以下、本発明の一実施形態である車両用前照灯について、図面を参照しながら説明する。
図1は本実施形態の車両用前照灯10の概略構成図、図2は車両用前照灯10に用いられる光ファイバ14等の構成を示す断面図である。
図1、図2に示すように、本実施形態の車両用前照灯10は、レーザー光源12、光ファイバ14、波長変換部材16、集光レンズ18、光学系20等を備えている。
レーザー光源12は、青色域(例えば、発光波長が450nm)のレーザー光を放出するレーザー光源で、具体的には、レーザーダイオード12a(LD素子)を含んでパッケージ化されたキャン型の半導体レーザー光源として構成されている。なお、レーザー光源12は、近紫外域(例えば、発光波長が405nm)又はそれ以外のレーザー光を放出するレーザー光源であってもよい。
レーザー光源12は、実装基板12b表面に実装されており、同じく実装基板12b表面に実装されたホルダー12c内に収容されている。ホルダー12cには、レーザーダイオード12aから放射されたレーザー光が通過する開口12c1が形成されている。集光レンズ18は、その開口12c1を覆った状態でホルダー12cに保持されている。レーザー光源12の光軸は光ファイバ14のコア22の入射端面22aに直交している。
光ファイバ14は、集光レンズ18で集光されたレーザー光源12からのレーザー光が入射する入射端面22aと入射端面22aから導入されるレーザー光が出射する出射端面22bとを含むコア22と、コア22の周囲を取り囲むクラッド24と、を含む一本の光ファイバとして構成されている。クラッド24の周囲は、被覆26で覆われている。なお、コア22及びクラッド24の材質は、石英ガラスであってもよいし、合成樹脂であってもよい。
図3は、光ファイバ14の断面図である。
図3に示すように、コア22は、ファイバ軸に垂直な断面(以下、コア断面と称する。入射端面22a、出射端面22bも同様)が矩形(又は略矩形)のコアとして構成されている。
このように、コア断面が矩形(又は略矩形)のコア22を含む光ファイバ14を用いることで、コア断面が円形(又は略円形)のコアを含む光ファイバを用いる場合と比べ、出射端面22bから出射するレーザー光の強度(出力)を均一(又は略均一)なものとすることができる。その結果、波長変換部材16をその全域に渡って均一(又は略均一)に照射することができる。
なお、コア断面は、完全な矩形でなくてもよく、略矩形であればよい。例えば、製造上の理由で、コア断面の四隅が完全な直角ではなく若干丸みを帯びたり、コア断面の各辺が直線ではなく曲線状となることがある。これら場合であっても、コア断面が円形(又は略円形)のコアを含む光ファイバを用いる場合と比べ、出射端面22bから出射するレーザー光の強度(出力)を均一(又は略均一)なものとすることができる。
なお、コア断面は、短辺と長辺の比が1:2〜1:8の矩形(又は略矩形)であるのが望ましい。このようにすれば、輝度ムラが改善され、均一(又は略均一)に発光する、車両用前照灯の光源に適した矩形形状の発光部(波長変換部材16)を実現することができる。
光ファイバ14は、例えば、まず、略四角柱状のコアロッドを形成し、クラッド部となるガラス管に略四角柱状のコアロッドを挿入して周囲から加熱して溶かすことで、ガラス管を収縮させてコアロッドとガラス管とが一体化された光ファイバ母材を形成し、その後、光ファイバ母材を線引きすることで製造することができる。この製造方法については、例えば、WO 03/075058に詳しく記載されている。また、光ファイバ14は、特開2009−168914号公報等に記載の他の製造方法を用いて製造することもできる。
波長変換部材16は、出射端面22bから出射するレーザー光を受けて当該レーザー光の少なくとも一部をレーザー光と異なる波長の光に変換する波長変換部材で、具体的には、青色域(例えば、発光波長が450nm)のレーザー光によって励起されて黄色光を発光する板状又は層状の蛍光体として構成されている。なお、波長変換部材16は、近紫外域(例えば、発光波長が405nm)のレーザー光によって励起されて赤、緑、青の3色の光を発光する板状又は層状の蛍光体として構成されていてもよい。例えば、数ミクロンから数十ミクロンの粒子(無機蛍光体)を、ガラスやアルミナなどの透光性の保持体に分散させることで板状の蛍光体とすることができる。また、蛍光体粒子(と透光性バインダーの混合物)を拡散板の上に塗布することで層状の蛍光体とすることができる。
波長変換部材16は、出射端面22bに対向した状態で配置されている。例えば、図2に示すように、波長変換部材16は、出射端面22bに接着層28を介して接着された状態で配置されている。波長変換部材16の外形(輪郭)は、出射端面22bの外形と同一(又は略同一)に構成されている。そして、波長変換部材16は、その外形と出射端面22bの外形とが一致(又は略一致)し、出射端面22bを覆った状態で配置されている。
