JP2004089896A - 塗布装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、一対の上下流側ガイドロールとその間に配設される塗布液アプリケーターで構成される塗布装置において、振動などによる塗布ムラを打ち消して、連続的に走行する支持体への均一かつ平滑な塗布を安定的に行うことが出来る塗布装置を提供することにある。
【解決手段】離間した一対の上下流側ガイドロールにウェブ状の支持体を連続的に搬送し、該支持体に対し前記一対の上下流側ガイドロールの反対側でかつ該ガイドロールの間に配設された塗布液アプリケーターから前期支持体に塗布液を塗布する塗布装置において、前記塗布液アプリケーターに任意の周波数、任意の振幅、任意の振動方向で振動せしめる振動装置が備えられていることを特徴とする塗布装置を提供するものである。
【選択図】図3
【解決手段】離間した一対の上下流側ガイドロールにウェブ状の支持体を連続的に搬送し、該支持体に対し前記一対の上下流側ガイドロールの反対側でかつ該ガイドロールの間に配設された塗布液アプリケーターから前期支持体に塗布液を塗布する塗布装置において、前記塗布液アプリケーターに任意の周波数、任意の振幅、任意の振動方向で振動せしめる振動装置が備えられていることを特徴とする塗布装置を提供するものである。
【選択図】図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続して走行する支持体上に、均一な厚さの薄膜を塗布する塗布装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
連続して搬送されるウェブ状で可撓性の支持体表面に、均一な塗布膜を形成する方法は、これまでに種々検討され行われている。その各種塗布方法の中で代表的なものに、エクストルージョン型コーター方式、カーテンコーター方式、グラビアコーター方式、キスコーター方式、ワイヤーバー方式等が考えられ、様々な分野の膜形成法として適用されている。
【0003】
薄膜形成法の一つで、エクストルージョン型コーターを用いた代表的な塗布方式の一事例として、例えば図9に示すようなコーターヘッド1の上流側及び下流側に一定の間隔をおいて配置された一対の上下流側ガイドロール11、12に、連続して走行する支持体21を案内して、この両ガイドロール11、12の間に配置したコーターヘッド1から直接支持体21表面へ塗布液を押し出すことにより均一かつ平滑に、かつ薄く塗布する方式が知られている(特開平9−122572号公報)。この方式の場合、一対の上下流側ガイドロール11、12の間で連続的に走行する支持体21に、塗布液を押し出すコーターヘッド1の先端の上下流側リップ部2、3を押し付けるように配設する事によって、コーターヘッド1のマニホールドから押し出される塗布液10の押し出し量に対応した塗布圧力と、支持体21がコーターヘッド1によって押し付けられ撓む事によって生じる反力とのバランスにより、コーターヘッド1の先端の上下流側リップ部2、3と支持体21表面との間隔を変化させることにより塗布を行うことが可能となる塗布装置である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記塗布方式による塗布においては、乾燥炉の風やその他モーター振動、モーターのコギングやロールのベアリング振動、ガイドロール間の支持体に起こる特有の振動等によって、塗布される支持体に走行速度変動や振動が起こり、コーターヘッド先端の塗布部分での支持体の反発力に微少な変化が生じ、コーターヘッドの先端のリップ部分と支持体表面との間隔が変動してしまい、塗布方向に横段状の塗布ムラが発生してしまうという問題、或いはコーターヘッド自体に振動が起こり、前述の横段状の塗布ムラが発生してしまうという問題があった。
【0005】
また、連続的に塗布している途中に、コーターヘッド先端のリップ部分に、空気中や支持体上に存在した異物、或いは乾燥した塗布膜材料、或いは突発的に発生した泡沫が引っ掛かる事によって、塗布膜面上に塗布スジ不良が発生するトラブルが起こるという問題があった。その為、塗布スジが発生すると一旦装置を停止し、コーターヘッド先端リップ部に専用の異物掻き取りフィルム等を入れ、異物を取り除いた後に再度塗布を開始する必要があるために時間的ロスも大きく、生産性に影響するものであった。
【0006】
また、磁気テープや光学薄膜のような超精密薄膜塗布においては、コーターヘッド先端のリップ部の機械的精度が塗布膜の性能に非常に大きく影響を与える為、高度な加工精度を要求され、加工やメンテナンスにかかる高コスト化が問題となっていた。
【0007】
上記のような課題は、エクストルージョン型コーターに限ったことではなく、前述のカーテンコーター方式、グラビアコーター方式、キスコーター方式、ワイヤーバー方式等の塗布方法においても同様の問題があった。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、一対の上下流側ガイドロールとその間に配設される塗布液アプリケーターで構成される塗布装置において、モーターの振動や各ロールベアリングの振動やコーターヘッド先端のリップ部に異物等の引っかかりあるいはコーターヘッド先端のリップ部の機械的精度の劣化等があっても、それによる塗布ムラを打ち消して、連続的に走行する支持体への均一かつ平滑な塗布を安定的に行うことが出来る塗布装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、離間した一対の上下流側ガイドロールにウェブ状の支持体を連続的に搬送し、該支持体に対し前記一対の上下流側ガイドロールの反対側でかつ該ガイドロールの間に配設された塗布液アプリケーターから前期支持体に塗布液を塗布する塗布装置において、前記塗布液アプリケーターに任意の周波数、任意の振幅、任意の振動方向で振動せしめる振動装置が備えられていることを特徴とする塗布装置である。
