JP2022055343A - 薄膜磁石 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面磁束密度を高くし易い薄膜磁石を提供する。【解決手段】本発明にかかる薄膜磁石100は、強磁性基材10と、強磁性基材10上に設けられた酸化物層20と、酸化物層20上に設けられたNd-Fe-B系磁石層30と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は薄膜磁石に関する。
近年、電子機器の軽薄短小化に伴い、優れた磁気特性を有する希土類磁石の小型化、高性能化が進められている。中でも、ネオジム-鉄-ホウ素(Nd-Fe-B)系磁石は、現有の磁石の中で最も高い最大エネルギー積を有することから、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)やエナジーハーベスト(環境発電)などのエネルギー分野や、医療機器分野などへの応用が期待されている。
従来、大きめの焼結体ブロックを切断し、その後研磨する工程を経て厚みが1mm以下の平板状の薄膜磁石を製作している。しかしながら、磁石の特性や強度や生産性の問題により厚みが0.5mm以下の磁石を得ることが困難であった。
切断以外の方法により薄膜磁石を得る方法として特許文献1,2が知られている。
特許文献1では、Fe基板上にNd-Fe-B系磁石層を成膜している。
特許文献2では、石英ガラス上に、0.2μmのFe層を形成し、さらにその上にNd-Fe-B系磁石層を成膜している。
特許4698581号公報 特許2957421号公報
しかしながら、特許文献1、2では、十分に薄膜磁石の表面磁束密度を高くできない場合があった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、表面磁束密度を高い薄膜磁石を提供することを目的とする。
本発明にかかる第1の薄膜磁石は、強磁性基材と、前記強磁性基材上に設けられた酸化物層と、前記酸化物層上に設けられたNd-Fe-B系磁石層と、を備える。
前記酸化物層は、Fe、Cr、Ti,Zn,Ni、及びCoから成る群から選択される少なくとも1つを含むことができる。
前記酸化物層の厚みは、0.8nm以上であることができる。
前記強磁性基材の材料は、磁性ステンレス鋼、Fe、FeCo、FeNi,Co,Niから成る群から選択される少なくとも1つであることができる。
前記強磁性基材の厚みは100~1000μmであることができる。
前記強磁性基材と前記酸化物層との界面からの深さが100nmの位置での前記強磁性基材中のNd濃度が1wt%以下であることができる。
本発明にかかる第2の薄膜磁石は、強磁性酸化物基材と、前記強磁性酸化物基材層上に設けられたNd-Fe-B系磁石層と、を備える。
前記強磁性酸化物基材の材料は、ソフトフェライトであることができる。
前記強磁性酸化物基材の厚みは100~1000μmであることができる。
前記強磁性酸化物基材と前記Nd-Fe-B系磁石層との界面からの深さが100nmの位置での前記強磁性酸化物基材中のNd濃度が1wt%以下であることができる。
第1および第2の薄膜磁石において、前記Nd-Fe-B系磁石層の厚みは0.1~20μmであることができる。
本発明によれば、表面磁束密度を高くし易い薄膜磁石が提供される。
図1は、第1実施形態にかかる薄膜磁石の模式断面図である。 図2は、第2実施形態にかかる薄膜磁石の模式断面図である。
本発明の第1実施形態にかかる薄膜磁石について説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる薄膜磁石100の断面模式図である。
本実施形態にかかる薄膜磁石100は、強磁性基材10と、強磁性基材10上に設けられた酸化物層20と、酸化物層20上に設けられたNd-Fe-B系磁石層30と、を備える。
(強磁性基材)
強磁性基材10は強磁性を有すれば材料の限定はない。好ましくは、強磁性基材10は、強磁性金属基材である。強磁性金属の例は、磁性ステンレス鋼、Fe、FeCo、FeNi,Co,Niから成る群から選択される少なくとも1つであることができる。FeCo,FeNiにおいて原子比に特段の限定はない。強磁性基材10は板状体であることができる。
磁性ステンレス鋼の例は、SUS430,SUS405,SUS434などのフェライト系ステンレス鋼;SUS410、SUS403,SUS416、SUS420J2、SUS431、SUS440Fなどのマルテンサイト系ステンレス鋼;及び、SUS329J1等のオーステナイトフェライト系ステンレス鋼である。
