JP2002003037A - 張力制御装置 - Google Patents

張力制御装置

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JP2002003037A JP2000190699A JP2000190699A JP2002003037A JP 2002003037 A JP2002003037 A JP 2002003037A JP 2000190699 A JP2000190699 A JP 2000190699A JP 2000190699 A JP2000190699 A JP 2000190699A JP 2002003037 A JP2002003037 A JP 2002003037A
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和恭 佐藤
Shigeru Obata
小幡  茂
Isao Nakajima
勇夫 中嶋
Akitomo Kuwabara
章友 桑原
Katsumi Ishizawa
克己 石澤
Hideho Yokogawa
秀穂 横川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高精度の速度フィードバックを実行し、ダン
サローラを迅速に復帰位置cに戻らせ、位置検出器の不
感帯により復帰位置付近での微小な振動を抑え、記録紙
のばたつき,見当合わせずれ,蛇行の少ない張力制御装
置を提供する。 【解決手段】 ダンサローラ31の回転速度をダンサロ
ーラ回転軸に取り付けた速度検出器35で直接検出す
る。記録紙1の搬送速度Vf とダンサローラ31の回転
速度との差を用いて速度フィードバックする。速度検出
器35で直接検出した回転速度からダンサローラ31の
変位速度を算出するので、位置検出器34として高分解
能だが高価な機種を用いなくとも、高分解能で高精度の
速度フィードバックを実行し、ダンサローラを速やかに
復帰位置cに戻せる。位置検出器34の不感帯の影響を
受けず、復帰位置c付近での微小な振動を確実に抑え、
記録紙1のばたつき,見当合わせずれ,蛇行量が少ない
張力制御装置を実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、輪転機などの連続
紙を用いる印刷装置における記録紙搬送系統の張力制御
装置に係り、特に、張力制御に用いるダンサローラの変
位速度を検出する手段に関する。
【0002】
【従来の技術】輪転機などに用いられる連続紙の搬送系
統では、見当合わせの高精度化,蛇行抑制,ばたつき抑
制などの理由から、用紙に張力を与えて安定化させる。
用紙に張力を与える方法としては、記録紙を搬送するイ
ンフィードローラおよびアウトフィードローラの回転速
度に速度差を付与し、その速度差により記録紙を伸ばす
方法がある。
【0003】しかし、この方法では、僅かな速度差によ
り大きな張力が発生するため、高精度の速度制御が要求
される。そこで、インフィードローラからアウトフィー
ドローラまでの搬送路中にダンサローラを配置し張力変
動を吸収する方式が、一般に用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ダンサローラは、記録
紙に吊り下げられており、用紙張力が上がるとダンサロ
ーラ自体が上昇して変動を打ち消し、また用紙張力が下
がると下降して用紙張力を一定に保つ。用紙張力は、ダ
ンサローラにかかる力で決定され、錘,ばね力,シリン
ダ圧などによって調節できる。ダンサローラは、張力変
動のたびに位置を変えて張力を安定化するので、張力変
動が頻繁にまたはある程度継続的に生じると位置を大幅
に変える可能性がある。そのため、広いストロークを確
保しなければならない。
【0005】そこで、ダンサローラをストローク中央の
復帰位置に常に戻させるように制御し、次に生じる張力
変動に対して可能な限り広いストロークを確保する。ダ
ンサローラの位置は、ダンサローラを支持アームに取り
付け、支持アームの支点の回転角を計測すれば検出でき
るので、この検出値と復帰位置との偏差を無くするよう
に制御する。実際は、支持アームの回転角をエンコーダ
やポテンショメータなどにより検出し、その検出値に基
づいてインフィードモータの回転速度を変速させる。
【0006】このような状況から、インフィードモータ
の回転速度を多段階に変速する機構が必要であり、特開
平08−039760号公報は、差動歯車式変速装置と多段変速
機とを切り替えて、インフィードローラの回転数を複数
段に変化させる方式を提案している。この従来例では、
複数段の速度制御により、位置偏差が大きい場合に、速
