JP2010063950A - 塗布装置及び塗布方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 膜の厚さ精度が高く、かつ、表面が平滑で塗布ムラのない塗布膜を得ることができる塗布装置及び塗布方法を提供する。
【解決手段】 塗布装置は、長手方向に走行する長尺状のウエブ16を外周面で支持するバックアップローラ20と、バックアップローラ20と一定間隔を離れて対向配置され、塗布液をウエブに供給する塗布ヘッド18と、塗布ヘッド18とバックアップローラ20とを上面で支持する架台30と、架台30の底面に配置された能動型除振装置32を備える。能動型除振装置32が架台30を支持し、駆動するためのアクチュエータ33と、架台30の振動を検出する第1のセンサ34と、基礎の振動を検出する第2のセンサ35と、バックアップローラ20の振動を検出する第3のセンサ36と、各センサの情報に基づいて振動を打ち消すための制御入力が作成される制御器38を備える。
【選択図】 図2
【解決手段】 塗布装置は、長手方向に走行する長尺状のウエブ16を外周面で支持するバックアップローラ20と、バックアップローラ20と一定間隔を離れて対向配置され、塗布液をウエブに供給する塗布ヘッド18と、塗布ヘッド18とバックアップローラ20とを上面で支持する架台30と、架台30の底面に配置された能動型除振装置32を備える。能動型除振装置32が架台30を支持し、駆動するためのアクチュエータ33と、架台30の振動を検出する第1のセンサ34と、基礎の振動を検出する第2のセンサ35と、バックアップローラ20の振動を検出する第3のセンサ36と、各センサの情報に基づいて振動を打ち消すための制御入力が作成される制御器38を備える。
【選択図】 図2
Description
本発明は塗布装置及び塗布方法に関し、特に連続して走行するウエブ(帯状支持体)上に、塗布液を塗布して、均一な厚さの塗布膜面を形成する塗布装置及び塗布方法に関する。
写真感光材料や磁気記録媒体等の分野において、連続走行する帯状の可撓性支持体(以下、「ウエブ」という)上に所定の塗布液を塗布して塗布膜を形成する塗布工程が採用されている。近年、これらの分野において、塗布膜の厚さ精度が高く、かつ、表面が平滑で塗布ムラのない塗布膜を得ることのできる塗布技術が求められている。
同様に、光学補償フィルム、反射防止フィルム、防眩性フィルム等の各種の機能を有する光学フィルムの製造に適用される塗布工程においても、上記のような塗布技術が求められている。
塗布液をウエブ面に塗布する塗布装置としては、たとえば、ロールコータ型、グラビアコート型、ロールコートプラスドクター型、リバースロールコータ型、エクストルージョン型、スライドコート型等があり、用途に応じて使い分けられているのが現状である。
これらのいずれの塗布装置においても、塗布膜の厚さ精度が高く、表面が平滑で塗布ムラのない塗布膜を得るために、塗布時の振動を除去することが重要である。
塗布時の振動を除去方法として特許文献1には、能動型除振装置を塗布部に適用することが開示されている。また、特許文献2には、塗布ヘッドに振動を与えることにより、ウエブと塗布ヘッドとの距離を一定に保つ塗布装置が開示されている。
特開2005−319385号公報
特開2004−89896号公報
ところで、塗布ヘッドとウエブを支持するバックアップローラを一つの架台上に固定し、前記架台の底面に能動型除振装置を設置した塗布装置においては、バックアップローラの回転に伴う振動、例えば、バックアップローラの偏心やブレなどが、加振源となって前記架台を振動させる場合があった。そのような外乱振動が塗布装置に生じると、その振動により塗布液の流れに変動が生じ、結果的に塗布ムラなどの故障が起きる原因となっていた。
このような状況下において、特許文献1及び特許文献2では外乱振動の除去に対して充分とはいえず、塗布ムラが生じるおそれがあった。その問題を解決するため、塗布ヘッドとウエブを支持するバックアップローラを固定して、塗布ヘッドとバックアップローラの距離を一定にしても、バックアップローラの回転に伴う振動による塗布ムラを防止することは困難であった。