【0010】
請求項2の発明は、さらに、連続的に搬送される支持体の塗布部近傍における搬送速度を検出する支持体搬送速度検出手段を備え、かつ該支持体搬送速度検出手段によって測定された速度変動信号を入力として、測定された支持体の速度変動と塗布液アプリケーターの振動を同期させる為の周波数、振幅、振動方向を演算して、塗布液アプリケーターと支持体の位置変動を打ち消す振動を与えるように前記振動装置を制御する、信号演算制御手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の塗布装置である。
【0011】
請求項3の発明は、さらに、連続的に搬送される支持体の塗布部近傍における振動を検出する支持体振動検出手段を備え、該支持体振動検出手段によって測定された振動信号を入力として、測定された支持体の振動と塗布液アプリケーターの振動を同期させる為の周波数、振幅、振動方向を演算して、塗布液アプリケーターと支持体の位置変動を打ち消す振動を与えるように前記振動装置を制御する、信号演算制御手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の塗布装置である。
【0012】
請求項4の発明は、さらに、塗布液アプリケーターの振動を検出する塗布液アプリケーター振動検出手段を備え、該塗布液アプリケーター振動検出手段によって測定された振動信号を入力として、測定された塗布液アプリケーターの振動を打ち消す為の周波数、振幅、振動方向を演算して、塗布液アプリケーターの振動を打ち消す振動を与えるように前記振動装置を制御する、信号演算制御手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗布装置である。
【0013】
請求項5の発明は、さらに、塗布直後の塗布液の膜厚を検出する膜厚検出手段を備え、該膜厚検出手段によって測定された膜厚変動信号を入力として、測定された塗布液の膜厚変動を無くす為の周波数、振幅、振動方向を演算して、塗布液の膜厚変動を無くすような振動を与えるように前記振動装置を制御する、信号演算制御手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗布装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
ここでは、エクストルージョン型コーターヘッドを用いた例をもとに説明する。図1は、エクストルージョン型コーターヘッドを用いた本発明の一実施の形態を示す側面概略図である。
【0016】
図1に示すように、例えば連続的に搬送されるウェブ状の支持体21は、支持体の厚さ、物性、塗布液の粘度、塗布膜厚等によって適切な張力を有し、原反ロール(図示せず)から繰り出され、上流側ガイドロール11側からエクストルージョン型コーターヘッド1に進入し、下流側ガイドロール12を経て、巻き取りロール(図示せず)によって巻き取られる。このエクストルージョン型コーターヘッド1は、支持体21に対して上下流側ガイドロール11、12の反対側かつ中間に配設され、支持体21の厚さ、物性、張力、塗布液の粘度、塗布膜厚等によって、適切な位置に調整が可能となっている。
【0017】
上記エクストルージョン型コーターヘッド1は、任意の周波数、任意の振幅、任意の振動方向で振動させる事が可能な振動装置31上に固定され、外部信号(図示せず)により制御されている。ここで、振動装置は、公知の振動装置を用いることができるが、例えば、動電式振動装置や、電気油圧式振動装置や、圧電素子を使った振動装置を用いることができる。
【0018】
塗布液10は図示しない定量ポンプによりエクストルージョン型コーターヘッド1内に充填され、スリット5を通じてコーター先端リップ部2、3の間より支持体上に塗布される。図1においては単層塗布用のコーターヘッドを用いたが、これに限定されるものではなく、2層以上の多層塗布用のコーターヘッドを適用してもよい。
【0019】
また、図2の側面概略図に示すように、塗布液アプリケーターとして、インキパン4a内の塗布液10をグラビアロール4で支持体21に塗布するグラビア方式によるものでもよい。また、その他図示しないが、例えばキスコーター方式、ワイヤーバー方式、カーテンコーター方式等の塗布方式としてもよい。
【0020】
本発明では、さらに支持体搬送速度検出手段、信号演算制御手段を備えることにより、支持体の速度変動を測定し、測定された信号を元に、塗布液アプリケーターと支持体の位置変動を打ち消すような振動を与えることができる。
【0021】
具体的には、例えば図3の側面概略図に示すように、連続的に搬送される支持体21の3箇所の搬送速度検出手段51、52、53は、支持体21に対し塗布液アプリケーターとしてのコーターヘッド1の反対側、下流側ガイドロール上、上流側ガイドロール上に配設する。ここで、支持体の搬送速度検出手段51、52、53は、レーザーを用いた非接触測定法でも、ローラー等に取りつけたロータリーエンコーダー等を用いた回転数測定法でもよい。また、前記搬送速度検出手段は、これらのいずれか一箇所、或いはその組み合わせの位置に配置されてもよい。測定された支持体の搬送速度信号は信号演算制御手段41に送られ、支持体21とコーターヘッド1の位置変動を打ち消すための制御信号が演算され、コーターヘッド1に付設された振動装置31に送られる。そして振動装置31により振動を発生させ、支持体21とコーターヘッド1の位置変動を打ち消すことができる。
【0022】
