JP2015006948A - 制振装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1では、スピーカーから音エネルギー(カウンター力)を面状体に当てている。面状体の振動を打ち消すように、上記音エネルギーの出力(振動数、位相、振幅)を調節している。
非特許文献1では、面状体とその両側の壁との間に形成された隙間流路の入口と出口にそれぞれスライド突起を設け、各スライド突起を面状体の振動に合わせて進退させている。これによって、上記入口及び出口の開口度が変化し、隙間流路の内圧等が変動することで、面状体の振動を抑えている。
一方、非特許文献1では、面状体の面積に応じた大きさの壁及び面状体の幅に応じた長さのスライド突起が必要であった。
本発明は、上記事情に鑑み、音エネルギー等のカウンター力によって振動を打消すことで制振するのではなく、面状体の表面を流れる流体の流れを制御することによって制振する制振装置及び制振方法において、簡素な構成で効率的に制振できるようにすることを目的とする。
前記面状体と対向し、かつ先端部が自由端になった片持ち状の制振板と、
前記制振板の前記先端部とは反対側の基端部に接続され、前記制振板を前記面状体との対向方向に振動させる駆動手段と、
前記面状体の振動を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出情報に基づいて前記駆動手段を駆動操作することによって前記制振板の振動を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする。
また、本発明方法は、表面上を流体が流れる面状体を制振する制振方法であって、
前記面状体と対向するとともに先端部が自由端になった片持ち状の制振板を、前記制振板の前記先端部とは反対側の基端部に接続された駆動手段によって前記面状体との対向方向に振動させ、
かつ、前記面状体の振動を検出手段にて検出し、
かつ、前記検出手段の検出情報に基づいて前記駆動手段を駆動操作することによって前記振動を制御することを特徴とする。
制振板が振動することによって、面状体と制振板との間の流体の流れが変化する。制振板の振動の振幅(ゲイン)や位相を調節することによって、面状体の振動が抑えられるように、ないしは面状体の振動を増幅させないように、前記流体の流れを変化させることができる。これによって、面状体を制振できる。制振板を片持ち状にすることによって、制振板の先端部を基端部よりも大きく振動させることができ、制振効果を確実に発揮することができる。また、非特許文献1における壁及び突起は不要であり、かつ制振板を面状体の幅寸法に対応する大きさにする必要もないから、構造を簡素化でき、小さな駆動力で面状体を効率的に制振することができる。
図1〜図3は、本発明の第1実施形態を示したものである。第1実施形態は、エアーフローティング乾燥炉1に係る。乾燥対象の面状体9は、例えばフラットパネルディスプレイ用光学フィルム、電池用フィルム、粘着テープ用フィルム等であり、搬送方向aに長く連続している。面状体9には、用途に応じた機能液(例えば導電膜、絶縁膜、粘着剤等の原料液)が塗布されている。機能液は、面状体9の何れか片面だけに塗布されていてもよく、面状体9の両面に塗布されていてもよい。
なお、エアーフローティング乾燥炉1に上記機能液の塗布部が一体に組み込まれていてもよい。
なお、上記浮上用兼乾燥促進用流体として、エア(空気)に代えて、窒素、その他の不活性ガス等を用いてもよい。
また、エアーフローティング乾燥炉では機能液を塗布せず、アニール処理や延伸処理などのために面状体を加熱する目的でエアーフローティング乾燥炉を使用する場合もある。
なお、図2の二点鎖線にて示すように、制振ユニット20が、搬送方向aに隣接するノズル13,13どうしの間に配置されていてもよく、搬送方向aの下流側のノズル13と搬出壁12との間に配置されていてもよい。更には、制振ユニット20が、搬送方向aに離れた複数箇所に配置されていてもよい。
なお、制振板21自体が板状のピエゾ素子であってもよい。そうすると、制振板自身が駆動するため、駆動手段22と同一物となり、応答性がよい。また、制振板及び駆動手段を省スペースにできる等の利点がある。
或いは、制振板21が、面状体9を挟んで上下両側にそれぞれ配置されていてもよい。そうすると面状体9の制振効果をより高めることができる。要するに、より短時間で面状体9の振動を収束させることができる。または、面状体9の振幅を小さくできる。
制御手段30は、制振ユニット20ごとに複数設けられていてもよく、1つの制御手段30が複数の制振ユニット20を制御するようにしてもよい。