このように、波長変換部材16は出射端面22bの外形からはみ出ることなく、かつ、波長変換部材16と出射端面22bとの間に隙間が形成されることなく、出射端面22bを覆った状態で出射端面22bに配置されているため、波長変換部材16が出射端面22bの外形からはみ出ることに起因する輝度ムラ(又は色ムラ)、波長変換部材16と出射端面22bとの間に隙間が形成されることに起因する輝度ムラ(又は色ムラ)が抑制される。
上記構成の光ファイバ14においては、レーザー光源12からのレーザー光は、集光レンズ18で集光されて入射端面22aからコア22内部へ導入されて出射端面22bから出射し、波長変換部材16を照射する。その際、光ファイバ14が、コア断面が矩形(又は略矩形)のコア22を含む光ファイバ14として構成されているため、出射端面22bから出射するレーザー光は、その強度が均一(又は略均一)なものとなり、波長変換部材16をその全域に渡って均一(又は略均一)に照射する。その結果、波長変換部材を散点的に照射する従来技術(例えば、特開2011−222260号公報参照)と比べ、輝度ムラが改善され、均一(又は略均一)に発光する矩形形状の発光部(波長変換部材16)が実現される。
また、波長変換部材を散点的に照射する従来技術(例えば、特開2011−222260号公報参照)においては、発光部(波長変換部材)の厚みを厚くすることで、均一(又は略均一)に発光する矩形形状の発光部(波長変換部材)を実現することができるが、発光部(波長変換部材)の厚みを厚くする分、発光部(波長変換部材)内部での散乱等により吸収される光が増加して効率が低下するのに対して、本実施形態においては、発光部(波長変換部材16)の厚みを厚くすることなく、均一(又は略均一)に発光する矩形形状の発光部(波長変換部材16)を実現することができるため、上記従来技術と比べ、効率が低下しないという利点がある。
青色域のレーザー光が照射された場合、波長変換部材16は、これを透過する青色域のレーザー光と青色域のレーザー光による発光(黄色光)との混色による白色光(疑似白色光)を放出する。一方、近紫外域のレーザー光が照射された場合、波長変換部材16は、近紫外域のレーザー光による発光(赤、緑、青の3色の光)の混色による白色光(疑似白色光)を放出する。
光学系20は、上記のように輝度ムラが改善され、均一(又は略均一)に発光する矩形形状の発光部(波長変換部材16)の光源像を投影して所定配光パターン(ロービーム用配光パターン又はハイビーム用配光パターン)を形成するように構成された光学系で、反射面、レンズ及び導光体のうち少なくとも一つを含む光学系として構成されている。
以下、光学系20の具体的構成について例示する。
図4(a)は、光学系20を、投影レンズ32、シェード34、反射面36を含むプロジェクタ光学系20Aとして構成した例である。
図4(a)に示すように、矩形形状の発光部(波長変換部材16)は、上向きに光を放出するように、投影レンズ32の後側焦点F32よりさらに後方かつ光軸AX20A近傍に配置されている。
反射面36は、光軸AX20Aを含む断面形状が第1焦点F1及び第2焦点F2を含む楕円形状で、その離心率が鉛直断面から水平断面へ向けて徐々に大きくなるように設定された回転楕円系の反射面(回転楕円面又はこれに類する自由曲面等)として構成されている。
反射面36は、上向き(半球方向)に放出される矩形形状の発光部(波長変換部材16)からの光が入射するように、矩形形状の発光部(波長変換部材16)の側方から上方にかけての範囲(但し、反射面36からの反射光が通過する車両前方側領域を除く)をドーム状に覆っている。
シェード34は、投影レンズ32の後側焦点F32近傍に配置されたエッジ部34aから後方に向かって延びる平面ミラー34bを含んで構成されている。エッジ部34aは、カットオフラインに対応した形状でかつ投影レンズ32の像面湾曲に対応して湾曲している。
上記構成の光学系20Aを用いた車両用前照灯10においては、均一(又は略均一)に発光する矩形形状の発光部(波長変換部材16)の光源像Iは、光学系20Aによって車両用前照灯10に正対した仮想鉛直スクリーン(車両用前照灯10の前方約25mの位置に配置されている)上に、図5(a)に示すように投影される。これは、矩形形状の発光部(波長変換部材16)の光源像Iが図5(a)に示すように投影されるように、反射面36の形状が調整されていることによるものである。また、光源像Iの一部がシェード34(平面ミラー34b)で反射されてカットオフラインCLに対して折り返されることで、カットオフラインCLが形成される。
以上のようにして、カットオフラインCLを含むロービーム用配光パターンP1が形成される。
なお、シェード34を省略し、反射面36の形状を調整することで、ハイビーム用配光パターンを形成することもできる。