例えば他の振動はないものとし、搬送速度検出手段により検出された速度変動のみに注目した例で更に詳しく説明すると、検出された速度変動が、支持体の進行方向において、横軸に時間、縦軸に速度をとったある波形で表わされるとすると、振動装置31により加える振動は、発生する振動の波形が、横軸に時間、縦軸に支持体の進行方向の速度をとったある波形で表わされ、検出された速度変動の波形に同期するようにすればよい。そうすることで塗布液アプリケーターと支持体21の相対速度は一定になるため、塗布ムラが解消できる。このように検出された速度変動の波形に応じて、振動を加えていけばよい。
【0023】
本発明では、さらに支持体振動検出手段、信号演算制御手段を備えることにより、支持体の振動を測定し、測定された信号を元に、支持体と塗布液アプリケーターの相対的位置変動を打ち消すような振動を与えることができる。
【0024】
具体的には、例えば図4の側面概略図に示すように、連続的に搬送されるウェブ状の支持体21の3箇所の支持体振動検出手段54、55、56は、支持体に対し塗布液アプリケーターとしてのコーターヘッド1の反対側かつこのコーターヘッド1に対し上流側、直上、下流側に配設する。ここで、支持体振動検出手段54、55、56は、レーザーを用いた非接触測定法でも、接触式の変位計でもよい。また、前記支持体振動検出手段は、これらのいずれか一箇所、或いはその組み合わせの位置に配置されていてもよい。測定された支持体の振動信号は信号演算制御手段41に送られ、支持体21とコーターヘッド1の相対的位置変動を打ち消すための制御信号が演算され、コーターヘッド1に付設された振動装置31に送られる。そして振動装置31により振動を発生させ、支持体21とコーターヘッド1の相対的位置変動を打ち消すことができる。
【0025】
例えば他の振動はないものとし、支持体振動検出手段により検出された振動のみに注目した例で更に詳しく説明すると、例えば、支持体のある一点で検出された振動が、支持体の法線方向で振動しており、横軸に時間、縦軸に高さをとったある波形で表わされるとすると、振動装置31により加える振動は、発生する振動の波形が、検出された振動の波形に同期するようにすればよい。そうすることで塗布液アプリケーターと支持体21の相対的位置変動がなくなるため、塗布ムラが解消できる。このように検出された支持体の振動の波形に応じて、振動を加えていけばよい。
【0026】
本発明では、さらに塗布液アプリケーター振動検出手段、信号演算制御手段を備えることにより、塗布液アプリケーターの振動を測定し、測定された信号を元に、塗布液アプリケーターの振動を打ち消すような振動を与えることができる。
【0027】
具体的には、例えば図5の側面概略図に示すように、塗布液アプリケーターとしてのコーターヘッド1の塗布液アプリケーター振動検出手段57は、コーターヘッド1のいずれかの位置に配置されており、振動検出手段57により測定されたコーターヘッド1の振動信号は、信号演算制御手段41に送られ、コーターヘッド1の振動を打ち消す制御信号が演算され、振動装置31に送られる。そして振動装置31により振動を発生させ、コーターヘッド1の振動を打ち消すことができる。
ここで、コーターヘッド1の塗布液アプリケーター振動検出手段57は、レーザーを用いた非接触測定法でも、加速度ピックアップを用いた接触式測定法でも、接触式変位計を用いた方法でもよい。
【0028】
例えば、他の振動はないものとし、塗布液アプリケーター振動検出手段57により検出された振動のみに注目した例で更に詳しく説明すると、振動装置31で加える振動は、検出された振動の波形と逆の波形になるようにすればよい。
【0029】
本発明では、さらに膜厚検出手段、信号演算制御手段を備えることにより、塗布直後の塗布液の膜厚変動を測定し、測定された信号を元に、膜厚変動を消すような振動を与えることができる。
【0030】
具体的には、例えば図6の側面概略図に示すように、塗布直後の塗布液の膜厚を検出する塗布膜厚検出手段58は、塗布液アプリケーターとしてのコーターヘッド1の直後の位置に配設する。ここで、塗」布液の塗布膜厚検出手段58は、レーザー光を用いた非接触測定法でも、可視光を用いた非接触測定法でも、超音波を使った非接触測定法でも、赤外線を使った非接触測定法でも、放射線を使った非接触測定法でもよい。測定された塗布液の膜厚変動信号は信号演算制御手段41に送られ、塗布液の膜厚変動を無くす為の制御信号が演算され、振動装置31に送られる。そして振動装置31により振動を発生させ、膜厚変動を打ち消すことができる。
【0031】
例えば、他の振動はないものとし、塗布膜厚検出手段58により検出された膜厚変動のみに注目した例で更に詳しく説明する。検出された膜厚変動が、横軸に時間、縦軸に膜厚をとったある波形で表わされるとすると、振動装置31で加える振動は、時間を横軸に、支持体21と塗布液アプリケーターとしてのコーターヘッド1の相対速度を縦軸にとった波形で表わされる振動を加える。ここで、検出された膜厚が厚くなる時にアプリケーターが支持体と接する時間が短くなるように、すなわち支持体とアプリケーターの相対速度を速くするようにし、検出された膜厚が薄い時には逆にすればよい。このように検出された膜厚変動の波形に応じて、振動を加えていけばよい。
【0032】
また、本発明では、前記した支持体搬送速度検出手段、支持体振動検出手段、塗布液アプリケーター振動検出手段、膜厚検出手段から選ばれる信号検出手段を自由に組み合わせてもよく、この場合の信号演算制御手段41は共通でも構わない。
ここでは、発生する振動の一つ一つに注目し説明したが、実際には様々な要因による振動が複雑に関係しており、上記したような各検出手段を組み合わせて用いることが有効である。組み合わせて用いる時、振動装置31により加える振動は、それぞれの検出手段により検出された振動、変動を演算し、検出された振動それぞれの振動を打ち消す振動を演算し、それらを合わせた振動を加えることで、検出された全ての振動を打ち消すように振動を与えることができる。
【0033】
また、本発明では、図7の概略説明図を示したように、各信号検出手段を用いた発明の計測信号を元にした制御信号による振動以外にも、信号演算制御手段には任意に振動を与えられる機能を備えてもよい。