図示しない塗布部によって面状体9の表面に機能液を塗布する。この面状体9に、ノズル13から温調されたエアを吹き付けることによって、面状体9を浮かせるとともに上記機能液を乾燥させる。同時に面状体9を搬送方向aに搬送する。
上記のエアの吹き付けによって面状体9がはためくように揺れる。さらに、上記エアが面状体9の表面に沿って流れる。さらに、このエア流fは、面状体9の揺れによって時間的及び空間的に変動する。これによって、構造体である面状体9とエア流fとが連成し、面状体9の揺れが増幅される。つまり、面状体9が励振され、シートフラッタが発生する。とりわけ、この種の面状体9(フラットパネルディスプレイ用光学フィルム、電池用フィルム、粘着テープ用フィルム等)のフローティング搬送においては、面状体9に作用する張力又は面状体9の剛性が比較的小さいのに対し、エアの流速を比較的大きくする必要又は傾向があるために、面状体9の励振(フラッター現象)が発生しやすい。面状体9の振幅は、特に面状体9の幅方向wの両端部(制振対象部位)において大きくなる。
複数の制振ユニット20が、それぞれ対応する制振対象部位を制振することによって、面状体9の揺れを全体的に抑えることができる。
非特許文献1における面状体の面積に対応する大きさの壁、及び面状体の幅に対応する長さの突起は、制振装置2においては不要であるから、構造を簡素化でき、小さな駆動力で面状体9を効率的に制振することができる。
図4は、本発明の第2実施形態を示したものであり、エアーフローティング乾燥炉1を搬出側から見た斜視図である。チャンバー10の搬送方向aの下流側には、ガイドロール14が配置されている。チャンバー10の内部を通過した面状体9が、搬出口12aから引き出されるとともに、ガイドロール14に支持されている。チャンバー10内における面状体9の浮上及び乾燥用のエア流fは、面状体9の表面に沿って搬出口12aから流出する。このエア流fの流れ方向は、搬送方向aに沿っている。
例えば、本発明は、フローティング乾燥炉1に限られず、面状体の押出成形や延伸加工のためのフローティング搬送装置等にも適用可能である。さらに、本発明は、フローティング搬送装置に限られず、面状体の表面を流体が流れることで面状体が振動する種々の装置において上記面状体を制振するのに適用できる。
面状体は、ほぼ水平姿勢になっているのに限られず、ほぼ鉛直姿勢になっていてもよく、水平及び鉛直に対して斜めになっていてもよい。
面状体の表面を流れる流体は、気体に限られず、水等の液体であってもよい。
第1実施形態において、制振板21の搬送方向aに沿う寸法が、制振板21の幅方向wに沿う寸法よりも大きくてもよい。第2実施形態において、制振板21の幅方向wに沿う寸法が、制振板21の搬送方向aに沿う寸法よりも大きくてもよい。制振板21が正方形であってもよい。さらに、制振板21の形状は、長方形又は正方形に限られず、台形等の他の四角形状であってもよく、楕円形等の四角形以外の形状であってもよい。
駆動手段22としては、ピエゾ素子に限られず、面状体9の振動に追従して動作できるものであれば、電動モータ、油圧シリンダー、その他種々のアクチュエータを採用することができる。
検出手段23としては、面状体9の振動を好ましくは非接触で検知できるものであれば、レーザー変位計に限られず、超音波変位計を用いてもよい。
面状体9に対する制振板21の位置等によっては、制振効果を得るために、制振板21の位相を面状体9の位相に対して±60°よりも大きくずらしてもよく、180°近くずらしてもよい。
第2実施形態では、面状体9におけるチャンバー10よりも搬出側の外側の部分を制振対象部位としていたが、面状体9におけるチャンバー10よりも搬入側の外側の部分を制振対象部位としてもよい。第2実施形態では、制振ユニット20がチャンバー20の搬出側の外部に配置されていたが、制振ユニット20がチャンバー20の搬入側(図2において右側)の外部に配置されていてもよい。制振ユニット20が、チャンバー20の搬入側の外部及び搬出側の外部に配置されていてもよい。
さらに、第1、第2実施形態を組み合わせることで、制振ユニット20がチャンバー20の内部及び外部に配置されていてもよい。
図5に、実施例1に用いた制振装置2Xを示す。
面状体9の材質はポリエチレンテレフタレート(PET)であった。この面状体9を片持ち状に鉛直に垂らした。
面状体9の上端部を固定端とし、面状体9の下端部を自由端とした。
面状体9の上下方向の長さは、120〜200mmであった。
面状体9の幅(図5の紙面と直交する方向の寸法)は、20mmであった。
面状体9の厚みは、0.2mmであった。
面状体9と平行に制振板21を鉛直に配置した。
制振板21の材質はチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)であった。
制振板21の上下方向の長さは、60mmであった。
