JP2017079582A - ステッピングモータ、時計用ムーブメント、時計、ステッピングモータの製造方法 - Google Patents

ステッピングモータ、時計用ムーブメント、時計、ステッピングモータの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】消費電力の低減(省電力化)と、高保持力によるロータの回転駆動の安定性を向上させることが可能なステッピングモータ、時計用ムーブメント、時計、ステッピングモータの製造方法の提供を目的とする。【解決手段】ステッピングモータは、指針の回転に用いられるロータと、磁路を構成しFeとNiとCrを含む合金製のステータであって、磁路における断面積が他の部分より小さい部分にCr含有率が14質量%以上のCr拡散領域が設けられるステータと、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、ステッピングモータ、時計用ムーブメント、時計、ステッピングモータの製造方法に関する。
従来から、モータ駆動装置により時針や分針等の表示針を回転駆動するアナログ電子時計が利用されている。モータ駆動装置は、表示針を回転駆動するステッピングモータ及び該ステッピングモータを回転駆動するための駆動手段を有している。
ステッピングモータは、ロータ収容孔及びロータの停止位置を決める位置決め部(内ノッチ)を有するステータと、ロータ収容孔内に回転可能に配設されたロータと、ステータに設けられたコイルとを有している。
駆動回路からコイルに極性の異なる駆動パルスを交互に供給することにより、ステータに極性の異なる漏洩磁束を交互に発生させ、これによってステッピングモータ、すなわちロータを180度ずつ所定の一方向(正方向)に回転させると共に、位置決め部に対応する位置にロータを停止するように構成されている。
一般的に、ロータを駆動させる漏洩磁束を得やすくするため、ロータを配設するために形成されたロータ収容孔周りの2か所(180度間隔)において、幅を狭くした幅狭部を有することで磁束を飽和させやすくした一体型のステータが用いられている。
ロータを駆動させる漏洩磁束を得やすくするための技術として、まずステータを、磁路の断面積が最小となるロータ収容孔周り2か所(180度間隔)で切断することで2分割したのち、当該切断箇所に、低透磁率材料または非磁性材料より成るスリット材を挿入した上で溶接・接合することで、幅狭部の透磁率を低減させた、いわゆる二体型のステータが知られている(特許文献1参照)。
特公平5−56109号公報
しかしながら、従来の技術では、以下のような点で課題が残されている。
上述のロータ収容孔周りの2か所に幅狭部を形成した一体型のステータの場合、ロータの駆動原理として、まず幅狭部を磁束飽和させてステータを磁気的に分割し2つの磁極片とした後に、ロータへ漏洩磁束が流れロータが回転する。つまり、電流供給時のコイルから発せられる磁束が幅狭部で消費されてしまう(幅狭部の磁束飽和のために電力が消費されてしまう)ため、幅狭部における磁束損失が小さくなかった。
また、幅狭部が存在することで、ロータ自体からの磁束についても幅狭部で消費されることとなるため、磁気ポテンシャルのピークが得られにくくなり、ロータを磁気的に停止・保持させるための保持力が低下してしまう。その結果、ロータを位置決め部に対応する位置に停止させる動作が不安定となる場合、さらには、ロータが180度を超えて回転(脱調)してしまう場合も生じ得た。
また、特許文献1に記載の技術では、機械加工によりステータを2分割し、その後、溶接にて接合するため、機械的なストレスや溶接過程により歪みや部材の位置ずれが生じやすい。そのため、ロータとステータ間の距離に誤差が生じる問題がある。そのためロータの停止位置のずれや、回転精度の劣化などの不具合が生じやすかった。
また、ステータの外形形状に歪みが生じると、ステータの平坦度が低下し、磁心とステータとの接触面積の減少や、ロータとステータの相互位置のずれが生じやすくなる。その結果、磁気的な効率が低下する場合や、組立工程にステータが破損する場合があった。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、消費電力の低減(省電力化)と、高保持力によるロータの回転駆動の安定性とを向上させることが可能なステッピングモータ、時計用ムーブメント、時計、ステッピングモータの製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ロータ収容孔の周囲に設けられた磁路の一部に、非磁性材料であるCrが拡散されてなるCr拡散領域を形成して当該Cr拡散領域の透磁率を低減させることで、消費電力を低減させ、かかる保持力を向上させうることを見出した。
当該知見によって得られた本発明の要旨は以下の通りである。
本発明の一形態のステッピングモータは、指針の回転に用いられるロータと、磁路を構成しFeとNiとCrを含む合金製のステータであって、前記磁路における断面積が他の部分より小さい部分にCr含有率が14質量%以上のCr拡散領域が設けられるステータと、を備える。
本発明の一形態のステッピングモータによれば、ステータの磁路の一部に、Crが拡散されてオーステナイト単相となる非磁性領域が形成されているため、当該非磁性領域の透磁率を大幅に低減させることができる。その結果、当該非磁性領域で消費される磁束が大幅に低減されることからロータを駆動させる漏洩磁束を効率よく確保でき、省電力化を図ることが可能になる。
また、本発明の一形態のステッピングモータによれば、Cr拡散領域の低透磁率化により、ロータ自体から発せられる磁束についても当該Cr拡散領域での消費が抑制され、磁気ポテンシャルの損失を防止することができるため、ロータを磁気的に停止・保持させるための保持力を高めることができ、ロータの回転駆動の安定性を向上させることができる。
また、従来の一体型ステータでは一方の極性でロータを回転させた後に他方の極性でロータを回転させる必要があり、この場合は幅狭部の残留磁束を打消し、かつ幅狭部を磁束飽和させてステータを磁気的に分割し2つの磁極片とさせる必要がある。特に高速運針を行う場合では、短い期間に残留磁束の打消しを含めたロータの回転を終える必要があるが、本発明の一形態のステッピングモータによれば、当該領域の残留磁束が大幅に低減されることで、残留磁束打消しに要していた時間を短縮させることができるため、特に、時計の針をロータの回転力により運針する場合において高速運針を行う場合では、次のパルスを出力するまでに所定の位置にロータが静止している必要があるが、保持力を高めることでロータが静止しやすくなるため、制動に要する時間が短縮可能となり、駆動周波数を上げることができる。
さらに、本発明の一形態のステッピングモータによれば、Cr拡散領域を備えることで磁気的な二体ステータであり、かつステータは構造としては一体として形成されるため、従来の二体型ステータを製造する際に懸念されていた機械的なストレスや溶接・接合過程による歪みや部材の位置ずれの発生を回避することができ、磁気的な効率の低下やステータの破損、製品品質の低下を防止することができる。
また、さらに、本発明の一形態のステッピングモータによれば、ステータは一体として形成されるため、機械的なストレスが集中しやすい溶接部や接合部がなく、強度の劣化を防止できる。
また、本発明の一形態のステッピングモータにおいて、前記Cr拡散領域は、前記ロータの静止安定位置確保のためロータ収容孔に設けられる位置決め部に干渉しない部分に設けられるようにしてもよい。
本発明の一形態のステッピングモータによれば、Cr拡散領域はロータの回転制御における静止安定位置を確保する機能を妨げることがない。
また、本発明の一形態のステッピングモータにおいて、前記Cr拡散領域の表面は、前記他の部位における表面と連続する平面により形成されるようにしてもよい。
また、本発明の一形態のステッピングモータにおいて、前記Cr拡散領域のCr含有量は、40質量%以下であるようにしてもよい。
また、本発明の一形態のステッピングモータにおいて、前記Cr拡散領域のCr含有量は、16質量%以下であるようにしてもよい。
本発明の一形態のステッピングモータによれば、前記Cr拡散領域の透磁率を大幅に低減させることができる。
また、本発明の一形態のステッピングモータにおいて、前記Cr拡散領域は、Cr含有量が40質量%から14質量%に変化する分布を有する領域を備えるようにしてもよい。
本発明の一形態のステッピングモータによれば、Cr含有量が40質量%から14質量%に変化する領域が磁気的な二体ステータであるため、二体ステータと同様の駆動パルスを用いて、ロータの制御をすることができる。これにより、上記[6]に記載のステッピングモータによれば、一体ステータより高速な逆方向の回転を制御することが可能となる。
また、本発明の一形態のステッピングモータにおいて、前記ステータは、ニッケル成分が37.5%〜38.5%、クロム成分が7.5〜8.5%、鉄成分が52.5%〜54.5%含まれているFeとNiとCrを含む合金製であるようにしてもよい。
本発明の一形態のステッピングモータによれば、いわゆる38パーマロイをステータに用い、その一部にCr拡散領域を設けることで、磁気的な二体ステータを構成できる。これにより、ステータ材料の飽和磁束密度が高く、部品の機械的強度を損なうことなく、原料費の安いステータを提供することができる。