度比を大きくして速やかに復帰位置に戻す。また、ダン
サローラを短時間で復帰させる方法として、ダンサロー
ラの位置に応じてインフィードモータの速度制御を切り
替えることも示している。
【0007】位置誤差のフィードバックのみで制御する
場合、位置検出器の最小分解能の範囲内では不感帯が生
じ、この不感帯において、ダンサローラが停止せずに細
かく振動する現象が現れる。位置検出器の分解能を高め
ると、振動を小さくすることはできるが、位置検出器が
高価になる欠点がある。この振動は、記録紙のばたつき
や見当ずれなどの原因となるので、不感帯境界での速度
変動を微小に抑える制御が必要である。
【0008】特開平05−077407号公報は、定常状態での
連続紙の速度,張力を位置制御機構により制御し、加減
速時の速度,張力を速度フィードフォワードおよび加速
度フィードフォワード制御系により制御し、インフィー
ドローラの速度調整量を決定する方式を示している。
【0009】さらに、特開平10−181971号公報は、ダン
サローラの変位方向検出手段,変位速度検出手段,位置
検出手段からの3つの検出値に基づいて、インフィード
ローラの駆動変速機を調節する方法を示している。この
方法によれば、印刷の開始時点から円滑で常に安定した
張力制御を実行し、張力が安定するまでの時間を短縮で
きるとしている。
【0010】これらの例を含めて、従来の技術では、ダ
ンサローラの位置および変位速度を得る段階において、
支持アームの支点周りの回転角度から差分または微分に
よって、ダンサローラの位置および変位速度を算出して
いた。
【0011】しかし、支持アームで検出される変位のほ
とんどは、原点付近に集中しているので、特に差分を用
いる場合は、変化が現れにくい。このため、変位速度を
検出するには、検出器の分解能を高くしなければなら
ず、高価な高分解能の検出器が必要であった。
【0012】本発明の目的は、高分解能であるが非常に
高価な位置検出器を用いなくとも、高精度の速度フィー
ドバックを実行し、ダンサローラを迅速に復帰位置に戻
らせて、位置検出器の不感帯による復帰位置付近での微
小な振動を抑え、記録紙のばたつき,見当合わせずれ,
蛇行の少ない張力制御装置を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、それぞれのモータにより回転速度を微調
整可能なインフィードローラおよびアウトフィードロー
ラと、インフィードローラからアウトフィードローラま
での用紙搬送路中に配置され支持アームにより揺動を規
制されたダンサローラと、インフィードローラの回転速
度およびアウトフィードローラの回転速度を制御する制
御手段とを有し、ダンサローラの変位および変位速度お
よび回転速度に応じてインフィードローラの回転速度を
微調整し連続紙の張力を制御する張力制御装置におい
て、ダンサローラの回転軸にこのダンサローラの回転速
度を直接検出し前記制御手段に出力する速度検出器を設
けた張力制御装置を提案する。
【0014】速度検出器で直接検出した回転速度からダ
ンサローラの変位速度を算出するので、高分解能である
が非常に高価な位置検出器を用いなくとも、高分解能で
高精度の速度フィードバックを実行し、ダンサローラを
速やかに復帰位置に戻せる。
【0015】前記制御手段は、支持アームの支点に設置
された位置検出器が検出したダンサローラの変位と前記
速度検出器が検出したダンサローラの回転速度とに基づ
き変位速度および速度指令値を算出しインフィードモー
タの回転速度を微調整する制御手段とすることもでき
る。
【0016】ダンサローラの回転速度変動からダンサロ
ーラの変位速度を算出するので、位置検出器の不感帯の
影響を受けずに、復帰位置付近での微小な振動を確実に
抑えて、記録紙のばたつき,見当合わせずれ,蛇行量が
少ない張力制御装置を実現できる。
【0017】前記支持アームの支点は、ダンサローラに
対してインフィードモータ側に設けることが望ましい。
【0018】このように、張力変動が起きた時に、ダン
サローラの回転が加減速される方向と支持アームの回転
方向とが逆になるように、支持アームの支点をインフィ
ードローラ側に配置すると、変位が相殺されることがな
いので、検出感度が良い。
【0019】前記ダンサローラよりも用紙搬送方向下流
に在るガイドローラの回転速度を検出し前記制御手段に
出力する速度検出器を設け、前記制御手段が、ガイドロ
ーラの位置における用紙の搬送速度Vf とダンサローラ
の周速とを比較して速度指令値を算出しインフィードモ
ータの回転速度を微調整する制御手段とすることも可能
である。
【0020】このように制御系統を構成すると、記録紙