【0034】
【実施例】
次に実施例により、本発明を具体的に説明する。
【0035】
<実施例1>
図8に示すように、支持体搬送速度検出手段、支持体振動検出手段、塗布液アプリケーター振動検出手段、膜厚検出手段を組み合わせ、各信号検出手段から得られた入力信号による信号演算制御手段を備える塗布装置を用いて塗布を行った。塗布液アプリケーターにはエクストルージョン型コーターヘッド1を用い、振動装置には動電式振動装置を用いた。支持体の搬送速度検出手段52にはレーザードップラー方式の非接触速度計を用い、支持体21に対しコーターヘッド1の反対側に一箇所設置した。支持体の振動検出手段54、56にはレーザードップラー方式の非接触振動計を用い、支持体21に対しコーターヘッド1の反対側かつこのコーターヘッド1に対し上流側、下流側に各一箇所ずつ配設した。コーターヘッド1の振動検出手段には圧電型三軸加速度ピックアップを用い、コーターヘッド1の側面一箇所に設置した。塗布膜厚検出手段58にはレーザー方式の変位計を用い、コーターヘッド1の直後の位置に一箇所設置した。信号演算制御手段41には、FFT解析装置及び演算制御コンピューター、アンプよりなる装置を用い、振動装置の制御を行った。
【0036】
支持体には厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、塗布液としては下記組成のものを用い、塗布速度を50m/minとし、塗布厚さが10〜15μm(wet)となるように塗布を行った。
【0037】
〔塗布液の組成〕
メチルエチルケトン;50重量部
エポキシ系樹脂;50重量部
粘度は200mPa・s
【0038】
上記条件で連続塗布を行ったところ、横段状の塗布ムラの発生もなく、均一塗布に成功した。また、突発的な異物による塗布スジが発生したが、3軸方向に30Hz振幅50μmの振動を与えたところ、塗布スジが解消し均一塗布に成功した。
【0039】
<比較例>
図9に示すように、従来の振動装置を備えない固定型エクストルージョンコーターヘッド1を用いて、上記実施例とほぼ同条件で塗布を行ったところ、モーターのコギングやローラーのベアリング等の振動による支持体の搬送速度変動や、基材振動、コーターヘッド1の振動が原因と考えられる横段状の塗布ムラを解消する事は出来なかった。また、連続塗布中にコーターヘッド1の上下流側リップ部2、3に異物が侵入する事による塗布スジが発生し、装置停止、異物掻き取り作業等により、材料、時間のロスとなった。
【0040】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記の如き効果がある。
即ち、本発明によれば、塗布液アプリケーターを任意の周波数、任意の振幅、任意の振動方向で振動させる振動装置を備えた塗布装置とすることによって、従来の振動装置を備えない方法に比べ、各種発生する振動などを打ち消すような振動を塗布液アプリケーターに与えることができ、結果均一な厚さの薄膜を塗布することができる。すなわち、モーターのコギング現象やローラーのベアリング等の振動による支持体の搬送速度変動や、支持体の振動、コーターヘッドの振動が原因と考えられる横段状の塗布ムラを解消することができる。また、支持体搬送速度検出手段、支持体振動検出手段、塗布液アプリケーター振動検出手段、膜厚検出手段、信号演算制御手段を用いることにより、精度よく各種発生する振動などを打ち消し、塗布ムラを解消することができる。また、突発的に発生した異物によるスジ不良を、装置を停止することなく迅速に解消することもできる。
【0041】
従って本発明は、連続して走行するウェブ上の支持体上に、均一な厚さの薄膜を塗布する塗布装置として、優れた実用上の効果を発揮する。
【0042】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塗布装置の一実施形態を側面で表した概略図である。
【図2】本発明の塗布装置の他の形態を側面で表した図である
【図3】支持体搬送速度検出手段を用いたの塗布装置の一例を表した概略図である。
【図4】支持体振動検出手段を用いたの塗布装置の一例を表した概略図である。
【図5】塗布液アプリケーター振動検出手段を用いた塗布装置の一例を表した概略図である。
【図6】膜厚検出手段を用いた塗布装置の一例を表した概略図である。
【図7】本発明の信号検出、制御を表わすチャート図である。
【図8】各信号検出手段を用いた塗布装置の一実施例を表した概略図である。
【図9】従来の塗布装置の一実施例を側面で表した概略図である。
【符号の説明】
1・・・コーターヘッド(塗布液アプリケーター)
2・・・上流側リップ部
3・・・下流側リップ部
4・・・グラビアロール(塗布液アプリケーター)
4a・・・インキパン
5・・・スリット
10・・・塗布液
11・・・上流側ガイドロール
12・・・下流側ガイドロール
21・・・支持体
31・・・振動装置
41・・・信号演算制御手段
51、52、53・・・支持体の搬送速度検出手段
54、55、56・・・支持体の振動検出手段
57・・・塗布液アプリケーターの振動検出手段
58・・・膜厚検出手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続して走行する支持体上に、均一な厚さの薄膜を塗布する塗布装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
連続して搬送されるウェブ状で可撓性の支持体表面に、均一な塗布膜を形成する方法は、これまでに種々検討され行われている。その各種塗布方法の中で代表的なものに、エクストルージョン型コーター方式、カーテンコーター方式、グラビアコーター方式、キスコーター方式、ワイヤーバー方式等が考えられ、様々な分野の膜形成法として適用されている。