強磁性基材10の厚みは100~1000μmであることができ、150~500μmであってもよい。
(酸化物層)
酸化物層20は、酸化ケイ素などの半金属酸化物の層でもよいが、金属酸化物層であることが好適である。酸化物層20は、強磁性基材10を構成する金属元素のうちの少なくとも1つを含む酸化物層であることができる。酸化物層20は、Fe、Cr、Ti,Zn,Ni、及びCoから成る群から選択される少なくとも1つを含む酸化物の層であることができる。
例えば、強磁性基材10が磁性ステンレス鋼層である場合には、酸化物層20はFe及びCrを含む酸化物層であることができる。
また、強磁性基材10がFeを含む場合には酸化物層20はFeを含む酸化物であることができ、強磁性基材10がNiを含む場合には酸化物層20はNiを含む酸化物であることができ、強磁性基材10がCoを含む場合には酸化物層20はCoを含む酸化物であることができる。
酸化物層20の厚みは、0.8nm以上であることができる。製造過程でのNd-Fe-B系磁石層30からのNdの拡散を抑制すべく、酸化物層20の厚みは、1.0nm以上、2nm以上、3nm以上、4nm以上、5nm以上、6nm以上、及び、7nm以上であることができる。酸化物層20の厚みに上限は無いが、表面磁束密度を高める観点から、10nm以下であることができ、7nm以下であることが好ましい。
(Nd-Fe-B系磁石層)
Nd-Fe-B系磁石層30は、Fe、Nd、及びBを含み、NdFe14B結晶粒を主相として含む。
主相とは、Nd-Fe-B系磁石層30の中で最も断面における面積の高い相のことである。主相の面積比率は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
Nd-Fe-B系磁石層30は、主相の結晶粒に加えて、結晶粒間に配置される粒界相を含むことができる。粒界相の例は、Rリッチ相及びB相を含む相である。粒界相の断面における面積割合は、3.0~27.0%であることができる。ここで、粒界相は非磁性であっても良い。
Nd-Fe-B系磁石層30中の全遷移金属元素(希土類元素を除く)中、Feは70at%以上を占めることができる。70at以下だと、残留磁化が低くなり、高い表面磁束密度を得ることが困難である。
Nd-Fe-B系磁石層は、Fe以外の遷移金属元素を含んでもよい。Fe以外の遷移金属元素の例は、Co,Cu,Ti、V、Cr、Mn、Ni、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、及び、W、及び、これらの任意の組み合わせである。
Nd-Fe-B系磁石層30中の全希土類元素中、Ndは14at%以上を占めることができる。14at%以下だと、主相の2-14-1結晶割合が低くなり、磁気特性が大幅に低下しやすい。
Nd-Fe-B系磁石層は、Nd以外の希土類元素を含んでいてもよい。Nd以外の希土類元素の例は、Y、La、Ce、Pr、Dy,Tb,Ho,及び、Gd、及び、これらの任意の組み合わせである。
Nd-Fe-B系磁石層は、上述の遷移金属元素(希土類元素除く)、希土類元素、及びBを合計で90質量%以上含むことができる。
Nd-Fe-B系磁石層30は、遷移金属元素、希土類元素、B以外に、他の元素の含有を許容する。例えば、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有することが出来る。本実施形態に係る元素は、原料に由来する不純物、又は製造時に混入する不純物としての他の成分、N,O,C等を含んでもよい。
Nd-Fe-B系磁石層30において、主相の結晶粒の平均粒子径が30nm~1000nmであることができる。平均粒子径は断面写真の円相当径の20個の算術平均とすることができる。
Nd-Fe-B系磁石層30の厚みは0.1~20μmであることができ、1μm以上でもよく、10μm以下でもよい。
(作用)
本実施形態にかかる薄膜磁石100によれば、強磁性基材10を有している。強磁性基材はバックヨークとして機能することができるので、基材としてSi層、石英ガラス層等を有する場合に比べてNd-Fe-B系磁石層30の表面において高い表面磁束密度を得ることができる。また、強磁性基材10とNd-Fe-B系磁石層30との間に酸化物層20を有するので、製造過程における加熱プロセスにおいて、Nd-Fe-B系磁石層中のNdが強磁性基材10に拡散してNd-Fe-B系磁石層30の磁気特性が低下することが抑制され、強磁性基材10とNd-Fe-B系磁石層30との間にMo,Taなどの高融点金属介在層を設ける手間も削減される。