が張力により伸縮する場合でも、ダンサローラの回転速
度変動を正確に捕捉できるようになる。また、速度検出
器がダンサローラの直後に設けられているので、記録紙
の伸縮に伴う弾性振動,ばたつき,蛇行などの外乱があ
っても、検出値のずれが少ない。
【0021】前記ダンサローラは、金属の表面に摩擦力
の大きい高硬度のゴム層を形成したローラとすると、用
紙との滑りを極力抑えながら、慣性を小さくし、応答を
速くできる。
【0022】
【発明の実施の形態】次に、図1ないし図5を参照し
て、本発明による張力制御装置の実施形態を説明する。
【0023】
【実施形態1】図1は、本発明による張力制御装置の実
施形態1を備えた印刷システムの系統構成を示す図であ
る。
【0024】記録紙1の搬送路は、インフィードローラ
21,バックローラ22,インフィードモータ23から
なるインフィード部2と、ダンサロール31,支持アー
ム32,負荷33,位置検出器34,速度検出器35か
らなる張力制御部3と、画像形成部4,41,42と、
アウトフィードローラ51,バックローラ52,アウト
フィードモータ53からなるアウトフィード部5と、ガ
イドローラ61,62,63,64,65と、図示しな
い前後処理器とから構成されている。記録紙1は、所定
の搬送速度Vf で搬送されることになっている。
【0025】記録紙1は、ロール紙や一定の長さに折り
たたんで支給されるボックス紙などの連続紙である。記
録紙1は、巻き癖や折り癖などの支給される形態による
癖を図示しない前後処理器によって直された後、インフ
ィード部2に供給される。
【0026】インフィード部2では、記録紙1をインフ
ィードローラ21に巻き付け、充分な接触面積を確保す
るとともに、バックローラ22により接触圧を加え、イ
ンフィードモータ23の回転駆動力が滑りなく効率よく
伝達されるようにしてある。
【0027】インフィードローラ21は、搬送速度Vf
を高精度に実現できるように、金属製ローラを用い、ロ
ーラ径の寸法精度を高めてある。バックローラ22に
は、記録紙1との接触幅を得るために、ゴムローラを用
いてもよい。
【0028】張力制御装置3は、ガイドローラ62およ
び63の間に、ダンサローラ31が吊り下げられた構成
となっている。ダンサローラ31は、記録紙1の張力,
ダンサローラ31の自重,負荷33の力のバランスに応
じて上下方向に移動し、記録紙1の張力が常に一定にな
るように保つ。
【0029】負荷33は、錘やばねを使用できるが、記
録紙1の種類に対応して張力値を変更する場合などを考
慮すると、負荷を容易に変更できるシリンダ圧力を用い
ることが望ましい。
【0030】ダンサローラ31の揺動は、ダンサローラ
31を支える支持アーム32の支点周りの回転角により
観測できるので、エンコーダやポテンショメータなどの
位置検出器34を設けて、変位を測定する。支持アーム
32の回転角は、僅かであるから、位置検出器34は、
高い分解能が要求される。そこで、支持アーム32の支
点軸にギヤを取り付け、分解能を高めるように構成して
もよい。
【0031】画像形成部4は、電子写真方式によるトナ
ー画像または版胴によるインク画像またはインクジェッ
トによるインク画像などを形成するシステムである。画
像形成部4は、ここでは、一段の画像形成部だけを示し
てあるが、本発明は、画像形成部4を多段のタンデム構
成にして多色の画像を重ねたり、記録紙1の両面に画像
を形成する場合に、より有効である。
【0032】アウトフィード部5は、インフィード部2
と同様に構成されている。記録紙1をアウトフィードロ
ーラ51に巻き付け、充分な接触面積を確保するととも
に、バックローラ52によって接触圧を加えると、アウ
トフィードモータ53の回転駆動力が滑りなく効率よく
伝達されるようになっている。アウトフィードローラ5
1は、搬送速度Vf を高精度に実現できるように、金属
製ローラを用いローラ径の寸法精度が高められている。
バックローラ52は、記録紙1との接触幅を得るため
に、ゴムローラを用いてもよい。
【0033】図示しない前後処理器としては、記録紙1
の癖をなくす手段や、画像形成部4よりも用紙搬送方向
下流側で記録紙上1に転写されたトナー画像,インク画
像を定着し乾燥する定着手段や、記録紙1を切断し排出
する切断手段などが考えられる。これらは、印刷方法な
どに対応して必要なものを備えればよい。
【0034】図2は、本発明による張力制御装置の実施
形態1の系統構成を制御回路とともに示す図である。図
2において、37は位置ゲイン、38は速度ゲイン、3
9は電流ゲイン、cは復帰位置、Vf は搬送速度であ
る。
【0035】本実施形態1では、記録紙1の張力を次の