【0003】
薄膜形成法の一つで、エクストルージョン型コーターを用いた代表的な塗布方式の一事例として、例えば図9に示すようなコーターヘッド1の上流側及び下流側に一定の間隔をおいて配置された一対の上下流側ガイドロール11、12に、連続して走行する支持体21を案内して、この両ガイドロール11、12の間に配置したコーターヘッド1から直接支持体21表面へ塗布液を押し出すことにより均一かつ平滑に、かつ薄く塗布する方式が知られている(特開平9−122572号公報)。この方式の場合、一対の上下流側ガイドロール11、12の間で連続的に走行する支持体21に、塗布液を押し出すコーターヘッド1の先端の上下流側リップ部2、3を押し付けるように配設する事によって、コーターヘッド1のマニホールドから押し出される塗布液10の押し出し量に対応した塗布圧力と、支持体21がコーターヘッド1によって押し付けられ撓む事によって生じる反力とのバランスにより、コーターヘッド1の先端の上下流側リップ部2、3と支持体21表面との間隔を変化させることにより塗布を行うことが可能となる塗布装置である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記塗布方式による塗布においては、乾燥炉の風やその他モーター振動、モーターのコギングやロールのベアリング振動、ガイドロール間の支持体に起こる特有の振動等によって、塗布される支持体に走行速度変動や振動が起こり、コーターヘッド先端の塗布部分での支持体の反発力に微少な変化が生じ、コーターヘッドの先端のリップ部分と支持体表面との間隔が変動してしまい、塗布方向に横段状の塗布ムラが発生してしまうという問題、或いはコーターヘッド自体に振動が起こり、前述の横段状の塗布ムラが発生してしまうという問題があった。
【0005】
また、連続的に塗布している途中に、コーターヘッド先端のリップ部分に、空気中や支持体上に存在した異物、或いは乾燥した塗布膜材料、或いは突発的に発生した泡沫が引っ掛かる事によって、塗布膜面上に塗布スジ不良が発生するトラブルが起こるという問題があった。その為、塗布スジが発生すると一旦装置を停止し、コーターヘッド先端リップ部に専用の異物掻き取りフィルム等を入れ、異物を取り除いた後に再度塗布を開始する必要があるために時間的ロスも大きく、生産性に影響するものであった。
【0006】
また、磁気テープや光学薄膜のような超精密薄膜塗布においては、コーターヘッド先端のリップ部の機械的精度が塗布膜の性能に非常に大きく影響を与える為、高度な加工精度を要求され、加工やメンテナンスにかかる高コスト化が問題となっていた。
【0007】
上記のような課題は、エクストルージョン型コーターに限ったことではなく、前述のカーテンコーター方式、グラビアコーター方式、キスコーター方式、ワイヤーバー方式等の塗布方法においても同様の問題があった。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、一対の上下流側ガイドロールとその間に配設される塗布液アプリケーターで構成される塗布装置において、モーターの振動や各ロールベアリングの振動やコーターヘッド先端のリップ部に異物等の引っかかりあるいはコーターヘッド先端のリップ部の機械的精度の劣化等があっても、それによる塗布ムラを打ち消して、連続的に走行する支持体への均一かつ平滑な塗布を安定的に行うことが出来る塗布装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、離間した一対の上下流側ガイドロールにウェブ状の支持体を連続的に搬送し、該支持体に対し前記一対の上下流側ガイドロールの反対側でかつ該ガイドロールの間に配設された塗布液アプリケーターから前期支持体に塗布液を塗布する塗布装置において、前記塗布液アプリケーターに任意の周波数、任意の振幅、任意の振動方向で振動せしめる振動装置が備えられていることを特徴とする塗布装置である。
【0010】
請求項2の発明は、さらに、連続的に搬送される支持体の塗布部近傍における搬送速度を検出する支持体搬送速度検出手段を備え、かつ該支持体搬送速度検出手段によって測定された速度変動信号を入力として、測定された支持体の速度変動と塗布液アプリケーターの振動を同期させる為の周波数、振幅、振動方向を演算して、塗布液アプリケーターと支持体の位置変動を打ち消す振動を与えるように前記振動装置を制御する、信号演算制御手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の塗布装置である。
【0011】
請求項3の発明は、さらに、連続的に搬送される支持体の塗布部近傍における振動を検出する支持体振動検出手段を備え、該支持体振動検出手段によって測定された振動信号を入力として、測定された支持体の振動と塗布液アプリケーターの振動を同期させる為の周波数、振幅、振動方向を演算して、塗布液アプリケーターと支持体の位置変動を打ち消す振動を与えるように前記振動装置を制御する、信号演算制御手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の塗布装置である。
【0012】
請求項4の発明は、さらに、塗布液アプリケーターの振動を検出する塗布液アプリケーター振動検出手段を備え、該塗布液アプリケーター振動検出手段によって測定された振動信号を入力として、測定された塗布液アプリケーターの振動を打ち消す為の周波数、振幅、振動方向を演算して、塗布液アプリケーターの振動を打ち消す振動を与えるように前記振動装置を制御する、信号演算制御手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗布装置である。
【0013】