また、本発明の一形態のステッピングモータは、指針の回転に用いられるロータと、磁路を構成しFeとNiとCrを含む合金製のステータであって、前記磁路における断面積が他の部位より小さい部分にCr拡散領域が設けられ、前記Cr拡散領域のCr含有量をX%、前記他の部位のCr含有量をY%としたとき、XとYとの差が6%以上であるステータと、を備えるようにしてもよい。
本発明の一形態のステッピングモータによれば、78パーマロイや45パーマロイといったCrをほとんど含有していない磁性材料をステータに用いた場合であっても、その一部にCr拡散領域を設けることで、本発明の効果を奏することができる。
本発明の一形態の時計用ムーブメントは、本発明の一形態のステッピングモータを備える。
本発明の一形態の時計は、本発明の一形態の時計用ムーブメントを備える。
これにより、省電力化と高保持力を兼ね備えたステッピングモータを備えることにより、磁気特性に優れた時計用ムーブメント並びに時計を提供できる。
本発明の一形態のステッピングモータの製造方法は、Fe−Ni合金板に対して機械加工を行って、ロータ用貫通孔と前記ロータ収容孔の周囲に配置された磁路とを有するステータ素材を形成する工程と、前記ステータ素材の少なくとも一部に拡散用のCr材を配置する工程と、前記Cr材を配置した前記ステータ素材を、前記Cr材の溶融温度以下の温度に放置して前記磁路の内部に前記Cr材を拡散させてCr拡散領域を形成する工程と、を備える。
本発明の一形態のステッピングモータの製造方法によれば、ステータは過飽和部周囲で連続する平面を有する、いわゆる一体ステータであるため、切断等の機械的なストレスや溶接・接合過程による歪みや部材の位置ずれを発生させることなく、磁気的な効率の低下やステータの破損、製品品質の低下、強度の劣化を防止することができる。その上、ステータ素材の少なくとも一部にCr材を拡散させることで、透磁率の低減を図ることから、省電力化と高保持力を兼ね備えたステッピングモータを容易に製造することができる。
また、従来では、低透磁率の領域を調整する場合、ステータを機械的に分割する加工方法やその条件、さらに、挿入する非磁性体の調整等、製造条件を多く変更・調整しなければならず、結果製造コストの増大を招くおそれがあったが、本発明の一形態のステッピングモータの製造方法によれば、ステータ素材に切断等の加工を施すことなく、Cr材を配置したステータ素材をCr材の溶融温度以下の温度に放置することのみで、Cr拡散領域(低透磁率化領域)を所望のものに調整できる。
また、本発明の一形態のステッピングモータの製造方法において、前記Cr材を配置した前記ステータ素材を放置する温度を900℃〜1200℃、放置する時間を1時間〜24時間とするようにしてもよい。
また、本発明の一形態のステッピングモータの製造方法において、前記Cr材を配置する工程が、前記ステータ素材の表面に磁路の少なくとも一部を被覆したNiメッキを施して、被覆部を除去した後、Cr粉及びその他の調合材粉と共に不活性ガス雰囲気中に配置するようにしてもよい。
また、本発明の一形態のステッピングモータの製造方法において、前記Cr材を配置する工程が、前記ステータ素材の磁路の一部の表面にクロムめっき層を形成して不活性ガス雰囲気中に配置する工程であるようにしてもよい。
本発明の一形態のステッピングモータの製造方法によれば、容易にCr拡散領域を形成させることができる。
また、本発明の一形態のステッピングモータの製造方法において、前記ステータ素材を形成する工程において、前記ステータに、前記磁路の断面積が他の部位よりも狭くなる幅狭部が設けられ、前記Cr材を配置する工程において、少なくとも前記幅狭部を含む領域に前記Cr材を配置するようにしてもよい。
本発明の一形態のステッピングモータの製造方法によれば、ロータ用貫通孔の周囲に設けられた磁路の一部に幅狭部が設け、少なくとも当該幅狭部を含む領域に前記Cr拡散領域を形成するため、ロータを駆動させる漏洩磁束をより効率よく確保でき、消費電力の大幅な低減が可能となるステッピングモータを製造できる。
本発明によれば、消費電力の低減(省電力化)と、高保持力によるロータの回転駆動の安定性を向上させることが可能なステッピングモータ、時計用ムーブメント、時計、ステッピングモータの製造方法を提供することができる。
本実施形態に係るステッピングモータ、時計用ムーブメント、時計に共通するブロック図である。 本実施形態に係るステッピングモータの正面模式図である。 図3(a)は、3種類のステータの時間対コイルの電流値の変化の表すグラフであり、図3(b)は、Cr拡散領域の形成領域近傍の拡大模式図である。 図4(a)、(b)はCr拡散領域の形成領域近傍の拡大模式図である。 一体型ステータと二体型ステータそれぞれの電流波形の例と、逆回転時の駆動パルスの例を示す図である。 磁極角度による磁気ポテンシャルの状態を説明するための模式図である。 本実施形態に係るステッピングモータの正面模式図である。 図8(a)、(b)は本実施形態に係るステッピングモータの製造方法の一例を説明するための模式図である。 図9(a)、(b)は本実施形態に係るステッピングモータの製造方法の他の例を説明するための模式図である。 図10(a)は、加熱前の純Cuと純Niを接合した拡散対を示す模式図、図10(b)は、加熱前の拡散対におけるCu原子とNi原子の配置を示す模式図、図10(c)は、加熱前の拡散対において、純Cuと純Niの接合面を界面とした場合の各領域(図10(a)、(b)における紙面右側の領域と紙面左側の領域)におけるCu原子とNi原子の含有率を示すグラフである。 図11(a)は、加熱後の拡散対を示す模式図、図11(b)は、加熱後の拡散対におけるCu原子とNi原子の配置を示す模式図、図11(c)は、加熱後の拡散対において、純Cuと純Niの接合面を界面とした場合の各領域(図11(a)、(b)における紙面右側の領域と紙面左側の領域)におけるCu原子とNi原子の含有率を示すグラフである。 図12(a)、(b)は空孔拡散を示す模式図である。 図13(a)、(b)は格子間機構示す模式図である。 図14(a)は、ヘリウムの雰囲気中で1200℃、1時間放置してCrを拡散させた(#1)ステータにおけるCr拡散領域210、211の表面から厚み方向と垂直な断面(図4(a)、(b)において、紙面の平行方向)に沿う走査型電子顕微鏡であり、図14(b)は、(#1)ステータのCr拡散領域の表面から厚み方向と垂直な断面(図4(a)、(b)において、紙面の平行方向)に沿うライン分析の結果を示すグラフである。 図15(a)は、ヘリウムの雰囲気中で1200℃、24時間放置してCrを拡散させた(#2)ステータにおけるCr拡散領域の表面から厚み方向と垂直な断面(図4(a)、(b)において、紙面の平行方向)に沿う走査型電子顕微鏡像を示し、図15(b)は、(#2)ステータのCr拡散領域の表面から厚み方向と垂直な断面(図4(a)、(b)において、紙面の平行方向)に沿うライン分析の結果を示すグラフである。 図16(a)は、(#3)比較例のステータのCr拡散領域の表面から厚み方向と垂直な断面(図4(a)、(b)において、紙面の平行方向)に沿う走査型電子顕微鏡像を示し、図16(b)は、(#3)比較例のステータのCr拡散領域の表面から厚み方向と垂直な断面(図4(a)、(b)において、紙面の平行方向)に沿うライン分析の結果を示すグラフである。 Fe−Ni−Crの三元合金状態図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るステッピングモータ、時計用ムーブメント、時計、ならびにステッピングモータの製造方法について説明する。
尚、以下に示す図面は、本発明の実施形態に係るステッピングモータの構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際のステッピングモータの寸法関係等とは異なる場合がある。
図1は、本発明の実施形態に係るステッピングモータ、時計用ムーブメントを用いた時計を示すブロック図である。本実施形態では、時計の一例としてアナログ電子時計を例示し説明することとする。
図1において、アナログ電子時計は、所定周波数の信号を発生する発振回路101、発振回路101で発生した信号を分周して計時の基準となる時計信号を発生する分周回路102、アナログ電子時計を構成する各電子回路要素の制御や駆動パルスの変更制御等の制御を行う制御回路103、制御回路103からの制御信号に基づいてモータ回転駆動用の駆動パルスを選択し出力する駆動パルス選択回路(駆動手段)104、駆動パルス選択回路104からの駆動パルスによって回転駆動されるステッピングモータ105、ステッピングモータ105が発生する検出信号を検出する検出手段としての回転検出回路111、ステッピングモータ105によって回転駆動される輪列(不図示)、当該輪列によって回転駆動され、時刻を表示するための時刻針(指針)(図1の例では時針107、分針108、秒針109の3種類)や日にち表示用のカレンダ表示部110を有するアナログ表示部106を備えている。
本実施形態におけるステッピングモータ駆動装置は、ステッピングモータ105、制御回路103、駆動パルス選択回路104及び回転検出回路111により構成されている。
