JP2015005525A - 燃料電池用ガス拡散層、その製造方法並びにそれを用いた燃料電池用ガス拡散電極、燃料電池用膜−電極接合体及び燃料電池 - Google Patents
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Abstract
Description
項1.導電性炭素繊維及び樹脂を含む層が、3層以上からなるガス拡散層であって、
各層において導電性炭素繊維は一方向且つ平面方向に配向されており、
3層以上の各層に含まれる導電性炭素繊維は、これらが接する層中の導電性炭素繊維とは異なる方向に配向されている、
固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。
項2.導電性炭素繊維の平均繊維径が1〜50μmで平均アスペクト比が1〜1000である項1に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。
項3.項1又は2に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層上に触媒層が積層されてなる、固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極。
項4.電解質膜の片面又は両面に触媒層が積層されてなる触媒層−電解質膜積層体の触媒層上に、項1又は2に記載のガス拡散層が積層されてなる、固体高分子形燃料電池用膜−電極接合体。
項5.電解質膜の片面又は両面に、項3に記載のガス拡散電極が、電解質膜と触媒層とが接するように積層されてなる、固体高分子形燃料電池用膜−電極接合体。
項6.項4又は5に記載の膜−電極接合体を具備する、固体高分子形燃料電池。
本発明のガス拡散層は、導電性炭素繊維及び樹脂を含む層が、3層以上からなるガス拡散層であって、
各層において導電性炭素繊維は一方向且つ平面方向に配向されており、
3層以上の各層に含まれる導電性炭素繊維は、これらが接する層中の導電性炭素繊維とは異なる方向に配向されている。このガス拡散層は、例えば、導電性炭素繊維及び樹脂を含む層を3層以上フィルム基材上に積層し、その後、フィルム基材から剥離することによって得られる。
導電性炭素繊維としては、例えば、気相成長法炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ、PAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、フェノール樹脂系炭素繊維、セルロース系炭素繊維等が挙げられる。これらの導電性炭素繊維は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、導電性炭素繊維を結着させる材料としては、樹脂を使用する。使用できる樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれでもよく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。また、フッ素系樹脂を使用することもでき、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化エチレンプロピレン樹脂(FEP)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体樹脂、三フッ化塩化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体樹脂等も挙げられる。その他、酢酸ビニル樹脂、ブタジエン・スチレン共重合体樹脂(PSB)、ブタジエン・アクリロニトリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル−アクリル共重合体樹脂、ウレタン樹脂等も使用できる。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。なかでも、撥水性を持つことから、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化エチレンプロピレン樹脂(FEP)、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、六フッ化プロピレン−フッ化ビニリデン共重合体樹脂、三フッ化塩化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体樹脂等のフッ素系樹脂が好ましい。また膜強度向上には、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂等が好ましい。
導電性炭素粒子は、導電性を有する炭素材であれば特に限定されず、公知又は市販のものを使用できる。例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等のカーボンブラック;黒鉛;活性炭等が挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上で用いることができる。これらの導電性炭素粒子を含有する多孔性導電シートを作製することによりシートの導電性等を向上させることができる。
上述のように、樹脂としては、撥水性を有するフッ素系樹脂が好ましいが、フッ素系樹脂を使用しない場合でも、ガス拡散層を作製した後に撥水処理を施せばよい。撥水処理としては、例えば、得られたガス拡散層をフッ素系樹脂等が分散した水分散体中に浸漬する方法等が挙げられる。フッ素系樹脂としては、上述したもの等が挙げられる。なお、この際には、水中にフッ素系樹脂を分散させるために、公知又は市販の分散剤を用い、フッ素系樹脂及び水系分散剤を含む水系懸濁液として使用することが好ましい。