ように制御している。ダンサローラ31の位置は、イン
フィードローラ21による記録紙1の供給量とアウトフ
ィードローラ51による記録紙1の排出量との差により
制御できる。すなわち、インフィードローラ21の回転
速度とアウトフィードローラ51の回転速度がそれぞれ
独立に可変である必要があり、本実施形態1では、個々
に駆動モータを設けて速度差を得ている。
【0036】しかし、記録紙1は、張力制御による張力
安定化とともに、画像形成部4の近接点では、画像形成
プロセスの速度と搬送速度Vf とを一致させ、見当合わ
せを高精度に実現する必要がある。そこで、張力制御に
必要な速度差をインフィードローラ21により与えると
ともに、画像形成部4との近接点の搬送速度を制御する
役割をアウトフィードローラ51に持たせている。した
がって、アウトフィードローラ51は、ダンサローラ3
1の揺動に関係なく、搬送速度Vf に追従するように速
度を制御される。
【0037】インフィードローラ21の回転速度は、ダ
ンサローラ31の変位および変位速度および回転速度に
応じて微調整される。ダンサローラ31の変位は、支持
アーム32の支点の回転角度をギヤで数倍に拡大した
後、アブソリュート型エンコーダなどの位置検出器34
により検出される。
【0038】ダンサローラ31は、ダンサローラ31が
可動範囲すなわち揺動できる範囲内の所定位置に常に復
帰するようにして、張力変動を吸収する際の可動範囲を
常に確保しなければならない。そこで、位置検出器34
による検出位置をフィードバックしてダンサローラ復帰
位置cに収束するように制御する。具体的には、位置検
出器34の検出位置とダンサローラ復帰位置cとの差を
とり、位置ゲイン37をかけて、インフィードモータ2
3の搬送速度Vf を修正し、インフィードローラ21の
回転速度を微調整し、アウトフィードモータ51の回転
速度との速度差を得る。
【0039】位置フィードバック系統をこのように構成
すると、ダンサローラ31は、張力変動を自らの変位に
よって吸収するので、記録紙1の張力は、ほぼ一定に保
たれる。また、ダンサローラ31の位置は、張力変動吸
収後、速やかに所定の復帰位置cに復帰するので、離散
的に発生する張力変動に対して、変動を吸収する可動範
囲が常に確保されるようになる。
【0040】本実施形態1では、さらにダンサローラ3
1の変位速度を速度フィードバックしている。位置フィ
ードバックのみでダンサローラ31を制御する場合は、
位置検出器34の最小分解能に相当する角度でダンサロ
ーラ31が小刻みに振動する現象がある。この現象は、
フィードバックによる修正量を算出するときに、ダンサ
ローラ復帰位置から前後1分解能の領域では、ダンサロ
ーラ復帰位置cと位置検出器34の検出位置との差が現
れないことによる。ダンサローラ31は、この領域に入
ってきた時の変位速度が領域から脱出するまで続く。脱
出後は、フィードバックによって速度が修正されるが、
再び前後1分解能の領域に進入する方向に修正されるの
で、同様の現象が繰り返される。
【0041】この振動を解消するために、ダンサローラ
31が停止するように、変位速度のフィードバックを考
える。変位速度は、変位の検出に用いられている支持ア
ーム32の位置検出器34で検出できる。しかし、その
方法は、一定期間中に検出されるパルス数をカウントし
変位速度を算出する方式なので、位置検出器の最小分解
能の領域では、変位速度を検出できない。
【0042】図3は、本実施形態1においてダンサロー
ラ31の回転速度変動からダンサローラ31の変位速度
を検出する方法を説明する図である。図4は、実施形態
1においてダンサローラ31の回転速度変動からダンサ
ローラ31の変位速度を検出する他の方法を説明する図
である。図3および図4において、aは変位速度、bは
回転速度、Lはアーム長、Rはローラ径である。
【0043】ダンサローラ31が停止している場合、回
転速度bに対して、周速bRがアウトフィードローラ5
1の搬送速度Vf と一致する。
【0044】これに対して、張力変動などにより変位速
度aでダンサローラ31が上昇する場合、ダンサローラ
31の回転速度を検出する速度検出器35は、支持アー
ム32に固定されているので、変位速度aを検出する。
同時に、ダンサローラ31が上昇する速度(変位速度a
×アーム長L)の2倍の速度でインフィードローラ21
の周速bRが減速するので、その減速分に相当する長さ
で、ダンサローラ31の回転速度が減速する。したがっ
て、速度検出器35は、支持アームの傾きによる変位速
度aとダンサローラ31の回転速度bの変動量との合計
を検出する。
【0045】図3のように、張力変動が起きた時に、ダ