図4(b)は、光学系20を、反射面42を含むリフレクタ光学系20Bとして構成した例である。
図4(b)に示すように、矩形形状の発光部(波長変換部材16)は、反射面42の焦点F42近傍に配置されている。
反射面42は、回転放物面系の反射面(回転放物面又はこれに類する自由曲面等)として構成されている。反射面42は、光軸AX20Bの上方(又は下方)に配置されている。
上記構成の光学系20Bを用いた車両用前照灯10においては、均一(又は略均一)に発光する矩形形状の発光部(波長変換部材16)の光源像Iは、光学系20Bによって仮想鉛直スクリーン上に、図5(b)に示すように投影される。これは、矩形形状の発光部(波長変換部材16)の光源像Iが図5(b)に示すように投影されるように、反射面42の形状が調整されていることによるものである。
以上のようにして、カットオフラインCLを含むロービーム用配光パターンP2が形成される。
なお、反射面42の形状を調整することで、ハイビーム用配光パターンを形成することもできる。
図6は、光学系20を、投影レンズ52、シェード54を含むいわゆるダイレクトプロジェクション光学系20Cとして構成した例である。
図6に示すように、矩形形状の発光部(波長変換部材16)は、投影レンズ52の後側焦点F52近傍に配置されている。シェード54は、その上端縁が投影レンズ52の後側焦点F52近傍に位置して、矩形形状の発光部(波長変換部材16)の一部を覆った状態で、矩形形状の発光部(波長変換部材16)の前方に配置されている。なお、シェード54は、矩形形状の発光部(波長変換部材16)から離間した位置に配置されていてもよいし、矩形形状の発光部(波長変換部材16)に接する位置に配置されていてもよい。
なお、シェード54は、図7に示すように、出射端面22bの一部を覆っていてもよい。図7は、出射端面22bの外形を構成する一方の長辺が、左水平カットオフラインに対応する辺L1、右水平カットオフラインに対応する辺L2、及び、左水平カットオフラインと右水平カットオフラインとを接続する斜めカットオフラインに対応する辺L3を含む長辺として構成されるように、シェード54が出射端面22bの一部を覆った例である。
この場合、波長変換部材16の外形(輪郭)は、出射端面22bのうちシェード54以外の領域の外形と同一(又は略同一)に構成されている。そして、波長変換部材16は、その外形と出射端面22bのうちシェード54以外の領域の外形とが一致(又は略一致)し、出射端面22bに接着層28を介して接着されて出射端面22bを覆った状態で出射端面22bに配置されている。
上記構成の光学系20Cを用いた車両用前照灯10においては、均一(又は略均一)に発光する矩形形状の発光部(波長変換部材16)の光源像Iは、光学系20Cによって仮想鉛直スクリーン上に、図5(c)に示すように投影される。これは、矩形形状の発光部(波長変換部材16)の光源像Iが図5(c)に示すように投影されるように、投影レンズ52の表面及び裏面の少なくとも一方の形状が調整されていることによるものである。
以上のようにして、カットオフラインCLを含むロービーム用配光パターンP3が形成される。
なお、シェード54を省略し、投影レンズ52の表面及び裏面の少なくとも一方の形状を調整することで、ハイビーム用配光パターンを形成することもできる。
図8は、光学系20を、導光体62(導光レンズ)を含む導光光学系20Dとして構成した例である。
図8に示すように、矩形形状の発光部(波長変換部材16)は、導光体62の光学設計上の基準点F62近傍に配置されている。
導光体62は、入光面62a、前面62b、後面62c及び光学設計上の基準点F62を含むアクリル又はポリカーボネイト等の透明樹脂製の透光部材で、入光面62aから入光する矩形形状の発光部(波長変換部材16)からの光が前面62b(第1前面62b1及び第2前面62b2)の少なくとも一部で反射し、さらに、後面62c(第1後面62c1及び第2後面62c2)の少なくとも一部で反射した後、前面62b(第1前面62b1及び第2前面62b2)の少なくとも一部から出射して前方に照射されるように構成されている。
上記構成の光学系20Dを用いた車両用前照灯10においては、均一(又は略均一)に発光する矩形形状の発光部(波長変換部材16)の光源像Iは、光学系20Dによって仮想鉛直スクリーン上に、図5(c)に示すように投影される。これは、矩形形状の発光部(波長変換部材16)の光源像Iが図5(c)に示すように投影されるように、入光面62a、前面62b及び後面62cのうち少なくとも一つの面形状が設計されていることによるものである。各面の設計手法については、例えば、米国特許第7460985号に詳しく記載されている。
以上のようにして、カットオフラインCLを含むロービーム用配光パターンP3が形成される。