本発明のガス拡散層中の各成分の配合割合は、例えば、導電性炭素繊維を20〜99重量%程度(好ましくは30〜95重量%程度)、樹脂を1〜80重量%程度(好ましくは5〜70重量%程度)とすればよい。また、導電性炭素粒子、金属材料等を含ませる場合には、導電性炭素粒子の含有量は、5〜80重量%程度(好ましくは10〜50重量%程度)とすればよい。
本発明のガス拡散層は、ガス拡散層形成用ペースト組成物を、フィルム基材表面に塗布することで3層以上の層を形成し、次いで乾燥を行い、シートを剥離する工程を経ることにより得られる。
本発明の固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極は、上記で説明した本発明のガス拡散層上に触媒層が形成されてなる。ただし、触媒層形成用ペースト組成物を、本発明のガス拡散層に直接形成すると、触媒層形成用ペースト組成物がガス拡散層の大きな細孔にしみ込んでしまい、ガス拡散層の細孔を埋めてしまったり、触媒が有効に利用されなかったりする可能性があるので、導電性多孔質層(MPL層)をガス拡散層に形成し、その後触媒層を形成する事が望ましい。この導電性多孔質層としては、公知の構成とすればよく、例えば、導電性炭素粒子及びフッ素系樹脂を含む導電性多孔質層形成用ペースト組成物の乾燥及び焼成物から構成される。具体的には、特開2010−165470号公報等に記載されているものとすればよい。
<ガス拡散層を触媒層−電解質膜積層体に積層する場合>
本発明の第1の態様における固体高分子形燃料電池用膜−電極接合体は、電解質膜の片面又は両面に触媒層が形成されてなる触媒層−電解質膜積層体の触媒層上に、本発明のガス拡散層が積層されてなる。なお、熱プレスすることにより、触媒層−電解質膜積層体とガス拡散層とを接合してもよいし、しなくてもよい。
本発明の第2の態様における固体高分子形燃料電池用膜−電極接合体は、電解質膜の片面又は両面に、本発明のガス拡散電極が、電解質膜と触媒層とが接するように積層されてなる。なお、熱プレスすることにより、電解質膜とガス拡散電極とを接合してもよいし、しなくてもよい。
本発明の膜−電極接合体に公知又は市販のセパレータを設けることにより、本発明の固体高分子形燃料電池を得ることができる。
実施例及び比較例においては、以下の材料を使用した。
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)樹脂:Solvay Solexis社製のSOLEF21216/1001
導電性炭素繊維:帝人(株)製のラヒーマ R−A301(平均繊維径:13μm、平均繊維長:200μm、平均アスペクト比:15.4)
まずはPVDF樹脂をMEK(メチルエチルケトン)に、PVDFの10wt%溶液となるように溶解させて、PVDF溶液を得た。
上記のガス拡散層形成用ペースト組成物を、フィルム基材にて塗布し、ガス拡散層形成用ペースト組成物厚みが乾燥後約75μmになるように、アプリケーターのメモリを調整しペースト塗工量を調整して塗布した。その後、塗布したインキが乾燥しないうちに、フィルム基材を90度回転させて、ガス拡散層形成用ペースト組成物を塗布した厚みが前記塗布したインクと合わせて、乾燥後約150μmとなるようにアプリケーターで塗布した。これにより、基材側の75μmと表面側の75μmとでは導電性炭素繊維の配向が90度異なった膜が得られた。これを2回繰り返すことで、総厚300μmで導電性炭素繊維の配向が約75μmごとに90度異なった4層からなるガス拡散層が得られた。これを100℃に設定したオーブンにて乾燥させた後、フィルム基材からガス拡散層をはがして、300μm厚のガス拡散層を得た。
細孔容積
ガス拡散層の細孔容積は、水銀圧入式細孔分布測定装置(micromeritics Autopore IV mercury porosimeter:(株)島津製作所製)を利用して、ガス拡散層の細孔容積を測定した。結果を図4に示す。
触媒層−電解質膜積層体の製造
白金触媒担持炭素粒子4g(田中貴金属工業(株)製、「TEC10E50E」)、イオン伝導性高分子電解質溶液40g(Nafion5wt%溶液:「DE−520」デュポン社製)、蒸留水12g、n−ブタノール20g及びt−ブタノール20gを配合し、分散機にて攪拌混合することにより、アノード触媒層形成用ペースト組成物及びカソード触媒層形成用ペースト組成物を得た。
上記で作製した触媒層−電解質膜積層体の両面に、実施例1の各ガス拡散層を積層させることにより、膜−電極接合体(MEA)を得、次いで、得られたMEAを燃料電池セルに組み込むことにより、固体高分子形燃料電池(実施例1のガス拡散層を用いて製造した固体高分子形燃料電池)を製造した。また、比較例1のガス拡散層を用いて製造した個体高分子形燃料電池も同様に製造した。
電池性能評価
上記のMEAを使用しての電池性能評価を、以下の条件により行った。
加湿温度:カソード65℃、アノード65℃
ガス利用率:カソード40%、アノード70%
負荷電流を0〜1000mA/cm2まで変動させた時のセル電圧値の測定を行った実施例1及び比較例1の結果を図5に示す。
項1.導電性炭素繊維及び樹脂を含む層が、3層以上からなるガス拡散層であって、
各層において導電性炭素繊維は一方向且つ平面方向に配向されており、
3層以上の各層に含まれる導電性炭素繊維は、これらが接する層中の導電性炭素繊維とは異なる方向に配向されており、
各層に含まれる樹脂は、これらが接する層に含まれる樹脂と結着している、
固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。
項2.各層に含まれる導電性炭素繊維同士は、樹脂によって結着されている、項1に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。
項3.樹脂が熱硬化性樹脂である、項1又は2に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。