また、アナログ電子時計は時計ケース113を備えており、時計ケース113の外面側にアナログ表示部106が配設され、また時計ケース113の内部には時計用ムーブメント(ムーブメント)114が配設されている。
発振回路101、分周回路102、制御回路103、駆動パルス選択回路104、ステッピングモータ105、回転検出回路111はムーブメント114の構成要素である。
一般に、時計の動力源、時間基準などの装置からなる時計の機械体をムーブメントと称する。電子式のものをモジュールと呼ぶことがある。時計としての完成状態では、ムーブメントには文字板、針が取り付けられ、時計ケースの中に収容される。
ここで、発振回路101及び分周回路102は信号発生部を構成し、アナログ表示部106は時刻表示部を構成している。回転検出回路111及び負荷検出回路112は回転検出部を構成している。制御回路103及び駆動パルス選択回路104は制御部を構成している。また、発振回路101、分周回路102、制御回路103、駆動パルス選択回路104、回転検出回路111及び負荷検出回路112はステッピングモータ制御回路を構成している。
次に、本実施形態に係るステッピングモータ105について詳述する。
図2は、本実施形態に係るステッピングモータ105の正面模式図である。
図2において、ステッピングモータ105は、Fe−Ni(鉄−ニッケル)合金板から機械加工を経て一体として成形され、ロータ収容孔203が設けられ、かつロータ収容孔203の周囲に磁路Rが設けられたステータ201と、ロータ収容孔203内に回転可能に配設された2極のロータ202と、ステータ201と接合された磁心208、磁心208に巻回されたコイル209を備えている。また本実施形態に係るステッピングモータ105は、磁路Rの一部にCr(クロム)が拡散されてなるCr拡散領域210、211が形成されている。なお、Cr拡散領域210、211は、ロータ202の安定位置確保のためロータ収容孔203に設けられる切り欠き部204、205に干渉しない部分に設けられる。
ステッピングモータ105をアナログ電子時計に用いる場合には、ステータ201及び磁心208がネジ(図示せず)によって地板(図示せず)に固定され、互いに接合される。コイル209は、第1端子OUT1、第2端子OUT2を有している。
ロータ収容孔203は、輪郭が円形とされた貫通孔の対向部分に複数(図2の例では2つ)の半月状の切り欠き部(内ノッチ)204、205を一体形成した円孔形状に構成されている。これら切り欠き部204、205は、ロータ202の停止位置または静止安定位置を決めるための位置決め部として構成されている。例えば、切り欠き部(内ノッチ)204は、ロータが所定位置になると、そのポテンシャルエネルギーが低くなり、ロータの位置を安定させる作用をもたらす。
ロータ202は、2極(S極及びN極)に着磁されている。
コイル209が励磁されていない状態では、ロータ202は、図2に示すように前記位置決め部に対応する位置、換言すれば、ロータ202の磁極軸Aが、切り欠き部204、205を結ぶ線分と直交するような位置(角度θ位置)に安定して停止(静止)している。
ロータ収容孔203の周囲に設けられた磁路Rの一部(図2の例では2箇所)に、オーステナイト単相となる非磁性材料であるCrが拡散されてなるCr拡散領域210、211が形成されている。ここで、ステータ201の幅狭部の断面の幅を断面幅tとし、磁路に沿った方向の幅をギャップ幅wとする。Cr拡散領域210、211は、断面幅tとギャップ幅wとにより画定された領域に形成されている。なお、後述するCr拡散領域の作製方法に起因して、ギャップ幅wは断面幅tと同等かそれ以上の大きさ(w≧t)として形成される。また、Cr拡散領域210、211は、ロータ202の回転制御における安定位置を確保する機能を妨げないように、切り欠き部(内ノッチ)204に干渉しない程度までの領域に形成される。なお、断面幅tは、後述するCr拡散領域の作製方法において、ステータ母材に塗布、めっき等されるCrを含まない大きさの幅として定義する。ギャップ幅wは、塗布、めっき等されるCrがステータ母材に接触する面における大きさの幅として定義する。また、ステータ201において、Cr拡散領域211の外周を点a、Cr拡散領域211内を点b、Cr拡散領域211の近傍且つ磁路Rの外周と内周との間を点cと定義する。
ここで、本実施形態に係るステッピングモータ105の動作を説明する。
まず駆動パルス選択回路104から駆動パルスをコイル209の端子OUT1、OUT2間に供給して(例えば、第1端子OUT1側を正極、第2端子OUT2側を負極)、図2の矢印方向に電流iを流すと、ステータ201には破線矢印方向に磁束が発生する。
本実施形態では、従来では「幅狭部」とされていた箇所に、低透磁率領域であるCr拡散領域210、211が形成されており、当該領域の磁気抵抗は増大している。そのため、従来の「幅狭部」に相当する領域(Cr拡散領域210、211)を磁気飽和させる必要がなく、容易に漏洩磁束を確保でき、その後、ステータ201に生じた磁極とロータ202の磁極との相互作用によって、ロータ202は図2の矢印方向に180度回転し、磁極軸が角度θ位置で安定的に停止(静止)する。
尚、ステッピングモータ105を回転駆動することによって通常動作(本発明の各実施の形態はアナログ電子時計であるため運針動作)を行わせるための回転方向(図2では反時計回り方向)を正方向とし、その逆(時計回り方向)を逆方向としている。
次に、駆動パルス選択回路104から、逆極性の駆動パルスをコイル209の端子OUT1、OUT2に供給して(前記駆動とは逆極性となるように、第1端子OUT1側を負極、第2端子OUT2側を正極)、図2の反矢印方向に電流を流すと、ステータ201には反破線矢印方向に磁束が発生する。
その後、前述と同様に、低透磁率領域であるCr拡散領域210、211が形成されていることから、容易に漏洩磁束を確保でき、ステータ201に生じた磁極とロータ202の磁極との相互作用によって、ロータ202は前記と同一方向(正方向)に180度回転し、磁極軸が角度θ位置で安定的に停止(静止)する。
以後、このように、コイル209に対して極性の異なる信号(交番信号)を供給することによって、前記動作が繰り返し行われて、ロータ202を180度ずつ矢印方向に連続的に回転させることができる。
このように、ロータ収容孔203の周囲の磁路の一部に低透磁率領域であるCr拡散領域210、211が形成されているため、当該領域で消費される磁束が大幅に低減でき、ロータ202を駆動させる漏洩磁束を効率よく確保できる。
また、従来では「幅狭部」とされていた箇所にCr拡散領域210、211を形成して低透磁率化させることにより、ロータ202自体から発せられる磁束についても当該領域での消費が抑制される。その結果、磁気ポテンシャルの損失を防止することができ、ロータ202を磁気的に停止(静止)・保持させるための保持力を高めることができる。
また、従来では「幅狭部」とされていた箇所にOUT1側(負極)の磁束で飽和させて回転させた後、OUT2側(正極)で回転させるにはOUT1側(負極)の際に生じた残留磁束を打ち消す必要があったが、当該領域での残留磁束が大幅に低減されているため、残留磁束打ち消しに要する時間が不要となり回転を収束させるまでの時間が短縮できる。そのため、高速運針を行う際の動作安定性を維持することができ、駆動周波数を上げることができる。なお、ステッピングモータ105を駆動する駆動パルスについては、後述する。
ここで、Cr拡散領域210、211について、図3(b)、図4(a)及び図4(b)を参照して説明する。
図3(b)に、Cr拡散領域210、211の形成領域近傍の拡大模式図を示す。図4(a)、(b)に、Cr拡散領域210、211の形成領域近傍の拡大模式図を示す。
Cr拡散領域210、211は、図4(a)に示すように、従来「幅狭部」とされた領域、つまり、ロータ収容孔203の端部からステータ201の端部までの領域全体にわたって形成されてもよく、図4(b)に示すように、その領域の一部に形成されていてもよい。
ロータ202を駆動させる漏洩磁束をより効率よく確保する(前述の消費電力をより低減させる)観点からは、図4(a)に示すようにロータ収容孔203の端部からステータ201の端部までの領域全体にわたってCr拡散領域210、211を形成することが望ましいが、Cr拡散領域210、211が小さい場合や、Cr拡散領域210、211の形成領域が従来「幅狭部」とされた領域中の一部だけとされても、前述の効果は享受できる。
Cr拡散領域210、211は、Cr材を配置した前記ステータ素材を、Cr材の溶融温度以下の温度に放置することで形成することができるが、放置する温度と時間によりCrの拡散量は変化し、放置する温度が高く、放置する時間が長いほど、形成されるCr拡散領域210、211は増大する。
次に、ステッピングモータ105のコイル209に流れる電流について図3(a)及び図5を参照して説明する。
図3(a)に、3種類のステータの時間対コイルの電流値の変化の表すグラフを示す。図3(a)において、縦軸はコイル209の電流値(mA)であり、横軸は時間(msec)である。本グラフはロータの磁石から生じる磁束の影響を除きコイルから発生した磁束のみで飽和状態を確認するため、ロータを外すことで得たグラフである。ここで、3種類のステータは、例えばヘリウムの不活性ガス雰囲気下で1200℃、1時間、Cr拡散領域210、211にCrを拡散させた第1のステータ(#1)、ヘリウムの不活性ガス雰囲気下で1200℃、24時間、Cr拡散領域210、211にCrを拡散させた第2のステータ(#2)、母材にCrのめっきを行って1200℃中でCrを拡散させていない比較例のステータ(#3)である。
