は、各実施形態および各実施形態の変形例に限定されない。したがって、例えば磁石52は、サマリウムやコバルト等を主原料としたいわゆるサマリウムコバルト磁石に限定されることはなく、ネオジム磁石やアルニコ磁石等であってもよい。本発明は、軸方向に磁化された磁気エネルギーの高い異方性磁石を採用する場合に好適である。
ロータ50の磁極数や形状等は、各実施形態および各実施形態の変形例に限定されない。
磁気飽和部37の形状や、保持トルク発生部40の形状等は、各実施形態および各実施形態の変形例に限定されない。
第1逃げ部43aおよび第2逃げ部43bの形状や個数等は、各実施形態および各実施形態の変形例に限定されない。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1・・・時計 10・・・ムーブメント(時計用ムーブメント) 15・・・ステップモータ 30・・・ステータ 31・・・ステータヨーク 35・・・開口部 37・・・磁気飽和部 40・・・保持トルク発生部 41a・・・第1突部(突部) 41b・・・第2突部(突部) 43a・・・第1逃げ部(逃げ部) 43b・・・第2逃げ部(逃げ部) 45・・・コイル 50・・・ロータ 52・・・磁石 53・・・第1ヨーク 54・・・第1ベース部 55・・・第1爪部 56・・・第2ヨーク 57・・・第2ベース部 58・・・第2爪部

Claims (8)

  1. 中心軸周りに回転自在に設けられ、一の極に磁化された第1磁極部と、他の極に磁化された第2磁極部とが、前記中心軸の周方向に交互に配置されたロータと、
    前記ロータが設けられる開口部が形成されたステータヨークを有し、前記第1磁極部と前記第2磁極部とに磁極を発生させるステータと、
    を備えることを特徴とするステップモータ。
  2. 前記ロータは、
    前記ロータの軸方向に沿うように磁化された磁石を有し、
    前記第1磁極部は、前記磁石の前記軸方向の一方側に配置される第1ベース部と、前記磁石における前記ロータの径方向の外側において前記ロータの周方向に離間して配置され、前記第1ベース部から前記軸方向の他方側に向かって延びる複数の第1爪部と、を有する第1ヨークであり、
    前記第2磁極部は、前記磁石の前記他方側に配置される第2ベース部と、前記磁石の前記径方向の外側において前記複数の第1爪部の間に配置され、前記第2ベース部から前記一方側に向かって延びる複数の第2爪部と、を有する第2ヨークであり、
    前記ステータは、
    1個のコイルと、
    前記開口部の周囲に設けられ、前記コイルの励磁によって前記ステータヨークに異な った磁極を発生させる磁気飽和部と、
    前記開口部の周囲に設けられ、前記ロータに対して保持トルクを作用させる保持トル ク発生部と、
    前記開口部の周囲に設けられた逃げ部と、
    を備えていることを特徴とする請求項1に記載のステップモータ。
  3. 前記保持トルク発生部は、前記ロータに向かって突出した突部により形成されていることを特徴とする請求項2に記載のステップモータ。
  4. 前記逃げ部は、
    前記開口部の周囲であって、前記磁気飽和部を挟んで一方側の磁極に設けられた少な くとも1つの第1逃げ部と、
    前記開口部の周囲であって、前記磁気飽和部を挟んで他方側の磁極に設けられた少な くとも1つの第2逃げ部と、
    により複数設けられ、
    前記第1逃げ部と、前記第2逃げ部とは、前記径方向において対向する位置から互いにずれていることを特徴とする請求項2または3に記載のステップモータ。
  5. 前記ロータの磁極の極対数をnとし、前記第1逃げ部の個数をK1とし、前記第2逃げ部の個数をK2としたとき、
    前記ロータの極対数n、前記第1逃げ部の個数K1および前記第2逃げ部の個数K2は、
    K1=K2=(n−1)/2
    の関係を満足するように設定されていることを特徴とする請求項4に記載のステップモータ。
  6. 前記磁石は、焼結により形成された異方性磁石であることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載のステップモータ。
  7. 請求項1に記載のステップモータを備えたことを特徴とする時計用ムーブメント。
  8. 請求項7に記載のムーブメントを備えたことを特徴とする時計。
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