本実施形態においては、強磁性基材10と酸化物層20との界面からの深さが100nmの位置での強磁性基材10中のNd濃度が1wt%以下であることができる。
このような薄膜磁石100は種々のデバイスにおける永久磁石として使用できる。
(第2実施形態)
つづいて、本発明の第2実施形態にかかる薄膜磁石について説明する。図2は、本発明の第2実施形態にかかる薄膜磁石100の断面模式図である。
本実施形態にかかる薄膜磁石100が、第1実施形態と異なる点は、強磁性基材10と、Nd-Fe-B系磁石層30との間に酸化物層が設けられずに、強磁性基材10及びNd-Fe-B系磁石層30が直接接触している点と、強磁性基材10が強磁性酸化物基材である点である。第1実施形態と共通する点の説明は省略する。
強磁性基材10に用いられる強磁性酸化物の例は、ソフトフェライトである。ソフトフェライトの例は、AFeで表されるスピネルフェライト(Aの例はMn,Co,Ni,Cu,Zn、及び、これらの任意の組み合わせ)である。
(作用)
本実施形態にかかる薄膜磁石によれば、強磁性基材10を有している。強磁性基材はバックヨークとして機能することができるのでので、基板としてSi層、石英ガラス層等を有する場合に比べてNd-Fe-B系磁石層30の表面において高い表面磁束密度を得ることができる。また、強磁性基材10が強磁性酸化物基材であるので、製造過程における加熱プロセスにおいて、Nd-Fe-B系磁石層30中のNdが強磁性基材10に拡散してNd-Fe-B系磁石層30の磁気特性が低下することが抑制され、強磁性基材10とNd-Fe-B系磁石層30との間にMo,Taなどの高融点金属介在層を設ける手間も削減される。
本実施形態において、強磁性基材10とNd-Fe-B系磁石層30との界面からの深さが100nmの位置での強磁性基材10中のNd濃度が1wt%以下であることができる。
(製造方法)
続いて、第1実施形態の薄膜磁石の製造方法の一例を説明する。
まず、強磁性基材10を用意する。強磁性基材としては種々の市販の基板や箔などの板状材料を利用できる。必要に応じて、真空環境下での板状材料の表面の逆スパッタリング等により表面不純物層の除去を行ってもよい。
続いて、強磁性基材10の上に酸化物層20を形成する。酸化物層20の形成方法に特に限定はない。例えば、強磁性基材10の材料が金属(合金も含む)であれば、大気中や酸素雰囲気中で、加熱処理をすればよい。また、酸化物材料をターゲットとするスパッタリングなどにより強磁性基材10上に酸化物層を成膜してもよい。
続いて、酸化物層20上に、Nd-Fe-B系磁石層30を形成する。成膜法の例は、スパッタリング法及びパルスレーザデポジション(PLD)法である。
ここではスパッタリング法の一例について説明する。
まず、ターゲット材を準備する。Nd、Fe、Bの各々の単元素ターゲット材を準備してもよいし、Nd-Fe-B系合金のターゲット材を準備してもよい。Nd-Fe-B系磁石層にNd、Fe及びB以外の他の元素、例えば、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等を含有させる場合は、それらの単元素ターゲット材を準備してもよいし、それらを含む合金ターゲット材を準備してもよい。酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましいため、ターゲット材中の不純物含有量は極力低減することが好適である。
成膜工程の前に、ターゲット材の表面のスパッタリングを十分に行い、ターゲット材の表面を清浄しておくことが好適である。
スパッタリング環境は、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましいため、10-6Pa以下、より好ましくは10-8Pa以下となる減圧環境であることが望ましい。
具体的には、低圧のAr雰囲気でマグネトロン・スパッタリング法を適用することが好ましい。スパッタリングの電源は、DC、RFどちらでも使用可能であり、ターゲット材に応じて適宜選択できる。
パルスレーザディポジッション(PLD)法は真空チャンバー中に、目的とするNd-Fe-B系磁石の組成から成るターゲットを基板と対向するように配置し、真空チャンバーの外部からKrFやNd-YAGなどのレーザをパルス的にターゲットに照射する方法である。
Nd-Fe-B系磁石層30の成膜後には、Arなどの不活性ガス環境下で必要に応じてアニールを行い、NdFe14B結晶粒の結晶化を促進してもよい。
アニール温度の例は600~700℃、アニール時間の例は0.1~10分である。