また、別の解決策としてバックアップローラの偏心やブレを抑えるため加工精度や取付精度を上げることも考えられるが、加工費の上昇や工期の延長を引き起こしてしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、膜の厚さ精度が高く、かつ、表面が平滑で塗布ムラのない塗布膜を得ることができる塗布装置及び塗布方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の塗布装置は、長手方向に走行する長尺状のウエブを外周面で支持するバックアップローラと、前記バックアップローラと一定間隔を離れて対向配置され、塗布液をウエブに供給する塗布液供給部と、前記塗布液供給部と前記バックアップローラとを上面で支持する一の架台と、前記架台の底面に設けられた能動型除振装置と、を備え、前記能動型除振装置が、前記架台の振動を検出する第1のセンサと、前記第1のセンサの出力信号に基づいて架台の振動を打ち消すための制御入力を作るフィードバック制御手段と、前記架台が設置される基礎の振動を検出する第2のセンサと、前記第2のセンサの出力信号に基づいて基礎振動を打ち消すための制御入力を作成するフィードフォワード制御手段と、前記バックアップローラの1回転成分の振れを検出する第3のセンサと、前記第3のセンサの出力信号に基づいて前記バックアップローラの振動を打ち消すための制御入力を作成するフィードフォワード制御手段と、前記架台を支持し、前記制御入力により駆動されるアクチュエータと、を備えていることを特徴とする。
本発明は、バックアップローラの1回転成分の振れによって前後上下する振動に対して、バックアップローラに第3のセンサと、第3のセンサの出力信号に基づいてバックアップローラの振動を打ち消すための制御入力を作成するフィードフォワード制御手段を備えている。これにより、バックアップローラによる振動の影響を少なくすることができる。
本発明の塗布装置は、前記発明において、前記第3のセンサが、レーザ変位計、または静電容量式変位計であることが好ましい。バックアップローラのフレは1μm程度と高精度に加工されているため、フレ量を検出するためには、高分解能であるレーザ変位計や静電容量式変位計が好ましい。
本発明の塗布装置は、前記発明において、前記第3のセンサが、前記バックアップローラの円周方向に少なくとも2以上設けられることが好ましい。
例えばバックアップローラに対して水平に1個のセンサが固定された場合、バックアップローラの水平変位は検出できるが、鉛直変位は検出できない。そのため、それによって引き起こされる鉛直振動に対して振動を打ち消す制御ができない。したがって、バックアップローラの水平方向変位、鉛直方向変位の両方を検出し、各方向の検出信号に基づき振動を打ち消すためには、それぞれの方向にセンサを設置することが好ましい。その意味では、センサは最低2個であることが好ましが、さらには、他の方向、例えば水平方向に対して45°の方向にセンサを設置し、水平、鉛直、45°方向の3個設置しても良い。また、水平方向と鉛直方向を検出するセンサをバックアップローラの右端に2個、および左端に2個の合計4個を設置し、塗布装置の左右の振動差を加味して振動を打ち消すよう制御しても良い。
本発明の塗布装置は、前記発明において、前記塗布液供給部の上流側に配置され、前記ウエブの走行を支持するパスローラに第4のセンサと、前記第4のセンサの出力信号に基づいてウエブの振動を打ち消すための制御入力を作成するフィードフォワード制御手段を有することが好ましい。
第4のセンサを設けることでウエブに起因する外乱振動を打ち消すための制御入力を作成することができる。
本発明の塗布装置は、前記発明において、前記架台の一次固有振動数が80Hz以上であることが好ましい。
架台の一次固有振動数を80Hz以上とすることで、能動型除振装置で振動を除去しやすく、外乱振動との共振を避けることができる。
前記目的を達成するために、本発明の塗布方法は、前記塗布装置を使用した塗布方法であって、前記塗布装置が設置される床面の一次固有振動数を10Hz以上とすることを特徴とする。
能動型除振装置を使用した場合、床面の1次固有振動数が10Hz未満であれば、殆ど除振効果が得られない。たとえば、振動周波数が100Hzの振動であれば、約1/100に減衰させることができるが、振動周波数が10Hz未満の振動になると、わずかに減衰させる効果しか得られない。その意味では、塗布装置が設置される床面の1次固有振動数が10Hz以上となっていることが好ましく、20Hz以上となっていることがより好ましく、30Hz以上となっていることが更に好ましい。このような一次固有振動数の床面上に塗布装置を設置することにより、膜の厚さ精度が高く、かつ、表面が平滑で塗布ムラのない塗布膜を得ることができる。
本発明によれば、膜の厚さ精度が高く、かつ、表面が平滑で塗布ムラのない塗布膜を得ることができる塗布装置及び塗布方法を提供することを目的とする。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明されるが、本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。従って、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