波形g1は、第1のステータの時間に対する電流の変化を示す。波形g2は、第2のステータの時間に対する電流の変化を示す。波形g3は、比較例のステータの時間に対する電流の変化を示す。
ここで、ステッピングモータにおける一般的な一体型ステータ(1体ステータともいう)の時間tに対する電流Iの変化と、一般的な二体型ステータ(2体ステータともいう)の時間に対する電流の変化の例を、図5を参照して説明する。図5は、一体型ステータと二体型ステータそれぞれの電流波形の例と、逆回転時の駆動パルスの例を示す図である。波形g301は、一体型ステータにおける時間に対する電流の変化の電流波形である。波形g321は、二体型ステータにおける時間に対する電流の変化の電流波形である。波形g301と波形g321において、横軸が時間であり、縦軸がコイルに流れる電流である。なお、一体型ステータを有するステッピングモータの構成は、図2に示したステッピングモータ105においてCr拡散領域210、211を有していず幅狭部を有している構造である。
波形g301に示すように、波形g301は、破線g302〜g304で囲んだ領域のように、複数の異なる傾き期間を有している。以下、本実施形態では、破線g302で囲んだ領域を第1傾き期間、破線g303で囲んだ領域を第2傾き期間、破線g304で囲んだ領域を第3傾き期間という。
第1傾き期間は、ステッピングモータのコイルにおける自己インダクタンスLに依存する期間であり、これによってコイルから発生した磁束がステータに流れる期間である。
第2傾き期間は、磁束が磁気抵抗の低い箇所に流れるため、第1傾き期間によってコイルから発生した磁束が幅狭部に流れる期間である。所定の電流が流れると、幅狭部の磁束が飽和する。換言すると、第2傾き期間は、幅狭部の磁束を飽和させている期間である。
第3傾き期間は、第2傾き期間によって幅狭部の磁束が飽和した後、ロータ収容孔に磁束が漏洩する状態である。換言すると、第3傾き期間は、ロータが動き始める期間である。
そして一体型ステータを有するステッピングモータでは、第3傾き期間になるとロータに磁束の反発力が働いて、ロータの回転が始まる。
また、二体型ステータを有するステッピングモータは、波形g321に示すように、破線g322で囲んだ領域の第1傾き期間と、破線g323で囲んだ領域の第3傾き期間を有する。すなわち、二体型ステータを有するステッピングモータは、第2傾き期間がない。すなわち、二体型ステータでは、磁気的に飽和させる期間が不要である。
次に、一体型ステータを有するステッピングモータ、及び二体型ステータを有するステッピングモータにおいて、逆転させる場合の駆動パルスの例について説明する。
図5において、波形g311と波形g312は、一体型ステータを有するステッピングモータにおいて逆転させる場合の駆動パルス波形である。また、波形g331とg332は、二体型ステータを有するステッピングモータにおいて逆転させる場合の駆動パルス波形である。波形g311、g312、g331及びg332において、横軸は時間、縦軸は信号レベルである。また、out1とout2は、ステッピングモータが有するコイルの両端の端子である。また、Vddは、例えばステッピングモータを駆動する駆動回路の電源電圧であり、Vssは0Vまたは基準電圧である。
一体型ステータを有するステッピングモータの駆動パルスは、波形g311とg312のように、まず時刻t1〜t2の期間、前回の駆動時にステータの幅狭部に残っている残留磁束を打ち消すために、幅Peの駆動パルスをコイルのout1に入力する。時刻t2から所定の期間Ps後の時刻t3〜t4の期間、幅P1の駆動パルスをコイルのout1に入力することによって、ロータを正方向に少し動かすように駆動する。なお、期間Psは、期間Peの駆動パルスを入力後、ロータが元の位置に戻る待機期間である。その後、時刻t4〜t5の期間、幅P2の駆動パルスをコイルのout2に入力することによって、ロータを逆方向に少し動かすように駆動する。その後、時刻t5〜t6の期間、幅P3の駆動パルスをコイルのout1に入力することによって、ロータを逆方向に動かすように駆動する。
仮に、幅Peの駆動パルスをコイルのout1に入力せずに、時刻t3のとき幅P1の駆動パルスの入力から開始した場合、残留磁束が残っているため、ロータの動作が不安定になる。このように、一般的な一体型ステータを有するステッピングモータでは、逆回転時に、残留磁束を打ち消すための幅Peの駆動パルスの期間と待機期間である期間Psとが、1ステップ分の指針を運針するための期間であるフレームfに必要であった。
ここで、期間Psが例えば5〜6[ms]であり、幅P1と幅P2と幅P3との合計が、例えば10〜15[ms]である。また、幅P3の駆動パルスで駆動した後、ロータが静止位置に戻るまでの期間は、待機時間と同様に例えば約5[ms]である。この場合、1フレームfの合計は、20(=5+10+5)〜26(=6+15+5)[ms]である。例えば1フレームが32[Hz]の場合、31.25[ms]である。このため、一体型ステータを有するステッピングモータにおいて、逆転動作をさせる場合は、1フレームが32[Hz]の周期で駆動していた。この幅Peの駆動パルスの期間と期間Psが逆回転時に必要だったため、逆回転時の周波数を32[Hz]以上にできないという技術的な壁が存在していた。
一方、二体型ステータを有するステッピングモータにおいて、逆転動作をさせる場合は、波形g331及びg332のように、1フレームfは、幅P1と幅P2と幅P3とロータが静止位置に戻るまでの期間の合計であり、例えば20(=15+5)[ms]である。このため、二体型ステータを有するステッピングモータでは、一体型ステータを有するステッピングモータより逆回転時の1フレームを短く、例えば50[Hz]することができる。
二体型ステータには、このような効果がある反面、機械的構造として完全に分離分割されたステータでは、組立時の位置ずれによって静止位置が安定しないという問題があるため、腕時計等に用いられるステッピングモータでは、二体型ステータを用いることが困難であった。また、このような機械的分離構造のステータでは、前述したように、機械加工によりステータを2分割し、その後、溶接にて接合するため、機械的なストレスや溶接過程により歪みや部材の位置ずれが生じやすかった。このため、二体型ステータでは、ロータとステータ間の距離に誤差が生じる問題もあった。
図3(a)に戻って、説明を続ける。
比較例のステータでは、波形g3に示すように、図5の波形g301に示した一般的な一体型ステータと同様に3つの傾き期間を有している。例えば、時刻が0〜約0.05[ms]の期間が、第1傾き期間であり、時刻が約0.05〜0.7[ms]の期間が第2傾き期間であり、時刻が約0.7〜1.7[ms]が第3傾き期間である。
また、Crを1時間拡散させた第1のステータの波形g1は、3つの傾き期間を有している。例えば、時刻が0〜約0.05[ms]の期間が第1傾き期間であり、時刻が約0.05〜0.5[ms]の期間が第2傾き期間であり、時刻が約0.5〜1.2[ms]の期間が第3傾き期間である。
さらに、Crを24時間拡散させた第2のステータの波形g2は、図5の波形g321に示した一般的な二体型ステータと同様に2つの傾き期間を有している。例えば、時刻が0〜約0.05[ms]の期間が第1傾き期間であり、時刻が約0.05〜0.5[ms]の期間が第3傾き期間である。
なお、上述した各傾き領域や、各傾き領域の時刻や幅は、説明のための一例である。
また、破線g11で囲んだ領域の波形g3のように、Crを拡散していない比較例のステータの場合、例えば、第1傾き期間端の約0.05[ms]のとき電流値が約0.016[mA]であり、約0.5[ms]のとき電流値が約0.05[mA]である。
また、破線g11で囲んだ領域の波形g1に示すように、Crを1時間拡散した第1のステータの場合、例えば、第1傾き期間端の約0.05[ms]のとき電流値が約0.002[mA]であり、約0.5[ms]のとき電流値が約0.08[mA]である。
また、破線g11で囲んだ領域の波形g1に示すように、Crを24時間拡散した第2のステータの場合、例えば、第1傾き期間端の約0.05[ms]のとき電流値が約0.0035[mA]であり、約0.5[ms]のとき電流値が約0.28[mA]である。
破線g11で囲んだ領域に示したように、Crを1時間拡散した第1のステータの場合は、例えば時刻0.5[ms]のときに流れる電流値が比較例のステータと比較して約1.8倍である。第1のステータは、比較例のステータと比べて、同じ0.5[ms]で、1.8倍の電流を流すことができるので、比較例のステータより「幅狭部」を短時間で磁気飽和させることができることを示している。このように、第1のステータは、比較例のステータと比較して、「幅狭部」を短時間で磁気飽和させることができるため、磁気飽和させるための駆動パルスを比較例のステータより短くすることができる。これにより、第1のステータは、逆回転時の駆動パルスの周期(1フレームf)を比較例のステータより短くすることができる。この結果、第1のステータは、逆回転時、比較例のステータより駆動パルスの周期を短くできるので、比較例のステータより高速(高い周波数)で駆動することができる。また、第1のステータは、磁気飽和させるための駆動パルスを比較例のステータより短くすることができるので、比較例のステータより、逆回転時の消費電力を低減することができる。すなわち、Crを1時間拡散した第1のステータでも、比較例のステータに対して、逆回転時に短い周期で駆動することができる効果が得られる。