ンサローラ31の回転が加減速される方向と支持アーム
32の回転方向とが逆になるように、支持アーム32の
支点をインフィードローラ31側に配置すると、変位が
相殺されることがないので、検出感度が良い。
【0046】逆に、図4のように、ダンサローラ31の
回転が加減速される方向と支持アーム32の回転方向と
が同方向になるように、支持アーム32の支点をアウト
フィードローラ51側に配置すると、変位が相殺され
て、検出感度が悪くなってしまう。
【0047】したがって、支持アーム32の支点をイン
フィードローラ31側に配置することが望ましい。この
ように配置すると、支持アーム32で検出できる変位速
度aよりも数倍の倍率で変位速度を検出できるととも
に、回転しているダンサローラ31からは常に出力パル
スが得られ、パルス間隔の時間を計測して回転速度変動
を算出できるなど、微小な速度変動の検出に優れてい
る。
【0048】ダンサローラ31の回転速度の検出値は、
画像形成部4のプロセス速度に一致するようにフィード
バック制御され、インフィードローラ31の搬送速度V
f を微調整する。ダンサローラ31の変位速度は、張力
変動の程度に応じて変化するから、速度誤差のフィード
バックを実行すると、位置誤差のフィードバックのみの
制御よりも速やかに復帰位置cに収束させることができ
る。また、既に述べたように、常に出力パルスが得られ
るので、より詳細な位置を検出できない不感領域におい
て発生する微小振動を抑制できるようになる。
【0049】
【実施形態2】図5は、本発明による張力制御装置の実
施形態2を備えた印刷システムの系統構成を示す図であ
る。印刷システム全体の系統構成は、実施形態1と同様
であるが、ガイドローラ63に速度検出器36を追加し
てある。速度検出器36は、ダンサローラ31通過後の
記録紙1の搬送速度を検出するために設けられており、
ここで検出される搬送速度とダンサローラ31の回転速
度を検出する速度検出器35からの値とを比較し、速度
誤差のフィードバック量を決定する。
【0050】このように制御系統を構成すると、記録紙
1が張力により伸縮する場合でも、ダンサローラ31の
回転速度変動を正確に捕捉できるようになる。また、速
度検出器36がダンサローラ31の直後に設けられてい
るので、記録紙1の伸縮に伴う弾性振動,ばたつき,蛇
行などの外乱があっても、検出値のずれが少ない。
【0051】
【実施形態3】実施形態1および実施形態2において、
ダンサローラ31およびガイドローラ63の回転速度を
正確に検出するには、記録紙1とダンサローラ31との
間の滑りを極力抑える必要がある。
【0052】一般に、ダンサローラ31は、記録紙1の
巻き付け角が180度と大きく、張力の2倍の押し付け
力によって接触するので、滑りが少ない。このため、ダ
ンサローラ31には、搬送精度が得られる金属ローラが
用いられる。
【0053】しかし、ダンサローラ31の慣性が大きい
場合や、支持アーム32の剛性,寸法精度などに起因す
る軸受のずれによって回転負荷が大きくなる場合は、滑
りが大きくなるので、ダンサローラ31の表面が、摩擦
力の大きいシリコンゴムなどのゴム材料で作られている
ことが望ましい。
【0054】ただし、ゴム材料で表面を形成した場合、
記録紙1の押圧力によってゴム層が変形すると、正確な
値を検出できなくなるおそれがあるので、高硬度のゴム
材料を選定し、シリコンコーティングなどにより、ゴム
厚を薄くする。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、ダンサローラの回転速
度をダンサローラ回転軸に取り付けた速度検出器で直接
検出し、ダンサローラの回転速度と記録紙の搬送速度と
の差を用いて速度フィードバックする。その際、速度検
出器で直接検出した回転速度からダンサローラの変位速
度を算出するので、高分解能であるが非常に高価な位置
検出器を用いなくとも、高分解能で高精度の速度フィー
ドバックを実行し、ダンサローラを速やかに復帰位置に
戻せる。
【0056】また、位置検出器の不感帯の影響を受けず
に、復帰位置付近での微小な振動を確実に抑えて、記録
紙のばたつき,見当合わせずれ,蛇行量が少ない張力制
御装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による張力制御装置の実施形態1を備え
た印刷システムの系統構成を示す図である。
【図2】本発明による張力制御装置の実施形態1の系統
構成を制御回路とともに示す図である。
【図3】本発明の実施形態1においてダンサローラの回
転速度変動からダンサローラの変位速度を検出する方法