制振板21の幅(図5の紙面と直交する方向の寸法)は、20mmであった。
制振板21の厚みは、0.45mmであった。制振板21は、エア流fだけでは
振動しない剛性を有していた。
駆動手段22として、バイモルフ型ピエゾ素子を用いた。このピエゾ素子22を面状体9の上側部分とほぼ同じ高さに設置した。ピエゾ素子22の振動駆動方向は、図5において左右方向(面状体9との対向方向)に向けた。
このピエゾ素子22によって制振板21を片持ち状に支持させた。すなわち、ピエゾ素子22の下端部に制振板21の上端部(基端部)を接続した。制振板21の下端部(先端部)を自由端とした。
制振板21の上端部は、面状体9の上端部とほぼ同じ高さに位置させ、制振板21の下端部は面状体9の上下方向の中間部の高さに位置させた。
2つの制振板21を面状体9の幅方向の両端部とそれぞれ対向するように配置した。
非振動時における面状体9と各制振板21との離間距離は、20〜40mmであった。
面状体9と制振板21との間にエア(流体)を上から下へ流した。このエアの流れfによって面状体9がy方向(図5の左右方向)に振動した。特に、面状体9の下端部が大きな振幅で揺れた。
面状体9の下端部の高さにレーザー変位計23を設置した。このレーザー変位計23によって、面状体9の下端部(制振対象部位)の振動(変位の経時変化)を検出した。
レーザー変位計23の検出信号を制御手段30によって信号処理し、制振板21をフィードバック制御した。
詳細には、制御手段30の調節部34としてパーソナルコンピュータを用いた。このパーソナルコンピュータに組み込んだ位相調節器35及びゲイン調節器36の機能によって位相及びゲインをそれぞれ所定範囲内で調節して、出力信号(ピエゾ素子22に対する駆動電圧)を得た。この出力信号によってピエゾ素子22を振動駆動させた。
これによって、制振板21が振動した。制振板21の振動の周期は、ピエゾ素子22の振動の周期と同期し、ひいては面状体9の振動の周期と同期した。制振板21の振動の位相は、ピエゾ素子22の位相と同期した。制振板21の下端部(先端部)の振幅は、ピエゾ素子22の振幅よりも大きくなった。
さらに、制振板21の振動時(制振制御時)の面状体9の振動をレーザー変位計23によって測定した。
そして、非制振制御時(制振板21の非振動時)における面状体9の下端部のy方向の振幅yRMSと、制振制御時(制振板21の振動時)における面状体9の下端部のy方向の振幅yRMS-cとを算出した。
図7は、位相差Δφ=0°、ゲインG=0.25としたときの、非制振制御時と制振制御時の面状体9の経時的な振動の状況を示したものであり、図8は、非制振制御時と制振制御時の面状体9の周波数分布を示したものである。図7及び図8から明らかな通り、位相差及びゲインを調節することによって顕著な制振効果が得られた。制振板21が面状体9の全面積又は全幅に対応する大きさでなくても、十分な制振効果が発現されることが確認された。
なお、面状体9に対する制振板21の配置高さ、面状体9と制振板21との間の間隔等によっては、位相差Δφを大きくしたほうが制振効果を発現できる場合もあると考えられる。
2,2X 制振装置
9 面状体
20 制振ユニット
21 制振板
22 ピエゾ素子(駆動手段)
23 レーザー変位計(検出手段)
30 制御手段
Claims (3)
- 表面上を流体が流れる面状体を制振する制振装置であって、
前記面状体と対向し、かつ先端部が自由端になった片持ち状の制振板と、
前記制振板の前記先端部とは反対側の基端部に接続され、前記制振板を前記面状体との対向方向に振動させる駆動手段と、
前記面状体の振動を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出情報に基づいて前記駆動手段を駆動操作することによって前記制振板の振動を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする制振装置。 - 前記制振板の基端部が、前記流体の流れ方向の相対的に上流側に配置され、前記制振板の先端部が、前記流れ方向の相対的に下流側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の制振装置。
- 表面上を流体が流れる面状体を制振する制振方法であって、
前記面状体と対向するとともに先端部が自由端になった片持ち状の制振板を、前記制振板の前記先端部とは反対側の基端部に接続された駆動手段によって前記面状体との対向方向に振動させ、
かつ、前記面状体の振動を検出手段にて検出し、
かつ、前記検出手段の検出情報に基づいて前記駆動手段を駆動操作することによって前記振動を制御することを特徴とする制振方法。
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