請求項5の発明は、さらに、塗布直後の塗布液の膜厚を検出する膜厚検出手段を備え、該膜厚検出手段によって測定された膜厚変動信号を入力として、測定された塗布液の膜厚変動を無くす為の周波数、振幅、振動方向を演算して、塗布液の膜厚変動を無くすような振動を与えるように前記振動装置を制御する、信号演算制御手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗布装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
ここでは、エクストルージョン型コーターヘッドを用いた例をもとに説明する。図1は、エクストルージョン型コーターヘッドを用いた本発明の一実施の形態を示す側面概略図である。
【0016】
図1に示すように、例えば連続的に搬送されるウェブ状の支持体21は、支持体の厚さ、物性、塗布液の粘度、塗布膜厚等によって適切な張力を有し、原反ロール(図示せず)から繰り出され、上流側ガイドロール11側からエクストルージョン型コーターヘッド1に進入し、下流側ガイドロール12を経て、巻き取りロール(図示せず)によって巻き取られる。このエクストルージョン型コーターヘッド1は、支持体21に対して上下流側ガイドロール11、12の反対側かつ中間に配設され、支持体21の厚さ、物性、張力、塗布液の粘度、塗布膜厚等によって、適切な位置に調整が可能となっている。
【0017】
上記エクストルージョン型コーターヘッド1は、任意の周波数、任意の振幅、任意の振動方向で振動させる事が可能な振動装置31上に固定され、外部信号(図示せず)により制御されている。ここで、振動装置は、公知の振動装置を用いることができるが、例えば、動電式振動装置や、電気油圧式振動装置や、圧電素子を使った振動装置を用いることができる。
【0018】
塗布液10は図示しない定量ポンプによりエクストルージョン型コーターヘッド1内に充填され、スリット5を通じてコーター先端リップ部2、3の間より支持体上に塗布される。図1においては単層塗布用のコーターヘッドを用いたが、これに限定されるものではなく、2層以上の多層塗布用のコーターヘッドを適用してもよい。
【0019】
また、図2の側面概略図に示すように、塗布液アプリケーターとして、インキパン4a内の塗布液10をグラビアロール4で支持体21に塗布するグラビア方式によるものでもよい。また、その他図示しないが、例えばキスコーター方式、ワイヤーバー方式、カーテンコーター方式等の塗布方式としてもよい。
【0020】
本発明では、さらに支持体搬送速度検出手段、信号演算制御手段を備えることにより、支持体の速度変動を測定し、測定された信号を元に、塗布液アプリケーターと支持体の位置変動を打ち消すような振動を与えることができる。
【0021】
具体的には、例えば図3の側面概略図に示すように、連続的に搬送される支持体21の3箇所の搬送速度検出手段51、52、53は、支持体21に対し塗布液アプリケーターとしてのコーターヘッド1の反対側、下流側ガイドロール上、上流側ガイドロール上に配設する。ここで、支持体の搬送速度検出手段51、52、53は、レーザーを用いた非接触測定法でも、ローラー等に取りつけたロータリーエンコーダー等を用いた回転数測定法でもよい。また、前記搬送速度検出手段は、これらのいずれか一箇所、或いはその組み合わせの位置に配置されてもよい。測定された支持体の搬送速度信号は信号演算制御手段41に送られ、支持体21とコーターヘッド1の位置変動を打ち消すための制御信号が演算され、コーターヘッド1に付設された振動装置31に送られる。そして振動装置31により振動を発生させ、支持体21とコーターヘッド1の位置変動を打ち消すことができる。
【0022】
例えば他の振動はないものとし、搬送速度検出手段により検出された速度変動のみに注目した例で更に詳しく説明すると、検出された速度変動が、支持体の進行方向において、横軸に時間、縦軸に速度をとったある波形で表わされるとすると、振動装置31により加える振動は、発生する振動の波形が、横軸に時間、縦軸に支持体の進行方向の速度をとったある波形で表わされ、検出された速度変動の波形に同期するようにすればよい。そうすることで塗布液アプリケーターと支持体21の相対速度は一定になるため、塗布ムラが解消できる。このように検出された速度変動の波形に応じて、振動を加えていけばよい。
【0023】
本発明では、さらに支持体振動検出手段、信号演算制御手段を備えることにより、支持体の振動を測定し、測定された信号を元に、支持体と塗布液アプリケーターの相対的位置変動を打ち消すような振動を与えることができる。
【0024】
具体的には、例えば図4の側面概略図に示すように、連続的に搬送されるウェブ状の支持体21の3箇所の支持体振動検出手段54、55、56は、支持体に対し塗布液アプリケーターとしてのコーターヘッド1の反対側かつこのコーターヘッド1に対し上流側、直上、下流側に配設する。ここで、支持体振動検出手段54、55、56は、レーザーを用いた非接触測定法でも、接触式の変位計でもよい。また、前記支持体振動検出手段は、これらのいずれか一箇所、或いはその組み合わせの位置に配置されていてもよい。測定された支持体の振動信号は信号演算制御手段41に送られ、支持体21とコーターヘッド1の相対的位置変動を打ち消すための制御信号が演算され、コーターヘッド1に付設された振動装置31に送られる。そして振動装置31により振動を発生させ、支持体21とコーターヘッド1の相対的位置変動を打ち消すことができる。
【0025】
例えば他の振動はないものとし、支持体振動検出手段により検出された振動のみに注目した例で更に詳しく説明すると、例えば、支持体のある一点で検出された振動が、支持体の法線方向で振動しており、横軸に時間、縦軸に高さをとったある波形で表わされるとすると、振動装置31により加える振動は、発生する振動の波形が、検出された振動の波形に同期するようにすればよい。そうすることで塗布液アプリケーターと支持体21の相対的位置変動がなくなるため、塗布ムラが解消できる。このように検出された支持体の振動の波形に応じて、振動を加えていけばよい。