さらに、破線g11で囲んだ領域に示したように、Crを24時間拡散した第2のステータの場合は、第2傾き期間がなく、図5を用いて説明した二体型ステータの波形g321と同等である。すなわち、Crを24時間拡散させた結果、一体型ステータであるステータ201の一部にCr拡散領域210、211を形成したことで、ステータ201を磁気的に擬似的な二体型ステータ化したことになる。
これにより、ステッピングモータ105を逆回転させるとき、前述したように「幅狭部」を磁気飽和させることなく、図5の波形g311とg332と同様に、二体型ステータと同様に幅Peの駆動パルスと待機期間の期間Psなしで、幅P1の駆動パルスから駆動できることを意味している。この結果、第2のステータは、逆回転時、比較例のステータより駆動パルスを短くできるので、比較例のステータより高速(高い周波数)、例えば50[Hz]で駆動することができる。また、第2のステータは、磁気飽和させるための駆動パルスが不要なので、比較例のステータより、逆回転時の消費電力を低減することができる。
さらに、本実施形態によれば、磁気的に二体型ステータとなっているため、一般的な一体型ステータにおいて、ステータの逆回転によって発生する幅狭部に発生する残留磁束等の影響を低減することができる。これにより、本実施形態によれば、図5に示した幅P3を従来より短くすることができる。幅P1と幅P2と幅P3と、幅P3後の静止期間との合計を、例えば15[ms]に抑えることで、1フレームの周期を64[Hz]、すなわち、従来と比較して倍の速さで、針を逆回転させることができる。すなわち、本実施形態によれば、一体型ステータを用いたステッピングモータを用いて、針を逆回転させる場合の1フレームが32[Hz]であった技術的な壁を越えて、64[Hz]での早送りを実現することができる。
図4に戻って、説明を続ける。
Cr拡散領域210、211は、図4(a)に示すように、従来「幅狭部」とされた領域、つまり、ロータ収容孔203の端部からステータ201の端部までの領域全体にわたって形成されてもよく、図4(b)に示すように、その領域の一部に形成されていてもよい。
ロータ202を駆動させる漏洩磁束をより効率よく確保する(前述の消費電力をより低減させる)観点からは、図4(a)に示すようにロータ収容孔203の端部からステータ201の端部までの領域全体にわたってCr拡散領域210、211を形成することが望ましいが、図3(a)のグラフで示したとおり、Cr拡散領域210、211が小さい場合や、Cr拡散領域210、211の形成領域が従来「幅狭部」とされた領域中の一部だけとされても、前述の効果は享受できる。
図6に、横軸をロータ202の磁極軸の角度(deg)、縦軸を磁気ポテンシャル(単位は任意)とし、図3(a)で示した「♯1(1200℃で1時間放置)」、「♯2(1200℃で24時間放置)」、「♯3(比較例)」の3つの例におけるトルクの変化を示す。図6は、本実施形態に係る磁極角度による磁気ポテンシャルの状態を説明するための模式図である。波形g21は、Crを1時間拡散させた第1のステータの角度対磁気ポテンシャルである。波形g22は、Crを24時間拡散させた第2のステータの角度対磁気ポテンシャルである。波形g23は、Crを母材にめっきしCrを拡散させていない比較例のステータの角度対磁気ポテンシャルである。
磁気ポテンシャルが最も低い角度が静止位置となり、磁気ポテンシャルが最も高い角度はロータが回転するにあたり越えなければならないピークになる。最も高い角度と最も低い角度のピーク差はロータが保有している保持力を示し、ムーブメントの保持トルクに相当することを示す。
本実施形態のステッピングモータ105は静止位置が45°になるように切り欠き部204、205を備えているため、45°が最も磁気ポテンシャルが低い。これに対して135°が最も磁気ポテンシャルが高く、ロータ202はこの角度を越えられなければ静止位置である45°に逆転してしまい、時計の運針に必要な回転力を得られないことになる。
図6の波形g21〜g23に示すように、Crを1時間拡散した第1のステータまたは24時間拡散した第2のステータの方が、Crを拡散していない比較例のステータより、磁気ポテンシャルのピーク差が高いことが確認でき、保持トルクが高いことを示している。
なお、「♯1(1200℃、1時間)」および「♯2(1200℃、24時間)」の例の場合、幅狭部が非磁性領域となることで、「♯3(比較例)」とは磁束の挙動が変化する。つまり、Cr拡散領域の位置や形状等により、波形g1〜波形g3それぞれは、図6で示すグラフにおいてはそれぞれ僅かに異なる挙動(磁気ポテンシャルがピークを示す角度がずれる)を示すが、図6においては、波形g1〜波形g3それぞれの間において、前述の「ピーク差」すなわちムーブメントの保持トルクの変化を観察しやすいように、両者の各ピークが生じる角度を合致させるよう表記している。
なお、本実施形態に係るステッピングモータ105において、図7に示すように、磁路Rの断面積が他の部位よりも狭くなるように形成された幅狭部213、214が設けられてもよい。図7は、本実施形態に係るステッピングモータの正面模式図である。この幅狭部213、214は、従来の「幅狭部」と異なり、Cr拡散領域210、211に形成されている。幅狭部213、214を備える場合、Cr拡散領域210、211は幅狭部213、214少なくとも一部に形成される。また、図7において、Cr拡散領域211の外周をa、Cr拡散領域211内を点b、Cr拡散領域211の近傍且つ磁路Rの外周と内周との間を点cと定義する。
幅狭部213、214は、ステータ201の外端部、かつロータ収容孔203を挟んで対向する位置に切り欠き部(外ノッチ)206、207を形成することにより、構成される。つまり、各外ノッチ206、207とロータ収容孔203間に幅狭部213、214が形成される。
幅狭部213、214を備えることにより、ロータを駆動させる漏洩磁束をより効率よく確保でき、消費電力の大幅な低減が可能になる。
また、本実施形態に係るステッピングモータ105において、Cr拡散領域210、211のCr濃度は、Fe−Ni−Cr合金板からなるステータ201中のCr濃度よりも高くなるよう構成されている。これにより、Cr拡散領域210、211の透磁率を低減させることができる。
Cr拡散領域210、211の低透磁率化の観点から、Cr拡散領域210、211において、Cr含有率が14質量%以上であり、14質量%以上かつ40質量%以下であることが好ましい。なお、40質量%以下である理由は、例えば38パーマロイにおいて、Crを母材に染み込ませる際の限界点および飽和点が40質量%程度であるためである。なお、38パーマロイとは、例えば鉄成分が52.5%〜54.5%、ニッケル成分が37.5〜38.5%、クロム成分が7.5〜8.5%程度のパーマロイ材である(例えば、特開平10−239459号公報参照)。
また、本実施形態に係るステッピングモータ105において、ステータ201はFe−Ni合金より構成されるが、透磁率の大きいFe−Ni合金を用いることが好ましい。例えば、上述した38パーマロイを例示できる。図17の状態図より、Fe−38%Ni−8%Crのキュリー温度は500K以上であるが(点X)、Crが14質量%以上では、キュリー温度が300Kとなって常温でオーステナイト相となる(点X’)。つまり、ステッピングモータ105の駆動が要求される常温付近においては、Crが14質量%以上でステータ201の非磁性状態を確保できる。なお、図17はTernary alloys Between Fe、Co or Ni and Ti、V、Cr or Mn (Landolt−Bornstein new Series III/32A)188項から引用した状態図である。
以上、図2に示すような、1ステータ−1コイルからなる2極ステータを例に挙げて本実施形態に係るステッピングモータ105を説明してきたが、本実施形態の他の形態として、1ステータ−2コイルからなる3極ステータを備えたステッピングモータに対しても、本発明を適用できる。
3極ステータを備えたステッピングモータは、ロータの回転方向を制御しながら安定動作させることで知られている。
ここで、2極ステータ方式にて逆転駆動を実現させる場合、逆方向にロータを回転させるために、逆転パルス出力前にロータを所定の位置まで誘導するパルスが必要となり、励磁区間が正方向の場合より2〜3倍以上となる。そのため、正方向の回転と逆方向の回転とで設定できる周波数に差があるため、逆方向の回転が遅いという課題があった。しかし、3極ステータとすることで、回転方向を決定するパルス供給後、回転を行うため、正方向の回転と逆方向の回転とで同じパルス形態及び周波数で運針できるというメリットがある。
しかしながら、3極ステータは副磁極を有しているため、2極ステータよりも保持力が低い傾向がある。