アニール後又はアニール中に、公知の種々の方法で着磁することができる。
続いて、第2実施形態の薄膜磁石の製造方法の一例を説明する。ここでは、第1実施形態の製造方法との相違点のみについて説明する。第2実施形態の薄膜磁石を製造する場合には、強磁性基材10の材料として酸化物を選択し、その上に直接Nd-Fe-B系磁石層30を形成すればよい。
(実施例1)
基材として磁性ステンレス鋼であるSUS430薄板(厚み150μm)を用意した。表面の不純物層を真空環境下での逆スパッタリングにより清浄化した後、加熱炉にセットし、酸化雰囲気は大気中とし、昇温速度5℃/min、加熱温度700℃で1時間保持し酸化処理を行った。これによりSUS430薄板の上に2nmの酸化物層を形成した。酸化物層はFe及びCrを含んでいた。
次に、減圧アルゴン環境下でのマグネトロンスパッタリングにより、酸化物層上にNd-Fe-B系磁石層(厚み1μm)を形成した。ターゲットの組成は原子比率でNd:Fe:Bで15.8:78.5:5.7とし、得られた磁石層におけるNd組成は16.2at%であった。
その後、アルゴンガス環境下で、650℃で1分アニールした。
(実施例2)
Nd-Fe-B系磁石層の厚みを10μmとし、アニール時間を5分とする以外は、実施例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は15.8at%であった。
(実施例A)
Nd-Fe-B系磁石層の厚みを20μmとし、アニール温度を700℃とする以外は、実施例2と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は15.9at%であった。
(実施例B)
Nd-Fe-B系磁石層の厚みを0.1μmとする以外は実施例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は16.1at%であった。
(実施例C)
Nd-Fe-B系磁石層の厚みを0.5μmとする以外は実施例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は16.1at%であった。
(実施例D)
SUS430薄板の厚みを100μmとする以外は実施例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は16.1at%であった。
(実施例E)
SUS430薄板の厚みを1000μmとする以外は実施例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は16.0at%であった。
(実施例3)
基材として、SUS430薄板に代えて、磁性ステンレス鋼であるSUS420薄板を用いる以外は実施例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は15.9at%であった。
(実施例4)
基材としてソフトフェライト(Fe-Ni-Zn-Mn-Cu系フェライト酸化物)薄板(厚み500μm)を用い、酸化物層を形成しない以外は実施例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は15.9at%であった。
(実施例F)
ソフトフェライト薄板の厚みを100μmとする以外は実施例4と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は15.9at%であった。
(実施例G)
ソフトフェライト薄板の厚みを1000μmとする以外は実施例4と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は16.1at%であった。
(実施例5)
基材としてFe箔を用いた以外は、実施例1と同様にした。得られた磁石層におけるNd組成は18.4at%であった。
(比較例1)
基材として厚み500μmのSi板を用い、酸化物層(熱酸化膜)の厚みを1μmとし、酸化物層と磁石層との間に更に20nmのMo層を設け、磁石層のアニール温度を600℃とする以外は実施例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は16.2at%であった。
(比較例2)
磁石層の厚みを10μmとし、酸化物層と磁石層との間に更に50nmのMo層を設け、磁石層のアニール温度を650℃とする以外は比較例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は15.8at%であった。
(比較例A)