なお、入光面62a、前面62b及び後面62cのうち少なくとも一つの形状を調整することで、ハイビーム用配光パターンを形成することもできる。
図9(a)は、光学系20を、プロジェクタ光学系20Aをベースとする大光量プロジェクタ光学系20Eとして構成した例である。
光学系20Eは、プロジェクタ光学系20A(図4(a)参照)と比べ、反射面36の前端が投影レンズ32側に延長されている点、付加反射面70が追加されている点が相違する。それ以外、プロジェクタ光学系20Aと同様の構成である。以下、プロジェクタ光学系20Aとの相違点を中心に説明し、プロジェクタ光学系20Aと同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
反射面36の前端は、反射面36で反射されて投影レンズ32を透過する光を遮らない程度、投影レンズ32側に延長されて延長反射領域36aを構成している。
延長反射領域36aは、第1焦点F136aが矩形形状の発光部(波長変換部材16)近傍に設定され、第2焦点F236aが反射面36と付加反射面70との間に設定された回転楕円系の反射面として構成されている。
付加反射面70は、焦点F70が第2焦点F236a近傍に設定された回転放物面系の反射面として構成されている。付加反射面70は、延長反射領域36aからの反射光が入射するように、光軸AX20Eの下方に配置されている。
上記構成の光学系20Eを用いた車両用前照灯10においては、プロジェクタ光学系20A(図4(a)参照)と比べ、延長反射領域36a及び付加反射面70により、矩形形状の発光部(波長変換部材16)の光源像Iをより多く前方へ投影することができるため、より明るいロービーム用配光パターンを形成することができる。
図9(b)は、光学系20を、プロジェクタ光学系20Aをベースとする2回反射型リフレクタ光学系20Fとして構成した例である。
光学系20Fは、プロジェクタ光学系20A(図4(a)参照)と比べ、シェード34、反射面36等が縦置きされている点、投影レンズ32が省略されて付加反射面72が追加されている点が相違する。それ以外、プロジェクタ光学系20Aと同様の構成である。以下、プロジェクタ光学系20Aとの相違点を中心に説明し、プロジェクタ光学系20Aと同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
付加反射面72は、焦点F72が第2焦点F2近傍に設定された回転放物面系の反射面として構成されている。付加反射面72は、反射面36からの反射光が入射するように、シェード34の上端より上方かつシェード34より車両後方側に配置されている。
上記構成の光学系20Fを用いた車両用前照灯10においても、均一(又は略均一)に発光する矩形形状の発光部(波長変換部材16)の光源像Iは、光学系20Fによって仮想鉛直スクリーン上に、図5(a)に示すように投影される。これにより、カットオフラインCLを含むロービーム用配光パターンP1が形成される。
以上説明したように、本実施形態によれば、光ファイバ14を用いた車両用前照灯10において、輝度ムラが改善され、均一(又は略均一)に発光する矩形形状の発光部(波長変換部材16)を実現することができる。これは、コア断面が矩形又は略矩形のコア22を含む光ファイバ14を用いることで、コア断面が円形又は略円形のコアを含む光ファイバを用いる場合と比べ、出射端面22bから出射するレーザー光の強度(出力)が均一(又は略均一)なものとなる結果、波長変換部材16がその全域に渡って均一(又は略均一)に照射されることによるものである。
次に、光ファイバ14の変形例(第1変形例)について説明する。
図10は、光ファイバ14の第1変形例である光ファイバ14Aに用いられるコア22Aの斜視図である。
本変形例の光ファイバ14Aと上記実施形態の光ファイバ14とを対比すると、上記実施形態の光ファイバ14のコア22は、入射端面22aと出射端面22bとの間のコア断面が全て矩形(又は略矩形)のコアとして構成されていたのに対して、本変形例の光ファイバ14Aのコア22Aは、図10に示すように、入射端面22aを含むコア部分のコア断面が円形(又は略円形)で、出射端面22bを含むコア部分のコア断面が矩形(又は略矩形)のコア22Aとして構成されている点が相違する。それ以外、上記実施形態の光ファイバ14と同様の構成である。以下、上記実施形態の光ファイバ14との相違点を中心に説明し、上記実施形態の光ファイバ14と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