また、1回転の中で複数回パルスの極性の切り替えが生じるため、従来「幅狭部」とされている領域に生じた残留磁束を打ち消しながら回転させる必要があるという安定動作上の課題もある。
そこで、上述してきた2極ステータの場合と同様に、ロータ収容孔の周囲の磁路の少なくとも一部、このもしくは従来「幅狭部」とされている領域の少なくとも一部に、Cr拡散領域を形成して、低透磁率化を図ることで、高速運針時の安定性向上し、更なる高速運針が実現できる。
本発明に係るステッピングモータによれば、ロータ収容孔の周囲に設けられた磁路の一部にCr拡散領域が形成されているため、当該領域の透磁率を大幅に低減できる。その結果、当該領域で消費される磁束が大幅に低減されることからロータを駆動させる漏洩磁束を効率よく確保でき、省電力化を図ることが可能になる。
また、本発明に係るステッピングモータによれば、Cr拡散領域の低透磁率化により、ロータ自体から発せられる磁束についても当該領域での消費が抑制され、磁気ポテンシャルの損失を防止することができる。そのため、ロータを磁気的に停止(静止)・保持させるための保持力を高めることができ、ロータの回転駆動の安定性を向上させることができる。特に、高速運針を行う場合では、当該領域での残留磁束打ち消しに必要な時間を短縮させることができ、駆動周波数を上げることができる。
さらに、本発明に係るステッピングモータによれば、ステータは一体として形成されるため、従来の二体型ステータを製造する際に懸念されていた機械的なストレスや溶接・接合過程による歪みや部材の位置ずれの発生を回避することができ、磁気的な効率の低下やステータの破損、製品品質の低下を防止することができる。その上、機械的なストレスが集中しやすい溶接部や接合部が形成されることがないため、強度の劣化を防止できる。
なお、本発明に係るステッピングモータは、ステッピングモータを使用する各種電子機器に適用可能であるが、特に、時計用ムーブメントとして好適であり、磁気特性に優れた時計用ムーブメントを提供できる。
また、当該時計用ムーブメントを備えた時計についても磁気特性の向上を図ることが可能であり、例えば、カレンダ機能付きアナログ電子腕時計、クロノグラフ時計をはじめ、各種のアナログ電子時計に適用可能である。
次に、図8を参照して、上述してきたステッピングモータ105の製造方法について説明する。図8(a)、(b)は、本実施形態に係るステッピングモータの製造方法の一例を説明するための模式図である。
本実施形態に係るステッピングモータ105の製造方法は、Fe−Ni合金板300に対して機械加工を行って、ロータ収容孔203とロータ収容孔203の周囲に配置された磁路Rとを有するステータ素材201aを形成する工程と、ステータ素材201aの少なくとも一部に拡散用のCr材を配置する工程と、Cr材を配置したステータ素材201aを、Cr材の溶融温度以下の温度に放置して磁路Rの内部にCr材を拡散させてCr拡散領域210、211を形成する工程と、を備える。
以下、本実施形態に係る製造方法における各条件について説明する。
まず、図8(a)に示すように、Fe−Ni合金板300に対して打ち抜き加工等の機械加工を行って、ロータ収容孔203とロータ収容孔203の周囲に配置された磁路Rとを有するステータ素材201aを形成する。切り欠き部(内ノッチ)204、205についてもこの工程で併せて形成することができる。
また、切り欠き部(外ノッチ)206、207を形成して幅狭部213、214を設ける場合(図7参照)は、この工程で併せて形成するとよい。
Fe−Ni合金板300(ステータ素材201a)としては、透磁率の大きいFe−Ni合金を用いることが好ましい。例えば、Fe−38%Ni−8%Cr(いわゆる38パーマロイ)を例示できる。
次に、ステータ素材201aの少なくとも一部に溶融拡散用のCr材を配置する。
図8(b)に示すように、打ち抜き加工等の機械加工を施したFe−Ni合金板300の表面300aに、磁路Rの少なくとも一部のみが露出するようにマスク冶具401、402を配置して、ステータ素材201aの表面にクロムめっき層を形成する。続いて、水素雰囲気下、または、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、Cr材の溶融温度以下の温度(例えば900℃〜1200℃)に放置して磁路Rの内部にCr材を拡散させてCr拡散領域210、211を形成する。なお、クロムめっきは、ステータ母材を覆う状態の実現性等を考慮して、Crの質量比率として80質量%を超えることはない。
なお、幅狭部213、214を設ける場合(図7参照)は、切り欠き部(外ノッチ)206、207に前述のクロムめっき層を形成してよい。
次に、Fe−Ni合金板300に打ち抜き加工等の機械加工を施して、Fe−Ni合金板300から、Cr拡散領域210、211を形成したステータ素材201aを個別に分離する。
まず、図9(a)に示すように、Fe−Ni合金板300の表面300aにおいて、Cr拡散領域210、211を形成する領域に、フォトレジスト等からなるマスク411を設ける。図9(a)、(b)は、本実施形態に係るステッピングモータの製造方法の他の例を説明するための模式図である。
次に、図9(b)に示すように、Fe−Ni合金板300の表面300aにおいて、マスク411を設けていない領域にニッケルめっき層421を形成する。
次に、マスク411を除去した後、Cr粉及びその他調合材粉と共にFe−Ni合金板300を、水素雰囲気下、または、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、Cr材の溶融温度以下の温度に放置して磁路Rの内部にCrを拡散させてCr拡散領域210、211を形成する。
また、Cr拡散領域210、211を形成すると同時に、ニッケルめっき層421を形成した部分では、Fe−Ni合金板300の内部にNiが拡散するため、磁性が維持される。
次に、Cr拡散領域210、211を形成したFe−Ni合金板300に対して打ち抜き加工等の機械加工を行って、ステータ201を得る。
次に、Cr拡散領域210、211を形成してステータ201を得た後、ロータ収容孔203内にロータ202を配設するとともに、ステータ201と任意の固定手段によって磁心208を固定し、この磁心208にコイル209を巻回させることで、ステッピングモータ105を製造することができる。
なお、ステッピングモータ105をアナログ電子時計に用いる場合には、ステータ201及び磁心208はネジ(図示せず)によって地板(図示せず)に固定する。
以上説明した製造方法により、本実施形態に係るステッピングモータ105を製造することができる。
ここで、図10および図11を参照して、磁路Rの内部にCr材を拡散させてCr拡散領域210、211を形成する様子を説明する。図10(a)は、加熱前の純Cu(銅)と純Niを接合した拡散対を示す模式図、図10(b)は、加熱前の拡散対におけるCu原子とNi原子の配置を示す模式図、図10(c)は、加熱前の拡散対において、純Cuと純Niの接合面を界面とした場合の各領域(図10(a)、(b)における紙面右側の領域と紙面左側の領域)におけるCu原子とNi原子の含有率を示すグラフである。図11(a)は、加熱後の拡散対を示す模式図、図11(b)は、加熱後の拡散対におけるCu原子とNi原子の配置を示す模式図、図11(c)は、加熱後の拡散対において、純Cuと純Niの接合面を界面とした場合の各領域(図11(a)、(b)における紙面右側の領域と紙面左側の領域)におけるCu原子とNi原子の含有率を示すグラフである。
図10(a)に示すような、加熱前の純Cuと純Niを接合した拡散対を、各金属の溶融温度以下の温度で加熱すると、図11(a)、(b)に示すように、純Cuと純Niの界面を通じて、Cu原子とNi原子が互いに移動して、Cu原子とNi原子が混じり合う。その結果、拡散対の中間領域に、Cu−Ni固溶体が形成される。Cu−Ni固溶体が形成された拡散対におけるCu原子とNi原子の含有率は、図11(c)に示すようになっている。
また、図12および図13を参照して、金属や合金における原子の拡散の機構について説明する。金属や合金における原子の拡散の機構は、空孔拡散と格子間機構が主体的である。
図12(a)、(b)は空孔拡散を示す模式図である。図13(a)、(b)は格子間機構示す模式図である。
空孔拡散について説明する。図12(a)に示すように、金属や合金の結晶中には、原子が存在しない格子点があり、これを空孔501と言う。図12(a)、(b)に示すように、空孔501と隣接する原子502が空孔501に移動(位置を交換)することにより、原子502が拡散する。温度が高い程、結晶中に含まれる空孔501の量(濃度)が多くなり、原子502が拡散し易くなる。
格子間機構について説明する。ここでは、Fe中に含まれるC(炭素)やN(窒素)の拡散について説明する。例えば、図13(a)に示すように、Fe原子503中に含まれるC原子504は、Fe原子503に比べて原子サイズが小さい。そのため、C原子504がFe原子503中に固溶した場合、Fe原子503に置き換わるのではなく、図13(a)、(b)に示すように、Fe原子503によって形成される格子間に移動する。これを侵入型固溶原子という。このようにして、Fe原子503によって形成される格子間にC原子504が拡散する。
<成分の解析結果>