図1は、本発明に係る塗布装置を適用する好ましい一例である光学補償シートの製造ラインを説明する説明図である。
光学補償シートの製造ラインは、図1に示されるように、送り出し機66から予め配向膜形成用のポリマー層が形成された透明支持体であるウエブ16が送り出されるよう構成されている。ウエブ16はガイドローラ68によってガイドされてラビング処理装置70に送り込まれる。ラビングローラ72は、ポリマー層にラビング処理を施すために設けられている。ラビング処理装置70の下流には除塵機74が設置されている。除塵機74によりウエブ16の表面に付着した塵を取り除くことができる。
除塵機74の下流には能動型除振装置32に設置された塗布装置10が配置されている。塗布装置10によりディスコネマティック液晶を含む塗布液がウエブ16に塗布できる。この下流には、乾燥ゾーン76、加熱ゾーン78が順次設けられており、ウエブ16上に液晶層が形成される。更に、この下流には紫外線ランプ80が設けられており、紫外線照射により、液晶を架橋させ、所望のポリマーを形成することができる。そして、この下流に設けられた巻取り機82により、ポリマーが形成されたウエブ16が巻き取られる。
図2に示されるように、塗布装置10は、塗布液タンクからポンプ等により送液された塗布液をウエブ16に塗布する塗布ヘッド18と、塗布ヘッド18に対向して設けられ、塗布時のウエブ16を外周面で支持する円筒状のバックアップローラ20と、バックアップローラ20の回転軸を保持する支柱15と、バックアップローラ20に走行中のウエブ16を導くために、塗布ヘッド18及びバックアップローラ20から所定間隔をあけて配置されたパスローラ14により、構成されている。塗布装置10の塗布ヘッド18とバックアップローラ20の回転軸を保持する支柱15が、後述する能動型除振装置32のアクチュエータ33で支持される架台30に固定されている。尚、塗布ヘッド18は塗布ヘッド架台31を介して架台30に固定されている。
ウエブ16に塗布する塗布液の種類、また塗布液の膜厚を最適に調整できるようにするため、バックアップローラ20と塗布ヘッド18は、両者の間隔を調整できるよう移動可能な構成とされている。したがって、架台30に固定とは、ウエブ16への塗布中においてバックアップローラ20と塗布ヘッド18が所定間隔を保持するよう架台30に設置されていること意味する。
次いで塗布装置10による塗布方法について説明する。ウエブ16は、送り出し機から送り出されパスローラ14を介してバックアップローラ20に導かれる。導かれたウエブ16は、バックアップローラ20の外周面の一部を取り巻いている。ウエブ16は、図示矢印方向へ一定速度で連続的に走行される。このときバックアップローラ20は回転しながら、ウエブ16の非塗膜面を支持する。
バックアップローラ20の上流側にパスローラ14が配置されている。パスローラ14の回転軸は支柱17により支持される。支柱17は、アクチュエータ33で支持されている架台30とは異なる床面Fや別の架台上に設置される。
パスローラ14は、ウエブの走行を支持するために設けられている。ウエブ16の走行中、パスローラ14は回転しながらウエブ16を支持し、バックアップローラ20にウエブ16を案内する。
塗布ヘッド18は、塗布ヘッド先端が連続走行するウエブ16と近接され非接触の状態で対向配置される。上述したように塗布ヘッド18とウエブ16の間隔を調整できるよう構成されている。塗布ヘッド18は塗布液タンクからポンプにより送液される。図示しないが、ポンプとしては、塗布液の供給流量が安定化することより、定量ポンプを使用することが好ましい。定量ポンプとしては、たとえば、ギアポンプ、ローラポンプ等、各種のポンプが使用できるが、本発明の塗布には、特にギアポンプが好適に使用できる。
塗布ヘッド18内には、図3に示されるように、筒状のポケット部18Bがウエブ16の幅方向に平行に形成される。その塗布用のポケット部18Bは供給ライン18Aに接続される。また、塗布ヘッド18内には、塗布ヘッド先端に吐出口を有する塗布用スリット18Cが形成される。塗布用スリット18Cが塗布用ポケット部18Bに連通される。
塗布用スリット18Cは、ポケット部18Bと塗布ヘッド先端とを繋ぐ狭隘な流路であり、ウエブ16の幅方向に延長される。そして、供給ライン18Aからウエブ16に塗布する所望の塗布量の塗布液が塗布ヘッド18の塗布用ポケット部18Bに供給され、ウエブ16に塗布膜が形成される。