本変形例の光ファイバ14Aは、例えば、コア断面が円形(又は略円形)の光ファイバとコア断面が矩形(又は略矩形)の光ファイバとを用意し、両者の端面を突き合わせ、その突き合わせた部分を光ファイバ融着接続機等を用いて融着することで製造することができる。また、本変形例の光ファイバ14Aは、例えば、コア断面が円形(又は略円形)の光ファイバとコア断面が矩形(又は略矩形)の光ファイバとを、コネクタやスリーブ等を用いて両者の端面を突き合わせた状態で接続することで製造することもできる。
本変形例の光ファイバ14Aによれば、レーザー光源12からのレーザー光は集光レンズ18で円形(又は略円形)に集光されるため、入射端面22aを含むコア部分のコア断面を円形(又は略円形)とすることで、入射端面22aを含むコア部分のコア断面を矩形(又は略矩形)とする場合と比べ、入射端面22aに対するレーザー光の入射効率を向上させることができる。
次に、光ファイバ14の変形例(第2変形例)について説明する。
図11(a)は、光ファイバ14の第2変形例である光ファイバ14Bの断面図である。
本変形例の光ファイバ14Bと上記実施形態の光ファイバ14とを対比すると、上記実施形態の光ファイバ14のコア22は、コア断面が矩形(又は略矩形)のコアとして構成されていたのに対して、本変形例の光ファイバ14Bのコア22Bは、コア断面(入射端面22a、出射端面22bも同様)が図11(a)に示す形状のコア22Bとして構成されている点が相違する。それ以外、上記実施形態の光ファイバ14と同様の構成である。以下、上記実施形態の光ファイバ14との相違点を中心に説明し、上記実施形態の光ファイバ14と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
図11(a)に示すように、本変形例の光ファイバ14Bのコア断面(入射端面22a、出射端面22bも同様)の外形を構成する一方の長辺は、左水平カットオフラインに対応する辺L1、右水平カットオフラインに対応する辺L2、及び、左水平カットオフラインと右水平カットオフラインとを接続する斜めカットオフラインに対応する辺L3を含む長辺として構成されている。
本変形例の光ファイバ14Bは、例えば、まず、コア断面が図11(a)に示す形状の柱状のコアロッドを形成し、クラッド部となるガラス管にコア断面が図11(a)に示す形状の柱状のコアロッドを挿入して周囲から加熱して溶かすことで、ガラス管を収縮させてコアロッドとガラス管とが一体化された光ファイバ母材を形成し、その後、光ファイバ母材を線引きすることで製造することができる。
本変形例においても、波長変換部材16の外形(輪郭)は、出射端面22bの外形と同一(又は略同一)に構成されている。そして、波長変換部材16は、その外形と出射端面22bの外形とが一致(又は略一致)し、出射端面22bに接着層28を介して接着されて出射端面22bを覆った状態で出射端面22bに配置されている。
このように、波長変換部材16は出射端面22bの外形からはみ出ることなく、かつ、波長変換部材16と出射端面22bとの間に隙間が形成されることなく、出射端面22bを覆った状態で出射端面22bに配置されているため、波長変換部材16が出射端面22bの外形からはみ出ることに起因する輝度ムラ(又は色ムラ)、波長変換部材16と出射端面22bとの間に隙間が形成されることに起因する輝度ムラ(又は色ムラ)が抑制された、車両用前照灯の光源に適した矩形形状の発光部を実現することができる。
なお、本変形例の光ファイバ14Bのコア22Bは、第1変形例(図10参照)と同様、入射端面22aを含むコア部分のコア断面が円形(又は略円形)で、出射端面22bを含むコア部分のコア断面が図11(a)に示す形状のコア22Bとして構成されていてもよい。
本変形例の光ファイバ14Bによれば、出射端面22bの外形を構成する一方の長辺が、左水平カットオフラインに対応する辺L1、右水平カットオフラインに対応する辺L2、及び、左水平カットオフラインと右水平カットオフラインとを接続する斜めカットオフラインに対応する辺L3を含む長辺として構成されているため、発光部(波長変換部材16)又は出射端面22bの前方にカットオフラインを形成するためのシェードを配置することなく、カットオフラインを含む所定配光パターン(例えば、ロービーム用配光パターン)を形成することができる、車両用前照灯に適した光ファイバを実現することができる。
すなわち、本変形例の光ファイバ14Bによれば、カットオフラインを含む所定配光パターン(例えば、ロービーム用配光パターン)を形成するに際して、発光部(波長変換部材16)又は出射端面22bからの光の一部を遮光するシェードが不要となるため、極めて光利用効率の高い車両用前照灯を実現することができる、車両用前照灯に適した光ファイバを実現することができる。
また、本変形例の光ファイバ14Bによれば、発光部(波長変換部材16)の光源像Iが一方の長辺(辺L1、辺L2及び辺L3)に対応する長辺を含んだ形状となるため、この光源像Iを仮想鉛直スクリーン上の水平線と鉛直線との交点付近に配置することで、斜めカットオフラインを含むカットオフラインを容易に形成することができる。