次に、ステータの成分分析を行った結果の一例を説明する。なお、分析したステータは、以下の3種類であり、それぞれ約30[μm]の厚みを有する。
(#1)Crをめっきした後、ヘリウムの不活性ガス雰囲気下、1200℃に1時間放置してCrを拡散させたステータ
(#2)Crをめっきした後、ヘリウムの不活性ガス雰囲気下、1200℃に24時間放置してCrを拡散させたステータ
(#3)Crをめっきした後、Crを拡散させていないステータ
なお、ステータの材料は、38パーマロイであるため、Crを拡散していない状態でも母材には、8質量%程度のCr成分が含まれている。
まず、分析装置、及び分析条件を説明する。
Cr拡散領域210、211における、観察部分に、日本電子社製のIB−09020CP(商品名)を用いて、クロスセクションポリッシャ(CP)加工を行った。加速電圧を7kVとした。
走査型電子顕微鏡としては、電界放出型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)(商品名:JSM−7800F、日本電子社製)を用いた。
サンプルは、樹脂包埋処理と研磨処理後、イオンミリング加工を、日本電子製、IB−9020CPを用いて行った。
測定時のサンプルの状態は、イオンミリングによる加工断面{Ar(アルゴン)イオン、加速7kV}である。
測定環境は、真空度が10−4〜10−5Paの真空中で行った。
EDSライン分析は、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製のNORAN SYSTEM7(商品名)のVer3を用いて、加圧電圧15kVの条件で行った。
次に、Crを1時間放置したステータの成分の分析結果を説明する。
図14(a)は、ヘリウムの雰囲気中で1200℃、1時間放置してCrを拡散させた(#1)ステータにおけるCr拡散領域210、211の表面210a、211aから厚み方向と垂直な断面(図4(a)、(b)において、紙面の平行方向)に沿う走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)像である。
図14(a)において、画像g101は、(#1)ステータのCr拡散領域210、211の表面210a、211aから厚み方向と垂直な断面(図4(a)、(b)において、紙面の平行方向)に沿う走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)像である。また、画像g102は、当該走査型電子顕微鏡像のうちCr成分の像である。画像g103は、当該走査型電子顕微鏡像のうちFe成分の像である。画像g104は、当該走査型電子顕微鏡像のうちNi成分の像である。なお、画像g101の尺度は、画像g102〜g104の約2倍である。
また、図14(b)は、(#1)ステータのCr拡散領域210、211の表面210a、211aから厚み方向と垂直な断面(図4(a)、(b)において、紙面の平行方向)に沿うエネルギー分散型X線分析(Energy Dispersive x−ray Spectroscopy、EDS)のライン分析の結果を示すグラフである。なお、上述したように、ステータの表面には、約30[μm]の厚みのCrがめっきした後に1200℃で拡散しているため、距離が0〜約15.6[μm]がクロムめっき層であり、約15.6[μm]以降がステータの母体である。すなわち、距離が約15.6[μm]が、めっき層と母材との境目であり、ステータの外端である。
符号g111は、Cの距離に対する質量[%]の変化を表し、符号g112は、O(酸素)の距離に対する質量[%]の変化を表し、符号g113は、Crの距離に対する質量[%]の変化を表し、符号g114は、Feの距離に対する質量[%]の変化を表し、符号g115は、Niの距離に対する質量[%]の変化を表す。
また、破線g121で囲んだ領域は、クロムめっき層と母体との境目付近のCrの質量の変化を説明する領域である。表1に、破線121で囲んだ領域において、C、O、Cr、Fe、Niそれぞれの質量の値の一部を示す。
表1に示すように、Crの質量が14質量%以上であるのは、外端側から約5.4[μm](距離が約21[μm])までである。そして、外端側から約5.4[μm](距離が約15.6〜21[μm])の範囲は、Crの質量が大きく変化する分布を有する範囲である。また、外端側から約14.4[μm](距離が約30[μm])以降のCrの質量は、38パーマロイのCr成分の質量と同等の7〜8質量%である。従って、Crを1時間拡散したステータにおいて、表面にめっきしたCrが拡散によって母材に染みこんでいる領域は、外端側から約14.4[μm]の範囲である。
Fe−Ni−Cr合金において、38パーマロイであるFeが54質量%、Niが38質量%、Crが8質量%の場合、常温では強磁性である。なお、強磁性とは、磁気モーメントを持つ物質の磁性である。このため、Crを1時間拡散したステータ201では、外端側から約14.4[μm](距離が約30[μm])以降が強磁性の領域であり、図2の点bと点c、または図7の点bと点cがこの領域である。
また、Fe−Ni−Cr合金において、Crが14質量%以上になると、常温で常磁性であり、図2の点bまたは図7の点bがこの領域である。なお、常磁性とは、外部磁場が無いときには磁化を持たず、磁場を印加するとその方向に磁化する磁性である。常温で常磁性の状態とは、非磁性の状態である。このため、Crを1時間拡散した(#1)ステータでは、外端側から約5.4[μm](距離が約21[μm])までが常磁性の領域であり、図2の点a、または図7の点aがこの領域である。なお、Cr拡散領域に近接する領域である点cのCrの質量は8質量%程度である。
以上のように、38パーマロイにCrを1時間拡散した(#1)ステータは、Crの質量が14質量%以上の常磁性の領域と、Crの質量が7〜8質量%の強磁性の領域を有し、さらにCrの質量の変化が大きい領域(例えば外端側から約14.4[μm]の範囲)を有する。このように、38パーマロイにCrを1時間拡散すると、(#1)ステータは、非磁性領域(図2の点bまたは図7の点b)を有する。
また、図7において、点aと点bを含むCr拡散領域211の表面から厚み方向と垂直方向の断面積は、他の部分(例えば点c)の表面から厚み方向と垂直方向の断面積より小さい。また、上述したように、Cr拡散領域211の点aのCr含有量がX=14質量%であり、他の領域である点cのCr含有量がY=8質量%である。このように、Cr拡散領域のCr含有量X%と、他の領域のCr含有量Y%との差は6%以上である(X−Y≧6)。
次に、24時間、Crを拡散した(#2)ステータの分析結果を説明する。
図15(a)は、ヘリウムの雰囲気中で1200℃、24時間放置Crを拡散させた(#2)ステータのCr拡散領域210、211の表面210a、211aから厚み方向と垂直な断面(図4(a)、(b)において、紙面の平行方向)に沿う走査型電子顕微鏡像である。
図15(a)において、画像g201は、(#2)ステータのCr拡散領域210、211の表面210a、211aから厚み方向と垂直な断面(図4(a)、(b)において、紙面の平行方向)に沿う走査型電子顕微鏡像である。また、画像g202は、当該走査型電子顕微鏡像のうちCr成分の像である。画像g203は、当該走査型電子顕微鏡像のうちFe成分の像である。画像g204は、当該走査型電子顕微鏡像のうちNi成分の像である。
また、図15(b)は、(#2)ステータのCr拡散領域210、211の表面210a、211aから厚み方向と垂直な断面(図4(a)、(b)において、紙面の平行方向)に沿うライン分析の結果を示すグラフである。なお、距離が約18.5[μm]が、めっき層と母材との境目であり、ステータの外端である。
符号g211〜符号g215それぞれは、C、O、Cr、Fe、Niそれぞれの距離に対する質量[%]の変化を表す。
また、破線g221で囲んだ領域は、クロムめっき層と母体との境目付近のCrの質量の変化を説明する領域である。表2に破線221で囲んだ領域において、C、O、Cr、Fe、Niそれぞれの質量の値の一部を示す。
図15と表2に示すように、Crを24時間拡散させた場合は、外端側から約1.5[μm](距離が18.5〜20[μm])の範囲で、Crの質量がほぼ13質量%以上に達する。そして、外端側から約2.9[μm](距離が約21[μm])以上では、Crの質量が14〜16質量%であり、常磁性の領域である。
このように、Crを24時間拡散させたステータ201は、Cr拡散領域210、211におけるCrの質量は、14〜16質量%になる。従って、図2の点aと点bまたは図7の点aと点bのCrの質量は同等であり、14〜16質量%となる。なお、Cr拡散領域に近接する領域である点cのCrの質量は8質量%程度である。
以上のように、38パーマロイにCrを24時間拡散した(#2)ステータは、Crの質量が14質量%以上の常磁性の領域{例えば、外端側から約2.9[μm](距離が21[μm]以上)}と、Crが8質量%の強磁性の領域とを有する。
また、図14と図15に示したように、Crを24時間拡散させた(#2)ステータの方が、Crを1時間拡散させた(#1)ステータより、Crが14質量%以上となる範囲が大きい。これは、拡散を行う時間に応じて、より離れた距離までCrが染みこんでいくためである。なお、前述したように、38パーマロイにおいて、Crを染みこませることができる質量の限界は、約40質量%である。