磁石層の厚みを0.1μmとする以外は比較例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は16.0at%であった。
(比較例B)
磁石層の厚みを0.5μmとする以外は比較例2と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は15.9at%であった。
(比較例3)
基材として厚み500μmの石英ガラス板を用い、その上に酸化物層を形成せず、石英ガラス板の上に厚み20μmのMo層を設ける以外は、実施例1と同様にした。得られた磁石層におけるNd組成は16.7at%であった。得られた磁石層の磁気特性を振動試料型磁力計で評価したところ、HcJ≧8.0kOe、Mr≧10.0kG、Ms≧12.0kGであった。
(比較例4)
磁石層の厚みを10μmとし、酸化物層と磁石層との間に更に50nmのMo層を設け、磁石層のアニール温度を700℃とする以外は比較例3と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は16.1at%であった。
(比較例5)
基材としてFe薄板を用い、表面の不純物層を真空環境下での逆スパッタリングにより清浄化した後、酸化物層を形成せず、実施例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は19.4at%であった。
(比較例6)
Fe薄板と磁石層との間に厚み20μmのMo層を設けた以外は比較例5と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は17.8at%であった。
(比較例7)
基板を非磁性ステンレス鋼であるSUS301薄板とする以外は実施例1と同様にした。得られた磁石層におけるNd組成は16.0at%であった。
(実施例6)
酸化物層の厚みを0.8nmとする以外は、実施例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は16.8at%であった。
(実施例7)
酸化物層の厚みを1nmとする以外は、実施例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は16.4at%であった。
(実施例8)
酸化物層の厚みを3nmとする以外は、実施例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は15.8at%であった。
(実施例9)
酸化物層の厚みを4nmとする以外は、実施例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は15.9at%であった。
(実施例10)
酸化物層の厚みを5nmとする以外は、実施例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は15.9at%であった。
(実施例11)
酸化物層の厚みを7nmとする以外は、実施例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は15.7at%であった。
(実施例12)
酸化物層の厚みを10nmとする以外は、実施例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は15.7at%であった。
(実施例H)
酸化物層の厚みを1000nmとする以外は、実施例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は16.0at%であった。
(実施例I)
酸化物層の厚みを10000nmとする以外は、実施例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は16.1at%であった。
(実施例J)
アニール時間を5分とする以外は、実施例Iと同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は15.9at%であった。
(実施例K)
アニール温度を750℃とする以外は、実施例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は16.2at%であった。
(実施例L)
酸化物層の厚みを0.5nmとする以外は実施例1と同様とした。得られた磁石層におけるNd組成は16.1at%であった。
(各層の組成分析)
酸化物層及び磁石層の組成分析には、EPMA分析法を用いた。
(表面磁束密度の測定)