本変形例の光ファイバ14Bは、特に図6に示すダイレクトプロジェクション光学系20C、図8に示す導光光学系20Dにおいて好適に用いることができる。
次に、光ファイバ14の変形例(第3変形例)について説明する。
図11(b)は、光ファイバ14の第3変形例である光ファイバ14Cの断面図である。
本変形例の光ファイバ14Cと上記実施形態の光ファイバ14とを対比すると、上記実施形態の光ファイバ14のコア22は、コア断面が矩形(又は略矩形)のコアとして構成されていたのに対して、本変形例の光ファイバ14Cのコア22Cは、コア断面(入射端面22a、出射端面22bも同様)が図11(b)に示す平行四辺形のコア22Cとして構成されている点が相違する。それ以外、上記実施形態の光ファイバ14と同様の構成である。以下、上記実施形態の光ファイバ14との相違点を中心に説明し、上記実施形態の光ファイバ14と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
本変形例の光ファイバ14Cは、例えば、まず、コア断面が図11(b)に示す平行四辺形の柱状のコアロッドを形成し、クラッド部となるガラス管にコア断面が図11(b)に示す平行四辺形の柱状のコアロッドを挿入して周囲から加熱して溶かすことで、ガラス管を収縮させてコアロッドとガラス管とが一体化された光ファイバ母材を形成し、その後、光ファイバ母材を線引きすることで製造することができる。
なお、本変形例の光ファイバ14Cのコア22Cは、第1変形例(図10参照)と同様、入射端面22aを含むコア部分のコア断面が円形(又は略円形)で、出射端面22bを含むコア部分のコア断面が図11(b)に示す平行四辺形のコア22Cとして構成されていてもよい。
本変形例の光ファイバ14Cは、特に図6に示すダイレクトプロジェクション光学系20C、図8に示す導光光学系20Dにおいて好適に用いることができる。
本変形例の光ファイバ14Cによれば、発光部(波長変換部材16)の光源像Iが平行四辺形となるため、この光源像Iを図11(c)に示すように仮想鉛直スクリーン上に配置することで、斜めカットオフラインを含むカットオフラインを容易に形成することができるという利点がある。
次に、光ファイバ14の変形例(第4変形例)について説明する。
図12は、光ファイバ14の第4変形例である光ファイバ14Dの断面図である。
本変形例の光ファイバ14Dは、第1光ファイバ14D1、第2光ファイバ14D2を含む光ファイバとして構成されている。
各光ファイバ14D1、14D2のコア22D1、22D2は、第2変形例と同様、コア断面(入射端面22a、出射端面22bも同様)が図12に示す形状のコアとして構成されている。
第1光ファイバ14D1の出射端面22bと第2光ファイバ14D2の出射端面22bは、同一平面上に位置している。そして、第1光ファイバ14D1の出射端面22bが、第2光ファイバ14D2の出射端面22bに対して180°回転し、第1光ファイバ14D1の出射端面22bを構成する一方の長辺(辺L1、辺L2、辺L3)と第2光ファイバD2の出射端面22bを構成する一方の長辺(辺L3、辺L2、辺L1)とが対向した状態で、第1光ファイバ14D1と第2光ファイバ14D2は、並列に配置されている。
本変形例の光ファイバ14Dは、次のようにして製造することができる。
まず、コア断面が図12に示す形状の柱状のコアロッドを形成し、クラッド部となるガラス管に断面が図12に示す形状の柱状のコアロッドを挿入して周囲から加熱して溶かすことで、ガラス管を収縮させてコアロッドとガラス管とが一体化された光ファイバ母材を形成し、その後、光ファイバ母材を線引きする。その際、クラッドが円形とならずコアの外周に沿った薄い膜状(又は層状)のクラッドとなるように、線引きの速度等を調整する。または、クラッドが円形とならずコアの外周に沿った薄い膜状(又は層状)のクラッドとなるように、クラッド部となるガラス管の厚みを調整しておく。
以上のようにして、コア断面が図12に示す形状のコアと、コアの外周に沿った薄い膜状(又は層状)のクラッド24と、を含む各光ファイバ14D1、14D2を製造することができる。
次に、第1光ファイバ14D1の出射端面22bを、第2光ファイバ14D2の出射端面22bに対して180°回転させ、第1光ファイバ14D1の出射端面22bを構成する一方の長辺(辺L1、辺L2、辺L3)と第2光ファイバ14D2の出射端面22bを構成する一方の長辺(辺L3、辺L2、辺L1)とを対向させた状態で、第1光ファイバ14D1と第2光ファイバ14D2とを並列に配置する。その際、第1光ファイバ14D1の出射端面22bと第2光ファイバ14D2の出射端面22bを、同一平面上に位置させる。そして、第1光ファイバ14D1のクラッドと第2光ファイバ14D2のクラッドとを融着又は接着等の固定手段で固定する。なお、これをさらに図12に示すように、第2クラッド76で覆ってもよい。