【0026】
本発明では、さらに塗布液アプリケーター振動検出手段、信号演算制御手段を備えることにより、塗布液アプリケーターの振動を測定し、測定された信号を元に、塗布液アプリケーターの振動を打ち消すような振動を与えることができる。
【0027】
具体的には、例えば図5の側面概略図に示すように、塗布液アプリケーターとしてのコーターヘッド1の塗布液アプリケーター振動検出手段57は、コーターヘッド1のいずれかの位置に配置されており、振動検出手段57により測定されたコーターヘッド1の振動信号は、信号演算制御手段41に送られ、コーターヘッド1の振動を打ち消す制御信号が演算され、振動装置31に送られる。そして振動装置31により振動を発生させ、コーターヘッド1の振動を打ち消すことができる。
ここで、コーターヘッド1の塗布液アプリケーター振動検出手段57は、レーザーを用いた非接触測定法でも、加速度ピックアップを用いた接触式測定法でも、接触式変位計を用いた方法でもよい。
【0028】
例えば、他の振動はないものとし、塗布液アプリケーター振動検出手段57により検出された振動のみに注目した例で更に詳しく説明すると、振動装置31で加える振動は、検出された振動の波形と逆の波形になるようにすればよい。
【0029】
本発明では、さらに膜厚検出手段、信号演算制御手段を備えることにより、塗布直後の塗布液の膜厚変動を測定し、測定された信号を元に、膜厚変動を消すような振動を与えることができる。
【0030】
具体的には、例えば図6の側面概略図に示すように、塗布直後の塗布液の膜厚を検出する塗布膜厚検出手段58は、塗布液アプリケーターとしてのコーターヘッド1の直後の位置に配設する。ここで、塗」布液の塗布膜厚検出手段58は、レーザー光を用いた非接触測定法でも、可視光を用いた非接触測定法でも、超音波を使った非接触測定法でも、赤外線を使った非接触測定法でも、放射線を使った非接触測定法でもよい。測定された塗布液の膜厚変動信号は信号演算制御手段41に送られ、塗布液の膜厚変動を無くす為の制御信号が演算され、振動装置31に送られる。そして振動装置31により振動を発生させ、膜厚変動を打ち消すことができる。
【0031】
例えば、他の振動はないものとし、塗布膜厚検出手段58により検出された膜厚変動のみに注目した例で更に詳しく説明する。検出された膜厚変動が、横軸に時間、縦軸に膜厚をとったある波形で表わされるとすると、振動装置31で加える振動は、時間を横軸に、支持体21と塗布液アプリケーターとしてのコーターヘッド1の相対速度を縦軸にとった波形で表わされる振動を加える。ここで、検出された膜厚が厚くなる時にアプリケーターが支持体と接する時間が短くなるように、すなわち支持体とアプリケーターの相対速度を速くするようにし、検出された膜厚が薄い時には逆にすればよい。このように検出された膜厚変動の波形に応じて、振動を加えていけばよい。
【0032】
また、本発明では、前記した支持体搬送速度検出手段、支持体振動検出手段、塗布液アプリケーター振動検出手段、膜厚検出手段から選ばれる信号検出手段を自由に組み合わせてもよく、この場合の信号演算制御手段41は共通でも構わない。
ここでは、発生する振動の一つ一つに注目し説明したが、実際には様々な要因による振動が複雑に関係しており、上記したような各検出手段を組み合わせて用いることが有効である。組み合わせて用いる時、振動装置31により加える振動は、それぞれの検出手段により検出された振動、変動を演算し、検出された振動それぞれの振動を打ち消す振動を演算し、それらを合わせた振動を加えることで、検出された全ての振動を打ち消すように振動を与えることができる。
【0033】
また、本発明では、図7の概略説明図を示したように、各信号検出手段を用いた発明の計測信号を元にした制御信号による振動以外にも、信号演算制御手段には任意に振動を与えられる機能を備えてもよい。
【0034】
【実施例】
次に実施例により、本発明を具体的に説明する。
【0035】
<実施例1>
図8に示すように、支持体搬送速度検出手段、支持体振動検出手段、塗布液アプリケーター振動検出手段、膜厚検出手段を組み合わせ、各信号検出手段から得られた入力信号による信号演算制御手段を備える塗布装置を用いて塗布を行った。塗布液アプリケーターにはエクストルージョン型コーターヘッド1を用い、振動装置には動電式振動装置を用いた。支持体の搬送速度検出手段52にはレーザードップラー方式の非接触速度計を用い、支持体21に対しコーターヘッド1の反対側に一箇所設置した。支持体の振動検出手段54、56にはレーザードップラー方式の非接触振動計を用い、支持体21に対しコーターヘッド1の反対側かつこのコーターヘッド1に対し上流側、下流側に各一箇所ずつ配設した。コーターヘッド1の振動検出手段には圧電型三軸加速度ピックアップを用い、コーターヘッド1の側面一箇所に設置した。塗布膜厚検出手段58にはレーザー方式の変位計を用い、コーターヘッド1の直後の位置に一箇所設置した。信号演算制御手段41には、FFT解析装置及び演算制御コンピューター、アンプよりなる装置を用い、振動装置の制御を行った。
【0036】
支持体には厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、塗布液としては下記組成のものを用い、塗布速度を50m/minとし、塗布厚さが10〜15μm(wet)となるように塗布を行った。
【0037】
〔塗布液の組成〕
メチルエチルケトン;50重量部
エポキシ系樹脂;50重量部
粘度は200mPa・s
【0038】
上記条件で連続塗布を行ったところ、横段状の塗布ムラの発生もなく、均一塗布に成功した。また、突発的な異物による塗布スジが発生したが、3軸方向に30Hz振幅50μmの振動を与えたところ、塗布スジが解消し均一塗布に成功した。