塗布液が塗布されたウエブ16は、下流に設けられた乾燥ゾーン、加熱ゾーンに送り出され、ウエブ16上に液晶層が形成される。また、図示は省略したが、ウエブ16のテンションをコントロールするテンションローラや、ウエブ16の搬送を制御する駆動ローラが光学補償シートの製造ラインに設けられる。
次に、上述の塗布装置10が設置される能動型除振装置32に関する構成について図2により説明する。この構成において、塗布ヘッド18及び支柱15が架台30の上に固定される。上述したように、塗布ヘッド18は塗布ヘッド架台31を介して架台30に固定されている。架台30、塗布ヘッド架台31及び支柱15は、図に示すように別部材であっても良いし、これらを一体的に形成しても良い。
能動型除振装置32は、アクチュエータ33、第1のセンサ34、第2のセンサ35、第3のセンサ36、制御器38、サーボバルブ39で構成される。アクチュエータ33は、振動を打ち消すのであれば、空気バネに限らず、油圧式、機械式、等のアクチュエータでも良い。
架台30の下面の4隅にはアクチュエータ33、33・・・が配置されている。架台30は、アクチュエータ33、33・・・を介して床面(設置基礎面)F上に設置される。
架台30の振動を検出するための第1のセンサ34が架台30に設置され、架台30が設置される基礎の振動を検出するための第2のセンサ35が床面F上に設置される。
本実施の形態においては、バックアップローラ20の一回転成分の振動(上下、前後)を検出するため、第3のセンサ36aがバックアップローラ20の下方に設置され、さらに、第3のセンサ36bが、バックアップローラ20に対し、図中の右方向で所定の距離だけ離間して設置される。
架台30に設置される第1のセンサ34は、架台30に設置される加速度センサ34aと変位センサ34bで構成される。第1のセンサ34は、架台のX軸、Y軸、Z軸及び回転方向を検出するため各アクチュエータ33,33・・・に設けられている。床面F上に設置される第2のセンサ35は、加速度センサで構成される。ガイドローラに設置される第3のセンサは、レーザ変位計、または静電容量式変位計で構成される。
但し、センサの種類及び数量は、検出する対象に応じて適宜設置され、実施の形態に限
定されるものではない。
定されるものではない。
第1のセンサ34、第2のセンサ35及び第3のセンサ36から検出された振動情報が制御器38に入力される。制御器38では、検出された振動情報に基づいて、1)架台の振動を打ち消すための制御入力を作るFB制御手段、2)基礎振動を打ち消すための制御入力を作るFF制御手段、3)バックアップローラに起因する振動を打ち消すためのFF制御入力を作る制御手段が実現される。制御手段はソフトウェア的な処理、ハードウェア的な処理いずれでも実現される。
制御器38で処理された制御入力は、サーボバルブ39に入力される。サーボバルブ39は、制御入力に基づいて架台30を支持するアクチュエータ33を駆動し、振動を打ち消す制振力が塗布装置に与えられる。これにより塗布装置10の除振が実現される。
架台30の制御は、エア源40より供給される圧縮空気の流量をサーボバルブ39で調整してエアアクチュエータ33に供給することにより行う。このサーボバルブ39には、第1のセンサ34からの信号が制御器38を介してフィードバックされ、また、第2のセンサ35からの信号が制御器38を介してフィードフォワードされ、第3のセンサ36からの信号が制御器38を介してフィードフォワードされる。
次に、本発明の制御系を図2及び図4のブロック図を参照して説明する。
荷重受け部100が被制御部であり、架台を表している部分であり、能動型除振装置により制御される。荷重受け部100は質量mを有している。質量mには、図2における架台30、塗布ヘッド架台31、塗布ヘッド18、バックアップローラ20等の質量が含まれる。図4の四角の実線で囲まれる部分140、及び160は基礎振動、及びバネ上の外乱振動を表している。
荷重受け部100の信号の流れについて説明する。荷重受け部100に外部から何らかの力が加えられると、荷重受け部100に1/mに比例する加速度が生じる。荷重受け部100の加速度信号は積分器102で積分され速度の信号となり、さらに積分器104で積分され変位信号(位置信号)となる。
荷重受け部100の加速度の情報は第1のセンサ34a(加速度センサ)で検出される。検出された加速度信号は減算器106に伝えられる。減算器106では目標値付与部108からの目標値と観測雑音110と加速度信号との差が検出され、偏差信号が加速度FB制御器112に伝達される。
荷重受け部100の変位信号は第1のセンサ34b(変位センサ)により検出される。検出された変位信号は減算器114に伝えられる。減算器114では目標値付与部116の目標値と観測雑音118と変位信号の差が検出され、偏差信号が位置決め制御器120に伝達される。