以上のようにして、本変形例の光ファイバ14Dを製造することができる。
本変形例においては、第1波長変換部材16D1、第2波長変換部材16D2が用いられる。第1波長変換部材16D1の外形(輪郭)は、第1光ファイバ14D1の出射端面22bの外形と同一(又は略同一)に構成されている。同様に、第2波長変換部材16D2の外形(輪郭)は、第2光ファイバ14D2の出射端面22bの外形と同一(又は略同一)に構成されている。
そして、第1波長変換部材16D1は、その外形と第1光ファイバ14D1の出射端面22bの外形とが一致(又は略一致)し、第1光ファイバ14D1の出射端面22bに接着層28を介して接着されて第1光ファイバ14D1の出射端面22bを覆った状態で第1光ファイバ14D1の出射端面22bに配置されている。同様に、第2波長変換部材16D2は、その外形と第2光ファイバ14D2の出射端面22bの外形とが一致(又は略一致)し、第2光ファイバ14D2の出射端面22bに接着層28を介して接着されて第2光ファイバ14D2の出射端面22bを覆った状態で第2光ファイバ14D2の出射端面22bに配置されている。
このように、第1波長変換部材16D1(及び第2波長変換部材16D2)は出射端面22bの外形からはみ出ることなく、かつ、第1波長変換部材16D1(及び第2波長変換部材16D2)と出射端面22bとの間に隙間が形成されることなく、出射端面を覆った状態で出射端面に配置されているため、第1波長変換部材16D1(及び第2波長変換部材16D2)が出射端面22bの外形からはみ出ることに起因する輝度ムラ(又は色ムラ)、第1波長変換部材16D1(及び第2波長変換部材16D2)と出射端面22bとの間に隙間が形成されることに起因する輝度ムラ(又は色ムラ)が抑制された、車両用前照灯の光源に適した矩形形状の発光部(第1波長変換部材16D1及び第2波長変換部材16D2)を実現することができる。
第1波長変換部材16D1と第2波長変換部材16D2との間には、一方の波長変換部材(例えば、第1波長変換部材16D1)からの光が他方の波長変換部材(例えば、第2波長変換部材16D2)へ入射するのを防止するため、遮光部材74が配置されている。
これにより、一方の波長変換部材(例えば、第1波長変換部材16D1)からの光が他方の波長変換部材(例えば、第2波長変換部材16D2)へ入射することに起因する輝度ムラ(又は色ムラ)を抑制することができる。
なお、本変形例の各光ファイバ14D1、14D2のコア22D1、22D2は、第1変形例(図10参照)と同様、入射端面22aを含むコア部分のコア断面が円形(又は略円形)で、出射端面22bを含むコア部分のコア断面が図12に示す形状のコアとして構成されていてもよい。
本変形例の光ファイバ14Dは、特に図6に示すダイレクトプロジェクション光学系20C、図8に示す導光光学系20Dにおいて好適に用いることができる。
本変形例の光ファイバ14Dによれば、次の利点を生ずる。
第1に、光ファイバ14Dを用いた車両用前照灯10において、輝度ムラが改善され、均一(又は略均一)に発光する矩形形状の発光部(第1波長変換部材16D1及び第2波長変換部材16D2)を実現することができる。これは、コア断面が矩形(又は略矩形)のコア22D1、22D2を含む第1光ファイバ14D1、第2光ファイバ14D2を用いることで、コア断面が円形(又は略円形)のコアを含む光ファイバを用いる場合と比べ、出射端面22bから出射するレーザー光の強度(出力)が均一(又は略均一)なものとなる結果、第1波長変換部材16D1及び第2波長変換部材16D2がその全域に渡って均一(又は略均一)に照射されることによるものである。
第2に、第1光ファイバ14D1の入射端面22aから導入されるレーザー光を放出する第1レーザー光源(図示せず)と、第2光ファイバ14D2の入射端面22aから導入されるレーザー光を放出する第2レーザー光源(図示せず)と、を設け、ロービーム時には第1レーザー光源(又は第2レーザー光源)が点灯し、ハイビーム時には第1レーザー光源及び第2レーザー光源が同時に点灯するように各レーザー光源を制御する制御手段(例えば、CPUを含む制御回路。図示せず)を設けることで、機械的構成を用いることなく、ロービーム用配光パターンとハイビーム用配光パターンを切り換えることができる車両用前照灯を実現することができる。
第3に、第1光ファイバ14D1(及び第2光ファイバ14D2)の出射端面22bの外形を構成する一方の長辺が、左水平カットオフラインに対応する辺L1、右水平カットオフラインに対応する辺L2、及び、左水平カットオフラインと右水平カットオフラインとを接続する斜めカットオフラインに対応する辺L3を含む長辺として構成されているため、矩形形状の発光部(第1波長変換部材16D1及び第2波長変換部材16D2)又は出射端面22bの前方にカットオフラインを形成するためのシェードを配置することなく、カットオフラインを含む所定配光パターン(例えば、ロービーム用配光パターン)を形成することができる。