を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態1においてダンサローラの回
転速度変動からダンサローラの変位速度を検出する他の
方法を説明する図である。
【図5】本発明による張力制御装置の実施形態2を備え
た印刷システムの系統構成を示す図である。
【符号の説明】
1 記録紙 2 インフィード部 21 インフィードローラ 22 バックローラ 23 インフィードモータ 3 張力制御部 31 ダンサローラ 32 支持アーム 33 負荷 34 位置検出器 35 回転速度検出器 36 搬送速度検出器 37 位置ゲイン 38 速度ゲイン 39 電流ゲイン 4 画像形成部 41 画像形成部 42 画像形成部 5 アウトフィード部 51 アウトフィードローラ 52 バックローラ 53 アウトフィードモータ 61 ガイドローラ 62 ガイドローラ 63 ガイドローラ 64 ガイドローラ 65 ガイドローラ a 変位速度 b 回転速度 c 復帰位置 L アーム長 R ローラ径 Vf 搬送速度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 和恭 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 小幡 茂 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 (72)発明者 中嶋 勇夫 茨城県ひたちなか市武田1060番地 日立工 機株式会社内 (72)発明者 桑原 章友 茨城県ひたちなか市武田1060番地 日立工 機株式会社内 (72)発明者 石澤 克己 茨城県ひたちなか市武田1060番地 日立工 機株式会社内 (72)発明者 横川 秀穂 茨城県ひたちなか市武田1060番地 日立工 機株式会社内 Fターム(参考) 3F105 AA01 AB03 BA02 CA15 DA09 DA11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれのモータにより回転速度を微調
    整可能なインフィードローラおよびアウトフィードロー
    ラと、前記インフィードローラから前記アウトフィード
    ローラまでの用紙搬送路中に配置され支持アームにより
    揺動を規制されたダンサローラと、前記インフィードロ
    ーラの回転速度および前記アウトフィードローラの回転
    速度を制御する制御手段とを有し、前記ダンサローラの
    変位および変位速度および回転速度に応じて前記インフ
    ィードローラの回転速度を微調整し連続紙の張力を制御
    する張力制御装置において、 前記ダンサローラの回転軸に当該ダンサローラの回転速
    度を直接検出し前記制御手段に出力する速度検出器を設
    けたことを特徴とする張力制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の張力制御装置におい
    て、 前記制御手段が、前記支持アームの支点に設置された位
    置検出器が検出した前記ダンサローラの変位と前記速度
    検出器が検出した前記ダンサローラの回転速度とに基づ
    き変位速度および速度指令値を算出し前記インフィード
    モータの回転速度を微調整する制御手段であることを特
    徴とする張力制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の張力制御装置
    において、 前記支持アームの支点を前記ダンサローラに対して前記
    インフィードモータ側に設けたことを特徴とする張力制
    御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか一項に記載
    の張力制御装置において、 前記ダンサローラよりも用紙搬送方向下流に在るガイド
    ローラの回転速度を検出し前記制御手段に出力する速度
    検出器を設け、 前記制御手段が、前記ガイドローラの位置における前記
    用紙の搬送速度Vf と前記ダンサローラの周速とを比較
    して速度指令値を算出し前記インフィードモータの回転
    速度を微調整する制御手段であることを特徴とする張力
    制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか一項に記載
    の張力制御装置において、 前記ダンサローラが、金属の表面に摩擦力の大きい高硬
    度のゴム層を形成したローラであることを特徴とする張
    力制御装置。
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