制御器112及び120において制御入力に対してフィードバック制御を行うことで、塗布装置の実際の振動状態に応じて、この振動を抑えるような制振力が塗布装置に与えられる。制御器112及び120の具体的な制御則として、PID制御則であるとか、ロバスト制御則、適応制御則などが使用される。
基礎振動140において、第2のセンサ35(加速度センサ)により床振動142に対する振動が加速度の信号として検出される、検出された加速度信号は減算器144に伝達される。減算器144では目標値付与部146からの目標値と観測雑音148と加速度信号の差が検出される。そして、その偏差信号が基礎振動制御器150に伝達される。
基礎振動制御器150において、フィードフォワード制御を行うことで、床からの振動の状態に応じて、この振動を抑えるような制振力が塗布装置に与えられる。
次いで、外乱振動160において、第3のセンサ36a及び36bにより、バックアップローラの1回転成分の振れ、つまりバックアップローラ振動162が検出される。検出された振動は減算器164に伝達される。減算器164では、目標値付与部166からの目標値と観測雑音168と振動信号の差が検出される。偏差信号がローラ振動制御器170に伝達される。このようにして、バックアップローラ20の1回転成分に対してフィードフォワード制御を行うことで、バックアップローラ20の外乱振動の状態に応じて、この振動を抑えるような制振力が塗布装置に与えられる。
床振動142、基礎振動制御器150、バックアップローラ振動162及びローラ振動制御器170の信号が全て足し合わされて、指令値が合成される。さらに、指令値、加速度FB制御器112及び位置決め制御器120の信号が全て足し合わされ制御入力が作成される。この制御入力によりアクチュエータ33が駆動される。
これにより、架台30に加わる力の総和は、ゼロ又は非常に小さな値になり、架台30を静止させることができる。
したがって、この塗布液供給手段と所定の間隔を隔てた位置で連続的に搬送されるウエブに所定膜厚の塗布膜を形成する技術分野において、従来に比して塗布装置の振動を打ち消すことができ、膜の厚さ精度が高く、かつ、表面が平滑で塗布ムラのない塗布膜を得ることができる塗布装置を実現することができる。
さらに、パスローラ14を保持する支柱17に第4のセンサ(不図示)を設けることができる。第4のセンサにより走行するウエブに起因する外乱振動を検出し、検出信号に基づいてフィードフォワード制御し、外乱振動を打ち消す制御入力を作成する。この制御入力に基づいてアクチュエータ33を駆動することで、ウエブからの振動の状態に応じて、この振動を抑えるような制振力が塗布装置に与えられる。
架台30の一次固有振動数が80Hz以上となっていることが好ましい。外乱振動のうち問題となるのは低周波振動であり、高周波振動は除振装置により除去することができる。そのため架台30の一次固有振動数を高い方に設定すれば、外乱振動との共振を避けることができる。また、高周波振動状態ではウエブの塗布膜の厚みムラが目立たないということからも架台30の一次固有振動数は高いほど望ましい。
したがって、架台30の一次固有振動数が100Hz以上となっていることがより好ましく、120Hz以上となっていることが更に好ましい。
塗布装置10が設置される床面の一次固有振動数を10Hz以上とすることが好ましい。その理由は、基礎の一次固有振動数が10Hz以下の強度が低い状態では、10Hz以下の振動に対する除振装置の性能が保てないからである。また、架台30の一次固有振動数は高いほど望ましいことと同じ理由もある。その意味では、塗布装置10が設置される床面の一次固有振動数が20Hz以上となっていることがより好ましく、30Hz以上となっていることが更に好ましい。
塗布装置10を使用した塗布膜の形成について説明する。塗布液としては、有機溶剤が含まれるものが使用できる。但し、これ以外の粘度のもの、有機溶剤が含まれないものも使用できる。
ウエブ16としては、一般に、所定幅、所定長さで、厚さが2〜200μm程度のポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6 −ナフタレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド等のプラスチックフイルム、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンブテン共重合体等の炭素数が2〜10のα−ポリオレフィン類を塗布又はラミネートした紙、金属板等からなる可撓性帯状物又は該帯状物を基材としてその表面に加工層を形成した帯状物が使用できる。