すなわち、本変形例の光ファイバ14Dによれば、例えば、第1レーザー光源(又は第2レーザー光源)を点灯し、カットオフラインを含む所定配光パターン(例えば、ロービーム用配光パターン)を形成するに際して、矩形形状の発光部(第1波長変換部材16D1及び第2波長変換部材16D2)又は出射端面22bからの光の一部を遮光するシェードが不要となるため、極めて光利用効率の高い車両用前照灯を実現することができる。
次に、出射端面22bから出射するレーザー光の強度の均一性をさらに高めるための構成について説明する。
例えば、光ファイバ14の長さを長くすることで、出射端面22bから出射するレーザー光の強度の均一性をさらに高めることができる。
また、図13に示すように、レーザー光源12の光軸AX12を、光ファイバ14の入射端面22aに対して相対的に傾けることで、出射端面22bから出射するレーザー光の強度の均一性をさらに高めることができる。なお、図13において、レーザー光源12は、複数設けてもよい。
傾ける条件は次のとおりである。
図14中、θ1は受光角の半角、θ2はファイバ軸と集光レンズ18の光軸とがなす角度、θ3は集光レンズ18の焦点から集光レンズ18の縁への仰角を表している。条件は、θ1≧θ2+θ3である。開口数NA=n×sinθである。θ2+θ3を見かけ上の最大入射角とした場合、入射NA23となる。光ファイバ14の最大拡散角がθ1ならば、ファイバNA1となる。よって、NA1≧NA23となる。よって、上記の範囲で傾けることが可能となる。
なお、レーザー光源12の光軸AX12は、光ファイバ14の入射端面22aに対して相対的に傾いていればよく、例えば、図15に示すように、出射端面22bは、レーザー光源12の光軸AX12(及びファイバ軸)に対して傾斜した平面として構成されていてもよい。
以上のように、一つ又は複数のレーザー光源12を設け、これらレーザー光源12の光軸AX12を、光ファイバ14の入射端面22aに対して相対的に傾けることで、出射端面22bから出射するレーザー光の強度の均一性をさらに高めることができるため、傾けない場合(図2参照)と比べ、光ファイバ14を短くすることができる。
また、図16に示すように、θ1を受光角の半角、θ2を集光レンズ18の焦点から集光レンズ18の縁への仰角とした場合、θ1≧θ2(NA1≧NA2)、すなわち、ファイバNAと同等な入射NAとすることで、光ファイバ14におけるモード分散が大きくなる結果、出射端面22bから出射するレーザー光の強度の均一性をさらに高めることができる。
なお、図14の構成と図16の構成とを比較した場合、出射端面22bから出射するレーザー光の強度は、ファイバ軸付近が強いため、図14の構成の方が、出力の大きい光束が分布するのでより好ましい。
なお、例えば、光ファイバ14を周方向から加圧するための加圧機構を設けて光ファイバを加圧することによるモードスクランブラ効果で、出射端面22bから出射するレーザー光の強度の均一性をさらに高めることができる。この加圧機構については、例えば、特開2002−133926号公報に詳しく説明されている。
なお、上記実施形態では、波長変換部材16を出射端面22bに配置した例(図2参照)について説明したが、波長変換部材16は、図17に示すように、レーザー光源12と集光レンズ18との間に配置されていてもよい。
このようにすれば、光ファイバ14を用いた車両用前照灯10において、輝度ムラが改善され、均一(又は略均一)に発光する矩形形状の発光部(出射端面22b)を実現することができる。これは、コア断面が矩形(又は略矩形)のコアを含む光ファイバ14を用いることで、コア断面が円形(又は略円形)のコアを含む光ファイバを用いる場合と比べ、出射端面22bから出射するレーザー光の強度(出力)が均一(又は略均一)なものとなることによるものである。また、万が一光ファイバ14が折れた場合であっても、当該折れた箇所から出る光はレーザー光ではなく、波長変換部材16からの光となるため、アイセーフを実現できるという利点もある。
この場合、光学系20は、上記のように輝度ムラが改善され、均一(又は略均一)に発光する矩形形状の発光部(出射端面22b)の光源像を投影して所定配光パターン(ロービーム用配光パターン又はハイビーム用配光パターン)を形成する。
上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。これらの記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。