磁石層の表面磁束密度は以下のようにして測定した。
まず、薄膜磁石(10mm×10mm)の磁石層を着磁した。具体的には、磁石層に対して垂直方向に磁界を印加して磁石層の全体を磁石層に対して垂直な第1の方向に着磁した。続いて、第1の方向とは反対向きの第2の方向に磁界を印加した状態で、磁石層の一部をレーザ加熱してから放冷し、当該一部の磁化を第2の方向に着磁した。第1の磁化の領域と、第2の磁化の領域とをストライプ状に配置した。各領域の長さは10mm、幅は200μm、2つの領域の幅方向の繰り返し数45とした。
次に、縞状に着磁された部分の表面中央から100μmの位置での磁束密度を、ホールセンサを有するプローブで測定した。
(強磁性基材中のNd濃度)
強磁性基材と酸化物層との界面からの深さが100nmの位置での強磁性基材中のNd濃度を測定した。具体的には、サンプルの一部を採取し台座に固定した後、真空脱泡した熱硬化性エポキシ樹脂を流し込み熱硬化させた。上記で作製した試料の表面を研磨紙で乾式研磨した。研磨紙の順序は粗い研磨紙(#600)で粗研磨した後、中程度の研磨紙(#1200)でさらに研磨し、最終的に細かい研磨紙(#3000)で仕上げ研磨することによって、研磨面を鏡面とした。上記で鏡面加工した試料をFIB装置によってエッチング加工した。上記で得たサンプルの断面に対し、透過型電子顕微鏡(FEI製 Titan G2 60-300)を用いて300kVの加速電圧でSTEM-EDS測定(ScanningTransmission Electron Microscopy-EnergyDispersive Spectroscopy:走査型透過電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光分析)を実施した。EDSマッピング測定を行った後、強磁性基材と酸化物層との界面から幅1000nm×深さ100nmの位置のNd濃度を等間隔で3点以上測定し、その平均値を強磁性基材中のNd濃度とした。
条件及び結果を表1~表3に示す。
Figure 2022055343000002
Figure 2022055343000003
Figure 2022055343000004
磁石層の厚みが1μmの例で比較すると、実施例ではMoなどの高融点金属層を設けることなく、0.77mT以上の表面磁束密度を実現できた。また、強磁性金属層を用いた実施例では、酸化物層の厚みが大きくなるとより表面磁束密度が大きくなった。
10…強磁性基材(強磁性酸化物基材)、20…酸化物層、30…Nd-Fe-B系磁石層、100…薄膜磁石。

Claims (11)

  1. 強磁性基材と、前記強磁性基材上に設けられた酸化物層と、前記酸化物層上に設けられたNd-Fe-B系磁石層と、を備える、薄膜磁石。
  2. 前記酸化物層は、Fe、Cr、Ti,Zn,Ni、及びCoから成る群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載の薄膜磁石。
  3. 前記酸化物層の厚みは、0.8nm以上である、請求項1又は2に記載の薄膜磁石。
  4. 前記強磁性基材の材料は、磁性ステンレス鋼、Fe、FeCo、FeNi,Co,Niから成る群から選択される少なくとも1つである、請求項1~3のいずれか一項に記載の薄膜磁石。
  5. 前記強磁性基材の厚みは100~1000μmである請求項1~4のいずれか一項に記載の薄膜磁石。
  6. 前記強磁性基材と前記酸化物層との界面からの深さが100nmの位置での前記強磁性基材中のNd濃度が1wt%以下である、請求項1~5のいずれか一項記載の薄膜磁石。
  7. 強磁性酸化物基材と、前記強磁性酸化物基材上に設けられたNd-Fe-B系磁石層と、を備える、薄膜磁石。
  8. 前記強磁性酸化物基材の材料は、ソフトフェライトである、請求項7に記載の薄膜磁石。
  9. 前記強磁性酸化物基材の厚みは100~1000μmである請求項7又は8に記載の薄膜磁石。
  10. 前記強磁性酸化物基材と前記Nd-Fe-B系磁石層との界面からの深さが100nmの位置での前記強磁性酸化物基材中のNd濃度が1wt%以下である、請求項7~9のいずれか1項に記載の薄膜磁石。
  11. 前記Nd-Fe-B系磁石層の厚みは0.1~20μmである、請求項1~10のいずれか一項に記載の薄膜磁石。

JP2021155459A 2020-09-28 2021-09-24 薄膜磁石 Pending JP2022055343A (ja)

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