【0039】
<比較例>
図9に示すように、従来の振動装置を備えない固定型エクストルージョンコーターヘッド1を用いて、上記実施例とほぼ同条件で塗布を行ったところ、モーターのコギングやローラーのベアリング等の振動による支持体の搬送速度変動や、基材振動、コーターヘッド1の振動が原因と考えられる横段状の塗布ムラを解消する事は出来なかった。また、連続塗布中にコーターヘッド1の上下流側リップ部2、3に異物が侵入する事による塗布スジが発生し、装置停止、異物掻き取り作業等により、材料、時間のロスとなった。
【0040】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記の如き効果がある。
即ち、本発明によれば、塗布液アプリケーターを任意の周波数、任意の振幅、任意の振動方向で振動させる振動装置を備えた塗布装置とすることによって、従来の振動装置を備えない方法に比べ、各種発生する振動などを打ち消すような振動を塗布液アプリケーターに与えることができ、結果均一な厚さの薄膜を塗布することができる。すなわち、モーターのコギング現象やローラーのベアリング等の振動による支持体の搬送速度変動や、支持体の振動、コーターヘッドの振動が原因と考えられる横段状の塗布ムラを解消することができる。また、支持体搬送速度検出手段、支持体振動検出手段、塗布液アプリケーター振動検出手段、膜厚検出手段、信号演算制御手段を用いることにより、精度よく各種発生する振動などを打ち消し、塗布ムラを解消することができる。また、突発的に発生した異物によるスジ不良を、装置を停止することなく迅速に解消することもできる。
【0041】
従って本発明は、連続して走行するウェブ上の支持体上に、均一な厚さの薄膜を塗布する塗布装置として、優れた実用上の効果を発揮する。
【0042】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塗布装置の一実施形態を側面で表した概略図である。
【図2】本発明の塗布装置の他の形態を側面で表した図である
【図3】支持体搬送速度検出手段を用いたの塗布装置の一例を表した概略図である。
【図4】支持体振動検出手段を用いたの塗布装置の一例を表した概略図である。
【図5】塗布液アプリケーター振動検出手段を用いた塗布装置の一例を表した概略図である。
【図6】膜厚検出手段を用いた塗布装置の一例を表した概略図である。
【図7】本発明の信号検出、制御を表わすチャート図である。
【図8】各信号検出手段を用いた塗布装置の一実施例を表した概略図である。
【図9】従来の塗布装置の一実施例を側面で表した概略図である。
【符号の説明】
1・・・コーターヘッド(塗布液アプリケーター)
2・・・上流側リップ部
3・・・下流側リップ部
4・・・グラビアロール(塗布液アプリケーター)
4a・・・インキパン
5・・・スリット
10・・・塗布液
11・・・上流側ガイドロール
12・・・下流側ガイドロール
21・・・支持体
31・・・振動装置
41・・・信号演算制御手段
51、52、53・・・支持体の搬送速度検出手段
54、55、56・・・支持体の振動検出手段
57・・・塗布液アプリケーターの振動検出手段
58・・・膜厚検出手段
Claims (5)
- 離間した一対の上下流側ガイドロールにウェブ状の支持体を連続的に搬送し、該支持体に対し前記一対の上下流側ガイドロールの反対側でかつ該ガイドロールの間に配設された塗布液アプリケーターから前期支持体に塗布液を塗布する塗布装置において、前記塗布液アプリケーターに任意の周波数、任意の振幅、任意の振動方向で振動せしめる振動装置が備えられていることを特徴とする塗布装置。
- さらに、連続的に搬送される支持体の塗布部近傍における搬送速度を検出する支持体搬送速度検出手段を備え、かつ該支持体搬送速度検出手段によって測定された速度変動信号を入力として、測定された支持体の速度変動と塗布液アプリケーターの振動を同期させる為の周波数、振幅、振動方向を演算して、塗布液アプリケーターと支持体の位置変動を打ち消す振動を与えるように前記振動装置を制御する、信号演算制御手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の塗布装置。
- さらに、連続的に搬送される支持体の塗布部近傍における振動を検出する支持体振動検出手段を備え、該支持体振動検出手段によって測定された振動信号を入力として、測定された支持体の振動と塗布液アプリケーターの振動を同期させる為の周波数、振幅、振動方向を演算して、塗布液アプリケーターと支持体の位置変動を打ち消す振動を与えるように前記振動装置を制御する、信号演算制御手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の塗布装置。
- さらに、塗布液アプリケーターの振動を検出する塗布液アプリケーター振動検出手段を備え、該塗布液アプリケーター振動検出手段によって測定された振動信号を入力として、測定された塗布液アプリケーターの振動を打ち消す為の周波数、振幅、振動方向を演算して、塗布液アプリケーターの振動を打ち消す振動を与えるように前記振動装置を制御する、信号演算制御手段を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗布装置。
- さらに、塗布直後の塗布液の膜厚を検出する膜厚検出手段を備え、該膜厚検出手段によって測定された膜厚変動信号を入力として、測定された塗布液の膜厚変動を無くす為の周波数、振幅、振動方向を演算して、塗布液の膜厚変動を無くすような振動を与えるように前記振動装置を制御する、信号演算制御手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の塗布装置。
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