また、上述したように、Cr拡散領域211の点aのCr含有量がX=14%以上であり、他の領域である点cのCr含有量がY=8%である。このように、Cr拡散領域のCr含有量X%と、他の領域のCr含有量Y%との差は6%以上である(X−Y≧6)。
次に、Crを拡散してない(#3)ステータの分析結果を説明する。
図16(a)は、(#3)比較例のステータのCr拡散領域210、211の表面210a、211aから厚み方向と垂直な断面(図4(a)、(b)において、紙面の平行方向)に沿う走査型電子顕微鏡像である。
図16(a)において、画像g301は、(#3)ステータのCr拡散領域210、211の表面210a、211aから厚み方向と垂直な断面(図4(a)、(b)において、紙面の平行方向)に沿う走査型電子顕微鏡像である。また、画像g302は、当該走査型電子顕微鏡像のうちCr成分の像である。画像g303は、当該走査型電子顕微鏡像のうちFe成分の像である。画像g304は、当該走査型電子顕微鏡像のうちNi成分の像である。なお、画像g301の尺度は、画像g302〜g304の約5倍である。
また、図16(b)は、(#3)ステータのCr拡散領域210、211の表面210a、211aから厚み方向と垂直な断面(図4(a)、(b)において、紙面の平行方向)に沿うライン分析の結果を示すグラフである。なお、距離が約6.23[μm]が、めっき層と母材との境目であり、ステータの外端である。
符号g311〜符号g315それぞれは、C、O、Cr、Fe、Niそれぞれの距離に対する質量[%]の変化を表す。
また、破線g321で囲んだ領域は、クロムめっき層と母体との境目付近のCrの質量の変化を説明する領域である。表3に、破線321で囲んだ領域において、C、O、Cr、Fe、Niそれぞれの質量の値の一部を示す。
図16と表3に示すように、Crをめっきして熱を加えていない、すなわちCrを拡散させていない(#3)ステータは、母材のCrの質量が、約8〜9質量%であり、強磁性である。すなわち、ステータ201にCrをめっきしただけでは、(#3)ステータのCr拡散領域210、211の内部におけるCrの質量が8質量%程度、すなわち、38パーマロイの成分比のままであり、Crの質量が14質量%以上の領域が形成されていないため、非磁性されていない。
なお、図14〜図16においては、Cr拡散領域210、211の表面210a、211aから厚み方向と垂直な断面に沿う走査型電子顕微鏡像を示したが、当該厚み方向と平行な方向でエネルギー分散型X線分析を行っても同様の結果を生じる。
本発明のステッピングモータの製造方法によれば、ステータは一体として形成される。これは、狭幅部(過飽和部)(Cr拡散領域210、211の少なくとも一部)周囲で、非磁性部(Cr拡散領域210、211の少なくとも一部、例えば図2の点b、図7の点b)と磁性部(例えば図2の点c、図7の点c)とで形成されるステータ表面が連続する平面を有するという意味である。切断等の機械的なストレスや溶接・接合過程による歪みや部材の位置ずれを発生させることなく、磁気的な効率の低下やステータの破損、製品品質の低下、強度の劣化を防止することができる。その上、磁路の一部にCr拡散領域を形成して透磁率の低減を図ることから、省電力化と高保持力を兼ね備えたステッピングモータを容易に製造することができる。
また従来では、低透磁率の領域を調整する場合、ステータを機械的に分割する加工方法やその条件、挿入する非磁性体の調整等、工程数が多い上に製造条件を多く変更・調整しなければならず、結果製造コストの増大を招くおそれがあった。しかし、本発明によれば、ステータ素材に切断等の加工を施すことなく、Cr材を配置したステータ素材をCr材の溶融温度以下の温度に放置することのみで、Cr拡散領域(低透磁率領域)を所望のものに調整できる。
また、上述の実施形態においては、38パーマロイのステータにおいて説明したが、これに限らず、78パーマロイや45パーマロイ等にも適用できる。これら合金は、元々Crはほとんど含有されているものではないが、本発明の製造方法によりCrを拡散させることができる。その場合には、Cr含有量の配置は、前記Cr拡散領域210のCr含有量をX%、前記他の部位(例えば図2の点c、図7の点c)のCr含有量をY%としたとき、XとYとの差が6%以上である。これにより、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
101・・・発振回路
102・・・分周回路
103・・・制御回路
104・・・駆動パルス選択回路(駆動手段)
105・・・ステッピングモータ
106・・・アナログ表示部
107・・・時針
108・・・分針
109・・・秒針
110・・・カレンダ表示部
111・・・回転検出回路
112・・・負荷検出回路
113・・・時計ケース
114・・・ムーブメント
201・・・ステータ
201a・・・ステータ素材
202・・・ロータ
203・・・ロータ収容孔
204、205・・・切り欠き部(内ノッチ)
206、207・・・切り欠き部(外ノッチ)
208・・・磁心
209・・・コイル
210、211・・・Cr拡散領域
213、214・・・幅狭部
OUT1・・・第1端子
OUT2・・・第2端子
R・・・磁路

Claims (15)

  1. 指針の回転に用いられるロータと、
    磁路を構成しFeとNiとCrを含む合金製のステータであって、前記磁路における断面積が他の部分より小さい部分にCr含有率が14質量%以上のCr拡散領域が設けられるステータと、
    を備えるステッピングモータ。
  2. 前記Cr拡散領域は、前記ロータの静止安定位置確保のためロータ収容孔に設けられる位置決め部に干渉しない部分に設けられる、請求項1に記載のステッピングモータ。
  3. 前記Cr拡散領域の表面は、前記他の部位における表面と連続する平面により形成される、請求項1または請求項2に記載のステッピングモータ。
  4. 前記Cr拡散領域のCr含有量は、40質量%以下である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のステッピングモータ。
  5. 前記Cr拡散領域のCr含有量は、16%以下である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のステッピングモータ。
  6. 前記Cr拡散領域は、Cr含有量が40質量%から14質量%に変化する分布を有する領域を備える、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のステッピングモータ。
  7. 前記ステータは、ニッケル成分が37.5%〜38.5%、クロム成分が7.5〜8.5%、鉄成分が52.5%〜54.5%含まれているFeとNiとCrを含む合金製である、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のステッピングモータ。
  8. 指針の回転に用いられるロータと、
    磁路を構成しFeとNiとCrを含む合金製のステータであって、前記磁路における断面積が他の部位より小さい部分にCr拡散領域が設けられ、前記Cr拡散領域のCr含有量をX%、前記他の部位のCr含有量をY%としたとき、XとYとの差が6%以上であるステータと、
    を備えるステッピングモータ。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のステッピングモータを備える時計用ムーブメント。
  10. 請求項9に記載の時計用ムーブメントを備える時計。
  11. Fe−Ni合金板に対して機械加工を行って、ロータ用貫通収容孔とロータ収容孔の周囲に配置された磁路とを有するステータ素材を形成する工程と、
    前記ステータ素材の少なくとも一部に拡散用のCr材を配置する工程と、
    前記Cr材を配置した前記ステータ素材を、前記Cr材の溶融温度以下の温度に放置して前記磁路の内部に前記Cr材を拡散させてCr拡散領域を形成する工程と、
    を含むステッピングモータの製造方法。
  12. 前記Cr材を配置した前記ステータ素材を放置する温度を900℃〜1200℃、放置する時間を1時間〜24時間とする、請求項11に記載のステッピングモータの製造方法。
  13. 前記Cr材を配置する工程が、前記ステータ素材の表面に磁路の少なくとも一部を被覆したNiメッキを施して、被覆部を除去した後、Cr粉及びその他の調合材粉と共に不活性ガス雰囲気中に配置する、請求項11または請求項12に記載のステッピングモータの製造方法。
  14. 前記Cr材を配置する工程が、前記ステータ素材の磁路の一部の表面にクロムめっき層を形成して不活性ガス雰囲気中に配置する工程である、請求項11または請求項12に記載のステッピングモータの製造方法。
  15. 前記ステータ素材を形成する工程において、前記ステータ素材に、前記磁路の断面積が他の部位よりも狭くなる幅狭部が設けられ、
    前記Cr材を配置する工程において、少なくとも前記幅狭部を含む領域に前記Cr材を配置する、請求項11から請求項14のいずれか一項に記載のステッピングモータの製造方法。
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