図1の光学補償シートの製造ラインにおいて、送り出し機66よりウエブ16を繰出しながら、塗布装置10の塗布ヘッド18のスリット18C中における塗布液また、塗布直後の塗布膜28の膜厚が一定となるようにウエブ16の搬送速度を制御して塗布を行う。
塗布後の乾燥等において、塗布膜の厚さ精度が高く、かつ、表面が平滑な塗布膜28が得られるように乾燥ゾーン76、加熱ゾーン78、紫外線ランプ80等の設定を行う。塗布、乾燥後のウエブ16は巻取り機82により巻取る。
上記一連の工程は、良好な無塵度及び最適な温湿度の環境下で実施されることが好ましい。したがって、クリーンルーム内で行なわれるのが好ましく、特に、塗布装置10は、クリーン度の高い環境下に設置されるのが好ましい。このためには、ダウンフローのクリーンルーム又はクリーンベンチを併用する形態が採用できる。
以上、本発明に係る塗布装置及び塗布方法の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
たとえば、本実施形態では、塗布装置10としてエクストルージョン型のコータが採用されているが、これ以外のコータ、たとえば、バーコータ(「ロッドコータ」とも称され、メイヤーバーコータをも含む)、グラビアコータ(ダイレクトグラビアコータ、グラビアキスコータ等)、ロールコータ(トランスファロールコータ、リバースロールコータ等)、ダイコータ、ファウンテンコータ、スライドホッパ等にも好適に適用できる。
また、塗布装置10の用途としても、光学補償フィルム等の光学フィルムのみならず各種の塗布に適用できる。
10…塗布装置、14…パスローラ、15…支柱、16…ウエブ、17…支柱、18…塗布ヘッド、20…バックアップローラ、28…塗布膜、30…架台、31…塗布ヘッド架台、32…能動型除振装置、33…アクチュエータ、34…第1のセンサ、35…第2のセンサ、36…第3のセンサ、38…制御器、39…サーボバルブ
Claims (6)
- 長手方向に走行する長尺状のウエブを外周面で支持するバックアップローラと、
前記バックアップローラと一定間隔を離れて対向配置され、塗布液をウエブに供給する塗布液供給部と、
前記塗布液供給部と前記バックアップローラとを上面で支持する一の架台と、
前記架台の底面に設けられた能動型除振装置と、を備え、
前記能動型除振装置が、
前記架台の振動を検出する第1のセンサと、
前記第1のセンサの出力信号に基づいて架台の振動を打ち消すための制御入力を作るフィードバック制御手段と、
前記架台が設置される基礎の振動を検出する第2のセンサと、
前記第2のセンサの出力信号に基づいて基礎振動を打ち消すための制御入力を作成するフィードフォワード制御手段と、
前記バックアップローラの1回転成分の振れを検出する第3のセンサと、
前記第3のセンサの出力信号に基づいて前記バックアップローラの振動を打ち消すための制御入力を作成するフィードフォワード制御手段と、
前記架台を支持し、前記制御入力により駆動されるアクチュエータと、
を備えていることを特徴とする塗布装置。 - 前記第3のセンサが、レーザ変位計、または静電容量式変位計である請求項1記載の塗布装置。
- 前記第3のセンサが、前記バックアップローラの円周方向に少なくとも2以上設けられる請求項1又は2記載の塗布装置。
- 前記塗布液供給部の上流側に配置され、前記ウエブの走行を支持するパスローラに第4のセンサと、前記第4のセンサの出力信号に基づいてウエブの振動を打ち消すための制御入力を作成するフィードフォワード制御手段を有する請求項1〜3のいずれか1記載の塗布装置。
- 前記架台の一次固有振動数が80Hz以上である請求項1〜4のいずれか1記載の塗布装置。
- 前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の塗布装置を使用した塗布方法であって、
前記塗布装置が設置される床面の一次固有振動数を10Hz以上とすることを特徴とする塗布方法。
Priority Applications (1)
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JP2008229975A JP2010063950A (ja) | 2008-09-08 | 2008-09-08 | 塗布装置及び塗布方法 |
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ID=42190020
Family Applications (1)
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