項4.導電性炭素繊維の平均繊維径が1〜50μmで平均アスペクト比が1〜1000である項1〜3のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。
項5.導電性炭素繊維及び樹脂を含む層が、複数の層からなり、
各層における導電性炭素繊維は樹脂によって結着されており、
各層において導電性炭素繊維は一方向且つ平面方向に配向されており、
各層に含まれる導電性炭素繊維は、これらが接する層中の導電性炭素繊維とは異なる方向に配向されている、固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、
導電性炭素繊維、樹脂及び分散媒を含むガス拡散層形成用ペースト組成物を塗布することによって、導電性炭素繊維を一方向且つ平面方向に配向させる工程を備えた、ガス拡散層の製造方法。
項6.導電性炭素繊維及び樹脂を含む層が、複数の層からなり、
各層における導電性炭素繊維は樹脂によって結着されており、
各層に含まれる樹脂は、これらが接する層に含まれる樹脂と結着されており、
各層において導電性炭素繊維は一方向且つ平面方向に配向されており、
各層に含まれる導電性炭素繊維は、これらが接する層中の導電性炭素繊維とは異なる方向に配向されている、固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、
導電性炭素繊維、樹脂及び分散媒を含むガス拡散層形成用ペースト組成物を塗布することによって、導電性炭素繊維を一方向且つ平面方向に配向させる工程を備えた、ガス拡散層の製造方法。
項7.導電性炭素繊維及び樹脂を含む層が、複数の層からなり、
各層において導電性炭素繊維は一方向且つ平面方向に配向されており、
各層に含まれる導電性炭素繊維は、これらが接する層中の導電性炭素繊維とは異なる方向に配向されている、固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、
導電性炭素繊維、樹脂及び分散媒を含むガス拡散層形成用ペースト組成物を一方向に塗布した後に、ガス拡散層形成用ペースト組成物が乾燥する前に、ガス拡散層形成用ペースト組成物を前記塗布した方向と異なる方向に塗布する工程を備えた、ガス拡散層の製造方法。
項8.導電性炭素繊維及び樹脂を含む層が、複数の層からなり、
各層において導電性炭素繊維は一方向且つ平面方向に配向されており、
各層に含まれる導電性炭素繊維は、これらが接する層中の導電性炭素繊維とは異なる方向に配向されており、且つ
各層に含まれる樹脂は、これらが接する層に含まれる樹脂と結着されている、固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、
導電性炭素繊維、樹脂及び分散媒を含むガス拡散層形成用ペースト組成物を一方向に塗布した後に、ガス拡散層形成用ペースト組成物が乾燥する前に、ガス拡散層形成用ペースト組成物を前記塗布した方向と異なる方向に塗布する工程を備えた、ガス拡散層の製造方法。
項9.導電性炭素繊維及び樹脂を含む層が、複数の層からなり、
各層において導電性炭素繊維は一方向且つ平面方向に配向されており、
各層に含まれる導電性炭素繊維は、これらが接する層中の導電性炭素繊維とは異なる方向に配向されており、且つ
各層に含まれる樹脂は、これらが接する層に含まれる樹脂と結着されている、固体高分子形燃料電池用ガス拡散層の製造方法であって、
一方向に導電性炭素繊維が配向したシートを複数枚用意し、導電性炭素繊維の配向した向きを変えてシートを配置し、ヒートプレスする工程を備えた、
ガス拡散層の製造方法。
項10.請求項1〜4のいずれかに記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層上に触媒層が積層されてなる、固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極。
項11.電解質膜の片面又は両面に触媒層が積層されてなる触媒層−電解質膜積層体の触媒層上に、請求項1〜4のいずれかに記載のガス拡散層が積層されてなる、固体高分子形燃料電池用膜−電極接合体。
項12.電解質膜の片面又は両面に、請求項10に記載のガス拡散電極が、電解質膜と触媒層とが接するように積層されてなる、固体高分子形燃料電池用膜−電極接合体。
項13.項11又は12に記載の膜−電極接合体を具備する、固体高分子形燃料電池。
Claims (6)
- 導電性炭素繊維及び樹脂を含む層が、3層以上からなるガス拡散層であって、
各層において導電性炭素繊維は一方向且つ平面方向に配向されており、
3層以上の各層に含まれる導電性炭素繊維は、これらが接する層中の導電性炭素繊維とは異なる方向に配向されている、
固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。 - 導電性炭素繊維の平均繊維径が1〜50μmで平均アスペクト比が1〜1000である請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層。
- 請求項1又は2に記載の固体高分子形燃料電池用ガス拡散層上に触媒層が積層されてなる、固体高分子形燃料電池用ガス拡散電極。
- 電解質膜の片面又は両面に触媒層が積層されてなる触媒層−電解質膜積層体の触媒層上に、請求項1又は2に記載のガス拡散層が積層されてなる、固体高分子形燃料電池用膜−電極接合体。
- 電解質膜の片面又は両面に、請求項3に記載のガス拡散電極が、電解質膜と触媒層とが接するように積層されてなる、固体高分子形燃料電池用膜−電極接合体。
- 請求項4又は5に記載の膜−電極接合体を具備する、固体高分子形燃料電池。
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